(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的な実施の形態を説明するのに先立って、この発明の投射光学系と画像表示装置とを説明する。
上記の如く、この発明の投射光学系は、屈折光学系と反射光学系とを有し、屈折光学系は
6群のレンズ群を有し、反射光学系は「屈折力を有する反射光学素子」
を1個有する。
屈折光学系は縮小側から拡大側へ向かって順次、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ
群、第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群を配してなり、第1レンズ群は「屈折光学系中において最も強い正の屈折力」を有し、第3レンズ群は「屈折光学系中において第1レンズ群に次いで強い正の屈折力」を有する。
そして、遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際して、第2レンズ群が縮小側へ移動し、第3レンズ群が「画像形成部に表示される画像に対して固定」もしくは拡大側へ移動し、第3レンズ群より拡大側の1以上のレンズ群が「移動レンズ群」として縮小側に移動する。「移動レンズ群」は、フォーカシングに際して移動するレンズ群であり、第2レンズ群も移動レンズ群であり、第3レンズ群も「画像に対して固定されない」場合には移動レンズ群である。
なお、付言すると、屈折光学系において「縮小側」とは「画像形成部の側」である。
【0009】
投射距離を変化させて、被投射面上に良好な拡大投影を得るには「像面位置を高度に補正する」必要があり、屈折光学系におけるレンズ群の屈折力配分と、フォーカシングに際して変位する移動レンズ群の構成が重要になる。
一般的には、フォーカス群へ入射する各画角の光線を「なるべく分離する」ような構成により像面位置の高度な補正を行うことが知られているが、この方法では、屈折光学系における最も拡大側のレンズの外径が大きくなり易い。
【0010】
この発明の投射光学系では、第3レンズ群を「第1レンズ群の次に強い正の屈折力」を有する群としたことで、主に像面補正を担っている「第3レンズ群よりも拡大側に配置されたレンズ群」への入射光線の高さを抑えることを可能とし、拡大側レンズの外径が大きくなるのを有効に軽減する。
さらに、遠距離から近距離へのフォーカシングに際し、第2レンズ群とともに「第3レンズ群よりも拡大側にある移動レンズ群」を縮小側に移動させることにより、各投射距離における像面の補正を効率的に行っている。
第2レンズ群を縮小側に移動させることにより「第3レンズ群よりも拡大側の移動レンズ群に入射する光線の角度」を投射距離に応じて大きく変えることができ、第3レンズ群よりも拡大側のレンズ群における像面位置の補正を効率的に行うことが可能となる。
従って、拡大側にあるレンズの外径を大きくすることなく、像面位置の高度な補正が可能となる。
また「第3レンズ群より拡大側の移動レンズ群」を縮小側に移動させることにより、像面位置のより高度な補正が可能となり、各投射距離において、投影画像の隅まで良好な解像性能を実現できる。
【0011】
なお、第3レンズ群を拡大側に移動させることにより「より高度な像面位置補正」が可能となるが「第3レンズ群より拡大側の移動レンズ群を縮小側に移動させることにより、像面位置の高度な補正」を実現できているので、第3レンズ群は「画像に対して固定」することによりフォーカシング機構の簡略化を図ることもできる。
【0012】
上記構成の投射光学系では、屈折光学系における「拡大側にあるレンズ」のレンズ径の増大が抑制されるので、屈折光学系の全長を長くしても「反射光学系による反射光束が屈折光学系に干渉しにくく」なり、各投射距離において高い解像性能を実現できる。
【0013】
なお、この発明の投射光学系は、拡大側のレンズ径を小型化できるため、拡大側のレンズに「耐熱性の高いガラスモールドレンズ」を採用することが可能となり、高輝度な画像表示装置においても、熱による性能劣化を抑制可能とすることができる。また、前述のように、結像光線とレンズもしくはメカ部品との干渉も抑制されるため、反射光学素子と屈折光学系との距離を縮めることも可能となり、投射光学系ひいては画像表示装置(プロジェクタ)の小型化に大きく寄与することができる。
