(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側ブラシ歯列を構成する前記内側ブラシ歯は、前記ブラシ台の基面に対して垂直な方向における先端の高さが、前記外側ブラシ歯の先端の高さ以下となるように立設して設けられている請求項1または2記載の毛髪処理剤用ブラシ。
前記内側ブラシ歯は、前記ブラシ台の基面に対して垂直な方向における先端の高さが、前記外側ブラシ歯の先端の高さよりも0.5〜10mm低くなるように立設して設けられている請求項3記載の毛髪処理剤用ブラシ。
両側の前記内側ブラシ歯列の間の中間部分に、前記ブラシ台の長さ方向に所定の間隔をおいて配置された複数本のエラストマーによる中間部ブラシ歯からなる、中間部ブラシ歯列が設けられている請求項1〜5のいずれか1項記載の毛髪処理剤用ブラシ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい一実施形態に係る毛髪処理剤用ブラシ10は、
図1及び
図2に示すように、毛髪を掻き分けたり、毛髪を梳かしながら処理したり、毛髪の細かい部分を処理したりするのに適した機能を各々備える、櫛部21、ブラシ部22、及びミニブラシ部23を有する毛髪処理用具20の、ブラシ部22を構成する部分として用いられる。本実施形態では、毛髪処理用具20は、ハンドル部24と、ハンドル部24の先端部分に一体として設けられた取付け基板部25と、取付け基板部25に支持させて設けられた、櫛部21、ブラシ部22、及びミニブラシ部23とを含んで形成されている。
図1及び
図2において、ブラシ部22は、取付け基台部25の上側辺部に一体として設けられており、櫛部21は、取付け基台部25の下側辺部に一体として設けられており、ミニブラシ部23は、取付け基台部25の先端側辺部に一体として設けられている。
【0012】
使用者は、毛髪処理用具20のハンドル部24を手で把持して、取付け基台部25を回転させたり、傾けたりしながら、櫛部21やブラシ部22やミニブラシ部23の各々を、頭皮と対向させるように配置して、毛髪を掻き分ける操作や、毛髪を梳かす操作や、毛髪の細かい部分を梳かす操作を、容易に行うことができるようになっている。本実施形態の毛髪処理剤用ブラシ10は、上述のように、毛髪処理用具20のブラシ部22を構成するものとなっており、毛髪処理剤として、例えば染毛剤のアルカリ剤を含有する第1剤30aと酸化剤を含有する第2剤30bとを、例えば
図1に示す毛髪処理剤用ブラシ10によるブラシ部22を上方に向けた状態で、ブラシ台11の上面11aに長さ方向Xに載置した後に(
図5参照)、毛髪処理剤用ブラシ10を頭皮と対向させて、好ましくはブラシ台11の幅方向Yに動かすことで、毛髪を梳かしながら、アルカリ剤を含有する第1剤30aと酸化剤を含有する第2剤30bとを効率良く混合させて、染毛剤を毛髪に塗布できるようになっている。
【0013】
そして、本実施形態の毛髪処理剤用ブラシ10は、ブラシ台11の幅方向Yに複数列に並べた状態で当該ブラシ台11の上面11aに長さ方向に毛髪処理剤(アルカリ剤を含有する第1剤30a及び酸化剤を含有する第2剤30b)を載置できる毛髪処理剤(染毛剤)用のブラシであって、
図1及び
図3に示すように、ブラシ台11の幅方向Yの両側の側縁部に沿って各々設けられ、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された複数本の外側ブラシ歯12aからなる外側ブラシ歯列12と、外側ブラシ歯列12のブラシ台11の幅方向Yの内側に隣接して設けられ、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された複数本のエラストマーによる内側ブラシ歯13aからなる内側ブラシ歯列13とを含んで形成されている。内側ブラシ歯13aの中心軸c’が外側ブラシ歯12aの中心軸cとブラシ台11の幅方向Yに重ならないように、内側ブラシ歯13aと外側ブラシ歯12aとが千鳥状に配置されている(
図2、
図3参照)。なお、各ブラシ歯の中心軸は、各ブラシ歯が立設する方向の中心軸である。
【0014】
外側ブラシ歯列12を構成する外側ブラシ歯12aは、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有していると共に、
図4にも示すように、好ましくはブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zから、ブラシ台11の幅方向Yの外側に傾いた状態で立設して設けられている。また、内側ブラシ歯列13を構成するエラストマーによる内側ブラシ歯13aは、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zにおける先端の高さが、外側ブラシ歯12aの先端の高さよりも、本実施形態では低くなるように立設して設けられている。内側ブラシ歯13aは、その中心軸c’が、外側ブラシ歯12aの中心軸cとブラシ台11の幅方向Yに重ならないように、外側ブラシ歯12aに対して千鳥状に配置されていることにより(
