【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、弾力性材料の閉鎖ループを備えたガスケットであって、前記ループは、内側周辺部および外側周辺部を有し、前記ガスケットは、前記外側周辺部からガスケット幅の0%〜30%離れた第1の位置で第1の厚さをし、前記第1の位置からガスケット幅の少なくとも50%の箇所で測定された第2の位置で第2の厚さを有し、前記第1の位置と前記第2の位置の中間かつ各々からガスケット幅の少なくとも10%の第3の位置で第3の厚さを有し、前記第1の厚さは、前記第3の厚さよりも大きく、前記第3の厚さは、前記第2の厚さよりも大きい、ガスケットにおいて、
a 前記ガスケットは、前記第1の厚さから前記第3の厚さまで、次いで、前記第2の厚さまで、前記内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで直線的にテーパする1つまたはそれ以上のテーパされた区分を経て厚さが減少し、
b 前記ガスケットは、前記第1の厚さから前記第3の厚さまで、前記内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで段を形成する1つまたはそれ以上の段を経て、次いで、前記第3の厚さから前記第2の厚さまで、前記内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで段を形成する1つまたはそれ以上の段を経て厚さが減少し、
c 前記ガスケットは、前記第1の厚さから前記第3の厚さまで、次いで、前記第2の厚さまで、上記の1つまたはそれ以上の段および上記の1つまたはそれ以上のテーパされた区分
の組み合わせを経て厚さが減少する、
ことのいずれかである、ガスケットが提供される。
【0006】
本発明は、ガスケットに関する。ガスケットは、弾力性材料の閉鎖ループを備え、外側周辺部および内側周辺部を有する。閉鎖ループは、意図した使用に適した任意の形状にあるのがよい。電解槽における使用のために、略矩形の形状が典型的である。ガスケットは、ゴム、例えばEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)のような弾力性材料でできているが、他の弾力性材料の使用も排除されない。弾力性材料がゴムの場合には、典型的には、弾力性材料は、約35〜95、例えば、35、45、55、65、75、85、または、95の硬度(IRHD ISO 48)を有する。典型的な硬度範囲は、IRHD ISO 48によって測定される65〜85のような、60〜90であり、(イギリス版2010)方法NでIRHD値35−85、また、方法HでIRHD値85−95である。両方法のための試料寸法は、8−10mm厚さ、および他の寸法は、25mm以上である。
【0007】
電極組立体では、しかしながら、ゴムは、リカー(liquor)または発生されたガスによって侵蝕または劣化され得る。したがって、内側周辺部は、弾力性材料のライナを備えるのがよい。典型的には、弾力性材料は、PTFEまたはFEP(弗素化エチレンプロピレン)のようなフルオロポリマーである。多くのフルオロポリマーが、押出によって加工される。しかしながら、フルオロポリマーを押出可能にするためには、加工を助けるために、ポリマーに他の材料が添加される。添加された材料を含有する押出ポリマーは、セル内容物に対しては全体的には抵抗性ではなく、時間が経つと劣化する。削り取られた(skived)フルオロポリマーが使用される場合には、一層良好な結果が得られる。削り取り(skiving)は、ブロックから薄い層を切り取る方法である。削り取りによって、押し出されていない、それ故、加工補助の存在を必要としないフルオロポリマーを使用することが可能である。削り取られたフルオロポリマーが使用されるときに、一層大きい耐久性が得られる。
【0008】
本発明のガスケットは、外側周辺部からガスケット幅の0%〜30%離れた第1の位置で第1の厚さを有する。実施形態では、第1の厚さは、ガスケットの外側周辺部にある。実施形態では、第1の厚さは、ボルト穴を備え、第1の厚さは、ボルト穴とガスケットの外側周辺部の中間にある。
【0009】
第2の厚さは、第1の位置からガスケット幅の少なくとも50%の箇所で測定された第2の位置にある。好ましくは、第2の位置は、前記内側周辺部からガスケット幅の0%〜30%の箇所にある。
【0010】
第3の厚さは、第1の位置と第2の位置の中間かつ各々からガスケット幅の少なくとも10%の箇所にある。好ましくは、第3の位置は、外側周辺部からガスケット幅の40%〜60%離れた箇所にある。
【0011】
