(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、このようなヘッドアップディスプレイでは、運転者が運転時に注視することのできる領域に表示像を投影する。このため、前方の視界を確保し、保安基準を満足するために、投影用の大型の装置を車両に強固に取り付ける必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、取り付けや調整が簡単であり、注視することなく表示した情報を認識することができる表示装置等を提供することを目的とする。この目的は例えば特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は例えば本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、本発明は、表示制御部による制御に応じた表示をする表示部と、表示部を、車両運転者が運転中に前方を注視した時におぼろげに見える位置に取り付ける取付手段とを備える表示装置とするとよい。このようにすれば、運転者は表示装置を注視することなく表示部における表示の変化を認識することができる。
【0007】
「前方」としては、例えば運転席に座った運転者が直線道路で運転時に向ける視線の方向とするとよく、特に40m〜50m先にある車両を見ているときの視線の方向とするとよい。また、「注視」としては、例えば対象物に意識を向けて視力を集中して見つめる状態とするとよい。
【0008】
「おぼろげ」としては、例えば、はっきりとは見えず、ぼんやりと見える状態とするとよく、「おぼろげに見える位置」としては、例えば表示されている情報の詳細が視認しにくい位置とするとよい。「おぼろげに見える位置」は、例えば、車両運転者が前方を注視した時に視野内には入っているが焦点が合わない位置とするとよく、前方を向いたときの視線の方向から上下方向に概ね10度以上ずれた位置とすると特によい。「おぼろげに見える位置」は、視野内の左右の部分でもよいが、視野内の中心視野の上下の部分とすることが望ましい。
【0009】
取付手段は、表示部をおぼろげに見える位置に取り付ける構成であればよく、表示部と取付手段とは直接接続されていてもよいが、両者を介在させる別部材を介して接続される構成とするとよい。そして当該別部材の一部に表示制御部を格納し、格納された表示制御部と表示部を接続して表示部の表示を制御する構成とすると特によい。
【0010】
(2)おぼろげに見える位置は、周辺視野に該当する位置とするとよい。このようにすれば、周辺視野で表示の変化を認識することができる。
【0011】
(3)本発明では、表示部は、少なくとも非表示状態において光を透過する構成とするとよい。このようにすれば、表示部に表示を行わない状態では、表示部によってその前方の視界が遮られることがなく、運転者は表示部の向こう側を見ておぼろげの範囲で、情報を取得することができる。
【0012】
(4)表示部は、透過型の表示素子とするとさらによい。このようにすれば、投影用の大型の装置を車両に強固に取り付ける必要がなく、取り付けや調整が容易となる。例えば表示部は、透過型カラー液晶ディスプレイ、透過型モノクロ液晶ディスプレイ、透過型エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)ディスプレイ等とすると特によい。
【0013】
(5)取付手段は、表示部を、車両における透過部の前面に位置するように取り付ける構成とするとよい。透過部は例えば車両のフロントガラスとするとよい。このようにすれば、表示部に表示を行わない状態では、表示部によって運転者の前方の視界が遮られることがなく、十分な視野を確保して安全運転に寄与することができる。表示部は透過型とするとよい。表示部のような機器が取り付けられていてそこが非透過型であると、静止物があるだけの状態であるため、運転者はそこに意識を持っていきにくい。これに対し、透過型の場合には、前方の景色等が透過して流れて見えるので、運転者がフロントガラスを介して様々な情報を取得しようとしているかの如く、透過型の表示部を介して情報を取得することができる。一方、変化があれば景色に重畳して表示されるので違和感が生じ易く、周辺のフロントガラス部分との違いを認識しやすくなる。
【0014】
透過部の前面としては、例えばメータフードの上のダッシュボード上としてもよいが、(6)取付手段は、表示部を、格納された状態のサンバイザよりも下側に位置するよう取り付けると特によい。このようにすれば、車両運転者が前方を注視した時に視界の上部におぼろげに見える位置に表示部を配置することができる。
【0015】
(7)この場合、取付手段は、格納された状態のサンバイザを車両の前方側から挟むクリップを備えるとさらによい。このようにすれば、表示装置を簡単に車両に取り付けることができる。また、サンバイザの構造は車種によらず概ね共通であるので、表示装置は様々な車種に取り付けることができる。また、表示装置は前方側からクリップで挟んで取り付けられているので、事故等に起因して運転者が表示装置にぶつかった場合にサンバイザから容易に脱落することで運転者が怪我をしにくくすることができる。
