【実施例】
【0066】
材料および方法
以下の材料を後に続く実施例で用いる:
【表1】
【0067】
懸濁液中の微小胞のサイズ分布濃度を、30μm口径を備えたCoulter計数器(Multisizer 3)を用いて測定して(希釈:100mL NaCl 0.9%溶液中に50μL);pH値は、Inlab 410電極(Mettler Toledo)を備えたMP230 pHメーター(Mettler Toledo)を用いて測定した。
【0068】
[
実施例1]
pH調節添加剤を用いない、ガス入りの微小胞の凍結乾燥された前駆体の調製
式IIのリポペプチドの調製
式IIのリポペプチドを、PCT特許出願WO2007/067979(参照により本明細書中に援用される)の実施例に詳細に示されるとおりに調製した。手短には、上記のPCT出願により詳細に説明されるように、ペプチドAGPTWCEDDWYYCWLFGTGGGK(配列番号01)を、Fmoc−保護アミノ酸を用いて固相ペプチド合成(SPPS)によって合成した。N末端をアセチル化して、Fmoc−Lys(ivDde)−OH(Nα−Fmoc−Nε−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキス−1−イリデン)−3−メチルブチル]−L−リジン)をLys
22の側鎖にカップリングした。Fmoc脱保護、樹脂からの切断、および、他の保護基の切断の後に(ivDde基を除く)、ペプチドを環化した(ジスルフィド架橋の形成)。環化したペプチドを、分取HPLCによって精製して凍結乾燥した。
【0069】
また、ペプチドVCWEDSWGGEVCFRYDPGGGK(配列番号02)も、Fmoc−保護アミノ酸を用いて、SPPSによって合成した。N末端をアセチル化して、Fmoc−Adoa−OH(8−(Fmoc−アミノ)−3,6−ジオキサ−オクタン酸)の2連続のカップリングをLys
21の側鎖に対して行なった。Fmoc脱保護、樹脂からの切断、および、他の保護基の切断の後に、ペプチドを環化した(ジスルフィド架橋の形成)。環化したペプチドを、分取HPLCによって精製して凍結乾燥した。
【0070】
二量体ペプチド(式I)の調製:ジスクシンイミジルグルタレート(DSG)を、ペプチド(配列番号01)のLys
22のε−アミノ官能基に結合したリジンのα−アミノ官能基にカップリングした。精製後に、生成物を、それから、ペプチド(配列番号02)のLys21に結合したAdoa部分のアミノ官能基と反応させた。クルードのヘテロ二量体を分取HPLCによって精製して凍結乾燥した。それから、残ったivDde−保護基を切断して、最終生成物を分取HPLCによって再度精製して、イオン交換によって酢酸塩を形成した。生成物の溶液を凍結乾燥して二量体ペプチドを得た(式I)。
【0071】
リポペプチド(式II)の調製:ジスクシンイミジルグルタレート(DSG)を、以前に合成した二量体ペプチド(式I)にカップリングした。精製後に、生成物を、DSPE−PEG2000−アミンと反応させた。生成物を分取HPLCによって精製して凍結乾燥した。
【0072】
Prep−01
ガス入りの微小胞の懸濁液を調製するための凍結乾燥された前駆体を、以下のとおりに調製した:
(i)60mgの脂質混合物(DSPCおよびパルミチン酸、80/20のモル比)を、70℃でシクロオクタン(4.8ml)中に溶解した。
(ii)個別に、DSPE−PEG2000(3%w/w)および式IIのリポペプチド(0.2%w/w)を、1mlのTris緩衝液20mM(pH7.6)中に分散させて;それから、分散物を60mlの10% PEG4000溶液と混合した。
(iii)12’000rpmで5分間、インライン高速ホモジナイザー(Megatron MT3000)を用いて、シクロオクタン調製物(i)をPEG4000水溶液(ii)中に乳化した。
(iv)生じたエマルションを、撹拌下で、80℃で1時間加熱した。室温(〜1時間)に冷却後、
(v)10%PEG4000水溶液を用いてエマルションを4回希釈して、DIN8Rバイアル中で1mlの容量でサンプリングした。
