(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記PVPが、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満の重量平均分子量を有し、さらに好ましくは前記PVPが、500−20,000、再度好ましくは500−12,000、さらに好ましくは2,000−11,000の重量平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の固体組成物。
前記水性組成物中の前記ICGの濃度が、0.025mg/mL−9.8mg/mLであり、好ましくは前記水性組成物中の前記ICGの濃度が、0.025mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度が、0.5mg/mLに等しいか又はそれを超え、好ましくは0.5mg/mL−1.5g/mLであり、さらに好ましくは前記水性組成物中の前記PVPの濃度が、7.5mg/mL−1.5g/mLである、請求項4に記載の水性組成物。
前記水性組成物中の前記ICGの濃度が、0.05mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.1mg/mL−20mg/mL、さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度が、75mg/mL−1.5g/mLである、請求項4又は5に記載の水性組成物。
同じ濃度のICGを含むが、前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す、請求項4から6の何れか一項に記載の水性組成物。
請求項4から7の何れか一項に記載の水性組成物を生成させる方法であって、請求項1から3の何れか一項に記載の前記固体組成物を、水、好ましくは滅菌水、さらに好ましくは注射用水(WFI)に溶解させることを含む方法。
第1の容器及び第2の容器を備えるマルチチャンバ型槽であって、前記第1の容器は、請求項1から3の何れか一項に記載の固体組成物を含み、前記第2の容器は、生理学的に許容される水溶液又は滅菌水、好ましくは注射用水(WFI)を含み、且つ好ましくはデュアルチャンバシリンジ又はバイアルであり、再度さらにデュアルチャンバシリンジであるマルチチャンバ型槽。
脈管系を画像化する、好ましくはリンパ系を画像化する方法における、さらに好ましくはリンパ系を実時間定量画像化する方法における、請求項1から3の何れか一項に記載の固体組成物、請求項4から8の何れか一項に記載の水性組成物、又は請求項9に記載のマイクロニードルデバイスの使用であって、再度さらに好ましくは、前記画像化が近赤外(NIR)画像化による、使用。
組織の脈管造影画像を得る方法又は組織の灌流を画像化する方法における使用のための、請求項1から3の何れか一項に記載の固体組成物、又は請求項4から8の何れか一項に記載の水性組成物であって、好ましくは前記組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、さらに好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である、固体組成物又は水性組成物。
脈管系をモニターする、好ましくはリンパ系をモニターする方法、さらに好ましくはリンパ系を実時間定量モニターする方法における使用のための、請求項1から3の何れか一項に記載の固体組成物、請求項4から8の何れか一項に記載の水性組成物、又は請求項9に記載のマイクロニードルデバイスであって、好ましくは前記モニターすることは、前記脈管系又は前記リンパ系の機能の評価を含む、固体組成物、水性組成物、又はマイクロニードルデバイス。
【背景技術】
【0002】
循環系は、脊椎動物の生命における中心的存在である。それは、身体に栄養分を与え、その温度及びpHを安定化し、及びその恒常性を維持するために、栄養素、細胞及び酸素を含むいくつかの構成要素を含有する血液を身体全体にわたって輸送することを担当している。多くの疾患が循環系に影響を及ぼすので、その構造及び機能のモニタリングは、いくつかの診断手順において基本的なステップである。特に、関心のある組織及び臓器の脈管機能及び灌流のモニタリングは、本明細書によって重要な役割を果たす。
【0003】
リンパ系は、脈管及び節の網状組織からなり、これらは、リンパ液を間質空間から血流に排出して戻すことによって、組織恒常性において不可欠の役割を果たす。リンパ機能が損なわれる場合、いくつかの病態、最も特にはリンパ浮腫が発症し得、これは、生活の質を著しく損ない得る罹患した肢における体液貯留を特徴とする。特に、リンパ浮腫は、乳癌の手術後にしばしば観察され、損なわれた創傷治癒は、損なわれたリンパ機能と関連し得る。最近、異なる病的状態(炎症、癌増殖及び転移など)が、リンパ系の変化と強く相関することが明らかになってきている。したがって、いくつかの疾患において、リンパ管の構造及び機能の評価を、療法及び診断上の目的のために利用することができる。
【0004】
例えば、リンパ系の視覚化は、早期皮膚癌ステージングを特徴付けするために及びリンパ性血管疾患におけるリンパ脈管系の構造及び機能の評価のために、センチネルリンパ節をマッピングするための臨床関連手段であり得る。コンピュータ断層撮影、超音波、リンパ節シンチグラフィ、磁気共鳴画像化及びポジトロン断層法を含む、多くの技術が、リンパのアーキテクチャ及び機能を視覚化するために使用されてきた。しかしながら、それらの法外なコスト、適切な空間分解能の欠如及び/又はコントラスト剤投与のためにリンパ管の位置を決め、それにカニューレを挿入することが困難なために、それらは日常的には用いられていない。最近、近赤外(NIR)画像化が、高感度であることによりリンパのアーキテクチャ及び機能の非侵襲性評価が可能になることから台頭してきた。光子が生物組織によって最小限に散乱又は吸収される波長範囲(>750nm)で、NIR画像化及び断層法により、表在性脈管のための優れた空間分解能が実証されている(Nelson, TS等、Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 306: R281-R290、2014)。いくつかの有機及び無機NIR色素が提案されてきたが、インドシアニングリーン(ICG)が唯一FDA認可されたものとして残っている。
【0005】
インドシアニングリーン(ICG)は、肝クリアランス、心臓血管機能及び網膜造影法の評価のために50年以上の間臨床的に使用されてきた、負に荷電した、水溶性の暗緑色のトリカルボシアニン色素である。特に、FDAは、肝機能、心拍出量及び肝血流量を決定する際の使用のための、並びに眼科造影法のための注射可能コントラスト剤としてICGを認可した。例えば、眼科造影法では、ICGは、放射線によって蛍光に励起され、眼科脈管系の造影図が得られることを可能にする。さらに、ICGは、それが胆汁で専ら排泄され、静脈内投与後に3−4分の血清半減期を有するので、心拍出量及び肝機能の試験としての使用の長い歴史を有する。さらに、ICG使用は、肝臓又は内臓灌流の非侵襲性モニタリングを可能にする(ICG血漿消失速度の変化をモニタリングすることによって、集中治療手術患者の生存の確率を予測するためのパラメータとしてこの方法は適する)。
【0006】
クリニックでは、色素は通常、静脈内投与直前にmg/ml範囲の濃度で注射可能な水中で復元される。その光学特性及びタンパク質結合特性のために、ICG画像化は最近、リンパ液排出定量化/速度論、センチネルリンパ節マッピング、並びにリンパ脈管系構造の評価及び移植後の脈管修復のモニタリング、並びに腫瘍画像化のために用いられている。しかしながら、水に可溶性であるけれども、ICGは、劇的な蛍光自己クエンチングを示す。結果として、蛍光シグナルは、低いことがあり得、脱クエンチングが、一般にインビボでの投与後の最初の数時間以内に観察され、画像化アーチファクト、及び精密なクリアランス速度論定量化の困難性をもたらす。
【0007】
