(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記心電波形抽出部は、前記複数区間の隣り合う区間の先頭が、前記収集された心電波形の時間長を区間数で除した時間だけ離れるように、前記複数区間の心電波形を抽出する、
請求項3に記載の心電波形表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
<1>全体構成
図1は、本実施の形態の心電計の外観構成を示す斜視図である。心電計100は、本体部110と、表示部120と、から構成されている。本体部110には、入力キー104やプリンタ部105が設けられている。表示部120にはタッチパネル121が設けられている。
【0016】
本実施の形態の場合、タッチパネル121のサイズは、15インチとなっている。15インチのサイズは、概ねA4の用紙サイズに相当する。これにより、本実施の形態の心電計100では、A4サイズの用紙に記録したのと同様のレイアウト及び大きさの心電波形を、タッチパネル121上で見ることができるようになる。
【0017】
図2は、心電計100の要部構成を示すブロック図である。本体部110は、演算部101、測定部102、記憶部103、入力キー104、プリンタ部105及び表示/印刷制御部106を有する。
【0018】
演算部101は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、心電図データ処理プログラムを実行することにより、心電波形の形成、及び、心電波形の解析などを行う。また、演算部101は、心電図データ処理プログラムの実行開始、実行停止及び実行条件(閾値など)設定、測定部102などの各種計測機器制御、タッチパネル121やプリンタ部105などの各種周辺機器制御を、入力コマンドに従って行う。
【0019】
測定部102は、被検者(つまり、心電図計測の対象者)に装着される電極部に接続されており、電極部から入力される測定電圧に対して増幅処理などを施し、処理後の測定電圧を演算部101に出力する。因みに、測定部102には、通常、四肢用電極部及び胸部用電極部が接続されており、12誘導心電図を得るために必要な電圧が入力される。
【0020】
記憶部103は、ハードディスクドライブや半導体メモリなどにより構成される。記憶部103は、演算部101により得られた心電波形のデータ及びその解析データを記憶する。また、記憶部103は、測定部102から出力される測定データも記憶しておく。
【0021】
さらに、記憶部103には、タッチパネル121又は入力キー104からユーザによって入力された、心電計100の設定データも記憶される。心電計100は、記憶部103に記憶された設定データに基づいて動作する。
【0022】
タッチパネル121には、メニュー画面や各種の設定画面が表示され、ユーザは、タッチパネル121をタッチ操作することで、メニューの選択や各種の設定を行うことができる。また、タッチパネル121には、演算部101により得られた心電波形及び解析結果などが表示される。
【0023】
プリンタ部105は、レーザ式やサーマルヘッド式などのプリンタであり、演算部101により得られた心電波形及び解析結果などを、ユーザによる指示に従って印刷する。
【0024】
表示/印刷制御部106は、タッチパネル121の画面に表示する、及び、プリンタ部105で記録用紙に印刷する、心電波形のレイアウトなどを制御する。本実施の形態における心電波形及び解析結果の表示制御は、主に、表示/印刷制御部106によって行われる。
【0025】
<2>検査の流れと、検査時の画面表示
次に、本実施の形態の心電計100を用いた場合の心電図解析検査と、心電計100における画面表示について説明する。なお、本実施の形態では、心電図解析検査として、標準12誘導検査を行う場合について説明するが、本発明は標準12誘導検査以外の心電図解析検査に用いることもできる。
【0026】
心電図解析検査が開始されると、先ず、タッチパネル121には
