(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセルなどの薬剤を入れる包装材としてPTPシートが多用されている。PTPシートは、薬剤を収容する複数の凸部が形成された合成樹脂シートと、この合成樹脂シートの裏面に貼り付けられて凸部の内側の収容空間を密封するアルミ箔とで構成される。PTPシートにより、薬剤の吸湿、紫外線などによる変質、破損などを防ぐことができる。
【0003】
PTPシート内の薬剤は、PTPシートの凸部に押圧力を加えて押し潰すことにより取り出すことができるが、誤飲等の安全上の問題が懸念される場合や服薬周期・回数などが通常とは異なる薬剤については、多種多様な使用上の注意、服薬履歴、症状のメモ等の各種情報を確実に患者、医師、薬剤師、その他消費者等に伝達するためにPTPシートをさらに別の包装体により二次包装することがある。
【0004】
例えば、そのような包装体として、特許文献1には、PTPシートをパッキングするカード型包装体が記載されている。このカード型包装体は、錠剤等が収容されたPTPシートが服用上の留意事項を記載したカード型包装材によって封止されてなり、当該カード型包装材は一対の厚紙によって構成され、この一対の厚紙の間にPTPシートを封止してなるものである。
【0005】
また、特許文献2には、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた包装材形成片から成り、側面と覆い片は表面どうしが重ねられるようにZ形に折り曲げられるPTP用包装体が記載されている。このPTP用包装体は、透孔以外の表面に任意の文字や絵柄が印刷された第1表示部が設けられ、覆い片には任意の文字や絵柄が印刷された第2表示部が設けられている。
【0006】
特許文献3には、2週間に1回以下の頻度で服用するように処方される薬剤が収納された薬剤収納部を有するPTPシートを保持するトレーと、トレーを収容しトレーに対してスライドする外函を備えた包装体が記載されている。この包装体の薬剤収納部には、一回に服用される薬剤が収納されている。
【0007】
一方、PTPシートに収容された収容物を簡便な操作のもとに確実に取り出し、簡素化された収容ケースを実現するため、例えば特許文献4には、PTP包装シートの射出成形された収納ケースが記載されている。
【0008】
また、特許文献5には、表面に凹部が形成された本体ケース部と、本体ケース部の表面に対向してPTPシートを挟持可能な保持蓋シート部が透明熱可塑性樹脂のシートから一体成形されたPTPシート用包装体が記載されている。このPTPシート用包装体は、本体ケース部の側面に、凹部に連通し凹部に押し出した薬剤を取り出すための開口が形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るPTPシート用包装体について詳細に説明する。但し、本発明のPTPシート用包装体は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るPTPシート用包装体10の構成を示す略斜視図である。
【0025】
図1示すように、このPTPシート用包装体1は、薬剤9を収容する凸部6aを有するPTPシート11を包装する包装体である。本実施形態において、薬剤9は、錠剤又はカプセル錠である。PTPシート用包装体1は、紙製のボックス型の包装体本体10を備え、上面部10A、底面部10B及び4つの側面部10C、10D、10E、10Fを有している。包装体本体10内にPTPシート11が収容されており、PTPシート11内の薬剤9は包装体本体10の上面部10Aに形成された開口20から視認可能である。なおPTPシート用包装体1の上下方向は通常の使用状態に基づいて定められる。
【0026】
PTPシート用包装体1の形状は、例えば、薄型の直方体であり、上面部10A及び底面部10Bの面積は、4つの側面部10C〜10Fの面積よりも大きくてもよい。包装体本体10の第3の側面部10E及び第4の側面部10Fは、包装体本体10の長手方向(X方向)と平行であり、第1の側面部10C及び第2の側面部10Dは包装体本体10の長手方向と直交する方向(Y方向)と平行である。