ICG−水の制約を回避するために提案された種々の処方の中で、血清アルブミンへのICGの前吸収は、特定の注目を得てきている。事実、ICGの蛍光シグナルは、規定された最適モル比がほぼ1であるアルブミンの存在下で増加され、いくつかの刊行物は、この処方を使用しての改善されたリンパ画像化を報告した(Moody等、Journal of Chromatography B、729 (1999)、55-64; Ohnishi等、Molecular Imaging、4(3)、172-181、2005)。Malicka等は、金属粒子(銀)の存在/近接が、放射崩壊の増加によってICG−アルブミン複合体の蛍光強度をなおさらに増幅することができることを発見した(Malicka J.等、Journal of Biomedical Optics、2003、8(3)、472-8)。しかしながら、簡単ではあるが、ヒト血清アルブミンをベースとする処方は、いくつかの欠点を有する。これらには、潜在的に高い生産原価、特にマイクロニードルデバイスを調製するために使用される場合の非最適機械的特性、並びに特にガンマ照射又はオートクレーブによる滅菌後の、注射後の起こり得る免疫原性が含まれる。同時に、いくつかの他の戦略が提案されている。Devoiselle等は、高濃度のリン脂質及び界面活性剤の存在下でのICGの蛍光の増加を観察した(Devoiselle等、SPIE、1997、2980、453-460)。米国特許第6944493号には、復元後のICG溶液の安定性を改善し、ICG濃度を増強するために、アルコール及び安定剤、例えば、非イオン性界面活性剤をさらに含む水性ICG組成物が記載された。欧州特許第2774625号には、腫瘍検出及び光線力学的治療のための、スチレンマレイン酸(SMA)コポリマーにより形成されたミセル内の蛍光プローブ、例えばICGのカプセル化が記載された。欧州特許第1655040号には、手術切除の前及び間にセンチネルリンパ節視覚化のための有利なツールとして可視性色素(例えば、ICG)と組み合わせて気体充填マイクロバブルから作られている超音波コントラスト剤の設計が記載された。Proulx等は、溶液中の改善された安定性及び増強された蛍光シグナルを有する、ICGのPEG化リポソーマル処方物を記載した。皮膚内に注射される場合、リポソームは、具体的にはリンパ管により吸収され、深リンパ節の改善された視覚化を可能にした(Proulx等、Cancer Research、2010;70(18):7053-62)。
【0008】
行われてきた開発にもかかわらず、依然として、迅速で信頼できる診断は、現代医学が必要な治療を敏速に適用し、より重症な疾患段階に悪化することを避けるための決定的な課題となっている。特に、リンパの流れを測定するための定量画像化方法が決定的に必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特に規定のない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0026】
インドシアニングリーン(ICG):本明細書で使用される場合、「インドシアニングリーン(ICG)」は、4−[2−[(1E,3E,5E,7Z)−7−[1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)ベンゾ[e]インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエニル]−1,1−イメチルベンゾ[e]−インドール−3−イウム−3−イル]ブタン−1−スルホン酸ナトリウム(IUPAC名;CAS登録番号3599−32−4)を指す。したがって、ICGは、一ナトリウム塩である。
【0027】
ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP):本明細書で使用される場合、「ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)」は、モノマーN−ビニルピロリドンから作られたポリマーを指す。IUPAC名は、1−エテニルピロリジン−2−オンであり、CAS登録番号は、9003−39−8である。
【0028】
質量比:本明細書で使用される場合、用語「質量比」は、本発明の組成物中のPVPの質量に比較してのICGの質量を指す。例えば、PVPの水溶液中濃度が1g/mLであり、ICGの同じ水溶液中濃度が0.1g/mLである場合、ICG:PVPの質量比は、1:10,000である。
【0029】
第1の態様において、本発明は、(a)インドシアニングリーン(ICG)及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含む固体組成物であって、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である、固体組成物を提供する。好ましい実施態様において、PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトン、再度好ましくは500−12,000ダルトン、再度さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。この分子量範囲におけるPVPは、腎臓により排泄されることが知られている。
【0030】
別の態様において、本発明は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含む、好ましくはそれらからなる固体組成物であって、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、さらに好ましくは前記固体組成物は、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む、固体組成物を提供する。本明細書によるさらに好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。本発明の別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000、好ましくは2,000−11,000の重量平均分子量を有する。好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)からなり、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、前記固体組成物は、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む。好ましくは本明細書によって、前記PVPは、500−20,000ダルトン、さらには500−12,000ダルトン、好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0031】
好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する。
【0032】
好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する前記質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0033】
好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0034】
