特許第6803750号(P6803750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コロライト エルティーディー.の特許一覧

特許6803750調整されたヘアカラーのための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803750
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】調整されたヘアカラーのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20201214BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20201214BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
   A61K8/00
   A61Q5/06
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-564989(P2016-564989)
(86)(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公表番号】特表2017-519192(P2017-519192A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】IB2015053065
(87)【国際公開番号】WO2015166403
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/984,796
(32)【優先日】2014年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512249526
【氏名又は名称】コロライト エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】ColoRight Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ミクラズスキー, エフレーム
(72)【発明者】
【氏名】イシコフ , エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】マンデリック, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ダヴァラ, ギラッド
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−143655(JP,A)
【文献】 特表2014−510099(JP,A)
【文献】 国際公開第01/087245(WO,A2)
【文献】 光学,2010年,第39巻 第11号,p.518〜523
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − 21/01
G01N 21/17 − 21/61
G01N 33/48 − 33/483
G01B 11/00 − 11/30
G01J 3/46 − 3/51
A45D 19/00
A61B 5/107
A61K 8/00
A61Q 5/00 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛幹の色を変更するヘアカラー処理のための方法であって、
測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、取得ステップと、増減ステップとを備え、
(a)前記測定ステップは、毛髪整列軸に沿って毛幹が整列された毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、
(b)前記比較ステップでは、複数の前記光散乱測定の結果を比較し、
(c)前記計算ステップでは、当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、
(d)前記取得ステップでは、前記毛髪サンプルの初期色状態を取得し、
(e)前記増減ステップでは、前記毛髪サンプルを初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤の成分を計算する際に、前記複数の光散乱測定における第1入射光及び第2入射光の散乱光の強度の差が大きいほど前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増加させ、前記複数の光散乱測定における第1入射光及び第2入射光の散乱光の強度の差が小さいほど、前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を減少させ、第1入射光及び第2入射光は、前記毛髪整列軸と光散乱測定において収集する散乱光の方向とを含む平面に垂直な方位面に対する入射方向の仰角の差が20度以上70度以下である、
方法。
【請求項2】
(1)前記ヘアカラー剤は、第1及び第2人工着色料を備え、
(2)毛幹による第1人工着色料の吸収率は、第2人工着色料の吸収率よりも、より毛幹のダメージ度合いに依存し、
(3)初期ダメージの度合いが大きいと判断された場合、前記ヘアカラー剤中の第1及び第2人工着色料の濃度比率を下げる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光散乱測定の各々について収集方向が同じになるように光散乱測定を行う、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各光散乱測定に係る収集方向は、前記毛髪整列軸に垂直な平面内にある、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記光散乱測定は、各光散乱測定用の散乱光が同じ収集装置によって収集されるように実行される、
請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記初期色状態は、光検出器を含む機器によって光学的に測定される、
請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記初期色状態は、スペクトルデータ及び色空間値のうちの少なくとも一方を備える、
請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
【請求項8】
各散乱測定中に毛髪によって散乱される光の強度それぞれの比を計算することで、前記比較が実行される、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
全ての光散乱測定において、前記毛髪整列軸及び毛髪検出器光散乱方向を含む平面に垂直な平面を方位面と定める、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
各光線入射方向は、前記毛髪整列軸及び前記方位面に対して略0度方位又は略180度方位である、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
(1)光散乱測定は、平面筐体窓を含む筐体を備える毛髪読取り装置によって行われ、
(2)当該各光散乱測定では、光源光は前記平面筐体窓を介して前記筐体から出て毛髪を照らし、前記毛髪からの散乱光は前記平面筐体窓を介して前記筐体内に入り、
(3)方位面は前記平面筐体窓の平面として定義される、
請求項1〜請求項10の何れか1つに記載の方法。
【請求項12】
各第1及び第2反射測定では、整列されたケラチン繊維に反射された光の検出方向が略同一である、
請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の方法。
【請求項13】
共通の光検出器は、各散乱測定において散乱光をそれぞれ検出し、これにより当該各散乱光を示す電気信号を生成する、
請求項1〜請求項12の何れか1つに記載の方法。
【請求項14】
ヘアカラー剤の成分が計算されると、濃度を調整された人工着色料を達成するための材料を自動的に分注する、
請求項1〜請求項13の何れか1つに記載の方法。
【請求項15】
毛幹の色を変更するヘアカラー処理を実行するためのシステムであって、
毛髪読取り装置と、電子回路とを備え、
(a)前記毛髪読取り装置は、毛髪整列軸に沿って毛幹が整列された毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられるように構成され、
(b)前記電子回路は、
(1)複数の前記光散乱測定の結果を比較し、
(2)当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、
(3)前記毛髪サンプルを初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤の成分を計算する際に、前記複数の光散乱測定における第1入射光及び第2入射光の散乱光の強度の差が大きいほど前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増加させ、前記複数の光散乱測定における第1入射光及び第2入射光の散乱光の強度の差が小さいほど、前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を減少させ、第1入射光及び第2入射光は、前記毛髪整列軸と光散乱測定において収集する散乱光の方向とを含む平面に垂直な方位面に対する入射方向の仰角の差が20度以上70度以下である、
システム。
【請求項16】
(1)前記ヘアカラー剤は、第1及び第2人工着色料を備え、
(2)毛幹による第1人工着色料の吸収率は、第2人工着色料の吸収率よりも、より毛幹のダメージ度合いに依存し、
