【文献】
Advances in Pharmacological Sciences,2013年12月23日,Vol.2013,Article ID 805756, 7pages
【文献】
Indian Journal of Experimental Biology,2013年10月,Vol.51,pp.797-803
【文献】
Can. J. Physiol. Pharmacol.,2012年,Vol.90,pp.415-423
【文献】
Fertility and Sterility,2011年,Vol.96, Issue 3, Supplement,p.S138 [P-100]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抽出溶媒が水であるウコン抽出物を含有することを特徴とする、アルコール摂取により生じる炎症(アルコール性肝炎を除く)によって引き起こされる行動量の低下を抑制するための組成物であり、前記ウコン抽出物がビサクロンを0.15重量%以上含む、組成物(ただし、ウコン抽出物、スクラロース及びエリスリトールを含有する組成物を除く)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑み、効果的なVCAM−1の発現抑制方法を提供することを課題とする。また、本発明は、VCAM−1の発現により惹起される種々の炎症性疾患を治療する方法、VCAM−1の発現抑制によりアルコール摂取による肝障害を抑制する方法、並びに炎症によって引き起こされる行動量の低下を抑制する方法を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウコン抽出物が優れたVCAM−1発現抑制効果を奏することを見出し、さらに、ウコン抽出物及び抗酸化物質の組み合わせが、該抽出物及び抗酸化物質を単独使用した場合の効果を合わせた相加効果ではなく、それぞれ単独による効果をはるかに越え驚くべき相乗的なVCAM−1発現抑制効果を奏することを見出した。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の思いがけない新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下のウコン抽出物と抗酸化物質を含有する組成物等に関する。
[1]ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とする組成物。
[2]前記ウコン抽出物の抽出溶媒が、水及び/又は親水性有機溶媒であることを特徴とする前記[1]に記載の組成物。
[3]前記ウコン抽出物がビサクロンを含むことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記抗酸化物質が、セサミンもしくはその類縁体、クルクミン、及びオルニチンからなる群から選ばれる1又は2以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]ビサクロンと抗酸化物質の配合比が質量比で以下の通りである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
ビサクロン:セサミンもしくはその類縁体=1:3〜1:300又は
ビサクロン:クルクミン=1:1〜1:100又は
ビサクロン:オルニチン=1:2〜1:200
[6]ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とするVCAM−1の発現抑制組成物。
[7]ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とする抗炎症組成物。
[8]ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とするアルコール性肝障害の抑制組成物。
[9]ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とする、炎症によって引き起こされる行動量の低下を抑制する組成物。
[10]前記炎症がアルコールに起因するものである前記[9]に記載の組成物。
[11]VCAM−1の発現によって惹起される疾患の予防剤、改善剤又は治療剤であることを特徴とする前記[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]抽出溶媒が水及び/又は親水性有機溶媒であるウコン抽出物を含有することを特徴とするVCAM−1の発現抑制組成物。
[13]抽出溶媒が水及び/又は親水性有機溶媒であるウコン抽出物を含有することを特徴とする抗炎症組成物。
[14]抽出溶媒が水及び/又は親水性有機溶媒であるウコン抽出物を含有することを特徴とするアルコール性肝障害の抑制組成物。
[15]抽出溶媒が水及び/又は親水性有機溶媒であるウコン抽出物を含有することを特徴とする、炎症によって引き起こされる行動量の低下を抑制する組成物。
[16]前記炎症がアルコールに起因するものである前記[15]に記載の組成物。
上記[1]〜[11]は、ウコン抽出物と並んで抗酸化物質を必須の構成要件とするが、上記[12]〜[16]は、ウコン抽出物を必須の構成要件とするが抗酸化物質を必須の構成要件としない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のVCAM−1発現抑制剤と比較して顕著に増大したVCAM−1の発現抑制効果を得るができ、VCAM−1によって媒介される種々の疾患及び種々の炎症性疾患を予防、改善又は治療することができる。また、本発明によれば、アルコール摂取による肝障害を抑制することができ、さらに、炎症によって引き起こされる行動量の低下を予防、緩和又は改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、ウコン抽出物、又は、ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とする。