(vi)バイアルを凍結乾燥機(TELSTAR Lyobeta−35フリーズドライヤー)に入れて、−50℃に2時間冷却して、それから12時間の間、−25℃および0.2mBarで凍結乾燥して、さらに6時間、30℃および0.1mBarで最終的な乾燥ステップをした。
【0073】
C
4F
10/N
2の35/65(体積)混合物をバイアルのヘッドスペースに添加して、それから止めて密封した。
【0074】
Prep−02〜Prep−05
上記のPrep−01の調製を繰り返したが、有機相中のDSPC/パルミチン酸の様々なモル比で(表1参照)、表1に示すように、DSPE−PEG 2000またはDPPE−PEG 5000および式IIのリポペプチドの量をステップ(ii)の水溶液の調製において改変した点が異なる。さらに、Prep−03およびPrep−05を、ステップ(v)で(4回の代わりに)2回希釈して、それから、DIN8Rバイアル中に1.5mlの容量でサンプリングした。
【0075】
以下の表1は、凍結乾燥された前駆体の様々な調製における違いを要約する。
【表2】
【0076】
[
実施例2]
微小胞凝集に対する、分散サッカライド溶液のpHの効果
実施例1によって得られた製剤を、1mlの水または異なるpH値、すなわち3.5、3.8および6.5の5%(w/w)グルコースの様々な溶液中に再分散させた。
【0077】
pH6.5のグルコース5%溶液を得るために、30〜34μLのNaOH 0.1Nを、20mLのグルコース5%溶液中に添加した(→0.15〜0.17 mM NaOH)。pH3.5のグルコース5%溶液を得るために、32〜40μLのHCl 0.1Nを20mLグルコース5%溶液中に添加した。
【0078】
得られた懸濁液を、Susp−01〜Susp−05として特定する(それぞれの調製Prep−01〜Prep−05により、接尾語a〜dは、それぞれ、(a)蒸留水(コントロール)、(b)グルコース溶液pH3.5、(c)グルコース溶液pH3.8、および、(d)グルコース溶液pH6.5を用いた再構成を特定する。したがって、例えば、Susp.02cは、1mlのpH3.8の5%グルコース中、上記分散Prep.02により得られた微小胞の懸濁液を特定する。
【0079】
得られたガス入りの微小胞の懸濁液を、Coulter計数器を用いて特徴付けて、懸濁液中の微小胞の微小胞濃度および個数による平均粒子サイズ(D
N)を決定した。結果をそれぞれ表2および表3に示す(これらおよび以降の表では、値は、単一の懸濁液についての実際の値または同一懸濁液の多数の調製の場合における平均値のいずれかを示す)。調製された懸濁液のpHも測定した。以下の表4に報告する。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
表2の値から推論できるように、得られた懸濁液中の微小胞の濃度は、pH3.5または3.9のグルコース溶液(カラムbおよびc)を凍結乾燥製剤の再構成に用いた場合、コントロールに対して実質的に低下するが、一方で、pH6.5のグルコース溶液(col.d)を用いた場合、濃度はコントロール(col.a)と実質的に同様である。
【0084】
表3から推論できるように、低pHグルコース溶液を用いた、凍結乾燥製剤の再構成は、微小胞のD
N値を望ましくなく増加させる。
【0085】
[
実施例3]
異なるpH値のサッカライド溶液を用いたPrep−01の再構成における、様々なpH調節剤の微小胞凝集に対する効果
実施例3a:炭酸水素ナトリウム
Prep−01の凍結乾燥された前駆体の調製を実施例1の手順に従って繰り返したが、ステップ(v)でエマルションを希釈するのに用いた10%PEG4000溶液に様々な量の炭酸水素ナトリウムを添加して、異なる量の炭酸水素ナトリウムがそれに取り込まれたそれぞれの凍結乾燥された前駆体製剤を得た点が異なる。PEG4000溶液に添加したバイカーボネートの量は、ステップ(v)のエマルション中、それぞれ、0.125、0.31、0.38、0.80、1.20および2.0mMのバイカーボネートの濃度を得る量であった。
【0086】
それから、得られた製剤を、実施例2の手順に従って、1mlの水または5%(w/w)グルコースの異なるpH値の様々な溶液中に再分散させた。
【0087】
