特許第6803648号(P6803648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803648冷蔵庫制御システム、冷蔵庫、情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803648
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】冷蔵庫制御システム、冷蔵庫、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20201214BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F25D23/00 301N
   F25D11/00 101B
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-32900(P2015-32900)
(22)【出願日】2015年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-156519(P2016-156519A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年1月24日
【審判番号】不服2019-10378(P2019-10378/J1)
【審判請求日】2019年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】古田 和浩
(72)【発明者】
【氏名】井澤 浩一
【合議体】
【審判長】 山崎 勝司
【審判官】 松下 聡
【審判官】 川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−78036(JP,A)
【文献】 特開2008−70000(JP,A)
【文献】 特開2015−15619(JP,A)
【文献】 特開2014−66504(JP,A)
【文献】 特開2001−248955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D11/00-16/00
F25D27/00-31/00
F25D17/04-17/08
F25D23/00
H04Q9/00
G06F13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を有する冷蔵庫と、
前記冷蔵庫が通信可能に接続する情報処理装置と、
を備え、
前記冷蔵庫は、当該冷蔵庫が予め有する動作モードを選択するための冷蔵庫側操作部を備え、
前記情報処理装置は、
前記冷蔵庫側操作部では追加の設定ができない動作モードを追加動作モードとして前記冷蔵庫に実行させる装置側操作手段と、
前記追加動作モードが選択された場合に前記冷蔵庫の動作を制御する処理部として設けられる冷蔵庫制御手段と、
を備える冷蔵庫制御システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記冷蔵庫の動作内容をカスタマイズするカスタマイズ手段をさらに備える請求項1に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項3】
前記冷蔵庫は、庫内を照明する庫内照明部を備え、
前記装置側操作手段は、前記追加動作モードとして、前記庫内照明部による照明動作を調整する照明調整モードを前記冷蔵庫に実行させることが可能である請求項1または2に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、所定の開始指示が入力されたことを条件に、前記追加動作モードによる前記冷蔵庫の動作を開始する動作開始手段をさらに備える請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記追加動作モードによる前記冷蔵庫の動作を開始する開始時間を設定する開始時間設定手段をさらに備える請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項6】
前記冷蔵庫は、前記情報処理装置との通信が遮断された場合に、前記追加動作モードによる動作を終了する動作終了手段をさらに備える請求項1から5の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項7】
前記冷蔵庫は、前記追加動作モードによる動作を実行していることを報知する動作実行報知手段をさらに備える請求項1から6の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項8】
前記冷蔵庫は、前記追加動作モードによる動作が終了したことを報知する動作終了報知手段をさらに備える請求項1から7の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項9】
前記冷蔵庫は、前記追加動作モードにより動作しているときにおいて前記冷蔵庫側操作部により当該冷蔵庫が予め有する動作モードが選択された場合に、前記冷蔵庫側操作部により選択された動作モードに切り替える動作モード切替手段をさらに備える請求項1から8の何れか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項10】
