(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物が収容されるとともに該内容物の減少に伴い減容変形する内容器と、前記内容器が内装される外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップであって、
前記口部に装着され、前記内容物を注出する注出孔が天壁部に形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ部を介して接続され、前記注出孔を開閉する有頂筒状の蓋体と、を備え、
前記キャップ本体は、
前記注出孔と前記容器本体内とを連通し上下方向に延びる連通筒と、
前記連通筒内に上下動自在に設けられた弁体と、
前記弁体が上方に向けて離間自在に着座し、前記連通筒内と前記容器本体内との連通を遮断する弁座部と、
前記連通筒内と前記注出孔とを連通させた状態で、前記弁体の上方移動を規制する規制部と、を備え、
前記蓋体および前記弁体のうちのいずれか一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に着脱自在に嵌合する球状の凸部が形成された注出キャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の注出キャップでは、連通筒内において弁体が上下動するのに対し、蓋体はヒンジ部回りに回動するため、蓋体を開く途中で窪み部から嵌合突起が外れたり、蓋体を閉じる際に窪み部に嵌合突起が嵌合しなかったりすることがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、蓋体をヒンジ部回りに回動しつつも、凸部と凹部とを安定して嵌合させることができ、これにより、蓋体を開く際には弁体を確実に引き上げることができ、蓋体を閉じる際には弁体を確実に押し下げることができる注出キャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、内容物が収容されるとともに該内容物の減少に伴い減容変形する内容器と、前記内容器が内装される外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップであって、前記口部に装着され、前記内容物を注出する注出孔が天壁部に形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ部を介して接続され、前記注出孔を開閉する有頂筒状の蓋体と、を備え、前記キャップ本体は、前記注出孔と前記容器本体内とを連通し上下方向に延びる連通筒と、前記連通筒内に上下動自在に設けられた弁体と、前記弁体が上方に向けて離間自在に着座し、前記連通筒内と前記容器本体内との連通を遮断する弁座部と、前記連通筒内と前記注出孔とを連通させた状態で、前記弁体の上方移動を規制する規制部と、を備え、前記蓋体および前記弁体のうちのいずれか一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に着脱自在に嵌合する球状の凸部が形成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、蓋体および弁体のうちのいずれか一方に凹部が形成され、他方に該凹部に着脱自在に嵌合する球状の凸部が形成されているので、下記の作用効果が得られる。
蓋体をヒンジ部回りに回動して開ける際には、凹部内で凸部が球体中心回りに回転することで、キャップ本体に対する蓋体の開き角度に係わらず、球状の凸部と凹部との嵌合状態が良好に維持されて、連通筒内において弁体が安定して上方移動させられる。そして、弁体の上方移動が規制部に規制されたときに、凸部が凹部から離脱されることで、弁体が蓋体から分離されて連通筒内を下降移動し弁座部に着座する。
【0009】
また蓋体を開く際に、例えば内容物の固化等により弁体が弁座部に固着していたとしても、蓋体のヒンジ部回りの回動により球状の凸部が凹部の内周面に強く押し当てられるため、弁体を弁座部から強制的に引き上げることが可能になり、次回注出時に弁体を弁座部から確実に離間させることができる。
【0010】
そして、例えば容器本体を傾ける等により弁体を弁座部から離間させることで、連通筒および注出孔を通して内容物を注出することができ、その後、容器本体を正立姿勢に戻す等して弁体を弁座部上に着座させることで、容器本体内と連通筒内との連通を遮断することができる。したがって、内容物の注出を停止することができるとともに、注出直後における容器本体内への空気の進入を防止できる。
