特許第6803704号(P6803704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803704
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   G01B5/20 D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-167034(P2016-167034)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-36070(P2018-36070A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】吉田 稔
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−233504(JP,A)
【文献】 実開昭55−086904(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00−5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔部材の内周面に当接する検出部と、該検出部で検出した変位を測定する測定部とを備えて前記有孔部材の内周面を検査する検査装置において、
前記検出部が一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に支点を有してベース部に揺動可能に支持される揺動部を有し、
前記測定部は、前記揺動部の前記他端側近傍に配置されるとともに、前記検出部を当接させた状態で前記有孔部材を相対回転させた際に生じる前記揺動部の前記一端側の変位を、前記支点を中心として生じる前記揺動部の前記他端側の変位で測定することになり、
前記検出部は、前記有孔部材の内周面に当接する第1のローラと、該第1のローラに対し軸方向に所定距離ずれた位置に配置されて前記有孔部材の内周面に当接する第2のローラとを有し、
前記揺動部は、前記第1のローラが一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に前記支点を有して前記ベース部に揺動可能に支持される第1の揺動部と、前記第2のローラが一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に前記支点を有して前記ベース部に揺動可能に支持される第2の揺動部とを有し、
前記測定部は、前記第1のローラおよび前記第2のローラを前記有孔部材の内周面に当接させた状態で該有孔部材を相対回転させた際に生じる、前記第1の揺動部の前記他端側と前記第2の揺動部の前記他端側との相対変位を測定する検査装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記有孔部材の内周面に当接する前記第1のローラと、
該第1のローラを回転自在に支持すると共に前記第1の揺動部の前記一端側に係合する第1の支持部材と、
該第1の支持部材を前記ベース部に直線移動可能に連結する第1のガイド部と、
前記有孔部材の内周面に当接する前記第2のローラと、
該第2のローラを回転自在に支持すると共に前記第2の揺動部の前記一端側に係合する第2の支持部材と、
該第2の支持部材を前記ベース部に直線移動可能に連結する第2のガイド部と、
備える請求項1記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有孔部材の内周面を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有孔部材の内周面を検査する検査装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−36070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の検査装置では、精度良く検査することができない可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、有孔部材の内周面を精度良く検査することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、検出部が一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に支点を有してベース部に揺動可能に支持される揺動部を有し、測定部が、前記揺動部の前記他端側近傍に配置され、前記検出部を当接させた状態で有孔部材を相対回転させた際に生じる前記揺動部の前記一端側の変位を、前記支点を中心として生じる前記揺動部の前記他端側の変位で測定する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、有孔部材の内周面を精度良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の検査装置の要部を示す正断面図。
