(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記間接排水確保工程において上記間接排水が確保された上記排水管及び上記ドレイン管をカバーで覆うカバー被覆工程を含む請求項1に記載のバルコニーにおける床仕上げ材及び排水管の施工方法。
上記排水管配置工程において上記排水管を上記壁面に固定する上記固定部材のうちの少なくとも一つは、上記カバー被覆工程において上記カバーに覆われる位置に配置される請求項2に記載のバルコニーにおける床仕上げ材及び排水管の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
給湯器の排水を床仕上げ材と床面との間の空間へ導く構造として、特許文献1に開示された雨水の排水構造を用いることが考えられる。しかしながら、以下に説明するように、給湯器の排水構造は、特許文献1に開示された雨水の排水構造とは構造が異なるために、特許文献1に開示された構造をそのまま用いることができない。
【0008】
雨水の排水構造では、通常、竪樋は、その上方に配置された雨樋に連結されている。つまり、竪樋は、雨樋からぶら下がった状態である。また、竪樋は、その側方を固定部材によって壁に固定されている。
【0009】
しかしながら、給湯器の排水を排水溝へ導く構造の場合、上述したようにドレイン管と排水管とが間接接続されているため、排水管をドレイン管にぶら下げた状態とすることができない。また、固定部材による側方の固定のみでは、排水管が上下に動くおそれがあり、不安定である。そのため、排水管は、上述したように、継手を介して床仕上げ材によって支持される必要がある。
【0010】
また、上述したような構造の相違により、給湯器の排水構造に特有の問題がある。床仕上げ材は、複数のタイルが配列されて構成されている。各タイルの境界には、目地が形成されている。目地に継手が配置されると、つまり床仕上げ材におけるタイルの目地の部分が継手を介して排水管を支持する状態となると、継手が不安定になり、ひいては排水管が不安定になる。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水管を安定して配置することができるバルコニーにおける床仕上げ材及び排水管の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 本発明は、バルコニーにおける床仕上げ材及び排水管の施工方法である。当該施工方法は、上記バルコニーの床面に上記床仕上げ材を敷設する設置工程と、後述する(A)及び(B)の条件を具備するように上記排水管を位置決めする位置決め工程と、上記床仕上げ材における上記位置決め工程で位置決めされた上記継手に対応する位置に上記継手が嵌合可能な孔をあける孔あけ工程と、上記ドレイン管と上記間接排水によって接続可能な長さに上記排水管を切断する排水管切断工程と、上記継手が上記孔に嵌合することで上記床仕上げ材が上記継手を支持しており、上記継手が上記排水管の下端に繋がれており、且つ少なくとも一つの固定部材が上記排水管を上記壁面に固定している状態に、上記排水管を配置する排水管配置工程と、上記排水管と上記ドレイン管との上記間接排水を確保する間接排水確保工程と、を含む。(A)の条件は、上記排水管の上端が、上記床仕上げ材の上方に上記床仕上げ材と間隔を空けて上記床面から立設した壁面に配置された給湯器の排水が流れるドレイン管と間接排水によって接続可能な位置であることである。(B)の条件は、上記排水管の下端に繋がれて上記排水管を支持する継手が、平面視において上記床仕上げ材の目地と重ならない位置であることである。
【0013】
上記方法によれば、継手が嵌合される孔は、平面視において床仕上げ材の目地と重ならない位置にあけられる。これにより、孔に嵌合された継手の位置を安定させることができる。
【0014】
また、上記方法によれば、排水管は、位置決め工程においてドレイン管と間接排水によって接続可能な位置に位置決めされ、間接排水確保工程において実際にドレイン管との間接排水を確保される。これにより、間接排水を確保する段階になって、排水管とドレイン管との間接排水ができない事態となることを防止できる。
【0015】
