特許第6803683号(P6803683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803683
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20201214BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201214BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20201214BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20201214BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20201214BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20201214BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201214BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H05B33/12 E
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   H05B33/04
   H05B33/26 Z
   H05B33/28
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-101217(P2016-101217)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-120758(P2017-120758A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0187639
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】尹 元▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 利受
(72)【発明者】
【氏名】朴 應▲ソク▼
(72)【発明者】
【氏名】李 炳徳
(72)【発明者】
【氏名】鄭 允雅
(72)【発明者】
【氏名】趙 尹衡
(72)【発明者】
【氏名】朱 容贊
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−032010(JP,A)
【文献】 特開2009−087752(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/120895(WO,A1)
【文献】 特開2015−220069(JP,A)
【文献】 特開2011−060780(JP,A)
【文献】 特開2016−042449(JP,A)
【文献】 特開2009−272150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された画素電極と、
前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜と、
前記開口によって露出された前記画素電極上に配置され、有機発光層を含む中間層と、
前記中間層上に配置された対向電極と、
前記対向電極上に配置され、少なくとも1層の無機膜、及び量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体と、を含み、
前記少なくとも1層の無機膜は、前記対向電極上に配置された第1無機膜、及び前記第1無機膜上に配置された第2無機膜を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1無機膜及び前記第2無機膜の間に配置された下部有機膜を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第2無機膜上に配置された上部有機膜をさらに含み、
前記少なくとも1層の無機膜は、前記上部有機膜上に配置された第3無機膜をさらに含む有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第2無機膜は、前記第1無機膜と直接接する第1領域、及び前記下部有機膜を挟み、前記第1無機膜と離隔されている第2領域を含むことを特徴とする、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記有機発光層は、青色光を放出することを特徴とする、請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記量子点は、前記青色光の少なくとも一部を吸収して黄色光を放出し、前記青色光の少なくとも一部は、前記量子点を含む有機膜を透過することを特徴とする、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に配置された画素電極と、
前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜と、
前記開口によって露出された前記画素電極上に配置され、有機発光層を含む中間層と、
前記中間層上に配置された対向電極と、
前記対向電極上に配置され、少なくとも1層の無機膜、及び量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体と、を含み、
前記画素電極は、互いに離隔されている第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極を含み、
前記画素定義膜は、前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の少なくとも一部をそれぞれ露出させる第1開口、第2開口及び第3開口を含み、
前記中間層は、前記第1画素電極上に配置された第1中間層を含み、前記第2画素電極上に配置された第2中間層を含み、前記第3画素電極上に配置された第3中間層を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1開口内に配置され、第1量子点を含む第1有機膜を含み、前記第2開口内に配置され、第2量子点を含む第2有機膜を含み、前記第3開口内に配置され、第3量子点を含む第3有機膜を含み、
前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第3中間層は、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光を放出し、前記第1量子点、前記第2量子点及び前記第3量子点は、それぞれ赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点である有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第1有機膜、前記第2有機膜及び前記第3有機膜は、前記画素定義膜によって互いに分離されたことを特徴とする、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜の厚さは、約20μm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記少なくとも1層の無機膜は、厚さが約5μm以下であり、かつ、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)及び酸化アルミニウム(Al)を含むグループから選択された少なくとも1つの無機物を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記画素電極は、光を反射する反射電極であり、前記対向電極は、該光の少なくとも一部を透過させる透明電極または半透明電極であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
