特許第6803651号(P6803651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803651
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】冷媒流路切換ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20201214BHJP
   F24F 1/32 20110101ALI20201214BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20201214BHJP
【FI】
   F25B49/02 520M
   F24F1/32
   F24F11/46
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-71369(P2015-71369)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191502(P2016-191502A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年2月21日
【審判番号】不服2019-16109(P2019-16109/J1)
【審判請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 成毅
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕介
【合議体】
【審判長】 松下 聡
【審判官】 山田 裕介
【審判官】 平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−11203(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/015617(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/160598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 1/32
F24F 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏空間(SP2)において、熱源ユニット(10)と利用ユニット(30)との間において延びる第1連絡配管(50)及び第2連絡配管(60)を含む冷媒流路上に配置され、冷媒の流れを切り換える冷媒流路切換ユニット(40)であって、
前記熱源ユニット側へ延びる第1連絡配管(56、57、58)に接続される第1冷媒配管(P1、P4、P6)と、
前記利用ユニット側へ延びる第2連絡配管(LP、GP)に接続される第2冷媒配管(P2、P3)と、
前記冷媒流路の開閉を切り換える複数の切換弁(EV)と、
複数の前記切換弁を収容するケーシング(71)と、
前記ケーシングの外側に固定され、前記切換弁を駆動させる電気部品(81)を収容する電装品箱(75)と、
冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(85)と、
を備え、
前記電装品箱には、スリット(SL)または開口が形成されており、
前記冷媒漏洩センサは、前記電装品箱内に配置される、
冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記天井裏空間において天吊り設置される、
請求項1に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項3】
前記冷媒漏洩センサは、前記電装品箱の天面(756)よりも底面(751)に近い位置に配置される、
請求項1又は2に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項4】
前記第1連絡配管と前記第1冷媒配管、又は前記第2連絡配管と前記第2冷媒配管は、フレアナット(74)を用いて圧着されることで接続される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項5】
前記冷媒漏洩センサは、設置状態において、前記フレアナットの高さ位置以下に位置する、
請求項4に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項6】
設置状態において、前記冷媒漏洩センサと、前記天井裏空間における底面(C1)と、の垂直距離(h3)は200mm以下である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項7】
設置状態において、前記電装品箱の底面(751)と、前記天井裏空間における底面(C1)と、の垂直距離(h2)は100mm以下である、
請求項3に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項8】
前記電装品箱は、設置状態において、前記ケーシングの側面に位置する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【請求項9】
前記電装品箱には、前記電気部品の設置位置よりも前記冷媒漏洩センサの設置位置に近い部分において、前記スリット(SL)または前記開口が形成される、
請求項1から8のいずれか1項に記載の冷媒流路切換ユニット(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の流れを切り換える冷媒流路切換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍装置において、熱源ユニット及び利用ユニットの間で延びる冷媒流路上に配置され、冷媒の流れを切り換える冷媒流路切換ユニットがある。例えば、特許文献1(特開2008−39276)には、空気調和装置において、室外ユニットと複数の室内ユニットとの間に配置され、各室内ユニットが冷房運転と暖房運転とを個別に選択可能なように状況に応じて複数の切換弁を個別に開閉する、冷媒流路切換ユニットが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような冷媒流路切換ユニットは、通常、天井裏空間に配置され、熱源ユニット及び利用ユニットと冷媒連絡配管で接続される。係る冷媒連絡配管は、現地においてサービスマンによって設置される。
【0004】
ここで、狭小な天井裏空間における配管接続作業は必ずしも容易ではなく、施工者による冷媒連絡配管の接続作業が適正に行われないケースが考えられる。しかし、冷媒連絡配管の配管接続が適正になされていない状態において運転が開始されると、冷媒連絡配管に供給された冷媒が、配管接続部分から天井裏空間へ漏洩する場合がある。漏洩した冷媒は天井裏空間に溜まりこみやすいため、係る場合には、不測の事態が生じることを抑制すべく、迅速に冷媒漏洩を検知することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、天井裏空間における冷媒漏洩を迅速に検知する冷媒流路切換ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る冷媒流路切換ユニットは、天井裏空間において、第1連絡配管及び第2連絡配管を含む冷媒流路上に配置され、冷媒の流れを切り換える冷媒流路切換ユニットであって、第1冷媒配管と、第2冷媒配管と、複数の切換弁と、ケーシングと、電装品箱と、冷媒漏洩センサと、を備える。第1連絡配管及び第2連絡配管は、熱源ユニットと利用ユニットとの間において延びる。第1冷媒配管は、第1連絡配管に接続される。第1連絡配管は、熱源ユニット側へ延びる。第2冷媒配管は、第2連絡配管に接続される。第2連絡配管は、利用ユニット側へ延びる。複数の切換弁は、冷媒流路の開閉を切り換える。ケーシングは、複数の切換弁を収容する。電装品箱は、ケーシングに固定される。電装品箱は、切換弁を駆動させる電気部品を、収容する。冷媒漏洩センサは、冷媒漏洩を検知する。冷媒漏洩センサは、電装品箱内に配置される。
【0007】
本発明の第1観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、天井裏空間において配設されるケーシングに固定される電装品箱内に、冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサが配置される。これにより、天井裏空間において冷媒連絡配管等から冷媒漏洩が生じた場合、冷媒漏洩センサが係る冷媒漏洩を検知する。その結果、ユーザへの報知や、冷媒循環の停止を迅速に行うことが可能となる。よって、天井裏空間における冷媒漏洩を迅速に把握することが可能となり、更なる冷媒漏洩を抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の第2観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点に係る冷媒流路切換ユニットユニットであって、ケーシングは、天井裏空間において、天吊り設置される。
【0009】
