【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
<試験例1(たこ焼きにおける難消化性澱粉の影響)>
下記表1に示すように、低糖質原料(難消化性澱粉及び豆乳粉末)の含有量の異なる試料1,2,3,4の配合からなるたこ焼き用ミックス粉を調製した。難消化性澱粉としては、松谷化学工業株式会社製の「ファイバージムRW」(商品名)を用いた。
【0054】
上記各ミックス粉100gに対して、水300ml、全卵50gを加えて混ぜ、生地を作成した。この生地を200℃のたこ焼き焼成機で適宜反転しながら約10分間焼成して、それぞれのミックス粉からなるたこ焼きを製造した。
【0055】
【表1】
【0056】
これらのたこ焼きについて、外観・ボリューム、食感・とろみ・口溶け、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はとろみがあり口溶けが良いものを高得点、逆にべったりして口溶けが悪い、あるいは口当たりが悪いものを低得点とした。食味はまろやかで出汁風味原料の香りが立つものを高得点とした。
【0057】
評価は、試料1を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2の結果から、難消化性澱粉の配合割合が多いほど、素材由来のぼそつきや後味の悪さが顕著になった。
【0060】
<試験例2(たこ焼きにおける麹の添加効果)>
下記表3に示すように、難消化性澱粉及び豆乳粉末(試験例1と同じ)を含有し、麦麹粉末の含有量の異なる比較例1,実施例1,実施例2,実施例3の配合からなるたこ焼き用ミックス粉を調製した。麦麹粉末としては、日東富士製粉株式会社製の麦麹原末を用いた。上記各ミックス粉を用いて、試験例1と同様にして、たこ焼きを製造した。
【0061】
【表3】
【0062】
これらのたこ焼きについて、外観・ボリューム、食感・とろみ・口溶け、食味・後味を、試験例1と同様な方法により、7名のパネラーによって評価した。
【0063】
評価は、比較例1を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、全パネラーの平均点で表示した。この結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示すように、麦麹粉末を添加することにより、無添加の比較例1よりも、食感のとろみが増して口当たりが良く、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0066】
<試験例3(お好み焼き)>
下記表5に示す配合で、難消化性デキストリンを使用し、お好み焼き用のミックス粉を調整した。麦麹原末、難消化性澱粉は試験例1、2と同様のものを用い、難消化性デキストリンは松谷化学工業株式会社製の「ファイバーソル2」(商品名)を用いた。
【0067】
上記ミックス粉100gに対して、水140mlを加えて混ぜ、お好み焼きの生地を作成した。この生地にキャベツ280g、全卵50gを加えて混ぜた。200℃の鉄板で適宜反転しながら約10分間焼成して、お好み焼きを製造した。
【0068】
【表5】
【0069】
これらのお好み焼きについて、外観・ボリューム、食感・口当たり、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はふんわりとして口溶けが良いものを高得点、逆にぼそぼそして口溶けが悪いものを低得点とした。食味はまろやかで出汁風味原料の香りが立つものを高得点とした。
【0070】
評価は、比較例2を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表6に示す。
【0071】
【表6】
【0072】
表6に示すように、麦麹粉末を加えた実施例4は、麦麹粉末を加えない比較例2に比べて、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減され、口当たりがよく、食味も良好になった。
【0073】
<試験例4(鯛焼き)>
下記表7に示す配合で、鯛焼き用のミックス粉を調製した。麦麹粉末、難消化性澱粉としては、試験例1、2と同様なものを用いた。
【0074】
上記ミックス粉100gに対して、水115ml、全卵50gを加えて混ぜ、鯛焼きの生地を作成した。この生地を180℃の鯛焼き焼成機に流し込み、餡を挟んで適宜反転しながら約10分間焼成して、鯛焼きを製造した。
【0075】
【表7】
【0076】
これらの鯛焼きについて、外観・ボリューム、食感・しっとり感、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はふんわり、しっとりとして口溶けが良いものを高得点、逆にぼそぼそして口溶けが悪いものを低得点とした。食味はまろやかな甘さが感じられるものを高得点とした。
【0077】
評価は、比較例3を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表8に示す。
【0078】
【表8】
【0079】
表8に示すように、麦麹粉末を加えた実施例5は、麦麹粉末を加えない比較例3に比べて、食感の粉っぽさがなくなり、口当たりがよく、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0080】