【0014】
この発明の投射光学系は、上記構成において、以下の条件(1)、(2)の少なくとも一方を満足することが好ましい。
(1) 1.0 <|F2/F3|< 30.0
(2) 0.1 <FL/F3< 1.0
これら条件(1)、(2)において、F2、F3、FLの意味するところは、以下の通りである。
F2:第2レンズ群のd線における焦点距離
F3:第3レンズ群のd線における焦点距離
FL:投影画像が最大となる合焦状態での屈折光学系のd線における焦点距離 。
【0015】
条件(1)は屈折光学系中における第2レンズ群と第3レンズ群との屈折力の比の好適な範囲を規制する条件である。
パラメータ:|F2/F3|が条件(1)の下限値を下回ると、第3レンズ群の屈折力が第2レンズ群の屈折力に対して相対的に小さくなるため、第3レンズ群よりも拡大側に配置されたレンズ群への光線高さが大きくなり、拡大側レンズの外径が過大となり易く、投射光学系の小型化や高性能化が困難となり易い。
パラメータ:|F2/F3|が条件(1)の上限値を上回ると、第3レンズ群の正の屈折力が過大となり、小型化や高性能化に対しては有利となるが、製造誤差感度の上昇を招いたり、像面位置の制御が困難となったりし易い。
【0016】
パラメータ:|F2/F3|は、より好ましくは、以下の条件(1A)を満足することが好ましい。
(1A) 2.0 <|F2/F3|< 25.0 。
【0017】
条件(2)は屈折光学系における、第3レンズ群の屈折力の「屈折光学系中での適切な範囲」を規制する条件である。
条件(2)のパラメータ:FL/F3が、条件(2)の下限値を下回ると、第3レンズ群の正の屈折力が小さくなり、第3レンズ群の拡大側に向かう結像光束に対する「発散角抑制機能」が弱くなるため、第3レンズ群よりも拡大側に配置されたレンズ群への光線高さが過大になり易く、拡大側のレンズの大径化を齎し易くなり、投射光学系の小型化や高性能化が困難になりやすい。
条件(2)のパラメータ:FL/F3が、条件(2)の上限値を上回ると、第3レンズ群の正の屈折力が過大となり、小型化や高性能化に対しては有利となるが、製造誤差感度の上昇を招いたり、像面位置の制御が困難となったりし易い。
パラメータ:FL/F3は、より好ましくは、以下の条件(2A)を満足することが好ましい。
(2A) 0.15 <FL /F3 < 0.5
第3レンズ群より拡大側に配置される移動群の少なくとも1つは負の屈折力を有することが望ましい。このようにすることにより像面位置の「より高度な調整」が容易となる。
【0018】
また「最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有する」ようにすると、投射光学系の広角化を図ることが容易になる。また、反射光学系の鏡面上での光線が分離され易く、各画角の像面の高度な調整が可能となり、所謂「超短投射距離」が可能となる。
さらに、前記最も拡大側のレンズ群を「フォーカシングにおいて、画像表示素子に対して固定」であるようにすると、フォーカシング機構を簡略化でき、拡大側の鏡胴径を細くすることが可能となるため、光線と鏡筒との干渉を避けることが容易となり、投射光学系ひいてはプロジェクタの小型化、高性能化に寄与することができる。
【0019】
第3レンズ群よりも拡大側に「フォーカシングにおいて移動するレンズ群(移動レンズ群)」を2群有するようにすると、これらの移動により、各画角の像面を「より高度」に調整でき、超短投射距離の実現が容易となる。
【0020】
屈折光学系とともに投射光学系を構成する反射光学系の「屈折力を持つ反射光学素子」としては「凹面ミラー」を好適に用いることができる。反射光学素子は1個に限らず、複数個用いることもできる。また「光路を屈曲する平面鏡」を投射光学系内に適宜に配置できる。
【0021】
投射光学系は、屈折光学系により「画像表示素子の画像形成部に表示される画像と共役な像」を、屈折光学系と反射光学素子の間に形成する構成とすることができる。
画像表示素子の画像形成部に表示される画像と共役な像を「中間像」として形成することにより、反射光学素子を小さくでき、また、歪曲等の効率良い補正が可能となる。
【0022】
