特許第6803645号(P6803645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803645
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20201214BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】6
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2019-200584(P2019-200584)
(22)【出願日】2019年11月5日
(65)【公開番号】特開2020-109489(P2020-109489A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】201811650492.3
(32)【優先日】2018年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】房 春環
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−102408(JP,A)
【文献】 特許第6362198(JP,B2)
【文献】 特開昭52−032323(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009843(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0033742(US,A1)
【文献】 台湾特許第622822(TW,B)
【文献】 台湾特許第644142(TW,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 13/00
G02B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、
物体側から像側へ向かって順に、絞りと、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、負の屈折力を有する第7レンズとからなり、
前記撮像光学レンズの焦点距離をf、焦点距離の単位をミリメートル(mm)、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第6レンズの焦点距離をf6としたときに、以下の条件式(1)〜(2)を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
15.00≦f3/f (1)
2.50≦f6/f≦5.00 (2)
【請求項2】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第5レンズの焦点距離をf5としたときに、以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
10.00≦|f1+f3+f4|/|f2+f5|≦20.00 (3)
【請求項3】
前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6としたときに、以下の条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
(R5+R6)/(R5−R6)≦−20.00 (4)
【請求項4】
前記第2レンズの焦点距離をf2、焦点距離の単位をミリメートル(mm)としたときに、以下の条件式(5)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−15.00≦f2−f≦−11.00 (5)
【請求項5】
前記第5レンズの物体側面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の曲率半径をR10としたときに、以下の条件式(6)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−10.00≦(R9+R10)/(R9−R10)≦−6.00 (6)
【請求項6】
前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第1レンズの像側面から前記第2レンズの物体側面までの軸上距離をd2としたときに、以下の条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
9.00≦d1/d2≦12.00 (7)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ分野に関し、特にスマートフォン、デジタルカメラなどの携帯端末装置と、モニタ、PCレンズなどの撮像装置とに適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場に伴い、小型化の撮像レンズに対する需要がますます高まっているが、撮像レンズの感光素子は、一般的に、感光結合素子(Charge Coupled Device、CCD)又は相補型金属酸化物半導体素子(Complementary Metal−OxideSemiconductor Sensor、CMOS Sensor)の2種類のみに大別される。また、半導体製造プロセスの技術の進歩により、感光素子の画素サイズが縮小可能であるとともに、現在の電子製品は、優れた機能および軽量化・薄型化・小型化の外観を発展の傾向とする。そのため、良好な結像品質を有する小型化の撮像レンズは、現在の市場において既に主流となっている。
【0003】
優れた結像品質を得るために、携帯電話のカメラに搭載された従来のレンズは、3枚式、4枚式ひいては5枚式、6枚式のレンズ構造を用いることが多い。しかしながら、技術の発展及びユーザの多様化のニーズの増加に伴い、感光素子の画素面積が縮小しつつあり且つ結像品質に対するシステムからの要求が高くなってきている場合には、7枚式のレンズ構造が徐々にレンズの設計に現れている。よく見られる7枚式のレンズは、良好な光学性能を有しているが、その屈折力、レンズ間隔、およびレンズ形状の設定には依然としてある程度の非合理性があるので、撮像レンズは、良好な光学性能を有すると共に、大口径、極薄化及び広角化の設計要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、良好な光学性能を有するとともに、大口径、極薄化及び広角化の設計要求を満たす撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明の実施形態は、撮像光学レンズを提供する。前記撮像光学レンズは、物体側から像側へ向かって順に、絞りと、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、負の屈折力を有する第7レンズとからなり、前記撮像光学レンズの焦点距離をf、焦点距離の単位をミリメートル(mm)、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第6レンズの焦点距離をf6としたときに、以下の条件式(1)〜(2)を満たす。
15.00≦f3/f (1)
2.50≦f6/f≦5.00 (2)
【0006】
本発明の実施形態は、従来技術よりも、上記レンズの配置方式にて、異なる屈折力を有するレンズ、焦点距離に関して光学レンズ全体とは特定の協調関係を有する第3レンズ、および焦点距離に関して光学レンズ全体とは特定の協調関係を有する第6レンズを利用し、第3レンズおよび第6レンズの屈折力を合理的に配分し、光学システムの収差の補正に有利である。これにより、光学システムは、良好な光学性能を有するとともに、大口径、極薄化及び広角化の設計要求を満たす。