図3に示すような12誘導検査の初期画面が表示される。この状態で被検者に電極が装着されると、心電波形の収集が開始され、タッチパネル121には
図4に示すような心電波形が表示される。ここで、心電波形の収集時間は、例えば30秒〜10分(1秒刻み)で設定可能となっている。この収集時間が収集完了までの待ち時間となり、収集時間を長く設定すれば、多くの心電波形データを収集できるので検査精度の向上を期待できる一方で、待ち時間も長くなるので、ユーザはこれらを加味しつつ収集時間を設定することになる。
【0027】
本実施の形態の心電計100は、波形の収集が完了すると、自動的に候補波形の抽出を行い、その波形に対して解析を行うとともに候補波形を表示する。具体的には、収集された波形は記憶部103に記憶されているので、演算部101がその収集波形の中から解析を行うのに適した複数の候補区間の波形を抽出し、抽出した複数の候補区間の波形を解析する。また、抽出された複数の候補区間の波形はタッチパネル121に表示される。
【0028】
本実施の形態において、候補区間とは解析単位区間のことを意味する。本実施の形態では、この解析単位区間を単位としてユーザが種々の選択を行うことができるようになっているので、候補区間と呼んでいる。なお、この演算部101による複数の候補区間の波形抽出処理については、後で詳しく説明する。
【0029】
図5は、タッチパネル121に表示される候補一覧画面の例を示す。
図5の例では、波形表示領域を4分割して、第1〜第4候補の4つの候補区間が表示されている。具体的には、第1候補は左上に、第2候補は右上に、第3候補は左下に、第4候補は右下に表示されている。
【0030】
本実施の形態では、1画面中に複数の候補区間の心電波形を表示するようにしたので、ユーザは、複数の候補区間を1画面内で比較して、複数の候補区間の中から収録すべき区間の心電波形を容易に選択できるようになる。
【0031】
本実施の形態では、第1候補から第4候補への候補区間波形の並び順は、解析所見において重症度が高い順とされている。これにより、ユーザは重症度が高い波形から順に見ることができるようになる。因みに、重症度が同程度の場合には、時系列で早いもの順に並べる。ただし、並び順はこれに限らず、例えば重症度に拘わらず時系列で早いもの順に並べてもよい。
【0032】
この候補一覧画面においては、候補区間波形の1つが選択枠W1で囲まれている。選択枠W1の表示位置は、ユーザが第1〜第4候補の候補区間波形が表示されている表示領域のいずれか1つの表示領域を指でタッチすることにより選択できる。
図5の例では、第1候補の波形表示領域が選択枠W1で囲まれているが、例えば第2候補の波形表示領域がタッチされると、第2候補の波形表示領域が選択枠W1で囲まれる。
【0033】
なお、実施の形態における説明では、表示画面上での選択を行う場合に、指でのタッチによって選択することとするが、勿論、タッチに代えてタッチ位置にポインタを移動してマウスをクリックしても同様の選択を行うことができる。
【0034】
図5の候補一覧画面において、ユーザが解析結果ボタンB1をタッチすると、選択枠W1で囲まれた波形の解析結果画面が表示される。
図6は、遷移先の解析結果画面の例を示す。解析結果画面には、所見A1、所見解説A2、計測値A3などが含まれる。
図6の解析結果画面において、ユーザが「候補波形へ」のボタンB2をタッチすると、タッチパネルには
図5の候補一覧画面が再び表示される。これにより、ユーザは
図5の画面において候補波形の選び直しができる。
【0035】
ユーザが
図6の解析結果画面において「画面」のボタンB3をタッチすると、
図7に示すように、画面切り替えを行うためのウィンドウW2がポップアップ表示された画面が表示される。さらに、ユーザがウィンドウW2の「記録波形」のボタンB4をタッチすると、
図8に示したように、記録波形画面が表示される。この記録波形画面は、
図5の選択枠W1で囲まれた波形を元の収録サイズに戻した波形を表示する画面である。
【0036】
また、