【0016】
(8)取付手段は、表示部を、車両における非透過部の前面に位置するように取り付ける構成とするとよい。このようにすれば、運転者の前方視野を遮ることなく、車両運転者が前方を注視した時におぼろげに見える位置に表示部を配置することができる。
【0017】
非透過部としては、例えばAピラー、エアコンの吹き出し口としてもよいが、(9)取付手段は、表示部を、車両のメータフードの前面に取り付けると特によい。このようにすれば、車両運転者が前方を注視した時に視界の下部におぼろげに見える位置に表示部を配置することができる。そして、メータフードの位置は特に、運転者の前方下部にあることが多く、その部分は取り付けが容易であり、直射日光が遮られて視認性がよい。また、表示部を透過型の表示素子により構成する場合には、メータフード内に配置された各種のメータや表示機器を、表示装置を透過して視認することができる。
【0018】
(10)表示制御部は、運転者に情報を提示すべきタイミングで、表示部の少なくとも一部を占める第1領域の表示を、前方を注視した時に第1領域がおぼろげに見えている状態で、非表示状態から表示状態へと変化したことを認識可能な程度に変化させるよう表示部を制御する機能を備えるとよい。このようにすれば、おぼろげに見える範囲の視覚の特性により、運転者が表示装置を注視しなくても何らかの表示の変化があったことを認識することができる。なお、第1領域は表示部の全面としてもよい。
【0019】
(11)表示制御部は、提示する情報の内容に応じて異なる視覚的演出により第1領域に表示を行うよう表示部を制御する機能を備えるとよい。提示する情報の内容とは、例えば情報の種類、緊急性等である。このようにすれば、運転者が視線の方向を変化させなくても、情報の種類、緊急性等を認識することができる。「視覚的演出」としては、提示する情報の内容に応じて異なる色で、第1領域に表示を行ってもよいが、提示する情報の内容に応じて異なる表示パターンで、第1領域に表示を行うと特によい。例えば、情報の内容に応じて、点滅、左右に流れるような動きの表示等のパターンで表示をするとよい。おぼろげに見える位置に対しては色覚が失われる傾向があると言われており、このようにすれば、色の変化よりもパターンの変化の方が差異を運転者に認識し易くすることができる。
【0020】
(12)表示部は、第1領域とは異なる第2領域を備え、前方を注視しているときには第2領域の方が第1領域より視認しにくく表示を行うよう前記表示部を制御する機能を備えるとよい。「視認しにくく表示」としては、例えば、第2領域には、注視しなければ視認できない情報を常時表示するとよい。具体的には、例えば、車両や周囲の状態に関する各種の情報を、例えば数字や文字などを表示するとよい。なお、第2領域には常時表示を行いつつ、その表示内容を定期的に更新すると特によい。このようにすれば、運転者が意図的に第2領域を注視すれば、表示されている情報をいつでも確認することができる。また、第2領域に常時表示される情報に視点を切り替えない限り、前方を注視している運転者が第2領域に表示されている情報を視認しにくいので、第2領域での常時表示が運転の妨げになりにくい。
【0021】
(13)表示制御部は、第2領域における表示状態の変化よりも急激に第1の領域における表示状態を変化させる機能を備えるとよい。このようにすれば、第2領域の常時表示とは対照的な第1領域の急激な変化を運転者に気付かれ易くすることができる。「急激に」とは、例えば、第2領域の表示と比較して大きさ、輝度、色彩等が大きく変化するよう制御することも含むが、第2領域の表示変化と比較して短時間で表示が変化するよう制御すると特によい。
【0022】
(14)表示制御部は、注視すべき情報が第2領域に表示させたときに、第1領域の表示状態を変化させるように制御する機能を備えるとよい。このようにすれば、第1領域の表示状態の変化によりおぼろげな領域内に変化があることに運転者が気付きやすくなり、その気付いた結果、前方を注視していた視線を第1領域に向ける。すると第1領域の近傍に第2領域があるので、第2領域に視線を誘導することができる。第1領域の表示変化を言わば呼び水として、注視すべき情報が第2領域に表示されていることを運転者に伝え、第2領域の表示を注視して詳細情報を確認するよう誘導することができる。
【0023】
(15)表示制御部は、第2領域に表示されている注視すべき情報の内容に応じて異なる視覚的演出により第1領域に表示を行う機能を備えると特によい。このようにすれば、第1領域での表示の視覚的演出に基づき情報の種類を認識し、第2領域を注視するか否かを運転者が判断することができる。情報の内容に応じて異なる視覚的演出としては、例えば、上述の「視覚的演出」と演出とするとよい。
【0024】
