(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒の存在下、溶媒中で、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される第一のオルガノアルコキシシランを反応させて得られる、1000AMUから10000AMUの重量平均分子量を有する、アルキル基及びアリール基を含む第一のケイ素含有樹脂、
触媒の存在下、溶媒中で、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される第二のオルガノアルコキシシランを反応させて得られる、900AMUから5000AMUの重量平均分子量を有する、アリール基を含む第二のケイ素含有樹脂、
少なくとも1つの溶媒、及び
少なくとも1つの熱活性化縮合触媒、を含み、
前記第二のケイ素含有樹脂は、前記第一のケイ素含有樹脂と前記第二のケイ素含有樹脂の合計の50重量%以下で存在する、
架橋性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
複数の図全体にわたって、対応する符号は、対応する部分を示す。本明細書で示される実例は、特定の代表的な実施形態を実証するために提供されるものであり、そのような実例は、いかなる形であっても、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0026】
I.ポリシロキサン製剤
1つの代表的な実施形態では、ポリシロキサン製剤は、1つ以上の溶媒、及び1つ以上のケイ素系化合物を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、1つ以上の触媒を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、1つ以上の界面活性剤を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、接着促進剤、可塑剤、有機酸、及び一官能性シランなどの1つ以上のさらなる添加剤を含む。
【0027】
a.溶媒
製剤は、1つ以上の溶媒を含む。代表的な溶媒としては、所望される温度で蒸発する、及び/又は本明細書で考察される成分を容易に溶媒和させる適切な純粋有機分子又はその混合物が挙げられる。溶媒はまた、適切な純粋極性及び非極性化合物、又はその混合物を含んでもよい。本明細書で用いられる場合、「純粋」の用語は、一定の組成を有する成分を意味する。例えば、純粋な水は、H
2Oのみから成る。本明細書で用いられる場合、「混合物」の用語は、塩水を含む純粋ではない成分を意味する。本明細書で用いられる場合、「極性」の用語は、分子若しくは化合物の一か所又は全体にわたって不均等な電荷、部分的な電荷、又は自発的な電荷の分布を作り出す分子又は化合物の特性を意味する。本明細書で用いられる場合、「非極性」の用語は、分子若しくは化合物の一か所又は全体にわたって均等な電荷、部分的な電荷、又は自発的な電荷の分布を作り出す分子又は化合物の特性を意味する。
【0028】
代表的な溶媒としては、ある場合では、組成物のギャップ充填性及び平坦化性を改善する目的で、単独で又は組み合わせて、溶液の粘度、分子間力、及び表面エネルギーを修飾することができる溶媒が挙げられる。しかし、適切な溶媒はまた、架橋効率に影響を与えること、熱安定性に影響を与えること、粘度に影響を与えること、及び/又は得られる層若しくは膜の他の層、基材、若しくは表面に対する接着性に影響を与えることによるなど、他の方法で組成物のプロファイルに影響を与える溶媒も含んでよいことは理解されるべきである。
【0029】
代表的な溶媒としては、また、炭化水素溶媒ファミリーの化合物の一部ではない溶媒も挙げられ、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどを含むケトン、アルコール、エステル、エーテル、及びアミンなどである。さらなる代表的な溶媒としては、乳酸エチル、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの代表的な実施形態では、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む。
【0030】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、少なくは、50重量%、55重量%、60重量%、多くは、80重量%、85重量%、90重量%の、又は50重量%から90重量%、55重量%から85重量%、若しくは65重量%から85重量%など、上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の溶媒を含む。組成物に添加する溶媒の適切な量の決定は、いくつかの因子に依存し、a)所望される層若しくは膜の厚さ、b)組成物中の固体の所望される濃度及び分子量、c)組成物の適用技術、並びに/又はd)スピンコーティング技術が用いられる場合は、スピン速度が挙げられる。加えて、製剤中の固体濃度(又は樹脂若しくはポリマー)が高い程、粘度が高くなる。従って、特定のコーティング適用技術において所望される場合、粘度を高めるために、固形分が増加(又は、溶媒の量が減少)されてもよい。加えて、粘稠製剤又は固形分がより高い製剤は、典型的には、2μm超などのより厚い膜厚を提供することになる。
【0031】
本明細書で用いられる溶媒は、適切ないかなる不純物レベルを有していてもよい。ある実施形態では、用いられる溶媒は、約1ppm未満、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、及び場合によっては、約1ppt未満など、比較的低いレベルの不純物を有する。これらの溶媒は、これらの考慮される用途での使用に適する不純物レベルを有するものが購入されてよく、又はさらに不純物を除去し、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、若しくは適切な及び/若しくは所望されるこれらよりも低いレベルに到達するために、さらに精製される必要があり得る。
【0032】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、水を含まない。より特定の実施形態では、溶媒は、無水溶媒であり、ケイ素系化合物、並びにいずれの触媒、界面活性剤、接着促進剤、架橋剤、開始剤、又はその他の添加剤も、水を含まない無水溶媒中のものが提供される。ある代表的な実施形態では、「水を含まない」とは、0.2重量%、0.1重量%、0.05重量%、0.01重量%、又は0重量%未満の水を有する組成物を意味する。ある代表的な実施形態では、「水を含まない」とは、水を有しない組成物を意味する。ある代表的な実施形態では、「水を含まない」とは、ケイ素系化合物の加水分解縮合反応からある程度の水は形成され得るが、外的な水は添加されない組成物を意味する。
【0033】
b.ケイ素系化合物
製剤は、架橋してポリシロキサンを形成することができる1つ以上のケイ素系化合物を含む。代表的なケイ素系化合物は、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、又はポリシルセスキオキサンを含み、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせなどである。ある実施形態では、少なくとも1つのケイ素系化合物は、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0034】
ある実施形態では、ケイ素系化合物において、炭素原子の総数が、メチル及びエチル基などのアルキル基の炭素原子と、フェニル基などのアリール基の炭素原子とに分割されている。ある実施形態では、アルキル基に含有される炭素原子の数は、アルキル及びアリール基に含有される炭素原子の総数に基づいて、10%超、12%、15%、20%、21%、25%、又は30%超、31%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、及び100%未満、若しくは100%であり、又は10%超から100%未満、12%から100%未満、20%超から100%、若しくは30%超から100%未満などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい。
【0035】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、アリール炭素の割合の増加は、ポリシロキサン化合物の立体障害を増加させ、架橋がより低く、より可撓性であるポリシロキサンコーティングが得られる結果となると考えられる。加えて、ジアルキルジアルコキシシラン又はジアリールジアルコキシシランなどの二官能性シランを用いることによるアルキル又はアリール炭素の割合の増加は、ポリシロキサン化合物の反応性官能基の数を減少させ、架橋がより低く、より可撓性であるポリシロキサンコーティングが得られる結果となる。しかし、ポリシロキサン化合物の可撓性が増加すると、化学薬品に対する耐性のより低い膜又はコーティングが作製される傾向もある。ある代表的な実施形態では、ケイ素系化合物は、形成されたポリシロキサンの可撓性を増加させるために、可塑剤又はその他の適切な物質を含む。