本発明の組成物は、ウコン抽出物と抗酸化物質以外の成分を含んでも良い。
【0014】
本発明において、「含有する」とは、混合状態又は併存状態を含む。併存状態とは、使用前はそれぞれが分離されているが併存した組み合わせ状態にあって、用時に混合して使用する状態をいう。
【0015】
ウコン抽出物
本発明においてウコン抽出物とは、ショウガ科ウコン属の植物に由来する植物原料の抽出溶媒による抽出物(ウコンエキス)をいい、必要に応じてさらに加熱及び/又は減圧等により抽出溶媒を揮発し、乾燥させたものであってもよい。これらの加熱、減圧、乾燥の方法は、従来公知の方法を使用することができる。
前記植物原料としては、ショウガ科ウコン属の植物であるCurcuma longa(ウコン)、Curcuma aromatica、Curcuma zedoaria、Curcuma phaeocaulis、Curcuma kwangsiensis、Curcuma wenyujin、及び/又は、Curcuma xanthorrhizaの根茎等が挙げられる。これらの根茎は土中から採取したものを使用してよく、根茎の適当な部位を原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットしたもの、あるいは粉砕物の形態にしたものを使用することができる。これらの植物原料は適宜乾燥されたものであってよい。
植物原料からのウコンエキスの抽出方法は特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。抽出溶媒としては、水、熱水、親水性有機溶媒、水と親水性有機溶媒の混合溶媒等が挙げられ、アルコール、水、アルコールと水の混合溶媒が好ましく、アルコールとしては、特に限定されないが、エタノールが好ましい。本発明の組成物が、ウコン抽出物を含有するが抗酸化物質を含有しない場合は、該抽出溶媒は、通常は、水及び/又は親水性有機溶媒である。
本発明において、親水性有機溶媒と水との混合溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。抽出する際の温度は、特に限定されない。
【0016】
前記抽出溶媒として水及び/又は親水性有機溶媒を用いて抽出されたウコン抽出物は、抽出溶媒として酢酸エチル等の疎水性有機溶媒を用いて抽出された上記非特許文献6に記載されたようなウコン抽出物と比較して、水溶性のより高い化合物が含有されているものである。従って、これらの抽出物は、含有される成分組成が互いに明らかに異なるものである。
【0017】
本発明において、ウコン抽出物としては、上述のようにして得られたウコン根茎の抽出物をそのまま使用することができるし、該ウコン根茎の抽出物を、さらに、希釈、濃縮、乾燥等の処理を施したものを使用することもできる。希釈、濃縮、乾燥等の方法は、従来公知の方法を使用することができる。
本発明に用いるウコン抽出物は、ビサクロンを含むことを特徴とする。ビサクロンは0.15重量%以上含有することが好ましい。ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めることができる。
【0018】
本発明においてビサクロンとは、ビサボラン型セスキテルペン類に分類される化合物であり、下記の平面構造式を有する化合物又はその塩を意味する。ビサクロンは平面構造式中*印で示した位置に不斉炭素を有し、そのため数種の光学異性体が存在するが、本明細書におけるビサクロンとはそのいずれの光学異性体も包含する概念である。
【化1】
【0019】
抗酸化物質
本発明における抗酸化物質とは、生体内、食品、日用品、工業原料において、酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する物質の総称である。特に生物化学あるいは栄養学において、狭義には脂質の過酸化反応を抑制する物質を指し、広義にはさらに生体の酸化ストレスあるいは食品の変質の原因となる活性酸素種(酸素フリーラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素等)を捕捉することによって無害化する反応に寄与する物質を含む。例えば、グルタチオン、N-アセチルシステイン、アスコルビン酸、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、カテキン、クエルセチン、尿酸、ビリルビン、フラボノイド、セルロブラスミン、アルブミン、フェリチン、メタロチオネイン、スーパーオキシドディスムターゼ(銅亜鉛型、マンガン型、分泌型)、グルタチオンペルオキシダーゼ(細胞質型、血漿型、リン脂質ヒドロベルオキシド型)、グルタチオントランスフェラーゼ、カタラーゼ、チオレドキシン(生化学辞典、東京化学同人、1998年、第3版)、セサミンおよびその類縁体(ビタミン 79(1), 23-26, 2005)、クルクミンおよびその類縁体(Biol. Pharm. Bull. 30(1), 74-78 (2007))などが挙げられる。
また、本発明においての抗酸化物質とは、生体に摂取された後、間接的に酸化ストレスを低減する物質、例えばオルニチン等も含まれる。アミノ酸の一種であるオルニチンは、生体のアンモニアレベルを低下させ(Journal of Hepatology. 26(1):174-82, 1997)、アンモニアによって誘導される酸化ストレス(The Journal of Neuroscinece 26(18), 4774-4784 (2006))を低減させる。
【0020】
本発明において使用される抗酸化物質としては、好ましくは、セサミンもしくはその類縁体、クルクミン、オルニチンなどである。