(2) 上記間接排水確保工程において上記間接排水が確保された上記排水管及び上記ドレイン管をカバーで覆うカバー被覆工程を含む。
【0016】
上記方法によれば、排水管及びドレイン管がカバーで覆われているため、ドレイン管から排水管へ流れる水が周辺へ飛び散ることを防止できる。
【0017】
(3) 上記排水管配置工程において上記排水管を上記壁面に固定する上記固定部材のうちの少なくとも一つは、上記カバー被覆工程において上記カバーに覆われる位置に配置される。
【0018】
上記方法によれば、固定部材の少なくとも一つが、カバーの内部、つまり排水管におけるドレイン管の近傍において排水管を壁面に固定している。これにより、排水管におけるドレイン管の近傍部分の位置ずれを低減することができる。その結果、ドレイン管から流出した水が誤って排水管外へ落下することを低減することができる。
【0019】
(4) 上記継手は、本体と、当該本体から張り出したフランジとを備える。上記孔の径は、上記本体の径以上であり且つ上記フランジの径未満である。
【0020】
上記方法によれば、床仕上げ材は、下方からフランジを支持することによって、継手を支持することができる。
【0021】
(5) 例えば、上記ドレイン管は、フレキシブル管であり、上記位置決め工程における上記間接排水によって接続可能な位置は、上記ドレイン管における上記排水管と上記間接排水によって接続される側の端が上記ドレイン管の湾曲によって移動可能な位置である。
【0022】
(6) 上記ドレイン管は、フレキシブル管である。上記間接排水確保工程における上記間接排水の確保は、上記ドレイン管の湾曲または切断の少なくとも一方によって行われる。
【0023】
上記方法によれば、平面視において、位置決め工程において位置決めされた排水管の水の流入口の位置が、ドレイン管の水の流出口の位置と重なっていない場合であっても、ドレイン管を湾曲させることにより、排水管とドレイン管との間接排水を確保することができる。
【0024】
また、上記方法によれば、排水管とドレイン管とが上下方向に近づき過ぎている場合であっても、ドレイン管を切断することにより、排水管とドレイン管との間接排水を確保することができる。
【0025】
(7) 上記排水管配置工程において、上記排水管は、その上端にソケットが連結された状態で配置される。上記排水管の上端に連結された上記ソケットにおける上記ドレイン管と対向する部分の径は、上記ドレイン管の径よりも長い。
【0026】
上記方法によれば、ソケットがドレイン管よりも太く構成されることで間接排水が確保されている。そのため、間接排水の確保のために、排水管を必要以上に太くする必要がない。つまり、細い排水管を用いることができる。
【0027】
(8) 上記固定部材は、上記壁面に固定される一端と上記排水管に固定される他端との長さが可変に構成されている。上記排水管は、上記位置決め工程において、上記壁面に固定された上記固定部材によって固定されることが可能な位置であるという条件を具備するように位置決めされる。
【0028】
上記方法によれば、排水管配置工程において、固定部材が排水管を壁面に固定した状態とすることができない事態となることを防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、排水管を安定して配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、給湯器30が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、給湯器30の正面を前面33として前後方向8が定義され、給湯器30を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。
【0032】
[バルコニー10における床仕上げ材20及び排水管40の構造]
図1に示されるように、バルコニー10は、建築物の外壁13から前方へ突出した床壁14と、床壁14の突出先端部から上方へ立設された手摺壁15とを備える。床壁14の上面である床面11は、物や人を支持する。床面11は、例えば防水シートが敷かれたり防水塗装されることによって防水加工されている。外壁13のうち床面11から上方へ立設した壁面12には、後述する給湯器30が取り付けられている。