【0036】
いくつかの考慮されるケイ素系化合物は、以下の式を有する少なくとも1つの反応体の加水分解縮合反応から形成された組成物を含み、
R
1xSi(OR
2)
y
式中、R
1は、アルキル、アルケニル、アリール、又はアラルキル基であり、xは、0から2の整数であり、並びにR
2は、アルキル基又はアシル基であり、yは、1から4の整数である。さらに考慮される物質としては、以下の一般式のシルセスキオキサンポリマーが挙げられ、
(C
6H
5SiO
1.5)
x
式中、xは、約4を超える整数である。
【0037】
ある代表的な実施形態では、ケイ素系物質は、1つ以上のポリシロキサン樹脂を含み、オハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手可能であるGlass Resinポリシロキサン樹脂などである。1つの代表的な実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、1つ以上のケイ素系モノマーの制限された加水分解及び縮合反応から形成されるケイ素系オリゴマーである。代表的な適するケイ素系モノマーとしては、Si−C結合を有するオルガノアルコキシシランが挙げられ、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、ジメチルジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシランなどである。その他の適するケイ素系のマーは、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)など、Si−C結合を有しない。代表的な樹脂物質としては、メチルシロキサン、ジメチルシロキサン、フェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、テトラエトキシシラン、及びこれらの混合物など、オルガノアルコキシシランから誘導されるガラス樹脂が挙げられる。
【0038】
1つの代表的な実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、直鎖状構造、環状構造、ケージ状構造、ラダー状構造、及び部分ラダー/部分ケージ状構造から成る群より選択される構造を有する。より特定の実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、部分ラダー/部分ケージ状構造を有する。
【0039】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、1つ以上のアルキル基及び/又は1つ以上のアリール基を含む。アルキル基を含有する代表的なポリシロキサン樹脂としては、メチルシロキサン及びジメチルシロキサンが挙げられる。アリール基を含有する代表的なポリシロキサン樹脂としては、フェニルシロキサンが挙げられる。アルキル及びアリール基の両方を含有する代表的なポリシロキサン樹脂としては、メチルフェニルシロキサンが挙げられる。
【0040】
1つの代表的な実施形態では、各ポリシロキサン樹脂は、小さくは、900原子質量単位(AMU)、950AMU、1000AMU、1100AMU、1150AMU、大きくは、2000AMU,3000AMU、4000AMU、5000AMU、10000AMUの、又は900AMUから10000AMU、1000AMUから10000AMU、若しくは900AMUから5000AMUなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい重量平均分子量を有する。より特定の実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、メチルシロキサン及び/又はジメチルシロキサンなどのアルキル基を含有する第一のポリシロキサン樹脂、並びにフェニルシロキサンなどのアリール基を含有する第二のポリシロキサン樹脂を含む。1つの実施形態では、第一のポリシロキサン樹脂はさらに、フェニルシロキサンなど、アリール基を含有する。さらにより特定の実施形態では、第一のポリシロキサン樹脂は、小さくは、1000原子質量単位(AMU)、2000AMU、2200AMU、3000AMU、3800AMU、4000AMU、大きくは、4500AMU,4800AMU、5000AMU、7500AMU、10000AMUの、又は1000AMUから10000AMU、2000AMUから5000AMU、若しくは3800AMUから4800AMUなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい重量平均分子量を有し、第二のポリシロキサン樹脂は、小さくは、900原子質量単位(AMU)、950AMU、1000AMU、大きくは、1150AMU,2000AMU、2500AMU、5000AMUの、又は900AMUから5000AMU、900AMUから2000AMU、若しくは950AMUから1150AMUなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい重量平均分子量を有する。
【0041】
ある代表的な実施形態では、ケイ素系物質は、1つ以上のオルガノアルコキシシランを含むか、又はそれから形成される。代表的なオルガノアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及び上述のものの組み合わせが挙げられる。
【0042】
ある代表的な実施形態では、ケイ素系物質は、2つ以上の予備形成ポリシロキサン樹脂のブレンドを含む。より特定の実施形態では、2つ以上のポリシロキサン樹脂が組み合わされて、アルキル及びアリール基に含有される炭素原子の総数に基づいて、10%超、12%、20%超、21%、25%、30%超、31%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%未満、100%であるか、又は10%超から100%、12%から100%、20%超から100%、若しくは30%超から100%未満などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよいアルキル基に含有される炭素原子の総数が提供されてもよい。
【0043】
別のより特定の実施形態では、ケイ素系物質は、各々二官能性シランを含む1つ以上のポリシロキサン樹脂を含んでもよい。代表的な二官能性シランは、ジメチルシロキサンである。より特定の実施形態では、ケイ素系物質は、シロキサンの総モル数のモルパーセントとして、少なくは、0%、0.1%、0.5%、1%、2%、多くは、5%、10%、15%、20%の、又は0から20%若しくは0.1%から2%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい二官能性シロキサンを含んでよい。
【0044】
c.触媒
ある代表的な実施形態では、製剤は、1つ以上の触媒を含む。ある実施形態では、触媒は、熱活性化触媒である。本明細書で用いられる場合、熱活性化触媒とは、高められた温度など、特定の温度又はそれ以上で活性化される触媒を意味する。例えば、ある温度(室温など)では、組成物は低分子量を維持しており、従って、表面に対する良好な平坦化能が得られる。温度が上昇されると(50℃超など)、熱活性化触媒は、2つのSi−OH官能基間の縮合反応を触媒し、その結果、より密な構造となり、場合によっては、全体的な性能が向上される。適切な縮合触媒は、安定なシリケート溶液を維持することを補助することができる触媒を含む。金属イオンを含まない代表的な触媒は、アンモニウム化合物(四級アンモニウム塩など)、アミン、ホスホニウム化合物、又はホスフィン化合物などのオニウム化合物及び求核剤を含み得る。
【0045】
1つの代表的な実施形態では、触媒は、光酸、光酸発生剤、又は金属系触媒ではない。
ある実施形態では、触媒は、比較的分子的に「小さい」か、又は四級アンモニウム塩などの比較的小さいカチオンを生成する触媒である。ある実施形態では、1つ以上の触媒は、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、酢酸テトラブチルアンモニウム(TBAA)、酢酸セチルトリメチルアンモニウム(CTAA)、硝酸テトラメチルアンモニウム(TMAN)、その他のアンモニウム系触媒、アミン系及び/又はアミン生成触媒、並びにこれらの組み合わせから選択される。その他の代表的な触媒としては、塩化(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、酢酸(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、硝酸(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、安息香酸(2‐ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。その他の代表的な触媒としては、塩化(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウム、及び酢酸(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0046】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、少なくは、0.001重量%、0.004重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.3重量%、多くは、0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量%、若しくは10重量%の、又は0.1重量%から10重量%若しくは1重量%から2重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の触媒を含む。