(3)初期ダメージの度合いが大きいと判断された場合、前記ヘアカラー剤中の第1及び第2人工着色料の濃度比率を下げる、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ヘアカラー剤の成分の計算に基づいて、濃度が調整された前記人工着色料を達成するための材料を自動的に分注するように構成される分注装置を更に備える、
請求項15又は請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本明細書に組み込まれて全体が参照される出願であって2014年4月27日に出願された米国出願61/984,796の優先権を主張する。
【0002】
本開示では、ケラチン繊維の着色、より具体的には調整されたヘアカラーに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘアカラーは何千年もの間実施されており、現代社会において重要な役割を果たし続けている。ヘアカラーの技術における中心的な問題は、正しい処理、例えば、適切なヘアカラー成分、及び/又は処理パラメータ(例えば、処理時間、温度等)を選択することである。
【0004】
本開示では、「ヘアカラー処理」とは毛幹の色を変更する処理である。ヘアカラー処理の例としては、(例えば、人工着色料に基づく)毛髪染色処理やブリーチ処理が挙げられる。毛髪染色処理には、一時的、半永久的、又は恒久的な毛髪染色処理(例えば、酸化毛髪染色)が含まれる。
【0005】
近年では、コンピュータベースの技術が開発されている。ユーザがヘアカラー目標(例えば、LAB値)を提示し、ユーザの「初期毛髪」(すなわち、ヘアカラー処理前)を記述するデータがコンピュータメモリに記憶され、ユーザの髪に特化した調整されたヘアカラー剤の成分が計算される。例えば、「初期毛髪」の色状態を記述するデータは、分光計、カラーメータ又はカメラ等の光学装置を用いて測定することができ、このデータは、毛髪の初期前処理LAB値又は初期前処理スペクトル(例えば、反射スペクトル)を含みうる。このデータが得られると、多数の事後的且つ仮定的毛髪処理が分析され、それぞれの予測された処理後カラー状態(例えば、毛髪のLAB値又はスペクトル)が各仮定的毛髪処理に対して計算される。
【0006】
次いで、仮定的ヘアカラー処理が、下記(1)及び(2)の「色の差異」(例えば、LAB空間内の距離)に基づいてスコア化される。
(1)各処理に対して予測される毛髪の処理後色状態
(2)ヘアカラー目標(例えば、LAB空間における距離)
かかるスコアによって、仮定的な又は候補となるヘアカラー処理から好ましいヘアカラー処理が選択される。
【0007】
特に、最小の「色差」を有するヘアカラー処理を「ベストマッチング」ヘアカラー処理として選択することができる。好ましいヘアカラー処理は、典型的には、1種以上のヘアカラー剤の塗布(つまりは製造)を必要とする。各成分は、材料(例えば、染料、塩基、カプラー、リフティング剤)の量又は濃度によって規定されうる。
【0008】
調整されたヘアカラー剤の製造のための材料は、毛髪をその初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー処理を算出するように構成される電子回路に作動可能に連結された分注装置から、必要な成分を自動的に分注することによって提供されてもよい。ヘアカラー剤の品質(すなわち、ユーザの本来的な毛髪を所望の色状態に変化させる効力)は、最終的なヘアカラー後の処理色状態がどれだけ予測値に正確かとして判断されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
今日まで、ユーザの毛髪の現状態を確認する装置及び方法が絶えず必要とされており、例えばヘアカラー剤に係る正しい材料の組合せを正確に分注する目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ヘアカラーの方法であって、測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、取得ステップと、増減ステップとを備え、(a)前記測定ステップは、毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、(b)前記比較ステップでは、複数の前記光散乱測定の結果を比較し、(c)前記計算ステップでは、当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、(d)前記取得ステップでは、前記毛髪サンプルの初期色状態を取得し、(e)前記増減ステップでは、前記毛髪サンプルを初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤の成分を計算する際に、初期ダメージの大小に係る度合いに応じて前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増減させる、方法、が提供される。つまり、初期ダメージの程度が大きいと判断された場合、ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を減少させ、及び/又は初期ダメージの程度が小さいと判断された場合、ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増加させる。
【0011】
好ましくは、(1)前記ヘアカラー剤は、第1及び第2人工着色料を備え、(2)毛幹による第1人工着色料の吸収率は、第2人工着色料の吸収率よりも、より毛幹のダメージ度合いに依存し、(3)初期ダメージの度合いが大きいと判断された場合、前記ヘアカラー剤中の第1及び第2人工着色料の濃度比率を下げる。
【0012】
本発明の別の側面によれば、好ましい目標色状態及び最大毛髪ダメージ閾値に基づくヘアカラーの方法であって、取得ステップと、判定ステップと、実行ステップとを備え、(a)前記取得ステップでは、前記毛髪の初期ダメージ状態及び前記毛髪の初期色状態を取得する取得し、(b)前記判定ステップでは、毛髪の初期ダメージ状態に応じてダメージ閾値に準拠したヘアカラー処理の適用可能性を判定し、前記ヘアカラー処理は(1)毛髪の色状態を初期色状態から好ましい目標色状態に適切に変化させ且つ(2)最大ダメージ閾値以下の毛髪ダメージ状態を維持すると予測されるものであり、(c)前記実行ステップでは、ダメージ閾値に準拠した毛髪処理がない場合に(1)〜(4)の少なくとも1つを実行する、方法、が提供される。
(1)1つ以上の代替目標色状態を各ユーザに提示すること、
ただし、当該代替目標色状態とは
(A)好ましい目標色状態とは異なり、及び/又は
(B)毛髪の色状態を、前記初期色状態から当該代替目標色状態に変化させることが予測され且つダメージ閾値準拠が仮定される毛髪処理によるものであって、当該毛髪処理は、
(I)前記ダメージ閾値を超えず、
(II)前記代替色状態と好ましい前記目標色状態との色の差異が最小化されるものである。
(2)1つ又は複数のダメージ閾値準拠のヘアカラー処理の記述をユーザに提示すること。
(3)ダメージ閾値準拠が仮定される処理において要求されるヘアカラー剤を分注すること。
(4)警告信号を発すること。
【0013】
本発明の別の側面によれば、ヘアカラーの方法であって、測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、取得ステップと、増減ステップとを備え、(a)前記測定ステップは、毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、(b)前記比較ステップでは、複数の前記光散乱測定の結果を比較し、(c)前記計算ステップでは、当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、(d)前記取得ステップでは、前記毛髪サンプルの初期色状態を取得し、(e)前記増減ステップでは、前記毛髪サンプルを初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤を計算する際に、初期ダメージの大小に係る度合いに応じて前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増減させるか、及び/又は(2)初期ダメージの大小に係る度合いに応じて、ヘアカラー剤におけるリフティング強度を増減するか、及び/又は(3)初期ダメージの大小に係る度合いに応じて、ヘアカラー剤中のアルカリ化剤(例えばアンモニア)の濃度を増減させる、方法、が提供される。
【0014】
本発明の別の側面によれば、ヘアカラーの方法であって、測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、取得ステップと、増減ステップとを備え、(a)前記測定ステップは、毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、(b)前記比較ステップでは、複数の前記光散乱測定の結果を比較し、(c)前記計算ステップでは、当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、(d)前記取得ステップでは、前記毛髪サンプルの初期色状態を取得し、(e)ヘアカラー処理の成分を計算するステップであって、(1)前記ヘアカラー剤は、第1及び第2人工着色料を備え、(2)毛幹による第1人工着色料の吸収率は、第2人工着色料の吸収率よりも、より毛幹のダメージ度合いに依存し、(3)初期ダメージの程度が大きい又は小さいと判断された場合、前記ヘアカラー剤中の第1及び第2人工着色料の濃度比率を下げる又は上げる、方法が提供される。
【0015】
好ましくは、前記判定ステップでは、下記(1)(2)を備える。
(1)毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられる。
(2)前記光散乱測定の結果を比較する。