図2、
図3参照)、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、先端部13bが、好ましくは隣接する複数本の外側ブラシ歯12aの間の間隔部分を介して、外側ブラシ歯列12の外方に突出するまで変形することが可能となっている(
図4参照)。
【0015】
また、本実施形態では、両側の内側ブラシ歯列13の間の中間部分(ブラシ台11の幅方向Yの中間部分)に、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された複数本のエラストマーによる中間部ブラシ歯14aからなる、中間部ブラシ歯列14が設けられている(
図1参照)。
【0016】
さらに、本実施形態では、ブラシ台11の長さ方向Xの両側の端部に、ブラシ台11の幅方向Yに所定の間隔をおいて配置された複数本の端部ブラシ歯15aからなる端部ブラシ歯列15が設けられている(
図1参照)。
【0017】
本実施形態では、毛髪処理用具20のブラシ部22を構成する毛髪処理剤用ブラシ10は、
図1及び
図3に示すように、縦長の略矩形の平面形状を有するブラシ台11を備えている。ブラシ台11には、これの上面11aから上方に立設して、複数本の外側ブラシ歯12aからなる外側ブラシ歯列12と、エラストマーによる複数本の内側ブラシ歯13aからなる内側ブラシ歯列13と、エラストマーによる複数本の中間部ブラシ歯14aからなる中間部ブラシ歯列14と、複数本の端部ブラシ歯15aからなる端部ブラシ歯列15とが設けられている。
【0018】
また、本実施形態では、ブラシ台11は、
図4に示すように、毛髪処理用具20のハンドル部24や取付け基板部25と同様の樹脂として、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等を用いて、これらと一体成形された部分となっている基台部11cと、基台部11cに形成された嵌込み凹部11eに嵌め込むようにして装着された、エラストマーを用いて形成された、軟質基台部11dとを含んで構成されている。なお、嵌込み凹部11eへの軟質基台部11dの固定は、嵌合による固定の他に、インサート成形、2色成形等の成形による固定、接着剤や粘着剤を用いた固定等を採用することができる。
【0019】
本明細書中でエラストマーとは、スチレン系、ポリエステル系、オレフィン系、ウレタン系等のエラストマー樹脂の他、天然ゴム及び合成ゴムを含んでいる。
【0020】
なお、仮に内側ブラシ歯13a、中間部ブラシ歯14aをナイロン等の毛(ブリッスル)による毛束で形成した場合には、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、毛束を構成する複数の毛の間に毛髪処理剤が入り込んでしまったり、毛先が広がったりして、毛髪処理剤の混合性や毛髪への塗布性が劣ってしまうが、内側ブラシ歯13a、中間部ブラシ歯14aをエラストマーで形成すると、毛髪処理剤の混合性や毛髪への塗布性を向上させることができる。
【0021】
嵌込み凹部11eは、基台部11cの環状の周縁部分によって囲まれる内側領域を凹状に窪ませることで、ブラシ台11の平面形状と略相似形の、縦長の略矩形の平面形状を有するように形成されている。この嵌込み凹部11eに、同様の縦長の略矩形の平面形状を有するように成形された軟質基台部11dを、嵌め込むようにして一体として接合することにより、基台部11cの上面と軟質基台部11dの上面とを連続させた状態で、これらが一体となったブラシ台11が形成されるようになっている。本実施形態では、ブラシ台11の上面11aにおける、基台部11cによる周縁部分から上方に立設して、基台部11cと一体成形された外側ブラシ歯列12及び端部ブラシ歯列15が設けられており、軟質基台部11dによる内側領域から上方に立設して、軟質基台部11dと一体成形されたエラストマーによる内側ブラシ歯列13及び中間部ブラシ歯列14が設けられている。
【0022】
ブラシ台11の周縁部分である幅方向Yの両側の側縁部に沿って各々設けられた、外側ブラシ歯列12は、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された、複数本(本実施形態では15本)の外側ブラシ歯12aによって構成されている。外側ブラシ歯12aは、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有している。外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aが、このような剛性を備えていることにより、好ましくは毛髪処理剤用ブラシ10をブラシ台11の幅方向Yに動かすことで、毛髪を梳かすことができ、また後述のように内側ブラシ歯13aの撓み変形との相乗効果により、アルカリ剤を含有する第1剤30aと酸化剤を含有する第2剤30bとを効率良く混合させて、毛髪処理剤を毛髪の裏側まで塗布できるようになる。
