特許第6803809号(P6803809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803809
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】不正開封防止キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 50/14 20060101AFI20201214BHJP
   B65D 50/12 20060101ALI20201214BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B65D50/14
   B65D50/12
   B65D41/04
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-129692(P2017-129692)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-11113(P2019-11113A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−104408(JP,A)
【文献】 実開昭55−158849(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3097505(JP,U)
【文献】 特開2004−344823(JP,A)
【文献】 実開昭57−186348(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−0675143(KR,B1)
【文献】 米国特許第05246123(US,A)
【文献】 特開昭51−017881(JP,A)
【文献】 特開2000−016466(JP,A)
【文献】 特開2012−250719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 50/14
B65D 41/04
B65D 50/12
B65D 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に螺着された有頂筒状の内キャップと、
前記内キャップに対して容器軸回りの周方向に回転可能に取り付けられ、内キャップを前記容器軸方向から見た平面視で前記容器軸に交差する径方向の外側から囲む筒状の外キャップと、
前記容器本体に着脱自在に装着された筒状の操作キャップと、
を備え、
前記操作キャップが、
前記容器本体に着脱自在に装着され、前記外キャップを前記径方向の外側から囲繞可能な囲繞筒と、
前記径方向で前記内キャップと前記外キャップとの間に配設可能であり、前記内キャップに形成された被係止部と前記周方向で係止可能である係止部を有する挿入体と、を有することを特徴とする不正開封防止キャップ付き容器。
【請求項2】
前記外キャップが、前記内キャップに対して前記周方向のうち前記内キャップの前記口部に対する閉塞方向で係止する係止体を有することを特徴とする請求項1に記載の不正開封防止キャップ付き容器。
【請求項3】
前記囲繞筒が、前記径方向で弾性変形可能であり、
前記囲繞筒には、前記容器本体において前記容器軸を前記径方向で挟む両側に位置する部分に形成された一対の被装着部と各別に係止する一対の装着部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の不正開封防止キャップ付き容器。
【請求項4】
前記囲繞筒の内周面と前記容器本体の外周面との間において、前記径方向のうち一対の前記装着部の配列方向に垂直な方向の両端に位置する部分に隙間が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の不正開封防止キャップ付き容器。
【請求項5】
前記操作キャップが、前記容器本体の底部に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の不正開封防止キャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開封防止キャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の不正開封を防止するために、容器本体の口部に不正開封防止キャップを取り付けることがある。このような不正開封防止キャップでは、特定の使用者(以下、「対象者」と称する)による開封を許容した上で、乳幼児や子供のような非使用対象者(以下、「非対象者」と称する)による意図しない開封を防止できることが好ましい。