【0016】
本発明の別の側面によれば、ヘアカラーの方法であって、(a)毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算又は受信するステップと、(b)前記毛髪サンプルの初期色状態を計算又は受信するステップと、(c)前記毛髪サンプルを前記初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤成分を計算し、(1)初期ダメージの大小に係る度合いに応じて、計算されたヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増減させるか、及び/又は、(2)初期ダメージの大小に係る度合いに応じて、ヘアカラー剤のリフティング強度を増減させるか、及び/又は、(3)初期ダメージの大小に係る度合いに応じて、ヘアカラー剤中のアルカリ化剤(例えばアンモニア)の濃度を増減させる、ステップと、を備える方法、が提供される。
【0017】
本発明の別の側面によれば、ヘアカラーの方法であって、測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、取得ステップと、増減ステップとを備え、(a)前記測定ステップは、毛髪サンプル上で複数の光散乱測定を実行し、当該各光散乱測定では、毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、(b)前記比較ステップでは、複数の前記光散乱測定の結果を比較し、(c)前記計算ステップでは、当該比較の結果に基づき前記毛髪サンプルの初期ダメージ状態を計算し、(d)前記取得ステップでは、前記毛髪サンプルの初期色状態を取得し、(e)前記増減ステップでは、前記毛髪サンプルを初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤の成分を計算する際に、初期ダメージの大小に係る度合いに応じて前記ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度を増減させる、方法が提供される。
【0018】
本発明の別の側面によれば、毛髪ダメージ状態を測定する方法であって、測定ステップと、比較ステップと、計算ステップと、を備え、(a)前記測定ステップでは、毛幹が整列された毛髪サンプルに第1及び第2光散乱測定を行うもので、(1)毛髪整列軸を決定するように毛髪サンプルの毛幹が互いに整列され、(2)当該各光散乱測定では、前記毛髪サンプルに異なる方向から照明が当てられ、(3)毛髪照明方向及び毛髪整列方向が全て同一平面上にあり、(b)前記比較ステップでは、前記光散乱測定の結果を電子的に比較し、(c)前記計算ステップでは、前記比較結果に基づいて前記毛髪サンプルのダメージ状態を計算する、方法が提供される。
【0019】
好ましくは、前記光散乱測定の各々について収集方向が同じになるように光散乱測定を行う。
【0020】
好ましくは、光散乱測定は、毛幹整列軸を決定するように毛幹が整列された毛髪サンプルに対して実行される。
【0021】
好ましくは、各光散乱測定に係る収集方向は、毛幹整列軸に垂直な平面内にある。
【0022】
好ましくは、前記光散乱測定は、各光散乱測定用の散乱光が同じ収集装置によって収集されるように実行される。
【0023】
好ましくは、前記初期色状態は、光検出器を含む機器によって光学的に測定される。
【0024】
好ましくは、前記初期色状態は、スペクトルデータ及び色空間値のうちの少なくとも一方を備える。
【0025】
好ましくは、各散乱測定中に前記毛髪によって散乱される光の強度それぞれの比を計算することで、前記比較が実行される。
【0026】
好ましくは、前記毛髪サンプルの毛幹は、整列軸に沿って整列される。
【0027】
好ましくは、各光線入射方向は、前記整列軸及び方位面に対して略0度方位又は略180度方位である。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの前記光散乱測定において、前記方位面は、前記整列軸によって決定される垂直面及び毛髪検出器光散乱方向に垂直である。
【0029】
好ましくは、全ての前記光散乱測定において、前記方位面は、前記整列軸によって決定される垂直面及び毛髪検出器光散乱方向に垂直である。
【0030】
好ましくは、(1)前記光散乱測定は、平面筐体窓を含む筐体を備える毛髪読取り装置によって行われ、(2)当該各光散乱測定では、光源光は前記平面筐体窓を介して前記筐体から出て前記毛髪を照らし、前記毛髪からの散乱光は前記平面筐体窓を介して前記筐体内に入り、(3)前記方位面は前記平面筐体窓の平面として定義される。
【0031】
好ましくは、第1及び第2入射方向が、少なくとも10度、少なくとも15度、又は少なくとも20度であり、及び/又は、多くとも80度又は多くとも70度である。
【0032】
好ましくは、前記方位面によって決定された第1及び第2入射方向間の仰角差が、少なくとも10度、少なくとも15度又は少なくとも20度であり、及び/又は、多くとも80度又は多くとも70度である。
【0033】
好ましくは、各第1及び第2反射測定では、整列されたケラチン繊維に反射された光の検出方向が略同一である。
【0034】
好ましくは、共通の光検出器は、各散乱測定において散乱光をそれぞれ検出し、これにより当該各散乱光を示す電気信号を生成する。
【0035】
好ましくは、前記共通の光検出器は、整列された繊維に対して略ゼロ仰角で位置する。
【0036】
好ましくは、前記方位面に対して、第1及び第2入射方向の両方が略同じ平面角値を有する。
【0037】
好ましくは、前記方位面に対して、第1及び第2入射方向間の方位角の差は略180度である。
【0038】
好ましくは、ヘアカラー剤成分の算出に応じて、濃度が調整された人工着色料を達成するための材料を自動的に分注する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図2】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図3A】いくつかの実施形態に係り、毛髪(例えば、整列された毛幹)上の光散乱測定の実行に関する。
図3B】いくつかの実施形態に係り、毛髪(例えば、整列された毛幹)上の光散乱測定の実行に関する。
図4】実験結果を示している。
図5】実験結果を示している。
図6】いくつかの実施形態に係り、毛髪(例えば、整列された毛幹)上の光散乱測定の実行に関する。
図7A】いくつかの実施形態に係り、毛髪(例えば、整列された毛幹)上の光散乱測定の実行に関する。
図7B】いくつかの実施形態に係り、毛髪(例えば、整列された毛幹)上の光散乱測定の実行に関する。
図8】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図10】分注装置を示している。
図11】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図12A】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図12B】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図13】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図14】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
図15】いくつかの実施形態に係り、毛髪の分析及び/又は調整されたヘアカラー処理の計算に関する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、以下本明細書に添付の図面を参照しながら、あくまでも一例として記載されるものとする。詳細に図面を特に参照して、示す細目は、例としてのみ例示的なシステムの好ましい実施形態の例示的な説明の目的のためのものであることに留意されたい。そして、本発明の原理及び概念的態様を有用かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提示している。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要であるよりも詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされておらず、図面は、本発明に係るいくつかの形態を実際どのように作成し、実施形態を使用する方法且つ実施することができる方法を当業者に明らかにするものである。
【0041】
簡潔にするために、様々な特徴の明示的な組合せのいくつかは、図面及び/又は説明に明示的に図示されていない。本明細書に開示された方法又は装置の特徴の任意の組合わせは、任意の態様(任意の態様の組合せを含む)で組み合わせることができ、任意の態様に含められうる。
【0042】
(予備的な意見)
本開示では、ケラチン繊維の着色、より具体的には調整されたヘアカラーに関する。いくつかの実施形態では、「初期毛髪」(すなわち、ヘアカラー処理がなされる前の毛髪、例えば、毛髪であって1つ又は複数の光学機器によってその性質が測定された毛髪)の色特性(例えば、LABやスペクトル等)ばかりでなく、ダメージ状況を考慮する新たなヘアカラー技術が開示される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ヘアカラー処理を計算するための主たる決定要因は初期毛髪の色状態(例えばスペクトルデータ、LAB値、RGB値等)であり、それはヘアカラー目標(例えばLAB値やその他の方法で表現されうる)に関するが、ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度は、初期毛髪に対するこれまでのダメージの度合いが比較的大きいと判断された場合には、下方調整されうる。逆に、ヘアカラー剤中の人工着色料の濃度は、初期毛髪に対するこれまでのダメージの度合いが比較的小さいと判断された場合には、上方調整されうる。