【0023】
ここで、以下に記載するように、外側ブラシ歯12aの材質、断面形状、断面寸法、先端高さ、を適宜選択することで、外側ブラシ歯12aは、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有することができる。
【0024】
外側ブラシ歯12aの材質は、例えばブラシ台11の基台部11cと同様に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等を用いた材質とすることができる。本実施形態ではポリプロピレンを用いた材質となっている。
【0025】
また、例えばポリプロピレン樹脂の引張弾性率は、1000〜2000MPa(JIS K7161,7162:1994に準じての測定値)程度であり、後述の内側ブラシ歯13aに用いられるエラストマーの引張弾性率よりも、数10〜数100倍大きな値を有する。
【0026】
外側ブラシ歯12aの断面形状は、円形、楕円形、多角形等を採用することができる。また高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で異なった断面形状を備えていても良い。例えば、外側ブラシ歯12aの根本部分の断面形状を円形、先端部分の断面形状を楕円形とすることもできる。
【0027】
外側ブラシ歯12aの根本部分の断面寸法(断面が円形であれば直径、非円形であれば円相当径)は、例えば1mm〜5mm程度とすることができる。また、高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で根本部分と異なった断面寸法を備えていても良い。
【0028】
外側ブラシ歯12aの先端高さ(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zの高さ)は、例えば4mm〜15mm程度である。
【0029】
本実施形態では、外側ブラシ歯12aは、各々、例えば1mm程度の外径を有する、先端が球面状に加工された縦長の略切頭円錐形状を備えており、先端の高さが、ブラシ台11の基面11bから例えば7mm程度の高さとなるように立設して設けられている。また、外側ブラシ歯12aの断面形状は円形であり、根本部分の直径は約2mm、先端部分の直径は約1mmである。また、外側ブラシ歯12aは、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔として、例えば4mmの中心軸c間の間隔をおいて、複数本が列状に並べて配置されており、これによって、ブラシ台11の幅方向Yの両側の側縁部に、外側ブラシ歯列12を各々形成している。
【0030】
なお、複数本の外側ブラシ歯12aの、ブラシ台11の長さ方向Xにおける中心軸c間の間隔の好ましい範囲は、1〜6mm程度である。
【0031】
さらに、本実施形態では、外側ブラシ歯列12を構成する外側ブラシ歯12aは、その中心軸cが、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zから、ブラシ台11の幅方向Yの外側に、好ましくは5〜45度、より好ましくは5〜30度、更に好ましくは5〜20度の傾斜角度θで傾いた状態で立設して設けられている。これによって、より多くの量の毛髪処理剤をブラシ台11の上面11aに載置させることが可能になると共に、毛髪を梳かしながら毛髪処理剤を毛髪に塗布する為に、ブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させると、外側ブラシ歯12aがガイドとなって、毛髪が外側ブラシ歯12aの先端側からブラシ台11側に移動することで、毛髪を毛髪処理剤と、より接触させ易くすることが可能になる。また、ブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させると、外側ブラシ歯12aが毛髪の根元に接触しながら毛髪を立たせることができ、毛髪処理剤の毛髪への塗布性を向上させることが可能になる。
【0032】
ここで、ブラシ台11の基面11bは、ブラシ台11の幅方向Yの両側の側縁部に設けられた、一対の外側ブラシ歯列12を構成する外側ブラシ歯12aの、ブラシ台11の上面11aにおける立設基端部を、両側の外側ブラシ歯列12の間で結ぶことによって得られた平坦な仮想の基準面である。
【0033】