その結果、天井裏空間においてケーシングが天吊り設置される場合に、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となる。
【0010】
本発明の第3観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点又は第2観点に係る冷媒流路切換ユニットであって、冷媒漏洩センサは、電装品箱の天面よりも底面に近い位置に、配置される。
【0011】
これにより、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。すなわち、天井裏空間において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏空間における底面付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、冷媒漏洩センサは、電装品箱の天面よりも底面に近い位置に、配置されることで、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。
【0012】
なお、空気よりも比重が大きい冷媒の例としては、R32、HFO1234yf、HFO1234ze(E)やこれらの冷媒の混合冷媒などである。
【0013】
本発明の第4観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかに係る冷媒流路切換ユニットであって、第1連絡配管と第1冷媒配管、又は第2連絡配管と第2冷媒配管は、フレアナットを用いて圧着されることで接続される。
【0014】
その結果、フレア配管接続方式による配管接続部分から冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となる。すなわち、フレアナットを用いた圧着が十分に行われないケースや、フレアナットの圧着が過度に行われることによって配管接続部分が破損するケースにおいて、冷媒漏洩が生じても迅速に検知することが可能となる。
【0015】
本発明の第5観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第4観点に係る冷媒流路切換ユニットであって、冷媒漏洩センサは、設置状態において、フレアナットの高さ位置以下に位置する。
【0016】
これにより、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩がさらに迅速に検知されやすくなる。すなわち、天井裏空間において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏空間における底面付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、冷媒漏洩センサが、設置状態において、フレアナットの高さ位置以下に位置することで、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。
【0017】
本発明の第6観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点から第5観点のいずれかに係る冷媒流路切換ユニットであって、設置状態において、冷媒漏洩センサと、天井裏空間における底面と、の垂直距離は、200mm以下である。
【0018】
これにより、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩がさらに迅速に検知されやすくなる。すなわち、天井裏空間において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏空間における底面付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、設置状態において、冷媒漏洩センサと天井裏空間における底面との垂直距離は、200mm以下であることで、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。
【0019】
本発明の第7観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第3観点に係る冷媒流路切換ユニットであって、設置状態において、電装品箱の底面と、天井裏空間における底面と、の垂直距離は、100mm以下である。
【0020】
これにより、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩をさらに迅速に検知することが可能となる。すなわち、天井裏空間において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏空間における底面付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、設置状態において、電装品箱の底面と、天井裏空間における底面と、の垂直距離が、100mm以下であることで、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。
【0021】
本発明の第8観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点から第7観点のいずれかに係る冷媒流路切換ユニットであって、電装品箱は、設置状態において、ケーシングの側面に位置する。
【0022】
これにより、ケーシングの高さ方向の寸法をコンパクトに構成することが可能となる。その結果、高さ方向が狭小な天井裏空間において設置しやすくなり、汎用性が向上する。
【0023】
本発明の第9観点に係る冷媒流路切換ユニットは、第1観点から第8観点のいずれかに係る冷媒流路切換ユニットであって、電装品箱には、電気部品の設置位置よりも冷媒漏洩センサの設置位置に近い部分において、スリットが形成される。
【0024】
これにより、冷媒漏洩センサが、天井裏空間において漏洩した冷媒を、スリットを介してさらに検知しやすくなる。よって、冷媒漏洩がさらに迅速に検知されやすくなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、天井裏空間において冷媒連絡配管等から冷媒漏洩が生じた場合、冷媒漏洩センサが係る冷媒漏洩を検知する。その結果、ユーザへの報知や、冷媒循環の停止を迅速に行うことが可能となる。よって、天井裏空間における冷媒漏洩を迅速に把握することが可能となり、更なる冷媒漏洩を抑制することが可能となる。
【0026】
本発明の第2観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、天井裏空間においてケーシングが天吊り設置される場合に、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となる。
【0027】
本発明の第3観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなる。
【0028】
本発明の第4観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、フレア配管接続方式による配管接続部分から冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となる。
【0029】
本発明の第5観点、第6観点又は第7観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、天井裏空間において、空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩がさらに迅速に検知されやすくなる。
【0030】
本発明の第8観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、高さ方向が狭小な天井裏空間において設置しやすくなり、汎用性が向上する。
【0031】
本発明の第9観点に係る冷媒流路切換ユニットでは、冷媒漏洩がさらに迅速に検知やすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る中間ユニットを適用された空調システムの全体構成図。
図2】室外ユニット内の冷媒回路図。
図3】室内ユニット及び中間ユニット内の冷媒回路図。
図4】天井裏空間における室内ユニット及び中間ユニットの設置状態を示した模式図。
図5】中間ユニットの斜視図。
図6】電装品箱のカバー部を外された状態の中間ユニットの斜視図。
図7図6における中間ユニットの背面図。
図8図4における中間ユニットの拡大図。
図9】コントローラと、コントローラに接続される各部と、を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る中間ユニット40について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、以下の実施形態において、上、下、左、右、前(正面)及び後(背面)といった方向は、図4から図7に示す方向を意味する。
【0034】
本実施形態における中間ユニット40は、空調システム100に適用されている。以下の説明においては、中間ユニット40を含む空調システム100について説明した後に、中間ユニット40の詳細について説明する。