屈折光学系を構成する全てのレンズは「ガラスレンズ」とすることができる。
この発明の画像表示装置(プロジェクタ)は、画像表示素子の画像形成部に表示される画像を投射光学系により被投射面上に拡大投影して画像表示する画像表示装置であって、上に説明した投射光学系を用いるものである。
この画像表示装置において、反射光学素子として凹面ミラーを用いる場合、条件:
(3) TR<0.35
(4) 10 < OAL/Y < 30
の少なくとも一方を満足することが好ましい。
条件(3)におけるパラメータ:TRは、凹面ミラーと結像光線との交点のうち「被投射面と垂直な方向において被投射面までの距離が最大となる交点P」から被投射面までの被投射面に垂直な方向における距離:Lと、被投射面に投射される最大画像の横幅:Wとの比:TR(=L/W)である。
条件(4)のパラメータ:OAL/YにおけるOAL、Yは以下の如くである。
【0023】
OAL:凹面ミラーと結像光線との交点のうち、被投射面と垂直な方向において前記被投射面までの距離が最大となる交点Pと画像形成部までの「画像形成部に垂直な方向」における距離である。
Y:屈折光学系の光軸と、画像形成部との距離の最大値である。
補足すると、屈折光学系は複数の光軸対称なレンズを有する。これら光軸対称なレンズの複数個が共通の光軸を共有するときに、この共有された光軸を「屈折光学系の光軸」と称する。屈折光学系を構成する複数のレンズのうちには、他のレンズと「光軸を共有しないレンズ」が1以上存在してもよく。このような場合には、このようなレンズ以外の「光軸を共有するレンズ」により共有された光軸を「屈折光学系の光軸」とする。
【0024】
上記パラメータ:TRが条件(3)を満足することにより、距離:Lにより規制される投射距離に対して、大きなサイズの投影画像を表示でき、超短距離投射が容易に実現可能である。
パラメータ:TRは、以下の条件(3A)を満足することがより好ましい。
(3A) TR<0.30
また、上記パラメータ:OAL/Yが、条件(4)
を満足することにより、画像形成部から凹面ミラーまでの長さ(これは、画像表示装置のサイズを規制する。)に対して、大きなサイズの投影画像を表示でき、超短距離投射が容易に実現可能である。
パラメータ:OAL/Yは、以下の条件(4A)を満足することがより好ましい。
【0025】
(4A) 10 <OAL/Y< 25
以下に、画像表示装置と投射光学系の実施の形態を4例説明する。
図1、
図8、
図13、
図19はそれぞれ、画像表示装置の実施の形態を説明図的に示している。これらの実施の形態において用いられる投射光学系は、図の順序で、後述する投射光学系の具体的な実施例1ないし4に対応する。
繁雑を避けるため、
図1、
図8、
図13、
図19において、混同の恐れが無いと思われるものについて符号を共通化する。
これらの図において、符号Hは画像表示装置を示す。符号LVは画像表示素子の「画像形成部」、符号LSは「照明光学系」、符号Fは「透明平行平板」は、符号Prは「プリズム」を示し、符号SCは「非投射面」の実態をなすスクリーンを示している。透明平行平板Fは、画像形成部LVのカバーガラス(シールガラス)を想定している。
図1における符号11、
図8における符号21、
図13における符号31、
図19における符号41はそれぞれ「屈折光学系」を示し、
図1における符号12、
図8における符号22、
図13における符号32、
図19における符号42はそれぞれ「反射光学系」を示す。
さらに、
図1における符号13、
図8における符号23、
図13における符号33、
図19における符号43はそれぞれ「防塵ガラス」を示す。
【0026】
また、
図1、
図8、
図13、
図19における符号Sは、屈折光学系中に配置された「開口絞り」を示す。またこれらの図において符号OALや符号Lで示す距離は、条件(3)、(4)に関連して上に説明した距離の具体例である。
【0027】
画像表示素子は「DMD」、「透過型液晶パネル」、「反射型液晶パネル」等のライトバルブを適宜に用いることができ、その画像形成部LVに画像が表示される。