(16)前述の(14)及び(15)の場合において、表示制御部は、第1領域から第2領域の注視すべき情報が表示された位置に視線を誘導させるための表示をするよう表示部を制御する機能を備えるとよい。このようにすれば、第1領域から第2領域への誘導を確実にすることができる。「視線を誘導させるための表示」は、例えば、線分で結ぶ、同じ色で表示する、同期して点滅させる、等とするとよい。
【0025】
(17)上記課題を解決するために、本発明のプログラムでは、コンピュータを上述のいずれかの装置における表示制御部として機能させるとよい。本発明のプログラムによれば、おぼろげに見える範囲の視覚の特性により、運転者が表示装置を注視しなくても表示部の表示の変化を認識することができるよう表示の制御をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置1の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、表示装置1は、本体部11と、取付部材12と、表示部13とを備えている。表示装置1は、車両のフロントガラスと運転席上部の天井との境界部分近傍に設置されたサンバイザ300に取り付けて使用される。
【0028】
サンバイザ300は、車両において、運転者の目を太陽の直射から守り、視界を確保するために用いる日除けである。サンバイザ300のサイズは車両によって異なるが、一般的には横幅が250〜400mm、縦幅が150〜250mm、厚さ20〜30mm程度の遮光板301を備える。サンバイザ300は、
図2に示すように、車両の天井部に固定するブラケット302にL形のシャフト303を回動可能に軸支し、そのシャフト303に遮光板301を回動可能に取り付けて構成されている。したがって、遮光板301は車両のフロントガラスに対して平行又は前後左右へ所望の傾斜角度で垂れ下がるように回動操作できるほか、遮光板301全体をフロントガラス側から約90度旋回しドアガラスに対して平行又は前後左右へ所望の傾斜角度で垂れ下がるようにも設定できる。
【0029】
サンバイザ300は、使用しない時には遮光板301の遮光面が車両の天井に平行となり、遮光板301の長辺がフロントガラスに対して略平行となる格納された状態に保持される。表示装置1は、格納された状態のサンバイザ300の遮光板301に取り付けられる。
【0030】
表示装置1の本体部11は、一般的な車両が備えるサンバイザの厚みと同程度の高さを有し、格納された状態に保持されたサンバイザ300の車両前方側(すなわち、シャフト303により軸支されている側)の端部から、車両のフロントガラスと運転席上部の天井との境界までの距離と同程度以下の奥行きを有するケース本体111を備えている。ケース本体111の下部には表示部13が設けられ、ケース本体111の前面(すなわち、サンバイザ300に取り付けたときに運転者側に位置する面)には、取付部材12が設けられる。
【0031】
表示部13は、ケース本体111の下部に配置される。表示部13の横幅及び縦幅はサンバイザ300の遮光板301と同程度以下とする。具体的には、横幅が400mm以下、縦幅が250mm以下とするとよい。表示部13は、透過型のカラー液晶ディスプレイであり、情報を表示していない状態では、表示部13は光を透過する。従来型ヘッドアップディスプレイはプロジェクタタイプが主流で、汎用品では反射フィルムがガラスに貼るもので保安基準に適合できないものであったが、透過型のカラー液晶を利用することで、画像を直接ディスプレイに表示でき、ガラスにフィルムを貼る必要がなく、又、プロジェクタ設置の煩わしさを解消できる。また、プロジェクタからスクリーンに画像を投影する表示方式では、投影方向と視点の関係によって見やすい場合と見にくい場合があるが、透過型の液晶ディスプレイによる直接表示方式だと、視点によって表示が見えにくくなることがない。また、また、表示部13がサンバイザ300と同程度以下のサイズとすることにより、表示部13が周囲の構造物(例えばルームミラー310や側面のガラス)と干渉しにくくなる。
【0032】
本実施形態の取付部材12は、ケース本体111の前面から突出した2つのクリップ121および122である。
図3は、取付部材12によって表示装置1を車両が備えるサンバイザ300に取り付けた状態を側面から見た模式図である。また、
図4は、取付部材12によって表示装置1を車両が備えるサンバイザ300に取り付けた状態を車両後方から見た模式図である。クリップ121とクリップ122は、水平方向に離れた位置に設けられ、格納された状態のサンバイザ300の端部を、車両前方側(すなわちフロントガラス側)から挟持して、表示装置1をサンバイザ300に取り付ける。このようにすれば、サンバイザ300表示装置1を簡単に車両に取り付けることができる。また、上述したサンバイザ300の構造は車種によらず概ね共通であるので、表示装置は様々な車種に取り付けることができる。また、表示装置1はフロントガラス側からサンバイザ300をクリップで挟んで取り付けられているので、事故等に起因して運転者が表示装置1にぶつかった場合、表示装置1がサンバイザ300から容易に脱落することで運転者が重大な怪我をしにくくすることができる。また、サンバイザ300はルームミラー310や車両側面のガラスと干渉しない配置となっているので、サンバイザ300の下側に表示部13が張り出しても、表示部13もルームミラー310や車両側面のガラスと干渉せず、ルームミラー310の位置調整やルームミラー310を介した後方の視認の妨げにならない。また、表示部13が運転者の前方視界を遮らないので保安基準を満たして設置することが可能となる。