【0007】
また、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第5レンズの焦点距離をf5としたときに、以下の条件式(3)を満たす。
10.00≦|f1+f3+f4|/|f2+f5|≦20.00 (3)
【0008】
また、前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6としたときに、以下の条件式(4)を満たす。
(R5+R6)/(R5−R6)≦−20.00 (4)
【0009】
また、前記第2レンズの焦点距離をf2、焦点距離の単位をミリメートル(mm)としたときに、以下の条件式(5)を満たす。
−15.00≦f2−f≦−11.00 (5)
【0010】
また、前記第5レンズの物体側面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の曲率半径をR10としたときに、以下の条件式(6)を満たす。
−10.00≦(R9+R10)/(R9−R10)≦−6.00 (6)
【0011】
また、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第1レンズの像側面から前記第2レンズの物体側面までの軸上距離をd2としたときに、以下の条件式(7)を満たす。
9.00≦d1/d2≦12.00 (7)
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図2図1に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図3図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図4図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図6図5に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図7図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図8図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図9】本発明の第3実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図10図9に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図11図9に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図12図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
図13】本発明の第4実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図14図13に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図15図13に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図16図13に示す撮像光学レンズの像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
図17】本発明の第5実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図18図17に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図19図17に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図20図17に示す撮像光学レンズの像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
図21】本発明の第6実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図22図21に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図23図21に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図24図21に示す撮像光学レンズの像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
図25】本発明の第7実施形態における撮像光学レンズの構造模式図である。
図26図25に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図27図25に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図28図25に示す撮像光学レンズの像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、解決手段及びメリットがより明瞭になるように、以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の各実施形態において、本発明が良く理解されるように多くの技術的詳細が与えられているが、それらの技術的詳細および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正が存在しなくとも、本発明の保護しようとするものを実現可能であることは、当業者に理解されるべきである。
【0014】
以下は、第1実施形態である。
図面を参照すると、本発明は、撮像光学レンズ10を提供する。図1は、本発明の第1実施形態の撮像光学レンズ10を示す。当該撮像光学レンズ10は、7枚のレンズを備える。具体的に、前記撮像光学レンズ10は、物体側から像側に向かって、順次に絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7からなる。本実施形態では、第7レンズL7と像面Siとの間にガラス平板GFなどの光学素子が設けられていることが好ましく、ガラス平板GFが、カバーガラスであってもよく、光学フィルタ(filter)であってもよい。他の実施形態では、ガラス平板GFが他の位置に設けられることも、もちろん可能である。
【0015】
本実施形態では、第1レンズL1は、正の屈折力を有し、その物体側面が外へ突出して凸面となり、その像側面が凹面であり、第2レンズL2は、負の屈折力を有し、その物体側面が凸面であり、その像側面が凹面であり、第3レンズL3は、正の屈折力を有し、その物体側面が凸面であり、その像側面が凹面であり、第4レンズL4は、正の屈折力を有し、その物体側面が凸面であり、その像側面が凸面であり、第5レンズL5は、負の屈折力を有し、その物体側面が凹面であり、その像側面が凸面であり、第6レンズL6は、正の屈折力を有し、第6レンズL6の物体側面が凸面であり、像側面が凹面であり、第7レンズL7は、負の屈折力を有し、第7レンズの物体側面が凸面であり、像側面が凹面である。
【0016】
ここで、前記撮像光学レンズ10の焦点距離をf、焦点距離の単位をミリメートル(mm)、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第6レンズの焦点距離をf6として定義する。前記f、f3およびf6は、以下の条件式(1)〜(2)を満たす。
15.00≦f3/f (1)
2.50≦f6/f≦5.00 (2)
【0017】
ただし、条件式(1)は、第3レンズL3と撮像光学レンズ10全体の焦点距離との比を規定するものである。このようにすると、第3レンズL3は、屈折力をより合理的に配分可能であり、撮像光学レンズ10の光学性能を向上させる。