図2】実施形態の検査装置の要部を示す側面図。
図3】実施形態の検査装置の変位センサおよび検出板を示す平断面図。
図4】実施形態の検査装置の変位センサおよび検出板を示す正面図。
図5】実施形態の検査装置で検査されるディスクブレーキを示す断面図。
図6】実施形態の検査装置による中間組立体の検査中の一状態を示す正断面図。
図7】実施形態の検査装置の検査工程の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面を参照して以下に説明する。図1図2に示すように検査装置10は、図示略の装置本体から鉛直下方に延びる回転軸11と、この回転軸11の下端部に取り付けられる検出ユニット12とを有している。検出ユニット12は、回転軸11に固定されるベース部20と、いずれもベース部20に揺動可能に支持された第1の揺動部21(揺動部)および図2に示す第2の揺動部22(揺動部)と、ベース部20の回転軸11とは反対側である下端側に設けられた第1の検出部23(検出部)および第2の検出部24(検出部)と、ベース部20の回転軸11側である上端側に設けられた測定部25と、を有している。
【0010】
回転軸11は、鉛直方向に昇降可能であって鉛直に配置された中心軸線を中心に回転する。
【0011】
ベース部20は、回転軸11の下端に取り付けられると共に測定部25が配置される基端部31と、基端部31から鉛直下方に延びる、基端部31よりも細長い延出部32とを有している。延出部32は、回転軸11の延長上に配置されており、延出部32を含むベース部20は回転軸11と一体に鉛直軸回りに回転する。ベース部20は、延出部32の長さ方向の中間位置に、支持軸33(支点)を有している。支持軸33は、水平に配置されている。
【0012】
第1の揺動部21は、一方向に長い板状の部材であり、長さ方向の中央部においてベース部20の支持軸33に揺動可能に支持されている。第1の揺動部21は、支持軸33を支点としてベース部20に対して水平軸回りに揺動する。つまり、第1の揺動部21は、一端側と他端側との間の領域に支点である支持軸33を有してベース部20に揺動可能に支持されており、上下方向に延在する姿勢で支持軸33に支持されている。第1の揺動部21の下端には、第1の下部ピン41が位置固定で設けられており、第1の揺動部21の上端には、図1に示す第1の上部ピン42が位置固定で設けられている。これら第1の下部ピン41および第1の上部ピン42は支持軸33と平行になっている。
【0013】
図2に示す第2の揺動部22は、第1の揺動部21と同様の部材であり、長さ方向の中央部において第1の揺動部21と同じ支持軸33に揺動可能に支持されていて、支持軸33を支点としてベース部20に対して水平軸回りに揺動する。つまり、第2の揺動部22は、一端側と他端側との間の領域に支点である支持軸33を有してベース部20に揺動可能に支持されており、上下方向に延在する姿勢で支持軸33に支持されている。第2の揺動部22の下端には、第2の下部ピン45が位置固定で設けられており、第2の揺動部22の上端には、図示略の第2の上部ピンが位置固定で設けられている。これら第2の下部ピン45および図示略の第2の上部ピンは支持軸33と平行になっている。
【0014】
図1に示すように、第1の検出部23は、第1の揺動部21の一端側である下端側に設けられている。第1の検出部23は、鉛直に配置された中心軸線を中心に回転する第1のローラ51(ローラ)と、第1のローラ51を回転自在に支持する第1の支持部材52と、第1の支持部材52をベース部20の延出部32に対して水平移動可能に連結させる図2に示す第1の下部ガイド部53(ガイド部)とを有している。第1の下部ガイド部53は、第1の支持部材52をベース部20に対して直線移動可能に連結するリニアガイドである。第1の下部ガイド部53のスライド方向は第1の揺動部21の揺動時の第1の下部ピン41の移動方向に沿う水平方向となっている。
【0015】