【0035】
(1)空調システム100
図1は、本発明の一実施形態に係る中間ユニット40を適用された空調システム100の全体構成図である。
【0036】
空調システム100は、ビルや工場等に設置されて対象空間の空気調和を実現する。空調システム100は、冷媒配管方式の空調システムであって、蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間の冷房や暖房などを行う。本実施形態において、空調システム100は、室内空間SP1の空気調和を行う。
【0037】
空調システム100は、主として、熱源ユニットとしての1台の室外ユニット10と、利用ユニットとしての複数の室内ユニット30と、室外ユニット10及び室内ユニット30間における冷媒の流れを切り換える複数の中間ユニット40(特許請求の範囲記載の「冷媒流路切換ユニット」に相当)と、室外ユニット10及び中間ユニット40の間で延びる複数の第1連絡配管50と、室内ユニット30及び中間ユニット40の間で延びる複数の第2連絡配管60と、複数のリモコンR1と、を備えている。
【0038】
空調システム100では、室外ユニット10と中間ユニット40とが第1連絡配管50を介して接続され、室内ユニット30と中間ユニット40とが第2連絡配管60を介して接続されることで、冷媒回路RCが構成されている。
【0039】
具体的には、室外ユニット10と各中間ユニット40とは、第1連絡配管50としての液連絡管51、吸入ガス連絡管52、高低圧ガス連絡管53、第1接続配管56、第2接続配管57、及び第3接続配管58を介して接続されている。また、いずれかの室内ユニット30といずれかの中間ユニット40とは、第2連絡配管60としての液管LP及びガス管GPを介して接続されている。
【0040】
空調システム100では、冷媒回路RC内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。なお、空調システム100は、室内ユニット30毎に冷房運転及び暖房運転を個別に選択可能ないわゆる冷暖フリータイプである。
【0041】
空調システム100では、空気よりも比重が大きいR32が、冷媒として使用される。
【0042】
(1−1)室外ユニット10
図2は、室外ユニット10内の冷媒回路図である。室外ユニット10は、例えば建物の屋上やベランダ等の屋外や、地下に設置される。室外ユニット10は、主として、ガス側第1閉鎖弁11と、ガス側第2閉鎖弁12と、液側閉鎖弁13と、アキュームレータ14と、圧縮機15と、第1流路切換弁16と、第2流路切換弁17と、第3流路切換弁18と、室外熱交換器20と、第1室外膨張弁23と、第2室外膨張弁24と、を有しており、これらの機器が冷媒配管を介して接続されることで冷媒回路RCの一部が構成されている。また、室外ユニット10内は、室外ファン25及び室外ユニット制御部28を有している。
【0043】
ガス側第1閉鎖弁11、ガス側第2閉鎖弁12及び液側閉鎖弁13は、冷媒の充填やポンプダウン等の際に開閉される手動の弁である。ガス側第1閉鎖弁11は、一端が吸入ガス連絡管52に接続され、他端がアキュームレータ14まで延びる冷媒配管に接続されている。ガス側第2閉鎖弁12は、一端が高低圧ガス連絡管53に接続され、他端が第2流路切換弁17まで延びる冷媒配管に接続されている。液側閉鎖弁13は、一端が液連絡管51に接続され、他端が第1室外膨張弁23又は第2室外膨張弁24まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0044】
アキュームレータ14は、圧縮機15に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し気液分離するための容器である。アキュームレータ14の内部では、気液二相状態の冷媒がガス冷媒と液冷媒とに分離される。アキュームレータ14は、ガス側第1閉鎖弁11と圧縮機15との間に配置されている。アキュームレータ14の冷媒流入口には、ガス側第1閉鎖弁11から延びる冷媒配管が接続されている。アキュームレータ14の冷媒流出口には、圧縮機15まで延びる吸入配管26が接続されている。
【0045】
圧縮機15は、圧縮機用モータ(図示省略)を内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式やロータリ方式等の圧縮機構を有する容積式の圧縮機である。なお、圧縮機15は、本実施形態において1台のみであるが、これに限定されず、2台以上の圧縮機15が直列或いは並列に接続されていてもよい。圧縮機15の吸入口(図示省略)には、吸入配管26が接続されている。圧縮機15の吐出口(図示省略)には、吐出配管27が接続されている。圧縮機15は、吸入配管26を介して吸入した低圧冷媒を圧縮後、吐出配管27へ吐出する。
【0046】
第1流路切換弁16、第2流路切換弁17及び第3流路切換弁18(以下、これらをまとめて「流路切換弁19」と称する)は、四路切換弁であり、状況に応じて冷媒の流れを切り換えている(図2の実線及び破線を参照)。流路切換弁19の冷媒流入口には、吐出配管27又は吐出配管27から延びる分岐管が接続されている。また、流路切換弁19は、運転時において、一の冷媒流路における冷媒の流れが遮断されるように構成されており、事実上、三方弁として機能している。
【0047】
室外熱交換器20は、クロスフィン型式や積層型式等の熱交換器であり、冷媒が通過する伝熱管(図示省略)を含んでいる。室外熱交換器20は、第1熱交換部21と、第2熱交換部22とを含んでいる。第1熱交換部21は、第3流路切換弁18に接続される冷媒配管が一端に接続され、第1室外膨張弁23まで延びる冷媒配管が他端に接続されている。第2熱交換部22は、第1流路切換弁16に接続される冷媒配管が一端に接続され、第2室外膨張弁24まで延びる冷媒配管が他端に接続されている。第1熱交換部21及び第2熱交換部22を通過する冷媒は、室外ファン25が生成する空気流と熱交換する。
【0048】
第1室外膨張弁23及び第2室外膨張弁24は、例えば開度調整が可能な電動弁である。第1室外膨張弁23は、第1熱交換部21から延びる冷媒配管が一端に接続され、液側閉鎖弁13まで延びる冷媒配管が他端に接続されている。第2室外膨張弁24は、第2熱交換部22から延びる冷媒配管が一端に接続され、液側閉鎖弁13まで延びる冷媒配管が他端に接続されている。第1室外膨張弁23及び第2室外膨張弁24は、状況に応じて開度が調整され、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧している。
【0049】
室外ファン25は、例えばプロペラファンであり、室外ファン用モータ(図示省略)に連動して駆動する。室外ファン25が駆動すると、室外ユニット10内に流入し室外熱交換器20を通過して室外ユニット10外へ流出する空気流が生成される。
【0050】
室外ユニット制御部28は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室外ユニット制御部28は、通信線(図示省略)を介して、室内ユニット制御部34(後述)及び中間ユニット制御部48(後述)と、相互に信号の送受信を行う。室外ユニット制御部28は、受信した信号等に応じて、圧縮機15及び室外ファン25の発停や回転数を制御するとともに、各種の弁の開閉や開度調整を制御している。
【0051】
(1−2)室内ユニット30
図3は、室内ユニット30及び中間ユニット40内の冷媒回路図である。室内ユニット30は、天井裏の空間に設置されるいわゆる天井吊下げ型である。空調システム100では、複数(n台)の室内ユニット30(30a、30b、・・・30n)が、天井裏空間SP2に配置されている(図4参照)。
【0052】
各室内ユニット30は、室内膨張弁31と、室内熱交換器32と、を有しており、これらが冷媒配管によって接続されることで冷媒回路RCの一部が構成されている。また、各室内ユニット30は、室内ファン33及び室内ユニット制御部34を有している。
【0053】
室内膨張弁31は、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁31は、その一端が液管LPに接続され、他端が室内熱交換器32まで延びる冷媒配管に接続されている。室内膨張弁31は、その開度に応じて、通過する冷媒を減圧する。
【0054】
室内熱交換器32は、例えばクロスフィン型式や積層型式の熱交換器であり、冷媒が通過する伝熱管(図示省略)を含んでいる。室内熱交換器32は、一端に室内膨張弁31から延びる冷媒配管が接続され、他端にガス管GPが接続されている。室内熱交換器32に流入した冷媒は、伝熱管を通過する際、室内ファン33が生成する空気流と熱交換する。
【0055】
室内ファン33は、例えばプロペラファンである。室内ファン33は、室内ファン用モータ(図示省略)に連動して駆動する。室内ファン33が駆動すると、室内空間SP1(図4参照)から室内ユニット30内部に流入して室内熱交換器32を通過してから室内空間SP1へ流出する空気流が生成される。
【0056】