【0044】
したがって、本発明のいくつかの実施形態(図1図2図8及び図9を参照)では、毛髪の色状態を「目標値のオーバーシュート(目標値を越えてから戻す)」又は「目標値のアンダーシュート(目標値に足りず追加する)」をさせずに初期状態から目標毛髪色状態に変化させるために、初期毛髪のダメージ状態をどのくらい考慮するかを指定する。
【0045】
代替的又は追加的に(図11参照)、仮定的なヘアカラー処理に対して、当該処理後に最終的な毛髪の色状態を予測することに加えて、毛髪の最終的なダメージ状態を予測することも可能である。ダメージは累積的であるため、最終的なダメージ状態は、最初のダメージ状態とヘアカラー中に髪に与えられた副次的ダメージの量によって決定されうる。後述するように(図11参照)、ヘアカラー処理に関する毛髪の最終的なダメージ状態を予測することによって、次の1つ又は複数を実行することが可能となる。(1)ヘアカラー処理によって毛髪が「最大許容」ダメージ状態を超えるダメージ状態になると予測される場合、ユーザに警告する。(2)そのような場合、好ましい(例えば、ユーザ指定の目標状態)とは異なる代替目標色状態をユーザに提示する。なお、(A)代替目標色状態は、ユーザ指定に準拠するものと予測されるが、毛髪への許容されうる最大量のダメージに制限されている。(B)代替目標色状態は、「好ましい目標状態」と可能な限り類似しており、例えばLAB(又は他の何れか)色空間における距離を最小となるものである。
【0046】
理論的には、「初期毛髪」のダメージ状態に関する情報は、ヘアカラー処理を予測するためのコンピュータ化されたシステムにおける任意の方法で提供することができる。一例では、この情報は手動で提供されてもよい。例えば、異なるダメージ状態を示すメニューがユーザに提示され、(例えば、コンピュータモニタ、電話のスクリーン又はタブレット等のディスプレイ画面)、ユーザが「主観的に」最も緊密に感じられるオプションを選択してもよい。別の例では、画像処理技術を用いて顕微鏡データからダメージの度合いを計算することができる。
【0047】
代替的又は追加的に、毛髪が複数の光散乱測定を受けるような現在説明中の技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、毛髪は、第1及び第2光散乱測定において、第1及び第2方向から照明が当てられる。各光散乱測定について、毛髪によって散乱された光強度(すなわち、1つ以上の所定の散乱方向)が測定される。各測定の散乱光強度(すなわち、散乱方向)が(毛髪が異なる方向から照明が当てられたにもかかわらず)ほぼ等しい場合、これは、各毛髪表皮の表面が比較的なめらかであること、つまりこれまでに毛髪がダメージを受けており、ダメージ度合いが「高い」ことを示している。逆に、散乱光強度に著しく差があることが検出された場合、これは、各毛髪表皮の表面が比較的粗く、毛髪がダメージを受けていないか、それが最小限に留められていることを示している。以下、図3A図3Bを参照して更に詳しく説明する。
【0048】
毛髪が第1及び第2光散乱測定(すなわち、第1及び第2方向からそれぞれ毛髪を照らす)を受けると、毛髪による散乱光強度の差を示す散乱光強度差関数が計算されうる。当該差の関数(例えば、散乱光の強度の比)は、散乱光の強度(すなわち、それぞれの収集装置によって規定される特定の方向に散乱される強度)の差を表す。
【0049】
上記の例は、「第1及び第2光散乱測定と第1及び第2照明方向」に関する。ただ2つの光散乱測定と2つの照明方向に制限されるわけではないことに留意されたい。「第1及び第2」という用語は、少なくとも第1及び第2測定(及び照明方向)を含む「2つ以上」(少なくとも2つ)に関するものである。毛髪は、2つ以上の方向から照明が当てられてもよく、2つ以上の光散乱測定の結果が比較されてもよい。
【0050】
(1)毛髪へのダメージの度合いと(2)毛幹が人工着色料を吸収する力とに係る散乱光強度差関数の値を示す実験データをここに提示する。以下に説明するように、毛髪サンプルは複数のサブサンプルに分割されてもよく、各サブサンプルは異なる量のダメージを受けている。この場合、毛髪は全て「同じ毛髪」であり、ダメージの量だけが違うものである。
【0051】
図4を参照して以下に説明するように、より大きなダメージを受けた毛髪のサブセットでは、散乱光強度差関数の値がより低くなることが確認された。すなわち、毛髪がダメージを受けることにより、第1及び第2毛髪散乱測定(例えば特に方向(単一の収集装置))から収集された散乱光強度の差が小さくなる。
【0052】
図5を参照すると更なる実験データが以下に提示される。図5の実験において、毛髪サンプルはサンプルのサブセット(サブサンプル)に分割される。カラーリング前において、各サブセットの毛髪は、ダメージを受けていないか、又は異なるダメージの度合いを有する。続いて、全ての毛髪は、同じヘアカラー(すなわち、染色)処理を受ける。ここで、より大きな度合いのダメージを受けた初期毛髪は、ダメージを受けていないか、又は最小限にしかダメージを受けていない毛髪に比べて、より染色効果がある(すなわち、より大きな色の変化を示す)ことが観察された。
【0053】
上記「背景」で述べたように、近年では、計算された最終的な色状態の予測に基づいてヘアカラー溶液の成分を分注する分注装置が開示されている。かかる分注装置の一例が図10に示されている。
【0054】
(定義)
便宜上、かかる説明の文脈において、様々な用語がここに提示される。定義が明示的に又は暗黙的に、本明細書又は本願の他の箇所で提供される限り、かかる定義は、当業者によって定義される用語の使用法と一致すると理解されたい。更に、かかる定義は、そのような使用法と一致する最も広い意味で解釈されるべきである。
【0055】
本開示において、「毛幹」という用語は、個々の毛髪を指し、個々の毛髪の根元部分から離れている部分に限定されない。
【0056】
毛髪の「ダメージ」(又は「毛髪ダメージ」)とは、(1)毛髪の構造又は性質及び/又は(2)毛髪内の天然分子の化学的状態を不可逆的に変化させるものをいう。毛髪の「天然分子」は、天然の色素(例えば、メラニン種)及び毛髪のタンパク質(例えば、ケラチン等の繊維状構造タンパク質)であり、毛髪を構成するものである。天然分子の「化学的状態」は、毛髪中のその濃度又はその分子構造に関連する。したがって、(1)天然色素(例えば、メラニン種)の濃度を不可逆的に低下させること、及び(2)タンパク質の変性等によって不可逆的に分子構造を変化させることを含む。
【0057】
「ダメージ状態」とは、これまでの毛髪のダメージを反映した状態を示す。
【0058】
毛髪の「ダメージ」の原因には、紫外線光に晒されること、毛髪の加熱(以前のヘアカラー処理中)、毛髪を乾燥状態に晒すこと、機械的損傷(櫛歯等)、化学物質に毛髪を晒すこと(例えば塩素)、毛髪へのパーマ処理が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0059】
本開示では、毛髪内の「人工着色料」の濃度は、天然分子の化学的状態や毛髪の構造的状態に関係しないため、「ダメージ状態」に関係しないと定義される。しかし、人工着色料で毛髪を染めていくと、ある程度の「副次的ダメージ」を引き起こす可能性がある。
【0060】
「発色剤」という用語は、ヘアカラー剤(例えば、永久ヘアカラー用)又はその成分を示す。
【0061】
毛髪サンプルに照明が当てられると、図面(概略図)には図示されていないが、当業者であれば、光線(例えば、図3A図3Bにおいて1020A~1020Dとして示される)は、何らかの種類の発散を有し、単一の「照明方向」とはならないことが理解されうるであろう。「照明方向」という用語は、毛髪に入射する光の代表的な方向/主光線に関する。
【0062】
いくつかの実施形態では、毛髪は第1及び第2方向から照明が当てられ、散乱光の強度が測定される。特に明記されていない限り、光散乱「測定」は、1つ以上の特定の「収集方向」(以下、「対検出器散乱光」方向1024と称する)において散乱される光強度を測定することを指し、あらゆる方向に散乱する全ての光の全強度ではない。例えば2つ以上の収集方向がある場合、各収集は、それぞれの収集装置(例えば、収集光学機器及び検出器を含む)に関連付けられる。
【0063】
「収集方向」という用語は、収集光学系が毛髪によって散乱された光を集める方向である。「収集方向」の一例が、図1及び図2に示されている。図3A図3Bでは1024として示されている。好ましくは、散乱測定値が比較されるとき(例えば、S451−S457又はS409−S417(そのいくつかの実施形態)において散乱光の強度差を計算するために)、散乱光は、各光散乱測定において同一の収集方向(又は複数の検出器がある場合は収集方向のセット)で収集される。例えば、散乱光(第1及び第2光散乱測定において毛髪から散乱されたもの)は、それぞれの測定において同じ収集装置(又は収集装置のセット)によって収集される。
「比較関数」は、収集された光の強度比較に関する。
【0064】
2つの散乱測定に対して光強度(すなわち、比較可能な収集方向において)が比較されるとき、強度は等しいか、又は互いに異なってもよい。「差」(又は差関数)は、強度値A及びBについて、どのくらい互いに強度が異なるかを定量化するものである。なお、「差関数」の例としては、A−B、A/B、B/A、B−Aを含む。したがって、差関数としてA/Bが選択されている場合には値1は差がないことを示し、値A/Bが1からずれると(すなわち、1より大きい値で無限大に発散する場合や1未満の値で0に近づく場合)、差の度合いが増えることになる。
【0065】