セサミンもしくはその類縁体としては、セサミン、セサミノール、エピセサミン、エピセサミノール、セサモリン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン、2,6−ビス−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン、又は2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,7−ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン等を挙げることができ、これらが光学異性体又は立体異性体である場合は、それぞれの異性体を単独で、または例えばラセミ体などの混合状態で使用することができる。また、これらを配糖体の形で使用することもできるし、これらを単独で、または適宜組み合わせて使用することもできる。
セサミンおよびその類縁体は、ゴマ油、ゴマ種子やゴマ粕から分離したものを使用する。
ゴマ以外にも、五加皮、桐木、白果樹皮などセサミンを含有する天然物から分離したものを使用してもよい。また、合成によって得たものを使用してもよい。
ゴマ油、ゴマ種子やゴマ粕からセサミン類を分離する方法としては、有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メタノール、エタノール等)を用いて、抽出、濃縮し、溶剤画分から溶剤を蒸発除去して得る(抽出分離法)。また、ゴマ油を減圧下に水蒸気蒸留して得られるセサミン類を含有する留出物からセサミン等を分離してもよい。これらの方法は、従来十分に確立しているので、本発明ではそれに従ってよい。
【0021】
クルクミンとしては、天然物を使用することができ、例えば、クルクミンは、クルクミンを含有する天然の植物から抽出したものを使用してもよい。また、従来公知の方法により化学的に合成されたものや市販品などを使用してもよい。
天然の植物からクルクミンを抽出する方法は、従来公知の方法を使用することができ、例えば、有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メタノール、エタノール等)を用いて、抽出、濃縮し、溶剤画分から溶剤を蒸発除去して得る方法を使用することができる(抽出分離法)。また、ウコンに超臨界状態の炭酸ガスを接触させることによりを抽出する方法も使用することができる。
【0022】
オルニチンとしては、例えば、L−オルニチン、D−オルニチン、またはそれらの塩等が挙げられる。オルニチンの塩としては、例えば酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
オルニチンは、化学的に合成されたもの、発酵生産されたもの、シジミなどの素材から抽出されたもの市販品等を使用することができる。これらの合成方法、発酵生産方法及び抽出方法としては、従来公知の方法を使用したものを用いることができる。
【0023】
組成物
ウコン抽出物と抗酸化物質を含有する本発明の組成物において、ウコン抽出物と抗酸化物質との配合比(質量比)は、ウコン抽出物に含有されるセスキテルペノイドであるビサクロンを指標とすることが好ましい。生物学的利用能を考慮すると、ビサクロン:セサミンもしくはその類縁体の配合比(質量比)は、約1:0.3〜1:3000が好ましく、より好ましくは約1:1〜1:1000であり、さらに好ましくは約1:3〜1:300である。ウコン抽出物とクルクミンとの配合比(質量比)は、ビサクロン:クルクミンの質量比が約1:0.1〜1:1000であることが好ましく、より好ましくは約1:0.3〜1:300であり、さらに好ましくは約1:1〜1:100である。ウコン抽出物とオルニチンとの配合比(質量比)は、ビサクロン:クルクミンの質量比が約1:0.2〜1:2000であることが好ましく、より好ましくは約1:0.6〜1:600であり、さらに好ましくは約1:2〜1:200である。
【0024】
本発明の組成物は、必須成分(ウコン抽出物及び抗酸化物質)以外の成分1種又は2種以上を、さらに含んでも良い。必須成分以外の成分としては、特に限定されず、医薬品、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等において許容される成分であって、経口摂取可能な成分であれば特に限定されない。必須成分以外の成分としては、例えば、果糖ブドウ糖液糖、デキストリン、酸味料、ビタミン類、増粘剤、ウコン色素、イノシトール、香料、環状オリゴ糖、甘味料、ミネラル、酸化防止剤、乳化剤等が挙げられる。
【0025】
酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、或いはこれらの塩等が挙
げられる。
ビタミン類としては、ナイアシン、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミ
ンE等が挙げられる。
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖
類が挙げられる。
ウコン色素は、ウコンの根茎部分より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、主にクルクミンを含むことが好ましい。本発明の組成物におけるウコン色素の量は、一回の経口摂取量当たり、クルクミンが約3mg〜50mg、より好ましくは約5mg〜40mg、特に好ましくは約6mg〜30mgとなる量のウコン色素が配合されるのがよい。
【0026】
ミネラルとしては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン等が挙げられる。
甘味料としては、果糖、ブドウ糖、液糖等の糖類、はちみつ、スクラロース、アセスル
ファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物は、経口投与することができる。