通信機能を有する冷蔵庫であって、
当該冷蔵庫が通信可能に接続する情報処理装置とともに冷蔵庫制御システムを構築し、
当該冷蔵庫が予め有する動作モードを選択するための冷蔵庫側操作部を備え、
前記情報処理装置が備える装置側操作手段により、前記冷蔵庫側操作部では追加の設定ができない動作モードを追加動作モードとして実行可能に構成されているとともに、前記追加動作モードが選択された場合には、前記情報処理装置が処理部として備える冷蔵庫制御手段により動作を制御可能に構成されている冷蔵庫。
【請求項11】
通信機能を有する冷蔵庫が通信可能に接続する情報処理装置であって、
前記冷蔵庫とともに冷蔵庫制御システムを構築し、
前記冷蔵庫が備える冷蔵庫側操作部では追加の設定ができない動作モードを追加動作モードとして前記冷蔵庫に実行させる装置側操作手段と、
前記追加動作モードが選択された場合に前記冷蔵庫の動作を制御する処理部として設けられる冷蔵庫制御手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫と情報処理装置とを備えて構築される冷蔵庫制御システム、並びに、この冷蔵庫制御システムを構築する冷蔵庫および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、冷蔵庫に通信機能を備え、ネットワークに接続可能に構成することが開示されている。そして、ネットワークに接続されたパソコンなどから、リモコンと同様に、自動製氷機や冷却制御に関する設定情報を通信することが開示されている。このように、冷蔵庫と情報処理装置とを通信可能に接続したネットワークシステムによれば、冷蔵庫の動作を外部の情報処理装置から遠隔により制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−61021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、冷蔵庫の多機能化が進められており、冷蔵庫に予め備えられる動作モードとして、例えば、冷凍室を急速に冷却する急速冷凍モード、製氷室を急速に冷却する急速製氷モード、冷蔵庫の消費電力を通常よりも低くして運転する節電モードなどといった多数の動作モードを備えるモデルが考えられている。しかしながら、予め備える動作モードが増えるほど冷蔵庫の構造や制御プログラムが複雑化し、また、製造コストが高くなる。また、ユーザによっては殆ど、あるいは、全く使わない動作モードも存在するため、予め多くの動作モードを備えておいても、ユーザのニーズに応えられない場合もある。また、ユーザのニーズは、刻々と変化するものであるから、予め多くの動作モードを備えておく冷蔵庫では、ニーズの変化に追従できないという課題もある。
【0005】
そこで、本実施形態は、冷蔵庫と情報処理装置とを通信可能に接続することで冷蔵庫の動作を情報処理装置からも制御可能にしたシステム構成を利用して、動作モードを適宜追加することができるようにした冷蔵庫制御システム、並びに、この冷蔵庫制御システムを構築する冷蔵庫および情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫制御システムは、通信機能を有する冷蔵庫と、この冷蔵庫が通信可能に接続する情報処理装置と、を備える。冷蔵庫は、当該冷蔵庫が予め有する動作モードを選択するための冷蔵庫側操作部を備える。情報処理装置は、冷蔵庫側操作部では追加の設定ができない動作モードを追加動作モードとして冷蔵庫に実行させる装置側操作手段と、前記追加動作モードが選択された場合に前記冷蔵庫の動作を制御する処理部として設けられる冷蔵庫制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫制御システムの構成例を概略的に示すブロック図
図2】操作パネルの構成例を概略的に示す図
図3】追加動作モードの動作終了メールの一例を示す図
図4】追加動作モード設定画面の一例を示す図
図5】カスタマイズ画面の一例を示す図
図6】冷蔵庫制御システムによるメイン制御の一例を示すフローチャート
図7】冷蔵庫制御システムによる接続確認制御の一例を示すフローチャート
図8】冷蔵庫による動作モードの切替制御の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫制御システムに係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫制御システム10は、冷蔵庫11およびサーバ12を備える。サーバ12は、情報処理装置の一例である。この場合、サーバ12は、ユーザの携帯端末装置13が通信可能に接続される。即ち、サーバ12は、その操作入力部および表示出力部として外部の携帯端末装置13を利用する構成となっている。
【0009】
冷蔵庫11は、制御部14、通信アダプタ15、操作パネル16、庫内灯17などを備える。制御部14は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、冷蔵庫11の動作全般を制御する。通信アダプタ15は、冷蔵庫11を外部のサーバ12に通信可能に接続するための通信機能を担う。なお、冷蔵庫11は、通信アダプタ15を介して携帯端末装置13とも通信可能に接続することができる。