用語「固体組成物」は、本明細書で使用される場合、ICG及びPVPを前記質量比で含み、NTP(標準温度及び圧力、すなわち、20℃及び1気圧)で固体状態である、本発明組成物を指す。典型的に及び好ましくは、固体組成物は、重量で5%未満、好ましくは重量で3%未満、さらに好ましくは重量で1%未満の含水量を有する。さらなる実施態様において、前記固体組成物は、本質的に水性である。固体組成物を調製するための様々な技術が、限定されないが、溶融押出し、噴霧乾燥、凍結乾燥、及び溶液蒸発を含めて、当技術分野で周知である。好ましくは、本発明の固体組成物は、最初に両方の成分を適当な溶媒、又は溶媒の混合物に溶解させ、次いで、溶媒を蒸発させることによって得られる。溶媒を蒸発させるために使用される方法には、試料を真空及び/又は熱下に置くこと、噴霧乾燥又は凍結乾燥が含まれてもよく、それらのすべては、周知の方法であり、当業者に公知である。溶媒を蒸発させるために本発明のために有用で、典型的に及び好ましく使用されるさらなる方法は、本発明組成物を室温及び大気圧、好ましくはNTPで乾燥させることである。最も都合よくは、それは、典型的に及び好ましくは、乾燥箱で行われる。溶媒、例えば、水及びアルコール、本明細書によって、メタノール又はエタノールが、典型的に使用され得る。好ましくは、溶媒は、水、好ましくはWFIである。本発明のさらに好ましい実施態様において、前記固体組成物は、ICG及びPVPを前記ICGの前記PVPに対する質量比1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75で含む溶液を凍結乾燥させることによって得られる凍結乾燥組成物であり、再度さらに好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する前記質量比は、1:20,000−1:375である。本発明の別の好ましい実施態様において、固体組成物は、ICG及びPVPを前記ICGの前記PVPに対する質量比1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75で含む溶液を噴霧乾燥させることによって得られ、再度さらに好ましくは前記ICGの前記PVPに対する前記質量比は、1:20,000−1:375である。示されるとおりに、噴霧乾燥及び凍結乾燥は、当技術分野で周知の方法であり、適当な噴霧乾燥又は凍結乾燥パラメータも当技術分野で公知であり、それは、そのために適切なパラメータを選択するための当業者の知識の範囲内である。
【0035】
別の態様において、本発明は、本発明の固体組成物を、水、好ましくは滅菌水、さらに好ましくは注射用水(WFI)に溶解させることによって得られる水性組成物を提供する。好ましくは、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.025mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.025mg/mL−9.8mg/mLであり、さらに好ましくは、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.025mg/mL−5mg/mL、再度さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、0.5mg/mLに等しいか又はそれを超え、好ましくは0.5mg/mL−1.5g/mLであり、さらに好ましくは前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、7.5mg/mL−1.5g/mL、再度さらに好ましくは7.5mg/mL−0.5g/mLである。別の好ましい実施態様において、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.05mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.05mg/mL−9.8mg/mL、さらに好ましくは0.1mg/mL−9.8mg/mL、さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、75mg/mL−1.5g/mL、好ましくは75mg/mL−0.5g/mLである。好ましい実施態様において、前記水性組成物は、同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す。したがって、本発明の文脈において、用語「同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較しての前記ICGの蛍光の増加」は、前記増加を決定するための使用される機器及び条件と無関係である増加を指す。前記増加の例示的で、好ましい決定は、実施例の節、特に実施例1で提供される。
【0036】
好ましい実施態様において、前記水性組成物は、本発明の固体組成物をWFIに溶解させることによって得られ、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.025mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.025mg/mL−9.8mg/mL、さらに好ましくは0.025mg/mL−5mg/mL、再度さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、0.5mg/mL−1.5g/mL、好ましくは0.5mg/mL−0.5g/mLである。好ましくは、前記水性組成物は、同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す。
【0037】
別の好ましい実施態様において、前記水性組成物は、本発明の固体組成物をWFIに溶解させることによって得られ、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.1mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.025mg/mL−9.8mg/mL、さらに好ましくは0.025mg/mL−5mg/mL、再度さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、且つ前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、75mg/mL−1.5g/mL、好ましくは0.5mg/mL−0.5g/mLである。好ましくは、前記水性組成物は、同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す。
【0038】
別の好ましい実施態様において、前記水性組成物は、本発明の固体組成物をWFIに溶解させることによって得られ、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.1mg/mL−20mg/mL、好ましくは0.025mg/mL−9.8mg/mL、さらに好ましくは0.025mg/mL−5mg/mL、再度さらに好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、75mg/mL−1.5g/mL、好ましくは0.5mg/mL−0.5g/mLであり、且つ前記水性組成物は、同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す。
【0039】
さらなる態様において、本発明は、(a)前記水性組成物中0.025mg/mL−5mg/mL、好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLの濃度でインドシアニングリーン(ICG)、及び(b)前記水性組成物中0.5mg/mLに等しいか又はそれを超える濃度、好ましくは0.5mg/mL−1.5mg/mL、さらに好ましくは7.5mg/mL−1.5g/mL、再度さらに好ましくは7.5mg/mL−0.5g/mLの濃度でポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)、並びに(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤を含み、好ましくはそれらからなる水性組成物を提供する。好ましくは、注射用水(WFI)が、本発明の水性組成物のための水源として使用される。別の好ましい実施態様において、前記水性組成物中の前記ICGの濃度は、0.05mg/mL−5mg/mL、好ましくは0.1mg/mL−5mg/mLであり、前記水性組成物中の前記PVPの濃度は、75mg/mL−1.5g/mL、好ましくは75mg/mL−0.5g/mLである。本発明のために有用な緩衝剤には、クエン酸塩、酢酸塩、ヒスチジン及びリン酸塩からの緩衝剤が含まれる。好ましくは、前記水性組成物は、同じ濃度のICGを含むが前記PVPを欠く対応する水性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも45%の、前記ICGの蛍光の増加を示す。