<試験例5(ホットケーキ)>
下記表9に示す配合で、ホットケーキ用のミックス粉を調製した。ふすま粉末としては日東富士製粉株式会社製の「パウダーブラン」(商品名)を用い、麦麹粉末としては、試験例1、2と同様なものを用いた。
【0081】
上記ミックス粉100gに対して、牛乳100ml、全卵50gを加えて混ぜ、ホットケーキの生地を作成した。この生地を160℃の鉄板で適宜反転しながら約6分半焼成して、ホットケーキを製造した。
【0082】
【表9】
【0083】
これらのホットケーキについて、外観・ボリューム、食感・しっとり感、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はふんわり、しっとりとして口溶けが良いものを高得点、逆にぼそぼそして口溶けが悪いものを低得点とした。食味はまろやかな甘さが感じられるものを高得点とした。
【0084】
評価は、比較例4を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表10に示す。
【0085】
【表10】
【0086】
表10に示すように、麦麹粉末を加えた実施例6は、麦麹粉末を加えない比較例4に比べて、食感の粉っぽさが軽減され、口当たりがよく、しっとりとした食感になり、ふすま粉末由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0087】
<試験例6(ドーナツ)>
下記表11に示す配合で、ドーナツ用のミックス粉を調製した。麦麹粉末、難消化性澱粉としては、試験例1、2と同様なものを用いた。
【0088】
上記ミックス粉100gに対して、牛乳15ml、全卵50gを加えて混ぜ、ドーナツの生地を作成した。この生地を7〜10mm程度の厚さに伸ばし、ドーナツ形状に型抜きをした。得られた成形物を175℃の油で約3分間油ちょうして、ドーナツを製造した。
【0089】
【表11】
【0090】
これらのドーナツについて、外観・ボリューム、食感・しっとり感、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はふんわり、しっとりとして口溶けが良いものを高得点、逆にぼそぼそして口溶けが悪いものを低得点とした。食味はまろやかな甘さが感じられるものを高得点とした。
【0091】
評価は、比較例5を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表12に示す。
【0092】
【表12】
【0093】
表12に示すように、麦麹粉末を加えた実施例7は、麦麹粉末を加えない比較例5に比べて、食感の粉っぽさが軽減され、口当たりがよく、しっとりとした食感になり、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0094】
<試験例7(蒸しパン)>
下記表13に示す配合で、蒸しパン用のミックス粉を調製した。麦麹粉末、難消化性澱粉としては、試験例1、2と同様なものを用いた。
【0095】
上記ミックス粉100gに対して、水100mlを加えて混ぜ、蒸しパンの生地を作成した。この生地60gをアルミカップに入れ、蒸し器で約12分間蒸して、蒸しパンを製造した。
【0096】
【表13】
【0097】
これらの蒸しパンについて、外観・ボリューム、食感・しっとり感、食味・後味を評価した。外観は保形性やボリューム感の優れたものを高得点とし、食感はふんわり、しっとりとして口溶けが良いものを高得点、逆にぼそぼそして口溶けが悪いものを低得点とした。食味はまろやかな甘さが感じられるものを高得点とした。
【0098】
評価は、比較例6を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、7名のパネラーの平均点で表示した。この結果を表14に示す。
【0099】
【表14】
【0100】
表14に示すように、麦麹粉末を加えた実施例8は、麦麹粉末を加えない比較例6に比べて、食感の粉っぽさが軽減され、口当たりがよく、しっとりとした食感になり、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0101】
<試験例8(各種麹原料を用いた試験)>
下記表15に示す配合で、麹粉末の種類を変えた各種のたこ焼き用ミックス粉を調製した。これらのミックス粉を用いて、試験例1と同様にして、たこ焼きを製造した。
【0102】
【表15】
【0103】
これらのたこ焼きについて、外観・ボリューム、食感・とろみ・口溶け、食味・後味を、試験例1と同様な方法により、7名のパネラーによって評価した。
【0104】
評価は、比較例1を3として、それと比較して、大変良いものを5、よいものを4、変わらないものを3、悪いものを2、大変悪いものを1とし、全パネラーの平均点で表示した。この結果を表16に示す。
【0105】
【表16】
【0106】
表16に示すように、麹粉末を加えた実施例9〜15は、麹粉末を加えない比較例1よりも、食感のとろみが増して口当たりが良く、難消化性澱粉由来のぼそつきや後味の悪さが軽減された。
【0107】
また、米麹粉末を加えた実施例11は米の風味が加わることで難消化性澱粉由来の後味のマスキング効果が高く、酒麹粉末を使用した実施例15についても特有の酒の香りによりマスキング効果が高いものの好みが分かれる結果となった。