第1の厚さは、典型的には、第2の厚さよりも0.1〜3.0mm大きく、例えば、第2の厚さよりも0.2〜2.0mm大きく、より好ましくは、第2の厚さよりも0.5〜1.0mm大きい。
【0012】
第1の厚さは、典型的には1〜10.0mm、好ましくは2.0〜7.0mmの範囲にある。
【0013】
第3の厚さは、好ましくは、第2の厚さよりも少なくとも0.2mm大きく、第1の厚さよりも少なくとも0.2mm薄い。例えば、第3の厚さは、第2の厚さよりも0.2〜0.5mm大きく、第1の厚さよりも0.2〜0.5mm薄いのがよい。第3の厚さは、第1の厚さと第2の厚さの平均、プラスまたはマイナス差の30%、特にプラスまたはマイナス差の10%に等しいのがよい。
【0014】
本発明によるガスケットでは、第1の厚さは、第3の厚さよりも大きく、第3の厚さは、第2の厚さよりも大きい。厚さの減少は、特許請求の範囲に記載されているように、また、以下でさらに説明されるように、1つまたはそれ以上のテーパ、および/または、1つまたはそれ以上の段によって得ることができる。
【0015】
一般的に、水平面上に置かれたときに、ガスケットは、内側周辺部および外側周辺部の上側部分と下側部分の間の上面および下面によって構成されるのがよい。本発明の説明の便宜のために、ガスケットの面は、ガスケットが水平配向になくても、以下に説明するように、水平面上に置かれたときのそれらの配向に基づいて、また、テーパおよび/または段、および、リブの位置に基づいて、「上」面および「下」面と呼ばれる:
1) ガスケットが、一方の面上だけにテーパおよび/段を有する場合には、これは、いかなるリブの存在および位置にもかかわらず、上面であり、
2) ガスケットが、両面上にテーパおよび/または段を有するが、一方の面上だけに1つまたはそれ以上のリブを有する場合には、その1つまたはそれ以上のリブを備えた面が、上面と考えられるべきであり、
3) ガスケットが、両面上にテーパおよび/または段を有し、両面上に1つまたはそれ以上のリブを有する場合には、いずれの面も、本発明による上面と考えることができる。
【0016】
疑問を回避するために、出願人は、「上」面および「下」面を、ガスケット特徴の特別な関係を明らかにする目的のためだけに上記のように定義する。しかしながら、これは、使用されるときに、本発明のガスケットの配向を限定しない。使用に際して、ガスケットは、例えば、水平に取り付けられるのがよいが、等しく、水平でなく、例えば、鉛直に取り付けられてもよく、テーパおよび/または段、および、任意のリブは、使用されるガスケットのタイプに応じて、ガスケットのいずれかの側または両側でかかる任意の配向にされてもよい。
【0017】
下面は、(上記したように水平面上に置かれるときに)本質的に平ら(水平)であるのがよく、必要な厚さの減少は、上面上のテーパおよび/または段によって得られる。これは、好ましい。しかしながら、上記からも明らかなように、同じガスケットにおいて、上面と下面の両方上に段および/またはテーパがあることも可能である。
【0018】
1つの選択では、ガスケットは、第1の位置から第3の位置まで厚さが減少し、次いで、前記内周縁に向かう方向に減少された厚さまで直線的にテーパする1つまたはそれ以上のテーパされた区分を経て、第2の位置まで厚さが減少する。本願で使用される「内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで直線的にテーパする1つまたはそれ以上のテーパされた区分」は、ガスケットの厚さが、より厚い区分からより薄い区分まで直線的に変化する区分を意味する。テーパされた部分のテーパは、厚さの変化率、すなわち、テーパの「勾配」によって定義することができ、本願で使用されるテーパの「勾配」は、ガスケットが水平面上に置かれたときに内側周辺部から外側周辺部までガスケットを通して延びる水平面と垂直に測定されるべきである。
【0019】
第1の厚さから(第3の厚さを経て)第2の厚さまで単一のテーパがあってもよく、或いは、第1の厚さから第3の厚さまでの第1のテーパ、および、第3の厚さから第2の厚さまでの第2のテーパのような、異なるテーパを備えた2つまたはそれ以上のテーパされた区分があってもよい。
【0020】
好ましくは、1つまたはそれ以上のテーパされた区分は、第1の位置と第2の位置の間の距離の少なくとも50%に亘って、より好ましくは少なくとも75%に亘って生じる。
【0021】
より好ましくは、テーパは、外側周辺部近くのより厚い断面から、内側周辺部近くのより薄い断面までの連続したテーパであり、特に、外側周辺部から内側周辺部までの距離の75%に亘ってカバーする。
【0022】
第1の位置と第2の位置の間の平均テーパの勾配は、内側周辺部から外側周辺部までガスケットを通して延びる水平面に対して略1:10〜1:200であり、好ましくは1:20〜1:200、例えば1:50〜1:150である。