基板上に画素電極を形成する段階と、
前記画素電極上に、前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜を形成する段階と、
前記開口によって露出された前記画素電極上に、有機発光層を含む中間層を形成する段階と、
前記中間層上に対向電極を形成する段階と、
前記対向電極上に少なくとも1層の無機膜、及び量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体を形成する段階と、を含み、
前記少なくとも1層の無機膜は、前記対向電極上に配置された第1無機膜、及び前記第1無機膜上に配置された第2無機膜を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1無機膜及び前記第2無機膜の間に配置された下部有機膜を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第2無機膜上に配置された上部有機膜をさらに含み、
前記少なくとも1層の無機膜は、前記上部有機膜上に配置された第3無機膜をさらに含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記封止構造体を形成する段階は、
前記対向電極上に第1無機膜を形成する段階と、
前記第1無機膜上に量子点を含む有機膜を形成する段階と、
前記下部有機膜上に第2無機膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機膜を形成する段階は、
量子点が分散された有機物をインクジェットプリンティング法によって、前記画素定義膜に含まれる前記開口内に形成する段階と、
前記量子点が分散された有機物を硬化する段階と、を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2無機膜を形成する段階は、
前記第1無機膜と直接接する第1領域と、前記量子点を含む有機膜を挟み、前記第1無機膜と離隔された第2領域と、を含むように、前記第2無機膜を形成する段階を含むことを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
基板上に画素電極を形成する段階と、
前記画素電極上に、前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜を形成する段階と、
前記開口によって露出された前記画素電極上に、有機発光層を含む中間層を形成する段階と、
前記中間層上に対向電極を形成する段階と、
前記対向電極上に少なくとも1層の無機膜、及び量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体を形成する段階と、を含み、
前記画素電極は、互いに離隔されている第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極を含み、
前記画素定義膜は、前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の少なくとも一部をそれぞれ露出させる第1開口、第2開口及び第3開口を含み、
前記中間層は、前記第1画素電極上に配置された第1中間層を含み、前記第2画素電極上に配置された第2中間層を含み、前記第3画素電極上に配置された第3中間層を含み、
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1開口内に配置され、第1量子点を含む第1有機膜を含み、前記第2開口内に配置され、第2量子点を含む第2有機膜を含み、前記第3開口内に配置され、第3量子点を含む第3有機膜を含み、
前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第3中間層は、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光を放出し、前記第1量子点、前記第2量子点及び前記第3量子点は、それぞれ赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点である有機発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1有機膜、前記第2有機膜及び前記第3有機膜は、前記画素定義膜によって互いに分離されたことを特徴とする、請求項14に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜の厚さは、約20μm以下であることを特徴とする、請求項10〜15のいずれかに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1層の無機膜は、厚さが約5μm以下であり、かつ、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)及び酸化アルミニウム(Al)を含むグループから選択された少なくとも1つの無機物を含むことを特徴とする、請求項10〜16のいずれかに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、量子点(quantum dot)を含む有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、正孔注入電極、電子注入電極、及びそれらの間に形成されている有機発光層を含む有機発光素子を具備し、正孔注入電極から注入される正孔と、電子注入電極から注入される電子とが有機発光層で結合して生成された励起子(exciton)が、励起状態(excited state)から基底状態(ground state)に遷移しながら光を発生させる自発光型表示装置である。
【0003】
自発光型表示装置である有機発光表示装置は、別途の光源が不要であるので、低電圧で駆動が可能であり、軽量の薄型に構成することができ、視野角、コントラスト(contrast)、応答速度などの特性に優れるので、MP3プレーヤや携帯電話のような個人用携帯機器から、テレビ(TV:television)に至るまで応用範囲が拡大している。
【0004】
最近、有機発光表示装置の薄型化及び/またはフレキシブル化のために、有機発光素子を密封する手段として、複数層の無機膜及び有機膜を含む薄膜封止(TFE:thin film encapsulation)が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第10−2009−0036373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、フレキシブル化が容易であり、色純度を向上させた有機発光表示装置及びその製造方法を提供することである。しかし、このような課題は、例示的なものであり、それによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、基板、前記基板上に配置された画素電極、前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜、前記開口によって露出された前記画素電極上に配置され、有機発光層を含む中間層、前記中間層上に配置された対向電極、及び前記対向電極上に配置され、少なくとも1層の無機膜、及び量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体を含む有機発光表示装置を開示する。
【0008】
一実施形態において、前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜の厚さは、約20μm以下でもある。