【0047】
ある代表的な実施形態では、1つ以上の触媒は、TMANを含む。TMANは、TMANを水、若しくはエタノール、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)などの有機溶媒に溶解することによって、又はTMAA若しくはTMAHを硝酸を用いることによってTMANに変換することによって提供されてよい。
【0048】
d.界面活性剤
ある代表的な実施形態では、製剤は、1つ以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、表面張力を低下させるために添加されてよい。本明細書で用いられる場合、「界面活性剤」の用語は、H
2O若しくは他の液体に溶解された場合に表面張力を低下させる、又は2つの液体間若しくは液体と固体との間の界面張力を低下させるいずれの化合物をも意味する。考慮される界面活性剤としては、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。界面活性剤は、直接組成物中に溶解されてよく、又は最終組成物の形成前に、組成物成分(少なくとも1つのケイ素系化合物、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの溶媒)のうちの1つと共に添加されてもよい。考慮される界面活性剤としては、BYK307(ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン、BYK−Chemie社)などのポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン、ドデシルベンゼンスルホネート、テトラプロピレンベンゼンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、Fluorad FC−93及びL−18691(3M社)などのフッ素化アニオン性界面活性剤、FC−4430(3M社)、FC−4432(3M社)、及びL−18242(3M社)などのフッ素化非イオン性界面活性剤、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム又は臭化セチルトリメチルアンモニウムなどの四級アミン、アルキルフェノキシポリエチレンオキシドアルコール、アルキルフェノキシポリグリシドール、アセチリン系アルコール(acetylinic alcohols)、Tergitol TMN−6(Dow社)及びTergitol minifoam 2×(Dow社)などのポリグリコールエーテル、Brij−30(Aldrich社)、Brij−35(Aldrich社)、Brij−58(Aldrich社)、Brij−72(Aldrich社)、Brij−76(Aldrich社)、Brij−78(Aldrich社)、Brij−98(Aldrich社)、及びBrij−700(Aldrich社)などのポリオキシエチレン脂肪エーテル、ココアミドプロピルベタインなどのベタイン、スルホベタイン、並びにジオクタノイルホスファチジルコリン及びレシチンなどの合成リン脂質、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0049】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、少なくは、0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.05重量%、多くは、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、1重量%の、又は0.001重量%から1重量%若しくは0.001重量%から0.25重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の界面活性剤を含む。組成物に添加される組成物修飾成分の適切な量の決定は、a)膜中の欠陥を最小限に抑えること、及び/又はb)良好な接着性と望ましい膜特性との間のバランスの良い膜とすることを含むいくつかの因子に依存する。
【0050】
e.その他の添加剤
ある代表的な実施形態では、製剤は、接着促進剤、末端封止剤、及び有機酸などの1つ以上のさらなる添加剤を含んでよい。
【0051】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、層、コーティング、又は膜が周囲の基材、層、コーティング、膜、及び/又は表面に接着する能力に影響を与える目的で、1つ以上の接着促進剤を含む。接着促進剤は、a)焼成などのオプトエレクトロニクスコンポーネントの製造に一般的に用いられる温度での熱処理後に熱安定性を有すること、及び/又はb)物質層間の静電及びクーロン相互作用を促進し、さらに、ある実施形態では、理解されるファンデルワールス相互作用を促進することのうちの少なくとも1つであってよい。代表的な接着促進剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS)及びAPTEOSの塩、ビニルトリエトキシシラン(VTEOS)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)、並びにメタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(MPTEOS)が挙げられる。その他の代表的な接着促進剤としては、3‐(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、ジメチルジヒドロキシシラン、メチルフェニルジヒドロキシシラン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの代表的な実施形態では、製剤は、少なくは、0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.26重量%、多くは、1重量%、2.6重量%、5重量%、10重量%、20重量%の、又は0.001重量%から20重量%若しくは0.26重量%から2.6重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の接着促進剤を含む。
【0052】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、ポリシロキサン分子上のシラノール基と反応することができる単一の反応性官能基を含む一官能性シランなどの1つ以上の末端封止剤を含む。代表的な末端封止剤としては、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、トリメチルシランなどのトリアルキルシランが挙げられる。1つの代表的な実施形態では、製剤は、ポリシロキサンの総モル数のパーセントとして、少なくは、0.1%、0.5%、1%、2%、多くは、5%、10%、15%、20%、若しくは25%の、又は2%から20%若しくは5%から10%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の末端封止剤を含む。
【0053】
1つの代表的な実施形態では、製剤は、1つ以上の有機酸を含む。ある実施形態では、有機酸添加剤は、揮発性であるか、又は高温で分解し、及び製剤の安定化を補助する。代表的な有機酸としては、p‐トルエンスルホン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、及びトリフルオロ酢酸が挙げられる。1つの代表的な実施形態では、製剤は、少なくは、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、多くは、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、若しくは25重量%の、又は2重量%から20重量%若しくは5重量%から10重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい1つ以上の有機酸を含む。
【0054】
II.ポリシロキサンコーティング
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサン製剤は、エレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、若しくはディスプレイデバイスの中又は上に位置する表面上にポリシロキサンコーティングを形成する。