室内ユニット制御部34は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。室内ユニット制御部34は、リモートコントローラ(図示省略)を介して、ユーザの指示を入力され、当該指示に応じて、室内ファン33の回転数や室内膨張弁31の開度を調整する。また、室内ユニット制御部34は、通信線(図示省略)を介して室外ユニット制御部28及び中間ユニット制御部48(後述)と接続されており、相互に信号の送受信を行う。また、室内ユニット制御部34は、通信線を介してリモコンR1と接続されており、相互に信号の送受信を行っている。
【0057】
(1−3)中間ユニット40
空調システム100では、複数の中間ユニット40(40a、40b、・・・40n)が、天井裏空間SP2に配置されている(図4参照)。より詳細には、中間ユニット40は、いずれかの室内ユニット30に1:1で対応するように、室内ユニット30と同数(n台)配置されている。各中間ユニット40は、対応する室内ユニット30(以下、「対応室内ユニット」と記載)と、室外ユニット10と、の間に配置され、対応室内ユニット及び室外ユニット10へ流入する冷媒の流れを切り換えている。
【0058】
中間ユニット40は、図3に示すように、複数の電動切換弁EV(特許請求の範囲記載の「切換弁」に相当)と、過冷却熱交換器45と、を有しており、これらが冷媒配管(第1配管P1〜第9配管P9)によって接続されることで冷媒回路RCの一部が構成されている。また、中間ユニット40は、各電動切換弁EVの動作(開度)を制御する中間ユニット制御部48を有している。
【0059】
電動切換弁EVは、状況に応じて、対応室内ユニット及び室外ユニット10間で形成される冷媒流路の開閉を切り換える。電動切換弁EVは、例えば開度調整が可能な電動弁であり、開度に応じて冷媒を通過させたり遮断したりすることで冷媒の流れを切り換える。中間ユニット40においては、電動切換弁EVとして、第1電動弁41、第2電動弁42、及び第3電動弁43が配置されている。第1電動弁41は、一端が第3配管P3に接続され、他端が第4配管P4に接続されている。また、第2電動弁42は、一端が第5配管P5に接続され、他端が第6配管P6に接続されている。第3電動弁43は、一端が第7配管P7に接続され、他端が第8配管P8に接続されている。
【0060】
過冷却熱交換器45は、例えば二重管型熱交換器である。過冷却熱交換器45は、第1流路46及び第2流路47を形成されている。より詳細には、過冷却熱交換器45は、第1流路46を流れる冷媒と、第2流路47を流れる冷媒と、が熱交換しうる構造を有している。具体的に、第1流路46は、一端が第1配管P1に接続され、他端が第2配管P2に接続されている。第2流路47は、一端が第8配管P8に接続され、他端が第9配管P9に接続されている。
【0061】
中間ユニット40内に配置される冷媒配管のうち、第1配管P1(特許請求の範囲記載の「第1冷媒配管」に相当」)は、一端が第1接続配管56(すなわち、第1連絡配管50)に接続され、他端が過冷却熱交換器45の第1流路46に接続されている。
【0062】
第2配管P2(特許請求の範囲記載の「第2冷媒配管」に相当」)は、一端が過冷却熱交換器45の第1流路46(後述)に接続され、他端が液管LP(すなわち、第2連絡配管60)に接続されている。
【0063】
第3配管P3(特許請求の範囲記載の「第2冷媒配管」に相当」)は、一端がガス管GP(すなわち、第2連絡配管60)に接続され、他端が第1電動弁41に接続されている。
【0064】
第4配管P4(特許請求の範囲記載の「第1冷媒配管」に相当」)は、一端が第1電動弁41に接続され、他端が第2接続配管57(すなわち、第1連絡配管50)に接続されている。
【0065】
第5配管P5は、一端が第3配管P3の両端間に接続され、他端が第2電動弁42に接続されている。
【0066】
第6配管P6(特許請求の範囲記載の「第1冷媒配管」に相当」)は、一端が第2電動弁42に接続され、他端が第3接続配管58(すなわち、第1連絡配管50)に接続されている。
【0067】
第7配管P7は、一端が第1配管P1の両端間に接続され、他端が第3電動弁43に接続されている。
【0068】
第8配管P8は、一端が第3電動弁43に接続され、他端が過冷却熱交換器45の第2流路47に接続されている。
【0069】
第9配管P9は、一端が過冷却熱交換器45の第2流路47に接続され、他端が第4配管P4の両端間に接続されている。
【0070】
中間ユニット制御部48は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータである。中間ユニット制御部48は、通信線を介して室外ユニット制御部28又は室内ユニット制御部34からの信号を受信し、当該信号に応じて、第1電動弁41、第2電動弁42及び第3電動弁43の動作(開度)を制御している。
【0071】
(1−4)第1連絡配管50、第2連絡配管60
各第1連絡配管50及び各第2連絡配管60は、現地においてサービスマンによって設置される冷媒連絡配管である。各第1連絡配管50及び各第2連絡配管60の配管長や配管径は、設置環境や設計仕様に応じて適宜選択される。各第1連絡配管50及び各第2連絡配管60は、室外ユニット10と各室内ユニット30との間で延びている。
【0072】
第1連絡配管50は、室外ユニット10と中間ユニット40との間で延び、両者を接続している。すなわち、第1連絡配管50は、中間ユニット40から室外ユニット10側へ延びる連絡配管である。具体的には、液連絡管51は、一端が液側閉鎖弁13に接続され、他端側において各中間ユニット40から延びる第1接続配管56に接続されている。吸入ガス連絡管52は、一端がガス側第1閉鎖弁11に接続され、他端側において各中間ユニット40から延びる第2接続配管57に接続されている。高低圧ガス連絡管53は、一端がガス側第2閉鎖弁12に接続され、他端側において各中間ユニット40から延びる第3接続配管58に接続されている。各第1接続配管56は、一端が液連絡管51に接続され、他端が中間ユニット40の第1配管P1に接続されている。各第2接続配管57は、一端が吸入ガス連絡管52に接続され、他端が中間ユニット40の第4配管P4に接続されている。各第3接続配管58は、一端が高低圧ガス連絡管53に接続され、他端が中間ユニット40の第6配管P6に接続されている。
【0073】
係る態様で各第1連絡配管50が配設されることで、室外ユニット10と中間ユニット40との間において、複数の冷媒流路(液冷媒流路、吸入ガス冷媒流路、及び高低圧ガス冷媒流路)が構成されている。すなわち、中間ユニット40は、第1連絡配管50を含む冷媒流路上に配置されている、といえる。
【0074】
第2連絡配管60は、各中間ユニット40と対応室内ユニットとの間で延び、両者を接続している。すなわち、第2連絡配管60は、中間ユニット40から室内ユニット30側へ延びる連絡配管である。具体的には、液管LPは、一端が第2配管P2に接続され、他端が室内膨張弁31に接続されている。ガス管GPは、一端が第3配管P3に接続され、他端が室内熱交換器32に接続されている。
【0075】
係る態様で各第2連絡配管60が配設されることで、対応室内ユニットと各中間ユニット40との間において、液冷媒流路及びガス冷媒流路が構成されている。すなわち、中間ユニット40は、第2連絡配管60を含む冷媒流路上に配置されている、といえる。
【0076】
(1−5)リモコンR1
リモコンR1は、いわゆる有線式のリモートコントロール装置であって、ユーザが空調システム100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力する入力装置として機能する。また、リモコンR1は、空調システム100の運転状態を表示する表示装置としても機能する。また、リモコンR1は、スピーカーを内蔵しており、適宜、所定の音声を出力する。
【0077】
本実施形態においては、室内ユニット30と同数(n台)のリモコンR1(Ra、Rb、・・・Rn)が配置されている。リモコンR1は、通信線を介して対応する室内ユニット制御部34と接続され、相互に信号の送受信を行っている。具体的には、リモコンRaは室内ユニット30aと接続され、リモコンRbは室内ユニット30bと接続され、・・・リモコンRnは、室内ユニット30nと接続されている。リモコンR1は、例えば室内空間SP1の内壁等に固定される。
【0078】
(2)空調システム100の運転中における冷媒の流れ
空調システム100では、中間ユニット40が、室外ユニット10及び対応室内ユニット間で延びる第1連絡配管50及び第2連絡配管60を含む冷媒流路上に、配置されており、状況に応じて係る冷媒流路の開閉を切り換えている。以下、空調システム100の運転中における冷媒の流れについて、室内ユニット30a及び30bが運転中である場合を例にとって、状況別に説明する。
【0079】
なお、以下の説明においては、説明を簡略化するために、他の室内ユニット30は停止状態にあるものとする。これに関連して、室内ユニット30a及び30bを除く室内ユニット30の室内膨張弁31は最小開度に制御され、中間ユニット40a及び40bを除く中間ユニット40内の第1電動弁41、第2電動弁42及び第3電動弁43は、最小開度に制御されるものとする。
【0080】
(2−1)室内ユニット30a及び30bの双方が冷房運転を行う時