【0010】
操作パネル16は、冷蔵庫側操作部の一例であり、冷蔵庫11に予め備えられている動作モードを設定するための操作部として機能する。なお、冷蔵庫11に予め備えられている動作モードとは、例えば工場出荷時やユーザ宅への設置時において当該冷蔵庫11がデフォルトの機能として備えている動作モードである。
【0011】
操作パネル16は、当該操作パネル16を裏側から照明する例えばLEDなどの照明手段を備えており、表側から見た当該操作パネル16の明るさを調整可能となっている。庫内灯17は、庫内照明部の一例であり、冷蔵庫11の庫内を照明する照明機能を担う。冷蔵庫11は、庫内灯17の出力を調整することにより、庫内の明るさを調整可能となっている。
【0012】
図2に例示するように、この場合、操作パネル16には、「一気冷凍」モードを選択するためのボタンBa、「ドライ」モードを選択するためのボタンBb、「一気製氷」モードを選択するためのボタンBc、「節電」モードを選択するためのボタンBd、「おでかけ」モードを選択するためのボタンBe、「ピークシフト」モードを選択するためのボタンBfが設けられている。これら「一気冷凍」モード、「ドライ」モード、「一気製氷」モード、「節電」モード、「おでかけ」モード、「ピークシフト」モードは、何れも、冷蔵庫11に予め備えられている動作モードの一例である。
【0013】
「一気冷凍」モードは、冷蔵庫11が備える図示しない冷凍室を急速に冷却する急速冷凍モードの一例である。「ドライ」モードは、冷蔵庫11が備える図示しない野菜室内に風を供給しながら冷却することにより野菜室内の野菜類の水分を飛ばしながら冷凍を行う動作モードである。なお、この「ドライ」モードにおける送風は、図示しない送風ファンの駆動により行われる。「一気製氷」モードは、冷蔵庫11が備える図示しない製氷室を急速に冷却する急速製氷モードの一例である。「節電」モードは、冷蔵庫11の消費電力を通常よりも低くして運転する動作モードである。「おでかけ」モードは、冷蔵庫11の扉の開閉が所定時間以上検知されない場合に、冷蔵庫11を通常よりも低い消費電力で運転する動作モードである。「ピークシフト」モードは、電力需要のピーク時に、消費電力が高くなる運転、例えば、図示しない冷却器に付着した霜を取り除くためにヒータを駆動する除霜運転を行わないようにする機能である。
【0014】
また、冷蔵庫11は、制御部14により制御プログラムを実行することにより、動作終了処理部21、動作実行報知処理部22、動作終了報知処理部23、動作モード切替処理部24をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、これらの処理部21〜24は、ハードウェアにより構成してもよい。
【0015】
動作終了処理部21は、冷蔵庫11とサーバ12との通信が遮断された場合に、詳しくは後述する「追加動作モード」による動作を強制的に終了するための処理部である。なお、冷蔵庫11は、詳しくは後述するようにして与えられる追加動作モードの終了指示を受信した場合にも、「追加動作モード」による動作を終了する。動作実行報知処理部22は、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作している場合に、その旨、つまり、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作中であることを報知する。図2に例示するように、操作パネル16には通信マークMが設けられている。動作実行報知処理部22は、この通信マークMを点灯あるいは点滅させることにより、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作中であることを視覚的に報知する。
【0016】
動作終了報知処理部23は、冷蔵庫11が追加動作モードによる動作を終了すると、その旨、つまり、追加動作モードによる動作が終了したことを報知する。この場合、動作終了報知処理部23は、サーバ12を介して携帯端末装置13に、例えば図3に示す動作終了メールを通知する。これにより、動作終了報知処理部23は、携帯端末装置13を携帯するユーザに、追加動作モードによる動作が終了したことを視覚的に報知する。動作モード切替処理部24は、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作しているときにおいて操作パネル16により当該冷蔵庫11が予め有する動作モードが設定された場合に、冷蔵庫11の動作モードを、操作パネル16により設定された動作モードに切り替える。
【0017】
サーバ12は、制御部31、通信部32などを備える。制御部31は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、サーバ12の動作全般を制御する。通信部32は、周知の通信モジュールなどで構成されており、サーバ12を冷蔵庫11に通信可能に接続するための通信機能を担う。また、通信部32は、サーバ12を携帯端末装置13に通信可能に接続するための通信機能を担う。