ブラシ台11の長さ方向Xの両側の端部に各々設けられた、端部ブラシ歯列15は、ブラシ台11の幅方向Yに所定の間隔をおいて配置された、複数本(本実施形態では3本)の端部ブラシ歯15aによって構成されている。端部ブラシ歯15aは、上述のように、ブラシ台11の基台部11cと一体成形されることにより、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aと同様に、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有している。
【0034】
ここで、以下に記載するように、端部ブラシ歯15aは、外側ブラシ歯12aと同様に、材質、断面形状、断面寸法、先端高さ、を適宜選択することで、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有することができる。
【0035】
端部ブラシ歯15aの材質は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等を用いた材質とすることができる。本実施形態ではポリプロピレンを用いた材質となっている。
【0036】
また、例えばポリプロピレン樹脂の引張弾性率は、1000〜2000MPa(JIS K7161,7162:1994に準じての測定値)程度であり、後述の内側ブラシ歯13aに用いられるエラストマーの引張弾性率よりも、数10〜数100倍大きな値を有する。
【0037】
端部ブラシ歯15aの断面形状は、円形、楕円形、多角形等を採用することができる。また高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で異なった断面形状を備えていても良い。例えば、端部ブラシ歯15aの根本部分の断面形状を円形、先端部分の断面形状を楕円形とすることもできる。
【0038】
端部ブラシ歯15aの根本部分の断面寸法(断面が円形であれば直径、非円形であれば円相当径)は、例えば1mm〜5mm程度とすることができる。また、高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で根本部分と異なった断面寸法を備えていても良い。
【0039】
端部ブラシ歯15aの先端高さ(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zの高さ)は、例えば4mm〜15mm程度である。
【0040】
本実施形態では、端部ブラシ歯列15の端部ブラシ歯15aは、各々、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aと同様に、例えば1mm程度の外径を有する、先端が球面状に加工された縦長の略切頭円錐形状を備えており、先端の高さが、ブラシ台11の基面11bから例えば7mm程度の高さとなるように立設して設けられている。また、端部ブラシ歯15aの断面形状は円形であり、根本部分の直径は約2mm、先端部分の直径は約1mmである。
【0041】
また、端部ブラシ歯列15の端部ブラシ歯15aは、ブラシ台11の幅方向Yに所定の間隔として、例えば4mmの中心軸間の間隔をおいて、例えば3本が列状に並べて配置されており、これによって、ブラシ台11の長さ方向Xの両側の縁部に、端部ブラシ歯列15を各々形成している。端部ブラシ歯列15の端部ブラシ歯15aは、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zに立設して設けられている。ブラシ台11の長さ方向Xの両側の端部に、端部ブラシ歯列15が設けられていることにより、
図5に示すように、当該両側の端部の端部ブラシ歯列15とブラシ台11の幅方向Yの両側の外側ブラシ歯列12とによって囲まれた領域において、適量の毛髪処理剤を、ブラシ台11の上面11aに容易に載置させることが可能になる。また、端部ブラシ歯列15が設けられていることにより、載置された毛髪処理剤の、ブラシ台11からの意図しない流出を防ぐことが可能になる。
【0042】
なお、複数本の端部ブラシ歯15aの、ブラシ台11の幅方向Yにおける中心軸間の間隔の好ましい範囲は、1〜6mm程度である。
【0043】
ブラシ台11の幅方向Yに隣接して外側ブラシ歯列12の内側に設けられた、内側ブラシ歯列13は、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された、複数本(本実施形態では14本)のエラストマーによる内側ブラシ歯13aによって構成されている。エラストマーによる内側ブラシ歯13aは、上述のように、ブラシ台11のエラストマーによる軟質基台部11dと、一体成形されて設けられている。内側ブラシ歯列13の内側ブラシ歯13aが、エラストマーで作られていることにより、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、
図6に示すように、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に内側ブラシ歯13aが撓むことにより、内側ブラシ歯13aと毛髪とによって挟まれた領域の毛髪処理剤を、毛髪の表面から1本1本の毛髪の間に押し込むことが可能になる。またこれによって、毛髪の裏側まで効果的に毛髪処理剤を塗布することが可能になる。