中間ユニット40a及び40bにおいて、第1電動弁41は全開とされ、第2電動弁42は最小開度とされ、第3電動弁43は室内ユニット30a及び30bに流入する冷媒の過冷却度に応じて開度を適宜調整される。また、室内ユニット30a及び30bの各室内膨張弁31は適宜開度調整され、第1室外膨張弁23及び第2室外膨張弁24は全開とされる。
【0081】
係る状態で圧縮機15が駆動すると、冷媒が吸入配管26を介して圧縮機15に吸入されて圧縮される。圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管27、第1流路切換弁16及び第3流路切換弁18等を経て、室外熱交換器20に流入して凝縮する。室外熱交換器20を通過した冷媒は、液側閉鎖弁13等を通過して液連絡管51に流入する。液連絡管51を通過した冷媒は、第1接続配管56に到達し、中間ユニット40a又は40bの第1配管P1へ流入する。
【0082】
第1配管P1に流入した冷媒は、第1配管P1を流れる過程で二手に分岐する。二手に分岐した一方の冷媒は、第3電動弁43に流入し、第3電動弁43の開度に応じて減圧される。第3電動弁43を通過した冷媒は、第8配管P8を経て過冷却熱交換器45の第2流路47を通過する。第2流路47を通過する冷媒は、第1流路46を通過する冷媒と熱交換を行い、第9配管P9を経て第4配管P4に到達する。
【0083】
二手に分岐した他方の冷媒は、過冷却熱交換器45の第1流路46を通過する。第1流路46を通過する冷媒は、第2流路47を通過する冷媒と熱交換を行うことで過冷却がついた状態となり、第2配管P2及び液管LPを経て室内ユニット30a又は30bに到達する。
【0084】
室内ユニット30a又は30bに到達した冷媒は、室内膨張弁31に流入して減圧される。減圧された冷媒は、各室内熱交換器32に流入して蒸発する。各室内熱交換器32を通過した冷媒は、ガス管GPを経て、中間ユニット40a又は40bの第3配管P3へ流入する。
【0085】
第3配管P3を通過した冷媒は、第4配管P4を流れる過程で第9配管P9から流出した冷媒と合流し、第2接続配管57に到達する。第2接続配管57に到達した冷媒は、吸入ガス連絡管52を経て、室外ユニット10に流入し、圧縮機15に再び吸入される。
【0086】
(2−2)室内ユニット30a及び30bの双方が暖房運転を行う時
中間ユニット40a及び40bにおいて、第1電動弁41及び第3電動弁43は最小開度とされ、第2電動弁42は全開とされる。また、室内ユニット30a及び30bの室内膨張弁31は全開とされ、第1室外膨張弁23及び第2室外膨張弁24は、適宜開度調整される。
【0087】
係る状態で圧縮機15が駆動すると、冷媒が吸入配管26を介して圧縮機15に吸入されて圧縮される。圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管27及び第2流路切換弁17等を経て、高低圧ガス連絡管53に流入する。高低圧ガス連絡管53を通過した冷媒は、中間ユニット40a又は40bの第3接続配管58に到達する。第3接続配管58に到達した冷媒は、中間ユニット40a又は40bの第6配管P6に流入し、第5配管P5、第3配管P3及びガス管GPを通過して、室内ユニット30a又は30bに到達する。
【0088】
室内ユニット30a又は30bに到達した冷媒は、各室内熱交換器32に流入して凝縮する。各室内熱交換器32を通過した冷媒は、液管LPを経て、中間ユニット40a又は40bの第2配管P2に流入する。
【0089】
第2配管P2を通過した冷媒は、第1配管P1等を経て、第1接続配管56に到達する。第1接続配管56に到達した冷媒は、液連絡管51を経て室外ユニット10に到達する。
【0090】
室外ユニット10に到達した冷媒は、第1室外膨張弁23又は第2室外膨張弁24を通過し、開度に応じて減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器20に流入して蒸発する。室外熱交換器20を通過した冷媒は、第1流路切換弁16又は第3流路切換弁18等を経て、圧縮機15に再び吸入される。
【0091】
(2−3)室内ユニット30a及び30bのいずれか一方が冷房運転を行うとともに他方が暖房運転を行う時
中間ユニット40a及び40bのうち冷房運転を行っている室内ユニット30(以下、「一方の室内ユニット30」と記載)に対応する中間ユニット40(以下、「一方の中間ユニット40」と記載)においては、第1電動弁41は全開とされ、第2電動弁42は最小開度とされ、第3電動弁43は室内ユニット30a及び30bに流入する冷媒の過冷却度に応じて開度を適宜調整される。また、一方の室内ユニット30の室内膨張弁31は適宜開度を調整される。
【0092】
また、中間ユニット40a及び40bのうち暖房運転を行っている室内ユニット30(以下、「他方の室内ユニット30」と記載)に対応する中間ユニット40(以下、「他方の中間ユニット40」と記載)においては、第1電動弁41及び第3電動弁43が最小開度とされるともに、第2電動弁42が全開とされる。また、他方の室内ユニット30の室内膨張弁31が全開とされる。
【0093】
また、第1室外膨張弁23及び第2室外膨張弁24は、適宜開度を調整される。
【0094】
係る状態で圧縮機15が駆動すると、冷媒が吸入配管26を介して圧縮機15に吸入されて圧縮される。圧縮機15により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管27及び第2流路切換弁17等を経て、高低圧ガス連絡管53に流入する。高低圧ガス連絡管53を通過した冷媒は、第3接続配管58に到達する。第3接続配管58を通過した冷媒は、他方の中間ユニット40に流入し、第6配管P6、第5配管P5及び第3配管P3等を流れて、ガス管GPに流入する。
【0095】
ガス管GPを通過した冷媒は、他方の室内ユニット30に到達し、室内熱交換器32に流入して凝縮する。凝縮した冷媒は、液管LPを経て、他方の中間ユニット40の第2配管P2に流入する。第2配管P2を通過した冷媒は、第1配管P1等を経て、第1接続配管56に到達する。第1接続配管56に到達した冷媒は、液連絡管51に流入する。液連絡管51を通過した冷媒は、一方の中間ユニット40内の第1配管P1に流入する。
【0096】
第1配管P1に流入した冷媒は、第1配管P1を流れる過程で二手に分岐する。二手に分岐した一方の冷媒は、第3電動弁43に流入し、第3電動弁43の開度に応じて減圧される。第3電動弁43を通過した冷媒は、第8配管P8を経て過冷却熱交換器45の第2流路47を通過する。第2流路47を通過する冷媒は、第1流路46を通過する冷媒と熱交換を行い、第9配管P9を経て第4配管P4に到達する。
【0097】
二手に分岐した他方の冷媒は、過冷却熱交換器45の第1流路46を通過する。第1流路46を通過する冷媒は、第2流路47を通過する冷媒と熱交換を行うことで過冷却がついた状態となり、第2配管P2及び液管LPを経て一方の室内ユニット30に到達する。
【0098】
一方の室内ユニット30に到達した冷媒は、室内膨張弁31に流入し、開度に応じて減圧される。減圧された冷媒は、室内熱交換器32に流入して蒸発する。蒸発した冷媒は、ガス管GPを経て、一方の中間ユニット40に到達して、第3配管P3に流入する。第3配管P3を通過した冷媒は、第4配管P4を流れて第2接続配管57に到達する。
【0099】
第2接続配管57に到達した冷媒は、吸入ガス連絡管52を経て、室外ユニット10に流入し、圧縮機15へ再び吸入される。
【0100】
(3)中間ユニット40の詳細
図4は、天井裏空間SP2における室内ユニット30及び中間ユニット40の設置状態を示した模式図である。図5は、中間ユニット40の斜視図である。図6は、電装品箱75のカバー部77を外された状態の中間ユニット40の斜視図である。図7は、図6における中間ユニット40の背面図である。図8は、図4における中間ユニット40の拡大図である。
【0101】
本実施形態において、各中間ユニット40は、対応室内ユニットとともに、室内空間SP1の天井裏空間SP2に設置されている。天井裏空間SP2は、室内空間SP1の天井の上面(以下、「天井裏底面部C1」と称する)と、屋根又は上階の床(以下、「天井裏天面部C2」と称する)と、の間において形成される空間である。本実施形態において、天井裏底面部C1と天井裏天面部C2の垂直距離h1(図8参照)は、1300mmである。
【0102】
各中間ユニット40は、天井裏天面部C2に固定された吊り具65を装着されることで、天井裏空間SP2において天吊り設置されている。すなわち、各中間ユニット40は、天井裏底面部C1には当接しておらず、各中間ユニット40と天井裏底面部C1との間にはクリアランスが形成されている。
【0103】
各中間ユニット40は、いわゆるフレア配管接続方式によって、第1連絡配管50(第1接続配管56、第2接続配管57及び第3接続配管58)、及び第2連絡配管60(液管LP及びガス管GP)と接続されている。具体的には、各中間ユニット40は、接続される連絡配管の数(ここでは5つ)に応じた配管接続部73を有しており、係る配管接続部73において、フレア加工された第1連絡配管50及び第2連絡配管60を、フレアナット74を用いて圧着されることで、第1連絡配管50及び第2連絡配管60と接続されている(図5及び図7参照)。