照明光学系LSは、画像表示素子が自ら発光する機能を持たない場合に、画像形成部LVに形成された画像を照明するためのものであり、画像表示素子が「発光素子の2次元アレイ」のように「生成させた画像を発光させる機能を有する自己発光方式」のものを利用する場合は不要である。
【0028】
以下に説明する実施形態例では、画像表示素子として「DMD」を想定し、DMDにおける2次元的なマイクロミラーアレイにおける個々のマイクロミラーの傾きにより形成される画像を、照明光学系LSからの照明光で照明する。照明光学系LSとしては画像形成部LVを効率よく照明する機能を有するものが好ましく、また、照明をより均一にするため、例えばロッドインテグレータやフライアイインテグレータを用いることが出来る。
【0029】
照明の光源としては、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LEDなどの白色光源を用いることができ、また単色発光LED、LDなどの単色光源も用いることが出来る。
【0030】
以下に実施の形態を説明する画像表示装置はスクリーンSCに「カラー画像」を投射するものが想定されており、3個のDMDが画像表示素子として用いられ、これら3個のDMDの画像形成部に、カラー画像の赤色成分画像、緑色画像成分、青色画像成分が形成されて表示され、これらの色画像成分が、対応する色の照明光により照明される。
各照明光は、各色画像成分により変調され、プリズムPrにより「色合成」され、結像光束として投射光学系に入射する。
結像光束は、屈折光学系11、21、31、41を透過し、反射光学系12、22、32、42により反射され、防塵ガラス13、23、33、43を介してスクリーンSCに向かって照射され、スクリーンSC上にカラーの拡大画像を結像する。
【0031】
「投射光学系の実施例」
以下、
図1、
図8、
図13、
図19に実施の形態を示した画像表示装置に用いられている投射光学系の具体例を実施例1ないし4として説明する。
これら実施例1ないし4の投射光学系は、反射光学系として「1枚の凹面ミラー」を用いている。これらの実施例に用いられている屈折光学系11、21、31、41はいずれも複数の光軸回転対称なレンズで構成され、すべてのレンズは図中に示すように「光軸を共有」している。
図1、
図8、
図13、
図19に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を設定する。X軸は図面に直交する方向であり、Z軸は上記光軸に平行な方向で、Y軸はX、Z両軸に直交する方向である。図に示された画像形成部LVとスクリーンSCとは「XY面」に平行である。
【0032】
凹面ミラー12(22、32、42)と光線との交点のうち、スクリーンSCと垂直方向(Z軸の方向)の距離が最大となる点PとスクリーンSCとの光軸方向(Z軸方向)の距離:Lを「投射距離:L」と称する。また、点Pと画像形成部LVとの距離:OALを「光学全長:OAL」と称する。
【0033】
ここで、
図2を参照して画像形成部LVにつき説明すると、画像形成部LVはX方向に長い矩形形状であり、画像形成部中心は、Y方向において、屈折光学系の「光軸」からシフトしている。図における「光軸」と画像形成部LVとの距離のうちで最大になる距離が条件(4)における「Y」であり、この距離「Y」は、Y方向とは関わりない。
画像形成部の仕様は、以下に説明する実施例1ないし4において共通であり、以下の通りである。
ドットサイズ:5.4μm
横方向(X方向)長さ:14.6664mm
縦方向(Y方向)長さ:8.2512mm
光軸から画像形成部中心へのY方向の距離(シフト量):5.5256mm
実施例1ないし4とも、屈折光学系を通った光は「画像形成部LVに形成された画像に共役な中間像」を反射ミラーよりも画像形成部LV側に、空間像として形成する。
中間像は平面像である必要はなく、実施例1ないし4においては「曲面像」として結像している。中間像を「最も拡大側に配置された凹面ミラーにより拡大投影」し、スクリーンSCに結像させる。中間像は像面湾曲・歪曲を持つが、これらは「凹面ミラーに非球面を用いる」ことにより補正出来る。従って、屈折光学系の収差補正の負担が減り、設計の自由度が増し、小型化等に有利となる。
凹面ミラーの面形状は実施例1ないし4において「非球面係数が偶数次の非球面」としているが「非球面係数が奇数次の非球面」や「自由曲面」としてもよい。