【0044】
更に、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓まない剛性を有している外側ブラシ歯12a、及び複数の外側ブラシ歯12aの間の毛髪によって、毛髪処理剤を外側ブラシ歯列12の内側に留めておくことができ、内側ブラシ歯13aの撓み動作との相乗効果により、毛髪処理剤をさらに効率良く、混合させることができる。
【0045】
ここで、以下に記載するように、内側ブラシ歯13aの材質、断面形状、断面寸法、先端高さ、を適宜選択することで、内側ブラシ歯13aは、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓む剛性を有することができる。
【0046】
内側ブラシ歯13aの材質はエラストマーである。本実施形態ではスチレン系エラストマーを用いている。
【0047】
また、例えばスチレン系エラストマーの引張弾性率は、5〜50MPa(JIS K7113に準じての測定値)程度である。
【0048】
内側ブラシ歯13aの断面形状は、円形、楕円形、多角形等を採用することができる。また高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で異なった断面形状を備えていても良い。例えば、内側ブラシ歯13aの根本部分の断面形状を円形、先端部分の断面形状を楕円形とすることもできる。
【0049】
内側ブラシ歯13aの根本部分の断面寸法(断面が円形であれば直径、非円形であれば円相当径)は、例えば1mm〜5mm程度とすることができる。また、高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で根本部分と異なった断面寸法を備えていても良い。
【0050】
内側ブラシ歯13aの先端高さ(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zの高さ)は、例えば3mm〜14mm程度である。
【0051】
本実施形態では、内側ブラシ歯列13を構成するエラストマーによる内側ブラシ歯13aは、各々、例えば1mm程度の外径を有する、先端が球面状に加工された縦長の略切頭円錐形状を備えており、先端の高さが、ブラシ台11の基面11bから例えば6mm程度の高さとなるように立設して設けられている。エラストマーによる内側ブラシ歯13aは、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zにおいて、先端の高さが外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aの先端の高さよりも、好ましくは1mm程度の高低差h(
図4参照)で低くなるように立設して設けられている。エラストマーの内側ブラシ歯13aの先端の高さが、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aの先端の高さよりも低くなっていることにより、内側ブラシ歯13aによって邪魔されることなく、外側ブラシ歯列12で毛髪を梳かしながら、毛髪処理剤を毛髪に塗布することが可能になる。また、頭の曲率に沿わせて毛髪処理剤を毛髪に塗布することが可能となる。このような観点から、内側ブラシ歯13aは、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zにおける先端の高さが、外側ブラシ歯12aの先端の高さよりも、0.5〜10mmの高低差hで低くなるように立設して設けられていることが好ましい。
【0052】
さらに、本実施形態では、内側ブラシ歯列13を構成するエラストマーによる内側ブラシ歯13aは、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔として、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aと同様に、例えば4mmの中心軸c’間の間隔をおいて、複数本が列状に並べて配置されている。これによって、ブラシ台11の軟質基台部11dにおける、幅方向Yの両側の側縁部に、一対の内側ブラシ歯列13が、外側ブラシ歯列12の内側に隣接させて各々形成されている。また、エラストマーによる内側ブラシ歯13aは、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aに対して、ブラシ台11の長さ方向Xに、隣り合う外側ブラシ歯12a同士のピッチの半分づつずれるようにして、千鳥状に配設されている。これによって、エラストマーの内側ブラシ歯13aは、その中心軸c’が、外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12aの中心軸cと、ブラシ台11の幅方向Yに重ならないように配置されている。エラストマーによる内側ブラシ歯13aの中心軸c’が、外側ブラシ歯12aの中心軸cと、ブラシ台11の幅方向Yに重ならないように配置されていることにより、好ましくは毛髪処理剤用ブラシ10をブラシ台11の幅方向Yに動かすことで、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、外側ブラシ歯12aと内側ブラシ歯13aとを干渉させることなく、