表5は、異なる量の炭酸水素ナトリウムを含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中の測定された微小胞の濃度を示す。
【0088】
【表6】
【0089】
上記の表に示されるデータから推論できるように、再構成のために用いられるグルコース溶液のpHの全範囲にわたって許容できる濃度の微小気泡を得るためには、希釈されたエマルション中、少なくとも0.38mMの炭酸水素ナトリウムの濃度が妥当である。一方、より低い濃度のバイカーボネートは、特に、凍結乾燥前駆体がpH3.5のグルコース溶液を用いて再構成される場合、望ましくなくより低い濃度の微小胞を含む懸濁液を与え得る。
【0090】
表6は、表5の懸濁液に対して測定されたpH値を示す。
【0091】
【表7】
【0092】
当技術分野で知られているように、静脈内注入可能なpH調節された溶液のpHは、好ましくは、約6〜約8.5、好ましくは約7〜約8のpH範囲内であるべきである。表6から推論できるように、再構成のためのグルコース溶液がpH範囲のより高い側である場合(溶液d、pH=6.5)、相対的に低濃度のバイカーボネートが、既に、微小胞の最終懸濁液のpHを、注入に許容できる値よりも上に増大させ得る。したがって、表5および表6を組み合わせて読むことにより、相対的に高濃度の炭酸水素ナトリウム(相対的に低pHのグルコース溶液中に所望の濃度の微小胞を与えるために必要である)は、注入可能な溶液のpHを過剰に増大させ得ると考えられる。一方で、相対的に低濃度のバイカーボネートは、再構成された懸濁液中に所望の濃度の微小胞を与え得ない(特に、低pHグルコース溶液を用いる場合)。
【0093】
Ex.3b:Tris/HCl緩衝液
実施例3aを繰り返したが、蒸留水(750mL)中にTris塩基(121.1g−1モル)を溶解させて、HCl(約40ml)を添加して、それから、蒸留水で1Lに容量を満たすことによって調製された、Tris/HCl緩衝液(pH=8.0)によって炭酸水素ナトリウムを置き換えた点が異なる。PEG4000溶液に添加されたTris/Hcl緩衝液の容量は、ステップ(v)のエマルション中に、それぞれ、0.125、2.5、5.0、10.0mMのTris/HClの濃度を得る容量であった。
【0094】
表7は、異なる量のTris/HCl緩衝液を含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中で測定された、微小胞の濃度を示す。
【0095】
【表8】
【0096】
上記の表中のデータから推論できるように、Tris/HCl緩衝液を含む製剤の再構成は、特に、低pHグルコース溶液を用いて製剤が再構成される場合に、懸濁液中に相対的により低い濃度の微小胞を与える(コントロールと比較)。微小気泡濃度の重要な減少は、高濃度のTris/HCl緩衝液、特に5.0mM以上が用いられる場合に、特に観察された。この理由から、2.5mM Tris/HCl緩衝液は、後の実験において、比較のpH調節剤として選択された。
【0097】
Ex.3c:リン酸緩衝液
実施例3aを繰り返したが、43.5mLのNa
2HPO
4溶液(0.2M)を6.5mL NaH
2PO
4溶液(0.2M)と混合することによって調製されたリン酸緩衝液(pH=7.6)によって、炭酸水素ナトリウムを置き換えた点が異なる。PEG4000溶液に添加したリン酸緩衝液の容量は、ステップ(v)のエマルション中に、それぞれ、2.5、5.0および10.0mMのリン酸の濃度を得る容量であった。
【0098】
表8および表9は、それぞれ、異なる量のリン酸緩衝液を含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中で測定された微小胞の濃度およびD
N値を示す。
【0099】
【表9】
【0100】
3bに関しては、リン酸緩衝液を含む製剤の再構成は、特に、低pHグルコース溶液を用いて製剤が再構成される場合に、懸濁液中に相対的により低い濃度の微小胞を与える(コントロールと比較)。微小気泡濃度の重要な減少は、より高濃度のリン酸緩衝液が用いられる場合に特に観察された。この理由から、2.5mMリン酸緩衝液は、後の実験において、比較のpH調節剤として選択された。
【0101】
【表10】