図1に示すように、第1の支持部材52には鉛直方向に延びる第1の下部係合溝55が形成されており、この第1の下部係合溝55内に第1の揺動部21の第1の下部ピン41が配置されている。よって、第1の揺動部21が支持軸33を中心に揺動して下端の第1の下部ピン41が円弧状の軌跡で移動すると、第1の下部ピン41で第1の下部係合溝55が押されることにより、この円弧の接線方向に第1の支持部材52が図2に示す第1の下部ガイド部53の案内で水平移動し、これと共に第1のローラ51も水平移動する。
【0016】
図1に示す第1のローラ51は、第1の支持部材52の移動方向において第1の支持部材52から突出している。第1のローラ51は、第1の揺動部21の一端側である下端側に設けられている。
【0017】
図2に示すように、第2の検出部24は、第2の揺動部22の一端側である下端側に設けられている。第2の検出部24は、鉛直に配置された中心軸線を中心に回転する図1に示す第2のローラ61(ローラ)と、第2のローラ61を回転自在に支持する第2の支持部材62と、第2の支持部材62をベース部20の延出部32に対して水平移動可能に連結させる図2に示す第2の下部ガイド部63(ガイド部)とを有している。第2の下部ガイド部63は、第2の支持部材62をベース部20に対して直線移動可能に連結するリニアガイドである。第2の下部ガイド部63のスライド方向は第2の揺動部22の揺動時の第2の下部ピン45の移動方向に沿う水平方向となっており、第1の下部ガイド部53のスライド方向と平行になっている。
【0018】
第2の支持部材62には、図1に示す第1の支持部材52の第1の下部係合溝55と同様の上下方向に延びる図示略の第2の下部係合溝が形成されており、この第2の下部係合溝内に図2に示す第2の揺動部22の第2の下部ピン45が配置されている。よって、第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動して下端の第2の下部ピン45が円弧状の軌跡で移動すると、第2の下部ピン45で図示略の第2の下部係合溝が押されることにより、この円弧の接線方向に第2の支持部材62が第2の下部ガイド部63の案内で水平移動し、これと共に図1に示す第2のローラ61が水平移動する。
【0019】
第2のローラ61は、第2の支持部材62の移動方向において、第2の支持部材62から突出している。第2のローラ61は、図2に示す第2の揺動部22の一端側である下端側に設けられている。図1に示すように、第2のローラ61の第2の支持部材62から突出方向は、第1のローラ51の第1の支持部材52から突出方向と同じとなっている。
【0020】
第1のローラ51と第2のローラ61とは、支持軸33の軸線方向における位置を合わせており、支持軸33からの距離が第1のローラ51の方が第2のローラ61よりも遠くなっている。つまり、第1のローラ51の方が第2のローラ61よりも下側に配置されている。第1のローラ51および第2のローラ61は、鉛直に配置された同一直線上に配置可能となっている。第1のローラ51は外周面が円筒面であり、第2のローラ61は外周面が下側ほど小径となるテーパ面となっている。
【0021】
ベース部20の延出部32と第1の揺動部21と図2に示す第2の揺動部22と第1の検出部23と第2の検出部24とが、検出ユニット12において、基端部31および測定部25よりも下方に延出する検出軸68となっている。
【0022】
測定部25は、第1の揺動部21および第2の揺動部22の他端側である上端側の近傍に設けられている。測定部25は、第1の摺動部71と、第1の摺動部71をベース部20の基端部31に対して水平移動可能に連結させる第1の上部ガイド部72とを有している。第1の上部ガイド部72は、第1の摺動部71をベース部20に対して直線移動可能に連結するリニアガイドである。第1の上部ガイド部72のスライド方向は第1の揺動部21の揺動時の図1に示す第1の上部ピン42の移動方向に沿う水平方向となっており、図2に示す第1の下部ガイド部53および第2の下部ガイド部63のスライド方向と平行になっている。
【0023】
第1の摺動部71には鉛直方向に延びる図1に示す第1の上部係合溝73が形成されており、この第1の上部係合溝73内に第1の揺動部21の第1の上部ピン42が配置されている。よって、第1の摺動部71が図2に示す第1の上部ガイド部72の案内で水平移動すると、図1に示す第1の上部係合溝73で第1の上部ピン42が押されることにより、第1の揺動部21が支持軸33を中心に揺動する。
【0024】
