(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、プリントシステム5の全体的な構成の例を示す図である。
図2は、端末装置2のハードウェア構成の例を示す図である。
図3は、端末装置2の機能的構成の例を示す図である。
【0023】
図1に示すように、プリントシステム5は、複数台のプリンタ1、複数台の端末装置2、サーバ3、および通信回線4などによって構成される。なお、複数台のプリンタ1は、通信回線4に接続される全てのプリンタ1であってもよいし、通信回線4に接続される全てのプリンタ1のうちの、予め管理されたプリンタ1であってもよい。
【0024】
プリンタ1、端末装置2、およびサーバ3は、通信回線4を介して通信を行うことができる。通信回線4として、いわゆるLAN(Local Area Network)回線、インターネット、公衆回線、または専用線などが用いられる。または、プリンタ1と端末装置2とを、USB(Universal Serial Bus)またはBluetooth(登録商標)などを介して1対1で繋いでもよい。これらのプリンタ1のうちの1台は、サーバ3とUSBを介して繋がれている。
【0025】
以下、各プリンタ1を、それぞれ「プリンタ1A」、「プリンタ1B」、…と区別して記載することがある。サーバ3と繋がれているプリンタ1を「プリンタ1S」と記載することがある。また、各端末装置2をそれぞれ「端末装置2A」、「端末装置2B」…と区別して記載することがある。
【0026】
プリンタ1は、PDL(Page Description Language)で記述されたプリントデータを端末装置2から受信し、このプリントデータに基づいて用紙に画像をプリント(印刷)する。プリンタ1として、いわゆるプリント専用機を用いてもよいし、コピー、スキャン、ファックスなどの機能をさらに備えたMFP(Multi Function Peripherals)を用いてもよい。
【0027】
端末装置2は、プリンタ1のプリントの機能を使用するためのクライアントである。端末装置2として、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはスマートフォンなどが用いられる。以下、端末装置2としてノート型のパーソナルコンピュータが用いられる場合を例に説明する。
【0028】
端末装置2は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20a、RAM(Random Access Memory)20b、ROM(Read Only Memory)20c、大容量記憶装置20d、液晶ディスプレイ20e、キーボード20f、ポインティングデバイス20g、NIC(Network Interface Card)20h、USB通信装置20i、および近距離無線通信装置20jなどによって構成される。
【0029】
液晶ディスプレイ20eには、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU20aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。
【0030】
キーボード20fおよびポインティングデバイス20gは、ユーザが情報およびコマンドを入力するための入力装置である。
【0031】
NIC20hは、TCP/IPなどのプロトコルでプリンタ1またはサーバ3との通信を行う。NIC20hの代わりに無線LAN用の無線通信装置を用い、基地局などを介してプリンタ1またはサーバ3との通信を行ってもよい。
【0032】
USB通信装置20iは、USBメモリまたは外付ハードディスクドライブなどの周辺機器とUSBケーブルを介して接続され、データのやり取りを行う。USB通信装置がプリンタ1に備わっている場合は、NIC20hの代わりにUSB通信装置20iを介してこのプリンタ1との通信を行うことができる。
【0033】
近距離無線通信装置20jは、Bluetoothなどの近距離無線通信の規格に基づいて周辺機器との通信を行う。同じ規格の近距離無線通信装置がプリンタ1に備わっている場合は、NIC20hの代わりに近距離無線通信装置20jを介してこのプリンタ1との通信を行うことができる。
【0034】