【0009】
一実施形態において、前記少なくとも1層の無機膜は約5μm以下の厚さを有し、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を含むグループから選択された少なくとも1つの無機物を含んでもよい。
【0010】
一実施形態において、前記画素電極は、光を反射する反射電極であり、前記対向電極は、光の少なくとも一部を透過させる透明電極または半透明電極でもある。
【0011】
一実施形態において、前記有機発光層は、青色光を放出することができる。
【0012】
一実施形態において、前記量子点は、前記青色光の少なくとも一部を吸収して黄色光を放出し、前記青色光の少なくとも一部は、前記量子点を含む有機膜を透過することができる。
【0013】
一実施形態において、前記少なくとも1層の無機膜は、前記対向電極上に配置された第1無機膜、及び前記第1無機膜上に配置された第2無機膜を含み、前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1無機膜及び前記第2無機膜の間に配置された下部有機膜を含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、前記第2無機膜は、前記第1無機膜と直接接する第1領域、及び前記下部有機膜を挟み、前記第1無機膜と離隔されている第2領域を含んでもよい。
【0015】
一実施形態において、前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第2無機膜上に配置された上部有機膜をさらに含み、前記少なくとも1層の無機膜は、前記上部有機膜上に配置された第3無機膜をさらに含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、前記画素電極は、互いに離隔されている第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極を含み、前記画素定義膜は、前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の少なくとも一部をそれぞれ露出させる第1開口、第2開口及び第3開口を含み、前記中間層は、前記第1画素電極上に配置された第1中間層、前記第2画素電極上に配置された第2中間層、及び前記第3画素電極上に配置された第3中間層を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜は、前記第1開口内に配置され、第1量子点を含む第1有機膜、前記第2開口内に配置され、第2量子点を含む第2有機膜、及び前記第3開口内に配置され、第3量子点を含む第3有機膜を含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第3中間層は、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光を放出し、前記第1量子点、前記第2量子点及び前記第3量子点は、それぞれ赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点でもある。
【0019】
一実施形態において、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第3中間層は、いずれも白色光を放出し、前記第1量子点、前記第2量子点及び前記第3量子点は、それぞれ赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点でもある。
【0020】
一実施形態において、前記第1有機膜、前記第2有機膜及び前記第3有機膜は、前記画素定義膜によって互いに分離される。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、基板上に画素電極を形成する段階、前記画素電極上に、前記画素電極の少なくとも一部を露出させる開口を含む画素定義膜を形成する段階、前記開口によって露出された前記画素電極上に、有機発光層を含む中間層を形成する段階、前記中間層上に対向電極を形成する段階、並びに前記対向電極上に少なくとも1層の無機膜及び、量子点を含み、前記開口内に配置された少なくとも1層の有機膜を含む封止構造体を形成する段階を含む有機発光表示装置の製造方法を開示する。
【0022】
一実施形態において、前記量子点を含む少なくとも1層の有機膜の厚さは、約20μm以下でもある。
【0023】
一実施形態において、前記少なくとも1層の無機膜は、約5μm以下の厚さを有し、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を含むグループから選択された少なくとも1つの無機物を含んでもよい。
【0024】
一実施形態において、前記封止構造体を形成する段階は、前記対向電極上に第1無機膜を形成する段階、前記第1無機膜上に量子点を含む有機膜を形成する段階、及び前記有機膜上に第2無機膜を形成する段階を含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、前記有機膜を形成する段階は、量子点が分散された有機物をインクジェットプリンティング法によって、前記画素定義膜に含まれる前記開口内に形成する段階、及び前記量子点が分散された有機物を硬化する段階を含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、前記第2無機膜を形成する段階は、前記第1無機膜と直接接する第1領域と、前記量子点を含む有機膜を挟み、前記第1無機膜と離隔された第2領域とを含むように、前記第2無機膜を形成する段階を含んでもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態によれば、量子点が分散された有機膜を含む薄膜封止を具備することにより、フレキシブル化が容易であり、色純度が改善された有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる。ただし、このような効果によって、本発明の範囲が限定されるものではないということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
図2】他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
図3A図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3B図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3C図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3D図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3E図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3F図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図3G図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
図4】さらに他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現されるのである。
【0030】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用されている。