【0033】
床面11は、前方が後方よりも下方に位置するように傾斜している。床面11における床壁14の突出先端部には、左右に延びた排水溝16が形成されている。
【0034】
床面11には、床仕上げ材20が敷設されている。床仕上げ材20は、合成樹脂の成形品である。1つの床仕上げ材20は、正方形の概ね平板である複数枚(例えば4枚)のタイル22が間隔(目地24)を空けて連結されて一体となったものである。複数の床仕上げ材20が間隔(目地24)を空けた状態で床面11に固定されることによって、バルコニー10の床が仕上げられている。なお、複数の床仕上げ材20は、床面11に固定されるとともに相互に連結されていてもよい。
【0035】
図2に示されるように、床仕上げ材20は、タイル22の下面(例えばタイル22の四隅)から下方へ延びた複数の脚部23を備えている。これにより、床仕上げ材20が床面11に固定された状態において、床面11とタイル22との間には、空間21が形成される。
【0036】
タイル22の上面の縁部には、縁へ向かうにしたがって下方へ向かうように傾斜した傾斜面22Aが形成されている。
【0037】
上方から床仕上げ材20のタイルの上面へ落下した水は、目地24を通って床面11とタイル22との間の空間21へ流れ、床面11に至る。床面11に至った水は、傾斜した床面11に沿って流れて排水溝16に至る。
【0038】
図1に示されるように、目地24は、縦目地24Aと横目地24Bとを備えている。縦目地24Aは、前後方向8に延びている。横目地24B、左右方向9に延びており、縦目地24Aと直交している。
【0039】
図8に示されるように、床仕上げ材20における後述する給湯器30の下方の位置において、タイル22の部分を貫通する孔25が形成されている。孔25には、後述する継手42が挿入されている(
図1参照)。
【0040】
図1に示されるように、壁面12に取り付けられた給湯器30は、床仕上げ材20の上方に床仕上げ材20と間隔を空けて配置されている。給湯器30は、本体31と、ドレイン管32とを備えている。
【0041】
本体31の内部構成、及び本体31の壁面12への取付構成は公知であるため、ここでは、本体31の詳細な説明は省略される。
【0042】
ドレイン管32は、本体31から下方へ延出されている。ドレイン管32は、本体31からの排水が流通する管である。排水は、例えば凝縮水(ドレイン排水)である。凝縮水は、給湯器30が熱をリサイクルすることによって熱効率を向上させるものである場合に、熱のリサイクルの際に発生する水である。本実施形態において、ドレイン管32は、湾曲自在なフレキシブル管であり、ステンレス製である。ドレイン管32の一端(上端)は、本体31と接続されている。ドレイン管32の他端(下端)は、開放されており、開口32Aが形成されている。
【0043】
図1に一点鎖線で示されるように、給湯器30の本体31の下方には、カバー34が配置されている。カバー34は、アルミ、ステンレス、合成樹脂などで構成されている。
本実施形態において、カバー34は、中空の直方体形状であり、その上端と下端とは開放されている。なお、カバー34の上端が開放されておらず、当該上端にドレイン管32が挿通可能な貫通孔が形成されていてもよい。また、カバー34の下端が開放されておらず、当該下端に排水管40が挿通可能な貫通孔が形成されていてもよい。カバー34は、ドレイン管32と後述する排水管40との接続部分を覆っている。カバー34が配置されることにより、ドレイン管32などを隠して給湯器30の意匠性を高めている。また、カバー34が配置されることにより、ユーザが後述するドレイン管32及び排水管40の間接排水部分に容易に触れることができないようにしている。また、カバー34が配置されることにより、当該間接排水部分への異物の侵入を抑制している。
【0044】
図1に示されるように、上下方向7におけるドレイン管32と床仕上げ材20との間に、排水管40、ソケット41、継手42、及び固定部材43が配置されている。
【0045】
図3に示されるように、排水管40は、円筒形状である。本実施形態において、排水管40は、塩化ビニルなどの合成樹脂製の成形品である。
【0046】