ROM20cまたは大容量記憶装置20dには、オペレーティングシステムおよび種々のアプリケーションのほかプリント制御プログラム2PDなどのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。大容量記憶装置20dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0035】
プリント制御プログラム2PDは、プリンタ1にプリントを実行させるためのプログラムである。特に、プリンタ1のアイコンの名前(後述する仮想プリンタ名)を変えることによってプリントの条件を設定することができる点に、特徴がある。
【0036】
サーバ3は、プリンタ1Sを、各端末装置2がプリンタ1Sを共有することができるように管理する。サーバ3として、例えば、マイクロソフト社のWindows(登録商標)の「Point and Print」機能を有するコンピュータが用いられる。
【0037】
次に、端末装置2がプリント制御プログラム2PDによってプリンタ1にプリントを行わせる仕組みを、端末装置2Aがプリンタ1Aにプリントを行わせる場合を例に説明する。なお、プリンタ1Aには「PrinterA」というプリンタ名が与えられている。
【0038】
プリント制御プログラム2PDによると、
図3に示すデフォルト設定情報記憶部201、モード設定情報記憶部202、指定受付部203、プリント条件決定部204、プリント条件提示部205、プリント条件変更受付部206、およびプリント指令部207などの機能が実現される。
【0039】
〔セットアップ〕
図4は、デフォルト設定情報61の例を示す図である。
図5は、モード設定情報62の例を示す図である。
図6は、アイコン71の例を示す図である。
【0040】
デフォルト設定情報記憶部201には、デフォルト設定情報61が記憶されている。デフォルト設定情報61は、
図4のように、端末装置2Aがプリンタ1Aにプリントを行わせる際の各項目の条件のデフォルト値が示されている。デフォルト設定情報61は、管理者によって予め設定される。
【0041】
「原稿の向き」の項目は、ドキュメント(原稿)をプリントする用紙(以下、単に「用紙」と記載する。)の向きである。印刷対象のドキュメント(原稿)に対し、用紙を縦長にしてプリントする場合は、この項目の値が「縦」という値に設定され、横長にしてプリントする場合は、「横」という値に設定される。「原稿のサイズ」の項目は、用紙のサイズである。
【0042】
「部数」の項目は、ドキュメントをプリントする部数(冊数)である。「給紙トレイ」の項目は、用紙の供給元である給紙トレイである。
【0043】
「印刷種類」は、用紙の、ドキュメントをプリントする面である。用紙の片面にのみプリントする場合(いわゆる片面プリントの場合)は、「片面」という値に設定され、両面にプリントする場合(いわゆる両面プリントの場合)は、「両面」という値に設定される。
【0044】
「カラー選択」は、ドキュメントをカラーでプリントするかグレースケールでプリントするかの選択である。「トナー節約」は、トナーを節約してプリントするか否かの選択である。
【0045】
モード設定情報記憶部202は、モードごとのモード設定情報62が記憶されている。「モード」は、環境に配慮したプリントを行うモードである「エコロジーモード」および両面プリントを好まない人のためにプリントを行うモードである「シングルモード」など、目的などに応じたプリントの態様である。
【0046】
なお、端末装置2Aにセットアップされている他のプリンタ1のデフォルト設定情報61も、デフォルト設定情報記憶部201に記憶される。
【0047】
端末装置2Aには、4つのモードが設けられている。そして、
図5に示すように、4つのモードそれぞれのモード設定情報62としてモード設定情報621〜624がモード設定情報記憶部202に記憶されている。
【0048】
モード設定情報62には、次の情報が含まれている。「モードコード」は、このモード設定情報62に係るモードを識別するためのコードである。「キーワード」は、このモード設定情報62を使用する際に用いられる文字列である。使用の仕方は、後述する。「項目」および「設定値」は、それぞれ、このモードについて独自にデフォルト値を定めたい項目およびその値である。デフォルト設定情報61(
図4参照)に示すすべての項目について定める必要はなく、少なくとも1つの項目について定めておけばよい。「変更可否」は、この項目の設定値をユーザが変更することができるか否かである。複数の項目に設定値が定められている場合は、項目ごとに変更可否が定められる。