【0011】
また、蓋体をヒンジ部回りに回動して閉じる際には、キャップ本体に対する蓋体の開き角度に係わらず、球状の凸部を凹部に安定して嵌合させることができる。すなわち、球状の凸部が凹部に接触したときに、該凸部が凹部の中心に調心されるように案内されるため、凸部と凹部とが確実に嵌合される。そして、蓋体を閉じることにより、該蓋体により弁体が弁座部へと押し下げられて、連通筒内と容器本体内との連通が確実に遮断される。
【0012】
また、上記注出キャップにおいて、前記キャップ本体は、前記口部に装着され、前記注出孔が形成された装着筒部と、前記装着筒部の下方に設けられ、前記連通筒が形成された中栓と、を備え、前記装着筒部または前記中栓に前記規制部が設けられたことが好ましい。
【0013】
キャップ本体が装着筒部と中栓とを備えたことにより、注出孔と連通筒との間に、弁体の上方移動を規制する規制部を形成しやすくなる。そして、蓋体を開ける際に、弁体の上方移動端において凸部と凹部との嵌合を確実に解除して、蓋体と弁体とを分離できる。
【0014】
また、上記注出キャップにおいて、前記凹部の開口部は、該凹部の開口端へ向かうにしたがい徐々に拡径するテーパー状に形成されたことが好ましい。
【0015】
凹部の開口部が、その開口端に向かうにしたがい徐々に拡径するテーパー状をなしていることにより、蓋体を閉じるときに、凹部内に凸部を確実に案内して、これらを安定して嵌合できる。
【0016】
また、上記注出キャップにおいて、前記凹部の硬さと前記凸部の硬さとが、互いに異なることが好ましい。
【0017】
凹部の硬さと凸部の硬さとが互いに異なっていることにより、例えば凹部と凸部との締め代やアンダーカット等の嵌合代に成形上のばらつきが生じた場合でも、凹部と凸部とを安定して嵌合させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の注出キャップによれば、蓋体をヒンジ部回りに回動しつつも、凸部と凹部とを安定して嵌合させることができ、これにより、蓋体を開く際には弁体を確実に引き上げることができ、蓋体を閉じる際には弁体を確実に押し下げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る注出キャップ1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の注出キャップ1は、液状等の内容物(図示略)が収容されるとともに該内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内容器(内層)2と、内容器2が内装される弾性変形可能な外容器(外層)3と、を有する容器本体4の口部5に離脱自在に装着される。言い換えると、本実施形態で説明する二重容器は、内容器2および外容器3を有する容器本体4と、容器本体4の口部5に離脱自在に装着される注出キャップ1と、を備える。
【0021】
注出キャップ1は、容器本体4の口部5に装着され、内容物を注出する注出孔6が天壁部に形成された有頂筒状のキャップ本体7と、キャップ本体7にヒンジ部8を介して接続され、注出孔6を開閉する有頂筒状の蓋体9と、を備えている。
【0022】
キャップ本体7および蓋体9は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置した状態で配置されている。本実施形態ではこの共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う方向(キャップ軸Oが延在する方向)を上下方向という。また、上下方向に沿ってキャップ本体7から蓋体9へ向かう方向を上方といい、蓋体9からキャップ本体7へ向かう方向を下方という。
また、キャップ軸O方向から見た平面視でキャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0023】
容器本体4は、例えばブロー成形により形成され、外容器3の内面に内容器2が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。
ブロー成形としては、例えば押出成形等によって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで容器本体4を形成してもよい(押出ブロー成形)。また、射出成形等によって外容器用のプリフォーム、および内容器用のプリフォームを形成し、これらを二重(内外)に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで容器本体4を形成しても構わない。