【0055】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサン製剤は、光透過性コーティングを形成する。より特定の実施形態では、光透過性コーティングは、400から1000nmの可視光波長範囲内の光に対する透過性を有する。ある実施形態では、光透過率は、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上という高さであるか、又は上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい。
【0056】
ある代表的な実施形態では、1つ若しくはポリマー樹脂は、所望される屈折率を得るように選択される。1つの代表的な実施形態では、比較的低い屈折率を有するポリシロキサンコーティングを作製するために、100% メチルトリエトキシシラン樹脂など、比較的低い屈折率を有する樹脂の相対的モルパーセントが比較的高い。別の代表的な実施形態では、比較的高い屈折率を有するポリシロキサンコーティングを作製するために、100% フェニルトリエトキシシラン樹脂など、比較的高い屈折率を有する樹脂の相対的モルパーセントが比較的高い。別の代表的な実施形態では、比較的高い屈折率を有する第一の樹脂及び比較的低い屈折率を有する第二の樹脂の相対的モル比率は、第一及び第二の樹脂の屈折率の間の所望される屈折率を有するポリシロキサンコーティングが作製されるように選択される。
【0057】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサン製剤は、小さくは、1.4未満、1.4、1.45、大きくは、1.5、1.55、1.56、1.6である、又は1.4未満から1.6若しくは1.4から1.56などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい屈折率を有するコーティングを形成する。
【0058】
本開示のコーティングを提供することができる代表的なデバイスとしては、CMOSイメージセンサー、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、光起電力セル、フラットパネルディスプレイ、湾曲ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、x線検出器、アクティブ又はパッシブマトリックスOLEDディスプレイ、アクティブマトリックス薄膜液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、不動態化層、バリア層、平坦化層、又はこれらの組み合わせを形成する。
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、小さくは、0.1μm、0.3μm、0.5μm、1μm、1.5μm、大きくは、2μm、2.5μm、3μm、3.5μm、4μm、若しくはそれ以上、又は上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい厚さを有する。
【0060】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、製剤を基材に適用し、続いて製剤を硬化することによって形成される。製剤を適用する代表的な方法としては、スピンコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング技術が挙げられる。硬化とは、ケイ素系オリゴマーなどのケイ素系物質が、触媒の存在下で反応して加水分解及び他のオリゴマーとの縮合を起こし、より高い分子量のポリマー又はマトリックスを形成する重合プロセスを意味する。1つの代表的な実施形態では、焼成工程が提供されて、溶媒の少なくとも一部又はすべてが除去される。ある実施形態では、焼成工程は、短くは、1分間、5分間、10分間、15分間、長くは、20分間、30分間、45分間、60分間、若しくはそれ以上であり、低くは、100℃、200℃、220℃、高くは、250℃、275℃、300℃、320℃、350℃、若しくはそれ以上の温度である。1つの代表的な実施形態では、硬化工程が提供されて、熱活性化触媒を活性化することなどにより、少なくとも1つのケイ素系物質が重合される。ある実施形態では、硬化工程は、短くは、10分間、15分間、20分間、長くは、30分間、45分間、60分間、若しくはそれ以上であり、低くは、250℃、275℃、300℃、高くは、320℃、350℃、375℃、380℃、400℃、若しくはそれ以上の温度である。
【0061】
ある代表的な実施形態では、製剤の複数の層が、続けて適用され、硬化されて、多層コーティングが形成される。ある代表的な実施形態では、多層コーティングは、2、3、又は4層以上のポリシロキサンコーティング層を含む。
【0062】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、形成されたポリシロキサンコーティング上での追加のコーティング若しくは層の硬化又は堆積など、複数の加熱工程に対して耐性を有する。
【0063】
III.ケイ素系化合物の前処理
ある代表的な実施形態では、ケイ素系化合物は、2つ以上の重合工程から形成されてよい。
【0064】
1つの代表的な実施形態では、オリゴマー樹脂などの第一のケイ素系樹脂は、1つ以上のオルガノアルコキシシランの第一の重合工程から形成される。代表的なオルガノアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及び上述のものの組み合わせが挙げられる。代表的な第一の重合工程としては、無機酸若しくは有機酸で触媒される重合などの酸性触媒重合、又はアンモニウム化合物、アミン、ホスホニウム化合物、若しくはホスフィン化合物で触媒される重合などの塩基触媒重合が挙げられる。代表的な無機酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、及びフッ化水素酸が挙げられる。代表的な有機酸としては、スルホン酸、トリフルオロスルホン酸、及びカルボン酸、さらには高められた温度への暴露によってスルホン酸を発生させることができる熱酸発生剤(TAG)が挙げられる。代表的な塩基性触媒としては、テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物が挙げられ、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、酢酸テトラブチルアンモニウム(TBAA)、酢酸セチルトリメチルアンモニウム(CTAA)、硝酸テトラメチルアンモニウム(TMAN)、トリフェニルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリエタノールアミン、酢酸テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラメチルホスホニウム、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、及びこれらの組み合わせなどである。1つの代表的な実施形態では、触媒は、硝酸などの無機酸である。
【0065】
1つの代表的な実施形態では、第一のケイ素系樹脂は、小さくは、900原子質量単位(AMU)、950AMU、1000AMU、1100AMU、1150AMU、大きくは、2000AMU,3000AMU、4000AMU、5000AMU、10000AMUの、又は900AMUから10000AMU、1000AMUから10000AMU、若しくは900AMUから5000AMUなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい重量平均分子量を有する。
【0066】
1つの代表的な実施形態では、第二のケイ素系樹脂は、第一のポリマー樹脂の第二の重合から形成される。代表的な第二の重合工程としては、第一の重合工程に関して述べたように、酸性触媒重合及び塩基触媒重合が挙げられ、アンモニウム化合物、アミン、ホスホニウム化合物、又はホスフィン化合物で触媒される重合などである。代表的な無機酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、及びフッ化水素酸が挙げられる。代表的な有機酸としては、スルホン酸、トリフルオロスルホン酸、及びカルボン酸、さらには高められた温度への暴露によってスルホン酸を発生させることができる熱酸発生剤(TAG)が挙げられる。代表的な塩基性触媒としては、テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物が挙げられ、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、酢酸テトラブチルアンモニウム(TBAA)、酢酸セチルトリメチルアンモニウム(CTAA)、硝酸テトラメチルアンモニウム(TMAN)、トリフェニルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリエタノールアミン、酢酸テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラメチルホスホニウム、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、及びこれらの組み合わせなどである。1つの代表的な実施形態では、触媒は、TMAH又はTMANなどのテトラオルガノアンモニウム化合物である。
