(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の走査型内視鏡では、走査ユニットの周方向に検出用の光ファイバが輪帯状に配列されているので、外径寸法が比較的大きくなり、患者の体内に挿入する際の侵襲性が高いという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、患者の体内に挿入する際の侵襲性を低減し、被写体から戻る、照明光と略同等波長の光を観察することができる走査型内視鏡システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の
参考例としての発明の一態様は、患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光を検出する光検出部とを備え
る走査型内視鏡システムである。
【0006】
本態様によれば、光源部から発せられた照明光が光走査部において走査され、患者の体内に挿入された照明光射出部から体内の被写体に向けてスポット状に射出されると、被写体における反射光が被写体を覆う媒質を透過して患者の体外に放出され、体表に配置されている光検出部により検出される。
被写体の走査位置からの反射光を検出する光検出部を照明光射出部とは分離して体外に配置するので、患者の体内に挿入する部分を細径化でき、患者への侵襲性を低減しつつ、被写体から戻る反射光を観察することができる。
【0007】
上記態様においては、前記光検出部が、前記照明光と略同等の波長の前記反射光を検出してもよい。
上記態様においては、前記光源部を備え、該光源部が、波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を備えていてもよい。
【0008】
本発明の第1態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光を検出する光検出部とを備え、各前記光源から射出される照明光の光量バランスが、前記被写体から前記光検出部までの前記反射光の波長毎の透過率が大きくなるほど小さくなるように決定されてい
る走査型内視鏡システムである。
このようにすることで、光源部の各光源から発せられた照明光が体内の被写体において反射された後、被写体を覆う媒質を透過して患者の体表に配置されている光検出部により検出される。被写体における反射光は媒質を透過する際に減衰させられるが、透過の程度は波長毎に相違する。
【0009】
本発明の第2態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光を検出する光検出部とを備え、各前記光源から射出される照明光の光量バランスが、前記被写体から前記光検出部における波長毎の受光感度が大きくなるほど小さくなるように決定され
る走査型内視鏡システムである。
このようにすることで、光検出部の波長毎の受光感度が異なっても、受光感度に応じた光量バランスの照明光を各光源から射出することにより、さらに適正な光量バランスの反射光を検出することができる。
【0010】
本発明の第3態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光を検出する光検出部とを備え、各前記光源から射出される照明光の光量バランスが、前記被写体から前記光検出部までの前記反射光の透過率と前記光検出部における受光感度とを波長毎に乗算した値が大きくなるほど小さくなるように決定され
る走査型内視鏡システムである。
【0011】
本発明の第4態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、
患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光
を波長毎に検出する複数
の光検出部とを備え
、各々の前記光検出部における前記反射光の波長毎の受光面積が、前記被写体から前記光検出部までの前記反射光の波長毎の透過率が大きくなるほど小さくなるように決定され
る走査型内視鏡システムである。
【0012】