【0040】
したがって、本発明による組成物は、例えば、注射用の液体水性担体での使用前の復元のための、それぞれ、凍結乾燥調製物及び組成物として、固体の形態であってもよい。したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明の水性組成物を生成させるための方法であって、前記固体組成物を生理学的に許容される溶液又は滅菌水、好ましくは注射用水(WFI)中で復元することを含む方法を提供する。代わりの態様において、本発明は、本発明の水性組成物を生成させるための方法であって、前記インドシアニングリーン(ICG)を、前記ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)の水溶液、好ましくは生理学的に許容される溶液又は滅菌水、さらに好ましくは注射用水(WFI)に溶解又は懸濁させることを含む方法を提供する。
【0041】
なおさらなる態様において、本発明は、本発明の水性組成物を生成させるための方法であって、本発明の固体組成物を、水、好ましくは滅菌水、さらに好ましくは注射用水(WFI)に溶解又は懸濁させることを含む方法を提供する。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施態様において、本発明組成物は、アルコールを含まない。別の実施態様において、本発明の本発明組成物は、ウシ血清アルブミン又はヒト血清アルブミンを含まない。別の実施態様において、本発明の本発明組成物は、いかなる種類の血清タンパク質も含まない。
【0043】
本発明組成物は、任意の適当な仕方、例えば、ガラス、プラスチック又は他の薬学的に許容される材料から作られたバイアル中に包装されてもよい。本発明組成物は、望ましくは光への曝露から保護される。好ましくは、本発明の固体組成物は、マルチチャンバ型槽中に包装される。したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明の固体組成物をそれが診断又は療法に必要とされるまで隔離する、マルチチャンバ型槽を提供する。適当なマルチチャンバ型槽の好ましい例は、デュアルチャンバシリンジ及びデュアルチャンバ型バイアルである。したがって、別の態様において、本発明は、第1の容器及び第2の容器を備えるマルチチャンバ型槽であって、前記第1の容器は、本発明の固体組成物を含み、且つ前記第2の容器は、生理学的に許容される水溶液又は滅菌水、好ましくは注射用水(WFI)を含む、マルチチャンバ型槽を提供する。好ましくは、前記マルチチャンバ型槽は、デュアルチャンバシリンジである。代わりに好ましくは、マルチチャンバ型槽は、バイアルである。
【0044】
別の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイス(MNデバイス)を作製する方法における使用のための、本発明の水性組成物又は固体組成物、好ましくは前記固体組成物を提供する。別の非常に好ましい態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを作製する方法における、本発明の固体組成物又は本発明の水性組成物、好ましくは前記固体組成物の使用を提供する。
【0045】
再度別の態様において、本発明は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含む、好ましくはそれらからなるマイクロニードルデバイスであって、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、且つ前記マイクロニードルデバイスは、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む、マイクロニードルデバイスを提供する。さらに好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000ダルトン、好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0046】
マイクロニードルデバイスは、当業者に公知であり、典型的に及び好ましくは、例えば薬物送達のための組織バリアを横切っての療法的及び生物学的分子の輸送に使用される。マイクロニードルデバイス及びそれを作製する方法は、例えば、米国特許第3964482号;米国特許第633856号;米国特許第6503231号;米国特許第6611707号;米国特許第8708966号;米国特許出願公開第2012/0265145A1号;Chu,LY等、Journal of Pharmaceutical Sciences、VoL.99、4228−4238(2010);Park,JH等、Journal of Controlled Release 104(2005)51−66;Lahiji,SF等、Scientific Reports 5:7914;|DOI:10.1038/srep07914(2015);及びそれらの中に引用された参考文献に記載されている。
【0047】
マイクロニードルデバイスは、典型的には複数のマイクロニードルがそれに付着されるか、又は基材と一体的に形成される基材を含む。デバイスの基材は、金属、セラミック、半導体、有機物、ポリマー、及び複合材料を含めて、様々な材料から構築され得る。基材は、マイクロニードルがそれに付着されるか、又は一体的に形成される基部を含む。最近、生分解性又は溶解性生体適合性ポリマーから作られたマイクロニードルの形成が記載された。したがって、米国特許第8708966号には、生分解性ポリマー及びマイクロニードルの前記生分解性ポリマーに分散されている活性剤から形成されたマイクロニードルが記載された。次いで、活性剤の送達は、マイクロニードルの生分解性ポリマーの生分解によって行われる。米国特許出願公開第2012/0265145A1号には、マルトース、ポリ乳酸(PLA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、又はヒアルロン酸などの材料でほとんど構成される可溶性マイクロニードルが記載された。材料は、薬物と混合され、次いで、混合物全体が、マイクロニードルを形成する。皮膚の中に入ると直ぐに、マイクロニードルは、分解/溶解し、そのようにして薬物を放出する。制御された薬物送達及び種々のマイクロニードル設計を使用しての送達のためにポリマーマイクロニードルをさらに溶解させることが、例として、Chu等(Chu, LY等、Journal of Pharmaceutical Sciences、Vol.99、4228-4238 (2010))及びPark,JH等(Park JH等、Journal of Controlled Release 104 (2005)51-66)によって記載されている。
【0048】
したがって、別の態様において、本発明は、好ましくは複数のマイクロニードルが、取り付けられる基材、又は一体的に形成される基材を含むマイクロニードルデバイスであって、本発明の固体組成物で調製されるマイクロニードルデバイスを提供する。好ましくは、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、好ましくはそれらからなり、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、且つ前記マイクロニードルデバイスは、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む。さらなる好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000ダルトン、好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0049】
