(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
生体の体液中の特定の化学物質の量(濃度等)を測定することによって、その生体の状態を特定し、または推定することが可能となる。一例として、体内の乳酸は身体運動によって生産されるものであるため、乳酸または乳酸塩の濃度は運動負荷や身体の疲労度の指標として使用できる。
【0003】
従来技術として、体液中の化学物質の濃度等を測定する方法が文献に開示されている。
特許文献1には、汗の中の特定の化学物質の濃度を測定する技術が記載されている。
特許文献2には、生体液中の乳酸の量を、簡便且つ低コストに決定する技術が記載されている。
特許文献3には、生体情報を常時分析することができるように、小型化した生体センサーの技術が記載されている。
特許文献4には、生体の皮膚表面に装着して、皮膚表面の汗中物質に選択的に感応し、その汗中物質の量を測定するための技術が記載されている。
【0004】
このように、従来技術における汗中物質測定は、身体表面のある一箇所において、露紙や試験管等を用いて汗を採取し、成分を測定するものである。あるいは、センサーを汗に接触させ、汗中物質の量を計測するものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態によるセンサー装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、センサー装置100は、第1収集部11と、第1濃度決定部12と、第2収集部21と、第2濃度決定部22と、第3濃度算出部31と、出力部41とを含んで構成される。
第1収集部11は、生体の筋肉のある箇所から分泌される汗を収集するものである。また、第2収集部21は、前記生体の筋肉のない箇所から分泌される汗を収集するものである。また、第1濃度決定部12は、第1収集部11で収集した汗に含まれる所定の化学物質(例えば、乳酸塩)の濃度である第1濃度を決定する。また、第2濃度決定部22は。第2収集部21で収集した汗に含まれる前記所定の化学物質の濃度である第2濃度を決定する。そして、第3濃度算出部31は、前記第1濃度から前記第2濃度を引いた値である第3濃度を求める。なお、汗等の収集された物質(ここでは、液体)に含まれる所定の化学物質(例えば、乳酸塩)の濃度を測定し決定すること自体は、既存の技術を用いて行うことができる。また、第3濃度算出部31は、数値データである第1濃度から数値データである第2濃度を減算する機能を有するが、減算機能自体は、既存の技術により電子回路等を用いて実現され得る。
【0016】
次に、センサー装置100を構成する各部のより詳細な説明を行う。
第1収集部11は、生体(例えば、ヒト)から分泌される汗を収集するものである。具体的には、例えば、第1収集部11は、露紙や管により液体を吸収する部品を有している。使用者が第1収集部11を生体表面の所定の箇所に当てることにより、第1収集部11は当該箇所における汗を収集する。
第1濃度決定部12は、第1収集部11が収集した汗に含まれる特定の化学物質に感応し、当該特定の化学物質の汗内における濃度を決定する。特定の化学物質の濃度は、例えば、グラム毎立方メートルや、グラム毎リットルや、モル毎リットルなどといった単位の数値として決定される。なお、特定の化学物質の濃度を決定する技術自体は、既存の技術である。
第2収集部21は、上記の第1収集部11と同様の構成を有する。第2収集部21は、第1収集部11が汗を収集する箇所とは異なる生体表面の所定の箇所における汗を収集するためのものである。使用者が、使用者が第2収集部21を当該箇所に当てることにより、第2収集部21は当該箇所における汗を収集する。
第2濃度決定部22は、第1濃度決定部12と同様の機能を有する。そして、第2濃度決定部22は、第2収集部21が収集した汗に含まれる特定の化学物質に感応し、当該特定の化学物質の汗内における濃度を決定する。
【0017】
なお、本実施形態において、上記の「特定の化学物質」は、乳酸または乳酸塩である。乳酸または乳酸塩の量は、生体の疲労度を推定するための指標値となり得る。