このようにすることで、光源部の各光源から発せられる照明光の光量を均等にしても、被写体を覆う媒質の波長毎の透過率が大きくなるほど小さくなるように決定された波長毎の受光面積を有する光検出部により、適正な光量バランスの反射光を検出することができ、色再現性の高い画像による観察を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の第5態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、
患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光
を波長毎に検出する複数
の光検出部とを備え
、各々の前記光検出部における前記反射光の波長毎の受光面積が、前記光検出部における波長毎の受光感度が大きくなるほど小さくなるように決定され
る走査型内視鏡システムである。
【0014】
本発明の第6態様は、
波長の異なる複数の照明光を射出する複数の光源を有する光源部と、
患者の体内に挿入されて、光源部から発せられた照明光を体内の被写体に向けてスポット状に射出する照明光射出部と、前記照明光を前記被写体上で走査させる光走査部と、前記患者の体表に配置されて、前記光走査部により前記照明光が走査された前記被写体の走査位置からの反射光
を波長毎に検出する複数
の光検出部とを備え
、各々の前記光検出部における前記反射光の波長毎の受光面積が、前記被写体から前記光検出部までの前記反射光の透過率と前記光検出部における受光感度とを波長毎に乗算した値が大きくなるほど小さくなるように決定され
る走査型内視鏡システムである。
【0015】
上記態様においては、前記光検出部が、前記反射光の波長帯域の光のみを透過させるバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタを透過した光を検出する検出器とを備えていてもよい。
このようにすることで、反射光の波長帯域以外の波長を有する光が検出器により検出されることを防止して、SN比の高い画像を取得することができる。
【0016】
上記態様においては、前記光検出部が、前記照明光射出部から射出された照明光を遮断し、前記被写体の走査位置からの反射光を透過させる偏光部材を備えていてもよい。
このようにすることで、照明光射出部から射出され被写体の走査位置において反射されることにより偏光が変化した反射光のみが偏光部材を透過して検出され、照明光射出部から射出された照明光が光検出部によって直接検出されることを防止して、SN比の高い画像を取得することができる。
【0017】
上記態様においては、前記光源の少なくとも1つが、赤外または近赤外の照明光を射出してもよい。
このようにすることで、被写体を覆う媒質が厚い場合にも、媒質における透過率の大きい赤外光または近赤外光については、光検出部により検出でき、被写体の構造を鮮明に観察することができる。
【0018】
上記態様においては、前記光検出部と、該光検出部により検出された前記反射光に基づく信号を送信する送信部とを備える第2内視鏡システムと、前記照明光射出部と、前記送信部により送信された前記信号を受信する受信部と、該受信部により受信された前記信号から画像を生成する画像形成部とを備えていてもよい。
このようにすることで、光検出部により検出された被写体における反射光の強度情報を送信部によって第2内視鏡システムから第1内視鏡システムに信号で発信する。そして、第1内視鏡システムの受信部が第2内視鏡システムの送信部からの信号を受信し、受信された信号が画像形成部に入力して画像を生成する。すなわち、第1および第2内視鏡システム間を無線接続することにより、第1内視鏡システムに依存せず、コードが絡まる等の問題もなく、操作の自由度をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、患者の体内に挿入する際の侵襲性を低減し、被写体から戻る、照明光と略同等波長の光を観察することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る走査型内視鏡システム1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る走査型内視鏡システム1は、
図1および
図2に示されるように、患者に挿入される挿入部(照明光射出部)2と、挿入部2に接続された光源部3と、患者の体表面Cに接触状態に配置される光検出部4を備え、被写体Aの画像を取得する画像取得部5と、挿入部2、光源部3および画像取得部5を制御する制御部6と、画像取得部5により取得された画像を表示するディスプレイ7とを備えている。