【0102】
上記の表から観察できるように、微小胞懸濁液のD
N値は、特に、低pHグルコース溶液を用いて再構成された製剤に関して、および、より高濃度のリン酸緩衝液において、コントロールのものよりもわずかに高い。
【0103】
Ex.3d:ヒスチジン
実施例3aを繰り返したが、ヒスチジンによって炭酸水素ナトリウムを置き換えた点が異なる。PEG4000溶液に添加されたヒスチジンの量は、ステップ(v)のエマルション中に、それぞれ、2.5、5.0および10.0mMの濃度のヒスチジンを得る量であった。
【0104】
表10は微小胞の濃度を示し、表11は、異なる量のヒスチジンを含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁中で測定されたD
N値を示す。微小胞の最終懸濁液中のヒスチジンの濃度は、それぞれ、2.5、5.0および10.0mMであった。
【0105】
【表11】
【0106】
【表12】
【0107】
上記の表から観察できるように、ヒスチジンを含む微小胞懸濁液のD
N値は、コントロールのものと同等またはわずかにそれより低く、グルコース溶液のpHおよびヒスチジンの濃度にかかわらず、ヒスチジンを含む懸濁液中の微小胞は、コントロールにおけるものと同等のサイズを有することを示唆する。
【0108】
[
実施例4]
異なるpH値のサッカライド溶液を用いたPrep−02の再構成における、様々なpH調節剤の微小胞凝集に対する効果
実施例4a:比較のpH調節剤を含む微小胞懸濁液
Prep−02の凍結乾燥された前駆体の調製を実施例1の手順に従って繰り返したが、ステップvでエマルションの希釈に用いた10% PEG4000溶液に、炭酸水素ナトリウム、Tris/HCl緩衝液またはリン酸緩衝液を添加して、それぞれの凍結乾燥された前駆体製剤を得た点が異なる。PEG4000溶液に添加したpH調節剤の量は、表12および表13に示されるように、希釈されたエマルション中のそれぞれのpH調節剤の最適化濃度(実施例3で決定される)を得る量であった。
【0109】
それから、得られた製剤を、実施例2の手順に従って、1mlの水または異なるpH値の様々な5%(w/w)グルコース溶液中に再分散させた。
【0110】
表12および表13は、微小胞の濃度、および、選択されたpH調節剤を含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中で測定されたDN値を示す。
【0111】
【表13】
【0112】
【表14】
【0113】
表12および表13に示したデータから推論できるように、異なる従来のpH調節剤を含む懸濁液中の粒子の数は、特に、低pHグルコース溶液−02(b)−を用いた再構成に関しては、一般にコントロールよりも少なく、一方、D
N値は一般により高い。
【0114】
実施例4b:ヒスチジンを含む微小胞懸濁液
実施例4aを繰り返したが、表14および表15に示すように異なる濃度のヒスチジンによって比較のpH調節剤を置き換えた点が異なる。この場合においても、微小胞の最終懸濁液中のヒスチジンの濃度は、それぞれ2.5mM、5.0mMおよび10mMであった。
【0115】
【表15】
【0116】
【表16】
【0117】
表14および表15に示したデータから推論できるように、粒子の数およびヒスチジンを含む懸濁液中で測定された微小胞のDN値は、一般に、任意のpHのグルコース再構成溶液および任意の濃度のヒスチジンで、コントロール溶液について測定されたものと同等である。
【0118】
[
実施例5]
異なるpH値のサッカライド溶液を用いたPrep−03の再構成における、リン酸緩衝液およびヒスチジンの微小胞凝集に対する効果
【0119】
Prep−03の凍結乾燥された前駆体の調製を実施例1の手順に従って繰り返したが、エマルション希釈(ステップv)のために用いた10% PEG4000溶液にリン酸緩衝液またはヒスチジンを添加して、それぞれの凍結乾燥された前駆体製剤を得た点が異なる。PEG4000溶液に添加したリン酸またはヒスチジンの量は、表16および表17に示されるように、ステップ(v)の希釈されたエマルション中に、2.5mMの濃度のリン酸および5mM、10mMおよび20mMの濃度のヒスチジンを得る量であり、微小胞の最終懸濁液中のヒスチジンの約3.75mM、7.5mMおよび15mMの濃度に相当した。