【0031】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0032】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0033】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素などの部分が、他の部分の上に、または上部にあるとするとき、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間に他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0034】
図面では、説明の便宜のために、構成要素が、その大きさが誇張または縮小されていることもある。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示されており、本発明は、必ずしも図示された例に限定されるものではない。
【0035】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それについての重複説明は略する。
【0036】
<1.第1の実施形態>
図1は、一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。
【0037】
図1を参照すれば、一実施形態による有機発光表示装置1は、基板110、基板110上に配置された画素電極120、前記画素電極120上に配置されて有機発光層133を含む中間層130、前記中間層130上に配置された対向電極140、及び対向電極140上に配置されながら、少なくとも1層の無機膜151,153,155、及び量子点152a,154aを含む少なくとも1層の有機膜152、154を含む封止構造体150を含む。
【0038】
前記基板110は、ガラス、金属またはプラスチックなど多様な素材から構成される。一実施形態によれば、基板110は、フレキシブル素材の基板110を含んでもよい。ここで、フレキシブル素材の基板110とは、良好に反って曲がりながら、折り畳んだり巻き取ったりすることができる基板を指す。このようなフレキシブル素材の基板110は、超薄型ガラス、金属またはプラスチックから構成される。例えば、プラスチックを使用する場合、基板110は、ポリイミド(PI:polyimide)からも構成されるが、それに制限されるものではない。
【0039】
前記基板110上には、有機発光素子OLEDが配置され、有機発光素子OLEDは、画素電極120、中間層130及び対向電極140を含んでもよい。
【0040】
前記画素電極120は、反射層を含む反射電極でもある。一実施形態によれば、前記反射層は、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)及びクロム(Cr)を含むグループから選択された少なくともいずれか一つを含み、該反射層上には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In2O3)、インジウムガリウム酸化物(IGO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された少なくともいずれか一つによって形成された透明電極層または半透明電極層がさらに配置される。例えば、画素電極120は、ITO/Ag/ITOの3層によって構成される。
【0041】
前記対向電極120は、多様な導電性材料から構成され、透明電極または半透明電極でもある。一実施形態によれば、対向電極120は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、イッテルビウム(Yb)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、LiF/Ca、LiF/Al、MgAg及びCaAgのうちから選択された1以上の物質を含み、そして、前記物質を、数ないし数十nmの厚さを有する薄膜によって形成することにより、光を透過させることができるように構成することができる。
【0042】
すなわち、一実施形態による有機発光表示装置1は、中間層130から封止構造体150側に光が放出される前面発光型でもある。
【0043】
前記中間層130は、有機発光層(organic
emission layer)133を含み、有機発光層133以外に、共通層をさらに含んでもよい。一実施形態によれば、前記共通層は、画素電極120と有機発光層133との間に配置された正孔注入層(HIL)131及び正孔輸送層(HTL)132、有機発光層133と対向電極140との間に配置された電子輸送層(ETL)134、及び電子注入層(EIL)155を含んでもよい。
【0044】
しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、中間層130は、前記例示された共通層のうち少なくとも一部を含まなくてもよく、また、前記例示された共通層以外に、他の機能層をさらに含んでもよい。
【0045】
一実施形態によれば、前記有機発光層133の種類によって、有機発光素子OLEDは、赤色、緑色または青色の光を放出することができる。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、前記有機発光素子OLEDは、他の色相の光を放出したり、白色光を放出したりすることができる。
【0046】
前記白色光を放出する場合、有機発光素子OLEDに含まれる有機発光層133は、互いに異なる種類の有機発光層が積層された構造であるか、あるいは互いに異なる有機物質が混合されて形成された層でもある。
【0047】
前記有機発光素子OLED上には、封止構造体150が配置され、封止構造体150は、少なくとも1層の無機膜151,153,155と、少なくとも1層の有機膜152,154とを含んでもよい。一実施形態によれば、前記封止構造体150は、対向電極140上に配置された第1無機膜151、第1無機膜151上に配置されて量子点152aを含む下部有機膜152、下部有機膜152上に配置された第2無機膜153を含んでもよい。すなわち、下部有機膜152は、前記第1無機膜151と、第2無機膜153との間に配置される。前記第2無機膜153上には、量子点154aを含む上部有機膜154が配置され、上部有機膜154上には、第3無機膜155がさらに配置されてもよい。
【0048】
図1では、無機膜151,153,155が3層であり、有機膜152,154が2層である場合を図示したが、本発明は、かかる例に制限されるものではない。
【0049】
封止構造体150は、有機発光素子OLEDが、外部の空気や異物に露出されないように、有機発光素子OLEDを密封する役割を行い、非常に薄い厚さを有するので、ベンディング(bending)またはフォールディング(folding)などが可能なフレキシブル表示装置の封止手段に利用される。
【0050】
前記有機発光素子OLEDに含まれる対向電極140と封止構造体150との間には、有機発光素子OLEDから放出される光の特性を向上させる機能を遂行する機能層170がさらに配置され、前記機能層170は、キャッピング層、及びプラズマなどを利用した工程過程で発生する損傷から、有機発光素子OLEDを保護するカバー層を含んでもよい。一実施形態によれば、前記キャッピング層は、有機物を含み、カバー層は、LiFを含んでもよい。
【0051】
一実施形態によれば、前記無機膜151,153,155は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)または酸化アルミニウム(Al2O3)を含み、有機発光素子OLEDに、水分や酸素のような異物の侵透を遮断したり減少させたりする役割を行う。
【0052】
前記有機膜152,154は、有機物152b,154b、及び有機物152b,154bに分散している量子点152a,154aを含んでもよい。有機膜152,154は、無機膜151,153,155と共に使用され、封止構造体150の密封特性を向上させる機能、及び平坦ではない面を平坦化させる機能を行うことができる。前記有機物152b,154bは、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂など多様な有機物を含み、インクジェットプリンティングが可能な物質でもある。