別の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスの形態での本発明の固体組成物の使用を提供する。
【0050】
別の態様において、本発明は、好ましくは複数のマイクロニードルが、取り付けられる基材、又は一体的に形成される基材を含むマイクロニードルデバイスであって、本発明の水性組成物で調製されるマイクロニードルデバイスを提供する。
【0051】
別の態様において、本発明は、好ましくは複数のマイクロニードルが、取り付けられる基材、又は一体的に形成される基材を含むマイクロニードルデバイスであって、本発明の固体組成物からなるマイクロニードルデバイスを提供する。好ましくは、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、好ましくはそれらからなり、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、且つ前記マイクロニードルデバイスは、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む。さらに好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0052】
別の態様において、本発明は、前記マイクロニードルデバイスの前記作製のための本発明の固体組成物の使用を含むマイクロニードルデバイスを作製する方法を提供する。好ましくは、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、好ましくはそれらからなり、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375であり、且つ前記マイクロニードルデバイスは、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む。さらに好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:50,000−1:75であり、好ましくは前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記固体組成物は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:20,000−1:375である。好ましくは、PVPは、20,000ダルトン未満、好ましくは500−20,000ダルトン、さらに好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0053】
したがって、この好ましい態様において、本発明組成物、好ましくは前記固体組成物は、マイクロニードルデバイスを作製するために使用され、したがって、本発明組成物、好ましくは前記固体組成物は、マイクロニードルのデバイスを形成することができる。別の好ましい態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを作製する方法における使用のための本発明組成物を提供し、好ましくは前記マイクロニードルデバイスは、脈管系、好ましくはリンパ系を画像化する方法、好ましくはリンパ系を実時間定量画像化する方法において使用される。本明細書による好ましい実施態様において、前記画像化は、近赤外(NIR)画像化による。本発明の別の好ましい実施態様において、前記マイクロニードルデバイスは、脈管系、特にリンパ系を画像化する方法において使用され、前記リンパ系の画像化は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍のセンチネルリンパ節(一又は複数)をマッピングするためである。
【0054】
好ましい実施態様において、前記マイクロニードルデバイスは、複数のマイクロニードルがそれに付着されるか、又は一体的に形成される基材を含む。好ましくは、ICGは、マイクロニードル(MN)によって唯一含まれ、基材は、前記ICGを含まない。代わりの実施態様において、前記MNデバイスの前記MN及び前記基材は、ICGを含む。
【0055】
本発明によって作製されたMNデバイスの使用は、無痛の、慎重に深部に位置させる方式での画像化剤としてのICGの投与をもたらす。さらに、投与は、特定の技術又は専門職員を必要とせず、したがって、患者自身又は非専門介護者によって行うことができる。さらに、本発明によって作製されたMNデバイスの使用は、投与前のいかなる前処理も必要とせず、したがって、「直ぐに使え」、特別の廃棄を必要とする強烈(sharp)/危険な廃棄物を発生させることなく行うことができる。
【0056】
MNは、異なる形状を有し得る。典型的に及び好ましくは、前記複数のマイクロニードルは、テーパ付きの又は平坦な壁;1mm未満の長さ/幅の、正方形、円形又は任意の他の2次元基準の周長、を有する。デバイスは、nが1に等しい、及び/又はそれを超える、任意の数のnのMNをバッキング層上に有するように作製されてもよい。バッキング層は、適用表面に最もよく適合するように任意の3次元形状及びサイズを有し得る。MNは、異なるICG:PVPの質量比1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75、再度さらに好ましくは1:20,000−1:375を使用して作製され得る。デバイスは、典型的に及び好ましくは1秒を超える、さらに好ましくは1秒−5分の異なる経過時間の間皮膚に適用され得る。好ましい実施態様において、前記MNは、典型的に及び好ましくは150μm×150μmの正方形底面;400μmの長さ;及び500μmの頂点間距離を有するテーパ付き錐体形状を有する。好ましくは、MNデバイスは、ばね負荷アプリケータを使用して適用される。
【0057】
重要なことには、本発明の調製されたMNは、典型的に及び好ましくは表皮層の貫通を可能にする機械的特徴及び表皮層の下での画像化剤の視覚化を可能にする物理化学的特性を有する。
【0058】
別の態様において、本発明は、脈管系の画像化、好ましくはリンパ系の画像化のための処方物の調製における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、組織の脈管造影画像を得るための処方物の調製における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。好ましくは、前記組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。なお別の態様において、本発明は、組織の灌流の画像化のための処方物の調製における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。好ましくは、前記組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。
【0059】
別の態様において、本発明は、本発明の固体組成物又は本発明の水性組成物を含む処方物を提供する。したがって、別の態様において、本発明は、(a)インドシアニングリーン(ICG)、及び(b)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含み、好ましくはそれらからなり、前記ICGの前記PVPに対する質量比は、1:150,000−1:12.5、好ましくは1:100,000−1:12.5、さらに好ましくは1:100,000−1:37.5、再度さらに好ましくは1:100,000−1:75、再度さらに好ましくは1:50,000−1:75であり、再度さらに好ましくは前記前記ICGの前記PVPに対する前記質量比は、1:20,000−1:375であり、さらに好ましくは、(c)任意選択的に緩衝剤、及び(d)任意選択的に浸透剤をさらに含む処方物を提供する。本明細書によるさらに好ましい実施態様において、前記PVPは、50,000ダルトン未満、好ましくは20,000ダルトン未満、さらに好ましくは500−20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施態様において、前記PVPは、500−12,000ダルトン、好ましくは2,000−11,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0060】
