特許第6803762号(P6803762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803762
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ホールプラグ
(51)【国際特許分類】
   F16J 13/14 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   F16J13/14
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-16831(P2017-16831)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-123900(P2018-123900A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛裕
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−080657(JP,A)
【文献】 実開平03−012029(JP,U)
【文献】 特開2005−207513(JP,A)
【文献】 特開昭61−059067(JP,A)
【文献】 特開2016−191462(JP,A)
【文献】 特開2015−081659(JP,A)
【文献】 実開平03−033265(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に形成されたバーリング孔の円筒部内に挿入される筒状の外周壁部と、
前記外周壁部の挿入方向と反対側の端部側から前記外周壁部の径方向外側で且つ前記外周壁部の挿入方向側へ張り出し、前記バーリング孔の周辺部を覆う環状のフランジ部と、
前記外周壁部から前記径方向外側へ突出し、前記円筒部の先端部に係合する爪部と、
前記外周壁部の内側に架け渡され、前記バーリング孔を塞ぐ閉塞部と、
記外周壁部に設けられ、前記バーリング孔の周縁部と前記挿入方向でオーバーラップし、前記周縁部と当接可能な当接部と、
を有し、
前記当接部は、前記フランジ部の先端部よりも前記挿入方向と反対側に位置し、前記外周壁部を前記バーリング孔に挿入するときに前記周縁部に当接して前記外周壁部の前記挿入方向の移動を制限する、ホールプラグ。
【請求項2】
前記閉塞部は、前記外周壁部の挿入方向側の端部から前記外周壁部の径方向内側へ張り出す環状の張出部と、前記張出部の内周端部から前記挿入方向と反対側へ延びる筒状の内周壁部と、前記内周壁部の前記挿入方向と反対側の端部間に架け渡され、前記フランジ部の先端部よりも前記挿入方向側に位置する面板部とを備えており、
前記外周壁部の前記挿入方向の中間部には、途中で折れ曲がって前記径方向外側へ向けて張り出す張出部が形成されており、
前記張出部の先端部側が前記当接部とされている、請求項1に記載のホールプラグ。
【請求項3】
前記外周壁部は、前記張出部から前記挿入方向と反対側の端部までの壁部分が前記挿入方向に延びている、請求項2に記載のホールプラグ。
【請求項4】
前記内周壁部と前記外周壁部との間には、前記内周壁部と前記外周壁部とを連結する補強リブが前記外周壁部の周方向に間隔をあけて形成されている、請求項2又は請求項に記載のホールプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、取付部材に形成された貫通孔に取り付けられるホールプラグが開示されている。このホールプラグは、貫通孔に挿入される筒状の外周壁部と、外周壁部の挿入方向と反対側の端部から外周壁部の径方向外側へ張り出してバーリング孔の周辺部を覆う環状のフランジ部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5844207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたホールプラグを取付部材に形成されたバーリング孔に取り付ける場合、ホールプラグをバーリング孔に必要以上に強く押し込むと、フランジ部が変形してバーリング孔内に引き摺り込まれ、ホールプラグがバーリング孔を突き抜けてしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、取付部材に形成されたバーリング孔への取り付け時に、バーリング孔を突き抜けるのを抑制したホールプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のホールプラグは、取付部材に形成されたバーリング孔の円筒部内へ挿入される筒状の外周壁部と、前記外周壁部の挿入方向と反対側の端部側から前記外周壁部の径方向外側へ張り出し、前記バーリング孔の周辺部を覆う環状のフランジ部と、前記外周壁部から前記径方向外側へ突出し、前記円筒部の先端部に係合する爪部と、前記外周壁部の内側に架け渡され、前記バーリング孔を塞ぐ閉塞部と、前記フランジ部及び前記外周壁部の少なくとも一方に設けられ、前記バーリング孔の周縁部と前記挿入方向でオーバーラップし、前記周縁部と当接可能な当接部と、有している。