【0053】
一実施形態によれば、前記無機膜151,153,155の厚さt1は、約5μm以下でもあり、有機膜152,154の厚さt2は、約20μm以下でもある。前記無機膜151,153,155の厚さt1が約5μmを超えるか、有機膜152,154の厚さt2が約20μmを超える場合、有機発光表示装置1の薄型化及びフレキシブル化が困難にもなる。
【0054】
また、前記無機膜151,153,155の厚さt1は、約300nmより厚くもなり、前記有機膜152,154の厚さt2は、約1μmより厚くもなる。前記無機膜151,153,155の厚さt1が約300nm以下である場合、有機発光素子OLEDに、水分や酸素などが侵透することを防ぎ難く、前記有機膜152,154の厚さt2が約1μm以下である場合、数ないし数百nmの大きさを有する量子点152a,154aを均一に分散させ難い。
【0055】
前記有機物152b,154bには、量子点152a,154aが分散している。量子点は、数ないし数百nmの大きさを有する球形の半導体ナノ物質であり、バンドギャップが小さい物質から構成されたコアCR(core)、及びコアCRを取り囲むように配置されたシェルSL(shell)を含んでもよい。量子点は、量子拘束効果(quantum confinement effect)によって、バルク状態の物質と異なり、不連続的なバンドギャップエネルギーを有する。従って、量子点は、所定の波長の光を吸収し、吸収された波長より長い波長の光を放出することができ、前記放出される光は、半値幅(FWHM:full width at half maximum)が小さい色純度が非常に高い光である。前記量子点は、量子点間の塊りを防止して溶解度を上昇させるキャッピングリガンドCL(capping ligand)をさらに含んでもよい。
【0056】
一実施形態によれば、前記コアCRは、II−VI族、III−V族、I−III−VI族、VI−IV族の半導体から構成され、CdSe、CdTe、CdS、ZnSe、ZnO、ZnTe、InP、InAs、GaP、GaInP2、PbS、TiO、AgI、AgBr、PbSe、In2S3、In2Se3、Cd3P2、Cd3As2、InGaN及びInNのうちから選択されたいずれか一つを含んでもよい。
【0057】
前記量子点は、大きさによってエネルギーバンド間の間隔が異なる特性があり、従って、同一量子点を使用するとしても、大きさが異なれば、互いに異なる波長の光を放出することができる。該量子点は、大きさが小さいほどエネルギーバンドギャップが大きくなり、従って、放出される光の波長が短くなる。
【0058】
前記有機膜152,154に含まれる前記量子点152a,154aは、所定の波長の光を吸収した後、吸収された波長より長い波長の光を放出することができ、一実施形態によれば、前記量子点152a,154aは、赤色光を放出する赤色量子点、緑色光を放出する緑色量子点、青色光を放出する青色量子点、または黄色光を放出する黄色量子点でもある。
【0059】
一実施形態によれば、前記有機発光素子OLEDは、青色光を放出することができ、封止構造体150の有機膜152,154に含まれる量子点152a,154aは、青色光を吸収して黄色光を放出する黄色量子点でもある。他の実施形態によれば、前記量子点152a,154aは、青色光を吸収して赤色光を放出する赤色量子点と、緑色光を放出する緑色量子点との組み合わせでもある。その場合、赤色光と緑色光との組み合わせによって黄色光が放出される。
【0060】
他の実施形態によれば、1層の有機膜152に含まれる量子点152aは、赤色量子点であり、他の有機膜154に含まれる量子点154aは、緑色量子点でもある。
【0061】
前記有機発光素子OLEDから放出される青色光の一部は、封止構造体150によって吸収されずに透過し、青色光の一部は、前記封止構造体150に含まれる量子点152a,154aによって吸収された後、黄色光に変換される。結果として、前記青色光と黄色光との組み合わせによって、有機発光表示装置1は、白色光を具現することができる。
【0062】
<2.第2の実施形態>
図2は、他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。以下では、図1の有機発光表示装置1との差異を中心に、一実施形態による有機発光表示装置2について説明する。
【0063】
図2を参照すれば、一実施形態による有機発光表示装置2は、基板210、基板210上に配置された画素電極220、画素電極220の少なくとも一部を露出させる開口260hを含む画素定義膜260、前記開口260hによって露出された画素電極220上に配置されて有機発光層を含む中間層230、中間層230上に配置された対向電極240、及び対向電極240上に配置され、少なくとも1層の無機膜251,253及び量子点252aを含み、前記開口260h内に配置された少なくとも1層の有機膜252を含む封止構造体250を含む。
【0064】
前記基板210と有機発光素子OLEDとの間には、有機発光素子OLEDを駆動しながら、少なくとも1つの薄膜トランジスタTFTを含む画素回路部が配置される。
【0065】
前記薄膜トランジスタTFTは、基板210上に配置された活性層213、活性層213の少なくとも一部上に配置されたゲート電極215、及びゲート電極215上に配置され、活性層213とそれぞれ電気的に連結されたソース電極217S及びドレイン電極217Dを含んでもよい。
【0066】
前記基板210と活性層213との間には、バッファ層212が配置され、前記活性層213とゲート電極215との間には、第1絶縁膜214が配置され、ゲート電極215上には、第2絶縁膜216が配置される。
【0067】
前記第2絶縁膜216上には、ソース電極217S及びドレイン電極217Dを覆う第3絶縁膜218が配置され、第3絶縁膜218は、ドレイン電極217Dの少なくとも一部を露出させるビアホールVIAを含んでもよい。前記ビアホールVIAを介して薄膜トランジスタTFTは、画素電極220と電気的に連結される。
【0068】
一実施形態によれば、画素電極220は、反射電極であり、対向電極240は、透明電極または半透明電極であり、中間層230に含まれる有機発光層から放出される光は、対向電極240を透過し、有機発光表示装置2の外部に放出される。すなわち、有機発光表示装置2は、前面発光型でもある。
【0069】
一実施形態によれば、前記薄膜トランジスタTFTは、画素電極220と平面上重畳されるように配置される。すなわち、基板210の主要面を垂直方向で見たとき、前記画素電極220と薄膜トランジスタTFTとの少なくとも一部は、互いに重畳される。
【0070】
前面発光型の有機発光表示装置2において、画素回路部の少なくとも一部を、基板210と画素電極220との間に配置することにより、画素回路部を配置する別途の空間を確保する必要がなく、それを介して、有機発光表示装置2の開口率を向上させることができる。
【0071】
前記中間層230は、有機発光層を含み、有機発光層以外に、正孔注入層及び正孔輸送層、電子輸送層及び/または電子注入層をさらに含んでもよい。一実施形態によれば、中間層230に含まれる有機発光層の種類によって、有機発光素子OLEDは、赤色、緑色または青色の光を放出することができる。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、前記有機発光素子OLEDは、他の色相の光を放出したり、白色光を放出したりすることができる。
【0072】