「実質的多数」とは、少なくとも75%を意味する。いくつかの実施形態では、「実質的多数」は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも99%である。特に明記しない限り、「多数」は「少なくとも多数」を意味する。また、特に明記しない限り、「少なくとも多数」とは、いくつかの実施形態において、「多数」が少なくとも実質的多数、すなわち少なくとも75%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも99%であることを意味する。
【0066】
「毛幹が整列された毛髪サンプル」とは、例えば1010に参照されるように、サンプルの幹が整列軸を決定するように配置されるものをいう。
【0067】
電子回路は、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPLA)素子、ハードワイヤード(hard−wired)素子、マイクロプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロプロセッサ、論理素子、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)素子、及び特定用途向け集積回路(ASIC)素子を含むが、これに限定されるものではない。命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャ及び/又は複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャを含む任意の命令セットアーキテクチャを使用することができるが、これに限定されるものではない。電子回路は、単一の場所に配置されてもよく、又は様々な回路要素が相互に有線又は無線の電子通信を行うことができる複数の場所に分散されてもよい。
【0068】
「ヘアカラー処理」は、毛幹の色を変更するあらゆる処理である。ヘアカラー処理の例には、(例えば、人工着色料に基づく)毛髪染色処理及びブリーチ処理が含まれる。毛髪染色処理の例は、一時的、半永久的又は永久的な毛髪染色(例えば、酸化的毛髪染色)である。
【0069】
用語「ユーザ目標」は、典型的には、目標色合いが含まれ、ハンターラボ色空間や他の色空間等の色空間における値として表現可能である。目標色合いに加えて、ユーザ目標データは、あらゆる提案されうる毛髪処理に係るいくつかの他の所望する特徴を含みうる。例えば「毛幹全体」とは対照的に「毛根のみ」の処理や、最大処理時間等が挙げられる。
【0070】
複数の仮定的又は「候補となりうる」毛髪処理の手法を分析し、考慮することができる。「毛髪処理」とは、(A)ヘアカラー剤(例えば、染料含有成分やブリーチ処理成分等連続的に又は同時に塗布される2以上のヘアカラー剤)の内容、及び/又は(B)例えば処理時間、処理温度等の、処理パラメータを意味する。「毛髪処理」の計算又は特定は、1つ又は複数の成分のヘアカラー剤(例えば、複数の組成物からなるもの)の少なくとも絶対的又は相対的な量又は「負荷」(すなわち、モル単位で、又は重量又は体積として、又は当該技術分野において既知の他の任意の方法で表される)を含むものである。「ヘアカラー剤」という用語には、人工着色料/染料、酸化剤、アルカリ化剤、又は一時的、半永久的、又は永久的なヘアカラーのための当該分野で使用される他の物質が含まれうる。ヘアカラー剤は、液体、ゲル、マウス、クリーム、固体、粉末、錠剤、又は当技術分野で知られている他の任意の形態を含むが、これらに限定されない任意の相又は形態でありうる。任意選択的に、「毛髪処理」は、処理時間、処理温度、多段階処理又は任意の他の処理パラメータに関するデータをも含む。例えば、毛髪処理は、ヘアカラー剤の複数の異なる組合せの生成物を伴いうる。カラーリング剤混合物及びブリーチ処理混合物を含み、それらは異なる段階で適用される。
【0071】
本開示では、「仮定的」及び「候補となる」という用語は、交換可能に使用され、実際に行うか、そうでなくとも可能性がある処理を表している。
【0072】
図1及び図2の説明)
図1のステップS401では、目標色状態が受信され、(例えば、揮発性及び/又は不揮発性のコンピュータ可読記憶装置に)記憶される。目標色状態は、選択された色合い又は色に関連する。ユーザは、選択された陰又は色に毛髪を彩色することを所望する。これは、LAB値として、又は当技術分野で公知の他の任意の方法で表すことができる。
【0073】
ステップS405において、初期色状態(例えば、スペクトルデータ又はLAB値)を記述するデータが、ユーザの入力によって手動で、又は毛髪を測定することによって得られる(例えば、PCT/IB2012/051351又はPCT/IL2014/050850に開示されているような毛髪読取り装置、これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれる)。
【0074】
ステップS451において、毛髪サンプル(例えば毛整列軸1010を形成するように整列された整列毛幹)は第1及び第2の光散乱測定を受け、第1及び第2方向から毛髪それぞれに照明が当てられる(例えば、図3Aの方向1020A及び1020Bと、例えば、図3Bの方向1020C及び1020D)。各散乱測定は、1つ以上の「収集」方向(上で定義された、例えば、図3A図3Bの方向1024)に散乱された光強度を記録するものである。上記のように、比較するために、各光散乱測定に係る収集方向が比較可能であることが好ましい。
【0075】
光散乱測定の結果が、ステップS457で比較され、(上で定義された)「差関数」が計算される。差関数が比較的大きい(例えば、毛髪が比較的ダメージを受けていないことを示す)場合、ヘアカラー剤(毛髪を初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるもの)は、S461として人工着色料の濃度がヘアカラー剤中で上方調整される。これは、人工着色料で処理した場合(及びカラーリング剤の吸収が少ない場合)、ダメージを受けていない髪は比較的変化に強いと考えられ、必要な色変化を達成するためには、より多くの量のヘアカラー剤が必要となるからである。
【0076】
逆に、差関数が比較的小さい(例えば、毛髪が実際にダメージを受けていることを示す)場合、ヘアカラー剤(毛髪を初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるもの)は、ヘアカラー剤中で人工着色料の濃度を下方調整するように計算される。これは、人工着色料で処理したときにダメージを受けた毛髪は変化しやすく(カラーリング剤を吸収しやすい)、必要な色の変化を達成するために必要なヘアカラー剤がより少なくてよいからである。
【0077】
ステップS457、ステップS461及びステップS465は、ステップS463の流れで実行され、毛髪を初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるヘアカラー剤成分が計算される。
【0078】
図2は、図1と似ているが、散乱の差が毛髪ダメージを表すデータを得る唯一の方法ではないことに留意されたい。つまり、図2に示すように、ステップS409ではどのようにして初期ダメージ状態を取得してもよい。ステップS417では、毛髪がより少ないダメージを有するか(すなわち、人工着色料の濃度がステップS421で増加される場合)、又はより大きいダメージを有するか(すなわち、人工着色料の濃度がステップS425で減少する)が決定される。
【0079】
図1図2は、人工着色料の濃度をどれくらい増やすべきかを明記はしていない。しかし、1つの非限定的な例としては、これを以下のように計算することができる。同じ毛髪を異なる度合いでダメージを与えることによってトレーニングセットを作成する。度合いごとに、毛髪のダメージ及び/又は「差関数」を計算することができる。
【0080】
これは、これまでのダメージの度合い(及び/又は「差関数」の値)を除いて各サンプルが実質的に同一であるようなサンプルセットを生成する。次いで、各サンプルは、同一のカラーリング処理、すなわち同じ条件及び同じ濃度の人工着色料に供される。染色工程の後、各サンプルの「染色後」の毛髪色状態が測定される、分光計又はカラーメータ又はその他の方法で行うことができる。これは、例えば、各サンプルについて、それぞれの染色後のLAB値に変換することができる。なお、(1)ダメージを受けていないサンプル(又はダメージが最小限であるサンプル)について、色の変化の大きさは、予めダメージを受けたサンプルの場合よりも少ない。(2)差関数が「高い値」を示すサンプルの場合、色の変化の大きさは、差関数が「低い値」を示すサンプルよりも小さい。
【0081】
これは、同一の毛髪カラーリング処理の毛髪サンプルを処理し、その結果(例えば、LAB値の変化による色の変化)を記録することを意味する。これは、異なる濃度の人工着色料に対して繰り返すことができる。したがって、(1)より大きなダメージ度合いを有し且つ人工着色料の濃度がより低い組成によって染色された毛髪と(2)より小さなダメージ度合いを有し且つより高い人工着色料の濃度を有する組成によって染色された毛髪とは、同じ色変化の大きさを示す。
【0082】
つまり、これらの2つの毛髪サンプル間には同等の色の変化があるということである。ただし、これは、「ダメージの度合い」と、特定の色の変化をもたらすために必要な濃度との関係の一例である。
【0083】
本発明者らは、全ての人工着色料についてその効果が同じ程度ではないことを見出した。いくつかのカラーリング剤については、毛髪のダメージ度合い(又は差関数の値)と、染色後の毛髪色について観察される変化との関係は、比較的強いものであることがわかった。すなわち、毛髪がダメージを受けた後は、同じ濃度の毛髪染色剤(同等の染色工程で行われるもの)を用いても、ダメージを受けていない毛髪と比較して毛髪色に変化を大きくもたらす。しかしながら、他のカラーリング剤に関しては、関係は比較的弱いものである可能性がある。これらのカラーリング剤に対しては毛髪色の変化は毛髪のダメージ具合にはそれほど依存しない。