【0067】
第二のケイ素系樹脂は、第一のケイ素系樹脂よりも大きい重量平均分子量を有する。1つの代表的な実施形態では、第二のケイ素系樹脂は、小さくは、1000AMU、1100AMU、1150AMU、大きくは、2000AMU,3000AMU、4000AMU、5000AMU、10000AMUの、又は1000AMUから5000AMU、2000AMUから5000AMU、若しくは2000AMUから4000AMUなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい重量平均分子量を有する。
【0068】
1つの代表的な実施形態では、第二の重合は、乳酸エチル、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、又はこれらの組み合わせなどの溶媒中で行われる。第一のケイ素系樹脂は、少なくは、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、多くは、45重量%、50重量%、60重量%の、又は10重量%から60重量%若しくは30重量%から45重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい濃度で添加される。塩基性触媒は、少なくは、100ppm、200ppm、250ppm、多くは、300ppm、400ppm、500ppm、若しくはそれ以上の、又は100ppmから500ppm若しくは200ppmから300ppmなどの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい濃度で添加される。
【0069】
1つの代表的な実施形態では、第二の重合は、低くは、60℃、65℃、70℃、75℃、高くは、80℃、90℃、100℃の、又は60℃から100℃若しくは70℃から100℃などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい温度で行われる。より特定の実施形態では、第二の重合混合物は、短くは、1時間、2時間、3時間、長くは、5時間、8時間、10時間、又は1時間から10時間、2時間から10時間、2時間から8時間、若しくは2から3時間などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい時間にわたってその温度に保持される。
【0070】
1つの代表的な実施形態では、上述したようなポリシロキサン製剤は、第二のケイ素系樹脂及び1つ以上の溶媒を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、上述したような1つ以上のさらなるケイ素系物質を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、1つ以上の触媒を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、1つ以上の界面活性剤を含む。ある代表的な実施形態では、製剤はさらに、接着促進剤、可塑剤、有機酸、及び一官能性シランなどの1つ以上のさらなる添加剤を含む。
【0071】
1つの代表的な実施形態では、第二のケイ素系樹脂を含むポリシロキサン製剤から形成されるコーティングは、ポリシロキサン製剤を適用することによって形成される。1つの代表的な実施形態では、コーティングは、低くは、350℃、360℃、370°、高くは、375℃、380℃、385℃、390℃、若しくはそれ以上の温度でポリシロキサン製剤を硬化することによって形成される。
【0072】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、ガラス若しくはSi
3N
4でコーティング又はキャップした基材などの基材に製剤を適用し、その製剤を硬化することによって形成される。1つの代表的な実施形態では、コーティングは、低くは、350℃、360℃、370°、高くは、375℃、380℃、385℃、390℃、若しくはそれ以上の温度でポリシロキサン製剤を硬化することによって形成される。
【0073】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、小さくは、0.1μm、0.2μm、0.5μm、0.8μm、1μm、1.2μm、1.5μm、2μm、大きくは、3μm、4μm、5μm、10μm、若しくはそれ以上の、又は0.1μmから10μm、1μmから5μm、1.2μmから5μm、若しくは4μm以上などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい厚さを有する。
【0074】
ある代表的な実施形態では、空気中、350℃で1時間において、僅かに0.5重量%、僅かに0.2重量%、僅かに0.1重量%、僅かに0.09重量%、僅かに0.05重量%、若しくは僅かに0.02重量%の、又は0.5重量%から0.02重量%若しくは0.1重量%から0.05重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよいガス放出量。ある代表的な実施形態では、空気中、390℃で1時間において、僅かに0.5重量%、僅かに0.2重量%、僅かに0.1重量%、僅かに0.09重量%、僅かに0.05重量%、若しくは僅かに0.02重量%の、又は0.5重量%から0.02重量%若しくは0.1重量%から0.05重量%などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよいガス放出量。
【0075】
ある代表的な実施形態では、ポリシロキサンコーティングは、小さくは、約2.8、2.9、3.0、大きくは、約3.1、3.2の、又は2.8から3.2若しくは3.0から3.2などの上述の値のいずれか2つの間で定められるいずれの範囲内であってもよい誘電率を有する。
【0076】
実施例
例1−アルキル炭素の含有量が異なる製剤
ポリマーA:フェニルTEOSを、酸触媒及び水の存在下、イソプロピルアルコール溶媒中、100℃で24時間反応させた。反応後、溶媒を留去して、固体ポリマーを得た。次に、ポリマーを、適切な溶媒系から溶解及び再析出させ、50℃で一晩真空乾燥し、粉砕して粉末とした。
【0077】
ポリマーB:所定量のフェニルTEOS及びメチルTEOSを、酸触媒及び水及び0.5% DMDEOSの存在下、イソプロピルアルコール溶媒中、100℃で24時間反応させた。反応後、溶媒を留去して、固体ポリマーを得た。次に、ポリマーを、適切な溶媒系から溶解及び再析出させ、50℃で一晩真空乾燥し、粉砕して粉末とした。
【0078】
製剤1:最終溶液重量に対して、1〜5重量%の界面活性剤及び1〜5重量%の触媒の存在下、PGMEA中、90重量%のポリマーB及び10重量%のポリマーA。スリット、ローラー、スプレー、又はスピンコーティングプロセスによって堆積されるべき所望される厚さを得るために、得られた製剤を、PGMEAで希釈する。
【0079】
製剤2:95%のポリマーB及び5%のポリマーAを用いた以外は、製剤1と同様にして製剤を作製した。
製剤3:85%のポリマーB及び15%のポリマーAを用いた以外は、製剤1と同様にして製剤を作製した。
【0080】
製剤4:50%のポリマーB及び50%のポリマーAを用いた以外は、製剤1と同様にして製剤を作製した。この製剤は、接着性の問題を有することが見出され、及び化学薬品に対する耐性を有していなかった。
【0081】
比較製剤C:等モル比のMTEOS及びPTEOS、並びに約0.3mol%のDMDEOSを含むポリシロキサン樹脂、オハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手可能であるGR−150Fを、所望される樹脂固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解した。PGMEA溶媒、少量の希TMAN水溶液、及びBYK界面活性剤を添加することにより、コーティング製剤を形成した。各コーティングを、1000〜2500rpmで基材上にスピンコーティングして所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。コーティングを、光学顕微鏡下、硬化完了直後にマイクロクラックが存在するかどうかについて、及び数日後に潜在的クラックが存在するかどうかについて検査した。
【0082】
