特許第6803614号(P6803614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803614
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ハンドルカバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-119354(P2018-119354)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-218034(P2019-218034A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】591162136
【氏名又は名称】サンショウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩章
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−037577(JP,A)
【文献】 特開2003−136034(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/194044(WO,A1)
【文献】 実開昭57−046062(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0197651(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0059597(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルに取り付けられるハンドルカバーであって、
前記ハンドルのリム部を覆うカバー本体と、
このカバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーとを備え
前記スライドファスナーは、前記カバー本体から前記リム部の内方側に向かって延在し、前記ハンドルの本体部内に収納される延長ファスナー部を有する
ことを特徴とするハンドルカバー。
【請求項2】
カバー本体は、弾性変形可能なものであり、スライドファスナーによってハンドルのリム部に対して位置ズレしないように締め付け固定状態に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載のハンドルカバー。
【請求項3】
車両のハンドルの本体部は、収納空間が形成された本体部材と、この本体部材に対して着脱可能なカバー部材とを有し、
前記カバー部材が前記本体部材に取り付けられることにより、スライドファスナーの延長ファスナー部が前記収納空間に収納された状態で前記カバー部材によって覆い隠されるとともに、カバー本体の一部が前記カバー部材と前記ハンドルのリム部とで挟持固定される
ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドルカバー。
【請求項4】
車両のハンドルに取り付けられるハンドルカバーであって、
前記ハンドルのリム部を覆う円環状のカバー本体と、
前記カバー本体の上側部分の内周側に設けられ、前記カバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーである第1ファスナーと、
前記カバー本体の下側部分の内周側に周方向に並設され、前記カバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーである第2ないし第4ファスナーとを備え、
前記第2ないし第4ファスナーの各々は、前記カバー本体から前記リム部の内方側に向かって延在し、前記ハンドルの本体部内に収納される延長ファスナー部を有する
ことを特徴とするハンドルカバー。
【請求項5】
第2ファスナー及び第4ファスナーは、いずれも延長ファスナー部を終端側に有し、
第3ファスナーは、延長ファスナー部を始端側及び終端側に有する
ことを特徴とする請求項4記載のハンドルカバー。
【請求項6】
第1ファスナーは、スライダーに着脱可能に取り付けられた操作紐を有し、
前記操作紐は、当該操作紐を利用して前記スライダーを全閉位置まで移動されることで前記第1ファスナーを閉状態にした後、前記スライダーから取り外される
ことを特徴とする請求項4または5記載のハンドルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハンドルに取り付けられるハンドルカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されたハンドルカバー(ステアリングホイールカバー)が知られている。
