(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエレベータシステムの実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1、
図2及び
図15を用いて、実施例1のエレベータシステムを説明する。
【0011】
図1は、実施例1の安全状態確認装置を含むエレベータシステムの構成図である。
【0012】
安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30、画像センサ40を有し、ローラー50によって、計測対象100に追従するように移動することが可能である。ローラー50に発電機60を連結し、安全状態確認装置10の落下等の移動によって生じる位置エネルギーをローラー50の回転運動として発電機60に入力することにより、安全状態確認装置10の電力源として利用することが可能となる。ローラー50による計測対象への追従を調整するためにアクチュエータ70もしくはバネ72を有する。安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30、画像センサ40からのデータを処理、及びアクチュエータ70を制御するコントローラ80を搭載する。画像センサ40としては、一般的なカメラや3Dカメラ、距離画像センサ、全周囲カメラや、3次元一計測が可能なLiDAR等がある。コントローラ80は、異常判定手段90と、エレベータ制御コントローラ400と通信するための通信手段110を有する。コントローラ80は、複数の構成要素の正常な位置関係を不揮発性メモリ等に記憶する。位置関係データは、設計図等から算出が可能である。勿論、実際のエレベータを計測することも可能である。
【0013】
正常と判断できる状態で安全状態確認装置10を利用して、エレベータ構成要素の位置関係データを生成することも可能である。
【0014】
本実施例のように安全状態確認装置10を構成することで、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からのデータをもとに、対象物の状態を計測することが可能となる。加速度センサ20により、安全状態確認装置10の位置や変移を計測すること、すなわち計測対象の変移及び位置を確認することが可能となるとともに、ジャイロセンサ30により捻じれも判定することが可能となる。また、安全状態確認装置10の任意の位置における画像センサ40のデータを元に、計測対象100とは別のエレベータの構成要素との位置関係を計測することが可能となる。エレベータ構成要素の多くは線形であり、画像認識でもハフ変換の様な基本的なアルゴリズムによっても認識が可能である。LiDARのような画像センサであれば、3次元的に線形を認識が可能である。
【0015】
アクチュエータ70およびバネ72により、安全状態確認装置10の移動速度を調整することが可能である。計測対象100及びローラー50の素材に依存するが、滑りを生じることで移動速度を均一にすることは困難な場合がある。状況によっては自由落下に近い状態になり得る。そこで、アクチュエータ70を制御することで、ローラー50cを計測対象100に押しつける圧力を調整することで移動速度を調整する。移動速度を調整して均一な状態で運用できると、後で述べる計測処理における様々な補正処理を簡略化できる。
安全状態確認装置10をガイドレール200に適用した場合には、加速度センサ20、ジャイロセンサ30により、該ガイドレール200の歪み等を検知できるとともに、画像センサ40のデータより、ガイドレール200から、ロープ210、テールコード220の位置を計測することが可能となり、同時に複数のエレベータ構成要素の安全状態を確認できる。ガイドレール200には、かご300のガイドレールと釣合い重り310のガイドレールの二種類設置されるのが一般的であるが、どちらのガイドレールを利用しても構わない。
【0016】
安全状態確認装置10をロープ210に適用した場合には、加速度センサ20、ジャイロセンサ30により、該ロープ210の捻れや破断を検知できるとともに、画像センサ40のデータより、ロープ210から、ガイドレール200、テールコード220の位置を計測することが可能となり、同時に複数のエレベータ構成要素の安全状態を確認できる。
ロープ210には、かご300を支える主ロープ212、214と、かご300の速度を監視するガバナ320を駆動するガバナロープ216が存在するが、どのロープを利用しても構わない。
【0017】