前記有機発光素子OLED上には、封止構造体250が配置され、封止構造体250は、少なくとも1層の無機膜251,253と、少なくとも1層の有機膜252とを含んでもよい。一実施形態によれば、前記封止構造体250は、対向電極240上に配置された第1無機膜251、第1無機膜251上に配置され、量子点252aを含む下部有機膜252、及び下部有機膜252上に配置された第2無機膜253を含んでもよい。図2では、無機膜251,253が2層であり、有機膜252が1層である場合を図示しているが、本発明は、かかる例に制限されるものではない。
【0073】
一実施形態によれば、前記無機膜251,253は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)または酸化アルミニウム(Al2O3)を含み、有機発光素子OLEDに、水分や酸素のような異物の侵透を遮断または減少させる役割を行う。
【0074】
前記有機膜252は、有機物252b、及び有機物252bに分散している量子点252aを含んでもよい。有機膜252は、無機膜251,253と共に使用され、封止構造体250の密封特性を向上させる機能、及び平坦ではない面を平坦化させる機能を行うことができる。前記有機物252bは、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂など多様な有機物を含み、インクジェットプリンティングが可能な物質でもある。
【0075】
一実施形態によれば、前記無機膜251,253の厚さt1は、約5μm以下でもあり、有機膜252の厚さt2は、約20μm以下でもある。前記無機膜251,253の厚さt1が約5μmを超えるか、あるいは有機膜252の厚さt2が約20μmを超える場合、有機発光表示装置2の薄型化及びフレキシブル化が困難にもなる。
【0076】
また、前記無機膜251,253の厚さt1は、約300nmよりも厚く、前記有機膜252の厚さt2は、約1μmよりも厚い。前記無機膜251,253の厚さt1が約300nm以下である場合、有機発光素子OLEDに、水分や酸素などが侵透することを防ぎ難く、前記有機膜252の厚さt2が約1μm以下である場合、数ないし数百nmの大きさを有する量子点252aを均一に分散させ難い。
【0077】
前記量子点252aを含む有機膜252は、画素定義膜260に含まれる開口260h内に配置される。すなわち、前記有機膜252は、前記画素定義膜260によって定義された領域中に配置される。
【0078】
従って、第1無機膜251と第2無機膜253との間の領域において、前記開口260hに対応する領域にのみ下部有機膜252が配置される。前記第2無機膜253は、第1無機膜251と直接接する第1領域253a、及び、下部有機膜252を挟み、第1無機膜251と離隔されている第2領域253bを含んでもよい。
【0079】
前記第1領域253aは、画素定義膜260が配置された領域に対応し、前記第2領域253bは、画素定義膜260に含まれる開口260hによって露出される画素電極220の上部領域に対応する。
【0080】
前記有機膜252に含まれる前記量子点252aは、所定の波長の光を吸収した後、吸収された波長より長い波長の光を放出することができ、一実施形態によれば、前記量子点252aは、赤色光を放出する赤色量子点、緑色光を放出する緑色量子点、青色光を放出する青色量子点、または黄色光を放出する黄色量子点でもある。
【0081】
一実施形態によれば、前記有機発光素子OLEDは、青色光を放出することができ、封止構造体250の有機膜252に含まれる量子点252aは、青色光を吸収して黄色光を放出する黄色量子点、または青色光を吸収して赤色光を放出する赤色量子点と、緑色光を放出する緑色量子点との組み合わせでもある。
【0082】
前記有機発光素子OLEDから放出される青色光の一部は、封止構造体250によって吸収されずに透過して、青色光の一部は、前記封止構造体250に含まれる量子点252aによって吸収された後、黄色光に変換される。結果として、前記青色光と黄色光との組み合わせによって、有機発光表示装置2は、白色光を具現することができる。
【0083】
しかし、本発明は、かかる例に制限されるものではなく、有機発光表示装置2に含まれる有機発光素子OLEDは、多様な色相の光を放出することができ、有機発光素子OLED及び封止構造体250を含む有機発光表示装置2は、白色光以外に、赤色光、緑色光、青色光または黄色光など多様な色相の光を放出することができる。
【0084】
図3Aないし図3Gは、図2の有機発光表示装置を製造する方法を順次に示した断面図である。
【0085】
一実施形態による有機発光表示装置の製造方法は、基板210上に、画素電極220を形成する段階、画素電極220上に、画素電極220の少なくとも一部を露出させる開口260hを含む画素定義膜260を形成する段階、前記開口260hによって露出された画素電極220上に、有機発光層を含む中間層230を形成する段階、中間層230上に、対向電極240を形成する段階、及び、対向電極240上に少なくとも1層の無機膜251、及び量子点252aを含み、前記開口260h内に配置された少なくとも1層の有機膜252を含む封止構造体250を形成する段階を含む。
【0086】
図3Aを参照すれば、基板210上に、薄膜トランジスタTFTなどのスイッチング素子を含む画素回路部を形成した後、画素回路部と電気的に連結された画素電極220を形成する。
【0087】
前記画素電極220は、反射層を含む反射電極でもある。一実施形態によれば、前記反射層は、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)及びクロム(Cr)を含むグループから選択された少なくともいずれか一つを含み、反射層上には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In2O3)、インジウムガリウム酸化物(IGO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された少なくともいずれか一つに形成された透明電極または半透明電極層がさらに配置される。例えば、画素電極220は、ITO/Ag/ITOの3層によっても構成される。
【0088】
画素電極220は、基板上に、前記金属及び導電性酸化物を形成した後、それをパターニングすることにより、アイランド状に形成される。
【0089】
図3Bを参照すれば、画素電極220上に、画素電極220の少なくとも一部を露出させる開口260hを含む画素定義膜260を形成することができる。
【0090】
画素定義膜260は、ポリイミド(PI)などの有機物を含み、基板210上に、画素電極220を覆うように有機物質を形成した後、それをパターニングし、画素電極220の一部を露出させる開口260hを含む画素定義膜260を形成することができる。
【0091】
前記開口260hによって露出された領域は、画素電極220の中央領域であり、画素定義膜260によって覆われた部分は、画素電極220のエッジ領域でもある。
【0092】
図3Cを参照すれば、画素定義膜260に含まれる開口260hによって露出された画素電極220上に、有機発光層を含む中間層230を形成することができる。前記中間層230は、有機発光層を含み、それ以外に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)のうち少なくとも1層をさらに具備することができる。図示されていないが、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は、前記開口260hの内部だけではなく、画素定義膜260の上部領域まで延長されて配置され得る。
【0093】
前記有機発光層は、赤色光、緑色光、青色光または白色光などを放出することができる。
【0094】