なお、外容器用のプリフォームを先に二軸延伸ブロー成形して外容器3を形成した後、内容器用のプリフォームを内部に配置し、その後、内容器用のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体4を形成しても構わない。
【0024】
内容器2および外容器3の材質は樹脂材料とされ、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし、異材質でも構わない。樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂材料の中から、外容器3と内容器2とは剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0025】
容器本体4は、口部5、肩部10、胴部(図示略)および底部(図示略)が上方から下方へ向けてこの順に連設された有底筒状に形成されている。肩部10は、下方へ向かうにしたがい徐々に拡径している。胴部は、例えば横断面視で円形状等に形成され、容器本体4の最大径部分とされている。
【0026】
容器本体4のうち外容器3はスクイズ変形可能とされ、この外容器3のスクイズ変形に伴って内容器2は減容変形する。よって、外容器3のうち少なくとも胴部に位置する部分は、径方向内側(容器内側)に向けて弾性変形可能とされている。また、外容器3の底部には、内容器2との間に外気を吸入する吸気スリット部(図示略)が形成されている。前記吸気スリット部は、例えば金型のピンチオフ部により形成される。
【0027】
容器本体4の口部5は、肩部10の上端開口部から上方に向けて延びるように形成されている。容器本体4の口部5は、内容器2の口部と外容器3の口部とが積層されて形成されている。
内容器2の口部の上端部には、径方向外側に突出して周方向に延びる環状の折り返し部11が形成され、この折り返し部11を利用して外容器3の口部の開口端を上方から塞いでいる。このため、外容器3の口部は、内容器2によって閉塞されている。
【0028】
キャップ本体7は、装着筒部12と、中栓13と、弁体14と、を備える。
装着筒部12は、有頂筒状をなしており、容器本体4の口部5に装着される。装着筒部12、ヒンジ部8および蓋体9は、一体に形成されている。本実施形態の例では、装着筒部12、ヒンジ部8および蓋体9が、ポリプロピレン樹脂(PP)で形成されている。また、弁体14は、ポリプロピレン樹脂(PP)よりも軟質の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)で形成されている。
【0029】
装着筒部12は、口部5に螺着される周壁部15と、周壁部15の上端部に連設された天壁部16と、を備える。なお、周壁部15は口部5に対して螺着される場合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合されていてもよい。
天壁部16には、該天壁部16を上下方向に貫通するように延び、内部に注出孔6を有する注出筒部17と、注出筒部17よりも大径とされ、該天壁部16から下方へ向けて延びる垂下筒部18と、が形成されている。
【0030】
注出筒部17のうち上方部分は、キャップ軸O上から径方向にずれた位置(具体的にはキャップ軸Oとヒンジ部8との間)に筒部の中心軸を有する。前記上方部分の内周面は、上方へ向かいにしたがい拡径するテーパー状をなしている。前記上方部分の内周面が、注出孔6とされている。前記上方部分の上端開口縁は、径方向外側へ向けて突出するとともに周方向に延びる鍔状をなしている。
【0031】
注出筒部17のうち下方部分は、キャップ軸O上に筒部の中心軸を有する。前記下方部分の内径は、下端開口縁を除いて上下方向に略一定であり、図示の例では下方へ向かうにしたがい僅かに縮径している。前記下方部分の下端開口縁には、径方向内側へ向けて突出するとともに周方向に延びる鍔状の規制部19が形成されている。規制部19については別途後述する。
注出筒部17の下端開口縁には、規制部19の少なくとも一部を周方向に分断するように、切り欠き部20が形成されている。切り欠き部20は、1つでもよいし、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されていてもよい。
【0032】