図6の解析結果画面において「保存」のボタンB5がタッチされると、心電計100は、現在選択されている候補区間の解析結果及び波形データを記憶部103に保存する処理に移る。また、「サーマル」のボタンB6がタッチされると、心電計100は、現在選択されている候補区間の解析結果をプリンタ部105によって印刷する処理に移る。
【0037】
現在の検査を終了したい場合には、ユーザが例えば
図6の解析結果画面における「検査へ」のボタンB7をタッチ、あるいは、
図5の候補一覧画面における「戻る」のボタンB8をタッチすればよい。このような操作を行うと、タッチパネルには
図3に示した初期画面が表示される。
【0038】
<3>候補一覧画面の表示形式変更
本実施の形態では、候補一覧画面における心電波形の表示形式を変更できるようになっている。具体的には、ユーザが
図5に示した候補一覧画面の「画面選択」のボタンB10をタッチする回数に応じて、候補一覧画面が
図9A−
図9Dに示すように順に変更される。
【0039】
図9Aの候補一覧画面では、各候補領域(つまり選択枠W1で囲まれ得る1つの領域)内に6チャネル×2の12誘導心電図と1チャネルのリズム波形が表示されている。より詳細には、
図9Aの候補一覧画面では、各候補領域において、コンティニュアス方式又はコヒーレント方式で心電波形が表示される。コンティニュアス方式又はコヒーレント方式の心電波形では、12誘導心電波形のうち、四肢誘導波形I、II、III、aVR、aVL、aVFが左側に配置され、胸部誘導波形V1、V2、V3、V4、V5、V6が右側に配置される。コンティニュアス方式では、10秒間の心電波形のうち、前半の0〜5秒の四肢誘導波形を左側に表示し、続く後半の5〜10秒の胸部誘導波形を右側に表示するようになっている。一方、コヒーレント方式では、10秒間の波形のうち、前半の0〜5秒の四肢誘導波形を左側に表示し、前半の0〜5秒の胸部誘導波形を右側に表示するようになっている。このコンティニュアス方式及びコヒーレント方式は、限られた大きさの1画面の中に、できるだけ波形の振幅を縮めずに、ユーザが診断し易いよう、12誘導波形を一括して表示可能に心電波形を配置したものであり、従来から広く用いられている表示方式である。
【0040】
図9Bの候補一覧画面では、各候補領域内に6チャネル×2の12誘導心電図がコンティニュアス方式又はコヒーレント方式で表示されている。
図9Aとの違いは、リズム波形が表示されていない点である。
【0041】
図9Cの候補一覧画面では、各候補領域内に6チャネルの12誘導心電図と1チャネルのリズム波形が表示されている。より詳細には、
図9Cの候補一覧画面では、各候補領域において、12誘導心電波形のうち、四肢誘導波形I、II、III、aVR、aVL、aVFを、コンティニュアス方式(又はコヒーレント方式)で削減した一部の区間の波形を削減せずに、つまり、所定期間内(例えば10秒間)の全波形を表示するようになっている。
【0042】
図9Dの候補一覧画面では、各候補領域内に12チャネルの12誘導心電図が表示されている。より詳細には、
図9Dの候補一覧画面では、各候補領域において、12誘導心電波形のうち、四肢誘導波形I、II、III、aVR、aVL、aVF及び胸部誘導波形V1、V2、V3、V4、V5、V6を感度(波形振幅)方向を縮小して全て縦に並べて、コンティニュアス方式(又はコヒーレント方式)で削減した一部の区間の波形を削減せずに、つまり、所定期間内(例えば10秒間)の全波形を表示するようになっている。
【0043】
<4>収集波形からの候補区間の抽出
次に、記憶部103に一時的に保存された収集波形から、候補区間の波形を抽出する本実施の形態の抽出方法について説明する。ここでは、収集時間が60秒であり、1つの候補区間が10秒であり、4つの候補区間を抽出する例について説明する。なお、上述したように収集時間は例えば30秒〜10分(1秒刻み)で設定可能であり、候補区間の区間長も例えば8〜24秒で設定可能であり、一覧表示及び解析を行う候補区間の数も4に限らない。
【0044】