ソケット41は、概ね円筒形状である(大径部と小径部とテーパ部とがある。)。本実施形態において、ソケット41は、塩化ビニルなどの合成樹脂製の成形品である。
【0047】
ソケット41の下端に形成された小径部における開口41Aの径は、ソケット41の上端に形成された大径部における開口41Bの径よりも短い。
【0048】
開口41Aの径は、排水管40の上端の外径と略同一である。排水管40の上端がソケット41の下端に挿入されることによって、ソケット41は排水管40に連結されている(
図3(B)参照)。なお、ソケット41と排水管40との連結部分は、水密性を確保するためにコーキングされている。
【0049】
開口41Bの径は、ドレイン管32の開口32A(
図1参照)の径よりも長い。
図1に示されるように、ソケット41は、ドレイン管32の下方に、ドレイン管32と上下方向7に間隔を空けて配置されている。つまり、開口41Bは、ドレイン管32の開口32Aと上下方向7に対向している。このとき、平面視(上下方向7に沿った視線)において、ドレイン管32の開口32Aは、ソケット41の開口41Bに包含されている。つまり、ドレイン管32とソケット41が取り付けられた排水管40とは、間接排水によって接続されている。
【0050】
図3に示されるように、継手42は、円筒形状の本体44と、本体44の外周面から径方向へ張り出したフランジ45と、本体44の内周面から径方向へ張り出したリブ(不図示)とを備えている。なお、リブは、内周面の全周から張り出していてもよいし、内周面の一部から張り出していてもよい。
【0051】
本体44の上端に形成された開口42Aの径は、排水管40の下端の外径と略同一である。排水管40の下端が本体44の上端に挿入され、リブが下方から排水管40の下端に当接して当該下端を支持することによって、継手42は排水管40に連結されている(
図3(B)参照)。本体44の径は、床仕上げ材20に形成された孔25の径以下である。これにより、本体44の下端は、孔25に挿入されている(
図1参照)。
【0052】
フランジ45は、本体44の上端よりも、本体44の下端寄りに形成されている。換言すると、本体44の上端とフランジ45との間の上下方向7に沿った長さは、本体44の下端とフランジ45との間の上下方向7に沿った長さよりも長い。
【0053】
フランジ45の径は、床仕上げ材20に形成された孔25の径よりも長い。これにより、本体44の下端が孔25に挿入された状態において、床仕上げ材20は、下方からフランジ45を支持している。つまり、床仕上げ材20は、継手42を支持している。また、床仕上げ材20に支持された状態の継手42は、下方から継手42に繋がれた排水管40を支持している。継手42は、フランジ45の下面の全面が床仕上げ材20の上面に当接して支持されている。そのため、継手42を介して排水管40が床仕上げ材20に安定して支持されている。
【0054】
本実施形態において、継手42は、耐候性ゴムである。なお、継手42は、合成樹脂の成形品でもよい。
【0055】
図1に示されるように、固定部材43は、排水管40を壁面12に固定するためのものである。
図3に示されるように、固定部材43は、嵌合部46と、スライド部47と、固定部48とを備えている。
【0056】
嵌合部46は、排水管40に嵌合する部分である。嵌合部46は、C字形状であり、弾性変形可能である。嵌合部46のC字の内径Rは、排水管40の直径と略同一である。嵌合部46のC字の切れ目には、開口46Aが形成されている。開口46Aの長さL(詳細には、嵌合部46のC字の切れ目の一端から他端までの距離)は、排水管40の外周面の直径よりも短い。なお、開口46Aの長さLは、排水管40が嵌合部46に嵌合されるに際して、開口46Aを拡げるように嵌合部46を弾性変形させるために好適な長さである。
【0057】
スライド部47は、嵌合部46における開口46Aの反対側から、開口46Aから離れるように延出されている。スライド部47の外周面には、雄ネジ(不図示)が形成されている。
【0058】
固定部48は、第1板48Aと、第1板48Aよりも嵌合部46から離れた一対の第2板48Bと、第1板48A及び一対の第2板48Bを繋ぐ一対の第3板48Cとを備える。