【0104】
各中間ユニット40は、略直方体状の外郭を構成するケーシングユニット70を有している。ケーシングユニット70は、主として、ケーシング本体71(特許請求の範囲記載の「ケーシング」に相当)と、電装品箱75と、を含んでいる。
【0105】
ケーシング本体71は、ケーシングユニット70の体積の大部分を占め、略直方体状を呈している。ケーシング本体71内の空間には、複数の電動切換弁EV(41、42、43)、過冷却熱交換器45、及び冷媒配管(P1〜P9)等の冷媒回路RCの要素部品が収容されている。ケーシング本体71は、左右の側面において、吊り具65に係合する固定具72を2つずつ有している。ケーシングユニット70は、係る固定具72に吊り具65の下端近傍を装着されて、天井裏天面部C2から吊り下げられることで、天吊り設置されている。
【0106】
電装品箱75は、鉛直方向及び左右方向に長い、薄型の直方体状ボックスである。具体的に、電装品箱75は、六面(底面部751、左側面部752、右側面部753、正面部754、背面部755、及び天面部756)を含んでいる。電装品箱75は、中間ユニット40の設置状態において、正面部754がケーシング本体71の背面に面するように、ケーシング本体71の背面部分に固定されている。すなわち、中間ユニット40の設置状態において、電装品箱75は、ケーシング本体71の後側面に位置している。
【0107】
また、底面部751は、中間ユニット40の設置状態において、天井裏天面部C2よりも天井裏底面部C1に近い高さ位置に配置されている。本実施形態においては、設置状態における底面部751と天井裏底面部C1との間の垂直距離h2(図8参照)は、80mm(つまり100mm以下)である。つまり、垂直距離h2は、垂直距離h1の3分の1以下の大きさである。
【0108】
左側面部752の下端近傍、及び底面部751の左側端部近傍には、複数のスリットSLが形成されている。係るスリットSLは、冷媒漏洩センサ85(後述)の配置位置近傍に形成されている。スリットSLは、電気部品81(後述)の設置位置よりも冷媒漏洩センサ85の設置位置に近い部分に形成されている。
【0109】
電装品箱75は、電装品箱本体部76と、電装品箱本体部76に着脱自在のカバー部77と、を含んでいる(図6参照)。電装品箱本体部76は、左側面部752、右側面部753、正面部754、及び天面部756を構成する部分である。カバー部77は、底面部751及び背面部755を構成する部分である。
【0110】
電装品箱75内には、所定容積の収容空間75aが形成されている。収容空間75aは、ケーシング本体71内の空間とは仕切られており、連通していない。収容空間75aには、プリント基板80と、プリント基板80に実装された複数の電気部品81が収容されている。プリント基板80には、電気部品81の他に、メモリやCPU等の中間ユニット制御部48の構成部品が実装されている。電気部品81は、中間ユニット制御部48によって制御され、各電動切換弁EVの動作(開度)を切り換える部品であり、例えば、トランジスタ等の半導体スイッチや電磁リレー等である。すなわち、電装品箱75内には、電動切換弁EVを駆動させる電気部品81が収容されている。
【0111】
また、収容空間75aには、冷媒漏洩を検知可能な冷媒漏洩センサ85が配置されている。本実施形態において、冷媒漏洩センサ85は、一般的な汎用品が用いられている。
【0112】
冷媒漏洩センサ85は、収容空間75aにおいて、天面部756よりも底面部751に近い位置に配置されている。具体的に、冷媒漏洩センサ85は、設置状態において、底面部751の上方であって、プリント基板80(すなわち、プリント基板80上の電気部品81)よりも下方に配置されている。より詳細には、冷媒漏洩センサ85は、中間ユニット40の設置状態において、フレアナット74の高さ位置以下に位置している。
【0113】
冷媒漏洩センサ85は、中間ユニット40の設置状態において、天井裏底面部C1との間の垂直距離h3(図8参照)が180mm(つまり200mm以下)の高さに位置している。つまり、垂直距離h3は、垂直距離h1の3分の1以下の大きさである。
【0114】
冷媒漏洩センサ85は、中間ユニット制御部48と電気的に接続されており、冷媒の漏洩を検知すると中間ユニット制御部48へ電気信号(以下、「冷媒漏洩検知信号」と称する)を出力する。具体的に、冷媒漏洩センサ85は、天井裏空間SP2において冷媒が漏洩した場合、スリットSLから電装品箱75内に流入する漏洩冷媒を検知し、冷媒漏洩検知信号を中間ユニット制御部48(すなわち、後述するコントローラ90)に出力する。これにより、中間ユニット制御部48は、冷媒漏洩の有無を認識可能となっている。
【0115】
(4)コントローラ90
図9は、コントローラ90と、コントローラ90に接続される各部と、を示したブロック図である。
【0116】
空調システム100では、室外ユニット制御部28、各室内ユニット30(30a、30b・・・30n)の室内ユニット制御部34、及び各中間ユニット40(40a、40b・・・40n)の中間ユニット制御部48が、通信線で接続されることでコントローラ90が構成されている。コントローラ90は、接続されている機器を所定の制御プログラムに沿って適宜制御する。
【0117】
コントローラ90は、空調システム100を構成する各アクチュエータ(圧縮機15、第1流路切換弁16、第2流路切換弁17、第3流路切換弁18、第1室外膨張弁23、第2室外膨張弁24、室外ファン25、各室内ユニット30の室内膨張弁31及び室内ファン33、と電気的に接続されている。また、コントローラ90は、各中間ユニット40の電気部品81及び冷媒漏洩センサ85と、電気的に接続されている。また、コントローラ90は各リモコンR1(Ra、Rb、・・・Rn)と電気的に接続されている。
【0118】
コントローラ90は、冷媒漏洩センサ85から冷媒漏洩検知信号を出力されると、天井裏空間SP2において冷媒漏洩が生じていると判断し、各リモコンR1に、係る事態が生じていることを示す情報を表示させるとともに、ユーザに報知するための音声を出力させる。また、コントローラ90は、冷媒回路RC内を循環している冷媒を室外熱交換器20や図示しない冷媒回収タンクに回収するポンプダウン運転を、所定時間行った後、圧縮機15の運転を停止する。
【0119】
(5)中間ユニット40の冷媒漏洩検知機能
中間ユニット40は、天井裏空間SP2における冷媒漏洩を迅速に検知可能に構成されている。これにより、ユーザは、天井裏空間SP2において冷媒漏洩が生じていることを迅速に把握できるようになっている。
【0120】
すなわち、中間ユニット40は、室外ユニット10と複数の第1連絡配管50で接続され、対応室内ユニットと複数の第2連絡配管60で接続される。係る第1連絡配管50及び第2連絡配管60は、現地においてサービスマンによって設置される。しかし、垂直距離h3が1300mmと鉛直方向の高さが狭小な天井裏空間SP2においては、配管接続作業は必ずしも容易ではなく、施工者による配管接続作業が適正に行われないケースが考えられる。例えば、フレアナット74を用いた圧着が十分に行われないケースや、フレアナット74の圧着が過度に行われることによって配管接続部分が破損するケース等が考えられる。
【0121】
このように、第1連絡配管50又は第2連絡配管60が適正になされていない状態において運転(冷凍サイクル)が開始されると、第1連絡配管50又は第2連絡配管60に供給された冷媒が、配管接続部分から天井裏空間SP2へ漏洩する場合がある。漏洩した冷媒は、通常、天井裏空間SP2に溜まりこみやすい。よって、係る場合には、不測の事態が生じることを抑制すべく、冷媒漏洩をユーザが迅速に把握することが望まれる。
【0122】
本実施形態の中間ユニット40では、天井裏空間SP2において配設される電装品箱75内に、冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ85が配置されている。冷媒漏洩センサ85は、冷媒漏洩を検知した際には、冷媒漏洩検知信号をコントローラ90(中間ユニット制御部48)へ出力する。これを受けて、コントローラ90は、各リモコンR1に、天井裏空間SP2において冷媒漏洩が生じたことを示す情報を表示させるとともに所定の音声を出力させる。その結果、天井裏空間SP2において冷媒漏洩が生じた場合には、ユーザへの報知が迅速に行われるようになっている。よって、ユーザが天井裏空間SP2における冷媒漏洩を迅速に把握することが可能となる。
【0123】
また、コントローラ90は、冷媒漏洩検知信号を受けて、冷媒回路RC内を循環している冷媒を回収するポンプダウン運転を所定時間行った後、圧縮機15の運転を停止させる。その結果、天井裏空間SP2において冷媒漏洩が生じた場合には、冷媒回路RCにおける冷凍サイクル(冷媒循環)が停止されることで、更なる冷媒漏洩が抑制されるようになっている。
【0124】
(6)特徴
(6−1)
上記実施形態では、天井裏空間SP2において配設されるケーシング本体71に固定される電装品箱75内に、冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ85が配置されている。これにより、天井裏空間SP2において延びる第1連絡配管50又は第2連絡配管60等から冷媒漏洩が生じた場合、冷媒漏洩センサ85が係る冷媒漏洩を検知するようになっている。その結果、ユーザへの報知や、冷媒循環の停止が迅速に行われるようになっている。よって、天井裏空間SP2における冷媒漏洩が生じた場合に、ユーザが迅速に把握しうるように構成されており、また、更なる冷媒漏洩が抑制されるようになっている。