本実施の形態では、抽出の方法として、ノイズ区間を除外して抽出する方法と、不整脈波形を含めて抽出する方法を提示する。ここで、演算部101は、収集された心電波形から複数の候補区間の心電波形を抽出する候補波形抽出部として機能する。
【0045】
<4−1>ノイズ区間を除外して抽出する方法
図10は、候補区間の心電波形を、ノイズ区間を除外して抽出する方法の説明に供する図である。図の最上段の波形は記憶部103に一時的に保存されている60秒間の収集波形を示す。2段目は収集波形を先頭から10秒毎に区切って4つの候補区間を形成した様子を示す図であり、3段目は本実施の形態によるノイズ区間を除外して候補区間を抽出した様子を示す図である。
【0046】
2段目に示したように先頭から10秒毎に区切って4つの候補区間を形成した例では、2番目、3番目、4番目の候補区間にはノイズが含まれている。この結果、2番目、3番目、4番目の候補区間の心電波形を解析すると、その解析結果はノイズによる影響を大きく受けるので、心電波形が正しく反映された解析結果を得ることができなくなる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、ノイズ区間を除外して候補区間を抽出することで、全ての候補区間について、ノイズの影響が小さく、心電波形が正しく反映された解析結果を得ることができるようになっている。具体的には、演算部101が記憶部103に保存されている収集波形の中で、想定される心電波形に対して極端な高周波波形が現れている区間(例えば交流、筋電、ドリフトが発生している区間)、或いは、極端な低周波波形が現れている区間(例えば電極外れや接触不良によるノイズが発生している区間)をノイズ区間として検出し、このノイズ区間を除外して候補区間の心電波形を抽出する。なお、ノイズ検出方法はこれに限らず、要は想定される人の心電波形とは異なる波形をノイズとして検出すればよい。
【0048】
図10の例では、演算部101によって、網掛けで示した候補1〜4の4つの候補区間の心電波形が、候補一覧画面(
図5)に表示される心電波形として、及び、解析対象の心電波形として、抽出される。
【0049】
<4−2>不整脈波形を含めて抽出する方法
図11は、不整脈波形が含まれる候補区間を抽出する方法の説明に供する図である。
図11に示すように、演算部101は不整脈が発生している位置を検出し、その位置を中心にして、網掛けで示した候補1〜4の4つの候補区間の心電波形を、候補一覧画面(
図5)に表示される心電波形として、及び、解析対象の心電波形として、抽出する。このように、不整脈波形が含まれる候補区間を表示及び解析する候補区間として抽出することにより、心電図検査に適した表示及び解析を行うことができるようになる。
【0050】
ここで、不整脈波形は候補区間の中心に配置されることが好ましい。何故なら、不整脈波形の前後の波形があると、不整脈波形の前後の波形を見ながら、不整脈が突然発生したのか、或いは、予兆があったのかも確認することができるためである。
【0051】
なお、
図12に示すように、不整脈位置を中心に候補区間を抽出しようとした際に、波形データが足りない場合(候補1と候補4)は候補区間の位置を波形データが存在する方向にシフトさせ、候補区間が重なる場合(候補2と候補3)にはいずれかの候補区間の位置を重ならない方向にシフトさせた抽出を行うようにすればよい。
【0052】
また、
図13に示すように、不整脈が生じている箇所が抽出しようとする候補区間の数よりも少ない場合には、不整脈を含む候補区間(図の場合は候補2)を中心にして、その時間的に前後に隣接する区間を候補区間(図の場合は候補1と候補3)として抽出してもよい。さらに、このように抽出した候補1〜3の3つのみを表示してもよいが、候補4として、例えば不整脈が生じていない0〜10秒の区間の心電波形を抽出してこれを加えて表示してもよい。
【0053】
<4−3>収集波形データが不足している場合
抽出しようとする候補区間に対して、収集波形データが不足している場合には、候補区間が重複するように候補区間を抽出してもよい。