条件式(2)は、第6レンズL6と撮像光学レンズ10全体の焦点距離との比を規定するものである。このようにすると、第6レンズL6は、屈折力をより合理的に配分可能であり、光学システムの収差の補正に有利であり、更に結像品質を向上させる。
【0018】
本実施形態では、上記レンズの配置方式にて、異なる屈折力を有する各レンズ(L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7)、焦点距離に関して特定の協調関係を有する第3レンズL3と整体光学レンズ10、および焦点距離に関して光学レンズ10全体とは特定の協調関係を有する第6レンズL6を利用し、第3レンズL3及び第6レンズL6の屈折力を効果的に配分可能であり、光学システムの収差の補正に有利である。これにより、光学システムは、良好な光学性能を有するとともに、大口径、極薄化且つ広角化の設計要求を満たす。
【0019】
具体的に、本発明の実施形態では、第1レンズL1が正の屈折力を有し、第2レンズL2が負の屈折力を有し、第3レンズL3が正の屈折力を有し、第4レンズL4が正の屈折力を有し、第5レンズL5が負の屈折力を有し、且つ第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2、第3レンズL3の焦点距離をf3、第4レンズL4の焦点距離をf4、第5レンズL5の焦点距離をf5としたときに、f1、f2、f3、f4とf5が以下の条件式(3)を満たす。
10.00≦|f1+f3+f4|/|f2+f5|≦20.00 (3)
【0020】
条件式(3)は、第1レンズL1の焦点距離f1、第2レンズL2の焦点距離f2および第3レンズL3の焦点距離f3の和の絶対値と、第4レンズL4の焦点距離f4および第5レンズL5の焦点距離f5の和の絶対値との比を規定するものである。このようにすると、条件式(3)で規定された範囲内では、光学システムの結像品質の向上に有利である。
【0021】
好ましくは、本実施形態では、第3レンズL3の物体側面の曲率半径をR5、第3レンズL3の像側面の曲率半径をR6としたときに、R5とR6が以下の条件式(4)を満たす。
(R5+R6)/(R5−R6)≦−20.00 (4)
【0022】
条件式(4)は、第3レンズL3の形状を規定するものである。レンズの広角および大口径への進行につれて、R5とR6が条件式(4)の範囲内にあるとき、光線がレンズを通る偏向度合いを緩和でき、収差を効果的に低減可能である。
【0023】
好ましくは、本実施形態では、第2レンズL2の焦点距離をf2、焦点距離の単位をミリメートル(mm)としたときに、f2とfが以下の条件式(5)を満たす。
−15.00≦f2−f≦−11.00 (5)
【0024】
条件式(5)は、第2レンズL2の焦点距離f2と撮像光学レンズ10全体の焦点距離fとの差を規定するものである。規定された条件式の範囲内では、光学システムが良好な結像品質を得ることに寄与する。
【0025】
好ましくは、本実施形態では、第5レンズL5の物体側面の曲率半径をR9、第5レンズL5の像側面の曲率半径をR10としたときに、R9とR10が以下の条件式(6)を満たす。
−10.00≦(R9+R10)/(R9−R10)≦−6.00 (6)
【0026】
条件式(6)は、第5レンズの形状を規定するものであり、光学システムの先頭4枚のレンズ(L1、L2、L3、L4)で発生された収差を効果的に補正できる。
【0027】
好ましくは、本実施形態では、第1レンズL1の軸上厚みをd1、第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離をd2としたときに、d1とd2が以下の条件式(7)を満たす。
9.00≦d1/d2≦12.00 (7)
【0028】
条件式(7)は、第1レンズL1の軸上厚みと、第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離との比を規定するものである。条件式の範囲内では、レンズの加工およびレンズの組み立てに有利である。
【0029】
また、レンズの表面は、非球面として設置されてもよい。非球面は、球面以外の形状で容易に形成でき、より多くの制御変数を得ることができるので、収差を低減し、さらに使用されるレンズの数を減らすことができるため、本発明の撮像光学レンズの全長を効果的に低減することが可能となる。本発明の実施形態では、各レンズの物体側面及び像側面は、いずれも非球面である。
【0030】
なお、本実施形態に係る撮像光学レンズ10を構成する第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6及び第7レンズL7が上述した構成とパラメータ関係を有するため、撮像光学レンズ10は、各レンズの屈折力、面型、材料及び各レンズの軸上厚みなどを合理的に配分でき、それによって様々な種類の収差を補正することができる。本発明における撮像光学レンズ10の結像光学系は、Fno≦1.70を満たす。撮像光学レンズ10の光学長TTL及び撮像光学レンズ10の像高IHは、条件式TTL/IH≦1.56を満たす。撮像光学レンズ10の画角FOVは、条件式FOV≧76.6度を満たす。良好な光学結像性能を有すると共に、大口径、極薄化及び広角化の設計要求を満たすことが実現される。
【0031】
好ましくは、前記レンズの物体側面及び/又は像側面には、高品質の結像需要を満たすように、変曲点及び/又は停留点が設置されてもよい。具体的な実施案について、下記の説明を参照されたい。
【0032】
図1は、第1実施形態における撮像光学レンズ10の構造模式図である。以下は、本発明の第1実施形態における撮像光学レンズ10の設計データを示す。
【0033】
表1は、本発明の第1実施形態において撮像光学レンズ10を構成する第1レンズL1〜第7レンズL7の物体側および像側の曲率半径R、レンズの軸上厚み、レンズ間の距離d、屈折率nd及アッベ数vdを示す。表2は、撮像光学レンズ10の円錐係数kおよび非球面係数を示す。なお、本実施形態において、距離、半径と中心厚の単位は、ミリメートル(mm)である。
【0034】
【表1】
【0035】
上記表における各符号の意味は、下記のようになる。
R:光学面の曲率半径
S1:絞り
R1:第1レンズL1の物体側面の曲率半径
R2:第1レンズL1の像側面の曲率半径
R3:第2レンズL2の物体側面の曲率半径
R4:第2レンズL2の像側面の曲率半径
R5:第3レンズL3の物体側面の曲率半径
R6:第3レンズL3の像側面の曲率半径
R7:第4レンズL4の物体側面の曲率半径
R8:第4レンズL4の像側面の曲率半径
R9:第5レンズL5の物体側面の曲率半径
R10:第5レンズL5の像側面の曲率半径
R11:第6レンズL6の物体側面の曲率半径
R12:第6レンズL6の像側面の曲率半径
R13:第7レンズL7の物体側面の曲率半径
R14:第7レンズL7の像側面の曲率半径
R15:ガラス平板GFの物体側面の曲率半径
R16:ガラス平板GFの像側面の曲率半径
d:レンズの軸上厚み、または、隣接するレンズ間の軸上距離
d0:絞りS1から第1レンズL1の物体側面までの軸上距離
d1:第1レンズL1の軸上厚み
d2:第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離
d3:第2レンズL2の軸上厚み
d4:第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの軸上距離
d5:第3レンズL3の軸上厚み
d6:第3レンズL3の像側面から第4レンズL4の物体側面までの軸上距離
d7:第4レンズL4の軸上厚み