【0049】
モード設定情報62は、例えば、プリント制御プログラム2PDを提供する製造者(メーカー)によって予め設定されている。つまり、モード設定情報62は、固定的な情報として予め決められている。
【0050】
一般に、プリンタを制御するためのプログラムが端末装置にインストールされると、所定の場所に
図7に示すようなプリンタのアイコンが配置される。例えば、端末装置のオペレーティングシステムとしてWindowsを使用する場合は、コントロールパネルの「プリンタ」というフォルダにアイコンが配置される。端末装置2にも同様に、アイコンが配置される。以下、本実施形態において、この所定の場所を「プリンタフォルダ78」と記載する。
【0051】
また、一般に、1台のプリンタについて複数のアイコンを登録し、プリントの条件を個々に設定することができる。つまり、1台のプリンタが複数あるように仮想することができる。そこで、一般に、所定のフォルダ(本実施形態では、プリンタフォルダ78)にアイコン71が登録された個々の仮想的なプリンタを「仮想プリンタ」と呼ぶことがある。
【0052】
例えば、オペレーティングシステムとしてWindowsが用いられる場合は、下記のコマンドを用いることによって、仮想プリンタを追加することができる。
【0053】
rundll32 printui.dll,PrintUIEntry /if /b X/r Y/m Z
ここで、Xは、仮想プリンタ名であり、Yは、プリンタポートの識別子であり、Zは、プリンタドライバの識別子である。
【0054】
端末装置2Aの管理者は、予め、プリンタ1Aのアイコン71を、端末装置2Aで使用するモードごとに1つずつ配置しておく。そして、アイコン71ごとに、プリンタ1Aのプリンタ名とそのアイコン71に対応するモードのキーワードとを組み合わせた文字列を仮想プリンタ名として与えておく。
【0055】
例えば、第一のモノクロモードおよびエコロジーモードのそれぞれについてセットアップしたい場合は、管理者は、
図6に示すように、アイコン71としてアイコン712、713を配置しそれぞれに仮想プリンタ名を与える。
【0056】
また、いずれのモードをも適用せずにプリントを行うために、管理者は、アイコン71を、プリンタ1Aのプリンタ名だけを仮想プリンタ名として与えて配置することもできる。アイコン711が、このアイコン71の一例である。
【0057】
さらに、複数のモードを同時に適用させる場合は、管理者は、アイコン71を、プリンタ1Aのプリンタ名とこれらのモードのキーワードとを繋げた文字列を仮想プリンタ名として与えて配置することもできる。このとき、優先的に適用したいほうのモードのキーワードを先に記述する。シングルモードおよび第一のモノクロモードの両方をこの順番で適用したい場合は、「PrinterA Single Mono」という仮想プリンタ名を付したアイコン714を、アイコン71として配置する。または、シングルモードおよびエコロジーモードの両方をこの順番で適用したい場合は、「PrinterA Single ECO」という仮想プリンタ名を付したアイコン715を、アイコン71として配置する。
【0058】
これらのアイコン71に関するデータは、端末装置2Aのオペレーティングシステムによって管理すればよい。または、プリント制御プログラム2PDにアイコン71の管理部を実現するためのソースコードを組み込み、これを実行してもよい。
【0059】
このようにして、プリンタ1Aについて複数の仮想プリンタがセットアップされる。ユーザは、次に説明するように、任意の仮想プリンタを使用することができる。
【0060】
〔プリント〕
図7は、プリント指令画面72の例を示す図である。
図8は、プリント条件決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図9および
図10は、プリント条件情報63の例を示す図である。
図11は、条件変更画面73の例を示す図である。
図12は、オブジェクト73fの例を示す図である。
【0061】
ユーザは、端末装置2Aにドキュメントのデータを用意する。例えば、ワープロソフトまたは描画ソフトなどのアプリケーションでドキュメントを作成する。または、インターネット上のサーバなどからドキュメントのデータをダウンロードする。そして、所定のコマンドを端末装置2Aに入力する。
【0062】
指定受付部203は、所定のコマンドが入力されると、ユーザが指定する仮想プリンタ名を、例えば次のように受け付ける。