【0003】
この従来のハンドルカバーは、例えば車両のハンドルのリム部に端縁同士が対向するように取り付けられるものであって、前記端縁のそれぞれには所定の間隔で連続して穴部が形成されており、前記端縁の一方と他方の前記穴部に紐体が通されることにより前記ハンドルのリム部に締め付けられ、この締付け状態において前記一方の端縁と他方の端縁との間には所定の空間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−165286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のハンドルカバーでは、当該ハンドルカバーを車両のハンドルに取り付ける際に、両端縁同士を突き合わせ、その各穴部に挿通された紐体によってそれら両端縁間を靴紐のように交差して編み上げるといった面倒な作業が必要であるから、車両のハンドルへの取り付けが容易でないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、車両のハンドルに容易に取り付けることができるハンドルカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るハンドルカバーは、車両のハンドルに取り付けられるハンドルカバーであって、前記ハンドルのリム部を覆うカバー本体と、このカバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーとを備え、前記スライドファスナーは、前記カバー本体から前記リム部の内方側に向かって延在し、前記ハンドルの本体部内に収納される延長ファスナー部を有するものである。
【0008】
また、本発明に係るハンドルカバーは、車両のハンドルに取り付けられるハンドルカバーであって、前記ハンドルのリム部を覆う円環状のカバー本体と、前記カバー本体の上側部分の内周側に設けられ、前記カバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーである第1ファスナーと、前記カバー本体の下側部分の内周側に周方向に並設され、前記カバー本体を前記リム部に取り付けるためのスライドファスナーである第2ないし第4ファスナーとを備え、前記第2ないし第4ファスナーの各々は、前記カバー本体から前記リム部の内方側に向かって延在し、前記ハンドルの本体部内に収納される延長ファスナー部を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンドルカバーを車両のハンドルに容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るハンドルカバーをハンドルに取り付けた状態の正面図である。
図2】同上ハンドルカバーの正面図(ファスナー閉状態時)である。
図3】同上ハンドルカバーの正面図(ファスナー開状態時)である。
図4図2におけるA−A断面図である。
図5図2におけるB−B断面図である。
図6】同上ハンドルカバーを取り付ける前のハンドルの部分正面図である。
図7】同上ハンドルカバーを取り付けた後のハンドルの部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図中の1はハンドルカバーで、このハンドルカバー1は、車両である自動車のハンドル2に後付けにより脱着可能に取り付けられるものである。つまり、このハンドルカバー1は、円形状の自動車用ハンドル2に固定的に取り付けられて使用されるものである。
【0013】
ハンドル2は、自動車のステアリング機構を操作するための回転可能な部品(ステアリングホイール)であって、図1図6及び図7に示すように、運転手である操作者が把持する円環状の把持部であるリム部3と、このリム部3に複数箇所(例えば4箇所)で連結され、ハンドル2の中心側に位置する本体部4とを備えており、この本体部4は所定の大きさの収納空間(内部空間)6を左右両側の内部に有している。
【0014】
本体部4は、複数、すなわち例えば4つの連結部分であるスポーク部分10でリム部3に連結されてこのリム部3の内方側(ハンドルの中心側)に位置する本体部材11と、この本体部材11にねじ等の取付具により着脱可能に取り付けられた左右1対のカバー部材12と、これら両カバー部材12間に位置するように本体部材11に装着されたエアバック13とを有している。
【0015】
本体部材11は、図示しないが、ハンドル2の中心部に位置するシャフト連結部分を有し、このシャフト連結部分にステアリングシャフトが連結されている。なお、図1に図示した左右のカバー部材12は、カーナビ等の機器を操作するための操作スイッチを有しないものであるが、これに代えて、そのような操作スイッチを有したカバー部材を用いる場合もある。