代表的な製剤5〜7:PTEOSから誘導されたポリシロキサン樹脂GR−950Fを、等モル比のMTEOS及びPTEOS、並びに約0.3mol%のDMDEOSを含むポリシロキサン樹脂GR−150Fと混合した。オハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手可能である両方の樹脂を、所望される重量比及び所望される固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解した。製剤5の場合、GR−950:GR−150Fの比は、1:9であり、製剤6の場合、比は、1:4であり、製剤7の場合、比は、1:1であった。PGMEA溶媒、少量の希TMAN水溶液、及びBYK界面活性剤を添加することにより、コーティング製剤を形成した。各コーティングを、1000〜2500rpmで基材上にスピンコーティングして所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。コーティングを、光学顕微鏡下、硬化完了直後にマイクロクラックが存在するかどうかについて、及び数日後に潜在的クラックが存在するかどうかについて検査した。
【0083】
代表的な製剤8〜10:等モル比のMTEOS及びPTEOS、並びに約5mol%(製剤8)、10mol%(製剤9)、又は15mol%(製剤10)のDMDEOSを含むオハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手したポリシロキサン樹脂を、所望される樹脂固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解した。PGMEA溶媒、少量の希TMAN水溶液、及びBYK界面活性剤を添加することにより、各樹脂のコーティング製剤を形成した。各コーティングを、1000〜2500rpmで基材上にスピンコーティングして所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。コーティングを、光学顕微鏡下、硬化完了直後にマイクロクラックが存在するかどうかについて、及び数日後に潜在的クラックが存在するかどうかについて検査した。
【0084】
代表的な製剤11及び12:ポリシロキサン樹脂GR−150Fを、第二のポリシロキサン樹脂GR−950F、並びに、等モル比のMTEOS及びPTEOS、並びに約10mol%のDMDEOSを含む第三のポリシロキサン樹脂と、95/2.5/2.5(製剤11)及び90/5/5(製剤12)の比で混合し、所望される樹脂固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解した。PGMEA溶媒、少量の希TMAN水溶液、及びBYK界面活性剤を添加することにより、各樹脂の組み合わせのコーティング製剤を形成した。各コーティングを、1000〜2500rpmで基材上にスピンコーティングして所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。コーティングを、光学顕微鏡下、硬化完了直後にマイクロクラックが存在するかどうかについて、及び数日後に潜在的クラックが存在するかどうかについて検査した。400℃で30分間の硬化後、製剤11から形成したコーティングは、2.4μmまでクラックを発生しない状態を維持し、一方製剤12から形成したコーティングは、2.8μmまでクラックを発生しない状態を維持した。
【0085】
製剤中のアリール及びアルキル炭素の割合を、以下の表1に示す。製剤13及び14は、以下の例12及び13を意味する。
【0087】
表1に示されるように、20%超のアルキル炭素を有する組成物を作製した。さらに表1に示されるように、様々なレベルの二官能性シロキサン含有量を有する組成物も作製した。
【0088】
例2−クラックを含まない膜厚に対するポリシロキサン樹脂のブレンドの影響
例1で作製した比較製剤C(「比較製剤C」)及び製剤5(「製剤5」)のサンプルを、以下の表2に示されるように、シリコン基材上に様々な厚さで堆積させた。次に、2つの反復実験サンプルを、窒素雰囲気中、380℃で30分間硬化し、続いて、空気中、380℃で10分間の第二の硬化を行った。各硬化の後に、膜を検査し、膜にクラックが発生したかどうかを判定した。結果を以下の表2に示す。
【0090】
表2に示されるように、比較製剤Cのサンプルは、シリコン上において、約2.3μmのクラック限界を有していた。対照的に、製剤5のサンプルは、約3.1μmのクラック限界を有していた。
【0091】
続いて、例1で作製した比較製剤C及び製剤5のサンプルを、以下の表3に示されるように、銅/窒化ケイ素基材上に様々な厚さで堆積させた。次に、2つの反復実験サンプルを、窒素雰囲気中、380℃で30分間硬化し、続いて、空気中、380℃で10分間の第二の硬化を行った。各硬化の後に、膜を検査し、膜にクラックが発生したかどうかを判定した。結果を以下の表3に示す。
【0093】
表3に示されるように、比較製剤Cのサンプルは、Cu/SiN上において、約2.3μmのクラック限界を有していた。対照的に、製剤5のサンプルは、約3.1μmのクラック限界を有していた。
【0094】
次に、低い硬化温度の350℃について調べた。例1で作製した比較製剤C及び製剤5のサンプルを、続いて、以下の表4に示されるように、シリカ又はガラス基材上に様々な厚さで堆積させた。サンプルを、窒素中、350℃で1時間、表4に示される厚さで硬化し、膜を形成した。硬化後、膜を目視検査し、膜にクラックが発生したかどうかを判定した。結果を以下の表4に示す。
【0096】
表4に示されるように、製剤5において硬化温度を350℃に低下させた結果、シリコン上では3.1μm、ガラス上では3μmもの厚さまでクラックが見られなかった。対照的に、比較製剤Cのサンプルでは、僅かに1.3μmでクラックが発生した。
【0097】
3.1μm及び3.4μmの厚さの製剤5の膜を、上記のようにシリコン又はガラス上で硬化し、硬化の2、7、11、及び21日後に、潜在的クラックが存在するかどうかについて目視検査した。結果を表5に示す。
【0099】
表5に示されるように、製剤5では、シリコン又はガラス上のいずれにおいても、3.4μmもの厚さで、硬化後21日間にわたってクラックが発生しなかった。
次に、約3.6μmでの製剤5の類似の例を、空気中、様々な温度で硬化した。結果を表6に示す。
【0101】
表6に示されるように、温度を低下させることにより、300℃未満の温度では、約3.6μmもの厚さであっても、クラックの形成が引き起こされていない。
例1で作製した比較製剤C及び製剤5のサンプルを、以下の表7に示されるように、シリコン又はガラス基材上に様々な厚さで堆積させた。次に、サンプルを、窒素雰囲気中、380℃で30分間硬化し、続いて、第二の同一の硬化を行った。各硬化の後に、膜を検査し、膜にクラックが発生したかどうかを判定した。結果を以下の表7に示す。
【0103】
例1で作製した比較製剤C、並びに製剤5、6、及び7を、以下の表8に示されるように、シリコン又はガラス基材上に様々な厚さで堆積させた。次に、サンプルを、350℃で60分間硬化した。硬化後、膜を目視検査し、膜にクラックが発生したかどうかを判定した。結果を以下の表8に示す。
【0105】
表7及び8に示されるように、製剤5、6、及び7は、比較製剤Cの膜よりも高いクラック限界を有していた。
例2に示されるように、製剤5、6、及び7は、様々な基材上でクラックを発生させることなく、異なる条件下で硬化されて、比較製剤Cよりも非常に大きい厚さの膜を形成することが可能であった。製剤5の膜は、380℃の硬化温度では、3μm以上の厚さまで、それよりも低い硬化温度では、3.6μmまで安定であった。
【0106】
例3−クラックを含まない膜厚に対する二官能性シロキサン含有量の影響
以下の表9に示されるように、例1で作製したコントロール比較製剤C、並びに製剤8、9、及び10のサンプルを、様々な厚さで基材上に堆積させ、空気中で硬化した。各サンプルに対するクラック限界値を表9に示す。
【0108】
表9から分かるように、製剤8、9、及び10の各々に対するクラック限界値は、比較製剤Cの膜に対する厚さ1.3μmを超えていた。
例3に示されるように、製剤8、9、及び10は、異なる条件下で硬化された場合に、クラックを発生させることなく、比較製剤Cよりも非常に大きい厚さの膜を形成することが可能であった。
【0109】
例4−膜の光学特性の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の6000Åサンプルを、各々、ガラス基材上に堆積させ、350℃で1時間硬化した。結果を
図1及び以下の表10に示す。
【0111】
表10に示されるように、比較製剤C及び製剤5の両方が、未コーティングのガラスよりも高い透過率を有していた。加えて、製剤5の非常により厚い3.1〜3.4μmのサンプルが、比較製剤Cの比較的薄い1.1μmのサンプルに類似する透過率を有していた。コントロール比較製剤C及び製剤5の膜は、類似する透過率の結果を有していた。
【0112】
比較製剤C及び製剤5のサンプルを、基材上に堆積させ、空気中、230℃で30分間に基づき、続いて、窒素中、390℃で30分間硬化した。400nmから1050nmの反射性を特定した。比較製剤Cの結果を
図2Aに、製剤5の結果を
図2Bに示す。図から分かるように、これらのコーティングは、ほぼ同一の反射性プロファイルを有していた。
【0113】
例4に示されるように、比較製剤C及び製剤5の膜は、類似の光学特性を有しており、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、光学的設計の考慮に影響を与えないことが示唆される。
【0114】
