【実施例】
【0038】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
【0039】
実施例1〜11及び比較例1〜14で使用した材料は次の通りである。
【0040】
[透明基材]
ポリエチレンテレフタレートフィルム 商品名:50UH13(東レ株式会社製)、厚み50μm
【0041】
[高屈折率ハードコート層形成用塗液]
UV硬化型機能性ハードコート剤 商品名:リオデュラス(登録商標)TYZシリーズ(東洋インキ株式会社製、高屈折粒子:ZrO
2)
より具体的には、TYZ65(実施例1、3〜9、比較例1〜12)、TYZ63(実施例2)、TYZ58(実施例10)、TYZ71(実施例11)、TYZ57(比較例13)、TYZ72(比較例14)を使用した。
【0042】
[高屈折率層形成用塗液]
UV硬化型機能性ハードコート剤 商品名:リオデュラス(登録商標)TYZシリーズ(東洋インキ株式会社製、高屈折粒子:ZrO
2)、または、TYTシリーズ(東洋インキ株式会社製、高屈折粒子:TiO
2)
より具体的には、TYZ71(実施例1、4〜10、比較例3〜14)、TYZ65(実施例2)、TYZ76(実施例3)、TYZ72(実施例11)、TYZ60(比較例1)、TYT90(比較例2)を使用した。
【0043】
[低屈折率層形成用塗液(実施例1〜3、6〜11、比較例1、2、5〜14)]
・プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート
商品名:CD501(巴工業株式会社製) 100質量部
・光重合開始剤:イルガキュア184(BASF社製) 5質量部
・溶剤:メチルエチルケトン(東洋インキ株式会社性) 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(東洋インキ株式会社性)50質量部
【0044】
[低屈折率層形成用塗液(実施例4)]
・1,2−ジアクリロキシメチル-パーフルオロシクロヘキサン
商品名:LINC−102A(共栄社化学株式会社製) 100質量部
・光重合開始剤:イルガキュア184(BASF社製) 5質量部
・溶剤:メチルエチルケトン(東洋インキ株式会社性) 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(東洋インキ株式会社性)50質量部
【0045】
[低屈折率層形成用塗液(実施例5)]
・ビスフェノールAEO3.8モル付加物ジアクリレート
商品名:ビスコート#700HV(大阪有機化学工業株式会社製) 100質量部
・光重合開始剤:イルガキュア184(BASF社製) 5質量部
・溶剤:メチルエチルケトン(東洋インキ株式会社性) 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(東洋インキ株式会社性)50質量部
【0046】
[低屈折率層形成用塗液(比較例3)]
・1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート
商品名:ビスコート8FM(大阪有機化学工業株式会社製) 100質量部
・光重合開始剤:イルガキュア184(BASF社製) 5質量部
・溶剤:メチルエチルケトン(東洋インキ株式会社性) 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(東洋インキ株式会社性)50質量部
【0047】
[低屈折率層形成用塗液(比較例4)]
・UV硬化型機能性ハードコート剤
商品名:リオデュラス(登録商標)TYZ65(東洋インキ株式会社製、高屈折粒子:ZrO
2)
【0048】
(透明積層フィルムの作製)
透明基材の一方面に、高屈折率ハードコート層形成塗液を乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように塗布し、乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて照射線量300mJ/m
2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させて、高屈折率ハードコート層を形成した。
【0049】
次に、高屈折率ハードコート層上に、高屈折率層形成用塗液を乾燥後の膜厚が表1に示す膜厚となるように塗布し、乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて照射線量300mJ/m
2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させて、高屈折率層を形成した。
【0050】
次に、高屈折率層上に、低屈折率層形成用塗液を乾燥後の膜厚が表1に示す膜厚となるように塗布し、乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて照射線量300mJ/m