【0007】
第1態様のホールプラグでは、閉塞部を押して、外周壁部をバーリング孔の円筒部内へ挿入すると、爪部が円筒部の先端部に係合する。これにより、ホールプラグのバーリング孔からの抜けが防止される。また、爪部の係合状態では、閉塞部がバーリング孔を塞ぐと共にフランジ部がバーリング孔の周辺部を覆うため、ホールプラグによってバーリング孔が目隠しされる。
ここで、上記ホールプラグをバーリング孔に挿入するときに、必要以上に閉塞部を強く押し込むと、フランジ部が変形してバーリング孔内に引き摺り込まれそうになる。しかし、上記ホールプラグでは、外周壁部の挿入方向でバーリング孔の周縁部とオーバーラップする当接部がバーリング孔の周縁部と当接する。これにより、取付部材に形成されたバーリング孔への取り付け時に、上記ホールプラグがバーリング孔を突き抜けるのが抑制される。
【0008】
本発明の第2態様のホールプラグは、第1態様のホールプラグにおいて、前記外周壁部の前記挿入方向の中間部には、途中で折れ曲がって前記径方向外側へ向けて張り出す張出部が形成されており、前記張出部の先端部側が前記当接部とされている。
【0009】
第2態様のホールプラグでは、外周壁部の挿入方向の中間部に形成された径方向外側へ向けて張り出す張出部の先端部側を当接部としていることから、例えば、ホールプラグにバーリング孔の周縁部と当接するための当接部を専用部位として形成する構成と比べて、ホールプラグの形状を大幅に変更する必要がなく、設計コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、取付部材に形成されたバーリング孔への取り付け時に、バーリング孔を突き抜けるのを抑制したホールプラグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るホールプラグを斜め上方から見た斜視図である。
図2図1に示されるホールプラグの2−2線断面図である。
図3図1に示されるホールプラグの3−3線断面図である。
図4図1に示されるホールプラグを取付部材のバーリング孔に取り付けた状態を示すホールプラグの挿入方向に沿った断面図(図2に対応する断面の一部拡大図)である。
図5図1に示されるホールプラグを取付部材のバーリング孔に挿入し過ぎた状態を示すホールプラグの挿入方向に沿った断面図(図2に対応する断面の一部拡大図)である。
図6】本発明のその他の実施形態に係るホールプラグの断面図(図4に対応する断面図)である。
図7】本発明のその他の実施形態に係るホールプラグの断面図(図4に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態に係るホールプラグ20を図1図5を用いて説明する。
本実施形態のホールプラグ20は、ブラケット10に形成されたバーリング孔12を閉塞する部材である。なお、図1図5の一部の図面に示す矢印Xは、ホールプラグ20(後述する外周壁部22)の挿入方向(以下、適宜「プラグ挿入方向」と記載する。)を示し、矢印Yは、ホールプラグ20(後述する外周壁部22)の径方向(以下、適宜「プラグ径方向」と記載する。)を示し、符号CLは、ホールプラグ20(外周壁部22)の中心線を示している。なお、プラグ径方向内側とは、プラグ径方向に沿って中心線CLに近い側を指している。プラグ径方向外側とは、プラグ径方向に沿って中心線CLから遠い側を指している。
【0013】
図4に示されるように、ブラケット10は、例えば、車両のパネル部材(ボディパネルなど)14に取り付けられる部材である。このブラケット10は、板状部10Aを有しており、この板状部10Aにバーリング孔12が形成されている。また、ブラケット10は、パネル部材14に形成された貫通孔16にバーリング孔12を合わせた状態で、パネル部材14の内面14Aに取り付けられている。なお、図4に示されるように、バーリング孔12の径D1は、貫通孔16の径D2よりも小径とされている。本実施形態のブラケット10は、本発明における取付部材の一例である。