【0018】
また、サーバ12は、制御部31により制御プログラムを実行することにより、装置側操作処理部41、冷蔵庫制御処理部42、カスタマイズ処理部43、動作開始処理部44、開始時間設定処理部45をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、これらの処理部41〜45は、ハードウェアにより構成してもよい。
【0019】
装置側操作処理部41は、冷蔵庫11の操作パネル16では設定できない動作モードを追加動作モードとして冷蔵庫11に追加設定するための処理部である。即ち、装置側操作処理部41は、携帯端末装置13から追加動作モードの設定要求信号を受信すると、その携帯端末装置13の図示しない表示部に、例えば図4に示す追加動作モード設定画面G1を表示する。なお、携帯端末装置13は、ユーザにより、追加動作モードの設定を要求するための所定の操作が入力されると、追加動作モードの設定要求信号を出力するようになっている。
【0020】
この場合、追加動作モード設定画面G1には、「急速冷蔵」モード、「節電プラス」モード、「夏・お買い物」モード、「プチフローズン」モード、「ソフト解凍」モード、「快速解凍」モード、「野菜冷凍」モード、「カスタマイズ」モードが選択可能に表示されている。これら「急速冷蔵」モード、「節電プラス」モード、「夏・お買い物」モード、「プチフローズン」モード、「ソフト解凍」モード、「快速解凍」モード、「野菜冷凍」モード、「カスタマイズ」モードは、何れも、冷蔵庫11側の操作パネル16では設定できない追加動作モードの一例である。この場合、これらの追加動作モードは、ラジオボタンRBa〜RBhにより択一的に選択可能となっている。
【0021】
「急速冷蔵」モードは、冷蔵室の設定温度を「強」レベルである例えば2〜4℃、冷蔵室用の送風ファンを「高速」レベルである例えば2000rpmとして動作し、動作開始から所定時間である例えば3時間経過後に自動的に動作を終了する追加動作モードである。「節電プラス」モードは、上述した「節電」モードよりもさらに低い消費電力で冷蔵庫11を運転するものであり、冷蔵室の設定温度を「弱」レベルである例えば6〜8℃、冷凍室の設定温度を「弱」レベルである例えば−14〜−16℃、ヒータの駆動デューティー比を10%として動作し、ユーザによる終了指示により動作を終了する追加動作モードである。
【0022】
「夏・お買い物」モードは、冷蔵室の設定温度を「強」レベル、冷凍室の設定温度を強レベルである例えば−20〜−22℃、冷蔵室用の送風ファンを「高速」レベル、冷凍室用の送風ファンを「高速」レベルである例えば2300rpm、ヒータの駆動デューティー比を10%として動作し、ユーザによる終了指示により動作を終了する追加動作モードである。「プチフローズン」モードは、冷蔵室の設定温度を「強+」レベルである例えば−1〜1℃、冷蔵室用の送風ファンを「高速」レベルとして動作し、動作開始から例えば24時間経過後に自動的に動作を終了する追加動作モードである。「ソフト解凍」モードは、冷凍室の設定温度を「弱」レベル、冷凍室用の送風ファンを「低速」レベルである例えば1500rpmとして動作し、ユーザによる終了指示により動作を終了する追加動作モードである。
【0023】
「快速解凍」モードは、冷蔵室の設定温度を「強」レベル、冷蔵室用の送風ファンを「高速」レベルとして動作し、動作開始から例えば8時間経過後に自動的に動作を終了する追加動作モードである。「野菜冷凍」モードは、冷凍室の設定温度を「弱」レベル、冷凍室用の送風ファンを「軽速」レベルである例えば1200rpmとして動作し、動作開始から例えば3時間経過後に自動的に動作を終了する追加動作モードである。「カスタマイズ」モードは、ユーザによりカスタマイズされた設定内容で動作する追加動作モードである。
【0024】
冷蔵庫制御処理部42は、追加動作モードが設定された冷蔵庫11の動作全体を遠隔により制御するための処理部である。即ち、冷蔵庫制御処理部42は、例えば、追加動作モードの開始指示や終了指示を冷蔵庫11に対して行うことで、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を遠隔から制御する。
【0025】
カスタマイズ処理部43は、冷蔵庫11の動作内容をカスタマイズするための処理部である。即ち、カスタマイズ処理部43は、携帯端末装置13からカスタマイズ要求信号を受信すると、その携帯端末装置13の図示しない表示部に、例えば図5に示すカスタマイズ画面G2を表示する。なお、この場合、携帯端末装置13は、追加動作モード設定画面G1を介して「カスタマイズ」モードが選択されると、カスタマイズ要求信号を出力するようになっている。
【0026】
この場合、カスタマイズ画面G2には、冷蔵庫11の冷蔵室の設定温度を調整するための調整部Ca、冷蔵庫11の冷凍室の設定温度を調整するための調整部Cb、冷蔵庫11における結露防止用のヒータの出力を調整するための調整部Cc、冷蔵庫11の庫内の明るさを調整するための調整部Cd、操作パネル16の明るさを調整するための調整部Ce、冷蔵室用の送風ファンの出力を調整するための調整部Cf、冷凍室用の送風ファンの出力を調整するための調整部Cg、追加動作モードによる動作時間を調整するための調整部Ch、庫内にミストを供給する図示しないミスト発生装置のオン/オフを制御するための調整部Cj、庫内に風を導く風路の開度を変化させる図示しないダンパの駆動を調整する調整部Ckが設けられている。