【0084】
毛髪色の必要な変化をもたらすために人工着色料の濃度をどれだけ調整する必要があるかを計算するために、多くの種類の毛髪及び多くの種類の染料及び多くの異なる濃度のデータを最初に収集しうる。その後、これはトレーニングセット又はルックアップテーブルの基礎として役立ちものである。「新しい」毛髪サンプルを用いる場合は、ダメージ(及び/又は差関数)が決定され、トレーニングセット(又はルックアップテーブル)からの情報を使用して、人工着色料(特定の種類のカラーリング剤)の濃度を調整する必要がある。
【0085】
図3A図3B図6図7A図7Bの説明)
図6は、いくつかの実施形態に係り例示的な毛髪読取り機800を示している。毛髪読取り機800は、筐体804(例えば、不透明)及び窓808を含む。図6に示すように、複数のケラチン繊維812は、「x」軸に対応する整列軸1010に沿って略整列している。
【0086】
いくつかの実施形態では、(1)光源及び/又は(2)光検出器の一方又は両方が、筐体804内に配置される。
【0087】
また、図7A及び図7Bは、x軸及びy軸が「方位」基準面又は「方位面」にある極座標系を示している。図7Bに示すように、本開示において整列軸1010はx軸に対応するものとする。非限定的な一例では、「方位面」は、窓808によって定義される。
【0088】
代替的に又は追加的に、「方位面」は、光路上の散乱光の初期方向(すなわち、毛髪による散乱直後)である「対検出器散乱光」方向1024によって定義され、当該光路は、毛髪(すなわち、散乱位置にあるもの)から検出位置1040(すなわち、散乱光を検出するための検出器の位置)に向かう。
【0089】
図3Aは、2つの光線(例えばインコヒーレント光)の入射方向を示している。第1光線は、整列されたケラチン繊維812に第1入射方向1020Aで入射し、第2光線は、整列したケラチン繊維812に第2入射方向1020Bで入射する。毛髪の長手方向軸1010がx軸に沿っているように定義された極座標系では、各入射方向1020A、1020Bがそれぞれ、方位角値と仰角値の両方を規定する。
【0090】
図3(a)に示すように、(1)第1入射方向1020Aの方位角値と(2)第2入射方向1020Bの方位角値との差が180度であるため、第1入射方向1020Aと第2入射方向1020Bとは、方位角について反対の方向である。
【0091】
これに対して、図3Bの例では、両方向が同じ方位角値を有する。
【0092】
図3A図3Bの例では、光は「検出位置」1040で検出される。
【0093】
上述したように、方位面は、検出位置1040に対して定義される「散乱光検出器」の方向として定義することができる。図6A図6Bにおいて、「対検出器散乱光」の方向は符号1024が付されている。方位面が「光散乱」方向で定義される場合、(A)「垂直面」は、(1)毛髪整列軸1010と(2)「対検出器散乱光」方向1024の両方を含む平面として定義され、(B)「方位面」1026は「垂直面」に垂直である。
【0094】
方向が「方位角」の場合は、方向は0又は180度の方位角値を有するものであって、これは垂直面内にある。
【0095】
方向が「略0度方位」である場合、これは、方向の方位角値が−a度と+a度の間にあることを意味し、aは正の数であり、aの値は多くとも20度又は多くとも15度又は多くとも10度又は多くとも5度である。
【0096】
方向が「実質的に180度方位」である場合、これは、方向の方位角が180−a度〜180+a度の間にあることを意味し、aは正の数であり、aの値は多くとも20度又は多くとも15度又は多くとも10度又は多くとも5度である。
【0097】
方向が「実質的に方位角」であるとき、その方向は「略0度の方位」又は「略180度方位」のいずれかである。
【0098】
2つの方向が「方位に対して実質的に反対の方向」である場合、これは、第1方向の方位角値と第2方向の方位角値との差が180−a度や180+a度であり、aは正の数であり、aの値は多くとも20度又は多くとも15度又は多くとも10度又は多くとも5度である。
【0099】
2つの方向が実質的に同じ方位角値を有する場合、当該2つの方向の方位角値の差の絶対値は多くともaであり、aは正の数であり、aの値は多くとも20度又は多くとも15度又は多くとも10度又は多くとも5度である。
【0100】
図3を参照すると、(1)方向1020Aの仰角値と(2)方向1020Bの仰角値との間の差の絶対値は、非ゼロ、例えば、少なくとも10度又は少なくとも15度又は少なくとも20度、及び/又は、多くとも80度又は多くとも70度又は多くとも60度である。
【0101】
同様に、図3Bに示すように、(1)方向1020Cの仰角値と方向1020Dの仰角値との間の差の絶対値は非ゼロであり、例えば少なくとも10度又は少なくとも15度又は少なくとも20度、及び/又は、多くとも80度又は多くとも70度又は多くとも60度である。
【0102】
図3Aに示すように、整列されたケラチン質繊維812は、以下のように第1及び第2光散乱測定を受ける。ここで、(1)各測定では、それぞれの光線は、整列されたケラチン繊維810に第1及び第2入射方向1020A、1020Bで入射し、(2)第1入射方向1020Aは略0度の方位であり、(3)第2入射方向1020Bは略180度の方位角である。非限定的な例としては、両方の散乱測定において、散乱光は、収集位置1040に位置する共通の光収集装置によって収集される。
【0103】
図3Bに示すように、整列されたケラチン質繊維812は、以下のように第1及び第2光散乱測定を受ける。ここで、(1)各測定では、それぞれの光線は、整列したケラチン繊維810に第1及び第2入射方向1020C、1020Dで入射し、(2)第1入射方向1020Cは略0度方位であり、(3)第2入射方向1020Dは略0度の方位角である。非限定的な例としては、両方の散乱測定において、散乱光は、収集位置1040に位置する共通の光収集装置によって収集される。
【0104】
図4図5A図5Bにおける実験結果の説明)
本発明者らは、図3Aで説明したものと同様のシステムを用いて実験を行った。図4図5に結果を示す。図4に例示される毛髪は、カラーリング処理を受けていない。一方、図5に例示される毛髪は、カラーリング処理を受けたものである。
【0105】
図4の例では、第1及び第2光散乱測定はそれぞれ、(少なくとも1つの波長、例えば、複数の波長で)毛髪サンプルに対して行われたものである。各実験では、散乱光(例えば、490nm〜500nm範囲の波長)の強度に係る「散乱測定比較関数」SMCF及び/又は「差関数」(例えば、実験の第1及び第2測定における散乱光それぞれの強度間の比や商に関するもの)、を計算している。
【0106】
図4は、(1)複数回の散乱測定を受けた初期毛髪の「毛髪種類」と(2)初期毛髪の物理化学的状態との相関性を示している。本発明においてはこれに限るものではないが、図4の実験は、「スペクトル」測定である。すなわち、各入射方向について、複数の波長での測定値を取得した。図4における各点は、単一の波長における2回の測定によるもので、2回の測定は、第1光散乱測定(すなわち、第1照明方向1020Aからの毛髪を照射する第1LEDによるもの)と、第2光散乱測定(すなわち、第2照明方向1020Bから毛髪を照明する第2LEDによるもの)である。毛髪束の1つのグループについては、複数の波長でのスペクトル測定(すなわち、第1照明方向1020Aでの第1光散乱測定及び第2照明方向1020Bでの第2光散乱測定)は、1次元の「曲がりくねった」曲線として現れる。グループAには3つの曲線があり、グループBには4つの曲線がある。
【0107】
「グループA」の毛髪束は、なんら物理的処理を受けていない(すなわち、予めダメージを受けていない)ものであり、まさに「純粋な天然の」毛髪束であった。グループBの毛髪束はブリーチ処理(すなわち、毛髪にダメージを与える)が施されたものである。グループCの毛髪束は、直毛処理(すなわち、毛髪にダメージを与える)を施されたものである。
【0108】
差関数としてMAX(B/A,A/B)を選択しうる。これがちょうど単一に定まる場合、差関数は相対的に小さくなる。
【0109】
グループAの場合、差関数(比)は約44/25又は1.76であり、グループBの場合、当該比は約54/37又は約1.46であり、グループCの場合、当該比は約40/31又は約1.3であった。これは、ダメージを受けていない毛髪(例えば、グループA)の差関数MAX(B/A,A/B)の値が大きく、よりダメージを受けた毛髪(すなわち、ブリーチ処理又は直毛処理を施された)の差関数の値が小さいことを示している。
【0110】
図5を参照すると、さらなる実験データが以下に提示される。図5に示すように、単一のサンプルからの単一種類の毛髪は、サンプルのサブセットに分割される。着色する前に、各サブセットの毛髪は、ダメージを受けていないか、又は異なる度合いのダメージを有する。続いて、全ての毛髪は、同じヘアカラー処理(すなわち、染色)を受ける。
【0111】
図5では、各サブセットが異なるデータの点によって表されている。x軸は毛のダメージの度合いを示し、ダメージの大きい毛髪はx軸上で「高い値」を有し、ダメージの小さい毛髪はより少ない値を有する。同様に、図5に示すように、差関数の値が大きいほど、x軸上で「低い値」を有し、差関数の値が小さいほど、x軸上で「高い値」を有する。
【0112】
本発明者らは、各毛髪サンプルについて、色変化の程度(例えば、ハンターLAB色空間等の色空間における色変化ベクトルの大きさを表すdE値)を示す実験を行った。y軸は色の変化に関する。
【0113】
図5に示すように、y軸上で「dE」をグラフ化する代わりに、参照用の毛髪束のグループを考慮した。これは、色空間における毛髪変化ベクトルの大きさが(以下、「dE_ref」)であるものである。つまり、図5では、全ての他の毛髪束について各毛髪束グループのベクトルの大きさdE_hairを示すのではなく、