なお別の態様において、本発明は、脈管系の画像化、好ましくはリンパ系の画像化のための処方物の調製の方法における、固体組成物又は水性組成物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、組織の脈管造影画像を得るための処方物の調製の方法における、固体組成物又は水性組成物の使用を提供する。好ましくは、前記組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。なお別の態様において、本発明は、組織の灌流の画像化のための処方物の調製の方法における、固体組成物又は水性組成物の使用を提供する。好ましくは、前記組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。
【0061】
別の態様において、本発明は、診断における使用のための、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトの疾患又は機能不全の診断における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。示されるとおりに、本発明組成物は、より高い初期の蛍光及びインビボでの投与後の発光期の非存在のためにリンパ機能及び構造の精密な定量評価を可能にする。
【0062】
示されるとおりに、FDAは、肝機能、心拍出量及び肝血流量の決定の際の使用、並びに眼科造影法のための注射可能なコントラスト剤としてICGを認可している。さらに、ICGの使用は、肝臓又は内臓灌流の非侵襲性モニタリングを可能にする(ICG血漿消失速度の変化をモニターすることによって、この方法は、集中治療手術患者の生存の確率を予測するためのパラメータとして適する)。
【0063】
したがって、さらなる好ましい態様において、本発明は、脈管系の画像化、好ましくはリンパ系の画像化の方法における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。さらに、別の好ましい態様において、本発明は、組織の脈管造影画像を得る方法における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。さらに、再度別の好ましい態様において、本発明は、組織の灌流を画像化する方法における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。好ましくは、組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。さらなる好ましい実施態様において、本発明は、リンパ系を実時間定量画像化する方法における使用のための固体組成物又は水性組成物を提供する。好ましい実施態様において、前記画像化は、近赤外(NIR)画像化による。典型的に及び好ましくは、前記方法は、好ましくはヒトにおける前記本発明組成物の皮内投与による、哺乳動物、好ましくはヒトへの本発明組成物の皮内、皮下、静脈内、硝子体内又は筋内投与を含み、ここで、それは、前記ヒトのリンパ管によって吸収される。好ましい実施態様において、前記方法は、典型的に及び好ましくはレーザーダイオード又はLEDによって、近赤外(NIR)波長を適用すること、並びに画像を与えるデバイス、例えば、電荷結合素子(CCD)、又は適切な光学機器レンズ及びフィルター付き電子増倍(EM)−CCDカメラを使用して前記ヒトの前記リンパ系をさらに画像化することを含む。本発明の別の好ましい実施態様において、前記リンパ系の前記画像化は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍のセンチネルリンパ節(一又は複数)のマッピングのためである。別の実施態様において、リンパ系の前記画像化は、インビボでのリンパポンピング能力の定量化、リンパ浮腫、皮膚癌の評価、乳癌手術後のセンチネルリンパ節マッピング等のためである。
【0064】
本発明のさらなる態様は、脈管系を画像化する、好ましくはリンパ系を画像化する方法における、さらに好ましくはリンパ系を実時間定量画像化する方法における、本発明の固体組成物又は本発明の水性組成物の使用を含む。
【0065】
別の態様において、本発明は、組織の脈管造影画像を得る方法又は組織の灌流を画像化する方法における、好ましくは組織の脈管造影画像を得る方法における、本発明の固体組成物又は本発明の水性組成物又は本発明のマイクロニードルデバイスの使用を提供する。好ましくは、組織は、眼、肺、胃腸管、膀胱、膵臓、胆嚢、静脈洞、気管、肝臓、腎臓、心臓、頸部、脳、卵巣、前立腺、胃又は皮膚であり、好ましくは前記組織は、眼、心臓、肝臓及び胃である。好ましい実施態様において、前記画像化は、近赤外(NIR)画像化による。典型的に及び好ましくは、好ましくはヒトにおける前記本発明組成物の皮内投与による、哺乳動物、好ましくはヒトへの本発明組成物の皮内、皮下、静脈内、硝子体内又は筋内投与を含み、ここで、それは、前記ヒトのリンパ管によって吸収される。好ましい実施態様において、前記方法は、典型的に及び好ましくはレーザーダイオードによって、近赤外(NIR)波長を適用すること、並びに画像を与えるデバイス、例えば、電荷結合素子(CCD)、又は適切な光学機器レンズ及びフィルター付き電子増倍(EM)−CCDカメラを使用して前記ヒトの前記リンパ系をさらに画像化することを含む。本発明の別の好ましい実施態様において、前記リンパ系の前記画像化は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍のセンチネルリンパ節(一又は複数)のマッピングのためである。別の実施態様において、リンパ系の前記画像化は、インビボでのリンパポンピング能力の定量化、リンパ浮腫、皮膚癌の評価、乳癌手術後のセンチネルリンパ節マッピング等のためである。
【0066】
さらに、本発明のさらなる態様は、哺乳動物、好ましくはヒトの療法における使用のための、好ましくは、哺乳動物、好ましくはヒトの疾患又は機能不全の療法における使用のための本発明組成物を含む。より好ましくは、前記療法は、光線力学療法(PDT)、好ましくは皮膚腫瘍のためのPDTである。PDT及びその適用は、当業者に公知であり、例えば、米国特許出願公開第2005/0265594号に及びIsakau等(Isakau, HA等; Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology 92 (2008) 165-174)により記載されている。さらに、本発明は、毛細管奇形(CM)のための療法における使用のための前記本発明組成物又は前記固体組成物を提供し、前記本発明組成物又は前記固体組成物は、ダイオードレーザー療法と組み合わせて使用される。ICGの使用は、既にCMのダイオードレーザー療法について示唆されている(Klein, A等、Lasers in Surgery and Medicine 45:216-224 (2013))。前記療法上の方法は、前記ヒトへ本発明組成物を投与すること、及び前記ヒトへの光線力学療法を提供する、好ましくは前記ヒトの皮膚腫瘍に光線力学療法を提供するのに有効なタイプの及び量での放射線の適用を含む。本発明組成物は、PVPの存在下でICG蛍光のみならず、ICG吸収の増加を提供するので、光−熱活性の効力は増加される一方で、必要とされる投与量は減少させることができる。
【0067】
さらに、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの疾患又は機能不全の診断又は療法上の方法における使用のための本発明組成物及び本発明マルチチャンバ型槽を提供し、ここで、前記疾患は、新生物疾患であり、好ましくは前記新生物疾患は、肺癌、気管支内肺癌、膀胱癌、食道癌、皮膚癌、乳癌、脳腫瘍、大腸癌、胃癌、又は婦人科悪性腫瘍、より好ましくは皮膚癌由来である。