【0059】
第1板48Aには、開口48Dが形成されている。開口48Dの内周面には、上記雄ネジに対応する雌ネジ(不図示)が形成されている。スライド部47と開口48Dとが螺合されている。スライド部47が回転されることによって、スライド部47は、固定部材43が伸縮するように、固定部48に対してスライドする。つまり、固定部材43は、壁面12に固定される一端と排水管40に固定される他端との長さが可変に構成されている。
図4(A)に、固定部材43が最長に伸長した状態が示されている。
図4(B)に、固定部材43が最短に収縮した状態が示されている。一対の第2板48Bの各々には、開口48Eが形成されている。釘やネジなどが開口48Eを通じて壁面12に打ち付けられることにより、固定部48は壁13に固定される。
【0060】
図1に示されるように、複数の固定部材43が、上下方向7に間隔を空けて配置されている。各固定部材43は、嵌合部46が排水管40と嵌合し且つ固定部48が壁13に固定されることによって、排水管40を壁面12に固定している。複数の固定部材43のうちの少なくとも1個が、カバー34に覆われている。本実施形態では、2個の固定部材43が上下方向7に離間されて配置されており、そのうち上に位置する1個の固定部材43がカバー34に覆われている。
【0061】
[バルコニー10における床仕上げ材20及び排水管40の施工方法]
以下、
図5のフローチャートを参照しつつ、バルコニー10における床仕上げ材20及び排水管40の施工方法が説明される。
【0062】
最初に、バルコニー10の床面11に、床仕上げ材20が敷設される(S10)。
図6に示されるように、床仕上げ材20は、複数のマット21が前後方向8及び左右方向9に沿って碁盤目状に配列されるように敷設される。ステップS10の工程は、設置工程である。
【0063】
次に、
図3(B)に示されるように、ソケット41が排水管40の軸方向の一端に連結され、継手42が排水管40の軸方向の他端に連結される(S20)。具体的には、ソケット41の開口41Aに、排水管40の軸方向の一端が嵌められる。また、継手42の開口42Aに、排水管40の軸方向の他端が嵌められる。
【0064】
次に、
図7に示されるように、ステップS20でソケット41及び継手42が連結された排水管40の位置決めが実行される。本実施形態では、ステップS20でソケット41及び継手42が連結された排水管40は、上下方向7に立てられた状態で、床仕上げ材20上に仮配置される(S30)。この際、ステップS20でソケット41及び継手42が連結された排水管40は、ソケット41が連結された軸方向の一端が上端となり、継手42が連結された軸方向の他端が下端となるように立てられる。
【0065】
仮配置された排水管40が以下で説明する条件(A)〜(D)を満たすか否かが、判断される(S40)。条件(A)〜(D)のうちの少なくとも一つを満たさない場合(S40:No)、満たさない条件を満たすように、仮配置された排水管40が移動される(S50)。条件(A)〜(D)の全てを満たす場合(S40:Yes)、ステップS60が実行される。
【0066】
条件(A)は、仮配置された排水管40の上端(詳細にはソケット41の上端)が、ドレイン管32と間接排水によって接続可能な位置であることである。
【0067】
排水管40の上端がドレイン管32と間接排水によって接続可能な位置であるには、排水管40の上端が、ドレイン管32における排水管40と間接排水によって接続される側の端(ドレイン管32の下端)と上下方向7に沿って所定の間隔を空けて対向するように、排水管40が配置されている必要がある。
【0068】
ここで、本実施形態では、ドレイン管32は湾曲自在なフレキシブル管である。そのため、ドレイン管32の下端は、ドレイン管32が湾曲することによって、ドレイン管32の開口32Aが前後方向8及び左右方向9の所定の範囲に亘って移動可能である。所定の範囲は、
図10において、一点鎖線Aで示された円の内部である。よって、排水管40の上端がドレイン管32と間接排水によって接続可能な位置であるには、排水管40の上端が、当該所定の範囲のいずれかの位置にあるドレイン管32の下端と上下方向7に沿って所定の間隔を空けて対向するように、排水管40が配置されている必要がある。なお、所定の間隔は、本実施形態において50(mm)以上である。また、所定の範囲は、ドレイン管32が長い程、大きくなる。