(dE_non−ref)=(dE_hair)−(dE_ref)
を示している。
【0114】
定義によれば、参照毛髪束グループの値が図5に矢印で示されている。
【0115】
図に示すように、ダメージの度合いとdE_non−refの間には明確な相関がある。一般に、「初期毛髪」に対してダメージが高い値を示すほど、dE_non−refの値が高い値となり、これはダメージを受けた毛髪の方が人工着色料をより吸収しやすいことを示している。
【0116】
つまり、図5のグラフは、ダメージの度合いが大きい初期毛髪の方が、ダメージを受けていないか、又はダメージが最小限である毛髪よりも、人工着色料が効果的に作用する(すなわち、より大きな色の変化を示す)ことを示している。
【0117】
図5及び図6には、以下が新規に開示されている。第1及び第2散乱測定による散乱測定比較関数(又は差関数)が、初期毛髪の「物理的数学的探査法」として機能しうる。これは、少なくとも(1)(2)の何れかを予測しうるものである。(1)候補となる/仮定的なヘアカラー処理(又はヘアカラー処理の成分)に関連する色の変化の度合い、(2)毛髪色を初期色状態から目標色状態に変化させる目的を達成するために必要とされる成分の量又は「負荷」。
【0118】
図8図9の説明)
図8及び図9は、図1及び図2に類似している。しかし、図8及び図9からは、(ダメージを受けた毛髪が人工着色料をより容易に吸収する、つまりより低い濃度でよい場合)毛髪が人工着色料を吸収する力について、毛髪のダメージが及ぼす影響は、全てのカラーリング剤について同じではないという事実がわかる。
【0119】
いくつかのカラーリング剤については、毛髪のダメージ度合い(又は差関数の値)と、染色後の毛髪色について観察される変化との関係は、比較的強いものであることがわかった。すなわち、毛髪がダメージを受けた後は、同じ濃度の毛髪染色剤(同等の染色工程で行われるもの)を用いても、ダメージを受けていない毛髪と比較して毛髪色に変化を大きくもたらす。しかしながら、他のカラーリング剤に関しては、関係は比較的弱いものである可能性がある。これらのカラーリング剤に対しては毛髪色の変化は毛髪のダメージ具合にはそれほど依存しない。したがって、ステップS425'において、いくつかの実施形態では、より大きな程度の初期毛髪ダメージを検出すると、第1及び第2人工着色料の両方の濃度を低減することができる。しかしながら、毛髪のダメージ度合いに応じて毛髪がカラーリング剤を吸収する力の「依存性」が、第2カラーリング剤よりも第1カラーリング剤に対しての方が強く、濃度を下げるにあたり、第1人工着色料の下げる程度の方が、第2人工着色料のそれよりも大きくなりうる。この場合、より大きいダメージの度合いに応じて、第1人工着色料と第2人工着色料の相対濃度比を減少させる。上述のように、第1人工着色料は、(初期毛髪の)毛幹のダメージの度合いに対する依存が第2人工着色料よりも大きい。
【0120】
代替的に又は追加的に、ヘアカラー剤のリフトレベル(すなわち、例えば硫酸塩又はブリーチによる毛髪の白化に関する)を、ダメージの度合いがより大きい場合に減少させうる。つまり、より低いリフトレベル(例えば、より低い濃度又はそれ以下の「強力な」リフティング剤)が必要となりうる。
【0121】
ステップS421'は、ステップS425'で説明したのとは反対の場合である。
【0122】
ステップS461'及びS465'は、ステップS421'及びS425'に類似しているが、特に散乱光の強度差に関する。
【0123】
図10の説明)
別の実施形態では、ヘアカラー手法及び/又は成分の計算に基づいて、複数のヘアカラー剤から、適当なヘアカラー剤がそれぞれ用いられる。非限定的な一例として、ヘアカラー剤の分注装置が図10に示されている。かかる例において、異なるそれぞれのヘアカラー剤の材料が、複数のコンテナ180A〜180Qそれぞれに収容される。ヘアカラー手法及び/又は成分の計算に基づいて、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも5つ又は少なくとも任意の数のヘアカラー剤の材料について、各ヘアカラー剤の材料が所定量、ポート192に配置された分注容器(図示せず)に分注される。
【0124】
いくつかの実施形態では、分注装置は自動であり、分注される量のヘアカラー剤の材料を調整するための電子回路を含む。
【0125】
図11の説明)
上述のように、本発明者らは、複数の光散乱測定から得られた比較関数及び/又は差関数が、毛髪のダメージを定量化するための有用なツールであることを開示している。
【0126】
上記のように、毛髪のダメージは累積的で、ヘアカラー処理前の初期毛髪のダメージが大きいほど、ヘアカラー処理後の最終的な毛髪のダメージが大きくなる。
【0127】
再度述べることとなるが、異なる初期ダメージを有する初期毛髪のセット及びヘアカラー処理のセットについて、データベース及び/又はルックアップテーブル及び/又はトレーニングセットを作成することが可能である。処理後のダメージの量(すなわち、ヘアカラー処理後)は、以下のトレーニングセットについて計算されてもよい。(1)入力として多数の種類の髪、(2)異なる初期毛髪のダメージレベル(例えば、差関数によって定量化される)を有するもの、(3)異なるヘアカラー処理のもの。
【0128】
つまり、最終的な毛髪色状態を予測するだけでなく、最終的なダメージ状態を予測するためのツールが提供される。
【0129】
「最大許容ダメージ閾値」(この閾値は、様々な状況で調整することができる)を定義することも可能である。例えば、差関数の閾値に基づいてもよい。
【0130】
図11は、ヘアカラー方法のフローチャートである。図11に例示するように、ユーザはステップS501で好ましい目標色状態、例えばブロンドの色合い等を提示する。しかし、(1)毛髪の色状態を初期状態から最終状態に変化させ且つ(2)許容される最大閾値未満のダメージ状態を維持するヘアカラー処理がなければ、ステップS521で説明される1つ又は複数のステップ(すなわち、任意の組合せ)が実行されてもよい。
【0131】
「適用可能」という用語は、ヘアカラー剤(例えば、分注装置に存在する成分)の予め定義された成分に関連して定義されうる。それは、生産可能なヘアカラー装置(例えば、分注装置)の予め定義された能力に関して規定することもできる。
【0132】
すなわち、ステップS511において、ダメージ閾値準拠のヘアカラー処理(すなわち、毛髪を初期色状態から目標色状態に変化させると予測されるもの)が適用可能であるかどうかの判定が行われる。毛髪を初期色状態から目標色状態に変化させると予測される処理は1つ又は複数ありうる。
【0133】
各処理について、予測されるダメージ状態(予測ダメージ状態)が計算される。予測ダメージ状態は、例えば上述の、予測される差関数の値によって表され、かかる予測は、前処理及び後処理が行われるトレーニングセットに関連するデータベース、機械学習又は統計技術によってなされうる。
【0134】
かかる「ダメージ準拠の」処理(例えば、予測される処理後の毛髪ダメージレベルが最大値を超えていないもの、例えば、予測される処理後の差関数が最小値を下回らないもの)が存在する場合、分注装置から材料を分注することによってステップS515に進むことが可能である。
【0135】
あるいは、そのような処理が存在しない場合は、以下(1)〜(4)のステップの1つ又は複数(すなわち、任意の組合せ)が実行されてもよい。(1)警告信号が生成されてもよい。(2)ユーザは、ステップS501で提示された好ましい目標色状態と「類似している」別の目標色状態を提示することができる(3)ユーザは、「ダメージ準拠の方法」で毛髪の色状態をその初期状態から代替目標色状態に変化させると予測される仮定的なヘアカラー処理の記述が提示されうる。(4)ユーザは、「ダメージ準拠の方法」で毛髪の色状態を初期状態から別の目標色状態に変化させるための仮定的なヘアカラー処理によって必要とされる成分が提示されうる。
【0136】
一例では、代替目標色状態に関して、ユーザがブロンドヘア及びこれに係る強いリフティング(例えば、ブリーチによってダメージを与える)を所望したとする。これまでにユーザは毛髪ダメージを受けているので、「準拠する処理」がない(適用可能ではない)とする。しかし、ブロンドではなくゴールドに(例えば、ブリーチではなく染色によって)変化させる処理が適用可能であるとする。この場合、「ゴールド」は計算された代替目標色状態である。複数の「代替目標」を分析することもできる(ただし、全て「ダメージ準拠」のヘアカラー処理)。好ましい代替目標とは、代替目標色状態(計算されたもの)と好ましい目標色状態(すなわち、ステップS501参照)の色差(例えば、LAB空間におけるもの)を最小化するものである。
【0137】
図12図14の説明)
本発明に係る実施形態は、このような散乱測定比較関数に基づいて、ヘアカラー剤成分の内容を計算する方法及び装置に関する。代替的に又は追加的に、ヘアカラー剤の材料が、散乱測定比較関数に基づいて計算されてもよい。例えば、図10に示すような分注装置から分注される。
【0138】
本開示では、「負荷」とは量の測定値を指し、例えば質量、モル、濃度、体積、又は任意の他の測定値であり。
【0139】
図12Aは、ヘアカラールーチンのフローチャートである。ステップS201において、ケラチン繊維は第1及び第2光散乱測定を受け、各測定では光線が異なる入射方向からそれぞれ繊維に入射する。
【0140】
ステップS205において、例えば単一波長又は複数波長で(例えば、第1及び第2測定値が「スペクトル」測定値である場合)散乱測定比較関数が計算される。これは、例えば図4に示される(y値)/(x値)のような比率であり、ステップS209において当該関数が分析される。
【0141】
ステップS205及び/又はステップS209の結果は、初期毛髪の散乱測定比較関数SMCP(収集装置に対する所定の方向における散乱光の強度を比較する)と同様でありうる。.