【0034】
凹面ミラーとスクリーンとの間に配置された防塵ガラス13、23、33、43は「平行平板ガラス」であるが、これに限らず、曲率を有するものや屈折力をもつレンズ形状のものを用いることもできる。実施例1ないし4において、防塵ガラスはいずれも、Y軸方向に対して垂直ではなく傾けて配置しているが、傾きの角度は任意でよく、Y軸方向に対して直交してもよい。
実施例1ないし4は、投射距離として、基準の投射距離での拡大画像のサイズ(X方向)を100インチ、近距離でのサイズを85インチ、遠距離でのサイズを140インチ(実施例2)もしくは150インチ(実施例1、3および4)とし、これらのサイズをフォーカシングにより変化させるものである。
【0035】
実施例1、2、3、4の投射光学系における屈折光学系のレンズ配置と、フォーカシングによるレンズ群の変位の様子を、
図3、
図9、
図14、
図20に示す。これらの図において符号IないしIVは「第1レンズ群ないし第6レンズ群」を示す。即ち、実施例1ないし4とも、屈折光学系は6群(N=6)のレンズ群で構成されている。
【0036】
実施例に関する以下の説明において、記号の意味は以下の通りである。
f:全系の焦点距離
NA:開口数
ω:半画角(deg)
R:曲率半径(非球面にあっては近軸曲率半径)
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数
K:非球面の円錐定数
Ai:i次の非球面定数
C:近軸曲率(近軸曲率半径の逆数)
非球面の形状は、近軸曲率:C、光軸からの高さ:H、円錐定数:K、各次数の非球面係数:Aiを用い、Xを「光軸方向における非球面量」として、周知の式:
X=CH
2/[1+√(1−(1+K)C
2H
2)]+ΣAiH
i
により表し、C、K、Aiを与えて形状を特定する。なお、長さの次元を有する量に関して、特に断らない限り単位は「mm」である。
【0037】
「実施例1」
図1に示した画像表示装置の投射光学系である実施例1は、屈折光学系11と反射光学系12とを有する。
図3に示すように、屈折光学系11は、縮小側(物体側)から拡大側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Iと、正の屈折力を有する第2レンズ群IIと、正の屈折力を有する第3レンズ群IIIと、正の屈折力を有する第4レンズ群IVと、負の屈折力を有する第5レンズ群Vと、負の屈折力を有する第6レンズ群VIと、を
配してなり、投射距離の変更に対するフォーカシングは、遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際し、第2レンズ群II、第4レンズ群IV、第5レンズ群Vが縮小側(画像形成部LV側)に移動し、第3レンズ群IIIが拡大側に移動する。第1レンズ群I、第6レンズ群VIは、フォーカシングに際して移動しない。
このような「フォーカシング構成」と、第3レンズ群の正の屈折力を適切にすることにより「第3レンズ群IIIよりも拡大側」での光線の広がりを抑えつつ各画角、特に画面周辺部の像面を高度に補正することができている。また、このフォーカス方式により、各画角の像面を高度に補正することが可能となるため、信頼性の高いガラスモールド非球面レンズも用いることが可能となっている。
【0038】
以下に、投射光学系の実施例1のデータを示す。
開口数:0.22273
実施例1のデータを表1に示す。一番左側の欄に示す面番号は、画像形成部LVを面番号1とし、以下、透明平行平板F、プリズムPrの面を面番号2〜5としている。面番号6が屈折光学系の最も縮小側のレンズ面である。この点は、以下の実施例2〜4においても同様である。
【0040】
「フォーカシングに伴う可変間隔」
近距離、基準距離(基準と表示)、遠距離におけるフォーカシングに伴う可変間隔を表2に示す。
【0042】
「非球面データ」
非球面は、上記データ中の面番号に「*印」を付した面であり(この点は以下の他の実施例でも同様である。)、そのデータを表3に示す。
【0044】
上記の表記において、例えば「2.8853E-10」は、「2.8853×10
-10」を意味する。以下においても同様である。
【0045】