【0022】
挿入部2は、挿入部2の中心部に配置され、光源部3からの光を導光するシングルモードファイバからなる光ファイバ8と、該光ファイバ8の先端部に設けられ、光ファイバ8の射出端8aを振動させて該射出端8aから射出される光を2次元的に走査させる光走査部9と、光ファイバ8の射出端8aから射出された照明光を集光して被写体Aにスポットを形成する照明レンズ10と、これらを被覆する円筒状の保護部材11とを備えている。
光走査部9は、例えば、圧電素子であって、入力される電圧に応じて屈曲振動を発生させ光ファイバ8の射出端8aを光軸に交差する方向に2次元的に振動させることができるようになっている。
【0023】
第1挿入部2について、
図3から
図5を用いて詳細に説明する。
光走査部9は、例えば、アクチュエータであり、
図3および
図4に示されるように、振動伝達可能な部材で構成され、光ファイバ8を保持する光ファイバ保持部材91と、該光ファイバ保持部材91の外周に配置される圧電素子92a,92b,92c,92dと、該圧電素子92a,92b,92c,92dおよび光ファイバ保持部材91を被覆するアクチュエータ管93と、該アクチュエータ管93を保護部材11に固定する取付環94とを備えている。
【0024】
光ファイバ8は、
図4に示されるように、光ファイバ保持部材91により支持され、光ファイバ保持部材91から射出端8aまでが圧電素子92a,92b,92c,92dにより振動させられる揺動部8bとなっている。
光ファイバ保持部材91は、
図4および
図5に示されるように、四角柱状であり、4つの側面がそれぞれ光ファイバ8の射出端8aにおける光の射出方向(光軸方向)に垂直であると共に互いに直交している。すなわち、光ファイバ保持部材91の4つの側面は、
図4に示されるように+z方向に垂直であり、且つ、
図5に示されるように互いに直交するように+x方向、+y方向、−x方向、−y方向に向いている。
【0025】
そして、光ファイバ保持部材91の+y方向及び−y方向にはy方向駆動用の一対の圧電素子92a,92cが、+x方向及び−x方向にはx方向駆動用の一対の圧電素子92b,92dが固定されている。光ファイバ保持部材91を挟んで対向配置された一対の圧電素子は、一方が伸びるときに他方が縮むことで光ファイバ保持部材91に撓みを生じさせ、これを交互に繰り返すことによりx方向、y方向夫々の振動を生じさせて光ファイバ8の射出端8aを2次元的に走査させることができる。このように振動させられた光ファイバ8の射出端8aから射出された照明光が、照明レンズ10によって観察対象に集光される。
【0026】
光源部3は、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ発生する3つのレーザダイオード等のレーザ光源(光源)12a,12b,12cと、該レーザ光源12a,12b,12cからの3色の光を合波して光ファイバ8に導光する光結合部13とを備えている。光結合部13は、ファイバ型コンバイナや、ダイクロックプリズム等を用いて構成される。
【0027】
光検出部4は、例えば、
図6に示されるように、複数のアバランシェフォトダイオード(検出器)14をアレイ状に配列した粘着シートであって、アバランシェフォトダイオード14の受光面14aが、患者の体表面Cを向くように貼り付けられる。アバランシェフォトダイオード14の受光面14a側には、
図7に示されるように、透明部40が設けられ、該透明部40によってアバランシェフォトダイオード14の受光面14aを保護している。各アバランシェフォトダイオード14は、光源部3から射出される照明光の全波長帯域に感度を有している。
【0028】
透明部40は、アバランシェフォトダイオード14の受光面14aに密着して設けられ、体表面Cからの光を透過可能な部材からなる第1の透明部材41(例えば、ガラスや樹脂等)と、アバランシェフォトダイオード14の受光面14aに密着している面と反対側の面に密着して設けられる第2の透明部材42とからなる。
【0029】
第2の透明部材42は、体表面Cからの光を透過しつつ体表面Cに密着可能な部材が好ましく、例えば透明フィルムである。複数枚の透明フィルムで構成された第2の透明部材42は、観察時には表面全体を患者の体表面Cに貼り付けて使用し、観察が終了した後には使い捨て可能であり、次回観察時には体表面Cに貼り付けた1枚の透明フィルムをはがし、露出した新しい透明フィルムを体表面Cに貼り付ける。