【0033】
表示装置1をサンバイザ300に取り付ける際には、サンバイザ300を遮光板301が格納された状態からずらして取り付け作業を行うと、作業が容易となる。取り付けが完了した状態で、サンバイザ300は格納された状態に戻される。取り付けが完了した状態では、ケース本体111はサンバイザ300の背後に隠れ、表示部13は格納された状態のサンバイザよりも下側に位置する。運転者からは表示部13のみが見えるようになる。
【0034】
このようにすれば、車両運転者が前方を注視した時におぼろげに見える位置に表示部を配置することができる。「おぼろげ」とは、視野内に入ってはいるもののはっきりとは見えず、ぼんやりと見える状態を指し、運転席に座った状態で直線道路において40m〜50m先にある車両を見ているときの視線の方向から上下方向に概ね10度以上ずれた位置がこれに該当する。中心窩から20度程度の領域を中心視野とよぶ。それ以外の領域を周辺視野とよび、一般に中心視野ほど空間分解能が高い。格納されたサンバイザ300の直下は視線の方向から上方における周辺視野に該当する。おぼろげに見える位置に表示部13が配置される構成により、運転者は表示装置1を注視することなく表示部13における表示の変化を認識することができる。
【0035】
図5は、本体部11の構成を示すブロック図である。ケース本体111の背面(すなわち、サンバイザ300に取り付けたときに運転者とは反対側に位置する面)には、SDメモリカード用スロット部117を備え、そのSDメモリカード用スロット部117に地図データなどが記録されたSDメモリカード20を挿入可能としている。また、ケース本体111の背面には、DCジャック110を設けている。DCジャック110は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。また、ケース本体111の側面には、電源スイッチをはじめとする操作ボタン114、USB端子115等を設けている。このUSB端子115を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行うことができる。
【0036】
ケース本体111の内部には、以下の各機器・部品を配置している。すなわち、ケース本体111の背面側内部には、マイクロ波受信機112を配置する。マイクロ波受信機112は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、例えば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。また、ケース本体111の上面側内部には、GPS信号を受信し現在位置を求めるGPS受信機113を配置している。
【0037】
本実施形態の表示装置1は、設定した目的地までの経路を案内するナビゲーション機能と、周囲に存在する車両速度測定装置その他の交通監視ポイント等の目標物を報知する目標物報知装置としての目標物報知機能を備えている。これらのナビゲーション機能並びに目標物報知機能は、制御部118に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部118のEEPROM上に格納され、これを制御部118に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0038】
すなわち、制御部118は、上記の各種の入力機器(GPS受信機113、マイクロ波受信機112、操作ボタン114、SDメモリカード用スロット部117、USB端子115等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部13、SDメモリカード用スロット部117、USB端子115等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものであり、必要に応じてデータベース116や、SDメモリカード20にアクセスする。
【0039】
ここでデータベース116は、制御部118のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(例えばEEPROM)により実現できる。
【0040】