また、第1収集部11は、生体の、筋肉のある箇所における表面(皮膚等)から汗を収集するために用いられるべきものである。例えば、ヒトにおける筋肉のある箇所とは、上腕部や大腿部などである。
また、第2収集部21は、生体の、筋肉のない箇所(あるいは筋肉の極めて少ない箇所。以下においても同様。)における表面から汗を収集するために用いられるべきものである。例えば、ヒトにおける筋肉のない箇所とは、手の甲や、足の甲や、額や、頭蓋横や、耳裏や、耳たぶや、すねなどである。なお、自転車エルゴメーターを用いた運動によりヒトの身体に負荷をかけるテストを行った。この負荷テストにおいて、負荷は160ワット、運動の継続時間は10分間、そのときの室温は摂氏24度、湿度は30%であった。このテストの結果、上に列挙した筋肉のない箇所のうち、手の甲や、額や、頭蓋横の箇所からは、充分な量の発汗が得られることが確認された。一方、耳たぶと耳裏からの箇所からの発汗の量は不十分であることがわかった。また、すねと足の甲に関してはテストを行わなかった。このことから、手の甲や、額や、頭蓋横は、第2収集部21が汗を収集する箇所として適切であることが確認された。また、耳たぶや耳裏は、第2収集部21が汗を収集する箇所として適していないことが確認された。また、すねと足の甲に関しては、第2収集部21が汗を収集する箇所として適切である可能性があるものの、テストによる確認はまだ行われていない。
【0018】
筋肉のある箇所から収集した汗に関して、第1濃度決定部12は、血液(動脈)由来の乳酸または乳酸塩の濃度(これを血液由来濃度と呼ぶ)と、筋肉由来の乳酸または乳酸塩の濃度(これを筋肉由来濃度と呼ぶ)とを合わせた値を決定する。つまり、第1濃度決定部12は、血液由来濃度と筋肉由来濃度とをたしあわせた値を決定する(これを第1濃度と呼ぶ)。
また、筋肉のない箇所から収集した汗に関して、第2濃度決定部22は、血液(動脈)由来の乳酸または乳酸塩の濃度(つまり、血液由来濃度)を決定する(これを第2濃度と呼ぶ)。
【0019】
上記のことから、第1濃度、第2濃度、血液由来濃度、筋肉由来濃度の相互の関係は、次の式(1)および式(2)で表される。
第1濃度=血液由来濃度+筋肉由来濃度 ・・・(1)
第2濃度=血液由来濃度 ・・・(2)
【0020】
第3濃度算出部31は、第1濃度決定部12および第2濃度決定部22から、それぞれ、第1濃度の値および第2濃度の値を受け取る。これらの値は、例えば電気信号で、第3濃度算出部31に伝達される。そして、第3濃度算出部31は、第1濃度の値から第2濃度の値を減算し、その結果を第3濃度として算出する。
【0021】
第3濃度算出部31が算出した第3濃度は、下の式(3)で表される。
第3濃度=第1濃度−第2濃度 ・・・(3)
この式(3)と、前記の式(1)および式(2)とから、下の式(4)が得られる。
第3濃度=筋肉由来濃度 ・・・(4)
【0022】
出力部41は、第1濃度決定部12、第2濃度決定部22、および第3濃度算出部31から、それぞれ、第1濃度の値、第2濃度の値、および第3濃度の値を受け取る。そして、出力部41は、第1濃度の値、第2濃度の値、および第3濃度の値を外部に出力する。このときの出力の形態は任意である。出力部41は、これらの濃度値を、例えば、ディスプレイ装置の画面に表示したり、紙に印刷したり、磁気記録媒体等に書き出したり、通信回線を介して外部の装置に伝送したりする。
【0023】
次に、センサー装置100が動作するときの処理手順について説明する。
図2は、センサー装置100による処理の手順を示すフローチャートである。センサー装置100は、同図に示す測定方法を実行するものである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0024】
まずステップS1において、第1濃度決定部12は、第1収集部11が収集した液体(汗)内における特定化学物質の濃度(第1濃度)を決定する。
【0025】
次にステップS2において、第2濃度決定部22は、第2収集部21が収集した液体(汗)内における特定化学物質の濃度(第2濃度)を決定する。
【0026】
次にステップS3において、第3濃度算出部31は、第1濃度決定部12によって求められた第1濃度の値から第2濃度決定部22によって求められた第2濃度の値を引くことによって、第3濃度の値を算出する。