図14及び
図15にその例を示す。
図14及び
図15の例では、抽出しようとする候補区間の合計時間が10秒×4=40秒なのに対して、収集波形の長さは35秒なので、収集波形データが不足している。
【0054】
そこで、
図14の例では、候補4を候補3と重複するようにして抽出する。
図15の例では、全ての候補1〜4の一部が均等な長さだけ重複するように候補1〜4を抽出する。なお、重複を許容しない場合は、候補1〜3の3つのみを抽出してもよい。
【0055】
<4−4>抽出の優先度
実際上、設定により決められた長さの収集波形から、決められた数の候補区間を抽出するにあたっては、様々な状況が想定される。例えば収集波形の中に不整脈波形が候補区間の数よりも多い場合などが想定される。そこで、ここでは候補区間を抽出する際の優先度について説明する。
【0056】
本実施の形態では、例えば、(i)ノイズの除外、(ii)重複禁止、(iii)不整脈を中心にした抽出、の順の優先度で候補区間の抽出を行う。つまり、ノイズがあると正しい解析結果を得ることができないのでノイズ除外を最優先する。また、不整脈を中心に抽出を行った際に重複が生じた場合には、不整脈を中心にした抽出よりも重複禁止を優先する。
図12の例がこれに相当する。
【0057】
また、収集波形に候補区間の数に、抽出しようとする候補区間の数よりも多くの不整脈が存在した場合には、重症度のより高い不整脈を含む区間から順に抽出するとよい。例えば抽出しようとする候補区間の数が4個なのに対して、収集波形の中に6個の不整脈が含まれ、6個の不整脈が重症度(高)2個、重症度(中)2個、重症度(低)2個からなる場合には、重症度の高い4個、つまり重症度(高)2個、重症度(中)2個の不整脈を含む候補区間を優先的に抽出するとよい。さらに重症度(高)2個の不整脈が同じ種類である場合、重症度以外の優先度によりどちらか1つを候補区間とし、重症度(中)2個、重症度(低)1個を加えた4個の候補区間を抽出してもよい。
【0058】
勿論、どのパラメータを優先するのが好ましいかは、医療現場等に応じて異なる可能性もあるので、優先度を設定可能とするようにしてもよい。
【0059】
上述したように、本実施の形態の心電計100では、
図5の候補一覧画面において、ユーザが解析結果ボタンB1をタッチすると、選択枠W1で囲まれた波形の解析結果画面が表示される。
【0060】
これに加えて、本実施の形態の心電計100では、心電波形を画面表示した状態で、その心電波形を表示している画面と同一画面に、表示している心電波形に関する解析結果を表示できるようになっている。
【0061】
図16及び
図17は、その表示例を示すものである。
図16に示すように、ユーザが第1候補の表示領域を指で長押しすると(つまり所定時間以上タッチし続けると)、第1候補の表示領域が選択枠W1で囲まれるとともに、簡易ウィンドウW10が表示され、この簡易ウィンドウW10内に第1候補の区間波形に関する解析結果が表示される。簡易ウィンドウW10に表示される解析結果は第1候補の区間波形に関する解析所見である。なお、簡易ウィンドウW10に表示されるのは、計測値や代表波形等のその他の解析結果であってもよい。タッチパネルから指を離すと、簡易ウィンドウW10は閉じられる。
【0062】
簡易ウィンドウW10に表示される解析結果は重症度順となっている。従って、解析結果の量が多い場合には、重症度の高い上位の解析結果のみが簡易ウィンドウW10内に表示される。なお、簡易ウィンドウW10内にどの解析結果を表示するかを、ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0063】
ここで、簡易ウィンドウW10は半透明であることが好ましい。このようにすることで、選択枠W1で囲まれた領域内に簡易ウィンドウW10を表示しても、簡易ウィンドウW10の位置の心電波形を透かせて見せることができる。また、簡易ウィンドウW10は、必ずしも選択枠W1内に表示する必要はない。
【0064】