【0063】
指定受付部203は、
図7(A)のようなプリント指令画面72を液晶ディスプレイ20eに表示させる。プルダウンメニュー72mがクリックされると、指定受付部203は、端末装置2Aにセットアップされている仮想プリンタの仮想プリンタ名を示す一覧72sを
図7(B)のように表示させる。
【0064】
そして、一覧72sの中からいずれかの仮想プリンタ名がクリックされると、指定受付部203は、その仮想プリンタ名を受け付ける。
【0065】
プリント条件決定部204は、プリントの条件を、指定受付部203によって受け付けられた仮想プリンタ名のほかデフォルト設定情報61およびモード設定情報62に基づいて、
図8に示す手順で決定する。
【0066】
プリント条件決定部204は、指定受付部203によって受け付けられた仮想プリンタ名に示されるプリンタ1のデフォルト設定情報61(
図4参照)をデフォルト設定情報記憶部201から読み出す(
図8の#801)。さらに、この仮想プリンタ名にキーワードが含まれているか否かを判定する(#802)。
【0067】
キーワードが含まれている場合は(#803でYes)、プリント条件決定部204は、このキーワードを示すモード設定情報62(
図5参照)をモード設定情報記憶部202から読み出す(#804)。モード設定情報62には、少なくとも1つの項目およびその設定値が含まれている。以下、モード設定情報62に含まれる項目を「特定項目」と記載する。
【0068】
そして、プリント条件決定部204は、ステップ#801で読み出したデフォルト設定情報61の中の各項目のうちの特定項目の設定値を、このモード設定情報62に示される設定値に書き換えることによって、プリント条件情報63を生成する(#805)。さらに、このモード設定情報62に含まれる変更可否が「不可」である場合は、「&グレーアウト」という値を付加する。
【0069】
例えば、このデフォルト設定情報61の内容が
図4の通りであり、受け付けられた仮想プリンタ名が「PrinterA Mono」であり、かつ、「Mono」を示すモード設定情報62が
図5のモード設定情報621である場合は、プリント条件情報63として、
図9(A)のようなプリント条件情報631が生成される。
【0070】
図4と
図9(A)とを比較すると、カラー選択の設定値だけが変わったことおよびこの設定値に「&グレーアウト」が付加されたことが、分かる。
【0071】
複数の特定項目の設定値および変更可否がモード設定情報62に示される場合は、プリント条件決定部204は、これらの各特定項目について、上述の書換えおよび付加を行う。
【0072】
例えば、このデフォルト設定情報61の内容が
図4の通りであり、受け付けられた仮想プリンタ名が「PrinterA ECO」であり、かつ、「ECO」を示すモード設定情報62が
図5のモード設定情報624である場合は、プリント条件情報63として、
図9(B)のようなプリント条件情報632が生成される。
【0073】
図4と
図9(A)とを比較すると、カラー選択の設定値およびトナー節約の設定値が変わったことおよびトナー節約の設定値に「&グレーアウト」が付加されたことが、分かる。印刷種類の設定値は、デフォルト設定情報61およびモード設定情報624において同じ値なので、変わらない。相違する場合は、当然、変わる。
【0074】
この仮想プリンタ名に複数のモードが示される場合(仮想プリンタ名にモードに対応する複数のキーワードが含まれる場合)は、これら複数のモードそれぞれモード設定情報62を1つずつ順に用いて、上述と同様に、このデフォルト設定情報61を書き換える。ただし、同一の特定項目について異なる設定値が複数のモード設定情報62に示される場合がある。このような場合は、この仮想プリンタ名において先頭に最も近い(つまり、最も左側に記される)モードのモード設定情報62の設定値を採用する。
【0075】
例えば、このデフォルト設定情報61の内容が
図4の通りであり、受け付けられた仮想プリンタ名が「PrinterA Single Mono」であり、「Single」を示すモード設定情報62および「Mono」を示すモード設定情報62がそれぞれ
図5のモード設定情報621および623である場合は、プリント条件情報63として、
図10(A)のようなプリント条件情報633がプリント条件情報63として生成される。
【0076】
または、このデフォルト設定情報61の内容が