【0027】
次にステップS4において、出力部41は、第1濃度決定部12から渡された第1濃度と、第2濃度決定部22から渡された第2濃度と、第3濃度算出部31から渡された第3濃度との、それぞれの値のデータを外部に出力する。なお、出力部41がデータを外部に出力する形態のバリエーションについては、既に説明した通りである。
【0028】
以上の処理手順により、センサー装置100は、生体から分泌される汗に含まれる、血液由来の乳酸または乳酸塩の濃度と、筋肉由来の乳酸または乳酸塩の濃度とを、区別して精度よく、データとして出力することができる。
【0029】
なお、乳酸または乳酸塩の濃度を計測するためのセンサーを、下記の通り作製した。
ポリイミドシートにsilver/silver chloride (Ag/AgCl) ink (4001, Engineered Conductive Materials, LLC, Delaware, OH)とPrussian blue (PB) conductive carbon ink (C2070424P2, Gwent Group, Pontypool, UK)を、スクリーンプリンタを用いてプリントした。その後、アノード電極上に、ラクテートオキシダーゼ(東洋紡)水溶液を滴下、乾燥させた。
【0030】
<検証実験>
なお、本実施例の有効性を検証するために、本願発明者らは、下記の検証実験を行った。この検証実験の目的は、第2濃度決定部22が決定する第2濃度が、血液由来濃度に該当する(式(2)を参照)ことの確認である。
実験内容は、自転車エルゴメーターによる運動テストである。被験者であるヒトについて、自転車エルゴメーターによる負荷がかかっている状態で、センサー装置100の第1収集部11および第2収集部21で汗を収集した。ここで、第1収集部11(筋肉のある箇所から汗を収集)を、脚の大腿部に当てる状態を維持した。また、第2収集部21(筋肉のない箇所から汗を収集)を、手の甲に当てる状態を維持した。
第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とは、それぞれ、第1収集部11と第2収集部21によって収集された汗における乳酸または乳酸塩の濃度を計測し、出力した。
被験者の運動の負荷を約160ワット(W)として、自転車エルゴメーター(Power Magic Mag Plus)によるこの運動負荷を20分間継続視した後、被験者の運動を終了させた。また、運動終了後も、15分間、第1収集部11と第2収集部21によってそれぞれ収集された汗における乳酸または乳酸塩の濃度を計測し続けた。
【0031】
図3は、上記の検証実験の結果を示すグラフである。図示するグラフにおいて、横軸は、運動開始時からの経過時間であり、その単位は「分」(minute)である。また縦軸は、乳酸濃度であり、その単位は「ミリモル毎リットル」(mmol/L)である。グラフには2本の線が描かれている。実線は、第1濃度決定部12によって決定された第1濃度(脚における汗の、乳酸濃度)の時間推移を示す。破線は、第2濃度決定部22によって決定された第2濃度(手の甲における汗の、乳酸濃度)の時間推移を示す。
【0032】
グラフが示すように、全期間(運動開始後、0分から35分まで)に渡って、実線で示す第1濃度のほうが、破線で示す第2濃度よりも、値は大きい。
また、このグラフによると、第1濃度に関しては、運動開始後10分経過時点までは、概ね単調に値が上昇している。その後、第1濃度は、概ね3分〜5分程度の周期で、上昇したり下降したりしている。運動開始後20分で運動が終了し、その後は、第1濃度は、短周期での上下変動はあるものの、大きく見ると徐々に値が低下している。特に、運動開始後25分以後は、第1濃度は、短周期での上下変動の振幅が小さくなり、概ね単調に値が減少している。
また、第2濃度に関しては、運動開始後10分経過時点までは、概ね単調に値が上昇している。その後、運動開始後23分経過時点あたりまでは、短周期での小さな上下変動が見られるものの、概ね単調に且つ緩やかに値が減少している。また、運動開始後23分経過時点以後では、第2濃度の値は、やや急激に低下している。