【0027】
「カスタマイズ」モードによれば、調整部Cdにより庫内灯17による庫内の照明動作を調整することが可能である。即ち、この「カスタマイズ」モードは、照明調整モードを含む追加動作モードである。
【0028】
動作開始処理部44は、所定の開始指示が入力されたことを条件に、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を開始する。即ち、動作開始処理部44は、携帯端末装置13から追加動作モードの開始要求信号が入力されると、冷蔵庫制御処理部42に対し追加動作モードの開始を要求する。この要求に応じて、冷蔵庫制御処理部42は、冷蔵庫11に対し追加動作モードの開始指示を行う。この場合、動作開始処理部44は、追加動作モード設定画面G1においてスタートボタンBpが操作された場合、または、カスタマイズ画面G2においてスタートボタンBpが操作された場合に、開始要求信号を出力するようになっている。
【0029】
開始時間設定処理部45は、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を開始する開始時間を設定するための処理部であり、いわゆる予約機能を実現する。即ち、開始時間設定処理部45は、携帯端末装置13から開始時間が入力されると、その開始時間を冷蔵庫制御処理部42に通知する。冷蔵庫制御処理部42は、図示しないタイマにより現在時刻を監視しており、現在時刻が、通知された開始時間に達すると、冷蔵庫11に対し追加動作モードの開始指示を行う。なお、携帯端末装置13には、図示しない予約設定画面が表示されるようになっており、この予約設定画面を介して入力された開始時間をサーバ12に通知するようになっている。
【0030】
上述した追加動作モード設定画面G1において、ユーザが何れかの追加動作モードを選択すると、携帯端末装置13は、選択された追加動作モードをサーバ12に通知する。そして、サーバ12は、通知された追加動作モードの設定指示を冷蔵庫11に対して行う。そして、冷蔵庫11は、受信した設定指示が指定する追加動作モードを設定する。これにより、冷蔵庫11は、ユーザにより選択された追加動作モードによる運転のスタンバイ状態となる。そして、スタンバイ状態となった冷蔵庫11は、サーバ12から開始指示を受信することにより、追加動作モードによる運転を開始する。
【0031】
なお、追加動作モードによる運転に必要な情報、例えば制御プログラムやパラメータ情報などといった各種情報は、予め冷蔵庫11に備えておいてもよいし、設定指示とともに冷蔵庫11に与えるようにしてもよい。但し、追加動作モードによる運転に必要な情報を予め冷蔵庫11に備える構成であっても、操作パネル16からの追加動作モードの設定はできないものとする。
【0032】
そして、追加動作モード設定画面G1において、ユーザによりスタートボタンBpが操作されると、携帯端末装置13は、その旨をサーバ12に通知する。そして、サーバ12は、追加動作モードの開始指示を冷蔵庫11に対して行う。これに応じて、冷蔵庫11は、設定されている追加動作モードによる運転を開始する。
【0033】
また、追加動作モード設定画面G1において、ユーザによりストップボタンBqが操作されると、携帯端末装置13は、その旨をサーバ12に通知する。そして、サーバ12は、追加動作モードの終了指示を冷蔵庫11に対して行う。これに応じて、冷蔵庫11は、実行中の追加動作モードによる運転を終了する。
【0034】
また、上述したカスタマイズ画面G2において、ユーザが調整部Ca〜Ckにより各事項を調整しスタートボタンBpを操作すると、携帯端末装置13は、調整後の内容をサーバ12に通知する。そして、サーバ12は、通知された調整内容による調整指示を冷蔵庫11に対して行う。そして、冷蔵庫11は、受信した調整指示が指定する調整内容に基づいて動作する。これにより、冷蔵庫11は、ユーザにより調整された内容で動作するようになる。また、カスタマイズ画面G2において、ユーザによりストップボタンBqが操作されると、携帯端末装置13は、その旨をサーバ12に通知する。そして、サーバ12は、カスタマイズモードによる運転の終了指示を冷蔵庫11に対して行う。これに応じて、冷蔵庫11は、実行中のカスタマイズモードによる運転を終了する。
【0035】
次に、冷蔵庫制御システム10による制御内容の一例について説明する。図6に例示するように、サーバ12は、携帯端末装置13を介して追加動作モードが選択されると、その追加動作モードの設定指示を冷蔵庫11に対して行う(A1)。冷蔵庫11は、サーバ12から設定指示を受信すると、その設定指示が指定する追加動作モードを設定する(A2)。即ち、冷蔵庫11は、指定された追加動作モードによる動作のスタンバイ状態となる。
【0036】
サーバ12は、携帯端末装置13から開始要求信号を受信すると、あるいは、現在時刻が設定された予約時間に達すると、設定した追加動作モードの開始指示を冷蔵庫11に対して行う(A3)。冷蔵庫11は、サーバ12から追加動作モードの開始指示を受信すると(A4:YES)、サーバ12に正常応答信号を送信し(A5)、設定されている追加動作モードによる動作を開始する(A6)。