この種の不正開封防止キャップ付き容器として、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、容器本体の口部に着脱自在に螺着された有頂筒状の内キャップと、内キャップに対して周方向に回転可能に取り付けられ、内キャップを径方向の外側から囲む筒状の外キャップと、を備え、内キャップの外周面には逆止歯列が形成され、外キャップには径方向に弾性変形可能な操作片が設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような不正開封防止キャップ付き容器では、操作片を径方向の内側に押し込むことにより、操作片と逆止歯列とを係止させることにより、外キャップと共に内キャップを口部に対して回転させて口部を開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の不正開封防止キャップ付き容器では、外キャップに一体に設けられた操作片を径方向の内側へ弾性変形させるだけで操作片が逆止歯列と噛み合い、開封操作が可能となっている。そのため、非対象者が外キャップを把持した際に操作片を意図せず押し込んでしまった場合でも、開封可能な状態となることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、非対象者による開封をより確実に防止できる不正開封防止キャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の不正開封防止キャップ付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に螺着された有頂筒状の内キャップと、前記内キャップに対して容器軸回りの周方向に回転可能に取り付けられ、内キャップを前記容器軸方向から見た平面視で前記容器軸に交差する径方向の外側から囲む筒状の外キャップと、前記容器本体に着脱自在に装着された筒状の操作キャップと、を備え、前記操作キャップが、前記容器本体に着脱自在に装着され、前記外キャップを前記径方向の外側から囲繞可能な囲繞筒と、前記径方向で前記内キャップと前記外キャップとの間に配設可能であり、前記内キャップに形成された被係止部と前記周方向で係止可能である係止部を有する挿入体と、を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、口部を開封するために、操作キャップを容器本体から取り外す操作と、取り外した操作キャップを内キャップ及び外キャップに装着し、操作キャップを内キャップと共に周方向のうち内キャップが口部に対して緩む開封方向に回転させる操作と、を必要とする。すなわち、まず、前段の操作では、容器本体に対して内キャップとは別に装着されている操作キャップを取り外している。その後、後段の操作では、取り外した操作キャップの挿入体を内キャップ及び外キャップに装着すると、挿入体の係止部と内キャップの被係止部とが周方向で係合すると共に、囲繞筒が外キャップを外側から囲む。これにより、囲繞筒を上記開封方向に回転させる力は、挿入体の係止部を介して、内キャップに伝達される。その結果、操作キャップと内キャップとは、一体となって上記開封方向に回転し、口部を開封する。このように、この発明では、従来の不正開封防止キャップのように単に外キャップを把持しただけで口部を開封可能な状態となってしまうことが抑制される。
一方、操作キャップを内キャップ及び外キャップに装着しない状態では、外キャップが内キャップに対して周方向に回転可能となっているので、内キャップを径方向の外側から囲んでいる外キャップを内キャップに対して上記開封方向に回転させても、外キャップが内キャップに対して上記開封方向で空転する。その結果、外キャップを口部に対する上記開封方向に回転させる力は、内キャップに伝達されない。
また、口部を開封しない場合には、操作キャップを内キャップ及び外キャップから取り外して操作キャップを容器本体に装着しておくことにより、操作キャップの紛失を防止できる。
したがって、対象者による開封を許容した上で、非対象者による意図しない開封をより確実に防止できる。
【0008】
また、本発明の不正開封防止キャップ付き容器では、前記外キャップが、前記内キャップに対して前記周方向のうち前記内キャップの前記口部に対する閉塞方向で係止する係止体を有してもよい。
この発明では、操作キャップを内キャップ及び外キャップに装着しない状態であっても、外キャップを閉塞方向に回転させる力は、内キャップに係合している係止体を介して、内キャップに伝達される。そのため、操作キャップを内キャップ及び外キャップに装着しない状態で、口部を閉塞する操作が可能となる。これにより、不正開封防止キャップ付き容器の操作性が向上し、また、例えば容器本体に内容物を充填した後に口部を閉塞する際などにおいても操作キャップを用いずに口部を閉塞できる。
【0009】
また、本発明の不正開封防止キャップ付き容器では、前記囲繞筒が、前記径方向で弾性変形可能であり、前記囲繞筒には、前記容器本体において前記容器軸を前記径方向で挟む両側に位置する部分に形成された一対の被装着部と各別に係止する一対の装着部が形成されてもよい。