図4の通りであり、受け付けられた仮想プリンタ名が「PrinterA Single ECO」であり、「Single」を示すモード設定情報62および「ECO」を示すモード設定情報62がそれぞれ
図5のモード設定情報623および624である場合は、プリント条件情報63として、
図10(B)のようなプリント条件情報634がプリント条件情報63として生成される。モード設定情報623および624は、印刷種類が共通する特定項目である。そこで、先頭に最も近いモードつまり「Single」のモード設定情報62の設定値が採用される。本例では、この設定値の変更可否が「不可」であるが、もしも「可」であれば、「&グレーアウト」が付加される。先頭以外のモードつまり「ECO」の印刷種類の設定値および変更可否は、無視される。
【0077】
一方、この仮想プリンタ名にキーワードが含まれていない場合は(#803でNo)、このデフォルト設定情報61がそのまま、プリント条件情報63として用いられる(#806)。
【0078】
ユーザがプリント指令画面72において仮想プリンタ名を指定した後、プロパティボタン72cをクリックすることなく開始ボタン72kをクリックした場合は、プリント条件決定部204によって決定されたプリント条件情報63に基づいてプリントが開始される。
【0079】
しかし、ユーザは、このプリント条件情報63の内容を変更することができる。この場合、ユーザは、プロパティボタン72cをクリックする。
【0080】
すると、プリント条件提示部205は、プリント指令画面72の上に条件変更画面73を表示させる。条件変更画面73には、
図11のように、項目ごとに、設定値を変更するためのオブジェクト73a〜73fが配置されている。オブジェクト73a〜73fは、ラジオボタン、プルダウンメニュー、テキストボックス、またはチェックボックスなどである。
【0081】
プリント条件提示部205は、オブジェクト73a〜73fを、このプリント条件情報63に示される通りに予め値を定めて条件変更画面73に配置する。
図11の例は、
図4のデフォルト設定情報61がそのままプリント条件情報63として適用された場合における、条件変更画面73の表示した直後の状態を示している。
【0082】
プリント条件決定部204の処理によると、プリント条件情報63のいずれかの項目の設定値に「&グレーアウト」が付加されることがある。この場合は、プリント条件提示部205は、この項目のオブジェクトを、ユーザが設定値を変更できないような形態に変更する。例えば、グレーアウトさせる。したがって、例えば
図9(A)に示すプリント条件情報631がプリント条件情報63として用いられた場合は、オブジェクト73fを、
図12(A)に示す通常の形態から
図12(B)に示すグレーアウトした形態へ変更して表示させる。ユーザは、オブジェクト73fを操作することができないので、この項目の設定値を変更することができない。
【0083】
ユーザは、条件変更画面73を操作することによって、自分の望むように各項目の設定値を変更することができる。そして、変更したら、設定ボタン73sをクリックする。
【0084】
プリント条件変更受付部206は、条件変更画面73において設定値が変更された場合に、変更後の設定値を受け付ける。そして、その設定値をプリント条件情報63に反映させる。つまり、ユーザが条件変更画面73において指定した通りにプリント条件情報63を更新する。
【0085】
そして、プリント条件変更受付部206は、条件変更画面73を閉じる。これにより、プリント指令画面72が再び最前面に表われる。
【0086】
プリント指令部207は、開始ボタン72kがクリックされると、ユーザが用意したドキュメントがプリント条件情報63の通りの条件でプリントするように、ユーザが指定した仮想プリンタ名に係るプリンタ1に対して指令する。この際に、このドキュメントのデータを最新のプリント条件情報63に基づいてプリントデータに変換し、このプリンタ1へ送信する。ただし、「&グレーアウト」は、条件変更画面73の表示のためのものなので、ここでは無視される。
【0087】
そして、プリンタ1は、プリントデータを受信すると、プリント条件情報63の通りの条件でドキュメントをプリントする。
【0088】
図13は、端末装置2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。次に、ドキュメントをプリンタ1にプリントさせる際の端末装置2における全体的な処理およびユーザの操作の流れを、