中栓13は、装着筒部12の天壁部16の下方に設けられている。
中栓13は、容器本体4の口部5の上端開口部上に配置されたベース部21と、ベース部21を上下方向に貫通するように延びる連通筒22と、を備える。
【0033】
ベース部21は、口部5の上端開口縁上に位置する外側部分と、前記外側部分よりも径方向内側かつ下方に位置して連通筒22が配置された内側部分と、前記外側部分と前記内側部分とを連結し上下方向に延びる連結筒部と、を備える。
ベース部21の前記外側部分には、該ベース部21から上方へ向けて延びる支持筒23と、該ベース部21から下方へ向けて延びるシール筒24と、が形成されている。支持筒23の上端は、装着筒部12の天壁部16の下面に当接する。シール筒24は、容器本体4の口部5内に嵌合する。ベース部21の前記連結筒部内には、装着筒部12の垂下筒部18が嵌合する。
【0034】
連通筒22は、注出孔6と容器本体4内とを連通し上下方向に延びている。連通筒22の上端部内には、注出筒部17の下方部分が嵌合する。連通筒22の下端部には、下方へ向かうにしたがい徐々に縮径するテーパー状の弁座部25が形成されている。弁座部25には、連通筒22内に上下動自在に設けられた弁体14が上方に向けて離間自在に着座し、これにより連通筒22内と容器本体4内との連通が遮断される。図示の例では、連通筒22の下端開口部内に、周方向に互いに間隔をあけて複数の突起26が形成されている。
【0035】
連通筒22の内周面のうち、上端部と下端部との間に位置する中間部分には、径方向外側へ向けて窪むとともに上下方向に延びる溝部27が、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。ただしこれに限定されるものではなく、連通筒22の前記中間部分には、径方向内側へ向けて突出するとともに上下方向に延びるリブが、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されていてもよい。また、連通筒22の溝部27(または前記リブ)の上端と、注出筒部17の下端開口縁との間には、上下方向に隙間が設けられており、前記隙間は周方向の全周にわたって形成されている。図示の例では、注出筒部17の下端開口部に形成された切り欠き部20の周方向位置と、複数の溝部27のうち1つ以上の周方向位置とが、互いに一致しているが、これに限定されるものではない。
【0036】
弁体14は、有底筒状をなしている。そして弁体14の内部には、上方へ向けて開口する凹部28が形成されている。凹部28の開口部(本実施形態では上端開口部)は、該凹部28の開口端(上端開口縁)へ向かうにしたがい徐々に拡径するテーパー状に形成されている。凹部28の開口部以外の部位は、上下方向に沿って内径が略一定とされている。
【0037】
弁体14の周壁のうち上方部分の外径は、下方部分の外径よりも小径に形成されている。このため、弁体14の外周における前記上方部分と前記下方部分との間には、上方を向くリング面状の段部29が形成されている。図示の例では、弁体14の前記下方部分の外周面と、連通筒22の内周面との間に、僅かに隙間が設けられている。
【0038】
弁体14の底壁のうち下面は、下方へ向けて膨出する半球面状をなしている。弁体14の前記下面は、連通筒22の弁座部25に対して、その上方から離間自在に当接する。つまり、連通筒22内における弁体14の下方移動は、弁体14の前記下面が弁座部25に当接することにより、規制される。
【0039】
図2〜
図4に示すように、弁体14の段部29は、注出筒部17の規制部19に対して、その下方から離間自在に当接する。つまり、連通筒22内における弁体14の上方移動は、弁体14の段部29が規制部19に当接することにより、規制される。
【0040】
具体的に、規制部19は、連通筒22のうち上端部と下端部との間に位置する中間部分の内周面よりも、径方向内側に突出している。また規制部19の内径は、弁体14の周壁のうち上方部分の外径よりも大きく、下方部分の外径よりも小さい。このため、弁体14が上方移動したときに、弁体14の前記上方部分が規制部19内に挿通されるとともに、注出筒部17内に配置される。また弁体14の段部29が、規制部19の下面に当接される。
【0041】
また、規制部19は、連通筒22内と注出孔6とを連通させた状態で、弁体14の上方移動を規制する。本実施形態の例では、弁体14が規制部19に当接させられて上方移動端に位置しても、切り欠き部20および溝部27(または周方向に隣り合う前記リブ同士の間)を通して、注出筒部17内(注出孔6)と連通筒22内とが連通している。