例5−製剤粘度の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤の粘度を、25℃で特定した。結果を以下の表1に示す。
【0116】
表11に示されるように、3つの製剤の各々は、類似する粘度を有しており、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、スピンコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング技術による製剤のコーティングの加工性に影響を与えないことが示唆される。
【0117】
例6−機械的特性の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤のサンプルを、基材上に1.9μmで堆積させ、窒素中、390℃で30分間硬化した。これらのコーティングに、室温と400℃との間の加熱冷却サイクルを施した。温度の関数としての残留応力を、比較製剤Cのコーティングについては
図3Aに、製剤5については
図3Bに示す。各コーティングにおける冷却線の直線回帰も示す。
図3に示されるように、製剤5のコーティングにおける冷却線の傾き(−0.0947Mpa/℃)は、比較製剤Cのコーティングの場合(−0.0989Mpa/℃)よりも小さい。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、このことが、製剤5のより高いクラック限界に寄与しているものと考えられる。
【0118】
様々な温度での比較製剤C及び製剤5のコーティングに対する熱膨張係数(CTE)を、表12、並びに
図4A及び4Bに示す。
【0120】
表12及び
図4Bに示されるように、製剤5のコーティングに対する熱膨張係数が比較製剤Cのコーティングよりも低いというだけでなく、2つの値の差が、温度の上昇と共に増加している。特定のいかなる理論にも束縛されるものではないが、このことが、製剤5のより高いクラック限界に寄与しているものと考えられる。
【0121】
例7−膜の熱安定性の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤のサンプルを、基材上に堆積させ、380℃で30分間硬化した。室温から約380℃までコーティングを加熱して熱重量分析(TGA)を行った。結果を
図5に示す。
図5に示されるように、コーティングは、ほぼ同一のTGAプロファイルを有していた。
【0122】
例8−膜収縮の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤のサンプルを、基材上に堆積させ、空気中、230℃で30分間焼成し、続いて、空気中、380℃で1時間硬化した。焼成工程及び硬化工程の後に各コーティングの厚さを測定し、硬化の過程での収縮割合を特定した。結果を、以下の表13に示す。
【0124】
表13に示されるように、両方のコーティング共に、硬化の過程での類似の収縮を示し、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、平坦化性能に影響を与えないことが示唆される。
【0125】
図6〜8に示されるように、比較製剤C及び製剤5の製剤は、類似の特性を有しており、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、下流での熱への暴露の過程でのガス放出性能に影響を与えないことが示唆される。
【0126】
例9−膜の機械的耐性の研究
例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤のサンプルを、基材上に1.9μmで堆積させ、窒素中、390℃で30分間硬化した。これらのコーティング厚さを、N&K社のツール又はNanometrics社のツールを用いてエリプソメトリで測定した。
【0127】
コーティングの硬度を、
図6Aに示し、コーティングの弾性率を、
図6Bに示す。
図6A及び6Bに示されるように、2つのコーティングに対する硬度及び弾性率の値は、ほぼ同一である。
【0128】
μNでの荷重に対するnmでの深さのプロファイルを、比較製剤Cのコーティングに対しては
図7Aに、製剤5のコーティングに対しては
図8Aに示す。インデンテーションの走査型プローブ顕微鏡画像を、比較製剤Cのコーティングに対しては
図7Bに、製剤5のコーティングに対しては
図8Bに示す。
図7及び8から分かるように、プロファイル及びインデンテーションは、比較製剤C及び製剤5のコーティングに対して、ほぼ同一である。
【0129】
製剤5をシリコン基材上に堆積させ、窒素又は空気中、350℃で1時間硬化した。ASTM D3359−09E2、テープ試験による接着性を測定するための標準試験法に従ってテープ試験を行い、下地とのコーティングの接着性を評価した。次に、基材を85℃に加熱し、15分間で−20℃に冷却し、これを3回行った。各サイクルの後、コーティングをクラックについて確認した。最終サイクルの後、テープ試験を再度行った。結果を以下の表14に示す。
【0131】
表14に示されるように、製剤5のコーティングは、熱サイクルに起因するクラックは起こさず、熱サイクルの前後で非常に優れた接着性を示し、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、接着性に影響を与えないことが示唆される。
【0132】
例9に示されるように、比較製剤C及び製剤5の製剤は、類似の機械的耐性を有し、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、機械的耐性に影響を与えないことが示唆される。
【0133】
例10−膜の化学的耐性の研究
例1で作製した比較製剤C、製剤5、及び製剤8の製剤のサンプルを、基材上に堆積させ、230℃で硬化した。各サンプルを、TOK−106に70℃で10分間、又は2.38% TMAHに室温で10分間暴露した。結果を以下の表15に示す。負のエッチング速度は、膜膨潤の結果である。
【0135】
表15に示されるように、これら3つの製剤は、TOK−106及びTMAH中での類似のエッチング速度を有している。
例1で作製した製剤5の製剤のサンプルを、シリコン上に堆積させ、記載のように1時間硬化した。初期厚さを測定し、続いて、コーティングを、NMP溶液に70℃で10分間暴露した。再度コーティングの測定を行い、エッチング速度(Å/分)を特定した。次に、コーティングを、ピラニア溶液、濃硫酸と過酸化水素との3:1混合物、に70℃で10分間暴露した。再度コーティングの測定を行い、エッチング速度(Å/分)を特定した。続いて、コーティングを、2.38% TMAH溶液に室温で10分間暴露した。再度コーティングの測定を行い、エッチング速度(Å/分)を特定した。湿式エッチング試験の結果を以下の表16に示す。負のエッチング値は、膜膨潤によるものである。
【0137】
次に、例1で作製した製剤5の製剤のサンプルを、基材に堆積させ、空気中で硬化した。コーティングを、光学顕微鏡で目視検査し、初期透過率%と共に初期厚さを測定し、テープ試験を行って接着性を測定した。次に、コーティングを、TOK−106フォトレジスト剥離液に70℃で10分間暴露した。TOK−106溶液は、オレゴン州ヒルズボロのTokyo Ohka Kogyo America社から入手可能であるモノエタノールアミン及びDMSO溶媒を含むアミン系フォトレジスト剥離液である。コーティングを、再度光学顕微鏡下で目視検査し、再度厚さを測定し、エッチング速度(Å/分)を特定した。試験後透過率、テープ接着性、及びOM検査を行った。結果を以下の表17に示す。
【0139】
表16及び17に示されるように、製剤5のコーティングは、NMP、ピラニア、及びTOK−106に対しては70℃で、TMAHに対しては室温で10分間耐性を示し、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、化学的耐性に影響を与えないことが示唆される。
【0140】
例10に示されるように、比較製剤C、製剤5、及び製剤8の製剤は、類似の化学的耐性を有している。
例11−膜のプラズマエッチング速度の研究
次に、例1で作製した比較製剤C及び製剤5の製剤のサンプルを、基材上に堆積させ、表18に挙げたRPMでスピンコーティングし、230℃で焼成し、続いて、以下の表13に示されるようにして硬化した。次に、コーティングを、200ワットの出力、200ミリトルの圧力、並びに15sccmのSF
6、20sccmのO
2、及び20sccmのArでプラズマエッチングした。結果を以下の表18に示す。
【0142】
表18に示されるように、製剤5は、比較製剤Cに類似のプラズマエッチング速度を有し、このことから、樹脂ブレンドを用いることによる、及び/又はより高い含有量のジアルキルシロキサンを用いることによる修飾が、プラズマエッチング速度に影響を与えないことが示唆される。
【0143】
例12−外的な水を含まない製剤