図3Dを参照すれば、中間層230上に、対向電極240を形成することができる。前記対向電極240は、中間層230及び画素定義膜260上に配置される。前記対向電極240は、透明電極または半透明電極でもある。一実施形態によれば、対向電極240は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、イッテルビウム(Yb)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、LiF/Ca、LiF/Al、MgAg及びCaAgのうちから選択された1以上の物質を含み、そして、前記物質を、数ないし数十nmの厚さを有する薄膜に形成することにより、光を透過させることができるように構成することができる。
【0095】
図3Eを参照すれば、対向電極240上に、第1無機膜251を形成することができる。前記第1無機膜251は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)または酸化アルミニウム(Al2O3)を含み、スパッタリング(sputtering)または化学的気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)などの方法によって形成される。
【0096】
前記第1無機膜251の厚さt1は、約5μm以下でもある。
【0097】
図3Fを参照すれば、第1無機膜251上の前記画素定義膜260の開口260h内に、量子点252aが分散された有機物252bをインクジェットプリンティング法によって形成することができる。前記有機物252bは、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂など多様な有機物を含んでもよい。
【0098】
インクジェットプリンティング装置に含まれるノズル10から、量子点252aが分散された有機物252bを吐出し、そして、バリアとして機能する画素定義膜260によって定義された領域内に、前記有機物252bをドロップさせる。
【0099】
図3Gを参照すれば、前記量子点252aが分散された有機物252bをコーティングした後、それを硬化させることにより、量子点252aを含む下部有機膜252を形成することができる。前記下部有機膜252の厚さt2は、約20μm以下でもある。
【0100】
再び図2を参照すれば、前記下部有機膜252上に、第2無機膜253を形成することにより、第1無機膜251、下部有機膜252及び第2無機膜253を含む封止構造体250を形成することができる。前記第2無機膜253は、第1無機膜251と直接接する第1領域253a、及び下部有機膜252を挟み、第1無機膜251と離隔された第2領域253bを含んでもよい。
【0101】
図示されていないが、第1無機膜251を形成する前に、対向電極240上に有機発光素子OLEDから放出される光の特性を向上させる機能を行う機能層をさらに形成することができる。
【0102】
前述のような有機発光表示装置2及びその製造方法は、有機発光表示装置2の色純度を向上させるために、画素定義膜260に含まれる開口260h内に、量子点252aを含む有機膜252を、簡易な方法で形成することができ、前記有機膜252は、封止構造体250の一部であり、無機膜251,253と共に、有機発光素子OLEDに水分または酸素などが侵透することを防止することができる。
【0103】
すなわち、別途の層を追加せずに、封止構造体250に、量子点252aを導入することにより、有機発光表示装置2の色純度を向上させ、それを介して、有機発光表示装置2のフレキシブル化を容易に具現することができる。
【0104】
<3.第3の実施形態>
図4は、さらに他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示した断面図である。以下では、図1及び図2の有機発光表示装置1,2との差異を中心に、一実施形態による有機発光表示装置3について説明する。
【0105】
図4を参照すれば、一実施形態による有機発光表示装置3は、基板310と、基板310上に配置された画素電極320r,320g,320bと、画素電極320r,320g,320bの少なくとも一部を露出させる開口360hr,360hg,360hbを含む画素定義膜360と、前記開口360hr,360hg,360hbによって露出された画素電極320r,320g,320b上に配置され、有機発光層を含む中間層330r,330g,330bと、中間層330r,330g,330b上に配置された対向電極340と、対向電極340上に配置され、少なくとも1層の無機膜351,353、及び量子点352ra,352ga,352baを含み、前記開口360hr,360hg,360hb内に配置された少なくとも1層の有機膜352r,352g,352bを含む封止構造体350とを含む。
【0106】
一実施形態による有機発光表示装置3は、互いに隣接した複数個の画素を含み、それぞれの画素は、互いに異なる色相の光を放出することができる。複数個の画素それぞれは、画素電極320r,320g,320b及び中間層330r,330g,330bを含んでもよい。
【0107】
前記画素電極320r,320g,320bは、互いに離隔されている第1画素電極320r、第2画素電極320g及び第3画素電極320bを含み、そして、画素定義膜360は、第1画素電極320r、第2画素電極320g及び第3画素電極320bをそれぞれ露出させる第1開口360hr、第2開口360hg及び第3開口360hbを含んでもよい。
【0108】
前記中間層330r,330g,330bは、第1画素電極320r上に配置された第1中間層330r、第2画素電極320g上に配置された第2中間層330g、及び第3画素電極320b上に配置された第3中間層330bを含んでもよい。前記中間層330r,330g,330b上には、対向電極340が配置される。
【0109】
基板310と、画素電極320r,320g,320bとの間には、複数個のピクセルそれぞれを駆動する画素回路部が配置される。前記画素回路部は第1画素電極320r、第2画素電極320g及び第3画素電極320bとそれぞれ電気的に連結された第1薄膜トランジスタTFTr、第2薄膜トランジスタTFTg及び第3薄膜トランジスタTFTbを含み、複数個のピクセルそれぞれは、画素回路部によってオンまたはオフになる。
【0110】
一実施形態によれば、画素電極320r,320g,320bは、反射電極であり、対向電極340は、透明電極または半透明電極でもあり、中間層330r,330g,330bに含まれる有機発光層から放出される光は、対向電極340を透過し、有機発光表示装置3の外部に放出される。すなわち、有機発光表示装置3は、前面発光型でもある。
【0111】
前記中間層330r,330g,330bは、有機発光層を含み、有機発光層以外に、正孔注入層及び正孔輸送層、電子輸送層及び/または電子注入層をさらに含んでもよい。前記第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、それぞれ第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層を含む。正孔注入層及び正孔輸送層、電子輸送層及び/または電子注入層は、第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bに共通して含まれる。
【0112】
一実施形態によれば、前記第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光を放出することができる。他の実施形態によれば、前記第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、いずれも白色光を放出することができる。白色光を放出する場合、第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、いずれも同一構造を有することができ、互いに異なる種類の有機発光層が積層された構造であるか、あるいは互いに異なる有機物質が混合して形成された層を含んでもよい。
【0113】