この発明では、操作キャップを容器本体から取り外す際、容器本体に対して径方向のうち上記配列方向に垂直な方向で囲繞筒を押し込んで径方向の内側へ弾性変形させることにより、囲繞筒が径方向のうち上記配列方向に沿う外側へ膨出変形する。これにより、装着部と被装着部との係止状態が解除されまたは弱められ、操作キャップを容器本体から容易に取り外せるようになる。このため、容器本体に装着されている操作キャップが意図せず容器本体から取り外されることを防止でき、非対象者による意図しない開封をさらにより確実に防止できると共に、操作キャップの紛失をより確実に防止できる。
【0010】
また、本発明の不正開封防止キャップ付き容器では、前記囲繞筒の内周面と前記容器本体の外周面との間において、前記径方向のうち一対の前記装着部の配列方向に垂直な方向の両端に位置する部分に隙間が設けられてもよい。
この発明では、囲繞筒の内周面と容器本体の外周面との間に隙間が設けられているので、容器本体に対して径方向のうち上記配列方向に垂直な方向で囲繞筒を押し込んで径方向の内側へ弾性変形させやすくなる。このため、操作キャップを容器本体からより容易に取り外せるようになる。
【0011】
また、本発明の不正開封防止キャップ付き容器では、前記操作キャップが、前記容器本体の底部に着脱自在に装着されてもよい。
この発明では、操作キャップを例えば袴として容器本体の底部に装着することができ、例えば胴部に装着する場合と比較して、不正開封防止キャップ付き容器全体の外観を改善することができる。すなわち、胴部の外径が容器軸に沿う全長でほぼ一定である場合には、操作キャップを胴部に装着すると、操作キャップの厚さに応じて操作キャップを装着した状態の胴部の外径が増加してしまう。一方、操作キャップを装着した状態の胴部の外径が容器軸に沿う全長でほぼ一定であるようにする場合には、胴部に操作キャップの厚さに応じた凹部を形成する必要があり、操作キャップを取り外したときの胴部の外観に影響を及ぼしてしまう。また、胴部に印字など印刷されている場合には、操作キャップによって印字部分が隠されてしまうことがある。このように、容器本体のうち容器軸に沿う端部に位置する底部に操作キャップを装着することにより、底部に装着された操作キャップを目立ちにくくすることができ、不正開封防止キャップ付き容器全体の外観を改善できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる不正開封防止キャップ付き容器によれば、口部を開封するために、操作キャップを容器本体から取り外す操作と、操作キャップを内キャップ及び外キャップに装着して挿入体を内キャップと外キャップとの間に配設し、操作キャップを開封方向に回転させる操作と、を必要とするので、対象者による開封を許容した上で、非対象者による意図しない開封をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる不正開封防止キャップ付き容器を示す部分軸方向断面図である。
図2図1の不正開封防止キャップ付き容器を示すA−A部分断面拡大図である。
図3図1の不正開封防止キャップ付き容器を示すB−B部分断面拡大図である。
図4図1の不正開封防止キャップ付き容器を示すC−C部分断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による不正開封防止キャップ付き容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態にかかる不正開封防止キャップ付き容器1は、図1に示すように、内部に例えば液体が収容された有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に螺着された有頂円筒状の内キャップ4と、内キャップ4に取り付けられて内キャップ4を外側から囲む円筒状の外キャップ5と、容器本体2の底部6に着脱自在に装着された有底円筒状の操作キャップ7と、を備える。なお、容器本体2の内部に収容される内容物は、例えば誤飲、誤食を防止する必要がある薬液などが挙げられているが、薬液に限定されず、他の液体や粉体、粒体、錠剤など、適宜変更してもよい。また、内容物は、薬剤に限定されない。
【0015】
ここで、容器本体2、内キャップ4、外キャップ5及び操作キャップ7は、それらの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この中心軸線を容器軸Oと称し、図1においてこの容器軸Oに沿って容器本体2の底部6から口部3に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向、容器軸O回りで周回する方向を周方向とする。
【0016】
容器本体2は、円筒状の口部3と、口部3の下端に連設された円筒状の肩部8と、肩部8の下端に連設された円筒状の胴部9と、胴部9の下端開口部を閉塞する有底楕円筒状の底部6と、を有する。これら口部3、肩部8、胴部9及び底部6は、容器軸Oと同軸に配設されている。
口部3の外周面には、雄ネジ部が形成されている。