【0142】
ステップS213では、分析の結果に基づいて、ヘアカラー剤成分の内容が計算され、及び/又は成分(例えば、計算されたヘアカラー剤成分にマッチする量又は負荷)が分注される。
【0143】
図12Aのルーチンの一例は、図12Bにフローチャートとして示されている。例えば、「選択される特徴」は、初期毛髪のSMCPの閾値であってもよい。例えば、SMCPのより低い値では、「組成物A」が調製され、SMCPのより高い値で組成物Bが調製されうる。例えば、「組成物A」は「材料X」のより低い負荷を含み、「組成物B」は材料Xのより高い負荷を含みうる。
【0144】
一例では、内容が計算されたヘアカラー成分の少なくとも1つの材料の負荷、及び/又は少なくとも1つの分注された材料の負荷が、計算された散乱測定比較関数によって、少なくとも部分的に決定されうる。
【0145】
「材料」の例には、人工染色剤/カラーリング剤、酸化剤、及びアルキル化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
非限定的な一例(例えば、「比較関数」SCMPの値が比較的低い場合)において、所定量の毛髪カラーリング剤が毛髪色に比較的小さな影響しか及ぼさないという予測手段としてSCMPを使用することができ、毛髪の色を初期値から目標値に変化させるのに必要な所与のdEを達成するために、より多くの量が必要とされうる。
【0147】
反対に、「比較関数」SCMPの値が比較的高い場合、所定量の毛髪カラーリング剤が毛髪色に比較的大きな影響を及ぼすという予測手段としてSCMPを使用することができ、比較的わずかな量のヘアカラーで初期値から目標値に変化させるのに必要な所与のdEを達成する。
【0148】
本発明者らは、複数の材料がヘアカラー剤において使用される状況において、SMCP関数が、毛髪の色変化に対する材料負荷の様々な相対的影響を予測しうること、すなわちSMCPの値が、異なる材料に対して異なる負荷で影響しうることを開示している。このように、SMCPは、必要とされる多数の材料の相対量又は平均分子量を予測するために使用されうる。
【0149】
いくつかの実施形態では、SMCPの値は、要求される目標毛髪色が実現可能ではない可能性があることを示しうる。例えば、目標毛髪色を達成するために必要な処理は毛髪束に副次的なダメージを与えると計算されうる(ステップS251〜S255)。副次的ダメージ量(又は他の付随的な結果パラメータ)が、限界閾値を超えた場合(或いは、適用可能な毛髪処理について、ステップS301の目標毛髪色をユーザの特定のSMCPについて達成することができない場合)、代替目標値を計算して(ステップS263)、例えば、代替目標値をユーザに提示することができ、これは例えば、ハンターLAB値(又は他の色座標)において初期SMCP値によって予測されるように初期の目標値に比べて副次的なダメージがかなり小さいものである。
【0150】
その時点で(例えば、ユーザが代替目標毛髪色で妥協する場合)、ヘアカラー処理により代替目標を達成することが可能でありうる。ステップS209の結果に基づいて、この代替目標を達成するためのヘアカラー処理を算出してもよい。
【0151】
図15は、ヘアカラーの典型的な技術のフローチャートである。ステップS101において、ユーザ目標データが受信され、(例えば、揮発性及び/又は不揮発性のコンピュータ可読媒体に)格納される。通常、ユーザ目標データは、選択した色合いに関連する。例えば、ユーザは、選択された色合いに毛髪を着色することを望んでいる。ステップS105において、ユーザの毛髪特性が測定される。例えば、少なくとも分光式の毛髪読取り装置であって図2又は図4に示すものが使用される。これらの特性は、ステップS109において電子的に分析しうる。図1に示すように、(1)ユーザの毛髪に係る処理前初期状態(例えば、ステップS105で測定され、ステップS109において分析される)及び(2)ユーザ目標データ、に特有の「調整された」毛髪処理を計算しうる。
【0152】
「ユーザ目標」という用語には、通常、目標色に含まれうる。ハンターラボ色空間又は他の色空間における値として表現可能である。目標色に加えて、目標データには、任意の提案された毛髪処理に係る他の所望の特性が含まれていてもよい。例えば、「髪の毛全体」とは対照的な「根のみ」の処理や最大処理時間等である。
【0153】
複数の仮定的又は「候補となりうる」毛髪処理の手法を分析し、考慮することができる。「毛髪処理」とは、少なくとも絶対的又は相対的な量又は「負荷」(すなわち、モル単位で、又は重量又は体積として、又は当該技術分野において既知の他の任意の方法で表される)を含むものである。「ヘアカラー剤」という用語には、人工着色料/染料、酸化剤、アルカリ化剤、又は一時的、半永久的、又は永久的なヘアカラーのための当該分野で使用される他の物質が含まれうる。ヘアカラー剤は、液体、ゲル、マウス、クリーム、固体、粉末、錠剤、又は当技術分野で知られている他の任意の形態を含むが、これらに限定されない任意の相又は形態でありうる。任意選択的に、「毛髪処理」は、処理時間、処理温度、多段階処理又は任意の他の処理パラメータに関するデータをも含む。例えば、毛髪処理は、ヘアカラー剤の複数の異なる組合せの生成物を伴いうる。カラーリング剤混合物及びブリーチ処理混合物を含み、それらは異なる段階で適用される。
【0154】
典型的には、各ユーザの毛髪の具体的特徴は、(例えば、その人の遺伝子型、年齢、環境効果等に基づくもので)非常に個人的であり、潜在的な色合い又は色数も比較的大きくなりうる。毛髪特性に係る初期及び目標といった組合せが無数にあるために、可能性のある候補となる/仮定的な毛髪処理手法の数は、毛髪をその初期状態からステップS101で受信した目標データとマッチする状態に変化させるものであり、毛髪処理手法が効果的(又は最も効果的)であると予測される先験的なものであるとは必ずしも限らない。
【0155】
したがって、初期毛髪を目標色にうまく変化させる処理(又は複数の仮定的な毛髪処理のセット)を決定するために、複数の仮定的な毛髪処理を電子的に分析することが必要な場合がある。
【0156】
これは、ステップS113及びS117において行われる。つまり、ステップS113において、ステップS105で測定された毛髪特性及び特定の毛髪処理の候補について、毛髪に係るその手法の処理後状態が予測される。ステップS117において、この手法処理後状態がユーザ目標データの仕様とマッチするかどうかが電子的に決定される。
【0157】
「毛髪処理」という用語は、毛髪にカラーリング剤(例えば、人工着色料)を導入すること(すなわち、「着色」)に限定されず、ヘアブリーチ処理も含みうる。
【0158】
非限定的な一例では、(1)ステップS105において、1つ又は複数の初期反射スペクトルが測定され、(2)ステップS113において、初期反射スペクトル及び候補の特性から仮定的な処理後反射スペクトルが計算され、仮定的処理後反射スペクトルから色値(例えば、LAB値)が計算される。ステップS117において、この初期毛髪及び候補となる手法特有のLAB値は、ステップS101において受信されたユーザ目標データに関するLAB値と比較される。
【0159】
ステップS121において、ユーザ目標データとマッチする手法が選択される。任意選択的に、例えば、複数の候補となる手法がユーザ目標データとマッチする場合、これらの候補となる手法を分析及び/又はスコア化することができ、それに基づいてより好ましくマッチするヘアカラー手法を選択することができる。
【0160】
ステップS125では、選択されたヘアカラー手法に基づき、ステップS121で選択されたヘアカラー手法の仕様ごとに、複数のヘアカラー剤の材料がそれぞれ分注される。ヘアカラー剤の分注装置の非限定的な一例が図3に示されている。かかる例において、異なるそれぞれのヘアカラー剤の材料が、複数のコンテナ180A〜180Qそれぞれに収容される。ステップS121の結果に基づいて、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも5つ又は少なくとも任意の数のヘアカラー剤について、各ヘアカラー剤の材料が所定量、ポート192に配置された分注容器(図示せず)に分注される。
【0161】
いくつかの実施形態では、分注装置は自動であり、分注される量のヘアカラー剤を調整するための電子回路を含む。
【0162】
本出願の説明及び特許請求の範囲では、動詞のそれぞれが、必ずしも完全なメンバーリストではないことを示すために、「含む」「備える」及び「有する」及びそれらの活用形を使用して、、構成要素、要素、又は動詞の被験者の部分を指す。
【0163】
本明細書で引用した全ての参考文献は、その全体が参考として援用される。参照の引用は、その参照が先行技術であることの承認を構成するものではない。
【0164】
冠詞「1」及び「1つ」は、本明細書において1つ又は複数を指すために使用される。(すなわち、少なくとも1つの)物品の文法的対象物を意味する。例として、「ある要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0165】
用語「含む(including)」は、本明細書において「含むがこれに限定されない」という句を意味するものであり、同義的に使用される。
【0166】
用語「又は」は、文脈上他に明白に示さない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書において使用され、互換的に用いられる。
【0167】
用語「〜のような」は、本明細書では、「限定ではないが、これに限定されない」という語句を意味するように使用され、交換可能に使用される。
【0168】
本発明は、例として提供される本発明の実施形態の詳細な説明を用いて説明されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。記載された実施形態は、異なる特徴を含み、それらの全てが本発明の全ての実施形態で必要とされるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、特徴の一部又は特徴の可能な組み合わせのみを利用する。記載された本発明の実施形態の変形及び記載された実施形態に記載された特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、当業者に思い浮かぶであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15