【0030】
画像取得部5は、アバランシェフォトダイオード14の受光面14aにおいて検出された反射光の強度に基づいたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ15と、該A/Dコンバータ15からの出力に基づいて画像を形成する画像形成部16とを備えている。
【0031】
制御部6は、3つのレーザ光源12a,12b,12cの点灯タイミングを制御するとともに、光走査部9による各レーザ光源12a,12b,12cからの照明光の走査位置を制御するようになっている。さらに、制御部6は、挿入部2から射出される照明光の走査位置情報を画像形成部16に送るようになっている。
【0032】
画像形成部16は、A/Dコンバータ15から出力された反射光の強度情報と、制御部6から送られてきた照明光の走査位置情報とに基づいて画像を形成するようになっている。画像形成部16により形成された画像はディスプレイ7に送られるようになっている。
【0033】
このように構成された本実施形態に係る走査型内視鏡システム1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る走査型内視鏡システム1を用いて患者の体内の観察を行うには、まず、粘着シートからなる光検出部4を患者の体表に貼り付け、次いで、挿入部2を体内に挿入する。
【0034】
挿入部2を体内に挿入する場合には、制御部6の作動により、3つのレーザ光源12a,12b,12cから3種類の照明光を所定の発光順序(例えばR、G、Bの順序)で順次射出させるとともに、制御部6からの指令信号によって光走査部9を制御して、照明光の走査位置を順次変化させる。例えば、光走査部9の作動によって、挿入部2に設けられた光ファイバ8の射出端8aをスパイラル状に移動させることにより、照明光のスポットを被写体A上においてスパイラル状の軌跡上に配列するように照射させる。
【0035】
レーザ光源12a,12b,12cから照明光が射出されると、
図1に示されるように、体内の被写体A上の各走査位置における反射光が、被写体Aを被覆している体組織(媒質)を透過して体表から外側に射出されるようになり、その一部が、予め体表に貼り付けられている光検出部4のアバランシェフォトダイオード14の受光面14aに入射して検出される。光検出部4により検出された反射光の強度情報は、A/Dコンバータ15によってデジタル信号に変換された後に画像形成部16に送られる。
【0036】
画像形成部16には、制御部6から、当該反射光の強度情報に対応する照明光のスポットの被写体A上における走査位置の情報が送られてきているので、画像形成部16は、当該走査位置に対応させて、検出された反射光の強度情報を配置していくことにより、2次元的なカラー画像を生成することができる。
【0037】
この場合において、本実施形態に係る走査型内視鏡システム1によれば、光検出部4を、体内に挿入する挿入部2から分離して体表に貼り付けている。したがって、
図8に比較例として示される従来の挿入部101と比較して、
図9に示されるように、挿入部2における受光用の光ファイバ102を無くして、挿入部2の外径を細くすることができ、患者への侵襲性を低減することができるという利点がある。
【0038】
なお、本実施形態においては、挿入部2から射出された照明光の被写体Aにおける反射光を患者の体外において検出するものであり、照明光の波長と略同等の波長の光を検出するものである。被写体Aから戻る照明光と略同一波長の光を検出できるため、照明光の波長で得られた情報を直接的に観察することができ、精度が良い画像を得ることができる。また、光の損失が少なく、明るい画像を得ることもできる。
このため、以下のように構成されていることが好ましい。
【0039】
第1に、光源部3の各レーザ光源12a,12b,12cから射出される照明光の光量が、体組織における反射光の透過率に応じて決定されていることが好ましい。
すなわち、体内の被写体Aは体組織(媒質)によって覆われており、被写体Aにおける反射光は体組織を透過した後に、光検出部4により検出される。反射光は、体組織を透過する間に減衰させられるが、その透過率は波長に応じて異なっている。このため、全ての波長について均一な光量の照明光を照射したのでは、光検出部4により検出される時点での反射光の光量バランスが悪くなる。