【0069】
条件(A)を満たさない場合、つまり、仮配置された排水管40の上端が、平面視において上記所定の範囲外に位置する場合、排水管40は、その上端が平面視において上記所定の範囲内となるように移動される。
【0070】
条件(B)は、仮配置された排水管40の下端(詳細には継手42のフランジ45の下面の全面)が、平面視において床仕上げ材20の目地24と重ならない位置であることである。つまり、継手42の真下に、目地24が存在しないことである。
図10において、目地24の範囲は、「B」で示されている。
【0071】
継手42の真下に縦目地24Aが存在する場合、排水管40は、縦目地24Aを避けるように左右方向9へ移動される。継手42の真下に横目地24Bが存在する場合、排水管40は、横目地24Bを避けるように前後方向8へ移動される。
【0072】
条件(C)は、仮配置された排水管40が、固定部材43によって壁面12への固定が可能であることである。換言すると、排水管40の位置が、前後方向8において固定部材43を介した壁面12への固定が可能な位置であることである。
【0073】
固定部材43を介した壁面12への固定が可能な位置とは、固定部材43の伸縮の状態にかかわらず、排水管40が固定部材43を介して壁面12へ固定可能な位置のことである。具体的には、固定部材43を介した壁面12への固定が可能な位置とは、前後方向8において、固定部材43が最短に収縮した状態(
図4(B)に示された状態)の嵌合部46の位置と、固定部材43が最長に伸長した状態(
図4(A)に示された状態)の嵌合部46の位置と、前記両位置の間の任意の位置とを含む。固定部材43を介した壁面12への固定が可能な位置は、
図10において、2本の二点鎖線Cの間の範囲にある任意の位置である。
【0074】
仮配置された排水管40が、固定部材43が最短に収縮した状態の嵌合部46の位置よりも壁面12に近い場合、排水管40は、壁面12から離れるように前方へ移動される。仮配置された排水管40が、固定部材43が最長に伸長した状態の嵌合部46の位置よりも壁面12から離れている場合、排水管40は、壁面12へ近づくように後方へ移動される。
【0075】
条件(D)は、排水管40の仮配置位置が、給湯器30のドレイン管32以外の他配管(
図10において「D」で示されている。)と干渉しないことである。
【0076】
仮配置された排水管40が他配管と干渉する場合、排水管40は、他配管を避けるように前後方向8または左右方向9の少なくとも一方へ移動される。なお、仮配置された排水管40がドレイン管32と干渉する場合、後のステップにおいて排水管40またはドレイン管32が切断される。
【0077】
以上より、排水管40は、
図10に示されるように、一点鎖線Aで示された円の内側のハッチング部分のいずれかの位置に配置されることによって、条件(A)〜(D)を満たすように配置される。
【0078】
ステップS30〜S50の工程は、位置決め工程である。
【0079】
条件(A)〜(D)を満たすように排水管40が仮配置されると(S40:Yes)、
図8に示されるように、床仕上げ材20のタイル22の上面における仮配置された排水管40に連結された継手42に対応する位置、例えば孔25の外形線や中心位置がマーキングされる。そして、マーキングに基づいて孔25があけられる(S60)。孔25の径は、継手42の本体44の径以上であり、且つ継手42のフランジ45の径未満である。ステップS60の工程は、孔あけ工程である。
【0080】
次に、上述した排水管40の仮配置(位置決め)において、排水管40が長すぎて条件(A)や条件(D)を満たすことができないことが明らかとなった場合、排水管40が適切な長さに切断される(S70)。つまり、排水管40は、ドレイン管32と間接排水によって接続可能であり、他配管と干渉しない長さに切断される。ステップS70の工程は、排水管切断工程である。
【0081】
次に、
図9に示されるように、排水管40をステップS30〜S50において位置決めした位置に本配置する。以下に詳述する。