安全状態確認装置10をテールコード220に適用した場合には、加速度センサ20、ジャイロセンサ30により、テールコード220の破損や絡まり等を検知できるとともに、画像センサ40のデータより、テールコード220から、ガイドレール200、ロープ210の位置を計測することが可能となり、同時に複数のエレベータ構成要素の安全状態を確認できる。
【0018】
安全状態確認装置10の適用対象が、可動構成物の場合、つまり、ロープ210、テールコード220の場合には、緊急時以外は安全状態確認装置10を適用対象から乖離させておく必要がある。アクチュエータ70及びバネ72の伸縮を利用してローラー50cを対象物から離れる方向に動かすことで、乖離が可能になる。乖離状態での安全状態確認装置10の保持については本発明の対象外であるので詳細は述べない。
【0019】
なお、本実施例では、三本のローラー50によって計測対象100を挟み込む構造になっているが、計測対象100に沿って移動(例えば、落下)が可能であればよく、該ローラー構造及びローラー本数に限定されるものではない。
【0020】
図15は、実施例1のエレベータシステムの全体処理を示すフローチャート例である。
【0021】
地震等の危険事象発生に対応してエレベータが最寄り階に緊急停止した時に、安全確認装置10が動作を開始する場合において、安全状態確認装置10が動作を開始し、安全状態を確認して判定結果を送信できるようになる時間はエレベータの構造及び規模によって推定が可能である。推定した時間内に、判定結果が届かなければ危険であると判断ができるので復旧は不可である。想定した時間内に、判定結果が届いた場合には、該判定結果に従って復旧が可能となる。
【0022】
エレベータ制御コントローラ400は、地震等が発生すると、異常として検知する(S500)。すなわち、昇降機制御装置(エレベータ制御コントローラ400)は、昇降路内を移動する昇降機が、停止したことを検知する。
【0023】
異常を検知すると最寄り階に緊急停止する(S510)。
【0024】
エレベータ制御コントローラ400は、安全状態確認装置10からの通信が到着するまでの時間を算出する(S520)。
【0025】
算出した時間まで受信待機する(S530)。
【0026】
時間の超過を判定する(S540)。
【0027】
超過した場合には停止を維持する(S550)。
【0028】
受信できた場合には、安全状態確認装置10からの判定結果を基に復旧の可否を判定する(S560)。
【0029】
判定結果が危険の場合には、停止を維持する(S560)。判定結果が安全の場合には、復旧運転を開始する(S570)。
【0030】
安全状態確認装置10は、エレベータが緊急停止すると、計測を開始する(S580)。すなわち、画像センサが昇降路内の画像データを取得し、加速度センサが安全状態確認装置が移動した際に加速度を取得する。更に、安全状態確認装置10の判断部が、取得された画像データと加速度に基づいて、昇降機を走行させるレール、昇降機に設置されたロープ及びテールコードを含む昇降路内の設備の現在の状態を取得し、予め定められた基準と比較して、レール、ロープ及びテールコードの安全状態を判断する。
【0031】
現在の状態とは、例えば、レール、ロープ及びテールコードのうねり状態であり、昇降機制御装置の判断部は、取得した画像データからレール、ロープ及びテールコードの位置情報、取得した加速度から加速度の変化分を算出し、位置情報と加速度の変化分が予め定められた範囲内であれば、安全であると判断する。
【0032】
前記の様々な計測対象に沿って計測し、判定結果をエレベータ制御コントローラ400に送信する(S590)。昇降機制御装置は、安全状態確認装置の判断結果に基づいて、前記昇降機を復旧させる。
【0033】
図2は、上述した安全状態確認装置10の計測動作のフローを示したものである。
安全状態確認装置10のコントローラ80は、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からデータを取得する(S10)
取得したセンサデータを処理して、計測対象100に合わせたデータに変換する(S20)。すなわち、垂直方向をY、横方向をX、奥行き方向をZとすると、X,Zにおける加速度の値の変化分により、ガイドレールのうねりを検知でき、且つ角速度の変化分により、ガイドレールの捻れを検知できる。
【0034】
計測対象が安全か否かを判定する(S30)。判定は、予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
【0035】