【0027】
包装体本体10は、所定の形状に打ち抜かれた一枚の紙材を折り曲げて立体的に組み立てることにより成形されたものである。紙材は厚紙や硬質紙が好ましい。包装体本体10の上面部10Aには薬剤9に関する各種情報が印刷されていることが好ましく、さらに薬剤を服用しなければならない日付を患者が記載できることが好ましい。これによれば、指定の日に服用するように注意を与えて薬の飲み忘れを防止することができる。
【0028】
包装体本体10の上面部10Aの中央付近には開口20が設けられている。第1の開口20は、包装体本体10内に固定されたPTPシート11の凸部6aと平面視で重なる位置に設けられており、開口20から露出するPTPシート11の凸部6aを下方に押圧して薬剤9を包装体本体10内に押し込むことにより、PTPシート11から薬剤9を取り出すことができる。例えば最小サイズのPTPシート11から小さな薬剤9を素手で取り出す場合には、取り出した薬剤9を捕まえ損ねて床に転がり落ちて紛失するおそれがあるが、本実施形態においてPTPシート11から取り出された薬剤9は包装体本体10で一度受け止められるので、紛失等の問題を解決することができる。
【0029】
また、包装体本体10の第1の側面部10Cには薬剤9の取出口30が設けられている。この取出口30は、PTPシート11の凸部6aを押圧して包装体本体10内に押し込まれた薬剤9を取り出すために設けられている。本実施形態において、取出口30は第1の側面部10Cの一部、例えば幅方向(Y方向)の略中央に設けられ、その大きさは薬剤の大きさを考慮して設定される。こうして、PTPシート11から取り出された薬剤9は包装体本体10内に落下した後、取出口30から取り出すことができる。
【0030】
本実施形態によるPTPシート11は、例えば、1錠分の薬剤9を包装するだけの最小サイズのシートである。そのため、手先が器用でない高齢者にとっては取り扱いが難しく、たった1錠分のPTPシート11から薬剤を確実に取り出して受け止めることができず、薬剤がどこかに転がり落ちて紛失してしまうおそれがある。また、そのような小さなPTPシート11自体の保管も難しく、PTPシート11が紛失してしまうおそれもある。さらには薬剤9を服用する際にPTPシート11をまるごと飲み込んでしまうおそれもある。しかし、
図1に示すように最小サイズのPTPシート11がPTPシート用包装体1内に収容されている場合には上記問題をすべて解決することが可能である。なお、本発明に係るPTPシート用包装体1が包装するPTPシート11は、1錠分のみに限定されるものではなく、2錠以上であってもよい。
【0031】
図2は、
図1のPTPシート用包装体1の一部展開図である。また、
図3は、
図1のPTPシート用包装体1の完全な展開図である。
【0032】
一実施形態において、PTPシート用包装体1は、
図3及び
図4に示すように、所定の形状に打ち抜かれた一枚の紙材(厚紙)を折り曲げて成形されたものである。例えば、上面部10A、底面部10B、4つの側面部10C、10D、10E、10Fのみならず、第1の側面部10Cの挿入片10C
1、第2の側面部10Dの挿入片10D
1、第3の側面部10Eの挿入片10E
1、後述する内側上面部10G、第1及び第2の内側側面部10H、10I、固定片10J、第1の連結部10K、第1の内壁部10L、第2の連結部10M、第2の内壁部10N、及び第3の連結部10Oなども一枚の紙材によって一体的に形成される。
【0033】
上面部10Aは開閉可能なカバー部材を構成しており、図示のように上面部10A及び第3の側面部10Eを開くと、上面部10Aの裏側(内側)に設けられた内側上面部10Gと、第3の側面部10Eの裏側(内側)に設けられた第1の内側側面部10Hが露出する。上面部10Aは、上面部10Aと第4の側面部10Fとの境界線(折り曲げ線)の位置、あるいは第4の側面部10Fと底面部10Bとの境界線(折り曲げ線)の位置を基点にして回動させることができる。第1の内側側面部10Hの下端にはスリットSLが形成されており、第3の側面部10Eの下端から延びる挿入片10E
1をスリットSLに差し込むことにより、上面部10A及び第3の側面部10Eは