図6に示すように、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に、内側ブラシ歯13aを撓ませることが可能になる。
【0053】
さらにまた、本実施形態では、内側ブラシ歯列13を構成するエラストマーによる内側ブラシ歯13aは、先端部13bが、外側ブラシ歯列12の隣接する各一対の外側ブラシ歯12aの間の間隔部分を介して、ブラシ歯列12の外側に突出するまで変形可能となるように形成されている(
図4、
図7参照)。内側ブラシ歯列13のエラストマーによる内側ブラシ歯13aが、隣接する外側ブラシ歯12aの間の間隔部分を介して、先端部13bが外側ブラシ歯列12の外側に突出するまで変形可能となっていることにより、
図7に示すように、内側ブラシ歯13aの先端部13bが外側ブラシ歯列12の外方に突出するまで変形することで、外側ブラシ歯12aの側面と内側ブラシ歯13aの側面との間に、小分けされた毛髪を挟み込むことができ、これによって毛髪処理剤を毛髪の裏側まで更に効果的に行き渡らせることが可能になる。
【0054】
両側の内側ブラシ歯列13の間の中間部分に設けられた、中間部ブラシ歯列14は、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔をおいて配置された、複数本(本実施形態では13本)のエラストマーによる中間部ブラシ歯14aによって構成されている。エラストマーによる中間部ブラシ歯14aは、上述のように、ブラシ台11のエラストマーによる軟質基台部11dと、一体成形されて設けられている。中間部ブラシ歯列14のエラストマーによる中間部ブラシ歯14aは、内側ブラシ歯13aと同様に、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、
図6に示すように、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に撓むようになっている。これによって、内側ブラシ歯13aと同様に、中間部ブラシ歯14aと毛髪とによって挟まれた毛髪処理剤を、毛髪の表面から1本1本の毛髪の間に押し込むことができ、毛髪の裏側まで効果的に毛髪処理剤を塗布することが可能になる。
【0055】
ここで、以下に記載するように、中間部ブラシ歯列14は、内側ブラシ歯13aと同様に、材質、断面形状、断面寸法、先端高さ、を適宜選択することで、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、撓む剛性を有することができる。
【0056】
中間部ブラシ歯14aの材質はエラストマーである。本実施形態ではスチレン系エラストマーを用いている。
【0057】
また、例えばスチレン系エラストマーの引張弾性率は、5〜50MPa(JIS K7113に準じての測定値)程度である。
【0058】
中間部ブラシ歯14aの断面形状は、円形、楕円形、多角形等を採用することができる。また高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で異なった断面形状を備えていても良い。例えば、中間部ブラシ歯14aの根本部分の断面形状を円形、先端部分の断面形状を楕円形とすることもできる。
【0059】
中間部ブラシ歯14aの根本部分断面寸法(断面が円形であれば直径、非円形であれば円相当径)は、例えば1mm〜5mm程度とすることができる。また、高さ方向(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Z)で根本部分と異なった断面寸法を備えていても良い。
【0060】
中間部ブラシ歯14aの先端高さ(ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zの高さ)は、例えば2mm〜10mm程度である。
【0061】