判定結果を記憶する(S40)。
【0036】
画像センサ40から画像データを取得する(S50)
該データを処理してエレベータの他の構成要素を検出する(S60)。
【0037】
取得したセンサデータを基準に、他のエレベータ構成要素までの位置を推定する(S70)。すなわち、画像データから各構成要素の座標位置を特定して、構成要素間の距離を推定する。
【0038】
得られた位置から、構成要素間の位置関係を判定する(S80)。予め記憶されている位置情報の許容範囲に収まっているか否かを確認する。
【0039】
得られた判定結果を記憶する(S90)
判定結果を送信する。(S100)
判定結果の送信(S100)は、エレベータ制御コントローラ400と安全状態確認装置10との間を取り持つ通信設備によって異なるために、逐次送信(S110)が可能な場合と、安全確認装置10が停止した時点で全判定結果を送信する(S120)場合等がある。
【0040】
エレベータの昇降路は、高層の場合にはそれだけ長距離になるため全行程にて通信が可能とは限らない。そのため、最上部、最下部、かご近傍が通信可能領域として有望である。全行程通信可能を実現するには、各階にて通信可能領域を設けることが考えられる。
【実施例2】
【0041】
図3、
図4を用いて、実施例2のエレベータシステムを説明する。
【0042】
実施例2は、実施例1に記載の計測対象100がガイドレール200である場合を想定した例である。なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
【0043】
図3は、安全状態確認装置10を計測対象100としてガイドレール200に適用した場合の構造を示した一実施例である。ガイドレール200の形状に依存するが、本実施例では、ガイドレールの形状をT字型とし、安全状態確認装置10はガイドレールの一辺を挟みこむ構造で示している。(a)は側面からの透視図、(b)は上面からの透視図である。
【0044】
安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30、画像センサ40を有し、ローラー50a、50b、50cによって、ガイドレール200に追従するように移動することが可能である。ローラー50a、50bに発電機60a、60bを連結することで、安全状態確認装置10の落下等の移動によって生じる位置エネルギーをローラー50a、50bの回転運動として発電機60a、60bに入力することにより安全状態確認装置10の動力源とすることが可能となる。ローラー50a、50bによる計測対象への追従を調整するためにアクチュエータ70もしくはバネ72を有する。安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30、画像センサ40からのデータの処理、及びアクチュエータ70を制御するコントローラ80を搭載する。画像センサ40は、ガイドレール200を基準点として、他の構成要素が視野に入るように設置する。コントローラ80は、異常判定手段90と、エレベータ制御コントローラ400と通信するための通信手段110を有する。
【0045】
本実施例のように安全状態確認装置10を構成することで、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からのデータをもとに、ガイドレール200の歪みを計測することが可能となる。また、安全状態確認装置10の任意の位置における画像センサ40のデータを元に、ガイドレール200とは別のエレベータの構成要素、例えばロープ210、テールコード220の位置を計測することが可能となり、同時に複数のエレベータ構成要素の安全状態を確認できる。なお、ガイドレール200には、かご300のガイドレールと釣合い重り310のガイドレールの二種類設置されるのが一般的であるが、どちらのガイドレールを利用しても構わない。
【0046】
ガイドレール200の形状及び該ガイドレールとかご300との位置関係により、安全状態確認装置10がかご300を超えることができない場合がある。この場合には、昇降路最上部と、かご300と、の両方に安全状態確認装置10を装備することで昇降路全行程を確認することが可能となる。
【0047】
図4は、上述した安全状態確認装置10をガイドレール200に適用した場合の計測動作のフローを示したものである。
安全状態確認装置10は、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からデータを取得する(S10)。
【0048】