【0033】
この検証実験の結果、次のことが言える。(1)手の甲を第2濃度の測定点としたとき、筋肉由来の乳酸等が第2濃度に影響せず、血液(動脈)由来の乳酸等のみが第2濃度に影響する。(2)脚を測定点として測定した第1濃度も、手の甲を測定点とした第2濃度も、運動テストの負荷の時間的推移に対応して変化する。(3)運動の負荷を生体にかけた状態において、筋肉由来の乳酸等の濃度(第3濃度)は、血液(動脈)由来の乳酸等の濃度(第2濃度)に比べて、より大きく上昇する。(4)手の甲に限らず、生体内の筋肉のない箇所(筋肉がきわめて少ない箇所も含む)は、筋肉由来の乳酸等の濃度(第3濃度)を求めるための参照測定点となり得る。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のセンサー装置100は、第1濃度および第2濃度を決定し、第1濃度から第2濃度を減算することによって、第3濃度を求める。これにより、第3濃度として、筋肉由来の化学物質の量のみを求めることが可能となる。また、第3濃度を、生体の状態について推定するための指標値として用いることができる。例えば、本実施形態では計測対象の化学物質を乳酸または乳酸塩としたが、これは生体の疲労度の指標値となり得る。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前実施形態において既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0036】
図4は、本実施形態によるセンサー装置101の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、センサー装置101は、第1収集部11と、第1濃度決定部12と、第2収集部21と、第2濃度決定部22と、第3濃度算出部31と、出力部41とに加えて、対象物質決定部51を含んで構成される。
この構成により、センサー装置101は、化学物質の候補の中から適宜測定対象の化学物質を選んで、その物質の濃度を測定することができる。つまり、センサー装置101が対象物質決定部51を有している点が、本実施形態の特徴である。
【0037】
第1収集部11から出力部41までの各部の機能は、前実施形態において既に説明した通りである。ただし、測定対象の物質の種類を下記の通り可変とすることができる。
対象物質決定部51は、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とが対象とする化学物質の種類を決定する機能を有する。測定対象とし得る化学物質の群を、予め設定登録しておく、例えば、乳酸または乳酸塩や、グルコースや、リン酸またはリン酸塩や、脂肪酸や、ナトリウムや、カリウムや、その他の電解質などが、対象物質の候補として挙げられる。例えば、センサー装置101の使用者の操作に基づいて、対象物質決定部51は、候補の中から測定対象の化学物質を決定する。対象物質決定部51は、対象の物質を決定すると、その物質の種類を識別する情報を、少なくとも第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とに伝える。そして、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とはそれぞれ、対象物質決定部51によって決定された物質を測定対象とする。具体的には、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22は、例えば、多少物質の候補の各々に対応する部品を内部に備えており、対象物質決定部51から伝えられる対象物質の情報に基づいて、それらの部品を適宜選択的に切り替えて動作させる。
【0038】
なお、上に挙げた対象物質の候補の各々の濃度は、例えば生体の指標値として次のように使用することができる。
グルコースの濃度は、例えば、生体の糖代謝の指標値として利用可能である。
また、リン酸またはリン酸塩の濃度は、例えば、生体のエネルギー代謝の指標値として利用可能である。
また、脂肪酸の濃度は、例えば、生体の脂肪代謝の指標値として利用可能である。