また、簡易ウィンドウW10を表示させるための方法は、タッチパネル121を長押しする場合に限らず、例えば第1〜第4候補のいずれかの表示領域内にポインタを移動しその位置でマウスのボタンをクリック或いはダブルクリックすることで簡易ウィンドウW10を表示するようにしてもよい。この場合、簡易ウィンドウW10を閉じる操作もマウスによって行うようにすればよい。
【0065】
実施の形態のように、指によるタッチパネル121の長押しによって簡易ウィンドウW10を開き、タッチパネル121から指を離すと簡易ウィンドウW10を閉じるようにすると、1アクションでウィンドウの表示及び非表示が可能となるので、複数の候補区間の解析結果を迅速に見ていくことができるといった利点がある。
【0066】
同様に、
図17に示すように、ユーザが第2候補の表示領域を指で長押しすると、第2候補の表示領域が選択枠W1で囲まれるとともに、簡易ウィンドウW10が表示され、この簡易ウィンドウW10内に第2候補の区間波形に関する解析結果が表示される。第3候補及び第4候補についても、同様の操作によって簡易ウィンドウW10内に簡易解析結果を表示することができる。
【0067】
このように、本実施の形態においては、心電波形と同一画面上に、その心電波形に関する解析結果が表示される簡易ウィンドウW10を表示したことにより、画面を切り替えなくても解析結果を確認できるようになる。この結果、少ない手順で検査結果を確認できるとともに、同一画面上で心電波形とその解析結果とを比較できるようになる。
【0068】
また、複数の候補区間の心電波形を一画面に表示するとともに、各候補区間の心電波形に対する解析結果を複数の候補区間の心電波形が表示された画面と同一画面に選択的に表示できるようにしたことにより、複数の収録波形を一画面に表示した状態で、収録波形同士の比較を行いながら、解析所見の確認も行えるようになるので、より少ない手順で検査結果を確認することができるようになる。
【0069】
なお、本実施の形態では、同一画面に表示された複数の候補区間の心電波形のうち、ユーザによって選択された1つの候補区間の心電波形に関する解析結果のみを同一画面に表示する場合について述べたが、ユーザによって選択された2つ以上の候補区間の心電波形に関する解析結果を同一画面に表示するようにしてもよい。
【0070】
<6>心電波形の一括移動
上述したように、候補一覧画面に表示される複数の候補区間の心電波形は、演算部101によって抽出される。この候補区間の心電波形は、上述したように、演算部101によって解析を行うのに適切であると判断された区間の波形である。
【0071】
本実施の形態では、このような解析を行うのに適切な候補区間を設定するモード以外に、心電波形の波形確認や波形比較を行うのに好適な区間を抽出する波形一括移動モードを有する。心電波形抽出部としての演算部101は、ユーザ操作により、波形一括移動モードに設定されると、例えば
図18に示すような候補1〜4を抽出する。
図18の例では、記憶部103に10分の長さの心電波形が収集されており、この心電波形からそれぞれ10秒の区間長の候補1〜候補4を抽出する。ここで、各候補1〜4の間の間隔は等しくされており、
図18の例では2.5分となっている。つまり、候補1は0秒から10秒までの心電波形であり、候補2は2分30秒から2分40秒までの心電波形であり、候補3は5分から5分10秒までの心電波形であり、候補4は7分30秒から7分40秒までの心電波形である。厳密に言うと、複数区間の隣り合う区間の先頭は、収集された心電波形の時間長(図の例の場合は10分)を区間数(図の例の場合は4)で除した時間(図の例の場合は2.5分)だけ離れている。
【0072】
図19Aは、
図18の候補1〜4の心電波形をタッチパネル121に表示した状態を示す。
図19Aに示す状態から
図19A→
図19B→
図19C→
図19Dのように、スクロールバーS1を右方向に移動操作すると、第1〜第4候補の心電波形の全てがスクロールバーS1の移動量に応じて右方向に移動する。具体的には、演算部101又は表示/印刷制御部106が第1〜第4候補の心電波形の抽出位置をスクロールバーS1の移動に応じて、