【0016】
リム部3は、本体部4のカバー部材12の下端部12aによって覆われる凹状の被覆部分15を前側下部の左右2箇所に有し、この各被覆部分15に本体部材11のスポーク部分10が連結されている。
【0017】
被覆部分15には、カバー部材12の位置決め用の挿入軸(図示せず)が挿脱可能に挿入される軸用孔16が形成されている。また、被覆部分15と本体部材11のスポーク部分10との間には、隙間17が形成されている(図6参照)。なお、リム部3の被覆部分15は、内方に向かって突出する突出部15aを有し、この突出部15aが本体部材11のスポーク部分10に固着されている。
【0018】
ハンドルカバー(ステアリングホイールカバー)1は、図2ないし図5にも示すように、ハンドル2のリム部3を覆う円環状のカバー本体20と、このカバー本体20に設けられ当該カバー本体20をハンドル2のリム部3に固定的に取り付けるための長手状の複数、すなわち例えば4つのスライドファスナーである第1ないし第4ファスナー21,22,23,24とを備えている。
【0019】
カバー本体20は、一方側端部(幅方向一端部である短手方向一端部)及び他方側端部(幅方向他端部である短手方向他端部)が互いに対向するようにハンドル2のリム部3に取り付けられて、このリム部3の表面を覆う被覆手段である。一方、第1ないし第4ファスナー21,22,23,24は、カバー本体20をハンドル2のリム部3にこのリム部3に対して締め付け状態(リム部3の表面とカバー本体20の裏面との間に隙間がない密着状態)となるように固定的に取り付けるための固定手段(取付手段)であり、かつ、リム部3のうちカバー本体20にて覆われない内周側の表面である内側面を覆う被覆手段でもある。
【0020】
なお、4つのファスナー21,22,23,24(いずれもオープンタイプのスライドファスナー)は、ハンドル2のスポーク部分10に対応する位置で互いに間隔をおいてカバー本体20の長手方向(周方向)に並んで位置するように、カバー本体20の内周側に設けられている。つまり、第1ファスナー21はカバー本体20の上側部分の内周側に設けられ、第2ないし第4ファスナー22,23,24はカバー本体20の下側部分の内周側に周方向に沿って並設されている。
【0021】
ここで、カバー本体20は、図3に示されるように、このカバー本体20の周方向に間隔をおいて並びかつ内方に向かって開口する4つの長手状開口部である第1ないし第4長手状開口部26,27,28,29と、これら隣り合う両長手状開口部間に位置する4つのスポーク部分用開口部である第1ないし第4開口部31,32,33,34とを有している。
【0022】
そして、第1長手状開口部26は第1ファスナー21によって開閉可能であり、第2長手状開口部27は第2ファスナー22によって開閉可能であり、第3長手状開口部28は第3ファスナー23によって開閉可能であり、第4長手状開口部29は第4ファスナー24によって開閉可能である。
【0023】
また、各開口部31,32,33,34は、カバー本体20がリム部3に装着されることで、対応するスポーク部分10が挿通された状態となる。なお、下側の2つの開口部32,33は、正面視で四角形状をなす前面側の開口32a,33aを有しており、この開口32a,33aによってリム部3の被覆部分15の軸用孔16が前方へ露出する。
【0024】
また、カバー本体20は、例えば径方向外方へ弾性変形可能な可撓性を有する展開状態で略矩形状をなすシート状の素材(例えば天然皮革や合成皮革等の皮革)によって、ハンドル2のリム部3に対応した円環状の形状に形成されたものである。
【0025】
このカバー本体20の長手方向(周方向)の寸法はリム部3の周方向の寸法と同じ長さ(略同じ長さを含む)であるが、カバー本体20の短手方向の寸法はリム部3の断面形状の全周の寸法よりも少し小さい。ただし、リム部3のうちカバー本体20によって覆われない内周側の部分は、スライドファスナー21,22,23,24によって覆われるため、ハンドル2のリム部3の全体(表面全部)がハンドルカバー1によって覆われることになる。
【0026】
第1ファスナー21は、カバー本体20の第1長手状開口部26に臨む一方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる一方側係合部41aを有する一方側係合体41と、カバー本体20の第1長手状開口部26に臨む他方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる他方側係合部42aを有する他方側係合体42と、閉方向(時計回りの方向)への移動により一方側係合部41aと他方側係合部42aとを互いに係合(噛合)させ、開方向(反時計回りの方向)への移動により一方側係合部41aと他方側係合部42aとの係合(噛合)を解除する移動可能な移動体であるスライダー43とを有している。