取得したセンサデータを処理して、ガイドレール200に適したデータ形式に変換する(S22)。加速度と角速度のデータを組合せることにより、任意の位置でのガイドレール200の捻れ等の不具合を検知できる。
【0049】
ガイドレール200が安全か否かを判定する(S30)。判定は、予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
判定結果を記憶する(S40)
画像センサ40から画像データを取得する(S50)。
【0050】
該データを処理して他の構成要素を検出する(S62)。
【0051】
ガイドレール200を基準として、他のエレベータ構成要素までの位置を推定する(S72) 得られた位置から、構成要素間の位置関係を判定する(S80)予め記憶されている位置情報の許容範囲に収まっているか否かを確認する。
【0052】
得られた判定結果を記憶する(S90)
判定結果を送信する。(S100)
判定結果の送信(S100)は、エレベータ制御コントローラ400と安全状態確認装置10との間を取り持つ通信設備によって異なるために、逐次送信(S110)が可能な場合と、安全確認装置10が停止した時点で全判定結果を送信する(S120)場合等がある。
【0053】
すなわち、安全状
態確認装置10は、画像センサ、加速度センサの他に、角速度を取得するジャイロセンサを更に備え、安全状
態確認装置10が、レールに設置される場合、角速度から、レールのねじれ状態を検出し、記画像データから、レールと、他の昇降路内の設備との間の距離を検出して、基準内であれば、他の前記昇降路内の設備も安全な状態であると判断する。
【実施例3】
【0054】
図5、
図6を用いて、実施例3のエレベータシステムを説明する。
【0055】
実施例3は、実施例1に記載の計測対象100が主ロープ212、214である場合を想定した例である。なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
【0056】
図5は、機械室有りエレベータの場合における主ロープ212に安全状態確認装置10を適用した一実施例である。
(a)は機械室有りエレベータ全体の構成図、(b)は主ロープ212と安全状態確認装置10との接触部位を切り出した図、(c)は上面からの透視図である。
機械室が有るエレベータでは、(a)に示す通り、かご300と釣合い重り310を主ロープ212で接続し、釣合いを取りながら、昇降路上部の機械室に設置されている巻上機400の回転によって上下動を実現している。本実施例では、安全状態確認装置10を、かご300側と、釣合い重り300側の両方に設けている。
主ロープ212は複数のワイヤーで構成されていることが普通であり、本実施例では(b)に示しているように3本グルーピングのものを主ロープ212としている。
ローラー51、52、53は、円形へのロープへの追従性を良くするためプーリー形状としている。
(c)で示すように、3本のワイヤーからなる主ロープ212をプーリー形状のローラー51、52、53のそれぞれの組みで対応させることで、ロープへの追従性を確保している。ローラー51a、52a、53a、51b、52b、53bに発電機61、62が接続されており、ローラーの回転エネルギーを電気エネルギーに変換してコントローラ80へ電力を供給する。ローラー51c、52c、53cの主ロープ212への押しつけ力は、アクチュエータ73、74を調整することで安全状態確認装置10の移動速度を一定することができる。
図6は、機械室無しエレベータの場合における主ロープ214に安全状態確認装置10を適用した一実施例である。
(a)は機械室無しエレベータ全体の構成図、(b)は主ロープ214と安全状態確認装置10との接触部位を切りだした図、(c)は上面からの透視図である。
(a)が示すとおり、機械室の無いエレベータでは、かご300と、釣合い重り310と、は主ロープ214で直接接続されてはいない。プーリーを使って主ロープ214の経路(ローピング)を工夫して、かご300を下から支える形態である。本実施例では、安全状態確認装置10を、巻上機400の左側にかけられている主ロープの上方端にスタンバイさせている。
主ロープ214は、複数のワイヤーで構成されていることが普通であり、本実施例では(b)で示しているように3本グルーピングのものを主ロープ214としている。
ローラー54、55、56は、円形へのロープへの追従性を良くするためプーリー形状としている。