【0125】
(6−2)
上記実施形態では、ケーシング本体71は、天井裏空間SP2において、天吊り設置されている。その結果、天井裏空間SP2においてケーシング本体71が天吊り設置される場合に、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となっている。
【0126】
(6−3)
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、電装品箱75の天面部756よりも底面部751に近い位置に、配置されている。これにより、空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となっている。
【0127】
すなわち、天井裏空間SP2において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏底面部C1付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサ85の配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、冷媒漏洩センサ85が、電装品箱75の天面部756よりも底面部751に近い位置に、配置されていることで、空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなっている。
【0128】
(6−4)
上記実施形態では、第1連絡配管50(第1接続配管56、第2接続配管57、及び第3接続配管58)と中間ユニット40内の冷媒配管(第1配管P1、第4配管P4、及び第6配管P6)、又は第2連絡配管60(ガス管GP及び液管LP)と中間ユニット40内の冷媒配管(第2配管P2及び第3配管P3)は、フレアナット74を用いて圧着されることで接続されている。その結果、フレア配管接続方式による配管接続部73から冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒漏洩を迅速に検知することが可能となっている。
【0129】
(6−5)
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、設置状態において、フレアナット74の高さ位置以下に位置している。これにより、天井裏空間SP2において、R32等の空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩をさらに迅速に検知することが可能となっている。
【0130】
すなわち、天井裏空間SP2において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏底面部C1付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサ85の配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、冷媒漏洩センサ85が、設置状態において、フレアナット74の高さ位置以下に位置していることで、空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなっている。
【0131】
(6−6)
上記実施形態では、設置状態において、冷媒漏洩センサ85と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h3は、200mm以下である。これにより、R32等の空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩をさらに迅速に検知することが可能となっている。
【0132】
すなわち、天井裏空間SP2において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏底面部C1付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサ85の配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、設置状態において、冷媒漏洩センサ85と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h3が200mm以下であることで、空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなっている。
【0133】
(6−7)
上記実施形態では、設置状態において、電装品箱75の底面部751と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h2は、100mm以下である。これにより、R32等の空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩した場合でも、冷媒漏洩をさらに迅速に検知することが可能となっている。
【0134】
すなわち、天井裏空間SP2において空気よりも比重が大きい冷媒が漏洩すると、漏洩した冷媒は、天井裏底面部C1付近に溜まりやすい。係る場合、冷媒漏洩センサ85の配置位置によっては、冷媒漏洩が迅速に検知されにくい。しかし、設置状態において、電装品箱75の底面部751と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h2が100mm以下であることで、空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩が迅速に検知されやすくなっている。
【0135】
(6−8)
上記実施形態では、電装品箱75は、設置状態において、ケーシング本体71の側面に位置している。これにより、ケーシング本体71の高さ方向(鉛直方向)の寸法がコンパクトに構成されている。その結果、高さ方向の長さ(すなわち、垂直距離h1)が狭小な天井裏空間SP2において設置しやすくなっており、汎用性が向上している。
【0136】
(6−9)
上記実施形態では、電装品箱75には、電気部品81の設置位置よりも冷媒漏洩センサ85の設置位置に近い部分において、スリットSLが形成されている。これにより、冷媒漏洩センサ85が、天井裏空間SP2において漏洩した冷媒を、スリットSLを介して検知しやすくなっている。よって、冷媒漏洩が迅速に検知されるようになっている。
【0137】
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0138】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、複数の中間ユニット40が、個別に配置されていた。しかし、これに限定されず、複数(例えば、4台、8台或いは16台等)の中間ユニット40を集めて1つのケーシング内に収容した集合ユニットとして配置されてもよい。係る場合、冷媒漏洩センサ85は、集合ユニットのケーシングに配設される電装品箱75内において、上記実施形態と同様の態様で配置されればよい。
【0139】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、リモコンR1は、通信線を介して室内ユニット30と接続されていた。しかし、リモコンR1は、無線ネットワークを介して室内ユニット30と接続されてもよい。
【0140】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、コントローラ90は、冷媒漏洩センサ85から出力される冷媒漏洩検知信号を受けて、リモコンR1に所定の情報を表示させるとともに所定の音声を出力させていた。しかし、コントローラ90は、冷媒漏洩検知信号を受けた場合に、リモコンR1のみならず、通信ネットワークを介して接続される集中管理サーバ等へ、冷媒漏洩が生じている旨を示す情報を送信するように構成してもよい。
【0141】
(7−4)変形例D
上記実施形態では、室内ユニット30は、天井裏空間SP2において、天吊り設置されていた。しかし、これに限定されず、室内ユニット30は、室内空間SP1の内壁に固定される壁掛け型や、天井に固定される天井設置型であってもよい。
【0142】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、ケーシング本体71は、天井裏空間SP2において吊り具65によって天吊り設置されていた。しかし、ケーシング本体71は、必ずしも天吊り設置される必要はなく、天井裏底面部C1に直置きされてもよい。
【0143】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、第1連絡配管50(第1接続配管56、第2接続配管57、及び第3接続配管58)と中間ユニット40内の冷媒配管(第1配管P1、第4配管P4、及び第6配管P6)、又は第2連絡配管60(ガス管GP及び液管LP)と中間ユニット40内の冷媒配管(第2配管P2及び第3配管P3)は、フレアナット74を用いて圧着されるフレア配管接続方式によって接続されていた。しかし、必ずしも係る態様の配管接続方式を採用する必要はなく、継手をロウ付けする等して配管接続を行ってもよい。