【0027】
なお、スライダー43には、このスライダー43を移動操作するための操作紐45が着脱可能に取り付けられている(図2参照)。この操作紐45は、スライダー43を全閉位置まで移動させることで第1ファスナー21を閉状態にした後、スライダー43から取り外す。
【0028】
また、第1ファスナー21は、蝶棒、箱棒及び箱からなる開手段46を始端部(スライダーを閉方向へ移動させる際の始端側の端部、以下同様)に有し、かつ、2つの止め具からなる止め手段47を終端部(スライダーを閉方向へ移動させる際の終端側の端部、以下同様)に有している。
【0029】
なお、この図示した第1ファスナー21の係合体41,42の長手方向の寸法(布製のテープの長さ寸法)は、カバー本体20の第1長手状開口部26の長手方向の寸法と同じ長さ(略同じ長さを含む)であるが、この構成には限定されず、例えば図示しないが、長手状の係合体41,42の終端側(閉方向後端側)を少し延ばして縫着した後にその終端部を折り返してカバー本体20の裏側(内側)に隠した構成等でもよい。
【0030】
第2ファスナー22は、カバー本体20の第2長手状開口部27に臨む一方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる一方側係合部51aを有する一方側係合体51と、カバー本体20の第2長手状開口部27に臨む他方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる他方側係合部52aを有する他方側係合体52と、閉方向(反時計回りの方向)への移動により一方側係合部51aと他方側係合部52aとを互いに係合(噛合)させ、開方向(時計回りの方向)への移動により一方側係合部51aと他方側係合部52aとの係合(噛合)を解除する移動可能な移動体であるスライダー53とを有している。なお、スライダー53には、このスライダー53を移動操作するための引き手54が回動可能に設けられている。
【0031】
また、第2ファスナー22は、蝶棒、箱棒及び箱からなる開手段56を始端部に有し、かつ、2つの止め具からなる止め手段57を終端部に有している。そして、第2ファスナー22は、ハンドル2の本体部4の左側の収納空間6に収納される延長ファスナー部58を終端側に有している。つまり、第2ファスナー22の閉状態時には、この第2ファスナー22の終端側は、カバー本体20から径方向内方に向かって延在する突出状の延長ファスナー部(スライダー53、引き手54及び止め手段57を含む延長終端側部分)58となり、この延長ファスナー部58がハンドル2の本体部4内に収納される(図1参照)。
【0032】
第3ファスナー23は、カバー本体20の第3長手状開口部28に臨む一方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる一方側係合部61aを有する一方側係合体61と、カバー本体20の第3長手状開口部28に臨む他方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる他方側係合部62aを有する他方側係合体62と、閉方向(時計回りの方向)への移動により一方側係合部61aと他方側係合部62aとを互いに係合(噛合)させ、開方向(反時計回りの方向)への移動により一方側係合部61aと他方側係合部62aとの係合(噛合)を解除する移動可能な移動体であるスライダー63とを有している。なお、スライダー63には、このスライダー63を移動操作するための引き手64が回動可能に設けられている。
【0033】
また、第3ファスナー23は、蝶棒、箱棒及び箱からなる開手段66を始端部に有し、かつ、2つの止め具からなる止め手段67を終端部に有している。そして、第3ファスナー23は、ハンドル2の本体部4の左側の収納空間6に収納される延長ファスナー部68を終端側に有し、かつ、ハンドル2の本体部4の右側の収納空間6に収納される延長ファスナー部69を始端側に有している。つまり、第3ファスナー23の閉状態時には、この第3ファスナー23の終端側は、カバー本体20から径方向内方に向かって延在する突出状の延長ファスナー部(スライダー63、引き手64及び止め手段67を含む延長終端側部分)68となり、かつ、第3ファスナー23の始端側は、カバー本体20から径方向内方に向かって延在する突出状の延長ファスナー部(開手段66を含む延長始端側部分)69となり、これら2つの両延長ファスナー部68,69がいずれもハンドル2の本体部4内に収納される。