図1に示す完成状態で固定される。
【0034】
上面部10Aの裏側に位置する内側上面部10Gは、PTPシート11の支持面としての役割を果たすものである。なお
図2にはPTPシート11の輪郭だけを破線で示している。また内側上面部10Gの長手方向(Y方向)の一端側からは、内側上面部10G上に置かれたPTPシート11を固定するための固定片10Jが延びており、固定片10Jは内側上面部10Gとの境界の折り曲げ線の位置で折り返されて内側上面部10Gと重なるように構成されている。なお内側上面部10Gの長手方向の他端側からは第2の側面部10Dが延びている。
【0035】
固定片10J及び内側上面部10Gには、
図1に示す完成状態において開口20と平面視で重なる開口21、22がそれぞれ形成されており、開口20、21、22は包装体本体10の内部空間と外側とをつなぐ貫通穴を形成している。開口22は、PTPシート11の凸部6aに対応する位置の内側上面部10Gに設けられている。PTPシート11を包装体本体10内に固定する際は、PTPシート11の凸部6aが開口22と平面視で重なる位置にPTPシート11をセットした後、PTPシート11の凸部6aが固定片10Jの開口21から突出するようにPTPシート11上に固定片10Jを重ね合わせる。その後、固定片10Jの上に上面部10Aを被せてPTPシート11の凸部6aが固定片10Jの開口21から抜けないようにすることにより、PTPシート11は内側上面部10G上に固定される。固定片10Jは包装体本体10と一体的に設けられたものであり、垂直方向(Z軸方向)には動くが水平方向(XY軸方向)には動かないので、固定片10Jの垂直方向の動きを上面部10Aで規制することにより、固定片10Jを接着しなくてもPTPシート11を固定することができる。
【0036】
なお、開口22は、凸部6aと概略等しい平面形状を有することが好ましい。このような開口22を包装体本体10の内側上面部10Gに配置することにより、内側上面部10GがPTPシート11の支持面としての十分な役割を果たすとともに、薬剤9がPTPシート11から開口22を通して、包装体本体10の内部空間に取り出される。開口22が凸部6aの平面形状よりも遥かに大きいと、PTPシート11を支持する強度が小さくなり、PTPシート11から薬剤9が取り出しにくくなり、好ましくない。
【0037】
図4は、包装体本体10の内部構造を示す一部破断図であって、特に第1の側面部10C、内側上面部10Gの大部分及び固定片10Jを削除して示すものである。また
図5は、
図4の包装体本体10の内部構造を示す略断面図であって、(a)は
図4のY
1−Y
1線に沿った断面図、(b)は
図4のY
2−Y
2線に沿った断面図をそれぞれ示している。
【0038】
図4及び
図5(a)、(b)に示すように、包装体本体10の内部には、紙材の折り曲げ加工によって形成された第1及び第2の内壁部10L、10Nが設けられている。第1の内壁部10L及び第2の内壁部10Nは包装体本体10の底面部10B側から直立した梁部を構成しており、これにより包装体本体10の上下方向の強度が高められている。
【0039】
第1の内壁部10L及び第2の内壁部10Nを包装体本体10の各部と共に一枚の紙材の折り曲げ加工によって連続的に形成するため、第1及び第2の内壁部10L、10Nは、第1の連結部10K、第2の連結部10M及び第3の連結部10Oと一体的に形成されている。
図1の完成状態において、第1の連結部10Kは底面部10B側、第2の連結部10Mは上面側、第3連結部10Oは底面側にそれぞれ位置している。第1の連結部10Kは接着剤AD
1によって底面部10Bに固定されており、第2の連結部10Mは接着剤AD
2によって内側上面部10Gに固定されており、第3連結部10Oは接着剤AD
3によって第1の連結部10Kの表面に固定されている。
【0040】
第2の連結部10Mには、完成状態において開口20、21、22と平面視で重なる開口23が形成されており、包装体本体10の内部空間と外側とをつなぐ貫通穴を形成している。したがって、包装体本体10内に押し込まれた薬剤9は開口23及び24を通って包装体本体10内に落下することができる。