「パラメータ:TRの値」
投射距離に対するパラメータ:TRの値を表4に示す。
【0047】
実施例1において、屈折光学系11の最も拡大側のレンズのレンズ有効径は56mmである。
図4に示した各画角(F1〜F11)に対応したスポットダイアグラムを、
図5から7に示す。各スポットダイアグラムは、スクリーン面での結像特性(mm)を波長:638nm(赤)、550nm(緑)、455nm(青)について示している。良好な結像をしていることがわかる。
【0048】
「実施例2」
実施例2は、
図8に実施の形態を示した画像表示装置における投射光学系の実施例である。実施例2における屈折光学系のレンズ構成とフォーカシングに伴うレンズ群の変位を
図3に倣って、
図9に示す。屈折光学系21は、
図9に示す如く、縮小側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群I、負の屈折力を有する第2レンズ群II、正の屈折力を有する第3レンズ群III、負の屈折力を有する第4レンズ群IV、負の屈折力を有する第5レンズ群V、負の屈折力を有する第6レンズ群IVと、を配してなる。
【0049】
遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際し、第2レンズ群IIと負の第4レンズ群IV、第5レンズ群Vが画像形成部側に移動し、第3レンズ群IIIが拡大側に移動する。第1レンズ群I、第6レンズ群VIは移動しない。
このようなフォーカシング構成で、第3レンズ群IIIの正の屈折力を適切にすることで、第3レンズ群IIIよりも拡大側での光線の広がりを抑えつつ各画角、特に画面周辺部の像面を高度に補正することができている。また、このフォーカス方式により、高度に各画角の像面を補正することが可能となるため、信頼性の高いガラスモールド非球面レンズも用いることが可能となっている。
【0050】
以下に、投射光学系の実施例2のデータを示す。
開口数:0.2222
実施例2のデータを表5に示す。
【0052】
「フォーカシングに伴う可変間隔」
近距離、基準距離、遠距離におけるフォーカシングに伴う可変間隔を表6に示す。
【0054】
「非球面データ」
非球面のデータを表7に示す。
【0056】
「パラメータ:TRの値」
投射距離に対するパラメータ:TRの値を表8に示す。
【0058】
実施例2において、屈折光学系21の最も拡大側のレンズのレンズ有効径は44mmである。
図4に示した各画角(F1〜F11)に対応したスポットダイアグラムを、
図5から7に倣って、
図10ないし
図12に示す。良好な結像をしていることがわかる。
【0059】
「実施例3」
実施例3は、
図13に実施の形態を示した画像表示装置における投射光学系の実施例である。実施例3における屈折光学系のレンズ構成とフォーカシングに伴うレンズ群の変位を
図3に倣って、
図14に示す。
屈折光学系31は、縮小側から拡大側に向かって」順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Iと、正の屈折力を有する第2レンズ群IIと、正の屈折力を有する第3レンズ群IIIと、負の屈折力を有する第4レンズ群IVと、正の屈折力を有する第5レンズ群Vと負の屈折力を有する第6レンズ群VIと、を配してなる。
【0060】
遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際しては、第2レンズ群II、第4レンズ群IV、第5レンズ群Vが画像形成部LV側(縮小側)に移動し、第3レンズ群IIIが拡大側に移動する。第1レンズ群I、負の第6レンズ群VIは移動しない。
このようなフォーカシング構成とするとともに、第3レンズ群の正の屈折力を適切に設定することにより、第3レンズ群IIIよりも拡大側での光線の広がりを抑えつつ各画角、特に画面周辺部の像面を高度に補正することができている。
【0061】
このフォーカス方式により、高度に各画角の像面を補正することが可能となるため、信頼性の高いガラスモールド非球面レンズも用いることが可能となっている。
【0062】
以下に、投射光学系の実施例3のデータを示す。
開口数:0.2273
実施例3のデータを表9に示す。
【0064】