【0068】
さらに、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの疾患又は機能不全の診断又は療法上の方法における使用のための本発明組成物及び本発明マルチチャンバ型槽を提供し、ここで、前記疾患は、皮膚疾患であり、好ましくは前記皮膚疾患は、乾癬、又はUV線誘発皮膚角化症である。
【0069】
さらに、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの疾患又は機能不全の診断又は療法上の方法における使用のための本発明組成物及び本発明マルチチャンバ型槽を提供し、ここで、前記疾患は、眼科疾患であり、好ましくは前記眼科疾患は、加齢筋変性又は加齢筋変性の滲出形態である。
【0070】
さらに、近赤外蛍光脈管造影に依存するいくつかの新規な手術上の適用は、形成外科−皮膚及び筋肉移植、及び切断レベルの決定;腹部外科−胃腸吻合;一般外科−創傷治癒及び潰瘍;内科学−糖尿病性四肢;心臓外科−冠動脈バイバス;神経学−脳灌流診断法におけるトレーサ;並びに脳卒中患者−モニタリングを含めて、本発明組成物に適する。
【0071】
典型的に及び好ましくは、本方法は、好ましくはヒトにおける前記発明組成物の皮内投与による、哺乳動物、好ましくはヒトへの本発明組成物の皮内、皮下、静脈内、硝子体内又は筋内投与を含む。
【実施例】
【0072】
実施例1
本発明PVP−ICG処方物の調製及びそれらのインビトロ蛍光定量化
この実験は、BASFから購入したKollidon(登録商標)12PFを使用して行った。Kolloidon(登録商標)12PFは、当業者に公知の光散乱法によって決定して2,000−3,000の重量平均分子量(M
w)を有するポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)である。
【0073】
0.25mLのPVP−水(Kollidon(登録商標)12PF、BASF)及び0.25mLの新鮮に調製したICG−水(IR−125、Acros Organics)を、所望の最終濃度(PVP:0、0.25、0.75、1.5、2.5、7.5、15、25、75、150、250mg/mL;ICG:0.2mg/mL、これはICG:PVPの質量比:1:0、1:1.25、1:3.75、1:7.5、1:12.5、1:37.5、1:75,1:125、1:375、1:750、1:1250に等価である)となるように混合した。この溶液をボルテックスすることによって激しく混合した。
【0074】
次いで、石英−96ウェルプレートを使用してマイクロプレートリーダ(Infinite 200Pro、TECAN Ltd.、Mannerdorf、スイス国)で測定した。λ
ex/em=700/824nm。
【0075】
表1は、本発明水溶液内でのICG:PVPの質量比との関連で、ICG−水に対する、ICGの標準化蛍光シグナルによって、したがって、N倍蛍光シグナル増加として、得られた結果を列挙する。
【0076】
図1Aは、得られた結果をさらに例示し、同様に、濃度依存的にICG蛍光を増加させるPVPの能力を示す。さらなる詳細において、ICG蛍光は、ICG:PVPの質量比1:12.5で既に有意に増加しただけでなく、質量比がさらに増加された場合になおさらに非常に強い増加も示した。
【0077】
同じように、本発明PVP−ICG処方物を、9.8mg/mLのICG及び0.25g/mLのPVP−水(Kollidon(登録商標)12PF)の最終濃度で調製した(ICG:PVPの質量比1:25.5)。上に示したように、次いで、蛍光シグナルを測定した。
図1Bは、PVPが、同様にこの濃度及び比でICGの蛍光を増加させることを示す。
【0078】
実施例2
本発明PVP−ICG処方物の調製及びそれらのインビトロ蛍光定量化
この実験は、BASFから購入したKollidon(登録商標)17PFを使用して行った。Kollidon(登録商標)17PFは、ポリ(N−ビニルピロリドン)である。Kollidon(登録商標)17PFは、当業者に公知の光散乱法によって決定して7,000−11,000の重量平均分子量(M
w)を有するポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)である。
【0079】
0.5g/mLでの0.25mLのPVP−水(Kollidon(登録商標)17PF、BASF)又は蒸留水を、0.25mLの新鮮に調製したICGの水溶液(0.05、0.12及び0.3mg/mL、IR−125、Across Organics、Geel、ベルギー国)に添加して、以下の最終濃度を得た:PVP:0.25g/mL;ICG:0.025、0.06及び0.15mg/mL、これは、質量比:1:10,000、1:4,166及び1:1,666に等価である。この溶液をボルテックスすることによって激しく混合した。
【0080】
次いで、石英−96ウェルプレートを使用してマイクロプレートリーダ(Infinite 200Pro、TECAN Ltd.、Mannerdorf、スイス国)で測定した。λ
ex/em=770/818nm。
【0081】
図2は、ICG蛍光を有意に増加させるPVPの能力を示す。したがって、ICG蛍光の強度は、水溶液に比較してPVPの存在下で有意に増加される(0.025mg/mLでのICG 1.32のn倍増加、0.06mg/mLでのICG 1.68のn倍増加、0.15mg/mLでのICG 2.2のn倍増加)。
【0082】
実施例3
本発明PVP−ICG処方物の実時間輸入性リンパ管視覚化
3mLのPVP−水(Kollidon(登録商標)12PF、BASF、0.4g/mL)又は蒸留水を0.25mgの無水ICG(IR−125、Acros Organics)に添加し、前者はICGのPVPに対する質量比1:4800に対応し、ボルテックスすることによって激しく混合した。次いで、5μLの得られた溶液を、29G標準針を使用して麻酔(0.2mg/kgのメデトミジン及び80mg/kgのケタミンの腹腔内注射)Proxl−GFPトランスジェニックマウスの足に皮内注射した。注射直後に、動物を蛍光双眼実体顕微鏡下に置き、下肢集合リンパ管アーキテクチャを画像化した(λ
Ex/Em:770/832nm、
図3)。
【0083】
実施例4
本発明PVP−ICG処方物の実時間クリアランス評価
3mLのPVP−水(Kollidon(登録商標)12PF、BASF、0.4g/mL)又は蒸留水を0.25mgの無水ICG(IR−125、Acros Organics)に添加し、前者はICGのPVPに対する質量比1:4800に対応し、ボルテックスすることによって激しく混合した。次いで、3μLの得られた溶液を、29G標準針を使用してイソフルラン麻酔Proxl−GFPトランスジェニックマウスの耳に皮内注射した。注射直後に、動物をIVISシステム内に置き、観察した(t=0画像)。次いで、その後に動物を増加する経過時間(1、2、4、6及び24時間)後に観察した。それぞれの観察中に、動物をイソフルランで麻酔したが、時点間では回復させ、自由に動くことを許した。IVISパラメータはすべて、実験全体を通して一定に維持した(λ
Ex/Em:745/800nm;曝露時間4秒;ビニング:2)。関心領域(ROI)をインビボ画像でt=0で慎重に引き出し、すべての時点の間一定に維持した。蛍光強度を、各画像についてIVIS Living Imageソフトウェア(Caliper Life Sciences)を使用して自動的に得た。平均±SD(n=3)。(
図4及び
図5)。
【0084】
皮内に注射すると直ぐに、注射部位での蛍光シグナルを増加する経過時間後に定量的に視覚化することができ、リンパ機能と相関するクリアランス速度論(半減期、速度定数)の決定をもたらす。
【0085】
図4は、一つの代表的動物の画像を示す。水−ICG溶液を、右耳に注射し、PVP−ICG水溶液を、左耳に注射した。蛍光シグナルを時間(0、1、2、4、6、及び24時間)の関数として観察した。