【0037】
サーバ12は、冷蔵庫11から正常応答信号が得られない場合には(A7:NO)、再び、追加動作モードの開始指示を冷蔵庫11に対して行う。そして、サーバ12は、冷蔵庫11から正常応答信号が得られた場合には(A7:YES)、所定の動作時間が経過したか否かを監視する(A8)。なお、この動作時間は、実行中の動作モードについて予め動作時間が決められている場合には、その時間が設定され、予め決められていない場合には、例えば実行中の動作モードに応じてサーバ12が適宜設定することができる。そして、サーバ12は、所定の動作時間が経過すると(A7:YES)、追加動作モードの終了指示を冷蔵庫11に対して行う(A9)。
【0038】
冷蔵庫11は、サーバ12から追加動作モードの終了指示を受信すると(A10:YES)、サーバ12に正常応答信号を送信し(A11)、設定された追加動作モードによる動作を終了する(A12)。サーバ12は、冷蔵庫11から正常応答信号が得られない場合には(A13:NO)、再び、追加動作モードの終了指示を冷蔵庫11に対して行う。そして、サーバ12は、冷蔵庫11から正常応答信号が得られた場合には(A13:YES)、この制御を終了する。
【0039】
図6に例示する一連の制御において、冷蔵庫11は、追加動作モードを開始すると、サーバ12との接続状態の監視を並列的に実行する。即ち、図7に例示するように、冷蔵庫11は、追加動作モードを開始すると、サーバ12に接続確認信号を送信する(B1)。サーバ12は、冷蔵庫11から接続確認信号を受信すると、冷蔵庫11に正常応答信号を送信する(B2)。冷蔵庫11は、サーバ12から正常応答信号が得られた場合には(B3:YES)、再び、サーバ12に接続確認信号を送信する(B1)。
【0040】
一方、サーバ12から正常応答信号が得られない場合には(B3:NO)、冷蔵庫11は、接続確認信号を送信してから所定のタイムアウト時間が経過したか否かを確認する(B4)。なお、このタイムアウト時間は、適宜変更して設定することができる。所定のタイムアウト時間が経過していない場合には(B4:NO)、冷蔵庫11は、再び、正常応答信号の受信の有無を確認する(B3)。一方、所定のタイムアウト時間が経過している場合には(B4:YES)、冷蔵庫11は、実行中の追加動作モードを強制的に終了する(B5)。
【0041】
また、図6に例示する一連の制御において、冷蔵庫11は、追加動作モードを開始すると、操作パネル16による動作モードの設定操作の有無の監視を並列的に実行する。即ち、図8に例示するように、冷蔵庫11は、追加動作モードを開始すると、操作パネル16を介して、冷蔵庫11が予め備える動作モードが設定されたか否かを監視する(C1)。そして、操作パネル16を介して動作モードが設定されると、冷蔵庫11は、実行中の追加動作モードを終了し、操作パネル16を介して設定された動作モードに切り替える(C2)。即ち、冷蔵庫11は、追加動作モードの実行中に、当該冷蔵庫11が予め備える動作モードが選択された場合には、その選択された動作モードを優先する。
【0042】
本実施形態によれば、冷蔵庫11と通信可能に接続されるサーバ12は、冷蔵庫11の操作パネル16では設定できない動作モードを追加動作モードとして冷蔵庫11に設定する装置側操作処理部41を備える。この構成によれば、冷蔵庫11に予め多くの動作モードを備えなくとも、必要に応じて動作モードを適宜追加することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、サーバ12は、追加動作モードが設定された冷蔵庫11の動作を制御する冷蔵庫制御処理部42を備える。即ち、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を、当該冷蔵庫11の制御部ではなく外部の制御部により行うようにした。この構成によれば、追加動作モードを追加設定する場合であっても、冷蔵庫11の構成やプログラムを更新する必要がない。
【0044】
また、本実施形態によれば、サーバ12は、冷蔵庫11の動作内容をカスタマイズするカスタマイズ処理部43を備える。この構成によれば、冷蔵庫11をユーザのニーズに合わせた設定内容で動作させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、「カスタマイズ」モードにおける調整部Cdにより、庫内灯17による照明動作を調整する照明調整モードが実現されている。通常の冷蔵庫においては、庫内を照明する庫内灯の出力調整は、不能あるいは微調整不能に構成されることが一般的である。本実施形態によれば、冷蔵庫側では調整することができない庫内灯の出力調整を、冷蔵庫11の外部の制御部から行うことができる。よって、ユーザの要求に応じた庫内灯の出力調整が可能となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、サーバ12は、所定の開始指示が入力されたことを条件に、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を開始する動作開始処理部44を備える。