d8:第4レンズL4の像側面から第5レンズL5の物体側面までの軸上距離
d9:第5レンズL5の軸上厚み
d10:第5レンズL5の像側面から第6レンズL6の物体側面までの軸上距離
d11:第6レンズL6の軸上厚み
d12:第6レンズL6の像側面から第7レンズL7の物体側面までの軸上距離
d13:第7レンズL7の軸上厚み
d14:第7レンズL7の像側面からガラス平板GFの物体側面までの軸上距離
d15:ガラス平板GFの軸上厚み
d16:ガラス平板GFの像側面から像面Siまでの軸上距離
nd :d線の屈折率
nd1 :第1レンズL1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズL2のd線の屈折率
nd3 :第3レンズL3のd線の屈折率
nd4 :第4レンズL4のd線の屈折率
nd5 :第5レンズL5のd線の屈折率
nd6:第6レンズL6のd線の屈折率
nd7:第7レンズL7のd線の屈折率
ndg : ガラス平板GFのd線の屈折率
vd :アッベ数
v1:第1レンズL1のアッベ数
v2:第2レンズL2のアッベ数
v3:第3レンズL3のアッベ数
v4:第4レンズL4のアッベ数
v5:第5レンズL5のアッベ数
v6:第6レンズL6のアッベ数
v7:第7レンズL7のアッベ数
vg:ガラス平板GFのアッベ数
【0036】
【表2】
【0037】
表2において、kは、円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16は、非球面係数である。
【0038】
説明すべきことは、本実施形態における各レンズの非球面として、下記条件式(8)で示された非球面を使用することが好ましいが、下記条件式(8)の具体的な形態が1つの例示に過ぎず、実に条件式(8)で示された非球面多項式の形態に限定されるものではない。
Y=(x/R)/[1+{1−(1+k)(x/R)}1/2]+A4x+A6x+A8x+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16 (8)
【0039】
表3、表4は、本発明の実施例の撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側面と像側面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側面と像側面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側面と像側面を示し、P4R1、P4R2は、それぞれ第4レンズL4の物体側面と像側面を示し、P5R1、P5R2は、それぞれ第5レンズL5の物体側面と像側面を示し、P6R1、P6R2は、それぞれ第6レンズL6の物体側面と像側面を示し、P7R1、P7R2は、それぞれ第7レンズL7の物体側面と像側面を示す。「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された停留点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
また、後の表29には、第1実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0043】
図2図3は、それぞれ波長486nm、588nm及び656nmの光が第1実施形態の撮像光学レンズ10を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図4は、波長588nmの光が第1実施形態の撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。図4の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0044】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ10の全画角が2ωであり、F値がFnoである。ただし、2ω=78.25°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ10は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0045】
以下は、第2実施形態である。
図5は、第2実施形態における撮像光学レンズ20の構造模式図である。第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0046】
表5、表6は、本発明の第2実施形態の撮像光学レンズ20の設計データを示す。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
表7、表8は、本発明の実施例の撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
後の表29には、第2実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0053】
図6図7は、それぞれ波長486nm、588nm及び656nmの光が第2実施形態の撮像光学レンズ20を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図8は、波長588nmの光が第2実施形態の撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。図8の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0054】
本実施形態の撮像光学レンズ20では、2ω=77.95°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ20は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0055】
以下は、第3実施形態である。
図9は、第3実施形態における撮像光学レンズ30の構造模式図である。第3実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0056】
表9、表10は、本発明の第3実施形態の撮像光学レンズ30の設計データを示す。
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
表11、表12は、本発明の実施例の撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0060】
【表11】
【0061】
【表12】
【0062】
後の表29には、第3実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0063】
図10図11は、それぞれ波長486nm、588nm及び656nmの光が第3実施形態の撮像光学レンズ30を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図12は、波長588nmの光が第3実施形態の撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図12の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0064】
本実施形態の撮像光学レンズ30では、2ω=76.60°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ30は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0065】
以下は、第4実施形態である。