図5は、時間の関数としての耳ROIの蛍光強度定量化を示す。重要なことには、本発明ICG−PVP溶液の投与後の蛍光シグナルは、ICG−水注射の場合におけるように脱クエンチング、すなわち、早期時点にわたってのシグナルの増加を示すことはない。
【0086】
実施例5
本発明PVP−ICG処方物からのマイクロニードルの調製
所望の数及び形状のマイクロニードルを有するMNメス型(Micropoint Technologies、シンガポール国)を使用して前に記載されたプロトコルを修正して、型注型法によって、MNデバイスを調製する。ICG(0.0825mg/mL)を含有する脱イオン水中Kollidon(登録商標)12PF溶液(0.9375g/mL)およそ100μL(ICG:PVPの質量比1:11,363)を、型に注型し、2300×g、15℃で5分間遠心分離機にかけた。充填/遠心分離工程を3回繰り返し、毎回、型をプレートに対して垂直な平面で180だけ回転させた。最後の遠心分離後、型を清浄化して、過剰の溶液を除去した。次いで、型を減圧デシケータ(60ミリバール)下に30分間置いた。色素なしの、脱イオン水中PVPおよそ100−200μLを型に注型し、遠心分離機にかけた。最後に、脱イオン水中PVP100−200μLを型に加え、室温で少なくとも1日間乾燥させた。次いで、得られたデバイスを型から慎重に取り出し、乾燥雰囲気で保存した。
【0087】
インビトロでの観察:得られたMNデバイスを、錐体形状MNの配列の存在を示す明視野双眼実体顕微鏡下に観察した(
図6A−
図6B)。蛍光双眼実体顕微鏡観察により、MNマトリックス内の蛍光(ICG)の存在が実証される(
図6C)。(λ
Ex/Em:770/832−7nm)。
【0088】
実施例6
本発明PVP−ICG処方物からのマイクロニードルの調製
PVPマイクロニードルベースの処方物:ICG(0.825mg/mL)を含有するKollidon(登録商標)12PF水溶液(0.9375g/mL)から出発すること以外は実施例5に記載したプロトコルに従って、PVP−ICG処方物ベースのMNデバイスを作製した。ICG:PVPの質量比1:1,136。
【0089】
実時間輸入性リンパ管視覚化:ICG負荷MNデバイスを、市販のバネ負荷アプリケータ(Micropoint Technologies、シンガポール国)を使用して麻酔(0.2mg/kgのメデトミジン及び80mg/kgのケタミンの腹腔内注射)C57BL/6アルビノマウスの腰部に適用した。バネ解放後、アプリケータ及び関連MNデバイスを3分間適切な位置に保った。直後に、注射部位の表面を慎重に清浄化し、適用の周辺の領域を蛍光双眼実体顕微鏡(λ
Ex/Em:770/832nm)で視覚化した。
図7は、適用範囲から広がる集合リンパ管アーキテクチャの視覚化を示す。
【0090】
実施例7
ヒアルロン酸(HA)ベースの処方物からのマイクロニードルの調製
ICG(0.0825mg/mL)を含有する、脱イオン水中ヒアルロン酸(HA)(高分子量)溶液(15mg/mL)(HA−ICG)およそ100μLを、型に注型し、2300×g、15℃で5分間遠心分離機にかけた。充填/遠心分離工程を3回繰り返し、毎回、型をプレートに垂直な平面で180℃だけ回転させた。最後の遠心分離後、型を清浄化して、過剰の溶液を除去した。次いで、型を減圧デシケータ(60ミリバール)下に30分間置いた。色素なしの、脱イオン水中HAおよそ100−200μLを型に注型し、遠心分離機にかけた。最後に、脱イオン水中HA100−200μLを型に加え、室温で少なくとも1日間乾燥させた。次いで、得られたデバイスを型から慎重に取り出し、乾燥雰囲気で保存した。
【0091】
インビトロでの蛍光観察:
図8は、同量のICG(0.25 10E−3mg)を含有するPVP又はヒアルロン酸(高分子量);ICG:PVPの質量比1:11,363及びICG:HAの質量比1:1,818に対応する、から作製されたMNの蛍光双眼実体顕微鏡画像を示す。一部の蛍光は、HAから作製されたMNでも検出されるが、ICG蛍光は、PVPベースの処方物で劇的により高い。
【0092】
実施例8
本発明PVP−ICG処方物からのマイクロニードルの調製
PVPマイクロニードルベースの処方物:ICG(0.825mg/mL)を含有するKollidon(登録商標)12PF水溶液(0.9375g/mL)から出発すること以外は実施例5に記載したプロトコルに従って、PVP−ICG処方物ベースのMNデバイスを作製した。ICG:PVPの質量比1:1,136。
集合リンパ管ポンピング視覚化:ICG負荷MNデバイスを、市販のバネ負荷アプリケータ(Micropoint Technologies、シンガポール国)を使用して麻酔(0.2mg/kgのメデトミジン及び80mg/kgのケタミンの腹腔内注射)Proxl−GFPマウスの耳に適用した。バネ解放後、アプリケータ及び関連MNデバイスを3分間適切な位置に保った。直後に、注射部位の表面を慎重に清浄化し、適用の周辺の領域を蛍光双眼実体顕微鏡で視覚化して、集合リンパ管を特定した。ROIを視覚化管で引き出し、蛍光強度を時間(500マイクロ秒枠、5分間)の関数として測定し(
図9)、ポンピング周波数定量化(±7収縮/分)を可能にした。
【0093】
実施例9
本発明PVP−ICG処方物からのマイクロニードルの調製
PVPマイクロニードルベースの処方物:実施例5に記載したとおりに、且つ
A)ICG(0.0825mg/mL)を含有するKollidon(登録商標)12PF水溶液(0.9375g/mL)から出発して(ICG:PVPの質量比1:11,363);
B)ICG(0.00825mg/mL)を含有するKollidon(登録商標)12PF水溶液(0.9375g/mL)から出発して(ICG:PVPの質量比1:113,636)、
PVP−ICG処方物ベースのMNデバイスを作製した。
【0094】
実時間クリアランス画像化:ICG負荷MNデバイスを、市販のばね負荷アプリケータ(Micropoint Technologies、シンガポール国)を使用してイソフルラン麻酔C57BL/6アルビノマウスの耳に適用した。バネ解放後、アプリケータ及び関連MNデバイスを適当な位置に5分間維持した。直後に、耳の表面を慎重に清浄化し、動物をIVISシステム内に置き、観察した(t=0画像)。次いで、その後に動物を増加する経過時間(1、2、4、6及び24時間)後に観察した。それぞれの観察中、動物をイソフルランで麻酔したが、時点間で回復させ、自由に動くことを許した。IVISパラメータはすべて、実験全体を通して一定に維持した(λ
Ex/Em:745/800nm;曝露時間:4秒;ビンニング:4)。関心領域(ROI)をインビボ画像中t=0で慎重に引き出し、すべての時点について一定に維持した。
図10は、右耳への組成物A)の適用による一つの代表的動物の画像を示す。蛍光強度は、各画像についてIVIS Living Imageソフトウェア(Caliper Life Sciences)を使用して自動的に得た。次いで、値をt=0画像に対して標準化し、時間に対してプロットした(A)について
図11A及びB)について
図11B)。
【0095】
実施例10
本発明PVP−ICG処方物からのマイクロニードルの調製
PVPマイクロニードルベースの処方物:ICG(0.825mg/mL)を含有するKollidon(登録商標)12PF水溶液(0.9375g/mL)から出発すること以外は実施例5に記載したプロトコルに従って、PVP−ICG処方物ベースのMNデバイスを作製した。ICG:PVPの質量比1:1,136。
【0096】
排出リンパ節特定及び画像化:ICG負荷MNデバイスを、市販のばね負荷アプリケータ(Micropoint Technologies、シンガポール国)を使用して麻酔(0.2gmg/kgのメデトミジン及び80mg/kgのケタミンの腹腔内注射)C57BL/6アルビノマウスの腰部に適用した。バネ解放後、アプリケータ及び関連MNデバイスを適当な位置に3分間維持した。輸入性管から来る蛍光シグナルを観察することによって、近位排出リンパ節(ここでは鼠径部)の位置を決め、視覚化した(
図12)。リンパ節を出る、輸出性リンパ管も特定した。