【0041】
本実施形態において、第1の内壁部10L及び第2の内壁部10Nは包装体本体10の強度を確保するためだけでなく、包装体本体10内に落下した薬剤9を取出口30まで誘導するガイド部材としても機能する。図示したように薬剤サイズに比べて包装体のサイズが非常に大きい場合には、包装体本体10内の空間を薬剤9が自在に転がり回り、取出口30から中々出てこない場合がある。しかし、第1及び第2の内壁部10L、10Nがガイド部材として機能することにより、取出口30からの薬剤9の取り出しを容易にすることができる。
【0042】
なおガイド部材を兼ねる梁部は図示のような形状及び構造に限定されず、その機能を発揮できる限りにおいて種々の形状及び構造を採用することができる。したがって、例えば第1の内壁部10Lだけでガイド部材を兼ねる梁部を構成してもよい。
【0043】
図5(a)及び(b)に示すように、上面部10Aと内側上面部10Gとの間には、PTPシート11の高さを考慮して設定された隙間Dがあり、この隙間DにPTPシート11が配置される。また上記のように、PTPシート11の凸部6aは固定片10Jの開口21を貫通した状態でセットされている。PTPシート11の凸部6aは固定片10Jの開口21に嵌合しており、固定片10Jの上方への動きは上面部10Aによって制限されているので、凸部6aと開口21との嵌合が維持され、これによりPTPシート11は図示の位置に固定される。
【0044】
図6は、PTPシート11から薬剤9を取り出す状態を示す側面断面図である。
図5(b)にも示したように、PTPシート11は、薬剤9の収容空間を構成する凸部6aを有する合成樹脂シート6と、合成樹脂シート6の裏面に貼り付けられて凸部6a内の薬剤9を密封するアルミ箔7とで構成されている。薬剤9は凸部6aの内側の収容空間内に収容されている。
図6に示すように、合成樹脂シート6の凸部6aを押し潰すと凸部6a内の薬剤9がアルミ箔7を破って外側に出てくる。このとき、開口20に配置されたPTPシート11から薬剤9が開口22及び23から梁部へ落下し、薬剤9をPTPシート11から取り出すことができる。
【0045】
以上の構成を有するPTPシート用包装体1において、PTPシート11から薬剤9を取り出す場合には、PTPシート11の凸部6aを押し潰して薬剤9を包装体本体10内に落とし込んだ後、取出口30が下を向くように包装体本体10を傾けることで取出口30から薬剤9を取り出すことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によるPTPシート用包装体1は、包装体本体10からPTPシート11を切り離することなく薬剤を取り出すことができるので、たとえ1錠の薬剤9が最小サイズのPTPシート11に収容された状態で処方される場合あっても、薬剤9を紛失してしまったり、あるいはPTPシート11をまるごと誤飲してしまったりするおそれがなく、薬剤を容易に取り扱うことができる。
【0047】
また、PTPシート11から取り出された薬剤9は、包装体本体10内に落下して一端保持された後、包装体本体10内を転がって取出口30から排出されるので、たとえアルミ箔7が破れた際にその一部がPTPシート11から切り離されたとしても、包装体本体10内で薬剤9をアルミ箔7から切り離すことができる。したがって、PTPシート11内の薬剤9を服用する際にPTPシート11から切り離されたアルミ箔7の一部を薬剤9と一緒に誤飲してしまう事故を未然に防ぐことができる。
【0048】
(実施形態2)
図7は、本発明の一実施形態に係るPTPシート用包装体2の構成を示す図であり、特に包装体本体10の内部構造を透過的に示す略斜視図である。
図7に示すように、本実施形態に係るPTPシート用包装体2の特徴は、包装体本体10内に設けられる梁部が、側面部10Dと、側面部10H及び側面部10Iとがなす角部から取出口30へ接続する構成を有するところである。すなわち、PTPシート用包装体2は、PTPシート用包装体1のように側面部10H及び側面部10Iに平行な梁部を有する構成とは異なる。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0049】