図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0089】
ユーザは、ドキュメントのデータを端末装置2に用意し、このドキュメントをアプリケーションなどで開いておく。そして、所定のコマンドを入力する。
【0090】
すると、端末装置2は、プリント制御プログラム2PDに基づいて、
図13に示す手順で処理を実行する。
【0091】
端末装置2は、プリント指令画面72(
図7(A)参照)を表示する(#11)。ユーザは、プルダウンメニュー72mをクリックして一覧72sを表示させ、仮想プリンタ名を1つ選択(指定)する。
【0092】
すると(#12でYes)、端末装置2は、選択された仮想プリンタ名を受け付け(#13)、プリントの条件を決定する(#14)。決定の方法は、前に
図8で説明した通りである。これにより、プリント条件情報63が生成される。
【0093】
なお、プリント指令画面72を最初に表示する際に、いずれかの仮想プリンタがデフォルトで選択されているようにしてもよい。そして、この際に、デフォルトの仮想プリンタ名について
図8の処理を行い、プリント条件情報63を生成しておけばよい。
【0094】
ユーザは、プリント条件情報63を変更したい場合は、プロパティボタン72cをクリックする。すると(#15でYes)、端末装置2は、条件変更画面73をプリント指令画面72(
図11参照)の上に表示する(#16)。
【0095】
ここで、ユーザは、オブジェクト73a〜73fを操作することによって各項目の設定値を任意に変更する。ただし、グレーアウトしたオブジェクトの項目の設定値は、変更することができない。変更後、設定ボタン73sをクリックする。
【0096】
端末装置2は、変更後の設定値を受け付け(#17)、プリント条件情報63に反映させる(#18)。条件変更画面73を閉じる(#19)。これにより、プリント指令画面72が再び最前面に表われる。
【0097】
ユーザは、上述の操作を適宜、やり直すことができる。端末装置2は、そのたびに、上述の処理を実行し直す。
【0098】
そして、ユーザは、プリントの条件を確定したら、開始ボタン72kをクリックする。すると(#20でYes)、端末装置2は、最新のプリント条件情報63の通りにドキュメントが用紙にプリントされるように、プリンタ1を制御する(#21)。この際に、最新のプリント条件情報63に基づいてプリントデータを生成し、プリンタ1へ送信する。
【0099】
本実施形態によると、ユーザは、プリンタ1の仮想プリンタ名を変更するだけで、所望の条件をプリンタ1に設定することができる。しかも、プリンタ1について複数の仮想プリンタをセットアップし、それぞれに異なるキーワードを含む仮想プリンタ名を与えることによって、プリントの際の条件の指定をより簡単に行うことができる。
【0100】
また、近年、製造者(メーカー)は、所定の認証機関によりプログラムの認証を受けた後、プログラムを提供することがある。この場合、ユーザがプログラムをインストールするときに、プログラムが改変されていないかが判断され、改変されていた場合には、インストールが強制終了されたり、警告表示などが行われる。したがって、プログラムが導入されるシステムの管理者は、システムのユーザにプログラムを配布する前(言い換えれば、各ユーザがそれぞれの端末にプログラムをインストールする前)に、予め、システムの環境に合わせてプログラムの設定を書き換えることができない。
【0101】
例えば、Windowsにおいて、ユーザがプログラムをインストールするときに、プログラムが、認証機関により認証された内容から改変されていないかを判断している。
【0102】
このような環境によると、プリンタのドライバのインストールが完了するまでは、デフォルトの条件を任意に設定することができない。ユーザが所望するデフォルトの条件は、システムの環境に応じて数えきれない程の種類(設定値の組み合わせ)があり、製造者(メーカー)が、ユーザが所望する可能性のあるあらゆる組み合わせのデフォルト条件についてのプログラムを作成し、その全てについて、所定の認証機関により認証を受けることは極めて難しい。
【0103】
しかし、本実施形態によると、上述の通り仮想プリンタ名を変更するという簡単な操作を行うだけで、ドライバプログラムの内容を書き換えることなく、所望の条件を設定することができる。プリンタのメーカは、複数のパターンの条件ごとにプリンタドライバを予め用意しなくても済む。