測定部25は、図2に示す第2の摺動部75と、第2の摺動部75をベース部20の基端部31に対して水平移動可能に連結させる第2の上部ガイド部76とを有している。第2の上部ガイド部76は、第2の摺動部75をベース部20に対して直線移動可能に連結するリニアガイドである。第2の上部ガイド部76のスライド方向は第2の揺動部22の揺動時の図示略の第2の上部ピンの移動方向に沿う水平方向となっており、第1の上部ガイド部72のスライド方向と平行になっている。
【0025】
第2の摺動部75には鉛直方向に延びる図示略の第2の上部係合溝が形成されており、この第2の上部係合溝内に第2の揺動部22の図示略の第2の上部ピンが配置されている。よって、第2の摺動部75が第2の上部ガイド部76の案内で水平移動すると、図示略の第2の上部係合溝で図示略の第2の上部ピンが押されることにより、第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動する。
【0026】
図1に示すように、測定部25は、ベース部20に対して水平に移動する移動部材81を有するエアシリンダである駆動シリンダ82と、第1の摺動部71と移動部材81との間に設けられた金属カラー部材85と、第2の摺動部75と移動部材81との間に設けられた図2に示すスプリング部材86とを有している。
【0027】
図1に示す駆動シリンダ82は、移動部材81を前進および後退させることになり、図1に示すように移動部材81を前進させた待機状態では、金属カラー部材85およびスプリング部材86を介して第1の摺動部71および第2の摺動部75を待機位置に位置させる。第1の摺動部71および第2の摺動部75が待機位置に位置するとき、第1の揺動部21、第2の揺動部22、第1の検出部23および第2の検出部24も待機位置に位置することになり、第1の検出部23の第1のローラ51および第2の検出部24の第2のローラ61は、最も後退している。
【0028】
駆動シリンダ82が待機状態から、移動部材81を第1の摺動部71および第2の摺動部75とは反対方向に後退させると、金属カラー部材85およびスプリング部材86を介して第1の摺動部71および第2の摺動部75を待機位置よりも駆動シリンダ82側に引く。すると、第1の摺動部71の第1の上部係合溝73および第2の摺動部75の図示略の第2の上部係合溝が駆動シリンダ82側に移動し、第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンを駆動シリンダ82側に移動させる。その結果、第1の揺動部21および第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動して第1の下部ピン41および第2の下部ピン45を第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンとは逆方向に移動させる。その結果、第1の検出部23の第1の支持部材52および第1のローラ51が前進し、第2の検出部24の第2の支持部材62および第2のローラ61が前進する。
【0029】
スプリング部材86は、第2の摺動部75が上記のように駆動シリンダ82で引かれている最中に、第2の検出部24の第2のローラ61および第2の支持部材62と第2の揺動部22と第2の摺動部75とが停止しても、伸びることで、これらと移動部材81との移動量の差を吸収して、この停止を許容する。
【0030】
駆動シリンダ82が後退状態から、移動部材81を前進させて待機状態となると、金属カラー部材85に連結された第1の摺動部71およびスプリング部材86に連結された第2の摺動部75が駆動シリンダ82側とは反対に移動する。すると、第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンが駆動シリンダ82とは反対側に移動し、第1の揺動部21および第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動して第1の下部ピン41および第2の下部ピン45を第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンとは逆方向に移動させる。その結果、第1の支持部材52と共に第1のローラ51が後退して待機位置に戻り、第2の支持部材62と共に第2のローラ61が後退して待機位置に戻る。
【0031】
測定部25は、図3および図4に示すように、第1の摺動部71に取り付けられた変位センサ91と、第2の摺動部75に取り付けられた板状の検出板92とを有している。変位センサ91と検出板92とは、第1の摺動部71および第2の摺動部75の摺動方向において対向している。検出板92は、平滑板であり、第1の摺動部71および第2の摺動部75の摺動方向に直交して広がっている。第1の摺動部71と第2の摺動部75とは、第1のローラ51の変位量と第2のローラ61の変位量との差に応じて、摺動量に差が生じることになり、よって、変位センサ91と検出板92とが、第1のローラ51の変位量と第2のローラ61の変位量との差に応じた間隔をあけることになる。