【0034】
第4ファスナー24は、カバー本体20の第4長手状開口部29に臨む一方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる一方側係合部71aを有する一方側係合体71と、カバー本体20の第4長手状開口部に臨む他方側端部にその全長にわたって縫い付けにより設けられ、多数のエレメントからなる他方側係合部72aを有する他方側係合体72と、閉方向(時計回りの方向)への移動により一方側係合部71aと他方側係合部72aとを互いに係合(噛合)させ、開方向(反時計回りの方向)への移動により一方側係合部71aと他方側係合部72aとの係合(噛合)を解除する移動可能な移動体であるスライダー73とを有している。なお、スライダー73には、このスライダー73を移動操作するための引き手74が回動可能に設けられている。
【0035】
また、第4ファスナー24は、蝶棒、箱棒及び箱からなる開手段76を始端部に有し、かつ、2つの止め具からなる止め手段77を終端部に有している。そして、第4ファスナー24は、ハンドル2の本体部4の右側の収納空間6に収納される延長ファスナー部78を終端側に有している。つまり、第4ファスナー24の閉状態時には、この第4ファスナー24の終端側は、カバー本体20から径方向内方に向かって延在する突出状の延長ファスナー部(スライダー73、引き手74及び止め手段77を含む延長終端側部分)78となり、この延長ファスナー部78がハンドル2の本体部4内に収納される。
【0036】
なお、下側の3つのファスナー22,23,24は、ともに同じ長さ(略同じ長さを含む)のオープン型の線ファスナーであるが、上側のファスナー21は、3つのファスナー22,23,24よりも長いオープン型の線ファスナーである。
【0037】
次に、ハンドルカバー1の作用等を説明する。
【0038】
自動車のハンドル2にハンドルカバー1を装着するに際し、まず、ハンドル2の本体部4の両カバー部材12を本体部材11から取り外す。すると、本体部4の収納空間6が開口した状態となる(図6参照)。
【0039】
その後、図3の如く、4つの第1ないし第4ファスナー21,22,23,24をすべて開状態にして、カバー本体20の4つの長手状開口部26,27,28,29をすべて開口させる。
【0040】
次いで、カバー本体20を径方向外方に向けて拡径変形するように一旦弾性変形させることで、この環状のカバー本体20をハンドル2のリム部3に嵌装する。
【0041】
続いて、ファスナー手段である4つの第1ないし第4ファスナー21,22,23,24をすべて閉状態にして、カバー本体20の4つの長手状開口部26,27,28,29をすべて閉鎖する。
【0042】
具体的には、第1ファスナー21は、操作紐45を利用してスライダー43を終端部の全閉位置までスライド移動させ、かつ、第2ないし第4ファスナー22,23,24は、引き手54,64,74を利用してスライダー53,63,73を終端部の全閉位置までスライド移動させる。
【0043】
これにより、カバー本体20は、閉状態の4つの第1ないし第4ファスナー21,22,23,24によって、ハンドル2のリム部3に対して締め付け固定状態となって取り付けられ、その結果、リム部3の全体がカバー本体20及びスライドファスナー21,22,23,24で覆われる。つまり、位置ズレしないようにリム部3に対して強固に固定されたハンドルカバー1によって、ハンドル2のリム部3が周方向全長でかつ断面形状の全周にわたって覆われる。
【0044】
その後、第1ファスナー21の操作紐45をスライダー43から取り外す。また、第2ないし第4ファスナー22,23,24の各延長ファスナー部58,68,69,78を、ハンドル2の本体部4の収納空間6に収納する。
【0045】
具体的には、第2ファスナー22の延長ファスナー部58及び第3ファスナー23の延長ファスナー部68を左側の開口した一方側の収納空間6に収納し(図7参照)、また同様に、第3ファスナー22の延長ファスナー部69及び第4ファスナー23の延長ファスナー部78を右側の開口した他方側の収納空間6に収納する。
【0046】
このとき、リム部3の被覆部分15と本体部材11のスポーク部分10との間の隙間17に第2ないし第4ファスナー22,23,24の一部分を挿入するようにして、各延長ファスナー部58,68,69,78を本体部材11の収納空間6へ導いて収納する。
【0047】