肩部8の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次拡径している。
【0017】
底部6の内径及び外径は、胴部9の内径及び外径よりも小径に形成されている。底部6の外周面のうち長軸側の部分には、径方向の外側に突出する一対の被装着突部(被装着部)6Aが形成されている。一対の被装着突部6Aは、容器軸Oを径方向で挟む両側に各別に形成されている。被装着突部6Aは、胴部9よりも径方向の外側へ突出していない。被装着突部6Aは、軸方向断面で、上端から下方に向かうにしたがって径方向の外側に向かうように傾斜する上傾斜面6Bと、上傾斜面6Bの下端から下方に向けてほぼ上下方向に延在する中間側面6Cと、中間側面6Cの下端から下方に向かうにしたがって径方向の内側に向かうように傾斜する下傾斜面6Dと、を有する。上傾斜面6Bの上端と下傾斜面6Dの下端とは、それぞれの径方向の位置がほぼ同じとなっている。また、上傾斜面6Bの容器軸Oに対する傾斜角は、下傾斜面6Dの容器軸Oに対する傾斜角よりも大きくなっている。
【0018】
内キャップ4は、二重筒状に形成されており、平面視で円状の天壁部11と、天壁部11の外周縁から下方に向けて連設された円筒状の外筒部12と、外筒部12よりも径方向の内側で天壁部11から下方に向けて連設された円筒状の内筒部13と、を有する。これら天壁部11、外筒部12及び内筒部13は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0019】
天壁部11の下面には、口部3の上端との間に介在される円板状のパッキン14が配設されている。
外筒部12の外周面には、図1から図3に示すように、径方向の外側に向けて突出する複数の被係止突部(被係止部)12Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。被係止突部12Aは、図1に示すように、外筒部12の上下方向の全長にわたって延在するリブであり、図2及び図3に示すように、横断面で略半円状をなしている。また、外筒部12の下端には、図1に示すように、径方向の外側に向けて突出する平面視で円環状のフランジ部15が全周にわたって形成されている。
内筒部13の内周面には、口部3に形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。なお、図2及び図3には、周方向のうち内キャップ4の口部3に対する開封方向A1及び閉塞方向A2を示している。
【0020】
外キャップ5は、図1に示すように、内キャップ4を上下方向の全長にわたって径方向の外側から囲んでおり、円筒状の周筒部21と、周筒部21の下端部に連設された円筒状の取付筒部22と、を有する。これら周筒部21及び取付筒部22は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0021】
周筒部21の下端は、フランジ部15の上面に当接しており、周筒部21は、天壁部11よりも若干上方まで延在している。また、周筒部21の内周面は、外筒部12の外周面から径方向で離間しており、周筒部21の外径は、フランジ部15の外径とほぼ同等となっている。このように、周筒部21と外筒部12との間には隙間が形成されているものの、内キャップ4を直接操作して内キャップ4を開封方向A1に回転させることは困難となっている。さらに、周筒部21の下端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出する爪部(係止体)23が設けられている。
【0022】
爪部23は、図3に示すように、周筒部21の内周面から突出する板状部材であり、周筒部21の内周面から径方向の内側に向かうにしたがって閉塞方向A2に向かうように延在している。そして、爪部23の自由端部は、被係止突部12Aのうち開封方向A1側の側面に当接しているまたは当接可能となっている。そのため、爪部23が被係止突部12Aのうち開封方向A1側の側面に当接している状態では、外キャップ5は、内キャップ4に対して閉塞方向A2に回転することができなくなっている。
【0023】
取付筒部22は、図1に示すように、周筒部21よりも径方向の外側に設けられている。取付筒部22の下端部は、フランジ部15よりも下方に位置しており、容器本体2の肩部8に近接している。また、取付筒部22の下端部には、径方向の内側に向けて突出し、フランジ部15に対して下方から係止する取付突部22Aが全周にわたって形成されている。
【0024】
操作キャップ7は、二重筒状に形成されており、平面視で円状の底板部31と、底板部31の外周縁から上方に向けて連設された円筒状の囲繞筒部(囲繞筒)32と、囲繞筒部32よりも径方向の内側で底板部31から上方に向けて連設された円筒状の挿入筒部(挿入体)33と、を有する。これら底板部31、囲繞筒部32及び挿入筒部33は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0025】