【0042】
図1に示すように、蓋体9は、周壁部30と、頂壁部31と、を備える。蓋体9は、キャップ本体7の天壁部16全体をその上方から覆っており、注出孔6を開閉する。
蓋体9の周壁部30の下端部は、装着筒部12の周壁部15の上端部に形成された段差部32を利用して、装着筒部12の天壁部16に径方向外側から着脱可能に嵌合されている。また、蓋体9の周壁部30の下端部と、装着筒部12の周壁部15の上端部とが、ヒンジ部8を介して一体に連結されている。
【0043】
蓋体9の周壁部30のうち、キャップ軸Oを挟んでヒンジ部8とは反対側に位置する部分には、径方向外側に向けて突出した操作片33が形成されている。操作片33を利用することで、周壁部30の下端開口部の段差部32への着脱操作や、蓋体9のヒンジ部8回りの回動操作が容易となる。
【0044】
蓋体9の頂壁部31には、該頂壁部31から下方へ向けて延び、注出筒部17内に着脱自在に嵌合する閉塞筒34と、該頂壁部31から下方へ向けて延び、閉塞筒34内に配置された軸状のボス35と、が形成されている。
本実施形態の例では、閉塞筒34が、注出筒部17の内側のうち内径が略一定とされた下方部分に対して嵌合する。閉塞筒34が注出筒部17の内側に嵌合することで、注出孔6と連通筒22内との連通が遮断される。閉塞筒34が注出筒部17内に嵌合した際に、閉塞筒34の下端開口縁は、規制部19よりも上方に離間して配置される。
【0045】
本実施形態の例では、ボス35が上下方向に延びる円柱状をなしている。ボス35の下端部(先端部)は、閉塞筒34の下端開口縁よりも下方へ向けて突出している。
ボス35は、該ボス35の下端部に位置して球状に形成された凸部36と、凸部36の上方に隣接配置され、凸部36の外径よりも小さな外径を有するくびれ部37と、くびれ部37の上方に配置され、くびれ部37の外径よりも大きな外径を有する軸部38と、を備える。図示の例では、軸部38の外径が、凸部36の外径と同等以上である。
【0046】
そして、ボス35先端において球体形状をなす凸部36は、弁体14の凹部28に対して着脱自在に嵌合される。凸部36は、凹部28のうちテーパー状の開口部よりも下方に位置する部分(内径が略一定とされた部分)に対して嵌合される。
図1において、凸部36は、蓋体9の回動中心であるヒンジ部8よりも下方に位置している。
本実施形態の例では、凸部36の外径が凹部28の内径よりも大きくされており、締め代が設けられている。ただしこれに限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合等により、凸部36と凹部28とを着脱自在に嵌合してもよい。
【0047】
凸部36の硬さと凹部28の硬さとは、互いに異なっている。本実施形態の例では、蓋体9に一体とされた凸部36がポリプロピレン樹脂(PP)で形成され、弁体14に一体とされた凹部28が低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)で形成されている。よって、凹部28の硬さが凸部36の硬さよりも軟らかい。
【0048】
次に、上述の注出キャップ1を利用して、容器本体4の内容物を注出する際の作用について説明する。
内容物を注出する際には、まず蓋体9をヒンジ部8回りに回動させて開く。この際、弁体14の凹部28に蓋体9の凸部36が嵌合されているので、弁体14が蓋体9とともに上昇する。そして
図2および
図3に示すように、弁体14の上昇移動が規制部19に規制されたときに、凸部36が凹部28から離脱されることで、
図4に示すように、弁体14が蓋体9から分離される。分離した後の弁体14は、連通筒22内を下降移動し弁座部25に着座する。
【0049】
次いで、容器本体4の口部5が下向きとなるように、容器本体4を傾けるとともに容器本体4をスクイズ変形する等し、弁体14を、その自重や容器本体4内(内容器2内)の圧力を利用して弁座部25から離間させ、容器本体4内と連通筒22内とを連通させる。
【0050】
これにより、容器本体4内が連通筒22内を通して注出孔6内に連通するので、容器本体4内に収容されている内容物を注出孔6から注出することができる。このとき内容物は、連通筒22内から溝部27(または周方向に隣り合う前記リブ同士の間)および切り欠き部20を通って注出孔6に達するので、弁体14によって流れが阻害されることはなく、注出孔6から内容物を確実に注出することができる。なお、弁座部25から離間した弁体14は、規制部19に当接することによりそれ以上の移動が規制されて、連通筒22内から抜け落ちることはない。