【0032】
検査装置10は、図1に示す第1の検出部23の第1のローラ51と第2の検出部24の第2のローラ61とを前進させて有孔部材の内周面に当接させた状態で、回転軸11および検出ユニット12を回転させることになり、測定部25は、その際に生じる第1の揺動部21の一端の第1の検出部23側および第2の揺動部22の一端の第2の検出部24側の変位を、支点である支持軸33を中心として生じる第1の揺動部21および図2に示す第2の揺動部22の他端側の変位で測定する。つまり、測定部25は、第1の検出部23および第2の検出部24で検出した変位を測定する。その際に、測定部25は、第1の揺動部21の他端側である上端側と第2の揺動部22の他端側である上端側との相対変位を測定する。なお、図1に示す第1のローラ51と第2のローラ61とを有孔部材の内周面に当接させた状態で、停止状態にある検出ユニット12に対し、有孔部材を回転させても良い。つまり、検査装置10は、第1のローラ51と第2のローラ61とを有孔部材の内周面に当接させた状態で、検出ユニット12に対して有孔部材を相対回転させて検査を行う。
【0033】
検査装置10は、具体的には、図5に示すディスクブレーキ111の組み立て工程で使用される。ディスクブレーキ111は、自動車等の車両用のもの、具体的には四輪自動車用のもので、キャリア112と、一対のパッド113と、キャリパ114とを備えている。ディスクブレーキ111は、制動対象となる図示略の車輪と共に回転するディスク115の回転を止めて車両を制動する。
【0034】
キャリア112は、ディスク115の外径側を跨ぐように配置されて車両の非回転部に固定される。一対のパッド113は、ディスク115の両面に対向配置された状態でディスク115の軸方向に移動可能となるようにキャリア112に支持される。キャリパ114は、ディスク115の外径側を跨いだ状態でディスク115の軸方向に摺動可能となるようにキャリア112に支持される。
【0035】
キャリパ114は、一対のパッド113をディスク115に押圧することによりディスク115の回転を止めるものであり、ディスク115を跨いだ状態でキャリア112に支持されるキャリパボディ120と、キャリパボディ120内に保持されてディスク115の一面側に対向するように配置されるピストン121とを有している。
【0036】
キャリパボディ120は、ブレーキ液圧が付与されるシリンダ125と、ディスク115を跨ぐブリッジ部126と、一対のパッド113のうちのアウタ側(車幅方向外側)のパッド113を押圧する爪部127とを有して一体的に構成されている。
【0037】
シリンダ125は、ディスク115の軸方向のインナ側(車幅方向内側)の面に対向配置されており、ディスク115側に開口する筒状のシリンダ側壁部131と、シリンダ側壁部131のディスク115とは反対側を閉塞するシリンダ底部132とを有する有底筒状をなしている。シリンダ125は、これらシリンダ側壁部131およびシリンダ底部132の内側がボア穴133となっており、ボア穴133はディスク115側に開口してディスク115の軸方向に沿っている。ピストン121は、ボア穴133の一定径の摺動内径部134内に摺動可能に挿入されている。ブリッジ部126は、ディスク115を跨ぐためにシリンダ125からディスク115の軸方向へ延びて形成されている。爪部127は、ブリッジ部126のシリンダ125とは反対側の端部からシリンダ125と対向するように延出しており、ディスク115のアウタ側の面に対向配置されている。
【0038】
キャリパ114は、ボア穴133内に導入されるブレーキ液圧によりピストン121をディスク115側に前進させる。すると、ピストン121はディスク軸方向に沿って移動し、インナ側のパッド113をディスク115に押圧する。このピストン121の押圧反力で、キャリパボディ120は、キャリア112に対してシリンダ125をディスク115から離す方向に移動し、爪部127でアウタ側のパッド113をディスク115に押圧する。このようにして、ピストン121と爪部127とで両側のパッド113を挟持しディスク115に押圧して摩擦抵抗を発生させ、制動力を発生させる。
【0039】