(c)で示すように、3本のワイヤーからなる主ロープ214をプーリー形状のローラー54、55、56のそれぞれの組みで対応させることで、ロープへの追従性を確保している。ローラー54a、55a、56a、54b、52b、53bに発電機61、62が接続されており、ローラーの回転エネルギーを電気エネルギーに変換してコントローラ80へ電力を供給する。ローラー54c、55c、56cの主ロープ214への押しつけ力は、アクチュエータ73、74を調整することで安全状態確認装置10の移動速度を一定することができる。
【0057】
すなわち、安全状
態確認装置10は、画像センサ、加速度センサの他に、角速度を取得するジャイロセンサを更に備え、安全状
態確認装置10が、ロープ(主ロープ)に設置される場合、角速度から、ロープのねじれ状態を検出し、画像データから、ロープと、他の昇降路内の設備との間の距離を検出して、基準内であれば安全と判断する。
【実施例4】
【0058】
図7、
図8を用いて、実施例4のエレベータシステムを説明する。
【0059】
実施例3は、実施例1に記載の計測対象100がガバナロープ216である場合を想定した例である。なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
【0060】
図7は、ガバナロープ216に安全状態確認装置10を適用した一実施例である。
【0061】
(a)はガバナに着目したエレベータ全体の構成図、(b)はガバナロープ216と安全状態確認装置10との接触部位を切りだした図、(c)は上面からの透視図である。
【0062】
(a)が示す通り、ガバナロープ216は、ガバナ320及びガバナプーリー322を支点したループ形状になっており、該ロープの一端にかご300を接続されており、かごの動きに合わせてガバナ320が動作することで、速度超過を検出できる構造である。本実施例では、安全状態確認装置10を、かご300が接続されている部分と反対側の上方端に配置している。
【0063】
ガバナロープ216は、一本のワイヤーで構成されていることが普通である。本実施例(b)(c)で示しているように、ガバナロープ216を、プーリー形状のローラー57a,57b,57cで挟み込むことにより、追従性を向上させている。ローラー57a、57bに発電機65を接続することで、ローラーの回転エネルギーを電気エネルギーに変換してコントローラ80へ電力を供給する。ローラー57cのガバナロープ216への押しつけ力は、アクチュエータ73、74を調整することで安全状態確認装置10の移動速度を一定することができる。
ガバナロープ216は、昇降路の頭頂部から、昇降路底のピットまで連続しており、全体を効率良く検査できる。
【0064】
図8は、上述した安全状態確認装置10をロープ210に適用した場合の計測動作のフローを示したものである。
【0065】
安全状態確認装置10は、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からデータを取得する(S14)
取得したセンサデータを処理して、ロープ210に適したデータ形式に変換する(S24)
加速度と角速度のデータを組合せることにより、任意の位置でのロープ210の曲りや破損等の不具合を検知できる。
ロープ210が安全か否かを判定する(S34)。判定は、予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
判定結果を記憶する(S40)
画像センサ40から画像データを取得する(S50)
該データを処理して他の構成要素を検出する(S64)
取得したセンサデータを基準に、他のエレベータ構成要素までの位置を推定する(S74)。ガバナロープが単一の場合には、安全確認装置10が該ロープを中心に回転する場合がある。この場合には角速度で回転を検知でき、回転量で画像データのずれを補正することが可能である。
【0066】
得られた位置から、構成要素間の位置関係を判定する(S84)。予め記憶されている位置情報の許容範囲に収まっているか否かを確認する。
【0067】
得られた判定結果を記憶する(S90)
判定結果を送信する。(S100)
判定結果の送信(S100)は、エレベータ制御コントローラ400と安全状態確認装置10との間を取り持つ通信設備によって異なるために、逐次送信(S110)が可能な場合と、安全確認装置10が停止した時点で全判定結果を送信する(S120)場合等がある。
【0068】
すなわち、安全状
態確認装置10は、画像センサと加速度センサの他に、角速度を取得するジャイロセンサと、エレベータと連動して回転するガバナプーリに設置されるガバナロープとを更に備え、安全状