包装体本体10の内部には、第1の内壁部10La及び第2の内壁部10Naが包装体本体10の底面部10B側から直立した梁部を構成している。第1の内壁部10Laは、側面部10Dと側面部10Hとがなす角部から取出口30へ接続し、第2の内壁部10Naは、側面部10Dと側面部10Iとがなす角部から取出口30へ接続する構成を有する。
【0050】
本実施形態においては、梁部が側面部10H及び側面部10Iに平行な構造ではないため、包装体本体10の上下方向の強度が高められるのみならず、側面部10H及び側面部10I方向の強度が高められている。また、梁部はガイド部材としても機能し、取出口30からの薬剤9の取り出しを容易にすることができる。
【0051】
本実施形態に係るPTPシート用包装体2も実施形態1と同様の効果を奏することができる。すなわち、包装体本体10からPTPシート11を切り離することなく薬剤9を取り出すことができるので、たとえ1錠の薬剤9が最小サイズのPTPシート11に収容された状態で処方される場合あっても、薬剤9を紛失してしまったり、あるいはPTPシート11をまるごと誤飲してしまったりするおそれがなく、薬剤を容易に取り扱うことができる。また、PTPシート11内の薬剤9を服用する際にPTPシート11から切り離されたアルミ箔7の一部を薬剤9と一緒に誤飲してしまう事故を未然に防ぐことができる。
【0052】
(実施形態3)
図8は、本発明の一実施形態に係るPTPシート用包装体の構成を示す図であり、特に包装体本体10の内部構造を透過的に示す略斜視図である。また、
図9(a)及び(b)は、
図8の包装体本体10の内部構造を示す略断面図であって、(a)は
図8のY
1−Y
1線に沿った断面図、(b)は
図8のY
2−Y
2線に沿った断面図をそれぞれ示している。
【0053】
図8及び
図9に示すように実施形態3に係るPTPシート用包装体3の特徴は、包装体本体10内に設けられる梁部がガイド部材として機能しない専用の梁部からなる点にある。また本実施形態においては第1の側面部10Cの全面が薬剤9の取出口を開閉する蓋部材を構成しており、ガイド部材を設けなくても薬剤9を容易に取り出し可能となっている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0054】
包装体本体10の内部には、紙材の折り曲げ加工によって形成された第1の内壁部10Lbが設けられている。第1の内壁部10Lbは包装体本体10の底面部10B側から直立した梁部を構成しており、これにより包装体本体10の上下方向の強度が高められている。
【0055】
第1の実施の形態と異なり、本実施形態による第1の内壁部10LbはY方向の全幅にわたって形成されず、開口20の位置よりも薬剤の取出口となる第1の側面部10Cとは反対側の位置に設けられている。したがって、第1の内壁部10Lbはガイド部材として機能しない。
【0056】
第1の内壁部10Lbを包装体本体10の各部と共に一枚の紙材の折り曲げ加工によって連続的に形成するため、第1の内壁部10Lbは、第1の連結部10K及び第2の連結部10Mbと一体的に形成されている。
図1の完成状態において、第1の連結部10Kbは底面部10B側、第2の連結部10Mbは上面側にそれぞれ位置している。第2の内側側面部10Iは接着剤AD
1によって第4の側面部10Fに固定されており、第2の連結部10Mbは接着剤AD
2によって内側上面部10Gに固定されている。
【0057】
図10は、
図9のPTPシート用包装体2の取出口30の構造を示す略斜視図であって、(a)は蓋部材を閉じた状態、(b)は蓋部材を開いた状態をそれぞれ示している。
【0058】
図10(a)及び(b)に示すように、PTPシート用包装体2の薬剤の取出口30は蓋付きの構造となっており、第1の側面部10Cは取出口30を開閉可能な蓋部材を構成している。
【0059】
第1の側面部10Cは、第4の連結部10P、第5の連結部10Q及び固定片10Rと共に蓋部材を構成しており、第4の連結部10P、第5の連結部10Q及び固定片10Rも包装体本体10を構成する一枚の紙材を用いて成形されている。