【0120】
それから、得られた製剤を、実施例2の手順に従って、異なるpH値の2mlの様々な5%(w/w)グルコース溶液中に再分散させた。
【0121】
表16および表17は、選択されたpH調節剤を含むそれぞれの製剤を用いた、様々な懸濁液中の濃度およびD
N値を示す。
【0122】
【表17】
【0123】
【表18】
【0124】
表16のデータから推論できるように、ヒスチジンを異なる濃度で含む懸濁液中において測定された微小胞の粒子の数は、特に、高いpH値のグルコース溶液および高濃度のヒスチジンでは、一般に、比較のリン酸緩衝製剤で測定された数よりも多い。表17のデータから推論できるように、異なる濃度でヒスチジン含む懸濁液において測定された微小胞のDN値は、一般に、比較のリン酸緩衝製剤で測定されたDN値よりも低い。
【0125】
[
実施例5]
異なるpH値のサッカライド溶液を用いたPrep−04の再構成における、リン酸緩衝液およびヒスチジンの微小胞凝集に対する効果
【0126】
Prep−04の凍結乾燥された前駆体の調製を実施例1の手順に従って繰り返したが、エマルション希釈(ステップv)に用いた10% PEG4000溶液に、比較のpH調節剤(すなわちバイカーボネート、Tris/HClまたはリン酸)またはヒスチジンを添加して、それぞれの凍結乾燥された前駆体製剤を得た点が異なる。添加したpH調節剤の量は、表18および表19に示されるように、希釈されたエマルション中に以下の濃度を得る量であった:0.38mMバイカーボネート、2.5mM Tris/HCl、2.5mMリン酸または2.5mMヒスチジン。
【0127】
それから、得られた製剤を、実施例2の手順に従って、異なるpH値の1mlの様々な5%(w/w)グルコース溶液中に再分散させた。
【0128】
表18および表19は、選択されるpH調節剤を含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中で測定された、微小胞の濃度およびD
N値を示す。
【0129】
【表19】
【0130】
【表20】
【0131】
表18のデータから推論できるように、異なる従来のpH調節剤を含む懸濁液中の粒子の数は、特に低pHグルコース溶液では、一般に、ヒスチジンを含む懸濁液において測定された数よりも少ない。表19のデータから推論できるように、異なる従来のpH調節剤を含む懸濁液中の微小胞のDN値は、特に低pHグルコース溶液では、一般に、ヒスチジンを含む懸濁液において測定されたDN値よりも高い。
【0132】
[
実施例7]
異なるpH値のサッカライド溶液を用いたPrep−05の再構成における、リン酸緩衝液およびヒスチジンの微小胞凝集に対する効果
【0133】
Prep−05の凍結乾燥された前駆体の調製を実施例1の手順に従って繰り返したが、エマルション希釈(ステップv)に用いた10% PEG4000溶液にリン酸緩衝液またはヒスチジンを添加して、それぞれの凍結乾燥された前駆体製剤を得た点が異なる。PEG4000溶液に添加したリン酸またはヒスチジンの量は、表20および表21に示されるように、希釈されたエマルション中に、2.5mMの濃度のリン酸および2.5mM、5mMまたは10mMの濃度のヒスチジンを得る量であった。
【0134】
それから、得られた製剤を、実施例2の手順に従って、2mlの水または異なるpH値の様々な5%グルコース溶液中に再分散させた。
【0135】
表20および表21は、選択されるpH調節剤を含むそれぞれの製剤から得られた様々な懸濁液中で測定された微小胞の濃度およびD
N値を示す。
【0136】
【表21】
【0137】
【表22】
【0138】
表20に示されるデータから推論できるように、リン酸緩衝液を含む懸濁液中の粒子の数は、特に低pHグルコース溶液では、一般に、異なる濃度のヒスチジン含む懸濁液において測定される数よりも少ない。表21に示されるデータから推論できるように、リン酸緩衝液を含む懸濁液中の微小胞のD
N値は、特に低pHグルコース溶液では、一般に、異なる濃度のヒスチジンを含む懸濁液において測定されたDN値よりも高い。