製剤13、オハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手可能であるMTEOSから誘導されたポリシロキサン樹脂GR−650Fを、所望される固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解し、2つのサンプルに分割した。第一のサンプルに、少量の希TMAN水溶液を添加した。第二のサンプルに、PGPE溶媒に溶解した等量のTMANを添加した。PGMEA溶媒及びBYK界面活性剤を添加することで、各サンプルからコーティング製剤を形成した。各コーティングを、1000〜1500rpmで基材上にスピンコーティングして、所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。これら2つのコーティングに対する屈折率(1.4)及びテープ試験による接着性能(100%合格)は同一であり、このことから、コーティングの光学的又は物理的特性に影響を与えることなく、外的な水をまったく用いずにコーティング製剤を製剤可能であることが示唆される。
【0144】
例13−接着促進剤を含む製剤
製剤14、オハイオ州ペリーズバーグのTechneglas Technical Products社から入手可能であるMTEOSから誘導されたポリシロキサン樹脂GR−650Fを、所望される固体充填%でPGMEA溶媒中に溶解した。少量の希TMAN水溶液、PGMEA溶媒、BYK界面活性剤、及びVTEOSを添加した。コーティングを、1000〜1500rpmで基材上にスピンコーティングして、所望される厚さの膜を堆積させ、類似の条件下で硬化した。
【0145】
例14−既存ポリシロキサン樹脂の分子量の増加
製剤15−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマーのPGMEA中45重量%溶液を、250ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、100℃で2時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、5000AMUの分子量を有していた。製剤15を、シリコン基材上にスピンコーティングし、380℃で1時間硬化した。得られたコーティングは、4μm超のクラック限界を有していた。
【0146】
製剤16−製剤15、並びに4200AMUの分子量を有し、約50%のフェニルTEOS及び約50%のメチルTEOSから形成された第二のポリマーの混合物を、パターン化された薄膜トランジスタ(FTF)及びインターコネクト誘電体基材上に、スロットダイコーティングによって適用し、硬化した。得られたコーティングを、平坦化及び化学的耐性について試験した。コーティングは、完全に平坦化され、NMP(70℃で10分間)、2.38重量% TMAH(室温で10分間)、TOK−106(70℃で10分間)、DHF(室温で5分間)、及びピラニア(70℃で10分間)の溶媒に対する完全な耐性を有していた。350℃で4時間にわたる熱重量分析(等温)から、コーティングのガス放出が、0.09重量%以下であると特定された。
【0147】
製剤17−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマーのPGMEA中45重量%溶液を、250ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、70℃で2〜3時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、2500AMUの分子量を有していた。製剤15を、シリコン基材上にスピンコーティングし、380℃で1時間硬化した。得られたコーティングは、4μm超のクラック限界を有していた。
【0148】
製剤18−製剤17、並びに4200AMUの分子量を有し、約50%のフェニルTEOS及び約50%のメチルTEOSから形成された第二のポリマーの混合物を、パターン化された薄膜トランジスタ(FTF)及びインターコネクト誘電体基材上に、スロットダイコーティングによって適用し、硬化した。得られたコーティングを、平坦化及び化学的耐性について試験した。コーティングは、完全に平坦化され、NMP(70℃で10分間)、2.38重量% TMAH(室温で10分間)、TOK−106(70℃で10分間)、DHF(室温で5分間)、及びピラニア(70℃で10分間)の溶媒に対する完全な耐性を有していた。
【0149】
製剤19−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマーのPGMEA中30重量%溶液を、200ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、100℃で8時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、6000AMUの分子量を有していた。
【0150】
製剤20−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマーのPGMEA中30重量%溶液を、300ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、100℃で8時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、8000AMUの分子量を有していた。
【0151】
製剤21−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマーのPGMEA中30重量%溶液を、400ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、100℃で8時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、ゲル化し、溶液から析出した。
【0152】
製剤22−分子量1100AMUであるフェニルTEOS系ポリマー、並びに4200AMUの分子量を有し、約50%のフェニルTEOS及び約50%のメチルTEOSから形成された第二のポリマーのPGMEA中30重量%溶液を、200ppmの塩基性触媒TBAHの存在下、100℃で8時間反応させた。反応後、得られた樹脂は、室温でゲル化し、溶液から析出した。
【0153】
本発明の範囲から逸脱することなく、考察した代表的な実施形態に対して様々な改変及び追加が行われてもよい。例えば、上述した実施形態は、特定の特徴に関するが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び上述した特徴のすべてを含んではいない実施形態も含まれる。
[1]1000AMUから10000AMUの重量平均分子量を有する、アルキル基及びアリール基を含む第一のケイ素含有樹脂、900AMUから5000AMUの重量平均分子量を有する、アリール基を含む第二のケイ素含有樹脂、少なくとも1つの溶媒、及び、少なくとも1つの熱活性化触媒、を含む架橋性組成物。
[2]少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む、[1]に記載の架橋性組成物。
[3]前記第一のケイ素含有樹脂が、メチルシロキサン及びフェニルシロキサンを含み、前記第二のケイ素含有樹脂が、フェニルシロキサンを含む、[1]に記載の架橋性組成物。
[4]前記第一のケイ素含有樹脂が、ジメチルシロキサンをさらに含む、[1]に記載の架橋性組成物。
[5]前記第一及び第二のケイ素含有樹脂中の炭素原子の総数に基づいて、アルキル基中に含有される炭素原子の割合が、10%超から100%である、[1]に記載の架橋性組成物。
[6]1.5μm以上の厚さを有する、[1]に記載の架橋性組成物から形成された架橋された膜。
[7][6]に記載の架橋された膜を含むデバイスであって、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、光起電力セル、フラットパネルディスプレイ、湾曲ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、x線検出器、アクティブ又はパッシブマトリックスOLEDディスプレイ、アクティブマトリックス薄膜液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、CMOSイメージセンサー、及びこれらの組み合わせから成る群より選択され、前記架橋された膜が、不動態化層、平坦化層、バリア層、又はこれらの組み合わせを形成する、デバイス。
[8]1000AMUから10000AMUの重量平均分子量を有する、アルキル基及びアリール基を含む第一のシロキサン樹脂、900AMUから5000AMUの重量平均分子量を有する、アリール基を含む第二のシロキサン樹脂、溶媒、及び、熱活性化触媒を混合して、架橋性組成物を形成すること、前記組成物を基材上に堆積させること、及び、前記架橋性組成物を、350℃以上の温度で硬化して、1.5μm以上の厚さを有する架橋された膜を形成すること、を含む、組成物を形成する方法。
[9]前記架橋された膜が、3.0μm以上の厚さを有する、[8]に記載の方法。
[10]前記第一のケイ素含有樹脂が、メチルシロキサン及びフェニルシロキサンを含み、前記第二のケイ素含有樹脂が、フェニルシロキサンを含み、前記方法が、少なくとも1000AMUの分子量を有するフェニルTEOS系ポリマーを、塩基性触媒の存在下、溶媒中で反応させて、前記第二のケイ素含有樹脂を形成することをさらに含む、[8]に記載の方法。