図10(a)に示す蓋部材を閉じた状態において、第4の連結部10Pは上面付近、第5の連結部10Qは第1の側面部10Cとの対向位置に配置されており、また固定片10Rは接着剤AD
4によって底面部10Bに接着固定されている。第5の連結部10Qは第1の側面部10Cと実質同一の矩形形状を有しており、全体がボックス形状となっている。
【0060】
図10(b)に示すように、第1の側面部10Cの上端に形成されたつまみ部10C
2を外側に引くと第1の側面部10C、第4の連結部10P及び第5の連結部10Qからなるボックス形状が折り畳まれて第1の側面部10Cが外側に開く。したがって、大きな取出口30から包装体本体10内の薬剤9を容易に取り出すことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によるPTPシート用包装体3も第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、包装体本体10からPTPシート11を切り離することなく薬剤9を取り出すことができるので、たとえ1錠の薬剤9が最小サイズのPTPシート11に収容された状態で処方される場合あっても、薬剤9を紛失してしまったり、あるいはPTPシート11をまるごと誤飲してしまったりするおそれがなく、薬剤を容易に取り扱うことができる。また、PTPシート11内の薬剤9を服用する際にPTPシート11から切り離されたアルミ箔7の一部を薬剤9と一緒に誤飲してしまう事故を未然に防ぐことができる。
【0062】
(実施形態4)
上述した実施形態においては、固定機構として、包装体本体10と一体に切り出した固定片10Jを用いる例を示した。しかし、本発明に係るPTPシート用包装体に配置する固定機構は固定片10Jに限定されず、包装体本体10とは別の紙材を用いた固定片、粘着層、シール又はスリット等を用いることもできる。
【0063】
図11は、本発明の実施形態4に係るPTPシート用包装体4の構成を示す図であり、固定片10Jの変形例を示す略斜視図である。
【0064】
図11に示すように、実施形態4に係るPTPシート用包装体4の特徴は、包装体本体10を一体的に成形する一枚の紙材から独立した別の紙材を用いて固定片10Jaを構成したものである。この場合、固定片10Jaは内側上面部10G上に接着固定される必要があり、これによりPTPシート11も固定される。その他の構成は実施形態1と同一である。したがって、本実施形態も実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0065】
なお、本実施形態に係る固定片10Jaは実施形態2又は3のPTPシート用包装体において、固定片10Jに替えて配置することもできる。
【0066】
(実施形態5)
図12は、本発明の実施形態5に係るPTPシート用包装体4の構成を示す図であり、固定機構として粘着層10Jbを配置した略斜視図である。
【0067】
図12に示すように、実施形態5に係るPTPシート用包装体4の特徴は、固定片10Jに替えて粘着層10Jbを内側上面部10G上に配置して構成したものである。この場合、粘着層10Jbは内側上面部10G上でPTPシート11も固定する。ここで、薬剤9が開口22を通り抜けるために、粘着層10Jbは開口22に対応する位置が開口している。なお、粘着層10Jbを構成する粘着剤には公知の材料を用いることができるため、詳細な説明は省略する。その他の構成は実施形態1と同一である。したがって、本実施形態も実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る固定片10Jbは実施形態2又は3のPTPシート用包装体において、固定片10Jに替えて配置することもできる。
【0069】
(実施形態6)
図13は、本発明の実施形態6に係るPTPシート用包装体4の構成を示す図であり、固定機構としてシール10Jcを配置した図である。
図13(a)は固定機構としてシール10Jcを配置した略斜視図であり、
図13(b)は側面断面図である。
【0070】