【0014】
本実施形態では、ホールプラグ20がブラケット10のバーリング孔12に取付けられた状態(図4図示状態)においては、パネル部材14の貫通孔16の周辺部までが後述するフランジ部24によって覆われている。
【0015】
図1図3に示されるように、ホールプラグ20は、外周壁部22と、フランジ部24と、爪部26と、閉塞部28と、当接部30と、を備えている。なお、本実施形態のホールプラグ20は、弾性変形可能な樹脂で構成された一体成型品である。
【0016】
外周壁部22は、筒状(本実施形態では、円筒状)とされ、パネル部材14の貫通孔16及びブラケット10のバーリング孔12に挿入されるようになっている。なお、本実施形態でいう円筒状には、断面形状が真円及び楕円のものが含まれる。また、本実施形態でいう円環状には、真円及び楕円のものが含まれる。
【0017】
フランジ部24は、外周壁部22のプラグ挿入方向と反対側の端部22Aからプラグ径方向外側へ張り出しており、円環状に形成されている。本実施形態のフランジ部24は、先端部24Aにおける径D3がパネル部材14の貫通孔16の径D2よりも大径とされている。このため、ホールプラグ20をブラケット10のバーリング孔12に取り付けた状態では、フランジ部24によってパネル部材14の貫通孔16の周辺部が覆われる。
【0018】
爪部26は、外周壁部22のプラグ挿入方向側の端部22B側からプラグ径方向外側で且つプラグ挿入方向と反対側へ向けて突出している。また、爪部26は、外周壁部22の外周に沿って連続して形成されており、円環状とされている。この爪部26の先端における径D4は、バーリング孔12の径D1よりも大径とされている。言い換えると、爪部26の先端は、プラグ挿入方向でバーリング孔12の円筒部12Aの先端部24Aとオーバーラップしている。ここで、ホールプラグ20(外周壁部22)のバーリング孔12への挿入時には、爪部26の外周面がバーリング孔12の円筒部12Aの内周面に当接し、爪部26が縮径方向に変形する。縮径状態の爪部26が円筒部12Aの先端部12Bから抜け出ると、爪部26は元の状態に復元する。そして、爪部26の先端における径D4がバーリング孔12の径D1よりも大径とされていることから、ホールプラグ20にバーリング孔12に対して抜去方向(プラグ挿入方向と反対方向)の力が作用すると、爪部26が先端部12Bに係合(当接)して、抜去方向の移動が制限される。
【0019】
閉塞部28は、外周壁部22の内側に架け渡されており、外周壁部22の内側を閉塞している。このため、ホールプラグ20をブラケット10のバーリング孔12に取り付けた状態では、閉塞部28によってバーリング孔12が塞がれる。この閉塞部28は、外周壁部22のプラグ挿入方向側の端部22Bからプラグ径方向内側へ張り出す円環状の張出部32と、張出部32の内周端部からプラグ挿入方向と反対側へ延びる円筒状の内周壁部34と、内周壁部34のプラグ挿入方向と反対側の端部間に架け渡された面板部36とを備えている。
【0020】
また、内周壁部34と外周壁部22との間には、両者を連結する補強リブ38が外周壁部22の周方向に間隔をあけて形成されている。ここで、ホールプラグ20をバーリング孔12に挿入する際には、面板部36を押し込むことで、ホールプラグ20をバーリング孔12に挿入しやすい。また、内周壁部34と外周壁部22とが補強リブ38で連結されているため、面板部36を押し込む挿入力を外周壁部22へ効率よく伝達することができる。またさらに、補強リブ38に支持されることで、外周壁部22がプラグ径方向内側へ倒れ込むのが抑制される。
【0021】
また、外周壁部22のプラグ挿入方向の中間部(プラグ挿入方向で端部22Aと端部22Bの間の部分)には、途中で折れ曲がってプラグ径方向外側へ向けて張り出す円環状の張出部40が形成されている。この張出部40の先端部側(外周端部側)が当接部30とされている。この張出部40の先端部側は、バーリング孔12の周縁部12Cとプラグ挿入方向でオーバーラップしている。
【0022】
次に、本実施形態のホールプラグ20の作用効果について説明する。