【0040】
具体的には、体組織における反射光の透過率は、
図10に示されるように、赤色光R(波長約600nm)に対して0.3、緑色光G(波長約540nm)に対して0.2、青色光B(波長約430nm)に対して0.1である。レーザ光源12a,12b,12cから射出される照明光の光量バランスを波長毎の透過率に応じて決定する。具体的には、透過率が大きい波長ほど照明光の光量を小さく、透過率が小さい波長ほど照明光の光量を大きくする。そこで、RGB3色の各レーザ光源12a,12b,12cから射出する照明光の光量比を、R:G:B=3.3:5:10とする。このようにすることで、適正な光量バランスの反射光を検出し、最も透過率の小さな青色光におけるSN比(SNR:信号対雑音比)が向上して画質を向上させることができるとともに、色再現性の高い画像を取得することができるという利点がある。
【0041】
本実施例では、各波長毎の透過率の比R:G:B=3:2:1の逆数すなわちR:G:B=1/3:1/2:1となるように光量比を設定したが、これに限らず、透過率が大きい波長ほど照明光の光量を小さく、透過率が小さい波長ほど照明光の光量を大きくすればよいのであり、例えばその2乗の比R:G:B=1/9:1/4:1、平方根の比R:G:B=1/√3:1/√2:1と設定しても構わない。以降の実施例でも、光量バランスや面積比を設定する場合、その要因となるパラメータ(透過率、感度)の波長毎の相対的な大小関係に応じて設定すればよい。その際も具体的な数値の決め方は、この実施例(透過率に応じて光量バランスを設定)のように、単純な反比例に限らず、2乗や平方根などに応じて設定してよい。
【0042】
例えば、光源装置に上限がある場合などは、この比に正確に合致させる必要はなく、上限以下の値と設定してもよい。具体的には、各波長の透過率の比が、R:G:B=3:2:1であったとき、
透過率の比の逆数すなわち、R:G:B=1/3:1/2:1となるように光量比を設定すると、3.3mW、5.0mW、10mWとなるが、光源の上限が8mWだったときは、3.3mW、5.0mW、8.0mWとしても各波長の大小関係は保たれているので問題ない。
【0043】
上記のように各レーザ光源12a,12b,12cからの照明光の光量比を設定する方法を
図11A、
図11B及び
図11Cに示す。
図11Aの画素毎に3色の照明光の射出を順次切り替えるTDM(時分割多重)方式、
図11Bの3色の照明光を常時射出するCW方式、
図11Cのフレーム毎に3色の照明光の射出を順次切り替える面順次方式のいずれにおいても、各レーザ光源12a,12b,12cから射出される照明光の光量比が上記比率となるように設定する方法を採用すればよい。
【0044】
また、CW方式では、光検出部4において各波長を分離して検出する必要があるため、波長の分離に用いる波長毎の光学フィルタと、分離した光のそれぞれの成分を検出するための波長毎のアバランシェフォトダイオード14とが必要となる。
光検出部4により検出された波長毎の反射光の強度情報は、A/Dコンバータ15によってデジタル信号に変換された後に画像形成部16に送られる。
【0045】
画像形成部16には、制御部6から、当該波長毎の反射光の強度情報に対応する照明光のスポットの被写体A上における走査位置の情報が送られてきているので、画像形成部16は、当該走査位置に対応させて、検出された反射光の色と強度情報を配置していくことにより、2次元的なカラー画像を生成することができる。
【0046】
第2に、光源部3の各レーザ光源12a,12b,12cから射出される照明光の光量が、光検出部4の検出器14における受光感度に応じて決定されていることが好ましい。
すなわち、アバランシェフォトダイオード14のような検出器においては、
図12に示されるように波長毎に受光感度が異なっている。このため、全ての波長について均一な光量の照明光を照射したのでは、光検出部4により検出される反射光の光量バランスが悪くなる。
【0047】
具体的には、検出器14における波長毎の受光感度は、
図12に示されるように、R:G:B=1.0:0.9:0.8である。上述したように体組織における透過率がR:G:B=0.3:0.2:0.1であるので、これらを掛け合わせて逆数を算出することにより、RGB3色の各レーザ光源12a,12b,12cから射出する照明光の光量比を、R:G:B=1/0.3:1/0.18:1/0.08とする。このようにすることで、透過率が最も小さく、かつ受光感度が最も低い青色光におけるSN比が向上して画質をさらに向上させることができ、色再現性もさらに向上することができるという利点がある。