データベース116には、出荷時に一定の目標物や地図その他の各機能を実施するために必要な情報が登録されており、その後に追加された目標物についてのデータ等は、所定の処理を経て更新することができる。これらの情報を更新するための処理は、例えば、追加データが格納されたSDメモリカードをSDメモリカード用スロット部117に装着すると共に、そのSDメモリカードからデータベース116に転送することで行うことがある。また、このデータ更新は、USB端子115を介して接続されるパソコンその他の外部機器を用いて行うことができる。
【0041】
具体的には、データベース116は、ナビゲーション用の道路ネットワーク情報を記憶している。このデータベース116に格納するナビゲーションのための情報は、出荷時において全国についてのすべての情報を格納しておいても良いし、地図データ等は、地方毎にSDメモリカード20に格納したものを提供するようにし、ユーザは必要な地図データ等が格納されたSDメモリカードを用意し、それをSDメモリカード用スロット部117に装着して使用するようにしても良い。なお、SDメモリカード20に格納された地図データ等は、データベース116に転送して格納しても良いし、制御部118がSDメモリカード20にアクセスし、そこから読み出して使用するようにしても良い。
【0042】
制御部118は、データベース116から現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、この道路ネットワーク情報を利用してある位置から別の位置に至るルート(経路)を検索することができる。また、データベース116は、電話番号とその電話番号の住宅・会社・施設等の位置情報及び名称とを対応づけて記憶した電話番号データベースと、住所とその住所の位置情報とを対応づけて記憶した住所データベースを備える。またデータベース116には、速度測定装置等の交通監視ポイントの位置情報がその種類とともに記憶されている。
【0043】
続いて、表示部13の機能について詳述する。表示部13は、制御部118の制御に応じて、情報・警報・メッセージ等を表示する。表示部13は、第1領域131と第2領域132を備える。
図6に示したように、第1領域131は、表示部13の左右端部付近の領域である。第1領域には、通常は表示を行わず前方が透過した状態とする一方、運転者に情報を提示すべきタイミングで、運転者が前方を注視した時に第1領域131がおぼろげに見えている状態で、非表示状態から表示状態へと変化したことを認識可能な程度に表示を変化させる。具体的には、制御部118による表示制御に基づき、第1領域131の表示は、第2領域の表示と比較して大きさ、輝度、色彩等が大きく変化し、あるいは第2領域の表示変化と比較して短時間で表示が変化する。これにより、表示を変化させ、おぼろげに見えている状態でも運転者が第1領域131の表示を視認しやすくする。
【0044】
第2領域132は、表示部13の中央部の領域である。この第2領域には、車速、エンジン回転数、冷却水の水温、その他のOBD(On-board diagnostics)により得られる情報等の車両や周囲の状態に関する各種の情報、後述する目標物報知機能やナビゲーション機能における目標物までの距離等を、数字や文字などにより表示する。第2領域には注視しなければ視認できない情報を常時表示を行いつつ、その表示内容を定期的に随時更新する。常時表示がなされるため、運転者が前方を注視し、表示部13がおぼろげに見える位置にある状態においては、第2領域132の表示は第1領域の表示と比べ、視認しにくく、表示の変化を認識しにくい。
【0045】
運転者が意図的に第2領域132を注視すれば、表示されている各種の情報をいつでも確認することができる。また、第2領域132に常時表示される情報に視点を切り替えない限り、前方を注視している運転者が第2領域132に表示されている情報を視認できないので、第2領域132での常時表示が運転の妨げになりにくい。
【0046】
表示部13に表示を行わない状態では、表示部13によって運転者の前方の視界が遮られることがなく、十分な視野を確保して安全運転に寄与することができる。また、表示部13のような機器が取り付けられておりそこが非透過型であると、静止物があるだけの状態であるため、運転者はそこに意識を持っていきにくい。これに対し、透過型の場合には、前方の景色等が透過して流れて見えるので、運転者がフロントガラスを介して様々な情報を取得しようとしているかの如く、透過型の表示部を介して情報を取得することができる。一方、変化があれば景色に重畳して表示されるので違和感が生じやすく、周辺のフロントガラス部分との違いを認識しやすくなる。
【0047】
目標物報知機能を実現するべく制御部118は、以下のような動作をする。すなわち、制御部118は、マイクロ波受信機112が、例えば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波等の所定の周波数のマイクロ波を受信した場合、表示部13の表示により警報を出力する。具体的には、制御部118は、表示部13の第1領域131に赤色の矢印を、非表示状態から瞬時に表示状態に変化するように表示部13を制御する。それとともに制御部118は、第1領域の表示の変化を認識した運転者の視線を、表示部13の第2領域132における車速を表示している箇所に誘導すべく、第2領域132における車速の表示を、第1領域131の赤色の矢印と同期させて点滅表示するよう表示部13を制御する。