【0104】
図14は、適用切換画面74の例を示す図である。
図15は、アイコン71を操作して仮想プリンタ名を変更する際の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0105】
本実施形態では、仮想プリンタ名にモードのキーワードを含ませることによってプリントの条件を変更したが、変更するか否かを設定できるようにしてもよい。
【0106】
例えば、所定のコマンドが入力されると、端末装置2は、適用切換画面74を表示する。適用切換画面74には、
図14に示すように、チェックボックス74cおよびキーワード一覧74sが配置されている。
【0107】
端末装置2の管理者は、仮想プリンタ名にモードのキーワードを含ませることによってプリントの条件を変更する機能を端末装置2に適用したい場合は、チェックボックス74cをオンにする。適用したくない場合は、オフにする。
【0108】
端末装置2は、チェックボックス74cがオンにされた場合に、上述の
図8の処理を実行することによってプリント条件情報63を生成する。一方、オフにされた場合は、従来通り、ユーザが選択した仮想プリンタに対して設定された内容に応じて種々の処理を行う。
【0109】
前述の通り、プリンタ1Sはサーバ3によって管理されているが、プリンタ1Sの仮想プリンタを端末装置2にセットアップして使用する場合にも、この機能を適用することができる。この場合は、例えば、端末装置2は例えば次のように構成される。
図3に示したプリント条件決定部204ないしプリント条件変更受付部206は、端末装置2に設けられる。プリント指令部207は、ドキュメントのデータをプリントデータに変換してプリンタ1へ送信する代わりに、ドキュメントのデータをサーバ3へ送信する。この際に、プリント条件情報63もサーバ3へ送信する。
【0110】
そして、サーバ3は、ドキュメントのデータおよびプリント条件情報63に基づいて、プリンタ1Sのプリンタドライバを用いてプリントデータを生成し、プリンタ1Sにドキュメントをプリントさせる。
【0111】
本実施形態では、
図8に示したプリント条件決定処理を、ドキュメントをプリントするに当たってユーザが仮想プリンタ名を選択したタイミングで行ったが、他のタイミングで行ってもよい。
【0112】
例えば、新たに仮想プリンタ名がセットアップされ仮想プリンタ名が決められた後、この仮想プリンタが使用される前に行ってもよい。以下、この際のユーザの操作および端末装置2の処理の手順の一例を、プリンタ1Aの仮想プリンタを端末装置2Aに追加する場合を例に説明する。
【0113】
ユーザは、プリンタ1Aのセットアップ用のプログラムとして、セットアッププログラム2PSを端末装置2に起動させる。端末装置2は、セットアッププログラム2PSに基づいて
図15に示す手順で処理を実行する。
【0114】
端末装置2Aは、プリンタ1Aの仮想プリンタをセットアップする(
図15の#31)。この際に、端末装置2Aがこの仮想プリンタにプリントを行わせる際の各項目の条件のデフォルト値を示す情報として、プリント条件情報64を生成し、この仮想プリンタに対応付けて所定の保存場所に保存する。この時点においては、プリント条件情報64には、プリンタ1Aのデフォルト設定情報61(
図4参照)と同じ内容が設定される。
【0115】
さらに、端末装置2Aは、この仮想プリンタのアイコン71を新たに生成しプリンタフォルダ78に追加し(#32)、この仮想プリンタに仮想プリンタ名およびフラグを付加する(#33)。
【0116】
仮想プリンタ名は、プリンタ1Aのプリンタ名の後ろに、いずれのモードのキーワードでもない任意の文字列を付けることによって、生成すればよい。例えば、「PrinterA 001」のような文字列を生成し、仮想プリンタ名として付加する。ただし、既存の他の仮想プリンタの仮想プリンタ名と重複しないようにする。
【0117】
フラグは、仮想プリンタ名を変更したことがあるか否かを示す。「オフ」は、変更したことがないことを意味し、「オン」は、変更したことがあることを意味する。初期値は、「オフ」である。
【0118】
なお、ユーザがプリントの際にこの仮想プリンタを指定した場合は、この仮想プリンタ名のプリント条件情報64に示される設定値がデフォルト値として用いられる。つまり、この仮想プリンタがプリント指令画面72において指定(選択)された場合は、このプリント条件情報64に示される設定値がプリントのデフォルトの条件として設定される。その後、条件変更画面73によって上述の通りユーザが設定値を変更することができる。