態確認装置10が、ガバナロープに設置される場合、角速度から、ガバナロープのねじれ状態を検出し、画像データから、ガバナロープと、他の前記昇降路内の設備との間の距離を検出して、基準内であれば安全と判断する。
【実施例5】
【0069】
図9、
図10を用いて、実施例5のエレベータシステムを説明する。
【0070】
実施例5は、実施例1に記載の計測対象100がテールコード220である場合を想定した例である。なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
【0071】
図9は、テールコード220に安全状態確認装置10を適用した一実施例である。テールコード220の形状に依存するが、本実施例では、テールコード220をフラットケーブル状としてローラー120a、120b、120cで挟みこむ構造を示している。
【0072】
(a)はテールコードに着目したエレベータ全体の構成図、(b)はテールコード220と安全状態確認装置10との接触部位を切りだした図、(c)は上面からの透視図である。
【0073】
(a)が示す通り、テールコード220の役割は、かご300への電力供給及び、エレベータ制御コントローラ400との様々な信号のやり取りを担う重要な通信路である。かご300の上下動により、垂れ下っている部分の長さや曲り具合が異なってくる。
【0074】
(b)で示すように、テールコード220の幅に合わせた3本のローラー130a、130b、130cでテールコード220を挟み込む構成である。
【0075】
(c)で示すように、テールコード220の幅に合わせた3本のローラー130a、130b、130cを組み合わせることで、追従性を確保している。ローラー130a、130bに発電機66、67が接続されており、ローラーの回転エネルギーを電気エネルギーに変換してコントローラ80へ電力を供給する。アクチュエータ75、76を制御してローラー130cのテールコード220への押しつけ力のバランスを調整することで、移動速度や、テールコード220に対して斜めにならないように調整することが可能となる。
【0076】
図10は、前記安全状態確認装置10を、テールコード220に適用した場合の計測動作のフローを示したものである。
安全状態確認装置10は、加速度センサ20及びジャイロセンサ30からデータを取得する(S16)。
【0077】
取得したセンサデータを処理して、テールコード220に適したデータ形式に変換する(S26)。加速度と角速度のデータを組合せることにより、任意の位置でのテールコード220の引っかかりや破損等の不具合を検知できる。なお、テールコード220は、かご300の位置によって曲り形状が変化するために補正が必要である。
テールコード220が安全か否かを判定する(S36)。判定は、予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
【0078】
判定結果を記憶する(S40)
画像センサ40から画像データを取得する(S50)。
【0079】
該データを処理して他の構成要素を検出する(S66)。
【0080】
取得したセンサデータを基準に、他のエレベータ構成要素までの位置を推定する(S76)。尚、テールコードでは、折り返し部分のたるみが生じる。たるみは加速度及び角速度で検知で、該検知量で画像データのずれを補正することが可能である。
【0081】
得られた位置から、構成要素間の位置関係を判定する(S86)。予め記憶されている位置情報の許容範囲に収まっているか否かを確認する。
【0082】
得られた判定結果を記憶する(S90)。
【0083】
判定結果を送信する(S100)。
【0084】
判定結果の送信(S100)は、エレベータ制御コントローラ400と安全状態確認装置10との間を取り持つ通信設備によって異なるために、逐次送信(S110)が可能な場合と、安全確認装置10が停止した時点で全判定結果を送信する(S120)場合がある。
【0085】
すなわち、安全状
態確認装置は、画像センサと加速度センサの他に、角速度を取得するジャイロセンサを更に備え、安全状
態確認装置10が、テールコードに設置される場合、角速度と加速度から、テールコードのねじれ状態を検出し、画像データから、テールコードと、他の前記昇降路内の設備との間の距離を検出して、基準内であれば安全と判断する。
【実施例6】
【0086】
図11、
図12を用いて、実施例6のエレベータシステムを説明する。
なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