なお、ボア穴133を形成するシリンダ側壁部131の内周面の軸方向における開口側の中間位置には、摺動内径部134よりも径方向外方に凹む円環状のシール溝137が形成されている。シリンダ側壁部131の内周面のシール溝137よりも開口側には、摺動内径部134よりも径方向外方に凹む円環状のブーツ溝138が形成されている。シール溝137には、ピストン121とシリンダ125との隙間をシールする円環状のオイルシールであるピストンシール139が嵌合されている。ブーツ溝138には、ピストン121との間に介装される円環状のブーツ140の一端が嵌合されている。爪部127には、ボア穴133を加工するための工具が挿入されるリセス141が形成されている。リセス141は、爪部127のディスク周方向の中間位置にディスク径方向の内側から外側に向けて凹状をなすように形成されている。
【0040】
上記した検査装置10は、図6に示すように金属製のキャリパボディ120のシール溝137にゴム製のピストンシール139が取り付けられた状態の有孔部材である中間組立体151の内周面を検査する。検査装置10は、キャリパボディ120のシール溝137にピストンシール139が適正に取り付けられているか否かを検査する。ここで、シール溝137は溝底面がシリンダ底部132側ほど小径となるテーパ面となっており、シール溝137に適正に取り付けられた状態のピストンシール139も内周面がシリンダ底部132側ほど小径となるテーパ面となる。第2のローラ61の外周面がこの内周面に合わせた角度のテーパ面となっている。また、キャリパボディ120のボア穴133の摺動内径部134の内周面は円筒面であり、第1のローラ51の外周面がこの内周面に合わせて円筒面となっている。
【0041】
例えば、キャリパボディ120へのピストンシール139の自動機による組み付け工程後に、ロボット又は作業者により中間組立体151が検査装置10にセットされる。中間組立体151はそのキャリパボディ120が爪部127を上側にシリンダ底部132を下側にして検査装置10にセットされる。このセット後、検査装置10は、図7に示す流れの検査工程を行って中間組立体151を検査する。
【0042】
すなわち、まず、検出軸68を、爪部127のリセス141を介してボア穴133およびピストンシール139の内側に挿入する検出軸ボア内挿入工程S1を行う。このとき、キャリパボディ120のボア穴133の摺動内径部134の内周面と、ピストンシール139の内周面とが中間組立体151の内周面となる。検出軸ボア内挿入工程後の状態で、検出軸68は、第1の検出部23の第1のローラ51が、キャリパボディ120のボア穴133のシール溝137よりもシリンダ底部132側の摺動内径部134の内周面に高さを合わせることになり、第2の検出部24の第2のローラ61が、ピストンシール139の内周面に高さを合わせることになる。
【0043】
この状態で、検査装置10は、駆動シリンダ82を後退状態にするローラ前進工程S2を行う。つまり、駆動シリンダ82の移動部材81が金属カラー部材85およびスプリング部材86を介して、第1の摺動部71および第2の摺動部75を手前に移動させる。すると、第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンが駆動シリンダ82側に移動し、第1の揺動部21および第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動して第1の下部ピン41および第2の下部ピン45を第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンとは逆方向に移動させる。その結果、第1の検出部23は第1のローラ51が前進して、キャリパボディ120の摺動内径部134の内周面に当接し、第2の検出部24は第2のローラ61が前進して、ピストンシール139の内周面に当接する。
【0044】
次に、検査装置10は、測定部25の変位センサ91で変位センサ91と検出板92との間の距離の測定を開始する測定開始工程S3を行い、回転軸11および検出ユニット12を360°以上の所定の角度回転させる検出軸旋回工程S4を行う。
【0045】
次に、検査装置10は、駆動シリンダ82を待機状態にするローラ後退工程S5を行う。つまり、駆動シリンダ82が金属カラー部材85およびスプリング部材86を介して、第1の摺動部71および第2の摺動部75を待機位置に戻す。すると、第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンが駆動シリンダ82とは反対側に移動し、第1の揺動部21および第2の揺動部22が支持軸33を中心に揺動して第1の下部ピン41および第2の下部ピン45を第1の上部ピン42および図示略の第2の上部ピンとは逆方向に移動させる。その結果、第1の検出部23は第1のローラ51が後退して待機位置に戻り、第2の検出部24は第2のローラ61が後退して待機位置に戻る。