【0119】
また、
図13に示した処理においては、仮想プリンタが指定された際にプリント条件情報63を生成したが(#14)。本変形例では、この際にプリント条件情報63を生成しない。
【0120】
その後、ユーザは、このアイコン71を選択し、プリンタ1Aのプリンタ名といずれかのモードのキーワードとを組み合わせた文字列を入力する。
【0121】
端末装置2Aは、この文字列を受け付けると(#34)、この仮想プリンタ名の仮想プリンタ名をこの文字列に変更する(#35)。
【0122】
このアイコン71を有する仮想プリンタのフラグが「オフ」であれば(#36でYes)、端末装置2Aは、さらに、プリント条件情報64を更新する処理を次のように実行する。
【0123】
端末装置2は、この仮想プリンタのプリント条件情報63を
図8に示した手順で生成し(#37)、この仮想プリンタのプリント条件情報64を削除し、このプリント条件情報63をこの仮想プリンタの新たなプリント条件情報64として所定の保存場所に保存する(#38)。そして、この仮想プリンタのフラグを「オン」に更新する(#39)。このようにして、プリント条件情報64が更新される。
【0124】
一方、仮想プリンタのフラグが「オン」であれば(#36でNo)、ステップ#37〜#39の処理をスキップする。つまり、モード名が含まれるように仮想プリンタ名を変更しプリント条件情報64を更新する作業は、一度しか行うことができない。
【0125】
なお、ステップ#37〜#39の処理は、未だ仮想プリンタ名を変更したことがなければ、この仮想プリンタがプリントに用いられた後であっても実行することができる。
【0126】
このように、モード名が含まれるように仮想プリンタ名を変更しプリント条件情報64を更新する作業は、一度しか行うことができないようにすることで、一旦プリント条件情報を更新した後は、仮想プリンタ名を変更したとしてもプリント条件情報は保持されるので、ユーザは、所望のプリント条件情報を所望の仮想プリンタ名に対応づけて登録することができる。
【0127】
本実施形態では、プリント条件情報63または64を生成する際に、複数のモードのキーワードが仮想プリンタ名に含まれている場合は、最も前(最も左側)のキーワードに対応するモード設定情報62を優先的に適用したが、他の位置のキーワードに対応するモード設定情報62を優先的に適用してもよい。例えば、最後尾(最も右側)のキーワードに対応するモード設定情報62を優先的に適用してもよい。
【0128】
本実施形態では、主にプリンタ1Aによるプリントの条件の設定のためにモード設定情報62を用いたが、モード設定情報62を、他のプリンタ1によるプリントの条件の設定のためにも用いることができる。
【0129】
なお、本実施形態では、モード設定情報62は、プリント制御プログラム2PDを提供する製造者(メーカー)によって予め設定されており、固定的な情報として予め決められているものとしたが、例えば、プリントシステム5の管理者が設定できるようにしてもよい。
【0130】
また、管理者が、
図14に示すキーワード一覧74sにおいて各モードのキーワードを変更することができるようにしてもよい。あるモードのキーワードとして新たな文字列が入力されると、端末装置2は、このモードのモード設定情報62に示されるキーワードを新たな文字列に置き換える。
【0131】
なお、プリント制御プログラム2PDにより、プリントの条件を設定し、プリントを実行させることができるプリンタ1は、1台のプリンタ1に限らず、あるプリントデータに基づく1つのプリントジョブを分割して実行可能な複数台(2台以上)のプリンタ1からなる1群のプリンタ1であってもよい。その場合に、端末装置2が、プリントジョブを分割した上で分割後のプリントジョブを1群のプリンタ1のそれぞれに送信してもよいし、1群のプリンタ1のうちのあるプリンタ1が、端末装置2からプリントジョブを受信し、分割した上で、分割後のプリントジョブを1群のプリンタ1のうちの他のプリンタ1に送信するようにしてもよい。その場合、プリントジョブは、一群のプリンタ1に含まれる複数台のプリンタに渡って実行される。
【0132】
その他、プリントシステム5、プリンタ1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。