「フォーカシングに伴う可変間隔」
近距離、基準距離、遠距離におけるフォーカシングに伴う可変間隔を表10に示す。
【0066】
「非球面データ」
非球面のデータを表11に示す。
【0068】
「パラメータ:TRの値」
投射距離に対するパラメータ:TRの値を表12に示す。
【0070】
実施例3において、屈折光学系31の最も拡大側のレンズのレンズ有効径は44.2mmである。
図4に示した各画角に対応したスポットダイアグラムを
図15から17に示す。各スポットダイアグラムはスクリーン面での結像特性(mm) を波長638nm(赤)、550nm(緑)、455nm(青)について示している。良好な結像をしていることがわかる。
【0071】
「実施例4」
実施例4は、
図18に実施の形態を示した画像表示装置における投射光学系の実施例である。実施例4における屈折光学系のレンズ構成とフォーカシングに伴うレンズ群の変位を
図3に倣って、
図19に示す。
屈折光学系41は、画像形成部側(縮小側)から拡大側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Iと、正の屈折力を有する第2レンズ群IIと、正の屈折力を有する第3レンズ群IIIと、負の屈折力を有する第4レンズ群IVと、負の屈折力を有する第5レンズ群Vと負の屈折力を有する第6レンズ群VIと、を配してなっている。
遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際しては、第2レンズ群II、第4レンズ群IV、第5レンズ群Vが縮小側に移動し、第3レンズ群IIIが拡大側に移動する。第1レンズ群I、第6レンズ群VIは移動しない。
このようなフォーカシング構成とし、第3レンズ群の正の屈折力を適切に設定することにより、第3レンズ群IIIよりも拡大側での光線の広がりを抑えつつ各画角、特に画面周辺部の像面を高度に補正することができている。
また、このフォーカス方式により、高度に各画角の像面を補正することが可能となるため、信頼性の高いガラスモールド非球面レンズも用いることが可能となっている。
【0072】
以下に、投射光学系の実施例4のデータを示す。
開口数:0.2273
実施例4のデータを表13に示す。
【0074】
「フォーカシングに伴う可変間隔」
近距離、基準距離、遠距離におけるフォーカシングに伴う可変間隔を表14に示す。
【0076】
「非球面データ」
非球面のデータを表15に示す。
【0078】
「パラメータ:TRの値」
投射距離に対するパラメータ:TRの値を表16に示す。
【0080】
実施例4において、屈折光学系41の最も拡大側のレンズのレンズ有効径は43.4mmである。
図4に示した各画角に対応したスポットダイアグラムを
図20から22に示す。各スポットダイアグラムはスクリーン面での結像特性(mm) を波長638nm(赤)、550nm(緑)、455nm(青)について示している。良好な結像をしていることがわかる。
【0081】
実施例1ないし4の投射光学系に関するパラメータ中の量を表17に示す。
【0083】
F4〜F6は、それぞれ第4レンズ群〜第6レンズ群の焦点距離(mm)である。
【0084】
実施例1ないし4に関する条件(1)〜(4)の各パラメータの値を表18に示す。
【0086】
何れの実施例も条件(1)〜(4)を満たしている。
【0087】
以上に説明したように、この発明によれば以下の如き投射光学系および画像表示装置を実現できる。
【0088】
[1]
画像表示素子の画像形成部(LV)に表示される画像を被投射面(SC)上に拡大投影
する投射光学系であって、屈折光学系(11、21、31、41)と反射光学系(12、22、32、42)とを有し、前記屈折光学系は
6群のレンズ群(I〜VI)を
配して構成され、前記反射光学系は、屈折力を有する反射光学素子
を1個有し、前記屈折光学系は縮小側から拡大側へ向かって順次、第1レンズ群(I)、第2レンズ群(II)、第3レンズ群(III)
、第4レンズ群(IV)、第5レンズ群(V)、第6レンズ群(VI)を配して構成され、遠距離側から近距離側へのフォーカシングに際して、前記第2レンズ群が縮小側へ移動し、前記第3レンズ群が前記画像に対して固定もしくは拡大側へ移動し、前記第3レンズ群より拡大側の1以上のレンズ群が移動レンズ群として縮小側に移動する投射光学系(実施例1〜4)。