【0048】
例えば、照明光量の総量に上限が設けられているようなシステムでは、光量を無制限に増やすことができないため、各色の光量を適切に割り振る必要がある。このときにSN比が最も悪くなりやすい色に多くの光量を割り当てることで、その色のSN比を改善することができ、カラー画像にした際にSN比が極端に悪いものがなくなるため、画質を向上させることができる。
【0049】
第3に、光検出部4における検出器が複数のアバランシェフォトダイオード14をアレイ状に配列している場合に、異なる波長に受光感度を有する3種類のアバランシェフォトダイオード14(例えば、3種類のフィルタ(R用、G用、B用)をアバランシェフォトダイオード14の受光面に取り付けたもの)の個数の比率、すなわち受光面積の比率が体組織における反射光の透過率に応じて決定されていることが好ましい。
具体的には、上の例において、体組織における透過率が、R:G:B=0.3:0.2:0.1である場合、逆数をとって、アバランシェフォトダイオード14の個数比を、
図13に示されるように、R:G:B=2:3:6とする。このようにすることで、光源部3から均一な光量の3色の照明光が射出された場合においても、透過率が最も小さい青色光におけるSN比が向上して画質を向上することができ、色再現性も向上することができるという利点がある。なお、このとき、波長毎に光検出部4を設け、波長毎に反射光を合算して検出する。
【0050】
また、受光面積の比率が、光検出部4の検出器14における受光感度に応じて決定されていてもよい。このようにすることで
、光源部3から均一な光量の3色の照明光が射出された場合においても、透過率が最も小さい青色光におけるSN比が向上して画質を向上することができ、色再現性も向上することができるという利点がある。
【0051】
さらに、受光面積の比率が、受光感度と透過率を掛け合わせて決定されていてもよい。この場合も、光源部3から均一な光量の3色の照明光が射出された場合においても、透過率が最も小さい青色光におけるSN比が向上して画質を向上することができ、色再現性も向上することができるという利点がある。
【0052】
第4に、
図14に示されるように、光検出部4の前段に、照明光の波長帯域の光を透過し、それ以外の波長帯域の光を遮断するバンドパスフィルタ18が配置されていることが好ましい。このようにすることで、照明光の波長帯域以外の波長を有する外光や迷光を遮断することができ、ノイズの少ない画像を取得することができる。
【0053】
体組織から放出する被写体Aからの反射光は、体表面Cから拡散するので、バンドパスフィルタ18は、体表面Cに近接していることが好ましい。また、体表面Cからの拡散光を、光検出部4に集光させるための光学系を、体表面Cとバンドパスフィルタ18の間に配置してもよいし、体表面Cからの拡散光を、光検出部4へ導く、光検出用の光ファイバを、体表面Cとバンドパスフィルタ18の間へ配置してもよい。
【0054】
第5に、
図15および
図16に示されるように、照明光を射出する挿入部2の先端に、照明光を透過させる際に偏光方向を第1偏光方向に揃える第1偏光部材(偏光部材)20を設け、光検出部4の前段に、第1偏光方向を有する照明光を遮断し、他の偏光方向を有する照明光を透過させる第2偏光部材(偏光部材)21を備えていることが好ましい。第1偏光部材20は、例えば、λ/2板、第2偏光部材21は偏光ビームスプリッタである。なお、光検出部4およびバンドパスフィルタ18は複数個所に設けられている。
【0055】
このようにすることで、挿入部2の挿入角度によって、挿入部2から射出され被写体Aに照射されることなく直接光検出部4に入射する照明光を第2偏光部材21によって遮断することができる。一方、被写体Aにおいて反射された反射光は、反射時に生体散乱の影響を受けて偏光状態が変化するため、第2偏光部材21を通過して、光検出部4により検出することができる。これにより、被写体Aを経由せずに直接入射する照明光の検出を防止して、ノイズの少ない画像を取得することができる。ここで、照明用の光ファイバ8からの照明光が、もともと直線偏光性を持っている、または照明用の光ファイバ8を偏波保存ファイバに変えれば、第1偏光部材20を設けることは必ずしも必要ではない。