【0046】
次に、検査装置10は、上記検出軸旋回工程S4での測定部25の変位センサ91での検出結果に基づいて中間組立体151の内周面が正常であるか否かを判定する判定工程S6を行う。つまり、キャリパボディ120のシール溝137にピストンシール139が組み付けられていなかったり、キャリパボディ120のシール溝137からピストンシール139が一部外れていたり、シール溝137内でピストンシール139が捻れていたりすると、キャリパボディ120のシール溝137にピストンシール139が正常に組み付けられている場合と比べて、検出軸68の回転中に、一定径の摺動内径部134の内周面に当接する第1のローラ51と、ピストンシール139に当接する第2のローラ61との相対位置のずれ量が大きくなる状態が生じる。その結果、変位センサ91と検出板92との距離が所定の許容範囲を超えることになる。
【0047】
このように、検出軸旋回工程S4中に、変位センサ91と検出板92との距離が所定の許容範囲を超える状態が発生すると、検査装置10は、キャリパボディ120のシール溝137にピストンシール139が組み付けられていなかったり、キャリパボディ120のシール溝137からピストンシール139が一部外れていたり、シール溝137内でピストンシール139が捻れたりする組み付け不良が生じていたと、判定工程S6において判定し、ピストンシール139の組み付け不良を報知する。
【0048】
検出軸旋回工程S4の全体において、変位センサ91と検出板92との距離が所定の許容範囲内にあると、検査装置10は、キャリパボディ120のシール溝137にピストンシール139が正常に組み付けられていると判定し、ピストンシール139の組み付けが正常であることを報知する。すると、ロボット又は作業者が中間組立体151を検査装置10から取り外して次工程の装置にセットする。
【0049】
特許文献1には、有孔部材の内周面を検査する装置が記載されている。この装置は、内径側に溝等の凹部を成型した各種部品における切削屑等の異物の残存や、溝内底面の変形の存在を検査するものである。この装置は、一端側に測定子が付いた測定軸を他端側で支持し、測定子を有孔部材の内周面に当接させた状態で、この他端側よりも一端側に配置された円盤の変位をセンサ部で検出するようになっている。このため、測定軸が、測定子を有孔部材の内周面に押し付ける際の反力で変形する可能性があり、この反力に対する剛性を確保しなければ、検出精度に影響を及ぼす可能性がある。このため、所定の検出精度を保つためにメンテナンスの頻度を増やさざるを得なくなってしまう。
【0050】
これに対して、実施形態の検査装置10は、第1の検出部23が一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に支点である支持軸33を有してベース部20に揺動可能に支持される第1の揺動部21と、第2の検出部24が一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に支点である支持軸33を有してベース部20に揺動可能に支持される第2の揺動部22とを有しており、測定部25は、第1の揺動部21および第2の揺動部22の他端側近傍で、第1の検出部23および第2の検出部24を当接させた状態で中間組立体151を相対回転させた際に生じる第1の揺動部21および第2の揺動部22の一端側の変位を、支点である支持軸33を中心として生じる第1の揺動部21および第2の揺動部22の他端側の変位で測定する。このように、中間組立体151から受ける反力で第1の揺動部21および第2の揺動部22が揺動する構造であるため、反力を受けても変形しにくくなる。したがって、有孔部材である中間組立体151の内周面を精度良く検査することができる。しかも、反力に対する剛性不足になりにくい構造であるため、メンテナンスの頻度を減らすことができる。
【0051】
また、検査装置10は、第1のローラ51が一端側に設けられる第1の揺動部21と、第2のローラ61が一端側に設けられる第2の揺動部22とを有し、測定部25が、第1の揺動部21の他端側と第2の揺動部22の他端側との相対変位を測定するため、測定の基準となる摺動内径部134に第1のローラ51を直接当接させ、検査対象のピストンシール139に第2のローラ61を直接当接させて測定することになる。よって、摺動内径部134およびピストンシール139の両方を同じ条件で測定することができ、検出をより安定させることができる。