その後、ハンドル2の本体部4の両カバー部材12をねじ等の取付具を用いて本体部材11に固定的に取り付けると、各延長ファスナー部58,68,69,78が本体部材11の収納空間6に収納された状態でカバー部材12によって完全に見えないように覆い隠されるとともに、カバー本体20の一部である被挟持部20aがカバー部材12の下端部12aとハンドル2のリム部3の被覆部分15とで挟持固定される。
【0048】
このカバー本体20の被挟持部20aは、カバー本体20のうち、延長ファスナー部58,68,69,78の近傍に位置する部分であって、下側の開口部32,33の開口32a,33aの周囲部分である。そして、この被挟持部20aがカバー部材12の下端部12aによってリム部3の被覆部分15に押え付けられる。
【0049】
そして、ハンドルカバー1によれば、カバー本体20をハンドル2のリム部3に取り付けるためのスライドファスナーである第1ないし第4ファスナー21,22,23,24を備えるため、紐体を用いてカバー本体の両端縁間を編み上げるといった従来の取付作業が不要であり、よって、ハンドルカバー1をハンドル2に容易に取り付けることができ、しかも、第1ないし第4ファスナー21,22,23,24でカバー本体20をリム部3に締め付け状態として密着状に固定できるため、取付後の位置ズレも生じない。
【0050】
また、円環状のカバー本体20とこのカバー本体20の内周側に設けた第1ないし第4ファスナー21,22,23,24とによって、ハンドル2のリム部3の表面全体を適切に覆うことができ、意匠性も良好である。
【0051】
さらに、ハンドル2の本体部4は本体部材11に対して着脱可能なカバー部材12を有し、このカバー部材12を本体部材11に取り付けると、第2ないし第4ファスナー22,23,24の延長ファスナー部58,68,69,78が収納空間6に収納された状態でカバー部材12によって覆い隠されるとともに、カバー本体20の被挟持部20aがカバー部材12とリム部3の被覆部分15とで挟持されるため、意匠性が良好であり、かつ、取付後におけるカバー部材12の位置ズレを効果的に防止できる。
【0052】
また、第1ファスナー21は、スライダー43を移動操作するための着脱可能な操作紐45を有するため、取付作業がより一層容易であり、しかも、取付後には操作紐45をスライダー43から取り外すことができるため、意匠性も良好である。
【0053】
なお、上記実施の形態では、カバー本体が円環状である場合について説明したが、カバー体の形状は、周方向に連続した円環状には限定されず、例えば周方向一部が切り欠かれた略円環状(例えば第3ファスナーに対応する下側部分がない形状)や、非円形の環状(略環状を含む)等でもよい。
【0054】
また、シート状のカバー本体の素材(シート部材の材質)は、車内の意匠性の観点から天然皮革や合成皮革等の皮革が好ましいが、これには限定されず、例えば織物、編み物、不織布、フェルト等の布のほか、軟らかい弾性変形可能なゴムや合成樹脂等でもよい。
【0055】
さらに、第2ないし第4ファスナーは、スライダーを移動操作するための回動可能な引き手を有した構成には限定されず、例えば第1ファスナーの如く操作紐を有した構成でもよい。また、第1ファスナーが引き手を有した構成でもよい。
【0056】
また、カバー体の内周側に周方向に並んで位置するようにスライドファスナーが互いに間隔をおいて複数設けられた構成には限定されず、例えばスライドファスナーがカバー体の外周側に設けられた構成でもよく、またスライドファスナーの数も任意であり、単数でも複数でもよい。
【0057】
さらに、複数のスライドファスナーのうち一部のスライドファスナー(例えば第2ないし4ファスナー)が延長ファスナー部(内方側へ延在するファスナー部分)を有しかつ他部のスライドファスナー(例えば第1ファスナー)が延長ファスナー部を有しない構成には限定されず、例えば複数のスライドファスナーのすべてが延長ファスナー部を有した構成や、逆にすべてが延長ファスナー部を有しない構成等でもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 ハンドルカバー
2 ハンドル
3 リム部
4 本体部
6 収納空間
11 本体部材
12 カバー部材
20 カバー本体
21 スライドファスナーである第1ファスナー
22 スライドファスナーである第2ファスナー
23 スライドファスナーである第3ファスナー
24 スライドファスナーである第4ファスナー
41,51,61,71 一方側係合体
41a,51a,61a,71a 一方側係合部
42,52,62,72 他方側係合体
42a,52a,62a,72a 他方側係合部
43,53,63,73 スライダー
45 操作紐
58,68,69,78 延長ファスナー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7