前記対向電極340上には、封止構造体350が配置され、封止構造体350は、少なくとも1層の無機膜351,353と、少なくとも1層の有機膜352r,352g,352bとを含んでもよい。一実施形態によれば、前記封止構造体350は、対向電極340上に配置された第1無機膜351と、第1無機膜351上に配置され、量子点352ra,352ga,352baを含む有機膜352r,352g,352bと、有機膜352r,352g,352b上に配置された第2無機膜353とを含んでもよい。
【0114】
一実施形態によれば、前記無機膜351,353は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)または酸化アルミニウム(Al2O3)を含み、有機発光素子OLEDに、水分や酸素のような異物が侵透することを遮断または減少させる役割を遂行することができる。
【0115】
前記有機膜352r,352g,352bは、有機物352rb,352gb,352bb、及び、有機物352rb,352gb,352bbに分散している量子点352ra,352ga,352baを含んでもよい。有機膜352r,352g,352bは、無機膜351,353と共に使用され、封止構造体350の密封特性を向上させる機能、及び平坦ではない面を平坦化させる機能を行うことができる。前記有機物352rb,352gb,352bbは、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂など多様な有機物を含み、インクジェットプリンティングが可能な物質でもある。
【0116】
一実施形態によれば、前記無機膜351,353の厚さt1は、約5μm以下でもあり、有機膜352r,352g,352bの厚さt2は、約20μm以下でもある。前記無機膜351,353の厚さt1が約5μmを超えるか、あるいは有機膜352r,352g,352bの厚さt2が約20μmを超える場合、有機発光表示装置3の薄型化及びフレキシブル化が困難にもなる。
【0117】
また、前記無機膜351,353の厚さt1は、約300nmよりも厚くなり、前記有機膜352r,352g,352bの厚さt2は、約1μmよりも厚くなる。前記無機膜351,353の厚さt1が約300nm以下である場合、有機発光素子OLEDに、水分や酸素などが侵透することを防ぎ難く、前記有機膜352r,352g,352bの厚さt2が約1μm以下である場合、数ないし数百nmの大きさを有する量子点352ra,352ga,352baを均一に分散させ難い。
【0118】
前記量子点352ra,352ga,352baを含む有機膜352r,352g,352bは、画素定義膜360に含まれる開口360hr,360hg,360hb内に配置される。すなわち、前記有機膜352r,352g,352bは、前記画素定義膜360によって定義された領域中に配置される。
【0119】
前記有機膜352r,352g,352bは、第1開口360hr内に配置され、第1量子点352raを含む第1有機膜352rを含み、第2開口360hg内に配置され、第2量子点352gaを含む第2有機膜352gを含み、第3開口360hb内に配置され、第3量子点352baを含む第3有機膜352bを含んでもよい。前記第1有機膜352r、第2有機膜352g及び第3有機膜352bは、画素定義膜360によって互いに分離される。前記第1量子点352ra、第2量子点352ga及び第3量子点352baは、それぞれ第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bから放出され、対向電極340を透過した光の経路上に配置される。
【0120】
前記第1量子点352ra、第2量子点352ga及び第3量子点352baは、赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点でもある。前記赤色量子点、緑色量子点及び青色量子点は、それぞれ所定の波長の光を吸収した後、赤色に対応する波長の光、緑色に対応する波長の光、青色に対応する波長の光を放出する量子点を意味する。
【0121】
一実施形態によれば、第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、それぞれ所定の半値幅を有する赤色光、緑色光及び青色光を放出することができ、前記第1量子点352ra、第2量子点352ga及び第3量子点352baは、それぞれ前記第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bから放出された赤色光、緑色光及び青色光のうち少なくとも一部を吸収し、狭い半値幅を有する赤色光、緑色光及び青色光を放出することができる。
【0122】
すなわち、第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bから放出された光の半値幅より、第1有機膜352r、第2有機膜352g及び第3有機膜352bを透過した後の光の半値幅がさらに狭い。このような構成によって、有機発光表示装置3の色純度を向上させることができる。
【0123】
他の実施形態によれば、第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bは、それぞれ白色光を放出することができ、前記第1量子点352ra、第2量子点352ga及び第3量子点352baは、それぞれ前記第1中間層330r、第2中間層330g及び第3中間層330bから放出された白色光の少なくとも一部を吸収し、狭い半値幅を有する赤色光、緑色光及び青色光を放出することができる。
【0124】
前記第1無機膜351と第2無機膜353との間の領域において、前記開口360hr,360hg,360hbに対応する領域にのみ有機膜352r,352g,352bが配置される。従って、第2無機膜353は、第1無機膜351と直接接する第1領域353a、及び、有機膜352r,352g,352bを挟み、第1無機膜351と離隔されている第2領域353bを含んでもよい。
【0125】
前記第1領域353aは、画素定義膜360が配置された領域に対応し、前記第2領域353bは、画素定義膜360に含まれる開口360hr,360hg,360hbによって露出された画素電極320r,320g,320bの上部領域に対応する。
【0126】
前述のようになされる本発明の一実施形態によれば、量子点が分散された有機膜を含む封止構造体を具備することにより、フレキシブル化が容易であり、色純度が改善された有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0127】
本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当該技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるのである。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の有機発光表示装置及びその製造方法は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1,2,3 有機発光表示装置
10 ノズル
110,210,310 基板
120,220,320r,320g,320b 画素電極
130,230,330r,330g,330b 中間層
140,240,340 対向電極
150,250,350 封止構造体
151,153,155,251,253,351,353 無機膜
152a,154a,252a,352ra,352ga,352ba 量子点
152,154,252,352r,352g,352b 有機膜
260,360 画素定義膜
260h,360hr,360hg,360hb 開口
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4