2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させて、低屈折率層を形成した。
【0051】
(透明導電フィルムの作製)
次に、低屈折率層上にITOからなる透明導電層を形成した。透明導電層は、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて真空中でスパッタリングを行うことにより、表1に示す膜厚に成膜した。尚、実施例1〜11、比較例1〜10、13及び14では、スパッタリングターゲットとして、スズ含有率が5質量%のITOを用い、比較例11では、スズ含有率が3質量%のITOを用い、比較例12では、スズ含有率が7質量%のITOを用いた。成膜後、150℃で1時間のアニール処理を施して、透明導電フィルムを得た。
【0052】
また、実施例1〜11、比較例1〜8及び13〜14については、透明導電層形成前の透明積層フィルムについて、反射光及び透過光の色座標(上述したa
*3、b
*3、a
*4、b
*4)、550nmの光の透過率を測定し、透明導電層形成後の透明導電フィルムについて、反射光及び透過光の色座標(a
*1、b
*1、a
*2、b
*2)、550nmの光の透過率(t、T)、表面抵抗値を測定した。残りの比較例9〜12については、透明導電層形成後の透明導電フィルムについて、反射光及び透過光の色座標(a
*3、b
*3、a
*4、b
*4)、550nmの光の透過率(T)、表面抵抗値を測定した。測定条件は次の通りである。
【0053】
[光学特性(a
*、b
*、t、T)]
色座標a
*及びb
*の値は、透明導電層側から入射角5°で光を照射し、角度可変式絶対反射測定装置(U−4100;株式会社日立製作所製)を用いて測定した。また、透過率t及びTは、波長550nmの光を用いて測定した。
【0054】
[表面抵抗値]
表面抵抗値は、抵抗率計(ロレスタGP MCP−T610型;株式会社三菱化学アナリテック)を用いて、印可電圧10Vで測定した。
【0055】
表1に、実施例1〜11及び比較例1〜14の各層の屈折率、膜厚、透明導電層形成前後の各測定値を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示すように、実施例1〜11では、高屈折率ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電層の屈折率及び膜厚を上述した範囲内としたことによって、透明電極層形成前及び形成後のいずれにおいても、色座標の値と透過率とが好ましい範囲内となり、反射光及び透過光の着色が抑制されると共に、高い光透過率を有することが確認された。また、実施例1〜11では、表面抵抗値の値も100Ω/□未満であり、大型のタッチパネルに適していることが確認された。
【0058】
これに対して、比較例1〜4、6〜8、13及び14では、高屈折率ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の屈折率及び膜厚のいずれかが上述した範囲から外れたことによって、透明導電層を形成した後の透明導電フィルムにおいて、色座標の値が好ましい範囲から外れて、反射光及び透過光の着色が認められるか、あるいは、透過率が低下した。
【0059】
また、比較例5では、高屈折率層をウェットコーティング法により膜厚5nmで成膜しようとしたが、膜が薄すぎるため、ウェットコーティング法で形成することはできず、サンプルを得ることができなかった。
【0060】
また、比較例9〜12は、高屈折率ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の屈折率及び膜厚が実施例1と同じであるが、透明導電層の屈折率または膜厚が上述した範囲から外れたものである。実施例1と比較例9〜12との対比から、高屈折率ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の屈折率及び膜厚の全てが上述した範囲内にある透明積層フィルムは、屈折率が1.80以上2.00以下、かつ、膜厚が25nm以上35nm以下である透明導電層を成膜した透明導電フィルムに好適であることが確認された。これに対して、比較例9では、透明導電層の膜厚が薄すぎることによって、表面抵抗値が100Ω/□を越えた。比較例10では、透明導電層の膜厚が厚すぎることによって、反射光及び透過光の着色が認められ、更に、透過率も低くなった。比較例11では、実施例1〜11と比べてスズ含有率が少ないITOを用いて透明導電層を形成したため、表面抵抗値が100Ω/□を越えた。比較例12では、透明導電層の屈折率が高すぎることによって、反射光及び透過光の着色が認められ、更に、透過率も低くなった。
【0061】
以上より、本発明によれば、透明導電層を厚膜化した場合でも、高透過率を有し、反射光及び透過光の着色を抑制できる透明積層フィルム及び透明導電フィルムを実現できることが確認された。