図18の矢印で示す方向にシフトさせる。勿論、スクロールバーS1が左方向に移動されると、第1〜第4候補の心電波形の全てがスクロールバーS1の移動量に応じて左方向に移動する。
【0073】
このように、本実施の形態では、収集された心電波形から複数区間(候補1〜4)の心電波形を抽出し、抽出した複数区間の心電波形を1画面中に表示し、複数区間の心電波形の抽出位置をユーザ操作に応じた量だけ時間方向に等しくシフトしたことにより、ユーザ操作に応じて、各候補区間の心電波形を一括して時間方向に等しく移動させることができるようになっている。
【0074】
これにより、各区間の心電波形をそれぞれ単独で移動させる場合と比較して、操作に対する実質的な時間方向への移動量を拡大し得、操作に対してユーザが見ることが可能な心電波形を増加させることができる。例えば、
図19A〜
図19Dの例では、4つの心電波形を一括して時間方向に移動させるので、各候補の心電波形をそれぞれ単独で移動させる場合と比較して、操作に対する心電波形の時間方向への移動量を4倍とすることができる。
【0075】
特に収集時間長が長い場合に効果的である。つまり、収集時間長が長いと、収集した全ての心電波形を目視確認する場合に時間がかかる。このような場合、本実施の形態のように、一画面に複数区間の心電波形を表示し、さらにそれを1つの操作に応じて一括して時間方向に移動させるようにすれば、収集した全ての心電波形を確認するのに要する時間を短くできる。
【0076】
また、本実施の形態では、例えば10分のように長時間に亘って収集された心電波形においても、収集の開始付近の心電波形と、収集の終了付近の心電波形といったように、離れた時間の心電波形でも同一画面に表示することができ、これらを比較しながら心電波形を確認できるようになる。この結果、ストレステストのときのように収集された心電波形が長時間に及ぶ場合でも、開始付近と終了付近の心電波形を比較しながら、心電波形を確認できるようになる。
【0077】
さらに、本実施の形態の処理は、本質的には、抽出した複数区間の心電波形を1画面中に表示するにあたって、複数区間の心電波形の抽出位置を、ユーザ操作に応じた量だけ、時間方向に等しくシフトすることである。このような処理は、実施の形態のような長時間の心電波形の波形確認及び波形比較以外にも有効である。
【0078】
例えば、収集された複数区間としてそれぞれ同じ種類の不整脈波形を含む区間を抽出し、それらを不整脈の中心が上下に一致するように画面の縦方向に並べて表示すれば、時間的に異なる複数の同じ種類の不整脈波形が縦方向に表示され、それらがユーザ操作に応じて一括して時間方向に等しく移動表示されることになる。これにより、ユーザは画面上で複数の不整脈の変化の様子を比較しながら見ることができるようになる。
【0079】
このように本実施の形態の心電波形の一括移動処理は、異なる時点の心電波形の時間方向での変化の様子を、互いに比較しながら確認する場合に広く有効である。
【0080】
<7>まとめ
以上説明したように、本実施の形態によれば、収集された心電波形から複数区間の心電波形(候補1〜4)を抽出し、抽出した複数区間の心電波形を1画面中に表示し、複数区間の心電波形の抽出位置をユーザ操作に応じた量だけ時間方向に等しくシフトさせることで、1画面中で複数区間の心電波形をユーザ操作に応じて一括して時間方向に等しく移動させたことにより、画面上での波形確認や波形比較がし易い心電波形表示を実現できる。
【0081】
なお、上述の実施の形態では、スクロールバーS1の操作に応じて複数区間の心電波形の位置をシフトさせる場合について述べたが、これに限らず、例えばユーザがタッチパネル121における1つの候補区間の表示領域を指でスワイプすると、そのスワイプした量に応じて各候補区間の心電波形を一括して時間方向にシフトさせてもよい。
【0082】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。