【0051】
内容物を注出した後は、例えば口部5が上方を向くように容器本体4を正立姿勢に戻すとともにスクイズ変形を解除し、弁体14を、自重や容器本体4の復元変形に伴う容器本体4内の減圧等を利用して、弁座部25上に再び着座させる。
【0052】
弁体14が弁座部25に着座することにより、容器本体4内と連通筒22内との連通を遮断できるので、内容物の注出を停止することができるとともに、注出直後における容器本体4内への空気の進入を防止できる。このとき、弁体14の下方移動に伴うサックバック効果により、注出孔6付近の内容物を連通筒22内へ向けて引き込むことが可能となり、注出孔6からの液だれを効果的に抑えることができる。
このように、弁体14による連通、遮断の切り換えを適切に行いながら、内容物を確実に注出することができる。
【0053】
なお、前述したようにスクイズ変形を解除すると、外容器3は復元変形しようとする。このとき、弁体14が弁座部25に着座して内容器2が密封されていると、外容器3と内容器2との間に負圧が発生する。これにより、前記吸気スリット部を通して外気が外容器3と内容器2との間に吸入される。外容器3と内容器2との間に外気が吸入されることにより、内容器2の減容形状が保持される。
【0054】
次いで、蓋体9をヒンジ部8回りに回動させて閉じる。このとき
図1に示すように、蓋体9の凸部36が弁体14の凹部28に嵌合する。したがって、次回注出時に蓋体9を開く際には、弁体14が蓋体9とともに上昇させられる。
【0055】
以上説明した本実施形態の注出キャップ1によれば、弁体14に凹部28が形成され、蓋体9に凹部28に着脱自在に嵌合する球状の凸部36が形成されているので、下記の作用効果が得られる。
蓋体9をヒンジ部8回りに回動して開ける際には、
図1〜
図3に示すように、凹部28内で凸部36が球体中心回りに回転することで、キャップ本体7に対する蓋体9の開き角度に係わらず、球状の凸部36と凹部28との嵌合状態が良好に維持されて、連通筒22内において弁体14が安定して上方移動させられる。
【0056】
また蓋体9を開く際に、例えば内容物の固化等により弁体14が弁座部25に固着していたとしても、蓋体9のヒンジ部8回りの回動により球状の凸部36が凹部28の内周面に強く押し当てられるため、弁体14を弁座部25から強制的に引き上げることが可能になり、次回注出時に弁体14を弁座部25から確実に離間させることができる。
【0057】
また、蓋体9をヒンジ部8回りに回動して閉じる際には、キャップ本体7に対する蓋体9の開き角度に係わらず、球状の凸部36を凹部28に安定して嵌合させることができる。すなわち、球状の凸部36が凹部28に接触したときに、該凸部36が凹部28の中心(穴の中心。開口中心)に調心されるように案内されるため、凸部36と凹部28とが確実に嵌合される。そして、蓋体9を閉じることにより、該蓋体9のボス35により弁体14が弁座部25へと押し下げられて(押し付けられて)、連通筒22内と容器本体4内との連通が確実に遮断される。
【0058】
以上より本実施形態によれば、蓋体9をヒンジ部8回りに回動しつつも、凸部36と凹部28とを安定して嵌合させることができ、これにより、蓋体9を開く際には弁体14を確実に引き上げることができ、蓋体9を閉じる際には弁体14を確実に押し下げることができる。
【0059】
また本実施形態では、キャップ本体7が、注出孔6が形成された装着筒部12と、連通筒22が形成された中栓13と、を有する。このように、キャップ本体7が装着筒部12と中栓13とを備えた(上下に2つの部材を備えた)ことにより、注出孔6と連通筒22との間に、弁体14の上方移動を規制する規制部19を形成しやすくなる。そして、蓋体9を開ける際に、弁体14の上方移動端において凸部36と凹部28との嵌合を確実に解除して、蓋体9と弁体14とを分離できる。
【0060】
また本実施形態では、凹部28の開口部が、その開口端に向かうにしたがい徐々に拡径するテーパー状をなしているので、蓋体9を閉じるときに、凹部28内に凸部36を確実に案内して、これらを安定して嵌合できる。
【0061】
また本実施形態では、凹部28の硬さと凸部36の硬さとが互いに異なっているので、例えば凹部28と凸部36との締め代やアンダーカット等の嵌合代に成形上のばらつきが生じた場合でも、凹部28と凸部36とを安定して嵌合させることができる。
【0062】