ホールプラグ20では、閉塞部28の面板部36を押して、外周壁部22をバーリング孔12の円筒部12A内へ挿入すると、爪部26が円筒部12Aの先端部12Bに係合する。これにより、ホールプラグ20のバーリング孔12からの抜けが防止される。また、爪部26の係合状態では、閉塞部28がバーリング孔12を塞ぐと共にフランジ部24がバーリング孔12の周辺部及び貫通孔16の周辺部を覆うため、ホールプラグ20によってバーリング孔12及び貫通孔16が目隠しされる。
ここで、ホールプラグ20をバーリング孔12に挿入するときに、必要以上に閉塞部28を強く押し込むと、フランジ部24の裏面24Bがバーリング孔12の円弧状に湾曲した周縁部12Cに当接してフランジ部24が縮径方向に変形する。この縮径変形により、フランジ部24がバーリング孔12内に引き摺り込まれそうになる。しかし、ホールプラグ20では、バーリング孔12の周縁部12Cとプラグ挿入方向でオーバーラップする当接部30(張出部40の先端部側)がバーリング孔12の周縁部12Cと当接する。これにより、ホールプラグ20は、例えば、外周壁部22に張出部40を設けない構成と比べて、ブラケット10に形成されたバーリング孔12への取り付け時に、バーリング孔12を突き抜けるのが抑制される。
【0023】
また、ホールプラグ20では、外周壁部22の中間部に形成された張出部40の先端部側を当接部30としていることから、例えば、ホールプラグ20にバーリング孔12の周縁部12Cと当接するための当接部を専用部位として形成する構成と比べて、ホールプラグ20の形状を大幅に変更する必要がなく、設計コストを抑制できる。
【0024】
またさらに、ホールプラグ20では、外周壁部22の張出部40から端部22Aまでの壁部分22Cがプラグ挿入方向に延びているため、当接部30がバーリング孔12の周縁部12Cに当接した際に、挿入力に対して逆向きに突っ張る。このため、フランジ部24がバーリング孔12内に引き摺り込まれるのをさらに抑制することができる。
【0025】
(その他の実施形態)
前述の実施形態では、張出部40の先端部側を当接部30としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図6に示されるホールプラグ50のように、外周壁部22に張出部40を形成する代わりに、外周壁部22の外周面からプラグ径方向外側へ向けて張り出す円環状の張出部52を設ける構成としてもよい。この張出部52は、前述の実施形態の張出部40と同様に、プラグ挿入方向でバーリング孔12の周縁部12Cとオーバーラップしている。また、例えば、図7に示されるホールプラグ60のように、フランジ部24の裏面24Bからプラグ挿入方向へ向けて張り出す円筒状の張出部62を設ける構成としてもよい。この張出部62は、前述の実施形態の張出部40と同様に、プラグ挿入方向でバーリング孔12の周縁部12Cとオーバーラップしている。さらに、例えば、外周壁部22に張出部52を設けると共にフランジ部24に張出部62を設ける構成としてもよい。
【0026】
前述の実施形態では、外周壁部22の端部22Aからフランジ部24が張り出しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、外周壁部22の端部22A側(外周壁部22のプラグ挿入方向の中央よりも端部22A側)からフランジ部24が張り出していてもよい。
【0027】
前述の実施形態では、外周壁部22の端部22B側(外周壁部22のプラグ挿入方向の中央よりも端部22B側)から爪部26が突出しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、外周壁部22の端部22Bから爪部26が突出していてもよい。
また、前述の実施形態では、爪部26を円環状に形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。爪部26を外周壁部22の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成する構成としてもよい。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
10 ブラケット(取付部材)
12 バーリング孔
12A 円筒部
12B 先端部
12C 周縁部
20 ホールプラグ
22 外周壁部
22A 端部(挿入方向と反対側の端部)
22B 端部(挿入方向側の端部)
24 フランジ部
26 爪部
28 閉塞部
30 当接部
40 張出部
50 ホールプラグ
52 張出部
60 ホールプラグ
62 張出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7