図13は、第4実施形態における撮像光学レンズ40の構造模式図である。第4実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0066】
表13、表14は、本発明の第4実施形態の撮像光学レンズ40の設計データを示す。
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
表15、表16は、本発明の実施例の撮像光学レンズ40における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0070】
【表15】
【0071】
【表16】
【0072】
後の表29には、第4実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0073】
図14図15は、それぞれ波長486nm、588nmと656nmの光が第4実施形態の撮像光学レンズ40を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図16は、波長588nmの光が第4実施形態の撮像光学レンズ40を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図16の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0074】
本実施形態の撮像光学レンズ40では、2ω=77.60°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ40は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0075】
以下は、第5実施形態である。
図17は、第5実施形態における撮像光学レンズ50の構造模式図である。第5実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0076】
表17、表18は、本発明の第5実施形態の撮像光学レンズ50の設計データを示す。
【0077】
【表17】
【0078】
【表18】
【0079】
表19、表20は、本発明の実施例の撮像光学レンズ50における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0080】
【表19】
【0081】
【表20】
【0082】
後の表29には、第5実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0083】
図18図19は、それぞれ波長486nm、588nmと656nmの光が第5実施形態の撮像光学レンズ50を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図20は、波長588nmの光が第5実施形態の撮像光学レンズ50を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図20の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0084】
本実施形態の撮像光学レンズ50では、2ω=78.54°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ50は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0085】
以下は、第6実施形態である。
図21は、第6実施形態における撮像光学レンズ60の構造模式図である。第6実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0086】
表21、表22は、本発明の第6実施形態の撮像光学レンズ60の設計データを示す。
【0087】
【表21】
【0088】
【表22】
【0089】
表23、表24は、本発明の実施例の撮像光学レンズ60における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0090】
【表23】
【0091】
【表24】
【0092】
後の表29には、第6実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0093】
図22図23は、それぞれ波長486nm、588nmと656nmの光が第6実施形態の撮像光学レンズ60を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図24は、波長588nmの光が第6実施形態の撮像光学レンズ60を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図24の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0094】
本実施形態の撮像光学レンズ60では、2ω=77.10°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ60は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0095】
以下は、第7実施形態である。
図25は、第7実施形態における撮像光学レンズ70の構造模式図である。第7実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味が第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0096】
表25、表26は、本発明の第7実施形態の撮像光学レンズ70の設計データを示す。
【0097】
【表25】
【0098】
【表26】
【0099】
表27、表28は、本発明の実施例の撮像光学レンズ70における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0100】
【表27】
【0101】
【表28】
【0102】
後の表29には、第7実施形態における各種のパラメータと条件式で規定されたパラメータに対応する値が更に挙げられている。
【0103】
図26図27は、それぞれ波長486nm、588nmと656nmの光が第7実施形態の撮像光学レンズ70を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図28は、波長588nmの光が第7実施形態の撮像光学レンズ70を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図28の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0104】
本実施形態の撮像光学レンズ70では、2ω=76.99°、Fno=1.7を満たす。これにより、撮像光学レンズ70は、大口径、極薄且つ広角であるとともに、優れた結像性能を有する。
【0105】
以下の表29は、上記条件式に応じて、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態における各条件式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)に対応する数値、およびその他の関連パラメータの値を示す。
【0106】
【表29】
【0107】
当業者であれば分かるように、上記各実施形態が本発明を実現するための具体的な実施形態であり、実際の応用において、本発明の要旨と範囲から逸脱しない限り、形式及び詳細に対する各種の変更は可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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