囲繞筒部32は、少なくとも径方向に弾性変形可能であり、囲繞筒部32の内径は、取付筒部22の外径及び底部6の長径よりも大径とされ、囲繞筒部32の外径は、胴部9の外径と同等となっている。そのため、図4(A)に示すように、底部6の短軸方向において、囲繞筒部32の内周面と底部6の外周面との間には、隙間が設けられている。
また、囲繞筒部32の上端部には、図1に示すように、一対の被装着突部6Aと各別に係止する貫通孔である一対の装着穴部(装着部)32Aが形成されている。一対の装着穴部32Aは、容器軸Oを径方向で挟む両側に各別に形成されている。ここで、装着穴部32Aの開口縁は、径方向に延在しており、被装着突部6Aは、装着穴部32Aから径方向の外側に突出していない。また、囲繞筒部32の上下方向の長さは、外キャップ5の上下方向の長さよりも長くなっている。
【0026】
挿入筒部33の内径及び外径は、外筒部12の外径よりも大径かつ周筒部21の内径よりも小径とされている。そのため、挿入筒部33は、外筒部12と周筒部21との間に挿入可能となっている。また、挿入筒部33の上端は、底部6に当接しており、挿入筒部33の上下方向の長さは、周筒部21における上端から爪部23の上端までの長さよりも若干短くなっている。
挿入筒部33の内周面には、図1及び図2に示すように、径方向の内側に向けて突出する複数の係止突部(係止部)33Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。係止突部33Aは、図1において仮想線で示すように、挿入筒部33の上下方向の全長にわたって延在するリブであり、図2において仮想線で示すように、横断面で台形状をなしている。そして、係止突部33Aは、周方向で隣り合う2つの被係止突部12A間の周方向の隙間に配設可能となっている。
【0027】
次に、以上のような構成の不正開封防止キャップ付き容器1の使用方法を説明する。
操作キャップ7を容器本体2に装着した状態では、外キャップ5が内キャップ4の上下方向の全長にわたって内キャップ4を径方向の外側から囲んでいるので、内キャップ4を直接操作して開封方向A1に回転させることが抑制されている。そのため、内キャップ4を口部3から取り外そうとすると、外キャップ5を開封方向A1に回転させることとなる。
しかし、外キャップ5を開封方向A1に回転させると、例えば図3に示すように、外キャップ5は、内キャップ4に対して開封方向A1に回転し、爪部23は、径方向の外側へ弾性変形しながら被係止突部12Aを乗り越え、被係止突部12Aを乗り越えた後に径方向の内側へ復元変形する。そのため、外キャップ5は、内キャップ4に対して空回りし、内キャップ4を開封方向A1に回転させることができない。これにより、非対象者による意図しない開封が防止される。
【0028】
口部3を開封するためには、まず、操作キャップ7を容器本体2から取り外す。ここで、図1に示すように、上傾斜面6Bの容器軸Oに対する傾斜角が下傾斜面6Dの容器軸Oに対する傾斜角よりも大きくなっており、また、装着穴部32Aの開口縁が径方向に延在しているので、操作キャップ7を容器本体2に対して単に下方へ引っ張っただけでは、容易には操作キャップ7を容器本体2から取り外しにくくなっている。これにより、操作キャップ7が容器本体2の底部6から意図せず取り外されてしまうことを抑制すると共に、操作キャップ7が紛失することを抑制する。
【0029】
しかし、図4(A)に示すように、底部6が楕円状の横断面を有する一方で囲繞筒部32が円状の横断面を有しているので、底部6の短軸方向において、囲繞筒部32の内周面と底部6の外周面との間には、隙間が形成されている。そこで、図4(B)に示すように、囲繞筒部32のうち底部6における短軸方向の両側に位置する部分を把持して径方向の内側に押して弾性変形させる。これにより、囲繞筒部32のうち底部6における長軸方向の両側に位置する部分が径方向の外側に向けて膨出するように弾性変形し、被装着突部6Aと装着穴部32Aとの係止状態が解除される、または、図4(B)に示すように、上面視で被装着突部6Aの装着穴部32Aへの進入量が小さくなって被装着突部6Aと装着穴部32Aとの係止状態が弱められる。この状態で操作キャップ7を容器本体2に対して下方へ引くと、装着穴部32Aは、被装着突部6Aを容易に乗り越える。これにより、操作キャップ7は、容器本体2から取り外される。
なお、囲繞筒部32のうち底部6よりも下側に位置する部分のうち底部6における短軸方向の両側に位置する部分を径方向の内側に押し込んで弾性変形させてもよい。このように囲繞筒部32を押し込んでも、囲繞筒部32のうち底部6における長軸方向の両側を径方向の外側に向けて膨出するように弾性変形させることができる。
【0030】