【0048】
また、制御部118は、設定した目的地までのルート(経路)案内を行うナビゲーション機能を実現するべく制御部118は、以下のような動作をする。すなわち、目的地設定メニューを表示部13に表示し、目的地の設定方法の選択をユーザに促すとともに、操作ボタン114の操作に応じて目的地を設定する。目的地設定メニューは、電話番号による目的地の検索と住所による目的地の検索が選択可能に表示される。電話番号による検索が選択されたことを検出した場合には、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース116から取得する。住所による検索が選択されたことを検出した場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース116から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース116に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
【0049】
右左折すべき交差点に接近したときに、曲がる方向側の第1領域131に緑の矢印を点滅表示するとともに、当該交差点までの距離を第2領域132に表示する。そして、曲がる交差点までの距離の表示に視線を誘導させるべく、第2領域132における交差点までの距離の表示を、第1領域131の緑色の矢印と同期させて点滅表示する。また、設定した目的地が近づいたときには、左右両側の第1領域131に緑の矢印を点滅表示するとともに、第2領域に目的地までの距離を表示する。そして、目的地までの距離の表示に視線を誘導させるべく、第2領域132における目的地までの距離の表示を、第1領域131の緑色の矢印と同期させて点滅表示する。
【0050】
以上で説明したように、目標物、交差点等に接近した時のような、運転者に情報を提示すべきタイミングで、第1領域の表示を、前方を注視した時に第1領域がおぼろげに見えている状態で非表示状態から表示状態へと変化したことを認識可能な程度に変化させる。それとともに、第1領域から第2領域に視線を誘導させるための表示をする。
【0051】
このようにすれば、おぼろげに見える範囲の視覚の特性により、第1領域131の表示状態の変化に運転者が気付き易くなり、その変化に気付いた運転者がより詳細な情報を得ようと判断した場合には、前方を注視していた視線を第1領域131に向けることができる。そして第1領域131から第2領域132へと視線を誘導する表示により、スムーズに視線を移動することができる。このように、第1領域131の表示変化を言わば呼び水として、注視すべき情報が第2領域132に表示されていることを運転者に伝え、第2領域132の表示を注視して詳細情報を確認するよう誘導することができる。
【0052】
また、目標物報知機能に関する警告を第2領域132に表示する場合とナビゲーション機能に関する警告を第2領域132に表示する場合とで、異なる色やパターンで第1領域131に表示を行うことにより、運転者は、運転者が視線の方向を変化させなくても、第2領域132に表示された注視すべき情報が目標物報知機能とナビゲーション機能のいずれに関するものなのかを認識することができる。そして、その認識を踏まえて、第2領域132を注視するか否かを運転者が判断することができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る表示装置1の特徴は、車両のメータフードの前面(すなわち、メータフードと運転者との間)に表示部13が位置するように取り付けられる点にある。なお、このような構成を採用したことに伴う変更点以外については、上述した第1実施形態と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0054】
図7は、本発明の第2実施形態に係る表示装置1の外観を車両に取り付けたときに運転者とは反対側に位置する背面側から見た斜視図である。本実施形態の表示装置1は、第1実施形態と同様、本体部11と、取付部材12と、表示部13とを備えている。本体部11の筐体をなすケース本体111の下部には表示部13が設けられる。取付部材12は、メータフード320の前面に表示部13を位置させるべく、
図7に示したように、ケース本体111の背面中央部から突出したフックとして構成される。フックの底面は平坦であり、ケース本体111の底面と段差なく設けられる。
【0055】
図8は、取付部材12によって表示装置1を車両が備えるメータフード320に取り付けた状態を側面から見た模式図である。また、