【0023】
なお一層好ましくは、第1の位置と第2の位置の間のガスケットの上面および下面によって形成された断面は、等辺台形、直角台形、或いは不等辺台形の形状をしている。これの例は、
図3に示され、以下でさらに説明される。
【0024】
最も好ましくは、下面は、(上記したように水平面上に置かれるときに)本質的に平ら(水平)であるのがよく、厚さの減少は、上面である面上のテーパによって得られる。第1の位置と第2の位置の間のガスケットの上面および下面によって形成された断面は、次いで、直角台形の形状をしている。
【0025】
代替例では、ガスケットは、第1の位置から第3の位置まで、内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで段を形成する1つまたはそれ以上の段を経て厚さが減少し、次いで、第3の厚さから第2の位置まで、内側周辺部に向かう方向に減少された厚さまで段を形成する1つまたはそれ以上の段を経て厚さが減少する。本願で使用される「段」は、段のいずれかの側で厚さが少なくとも2倍変化する区分をいう。好ましくは、ガスケットの厚さは、一定である(勾配がない)か、或いは、段の前後で1:50の勾配で変化するが、段中では、少なくとも1:2の勾配で変化する。
【0026】
代替的には、ガスケットは、上記のように、第1の厚さから第3の厚さまで、次いで、第3の厚さから第2の厚さまで、1つまたはそれ以上のテーパされた区分、および、1つまたはそれ以上の段の組み合わせを経て厚さが減少するのがよい。例えば、ガスケットは、第1の厚さから第3の厚さまで、1つまたはそれ以上のテーパされた区分を経て厚さが減少し、第3の厚さから第2の厚さまで、1つまたはそれ以上の段を経て厚さが減少するのがよい。
【0027】
上記したように、本発明のガスケットは、少なくとも1つのリブを有するのがよい。本発明のガスケットは、好ましくは、ガスケットの上面から直立し、第3の部分と内側周辺部の間に横たわる少なくとも1つのリブを有するのがよい。少なくとも1つのリブは、ガスケットの内側周辺部と略平行に延びている。
【0028】
実施形態は、ガスケットの上面から直立し、第2の部分と内側周辺部の間に横たわる少なくとも1つのリブを有するのがよい。実施形態では、少なくとも1つのリブが、ガスケットの上面および下面の各々上に設けられているのがよい。
【0029】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのリブが、第2の位置と内側周辺部のライナの中間の上面上に横たわるのがよい。リブは、ガスケットの内側周辺部と略平行に延びている。典型的には1〜20個の、より好ましくは1〜10個の、なおより好ましくは2〜6個のリブが設けられている。リブは、典型的には、ガスケットから0.2mmだけ直立している。
【0030】
1つの実施形態では、ガスケットの上面上に、ガスケットの上面の上方に0.5〜1.0mm直立する2〜5個のリブが設けられている。第1の厚さは、好ましくは3.0〜5.0mmであり、好ましくは第2の厚さよりも0.5〜1mm大きい。
【0031】
本発明のもう1つの実施形態では、ガスケットの上面上に、ガスケットの上面の上方に0.3〜0.7mm直立する3〜6個のリブが設けられている。第1の厚さは、好ましくは4.0〜7.0mmであり、好ましくは第2の厚さよりも0.1〜2mm大きい。
【0032】
使用に際して、リブは、隣接した構成部品に当接し、シールを通したリカーの漏れの可能性を減少させる曲がりくねった経路を構成する。リブは、加えられる圧力を局所的に増大させる。
【0033】
本発明によれば、さらに、陽極と陰極の中間のダイヤフラムまたは膜、および、前記ダイヤフラムと前記陽極および前記陰極の中間のガスケットを含む電極組立体において電極を改装する方法であって、該方法は、
i) 電極組立体を分解することと、
ii) ガスケットを本発明のガスケットと交換することと、
iii) 電極組立体を再組み立てすること、
と、を含む方法が提供される。
【0034】
本発明の別の観点によれば、本発明のガスケットを含む1つまたはそれ以上の電極組立体を含むモジュールバイポーラまたはフィルタプレス電解槽において塩化アルカリを電解する方法が提供される。
本発明のさらに別の観点によれば、電極組立体において、好ましくは、改装間の作動耐用年数を延ばし、漏れ事故を減らすことによって電極の停止時間を低減するのに、本発明のガスケットの使用が提供される。
【0035】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して非限定的な例として以下で説明する。