【0082】
本実施形態では、最初に、
図2(B)に示されるように、ソケット41が排水管40の軸方向の一端に連結され、継手42が排水管40の軸方向の他端に連結される(S80)。具体的には、ソケット41の開口41Aに、排水管40の軸方向の一端が嵌められる。また、継手42の開口42Aに、排水管40の軸方向の他端が嵌められる。
【0083】
次に、ステップS80において排水管40に連結された継手42を、床仕上げ材20に取り付ける(S90)。詳細には、継手42の本体44の軸方向の端部のうち、開口42A(
図3(A)参照)が形成されていない側の端部が、孔25に嵌められる。このとき、床仕上げ材20は、下方からフランジ45と当接する。これにより、床仕上げ材20は、継手42を支持した状態となる。つまり、床仕上げ材20が、継手42を介して排水管40を支持した状態となる。
【0084】
これにより、排水管40は、ソケット41が上端となり、継手42が下端となるように立てられた状態で配置される。
【0085】
次に、少なくとも一つの固定部材43が壁面12及び排水管40に取り付けられる(S100)。固定部材43が、排水管40と壁面12との間に配置される。そして、固定部材43の固定部48の開口48Eを通じて釘やネジが壁面12に打ち付けられることにより、固定部48が壁面12に固定される。また、固定部材43の嵌合部46に排水管40が嵌合される。以上により、排水管40が、固定部材43を介して壁面12に固定される。
【0086】
壁面12及び排水管40に取り付けられる固定部材43のうちの少なくとも一つは、後述するステップS120においてカバー34に覆われる位置に配置される。
【0087】
ステップS80〜S100の工程は、排水管配置工程である。
【0088】
次に、床仕上げ材20に支持され且つ固定部材43を介して壁面12に固定された排水管40とドレイン管32との間接排水が確保される(S110)。具体的には、ドレイン管32が湾曲されることによって、ドレイン管32における給湯器30の本体31からの突出先端(ドレイン管32の下端)が、排水管40に取り付けられたソケット41の真上にソケット41と所定の間隔(本実施形態では50(mm)以上)を空けて位置される。換言すると、ドレイン管32の開口32Aと、ソケット41の開口41Bとが、所定の間隔を空けて上下方向7において対向される(
図1参照)。また、ドレイン管32が長すぎることにより、ドレイン管32を湾曲させても開口32Aと開口41Bとを所定の間隔を空けて対向させることができない場合、ドレイン管32が、適切な長さとなるように切断される。ステップS110の工程は、間接排水確保工程である。
【0089】
次に、カバー34が配置される(S120)。カバー34は、給湯器30の本体31から下方に延びたドレイン管32などの配管を覆うように配置される。カバー34は、ドレイン管32と排水管40との間接排水による接続部分を覆うように配置される。間接排水による接続部分は、ドレイン管32における開口32A及びその周辺部分と、ソケット41における開口41B及びその周辺部分とである。カバー34は、壁面12及び排水管40に取り付けられた固定部材43のうちの少なくとも一つを覆うように配置される。ステップS120の工程は、カバー被覆工程である。
【0090】
[実施形態の効果]
仮に、継手42が嵌合される孔25が、上下方向7に沿った平面視において床仕上げ材20の目地24と重なる位置にあけられている場合、継手42のフランジ45が、タイル22の上面の縁部に形成された傾斜面22A(
図2参照)の真上に位置するおそれがある。その場合、フランジ45の少なくとも一部は、タイル22の上面から浮いた状態となる。その結果、継手42は、ぐらつきやすい状態で配置される。つまり、継手42が不安定になる。
【0091】
そこで、上記実施形態によれば、継手42が嵌合される孔25は、上下方向7に沿った平面視において床仕上げ材20の目地24と重ならない位置にあけられる。これにより、孔25に嵌合された継手42の位置を安定させることができる。
【0092】