【0056】
また、被写体Aの表面が、比較的、鏡面状で平坦である場合、第1偏光部材20をλ/4板、第2偏光部材21を直線偏光板としてもよい。照明用の光ファイバ8からの照明光をλ/4板20により、円偏光として、被写体Aを照明すると、被写体Aからの反射光はp偏光に比べ、s偏光成分が多くなる。光検出部4に設けた直線偏光板21の向きを、p偏光は遮断し、s偏光を透過させる方向に設置すれば、被写体Aからの反射光を透過させ、被写体Aに照射されることなく直接光検出部4に入射する照明光のうち、p偏光成分を遮断することができる。よって、第1偏光部材20および第2偏光部材21を設置する前に比べ、ノイズの少ない画像を取得することができる。
【0057】
第6に、光源部3が、レーザ光源12a,12b,12cとしてRGB3種類を備えることに加えて、近赤外あるいは赤外の照明光を射出するレーザ光源を備えていてもよい。
このようにすることで、被写体Aを被覆する体組織が厚い場合に、RGBの波長帯域の反射光が大きく減衰してしまうので、そのような場合にも透過率の高い近赤外あるいは赤外の反射光を検出して、被写体Aの構造を鮮明に可視化することができるという利点がある。
【0058】
また、本実施形態においては、光走査部9として圧電素子92a,92b,92c,92dを用いたものを例示したが、照明光を走査する方式はこれに限定されるものではなく、電磁誘導方式あるいはガルバノミラーを用いたものを採用してもよい。
また、光検出部4としてアバランシェフォトダイオード14をアレイ状に配列した粘着シートを例示したが、これに代えて、ファイババンドルの受光端を透明な粘着材によって患者の体表に接着させることにしてもよい。この場合には、光検出部4は1つで済む。
【0059】
光検出部4としてファイババンドルの受光端を体表に設置した場合、上述した種々の実施例で説明した波長毎の受光面積の調整を行うためには、バンドル端面の面積の大小を調整すればよい。
【0060】
また、本実施形態においては、第2の透明部材42の表面全体を体表面Cに直接接触させて貼り付けるものを例示したが、これに代えて、
図17に示されるように、第1の透明部材41の縁回りのみに貼り付けられるようなものを用いてもよい。この場合、第2の透明部材42を体表面Cに密着させて貼り付けると、体表面Cと第1の透明部材41との間に隙間ができるようになっている。
また、第2の透明部材42として、複数枚の透明フィルムからなるものを例示したが、単一の透明フィルムであってもよい。
【0061】
また、照明光を射出する挿入部2と、反射光を検出する光検出
部4とは有線で接続されていてもよいが、
図18に示されるように、無線でデジタル信号の送受信を行うことにしてもよい。
具体的には、挿入部2、光源部3、制御部6、画像形成部16、受信部25を備える第1内視鏡システム(走査型内視鏡システム)23と、光検出部4、A/Dコンバータ15および送信部26を備える第2内視鏡システム24と、ディスプレイ7とを備える走査型内視鏡システム22を採用してもよい。
【0062】
第2内視鏡システム24は、挿入部2に射出された被写体上における反射光が光検出部4によって検出され、検出された反射光の強度情報がA/Dコンバータ15によりデジタル信号に変換されて送信部26に送られるようになっている。
送信部26は、A/Dコンバータ15から送られてきたデジタル信号を発信する。そして、送信部26が発信したデジタル信号が第1内視鏡システム23の受信部25により受信され、受信されたデジタル信号が、画像形成部16に送られて画像が生成され、生成された画像がディスプレイ7に表示される。
【0063】
このように第1内視鏡システム23と第2内視鏡システム24とを無線接続することで、第1内視鏡システム23に依存せず、コードが絡まる等の問題もなく、患者の体表面Cに貼り付ける位置の自由度を向上することができる。
なお、送信部26および受信部25は、それぞれ、第1内視鏡システム23および第2内視鏡システム24のどこに配置されていてもよい。
【0064】
また、患者の体表に配置される光検出部4は、体表面の形状に応じて、1つに限らず複数枚設けてもよい。複数の場合は同一の光検出器4を複数配置してもよいし、受光面積の異なる光検出器、波長毎(例えば各々R、G、Bフィルタ付き)の光検出器を複数配置してもよい。