【0052】
また、検査装置10は、摺動内径部134用の第1のローラ51を含む第1の検出部23の移動量を第1の揺動部21を介して第1の摺動部71および変位センサ91に伝達し、ピストンシール139用の第2のローラ61を含む第2の検出部24の移動量を第2の揺動部22を介して第2の摺動部75および検出板92に伝達するため、それぞれ独立した伝達系統で移動量を伝達することができる。よって、第1のローラ51および第2のローラ61の一方が受けた変位の影響を他方に及ぼすことなく検出することが可能となる。
【0053】
また、検査装置10は、第1の検出部23が、中間組立体151の内周面に当接する第1のローラ51と、第1のローラ51をベース部20に対して直線移動可能に連結する第1の下部ガイド部53とを備えており、第2の検出部24が、中間組立体151の内周面に当接する第2のローラ61と、第2のローラ61をベース部20に対して直線移動可能に連結する第2の下部ガイド部63とを備えている。よって、有孔部材である中間組立体151の内周面をより精度良く検査することができる。
【0054】
また、検査装置10は、変位センサ91を含む測定部25をボア穴133の外部に配置することにより、検出軸68をスリムにすることができる。よって、中間組立体151のリセス141が小さかったり、中間組立体151のボア穴133が小径であっても、良好に検査することができる。
【0055】
また、検査装置10は、変位センサ91が、平滑な検出板92との間の距離を検出するため、キャリパボディ120の内周面との間の距離を検出する場合と比べて、素材違いの影響を受けにくくなる。よって、例えば鋳鉄製とアルミニウム鋳物製のキャリパボディ120が混在する組み立てラインに設置しても、良好に検査を行うことができる。
【0056】
また、検査装置10は、第1の検出部23、第2の検出部24、第1の摺動部71および第2の摺動部75を、いずれもリニアガイドである第1の下部ガイド部53、第2の下部ガイド部63、第1の上部ガイド部72および第2の上部ガイド部76によって動作軸方向に移動させるため、これらの支持剛性が上がる。よって、メンテナンスの頻度をさらに減らすことができる。
【0057】
以上に述べた実施形態の第1の態様は、有孔部材の内周面に当接する検出部と、該検出部で検出した変位を測定する測定部とを備えて前記有孔部材の内周面を検査する検査装置において、前記検出部が一端側に設けられると共に該一端側と他端側との間の領域に支点を有してベース部に揺動可能に支持される揺動部を有し、前記測定部は、前記揺動部の前記他端側近傍に配置されるとともに、前記検出部を当接させた状態で前記有孔部材を相対回転させた際に生じる前記揺動部の前記一端側の変位を、前記支点を中心として生じる前記揺動部の前記他端側の変位で測定する。このように有孔部材から受ける反力で揺動部が揺動する構造であるため、反力で変形しにくくなる。したがって、有孔部材の内周面を精度良く検査することができる。
【0058】
第2の態様は、第1の態様において、前記検出部は、前記有孔部材の内周面に当接する第1のローラと第2のローラとを有し、前記揺動部は、前記第1のローラが前記一端側に設けられる第1の揺動部と、前記第2のローラが前記一端側に設けられる第2の揺動部とを有し、前記測定部は、前記第1の揺動部の前記他端側と前記第2の揺動部の前記他端側との相対変位を測定する。よって、有孔部材の内周面の二カ所を同じ条件で測定することができ、検出をより安定させることができる。
【0059】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記検出部は、前記有孔部材の内周面に当接するローラと、該ローラをベース部に対して直線移動可能に連結するガイド部とを備える。よって、ローラの支持剛性が上がり、有孔部材の内周面をより精度良く検査することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 検査装置
20 ベース部
21 第1の揺動部(揺動部)
22 第2の揺動部(揺動部)
23 第1の検出部(検出部)
24 第2の検出部(検出部)
25 測定部
33 支持軸(支点)
51 第1のローラ(ローラ)
53 第1の下部ガイド部(ガイド部)
61 第2のローラ(ローラ)
63 第2の下部ガイド部(ガイド部)
151 中間組立体(有孔部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7