図9は、取付部材12によって表示装置1を車両が備えるメータフード320に取り付けた状態を車両後方から見た模式図である。ケース本体111および取付部材12の底面がメータフード320の縁部上面に粘着テープによって固着される。このようにすれば、メータフード320の前面に表示部13が位置するように表示装置1を簡単に車両に取り付けることができる。このようにすれば、運転者の前方視野を遮ることなく、車両運転者が前方を注視した時におぼろげに見える前方視野の下部に表示部13を配置することができる。また、透過型のカラー液晶ディスプレイである表示部13は、メータフード320の前面に配置してもメータフード320内に配置された各種のメータや表示機器を、表示装置を透過して視認することができる。一般的な車両では、メータフード320の位置は運転者の前方下部にあることが多く、その部分は取り付けが容易であり、直射日光が遮られて視認性がよい。また、表示部13が運転者の前方視界を遮らないので保安基準を満たして設置することが可能となる。なお、速度計などの計器類が通常の運転席正面ではなく、運転席と助手席の中央部に配置されている、いわゆるセンターメータ型の車両の場合には、メータフード320の前面パネルの前に表示部13を配置しても、運転者が前方を注視した時におぼろげに見える範囲には入らない構成のセンターメータ型の車両におけるメータフードは本発明にて想定するメータフード320には該当しないものとする。
【0056】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0057】
例えば、上記の実施形態では、表示装置が備える表示部の一例として透過型のカラー液晶ディスプレイを用いる場合を例に説明したが、透過型であればこれ以外のものを用いてもよい。例えば、白黒の透過型液晶ディスプレイ、透過型エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)ディスプレイ等の表示素子を用いてもよい。また、プロジェクタから画像を投影する構成を採用し、表示部として透過型の表示面(例えばスクリーン)を設けてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態において、表示部が配置される「おぼろげに見える位置」は、車両運転者が前方を注視した時におぼろげに見える前方視野の上部または下部に限らず、例えば周辺視野における中心視野の左右いずれかの領域としてもよい。この場合、運転者の視野を遮らないようにすべく、右ハンドルの車両では中心視野の右側の領域、左ハンドルの車両では中心視野の左側の領域を、おぼろげに見える位置としてここに表示部を配置するのに適した取付部材を備えるようにするとよい。
【0059】
また、表示部が配置される「おぼろげに見える位置」は、第1実施形態のように透過部(例えばフロントウィンドウ)の全面に配置する場合には、例えばメータフードの上側(いわゆるダッシュボード上)としてもよい。また、第2実施形態で例示したメータフードの前面のような、非透過部の前面としてもよい。
【0060】
また、制御部は、注視すべき情報が第2領域に表示されたときに、第1領域の表示状態を変化させるように制御するとよい。第1領域の表示状態を変化させる際には、第2領域に表示されている注視すべき情報の内容に応じて異なる視覚的演出により第1領域に表示を行うと特によい。
【0061】
第1領域の表示において行う視覚的演出としては、上記の実施形態において説明した情報の内容に応じて異なる色で表示をする他、情報の内容に応じて異なる表示パターンで表示を行うようにしてもよい。例えば、情報の内容に応じて、点滅、左右に流れるような動きの表示等のパターンで表示をするとよい。おぼろげに見える位置に対しては色覚が失われる傾向があると言われており、色の変化よりもパターンの変化の方が差異を運転者に認識し易くすることができる。
【0062】
また、第1領域から第2領域へと視線を誘導する表示は、上記の実施形態において説明した、同期した点滅表示の他、第1領域の表示と第2領域における注視すべき情報の表示を、同じ色で表示する、線分等で結ぶ、あるいはこれらの組み合わせとしてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、表示部が第1領域と第2領域を備える構成を説明したが、第2領域を設けなくてもよく、この場合、第1領域は表示部の全面としてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、表示装置が目標物報知機能とナビゲーション機能を備える場合を例に説明したが、これらの機能の一方又は両方を外部の装置が備え、表示装置が当該外部の装置における外付けの表示手段として機能するように構成してもよい。
【0065】
また、第2実施形態では取付部材としてフックを備える場合を例に説明したが、フックを設けずにケース本体の底面が取付部材として機能するようにしてもよい。この場合、ケース本体の底面を、ダッシュボード上面に粘着テープ等を介して取り付けるようにするとよい。