【0089】
[2]
[1]記載の投射光学系であって、前記第2レンズ群(II)のd線における焦点距離:F2、第3レンズ群(III)のd線における焦点距離:F3が、条件:
(1) 1.0 <|F2/F3|< 30.0
を満足する投射光学系(実施例1〜4)。
【0090】
[3]
[1]または[2]記載の投射光学系であって、前記第3レンズ群(III)のd線における焦点距離:F3、投影画像が最大となる合焦状態での前記屈折光学系のd線における焦点距離:FLが、条件:
(2) 0.1 < FL/F3 < 1.0
を満足する投射光学系(実施例1〜4)。
【0091】
[4]
[1]ないし[3]の何れか1に記載の投射光学系であって、前記第3レンズ群(III)よりも拡大側に配置される少なくとも1つの移動レンズ群が負の屈折力を有する投射光学系(実施例1〜4)。
【0092】
[5]
[1]ないし[4]の何れか1に記載の投射光学系であって、屈折光学系におけるもっとも拡大側のレンズ群が負の屈折力を有する投射光学系(実施例1〜4)。
【0093】
[6]
[1]ないし[5]の何れか1に記載の投射光学系であって、前記屈折光学系における最も拡大側のレンズ群が、フォーカシングに際して固定である投射光学系(実施例1〜4)。
【0094】
[7]
[1]ないし[6]の何れか1に記載の投射光学系
であって、前記第3レンズ群よりも拡大側に、フォーカシングに際して移動するレンズ群を2つ有する投射光学系(実施例1〜4)。
【0095】
[8]
[1]ないし[7]の何れか1に記載の投射光学系であって、前記画像表示素子の前記画像形成部に表示される画像と共役な像を、前記屈折光学系と前記反射光学素子の間に形成する投射光学系(実施例1〜4)。
【0096】
[9]
[1]ないし[8]の何れか1に記載の投射光学系であって、前記屈折光学系を構成する全てのレンズがガラスレンズである投射光学系(実施例1〜4)。
【0098】
[
10]
[1]ないし[
9]の何れか1に記載の投射光学系であって、前記反射光学素子(12、22、32、42)が凹面ミラーである投射光学系(実施例1〜4)。
【0099】
[
11]
画像表示素子の画像形成部(LV)に表示される画像を投射光学系により被投射面(SC)上に拡大投影して画像表示する画像表示装置であって、投射光学系として[1]ないし[
10]の何れか1に記載のものを用いる画像表示装置(
図1、
図8、
図13、
図18、実施例1〜4)。
【0100】
[
12]
[
11]記載の画像表示装置であって、前記投射光学系として[
10]記載のものが用いられ、前記凹面ミラー(12、22、32、42)と結像光線との交点のうち、前記被投射面(SC)と垂直な方向において前記被投射面までの距離が最大となる交点Pから前記被投射面までの前記被投射面に垂直な方向における距離:Lと、前記被投射面に投射される最大画像の横幅:Wとの比:TR(=L/W)が、条件:
(3) TR<0.35
を満足する画像表示装置(
図1、
図8、
図13、
図18、実施例1〜4)。
【0101】
[
13]
[
11]または[
12]記載の画像表示装置であって、前記投射光学系として[
10]前記凹面ミラー(12、22、32、42)と結像光線との交点のうち、前記被投射面と垂直な方向において前記被投射面までの距離が最大となる交点Pと前記画像形成部(LV)までの前記画像形成部に垂直な方向における距離:OAL、前記屈折光学系の光軸と、前記画像形成部との距離の最大値:Yが、条件:
(4) 10<OAL/Y<30
を満足する画像表示装置(
図1、
図8、
図13、
図18、実施例1〜4)。
【0102】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、反射光学系を構成する反射光学素子を2以上とすることもできる。
また、実施例1ないし4では、屈折光学系を構成するすべてのレンズをガラスレンズとしたが、これに限らず、1以上の樹脂レンズが含まれていてもよい。
【0103】
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。