図13に示すように、実施形態5に係るPTPシート用包装体4の特徴は、固定片10Jに替えてシール10Jcを内側上面部10G上に配置してPTPシート11を固定する構成としたものである。シール10Jcは開口21を有し、PTPシート11の凸部6aがシール10Jcの開口21から突出する。ここで、シール10Jcの層構造は公知の構造であってよく、例えば、基材と、基材の内側上面部10G側に粘着層を有する。基材にはシールに用いる公知の材料を用いることができ、例えば、紙や樹脂フィルム等が挙げられる。粘着層を構成する粘着剤には公知の材料を用いることができるため、詳細な説明は省略する。その他の構成は実施形態1と同一である。したがって、本実施形態も実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る固定片10Jcは実施形態2又は3のPTPシート用包装体において、固定片10Jに替えて配置することもできる。
【0072】
(実施形態7)
図14は、本発明の実施形態7に係るPTPシート用包装体4の構成を示す図であり、固定機構としてスリット10Jdを配置した略斜視図である。
図14(a)は固定機構としてスリット10Jdを配置した略斜視図であり、
図14(b)はY
2−Y
2線に沿った側面断面図である。
【0073】
図14に示すように、実施形態7に係るPTPシート用包装体4の特徴は、固定片10Jに替えてスリット10Jdを内側上面部10G上に配置してPTPシート11を固定する構成としたものである。側面部10H及び側面部10Iに略平行な2つのスリット10Jdが内側上面部10G上に配置される。これらのスリット10JdにPTPシート11を挟みこむことにより、PTPシート11は内側上面部10Gに固定される。その他の構成は実施形態1と同一である。したがって、本実施形態も実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0074】
(実施形態8)
図15は、本発明の実施形態8に係るPTPシート用包装体4の構成を示す図であり、固定機構としてスリット10Jeを配置した略斜視図である。
図15(a)は固定機構としてスリット10Jeを配置した略斜視図であり、
図15(b)はY
2−Y
2線に沿った側面断面図である。
【0075】
図15に示すように、実施形態8に係るPTPシート用包装体4の特徴は、スリット10Jdに替えて4つのスリット10Jeを内側上面部10G上に配置してPTPシート11を固定する構成としたものである。側面部10H及び側面部10Iに対して所定の角度(例えば、30°〜60°、好ましくは45°)を有する4つのスリット10Jeが内側上面部10G上に配置される。これらのスリット10JeにPTPシート11を挟みこむことにより、PTPシート11は内側上面部10Gに固定される。その他の構成は実施形態1と同一である。したがって、本実施形態も実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0077】
(実施形態9)
例えば、上記各実施形態においては、1錠分の薬剤9を包装する最小サイズのPTPシート11を包装するための包装体を例に挙げたが、本発明はこのような場合に限定されず、2錠以上の薬剤を包装するPTP包装体に適用することも可能である。また、上記実施形態においてはPTPシートで薬剤を包装しているが、カプセルを包装してもよいことは言うまでもない。また薬剤9の取出口30は包装体本体10の側面側のみならず底面側に設けることも可能である。
【0078】
図16は、本発明の実施形態9に係るPTPシート用包装体5の構成を示す略斜視図である。本発明の実施形態9に係るPTPシート用包装体5は、PTPシート11を2つ包装するため、開口20、21、22をそれぞれ2つずつ配置する。なお、
図16には、PTPシート11を2つ包装する例を示したが、本発明に係るPTPシート用包装体はこれに限定されず、PTPシート11を3つ以上包装してもよい。
【0079】
また、実施形態9に係るPTPシート用包装体は、上述した実施形態2〜6のPTPシート用包装体においても適用することができる。また、上述した実施形態7〜8のスリットを内側上面部10G上に複数組で配置することにより、同様の構成を実現することができる。