続いて、取り外した操作キャップ7を上下反転させ、図1において仮想線で示すように、操作キャップ7を内キャップ4に取り付ける。操作キャップ7を内キャップ4に取り付けると、操作キャップ7の囲繞筒部32は、外キャップ5を径方向の外側から外キャップ5の上下方向の全長にわたって囲繞し、操作キャップ7の挿入筒部33は、内キャップ4の外筒部12と外キャップ5の周筒部21との間に挿入される。ここで、係止突部33Aは、図2に示すように、周方向で隣り合う2つの被係止突部12A間の周方向の隙間に配設され、被係止突部12Aと周方向で係止される。この状態で操作キャップ7を開封方向A1に回転させると、内キャップ4は、操作キャップ7と一体となって開封方向A1に回転し、容器本体2の口部3から取り外される。このようにして、容器本体2の口部3を開封する。
なお、外キャップ5は、爪部23の自由端部が被係止突部12Aのうち開封方向A1側の側面に係止している。そのため、外キャップ5は、内キャップ4に対して閉塞方向A2に回転できず、内キャップ4が操作キャップ7と一体となって開封方向A1に回転している間、内キャップ4と共に開封方向A1に回転する。
【0031】
ここで、操作キャップ7の囲繞筒部32が内キャップ4の外筒部12よりも径方向の外側に配設されているので、操作キャップ7を操作して周方向に回転させることにより、内キャップ4を直接操作する場合と比較して内キャップ4に周方向への力を掛けやすくなっている。特に、咳止めシロップのような液状の内容物の場合には、液状の内容物が口部の外周面に付着して乾燥、固化すると、内キャップ4の口部3に対する開栓トルクが上昇してしまう。また、内キャップ4を口部3に締めすぎた場合も、内キャップ4を口部3に対して周方向に回転させにくくなってしまう。このような場合であっても、操作キャップ7を操作することによって内キャップ4に力を掛けやすくなる。一方、囲繞筒部32の外径が内キャップ4及び外キャップ5の外径よりも大径とされているので、内キャップ4を直接操作する場合と比較して、例えば乳幼児や子供のような手が小さい非対象者によって操作されにくくすることができる。
【0032】
容器本体2の口部3を開封した後、例えば容器本体2を傾けるなどして容器本体2内の内容物を適宜取り出す。その後、操作キャップ7を閉塞方向A2に回転させ、内キャップ4を操作キャップ7及び外キャップ5と共に容器本体2の口部3に装着する。
次に、操作キャップ7を内キャップ4及び外キャップ5から離脱させ、容器本体2の底部6に装着する。ここで、図1に示すように、上傾斜面6Bの容器軸Oに対する傾斜角が下傾斜面6Dの容器軸Oに対する傾斜角よりも大きくなっており、また、装着穴部32Aの開口縁が径方向に延在しているので、操作キャップ7の装着穴部32Aの開口縁は、被装着突部6Aの上傾斜面6Bを乗り越える際よりは容易に被装着突部6Aの下傾斜面6Dを乗り越える。これにより、操作キャップ7は、容器本体2の底部6の短軸方向における両側に位置する部分を把持して径方向の内側に弾性変形させることなく、容易に底部6に装着される。
【0033】
なお、操作キャップ7を用いずに、外キャップ5を操作して外キャップ5を閉塞方向A2に回転させることによって、容器本体2の口部3を閉塞してもよい。爪部23の自由端部は、被係止突部12Aのうち開封方向A1側の側面に当接しているので、外キャップ5を閉塞方向A2に回転させても、外キャップ5は、空転せず、内キャップ4は、外キャップ5と一体となって閉塞方向A2に回転する。
以上のようにして、不正開封防止キャップ付き容器1を使用する。
【0034】
以上、本実施形態にかかる不正開封防止キャップ付き容器1によれば、いったん操作キャップ7を容器本体2の底部6から取り外し、その後、操作キャップ7を内キャップ4及び外キャップ5に取り付けて挿入筒部33を内キャップ4と外キャップ5との間に挿入することによって、内キャップ4を開封方向A1に回転させることができる。このように、不正開封防止キャップ付き容器1では、容器本体2において外キャップ5とは上下反対側に装着されている操作キャップ7を底部6から取り外す必要があるため、従来の不正開封防止キャップのように単に外キャップを把持しただけで内キャップを開封方向に回転させることができてしまうことを防止できる。
また、操作キャップ7の挿入筒部33を内キャップ4及び外キャップ5に取り付けない場合には、外キャップ5を開封方向A1に回転させても、外キャップ5が内キャップ4に対して開封方向A1で空転する。さらに、操作キャップ7を容器本体2の底部6に装着することにより、外キャップ5に対して開封方向A1に回転する力が意図せず加わっても、口部3が開封されることが防止される。
したがって、対象者による開封を許容した上で、非対象者による意図しない開封をより確実に防止できる。
【0035】
さらに、爪部23が被係止突部12Aのうち開封方向A1側の側面に係止しているので、外キャップ5を閉塞方向A2に回転させることによっても、口部3を閉塞できる。これにより、不正開封防止キャップ付き容器1の操作性が向上する。