また本実施形態では、蓋体9から下方へ向けて延びるボス35が、凸部36の上方に隣接して該凸部36よりも小径とされたくびれ部37を備えている。このため、例えば
図2および
図3に示すように、蓋体9の開き角度が大きくされても、弁体14の上端開口部(凹部28の開口部)等に対して、ボス35の凸部36以外の部位(凸部36の上方に位置する部分)が接触することを抑制できる。これにより、凸部36と凹部28との嵌合状態を弁体14の上昇端位置まで良好に維持することができる。
【0063】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。なお、変形例の図示においては、前述の実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付しており、主として異なる点についてのみ説明する。
【0064】
前述の実施形態では、連通筒22内での弁体14の上方移動を規制する規制部19が、装着筒部12(の注出筒部17)に形成された例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
図5は、前述の実施形態で説明した注出キャップ1の変形例を示している。この変形例では、規制部19が中栓13に形成されている。具体的に、この規制部19は、中栓13の連通筒22の内周面における上方部分に、径方向内側へ向けて突出して形成されている。
【0065】
また、
図5に示す変形例では、弁体14が、上方および下方にそれぞれ開口する筒状をなしている。そして、弁体14において上方に開口する部分が凹部28とされている。また、弁体14において下方に開口する部分と、前記上方に開口する部分との間には、弁体14の内部を上下に仕切る仕切り壁39が形成されている。
この変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、前述の実施形態では、弁体14に凹部28が形成され、蓋体9(のボス35)に、凹部28に着脱自在に嵌合する球状の凸部36が形成された例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
図6は、前述の実施形態で説明した注出キャップ1の変形例を示している。この変形例では、蓋体9に凹部28が形成され、弁体14に凸部36が形成されている。具体的には、蓋体9の閉塞筒34内が凹部28とされている。また、弁体14の上方部分に、下方部分から上方へ向けて延びるボス35が形成されており、該ボス35の上端部(先端部)に球状の凸部36が形成されている。そして、蓋体9の凹部28と弁体14の凸部36とが、着脱自在に嵌合する。
この変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
また、前述の実施形態では、蓋体9に一体とされた凸部36がポリプロピレン樹脂(PP)で形成され、弁体14に一体とされた凹部28が低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)で形成されていて、凹部28の硬さが凸部36の硬さよりも軟らかい例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
凸部36および凹部28の材質は、上記以外の材質であってもよい。また、凹部28の硬さが凸部36の硬さに比べて硬くてもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、蓋体9が閉塞筒34を備えているが、閉塞筒34が形成されていなくてもよい。
また、装着筒部12の天壁部16に注出筒部17が備えられているが、注出筒部17を形成することなく、天壁部16に注出孔6だけを形成してもよい。
【0069】
また、前述の実施形態では、外容器3の底部に吸気スリット部が形成されているとしたが、内容器2と外容器3との間に外気を吸入する構造として、他の構造を採用することが可能である。例えば、外容器3の口部に、内容器2との間に外気を吸入する吸気孔を設け、注出キャップ1に、前記吸気孔に連通可能な外気導入孔、および前記外気導入孔を開閉自在に閉塞する外気導入弁を設けることも可能である。あるいは、例えば、外容器3の胴部に、内容器2との間に外気を吸入する外気導入孔、および前記外気導入孔を開閉自在に閉塞する外気導入弁を設けることも可能である。
【0070】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。