この構成によれば、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作開始タイミングを、外部の制御部から高精度で指示することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、サーバ12は、追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を開始する開始時間を設定する開始時間設定処理部45を備える。即ち、本実施形態によれば、冷蔵庫制御システム10は、追加動作モードによる動作開始時間を予約する予約機能を備える。従って、例えば「快速解凍」モードにおいてこの予約機能を利用することにより、ユーザの希望する時間に解凍を終了することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、冷蔵庫11は、サーバ12との通信が遮断された場合に追加動作モードによる動作を強制的に終了する動作終了処理部21を備える。追加動作モードによる冷蔵庫11の動作を外部のサーバ12から行うシステム構成において、追加動作モードによる動作中に冷蔵庫11とサーバ12との通信が遮断されると、それ以降、サーバ12からの冷蔵庫11のコントロールが不可能となる。本実施形態によれば、このような通信遮断時には、冷蔵庫11自ら追加動作モードを終了し通常の動作モードに復帰する。従って、通信遮断後に、冷蔵庫11が追加動作モードを実行したまま制御不能となってしまうことを回避することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、冷蔵庫11は、追加動作モードによる動作を実行していることを報知する動作実行報知処理部22を備える。この構成によれば、ユーザは、動作実行報知処理部22による報知内容に基づいて、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作しているのか否かを確認することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、冷蔵庫11は、追加動作モードによる動作が終了したことを報知する動作終了報知処理部23を備える。この構成によれば、ユーザは、動作終了報知処理部23による報知内容に基づき、冷蔵庫11が追加動作モードによる動作を終了したのか否かを確認することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、冷蔵庫11は、追加動作モードにより動作しているときにおいて操作パネル16を介して当該冷蔵庫11が予め有する動作モードが設定された場合には、動作モード切替処理部24により、実行中の追加動作モードに代えて、操作パネル16により設定された動作モードに切り替える。即ち、操作パネル16を介して設定される動作モードは、冷蔵庫11の近傍に存在するユーザが実際に冷蔵庫11の貯蔵状況や周囲の状況などを確認した上で設定した動作モードであると推定される。そのため、操作パネル16を介して設定された動作モードを優先的に有効とすることで、実際の冷蔵庫11の状況に応じた動作モードで冷蔵庫11を運転することができる。
【0052】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形または拡張することができる。
例えば冷蔵庫11に図示しないスピーカを備え、そのスピーカからの音声により、冷蔵庫11が追加動作モードにより動作中であることを報知してもよい。また、例えば携帯端末装置13が備える図示しないスピーカからの音声により、冷蔵庫11が追加動作モードによる動作を終了したことを報知してもよい。また、冷蔵庫11とサーバ12との接続は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。冷蔵庫11は、サーバ12に相当する機能を有する情報処理装置を内蔵する構成であってもよい。即ち、冷蔵庫制御システムは、冷蔵庫の本体内部に構築してもよい。
【0053】
サーバ12は、例えば、サーバ、携帯通信端末、パソコン、タブレットなど、冷蔵庫11を制御することが可能なものであれば種々の装置類で構成することができる。また、サーバ12と携帯端末装置13とからなる複合体を本実施形態における情報処理装置と定義してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
図面中、10は冷蔵庫制御システム、11は冷蔵庫、12はサーバ(情報処理装置)、16は操作パネル(冷蔵庫側操作部)、17は庫内灯(庫内照明部)、21は動作終了処理部(動作終了手段)、22は動作実行報知処理部(動作実行報知手段)、23は動作終了報知処理部(動作終了報知手段)、24は動作モード切替処理部(動作モード切替手段)、41は装置側操作処理部(装置側操作手段)、42は冷蔵庫制御処理部(冷蔵庫制御手段)、43はカスタマイズ処理部(カスタマイズ手段)、44は動作開始処理部(動作開始手段)、45は開始時間設定処理部(開始時間設定手段)を示す。
図1
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図8