その上、一対の被装着突部6A及び一対の装着穴部32Aが径方向のうち底部6の長軸方向に配列されているので、囲繞筒部32を底部6に対して底部6の短軸方向に押し込むことによって、囲繞筒部32が底部6の長軸方向に膨出変形して装着穴部32Aと被装着突部6Aとの間の係止状態が解除されるまたは弱められる。これにより、容器本体2の底部6に装着されている操作キャップ7が意図せず底部6から取り外されることを防止し、非対象者による意図しない開封をさらにより確実に防止できると共に、操作キャップ7の紛失をより確実に防止できる。ここで、底部6の短軸方向において囲繞筒部32の内周面と底部6の外周面との間に隙間が設けられているので、囲繞筒部32を底部6に対して押し込んだときに囲繞筒部32が弾性変形しやすくなり、操作キャップ7を底部6からより容易に取り外せるようになる。
また、容器本体2の下端部に位置する底部6に操作キャップ7を装着しているので、胴部9に操作キャップ7を装着する場合と比較して、不正開封防止キャップ付き容器1全体の外観を改善することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、容器本体は、単層のボトル型容器に限らず、例えば二重容器等の積層型容器であってもよく、パウチ容器であってもよい。また、容器本体における胴部の形状としては、例えば横断面視で円形状、楕円状または六角形などの角形状であってもよく、特定の形状に限定されるものではない。底部の形状についても同様である。すなわち、底部の外周面と囲繞筒部の内周面との間に隙間が設けられていなくてもよい。このような場合であっても、囲繞筒部のうち底部よりも下方に突出している部分を径方向のうち上記配列方向に垂直な方向に位置する部分を径方向の内側に押し込んで弾性変形させることにより、装着穴部と被装着突部との係止を解除するまたは係止状態を弱めることができる。
【0037】
装着穴部及び被装着突部は、操作キャップ及び底部に各別に一対形成されているが、3つ以上形成されてもよく、または、1つのみ形成されていてもよい。ここで、装着穴部の数と被装着突部の数とは、一致していなくてもよい。また、装着部の形状は、囲繞筒部を貫通する貫通孔に限らず、被装着部と係止可能であれば、装着凹部など、他の形状であってもよい。同様に、被装着部は、径方向の外側に向けて突出する被装着突部に限らず、装着部と係止可能であれば、他の形状であってもよい。さらに、装着部及び被装着部を形成しなくてもよい。
【0038】
係止突部は、挿入筒部の内周面に等間隔をあけて複数設けられているが、少なくとも1つ設けられていればよい。また、係止部の形状は、被係止部と周方向で係止可能であれば、径方向の内側に向けて突出する係止突部に限らず、係止凹部など、他の形状であってもよい。同様に、被係止突部は、外筒部の外周面に周方向に等間隔をあけて複数設けられているが、少なくとも1つ設けられていればよい。また、被係止部の形状は、径方向の外側に向けて突出する被係止突部に限らず、係止部と周方向で係止可能であれば、他の形状であってもよい。
【0039】
係止体は、被係止突部に対して閉塞方向に係止する爪部として形成されているが、内キャップの他の部分に対して閉塞方向に係止するように構成されてもよく、爪部以外の他の形状を有してもよい。また、係止体は、複数設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
操作キャップは、内キャップ及び外キャップに取り付けたときに内キャップ及び外キャップを上側及び径方向の外側から覆っているが、囲繞筒部と挿入筒部とが一体となって周方向に回転することができれば、内キャップ及び外キャップを上側から覆っていなくてもよい。また、操作キャップは、容器本体のうち内キャップ及び外キャップによって覆われている口部以外の部分に位置する装着部分であれば、胴部や肩部など、底部以外の他の部分に装着されてもよい。なお、操作キャップを胴部や肩部に装着する場合には、操作キャップは、例えば横断面で略C字状をなしている。
【0040】
囲繞筒は、外キャップを上下方向の全長にわたって径方向の外側から囲んでいるが、外キャップよりも径方向の外側に配設可能であればよく、外キャップを上下方向の全長にわたって径方向の外側から囲む必要はない。また、囲繞筒は、外キャップを径方向の外側から全周にわたって覆うことが可能なように形成されていなくてもよい。
挿入体は、内キャップと外キャップとの間に配設されて内キャップと周方向で係止可能であれば、筒状をなしていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明によれば、非対象者による開封をより確実に防止できる不正開封防止キャップに関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0042】
1 不正開封防止キャップ付き容器、2 容器本体、3 口部、4 内キャップ、5 外キャップ、6 底部、7 操作キャップ、6A 被装着突部(被装着部)、12A 被係止突部(被係止部)、23 爪部(係止体)、32 囲繞筒部(囲繞筒)、32A 装着穴部(装着部)、33 挿入筒部(挿入体)、33A 係止突部(係止部)
図1
図2
図3
図4