本実施形態では、中間部ブラシ歯列14を構成する中間部ブラシ歯14aは、各々、例えば1mm程度の外径を有する、先端が球面状に加工された縦長の略切頭円錐形状を備えており、先端の高さが、ブラシ台11の基面11bから例えば5mm程度の高さとなるように立設して設けられている。中間部ブラシ歯14aは、先端の高さが、内側ブラシ歯列13を構成する内側ブラシ歯13aの先端の高さよりも、ブラシ台11の基面11bに対して垂直な方向Zに、好ましくは0.5〜2mm程度低くなるように立設して設けられている。中間部ブラシ歯14aの先端の高さを内側ブラシ歯13aの先端の高さよりも低くすることで、ブラシ台11の上面に、毛髪処理剤を安定良く載置することができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、中間部ブラシ歯列14を構成する中間部ブラシ歯14aは、ブラシ台11の長さ方向Xに所定の間隔として、内側ブラシ歯列13の内側ブラシ歯13aと同様に、例えば4mmの中心軸間の間隔をおいて、複数本が列状に並べて配置されている。これによって、ブラシ台11の軟質基台部11dにおける中央部分に、中間部ブラシ歯列14が形成されている。また、中間部ブラシ歯14aは、内側ブラシ歯列13の内側ブラシ歯13aに対して、ブラシ台11の長さ方向Xに、隣り合う内側ブラシ歯13a同士のピッチの半分づつずれるようにして、千鳥状に配置されている。
【0063】
両側の内側ブラシ歯列13の間の中間部分に、中間部ブラシ歯列14が設けられ、中間部ブラシ歯14aが内側ブラシ歯13aに対して千鳥状に配置されていることにより、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、内側ブラシ歯13aと中間部ブラシ歯14aとを干渉させることなく、
図6に示すように、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に中間部ブラシ歯14aを撓ませることができ、中間部ブラシ歯14aと毛髪とによって挟まれた毛髪処理剤の混合性を向上させることが可能になると共に、毛髪処理剤を毛髪の表面から1本1本の毛髪の間に押し込むことが可能になる。これによって、毛髪の裏側まで効果的に毛髪処理剤を塗布することが可能になる。
【0064】
また、両側の内側ブラシ歯列13の間の中間部分に、中間部ブラシ歯列14が設けられていることにより、ブラシ台11の上面に載置された毛髪処理剤が、内側ブラシ歯列13及び中間部ブラシ歯列14の双方に接触するため、ブラシ台11の上面での毛髪処理剤の保持性を向上させることが可能になる。
【0065】
また、ブラシ台11の幅方向Yにおける、内側ブラシ歯列13と中間部ブラシ歯列14の間の領域は、いかなるブラシ歯も存在しない領域となっていることが、当該領域を毛髪処理剤を載置する際の目印とすることができ、また毛髪処理剤を安定的にブラシ台の上面に載置できる観点から好ましい。
【0066】
また、ブラシ台11の幅方向Yにおける、内側ブラシ歯列13と中間部ブラシ歯列14の間の領域が、いかなるブラシ歯も存在しない領域となっていることにより、
図6に示すように、中間部ブラシ歯14aを、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に、他のブラシ歯と緩衝させることなく撓ませることが可能になり、これによって中間部ブラシ歯14aと毛髪とによって挟まれた毛髪処理剤の混合性を、さらに向上させることが可能になる。
【0067】
ブラシ台11の幅方向Yにおける、かかる領域の幅w(内側ブラシ歯列13と中間部ブラシ歯列14の根本部分のブラシ歯の側面間の幅、
図3参照)は、3〜8mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。本実施形態では4mmである。
【0068】
上述の構成を備える毛髪処理剤用ブラシ10を用いて、毛髪処理剤(染毛剤)を毛髪に塗布して処理(染毛)するには、使用者は、例えばハンドル部24を手で把持して、毛髪処理用具20のブラシ部22(毛髪処理剤用ブラシ10)を上方に向けた状態で、例えば特開2002−119328号公報や特開2003−205938号公報に記載の2連エアゾール容器から、2剤式の毛髪処理剤である染毛剤の、例えばアルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤である過酸化水素を含有する第2剤とを、好ましくはクリーム状や泡状にして吐出することで、
図5に示すように、吐出させた第1剤及び第2剤を、ブラシ台11の長さ方向Xに延設させると共に、ブラシ台11の幅方向Yに並べた状態で、当該ブラシ台11の上面11aに載置させる。これによって、混合前の第1剤及び第2剤の各々の品質や量を、視認によって容易に確認することが可能になる。
【0069】