また、上記実施形態によれば、排水管40は、位置決め工程(S30〜S50)においてドレイン管32と間接排水によって接続可能な位置に位置決めされ、間接排水確保工程(S110)において実際にドレイン管32との間接排水を確保される。これにより、間接排水を確保する段階になって、排水管40とドレイン管32との間接排水ができない事態となることを防止できる。
【0093】
また、上記実施形態によれば、排水管40及びドレイン管32の間接排水による接続箇所がカバー34で覆われているため、ドレイン管32から排水管40へ流れる水が周辺へ飛び散ることを防止できる。
【0094】
また、上記実施形態によれば、固定部材43の少なくとも一つが、カバー34の内部、つまり排水管40におけるドレイン管32の近傍において排水管40を壁面12に固定している。これにより、排水管40におけるドレイン管32の近傍部分の位置ずれを低減することができる。その結果、ドレイン管32から流出した水が誤って排水管40外へ落下することを低減することができる。
【0095】
また、上記実施形態によれば、床仕上げ材20は、下方からフランジ45を支持することによって、継手42を支持することができる。
【0096】
また、上記実施形態によれば、平面視において、位置決め工程(S30〜S50)において位置決めされた排水管40の水の流入口(開口41B)の位置が、ドレイン管32の水の流出口(開口32A)の位置と重なっていない場合であっても、ドレイン管32を湾曲させることにより、排水管40とドレイン管32との間接排水を確保することができる。
【0097】
また、上記実施形態によれば、排水管40とドレイン管32とが上下方向7に近づき過ぎている場合であっても、ドレイン管32を切断することにより、排水管40とドレイン管32との間接排水を確保することができる。
【0098】
また、上記実施形態によれば、ソケット41がドレイン管32よりも太く構成されることで間接排水が確保されている。そのため、間接排水の確保のために、排水管40を必要以上に太くする必要がない。つまり、細い排水管40を用いることができる。
【0099】
また、上記実施形態によれば、位置決め工程(S30〜S50)において条件(C)を満たすように排水管40が配置される。そのため、排水管配置工程(S100)において、固定部材43が排水管40を壁面12に固定した状態とすることができない事態となることを防止できる。
【0100】
[変形例]
上記実施形態では、排水管40が実際に仮配置されることによって、排水管40が位置決めされた。しかし、排水管40の位置決めは、排水管40が仮配置されることなく実行されてもよい。例えば、給湯器30、壁面12、及び床面11に敷設された床仕上げ材20の相対的な位置関係の設計値から、条件(A)〜(D)を満たすような排水管40の配置位置が計算によって決定されてもよい。
【0101】
上記実施形態では、バルコニー10における床仕上げ材20及び排水管40の施工が、
図5のフローチャートの順序で実行された。しかし、排水管40が条件(A)〜(D)を満たす適切な位置に配置されるという目的が実現される限りにおいて、当該施工が、
図5のフローチャートとは異なる順序で実行されてもよい。
【0102】
例えば、床仕上げ材20の敷設(S10)よりも前に、ソケット41及び継手42の排水管40への連結(S20)が実行されてもよい。
【0103】
また、例えば、排水管40の切断(S70)が、孔25をあける処理(S60)よりも前に実行されてもよい。
【0104】
また、例えば、上記実施形態では、ソケット41及び継手42が排水管40に連結された後に(S80)、排水管40に連結された継手42が床仕上げ材20に取り付けられた(S90)。
【0105】
継手42の排水管40への連結、ソケット41の排水管40への連結、及び継手42の床仕上げ材20への連結の順序は、任意である。例えば、最初に継手42が床仕上げ材20に連結され、次に排水管40が継手42に連結され、最後にソケット41が排水管40に連結されてもよい。また、例えば、最初に、ソケット41が排水管40に連結され、次に、継手42が床仕上げ材20に連結され、最後に、ソケット41が取り付けられた排水管40が、継手42に連結されてもよい。
【0106】
また、例えば、ソケット41の排水管40への連結は、固定部材43による排水管40の壁面12への固定の後に実行されてもよい。