また、電解質一般の濃度は、例えば、生体の水分状態の指標値として利用可能である。
【0039】
本実施形態によれば、対象物質決定部51が測定対象の物質の種類を決定するため、様々な化学物質の汗中の濃度を、血液(動脈)由来濃度と筋肉由来濃度とに分けて、取得することができる。
【0040】
[対象筋肉由来の成分濃度と動脈由来の成分濃度との切り分け]
最後に、対象筋肉由来成分と動脈由来とを切り分ける方法について説明する。ここでは、汗中の特定の化学物質の成分について述べる。
汗中成分の量は、測定点近傍の筋肉に由来する成分の量と、動脈に由来する成分の量とのたし合わせである。筋肉由来成分には、測定点近傍の筋肉からの寄与が含まれる。一方で、動脈由来成分には、全身からの寄与が含まれる。ここでの課題は、汗中成分のうちの、筋肉由来成分のみの量を知ることである。
【0041】
そのために、ここでは、対象測定点に加えて、参照測定点でも汗の成分の測定を行う。なお、対象測定点は対象の筋肉の近傍である。また、参照測定点は筋肉がない場所である。このように参照測定点での測定を行うことにより、動脈中の成分の濃度がわかる。したがって、対象測定点での汗中の成分の測定値から、動脈由来成分の測定値を引くことにより、対象の筋肉に由来する成分の量を得ることができる。つまり、次の式(5)で表す通りである。
【0042】
対象測定点での汗中濃度=筋肉由来濃度+動脈由来濃度 ・・・(5)
【0043】
なお、事実として、動脈由来濃度は、測定点に依らず全身でほぼ均一の値を示す。また、ヒト(被験者)が運動を行って各測定点の濃度を測定したとき、測定点に依る濃度の時間的ずれは、数秒以内である。つまり、例えば10分から20分程度の運動をヒトが行って、異なる測定点の濃度の時間的推移を測定したとき、測定点による濃度の時間的ずれ(伝達に時間を要することによる濃度のずれ)は、ほぼ無視できるレベルのものであり、誤差と言える。
【0044】
筋肉由来成分の切り分けのテストは、2つのステップを含む。第1ステップは、参照測定点の選定である。第2ステップは、筋肉由来成分の切り分け(抽出)である。
【0045】
まず、第1ステップにおいて、候補部位を選択する。候補部位は、例えば、手の甲、すね、足の甲などである。そして、前述のエルゴメーター等を用いた実測テストを行う。動脈中濃度と見なせる濃度値を得るために、耳たぶの静脈中濃度を測定する。現実に、動脈中濃度と耳たぶの動脈中濃度とはほぼ等しい。次に、上記の候補部位の各々の、汗中成分濃度を測定する。そして、この両者の経時的推移の相関を分析する。そして、耳たぶの静脈中濃度と経時変動との相関が高い部位(候補部位のうちの最も相関が高い部位)を、参照測定点として選定する。
【0046】
そして、第2ステップにおいては、濃度校正を行う。具体的には、実測時の対象測定点で汗中濃度を計測するとともに、参照測定点での汗中濃度を計測する。参照測定点における汗中濃度をaとして、対象測定点における汗中濃度をbとしたとき、動脈由来成分の濃度補正係数は、(b/a)である。
【0047】
そして、ヒトが対象筋肉で運動する状況において、参照測定点と対象測定点の2点で汗中成分の濃度を計測する。参照測定点における汗中成分の濃度をx
rとし、対象測定点における汗中成分の濃度をx
tとする。上記の濃度補正係数を用いて対象筋肉に由来する成分濃度を求める計算式は、式(6)の通りである。
【0048】
対象筋肉由来の成分濃度=x
t−(b/a)x
r ・・・(6)
【0049】
なお、式(6)中の(b/a)x
rは、参照測定点での汗中成分の濃度x
rに基づいて推定される、対象測定点での動脈由来の成分濃度である。
【0050】
なお、上述した各実施形態におけるセンサー装置の機能の少なくとも一部を、コンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0051】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はさらに変形例でも実施することも可能である。また、具体的な構成は、上述した実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。