【0144】
(7−7)変形例G
上記実施形態では、電装品箱75は、中間ユニット40の設置状態において、ケーシング本体71の後側面に位置していた。しかし、これに限定されず、電装品箱75は、中間ユニット40の設置状態において、ケーシング本体71の前側面、左側面、右側面、底面、或いは天面に位置するように固定されてもよい。
【0145】
(7−8)変形例H
上記実施形態では、電装品箱75には、電気部品81の設置位置よりも冷媒漏洩センサ85の設置位置に近い部分において、スリットSLが形成されていた。しかし、必ずしもこれに限定されず、スリットSLは、冷媒漏洩センサ85が流入する天井裏空間SP2に漏洩した冷媒を検知可能な限り、冷媒漏洩センサ85の設置位置よりも電気部品81の設置位置に近い位置に配置されてもよい。
【0146】
また、電装品箱75には、冷媒漏洩センサ85が漏洩冷媒を検知するための開口を、スリットSLに代えて形成してもよい。
【0147】
(7−9)変形例I
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、電装品箱75の天面部756よりも底面部751に近い位置に、配置されていた。しかし、必ずしもこれに限定されず、冷媒漏洩センサ85は、天井裏空間SP2に漏洩した冷媒を検知可能な限り、電装品箱75の底面部751よりも天面部756に近い位置に、配置されてもよい。
【0148】
(7−10)変形例J
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、中間ユニット40の設置状態において、フレアナット74の高さ位置以下に位置していた。しかし、必ずしもこれに限定されず、冷媒漏洩センサ85は、天井裏空間SP2に漏洩した冷媒を検知可能な限り、中間ユニット40の設置状態において、フレアナット74の高さ位置よりも高く位置するように配置されてもよい。
【0149】
(7−11)変形例K
上記実施形態では、設置状態において、冷媒漏洩センサ85と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h3は、200mm以下であった。しかし、必ずしもこれに限定されず、冷媒漏洩センサ85は、天井裏空間SP2に漏洩した冷媒を検知可能な限り、設置状態における冷媒漏洩センサ85と天井裏底面部C1との垂直距離h3が200mmよりも大きくなるように配置されてもよい。
【0150】
(7−12)変形例L
上記実施形態では、設置状態において、電装品箱75の底面部751と、天井裏底面部C1と、の垂直距離h2は、100mm以下であった。しかし、必ずしもこれに限定されず、冷媒漏洩センサ85は、天井裏空間SP2に漏洩した冷媒を検知可能な限り、設置状態における底面部751と天井裏底面部C1との垂直距離h2が100mmよりも大きくなるように配置されてもよい。
【0151】
(7−13)変形例M
上記実施形態では、天井裏底面部C1と天井裏天面部C2の垂直距離h1は、1300mmであった。しかし、垂直距離h1は、必ずしもこれに限定されず、1300mm未満であってもよいし、1300mmより大きくてもよい。
【0152】
(7−14)変形例N
上記実施形態では、R32が冷媒回路RCを循環する冷媒として用いられていた。しかし、冷媒回路RCで用いられる冷媒は、特に限定されない。例えば、冷媒回路RCでは、HFO1234yf、HFO1234ze(E)やこれらの冷媒の混合冷媒などが、R32に代えて用いられてもよい。また、冷媒回路RCでは、R407CやR410A等のHFC系冷媒を用いられてもよい。
【0153】
(7−15)変形例O
上記実施形態では、室外ユニット制御部28、各室内ユニット30(30a、30b・・・30n)の室内ユニット制御部34、及び各中間ユニット40(40a、40b・・・40n)の中間ユニット制御部48が、通信線で接続されることでコントローラ90が構成されていた。しかし、コントローラ90の一部又は全部は、必ずしも、室外ユニット10、室内ユニット30、及び中間ユニット40のいずれかに配置される必要はなく、LANやWAN等のネットワークを介して接続された遠隔地に配置されてもよい。
【0154】
(7−16)変形例P
上記実施形態では、電装品箱75は、ケーシング本体71に固定されていた。しかし、電装品箱75は、ケーシング本体71と一体に構成されてもよい。係る場合、電動切換弁EVや各冷媒配管が収容される機械室と、電気部品81及び冷媒漏洩センサ85が収容される電装品室と、を形成する仕切り壁を、ケーシング本体71内に配置すればよい。
【0155】
(7−17)変形例Q
上記実施形態では、電装品箱75のカバー部77は、電装品箱75の底面部751及び背面部755を構成していた。換言すると、電装品箱75の底面部751は、カバー部77に含まれていた。しかし、底面部751は、必ずしもカバー部77に含まれる必要はない。例えば、底面部751は、電装品箱本体部76に含まれるように構成してもよい。係る場合、例えば、カバー部77を、略平板状に構成し、電装品箱本体部76を、背面部分に開口が形成された箱状に構成してもよい。すなわち、電装品箱75は、底面部751、左側面部752、右側面部753、正面部754、及び天面部756を構成する電装品箱本体部76と、背面部755を構成するカバー部77と、から構成されてもよい。
【0156】
(7−18)変形例R
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、設置状態において、プリント基板80よりも下方に配置されていた。すなわち、冷媒漏洩センサ85は、電装品箱75の収容空間75aにおいて、電気部品81が実装されたプリント基板80上に配置されていなかった。しかし、冷媒漏洩センサ85は、電気部品81と同様に、プリント基板80上に配置されてもよい。係る場合、冷媒漏洩センサ85は、各電気部品81よりも下方に配置されることが好ましい。
【0157】
(7−19)変形例S
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ85は、収容空間75aにおいて、設置状態において、底面部751の上方に配置されていた。しかし、これに限定されず、冷媒漏洩センサ85は、底面部751の上面に当接するように配置されてもよい。例えば、冷媒漏洩センサ85は、底面部751の上面に載置されてもよい。係る場合には、冷媒漏洩センサ85が底面部751の上方に配置される場合よりも、冷媒漏洩センサ85と天井裏底面部C1との間の垂直距離h3が小さくなり、例えば空気よりも比重が大きいR32が漏洩した場合でも、冷媒漏洩をさらに迅速に検知することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、冷媒の流れを切り換える冷媒流路切換ユニットに利用可能である。
【符号の説明】
【0159】
10 :室外ユニット(熱源ユニット)
30(30a、30b・・・30n) :室内ユニット(利用ユニット)
40(40a、40b・・・40n) :中間ユニット(冷媒流路切換ユニット)
41 :第1電動弁(切換弁)
42 :第2電動弁(切換弁)
43 :第3電動弁(切換弁)
45 :過冷却熱交換器
46 :第1流路
47 :第2流路
48 :中間ユニット制御部
50 :第1連絡配管
51 :液連絡管(第1連絡配管)
52 :吸入ガス連絡管(第1連絡配管)
53 :高低圧ガス連絡管(第1連絡配管)
56 :第1接続配管(第1連絡配管)
57 :第2接続配管(第1連絡配管)
58 :第3接続配管(第1連絡配管)
60 :第2連絡配管(第1連絡配管)
65 :吊り具
70 :ケーシングユニット
71 :ケーシング本体(ケーシング)
72 :固定具
73 :配管接続部
74 :フレアナット
75 :電装品箱
75a :収容空間
76 :電装品箱本体部
77 :カバー部
80 :プリント基板
81 :電気部品
85 :冷媒漏洩センサ
90 :コントローラ
100 :空調システム
751 :底面部
752 :左側面部
753 :右側面部
754 :正面部
755 :背面部
756 :天面部
C1 :天井裏底面部
C2 :天井裏天面部
EV :電動切換弁(切換弁)
GP :ガス管(第2連絡配管)
LP :液管(第2連絡配管)
P1 :第1配管(第1冷媒配管)
P2 :第2配管(第2冷媒配管)
P3 :第3配管(第2冷媒配管)
P4 :第4配管(第1冷媒配管)
P6 :第6配管(第1冷媒配管)
R1(Ra、Rb・・・Rn) :リモコン
RC :冷媒回路
SL :スリット
SP1 :室内空間
SP2 :天井裏空間
h1、h2、h3 :垂直距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】
【特許文献1】特開2008−39276号公報
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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