図11は、落下によって生じる風圧をプロペラで受けてエネルギーに変換して利用する安全状態確認装置10の一実施例の構成である。(a)は上面図、(b)は側面図である。
複数の発電機66a、66b、66c、66d、66e、66fはそれぞれプロペラを持ち、本体の落下に伴う風圧によってプロペラを回転させて発電機66を駆動することで電力源として利用する。安全状態確認装置10は、加速度センサ20と、ジャイロセンサ30と、画像センサ40と、を有する。異常判定手段90及び通信手段110を持つコントローラ80を搭載し、安全状態を確認する。本実施例では、落下時の姿勢を安定させるために、底面側の形状を三角錐状にし、プロペラも6機としているが、この限りではない。
【0087】
図12は、
図11の安全状態確認装置10の計測動作のフローを示したものである。
安全状態確認装置10に搭載されているコントローラ80は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30のデータを取得する(S210)。
【0088】
該データを処理して、傾きや回転等の物理量に変換する(S220)。
【0089】
自機の位置・傾き・回転を判定する(S230)。判定は、予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
【0090】
画像センサ40のデータを取得する(S240)。
【0091】
画像データを処理して、エレベータ構成要素を検出する(S250)。
【0092】
自分の位置・傾き・回転を考慮した補正を加えながら、エレベータ構成要素までの位置を推定する(S260)。
【0093】
各エレベータ構成要素間の位置関係を判定する(S270)。予め記憶されている位置情報の許容範囲に収まっているか否かを確認する。
【0094】
得られた判定結果を記憶する(S280)。
【0095】
加速度を基に、自機がかごに到着したか否かを判定する(S290)。
落下中であれば、計測を継続する。かごに到着した場合には、判定結果を送信する(S300)。
【実施例7】
【0096】
図13、
図14を用いて、実施例7のエレベータシステムを説明する。
なお、実施例1と共通する点は、説明を省略する。
【0097】
図13は、エレベータ構成要素として、安全状態確認専用のレール700を設けた場合の、一実施例の概略構成である。レール700の形状を「工」の字型とし、X方向、及びZ方向へのローラー押し付けにより、安全状態確認装置10のレール700への追従性を確保する構造である。
【0098】
ローラー50n、50p、50s、50uは、バネ72の力によりX方向でレール700を鋏込んで保持する。ローラー50m、50q、50r、50vは、アクチュエータ70x、yで制御されるローラー50o、50tと組み合わせて、Z方向でレール700を挟み込んで保持する。ローラー50m、50q、50r、50vには、それぞれ発電機60m、60n、60o、60pが接続されて該ローラーの回転からエネルギーを生成する。
安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30、画像センサ40を搭載し、コントローラ80は、異常判定手段90と、エレベータ制御コントローラ400と通信するための通信手段110を有する。
【0099】
図14は、上述した安全状態確認装置10を専用レール700に適用した場合の計測動作のフローを示したものである。
【0100】
安全状態確認装置10は、加速度センサ20、ジャイロセンサ30のデータを取得する(S19)
取得したデータを処理して、専用レール700に適したデータ形式に変換する(S29)
実施例4と同様に、加速度と角速度のデータを組合せることにより、任意の位置での専用レール700の捻れ等の不具合を検知できる。
専用レールが安全か否かを判定する(S39)判定は予め記憶されている許容範囲に収まっているかを確認する。
【0101】
判定結果を記憶する(S40)。
【0102】
画像センサ40から画像データを取得する(S50)。
【0103】
該データを処理してエレベータの構成要素を検出する(S69)。
【0104】
専用レールの位置・傾きを考慮して画像データの位置情報補正を実施する。
【0105】
専用レール700を基準として、各エレベータ構成要素までの位置を計測する(S79)。
【0106】
得られた位置情報から、各エレベータ構成要素間の位置関係を判定する(S80)。
【0107】
判定結果を記憶する(S90)。
【0108】
下に到達したら判定結果をエレベータ制御装置400に送信する(S120)。