しかる後に、使用者は、第1剤及び第2剤を載置した毛髪処理剤用ブラシ10を毛髪に対向させるように、毛髪処理用具20を操作すると共に、例えば毛髪処理用具20の櫛部21によって分けとった毛髪の分け目に沿って、毛髪処理剤用ブラシ10を押し付けた状態で、好ましくはブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させる。この時、内側ブラシ歯13aと毛髪の間に挟まれた第1剤及び第2剤が押し広げられて、これらの剤同士が重なり合うことになる。そして、使用者が毛髪処理剤用ブラシ10のスライド移動を続行することによって、第1剤と第2剤とを混合させながら、染毛剤をなじませるようにして毛髪に塗布することが可能になる。また、使用者は、毛髪処理用具20のミニブラシ部23を用いて、例えば毛髪に塗布された染毛剤を掬い取って、毛の生え際や、もみあげ部等の、細かい部分の毛髪になじませるようにして染毛剤を塗布することによって、これらの細かい部分の毛髪を、容易に処理することが可能になる。
【0070】
そして、上述の構成を備える本実施形態の毛髪処理剤用ブラシ10によれば、毛髪を梳かしながら毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤との混合性をさらに向上させることが可能になると共に、毛髪処理剤を毛髪の裏側まで充分に塗布することが可能になる。
【0071】
すなわち、本実施形態によれば、毛髪処理剤用ブラシ10は、ブラシ台11の幅方向Yの両側の側縁部に沿って各々設けられた、複数本の外側ブラシ歯12aからなる外側ブラシ歯列12と、外側ブラシ歯列12のブラシ台11の幅方向Yの内側に隣接して設けられた、複数本のエラストマーによる内側ブラシ歯13aからなる内側ブラシ歯列13とを含んで形成されており、内側ブラシ歯13aと外側ブラシ歯12aとがブラシ台11の幅方向Yに千鳥状に配置されており、好ましくは、内側ブラシ歯13aの先端部13bが、隣接する外側ブラシ歯12aの間の間隔部分を介して、外側ブラシ歯列12の外方に突出するまで変形可能となっている。
【0072】
これらによって、本実施形態の毛髪処理剤用ブラシ10によれば、ブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させて、毛髪を梳かしながら染毛剤を毛髪に塗布する際に、内側ブラシ歯列13の内側ブラシ歯13aの外側に配置された外側ブラシ歯列12の外側ブラシ歯12a、及び毛髪による壁効果と、内側ブラシ歯列13の内側ブラシ歯13aが撓むこととによる相乗効果によって、以下のように第1剤と第2剤との混合性を向上させるとともに、毛髪の裏側まで毛髪処理剤を塗布することができる。
【0073】
1.内側ブラシ歯13aと外側ブラシ歯12aとがブラシ台11の幅方向Yに千鳥状に配置されているため、毛髪の束はうねった状態で各ブラシ歯12a、13a間の狭い隙間に小分けされる。
2.ブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させて、毛髪を梳かしながら染毛剤を毛髪に塗布すると、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側の外側ブラシ歯列12側に、第1剤と第2剤とが寄せられると共に、各ブラシ歯12a、13a間の狭い隙間にうねった状態で小分けされた毛髪との間の相対移動によって、第1剤と第2剤の混合が促進される。
3.また、ブラシ台11の幅方向Yに毛髪処理剤用ブラシ10をスライド移動させて、毛髪を梳かしながら染毛剤を毛髪に塗布すると、毛髪処理剤用ブラシ10を動かす方向Mとは反対側に毛先が向くように、エラストマーによる内側ブラシ歯13aが撓むことにより、内側ブラシ歯13aと毛髪とによって挟まれた領域の毛髪処理剤を、毛髪の表面から1本1本の毛髪の間に押し込むことが可能になり、毛髪処理剤が毛髪の裏側まで到達し易くなるので、毛髪処理剤を毛髪の周方向の全体に塗布することができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、両側の内側ブラシ歯列の間の中間部分に、中間部ブラシ歯列を設ける必要は必ずしも無く、ブラシ台の長さ方向の両側の端部に、端部ブラシ歯列を設ける必要は必ずしも無い。また、毛髪処理剤用ブラシは、櫛部、ブラシ部、及びミニブラシ部を有する毛髪処理用具の、ブラシ部を構成する部分として用いる必要は必ずしも無く、毛髪処理剤用ブラシにハンドル部を取り付けて、毛髪処理のための専用のブラシとして用いることもできる。さらに、毛髪処理剤用ブラシによって毛髪に塗布される毛髪処理剤は、複数の剤であれば良く、染毛剤の他、脱色剤等の、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合した状態で毛髪に塗布される、その他の種々の毛髪処理剤であっても良い。また、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を使用しない例として、成分の異なる2種類のトリートメント剤等であっても良い。
【0075】
また、内側ブラシ歯列を構成する内側ブラシ歯は、ブラシ台の基面に対して垂直な方向における先端の高さが、外側ブラシ歯の先端の高さ以下となるように立設して設けられていれば良く、外側ブラシ歯の先端の高さと同じになるように立設して設けられていても良い。