また、本発明の組成物は、医薬品(ヒト又は動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等として使用することができる。
本発明の組成物の形状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、ゲル状、半固形状、又は固形状などの何れの性状であってもよい。
【0028】
本発明の組成物を医薬品として用いる場合には、本発明の組成物と製薬学的に許容される製剤用添加物を含む医薬組成物の形態で投与することが好ましい。医薬組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠もしくは腸溶錠等のコーティング錠又は多層錠を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の経口固形製剤の形態をとっていてもよいし、経口液体製剤の形態をとっていてもよいし、注射剤や点滴剤、坐剤等の非経口製剤の形態をとっていてもよい。これら製剤は、自体公知の方法により製造することができる。
【0029】
カプセル剤、錠剤、散剤もしくは顆粒剤等の固形製剤に通常使用されている製剤用添加
物としては、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロー
ス等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロー
ス液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液等)、崩壊剤(例えば、デ
ンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸
マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等)、界面活性剤(例え
ば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、増粘剤(例えば、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール等)等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤又は顆粒剤は、
コーティング剤(例えば、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ、酢酸フタル酸
セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カ
ルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等で剤皮を
施してもよい。カプセル剤は、ハードカプセルの他、マイクロカプセル又はソフトカプセ
ル等であってもよい。固形製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
【0030】
液体製剤には、例えば、糖類(例えば、ショ糖、ソルビット、果糖等)、グリコール類
(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、分散又は増粘剤(例えば
、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)、乳化剤(例えば、グリセリン
脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリ
ソルベート80等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、防腐
剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類等)等を配合してもよい。
【0031】
本発明の組成物を飲食品として用いる場合には、本発明の組成物をそのまま使用してもよく、該組成物と食品衛生上許容される添加物や通常の食品原料を含む形態としてもよい。本発明の組成物を食品添加剤として用いる場合には、該組成物をそのまま使用する形態であってもよく、食品衛生上許容される添加剤を含む形態であってもよい。
【0032】
前記飲食品や食品添加材は、食品衛生上許容される添加剤と共に、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠等のコーティング錠又は多層錠、あるいは口中崩壊剤等を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の固形組成物の形態をとっていてもよいし、液体組成物の形態をとっていてもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアゴム液等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、甘味料(例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテーム等)、着色料(例えば、β−カロテン、食用タール色素、リボフラビン等)、保存料(例えば、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウム等)、増粘剤(例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロール等)、香料(例えば、ハッカ、ストロベリー香料等)、酸味料(例えば、クエン酸、乳糖、DL−リンゴ酸等)、調味料(例えば、DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、色素等が挙げられる。該固形組成物は、常法に従って製造することができる。また、液体組成物は、上記経口投与に適する液体製剤と同様にして製造することができる。
【0033】
また、本発明の組成物又は該組成物を含む固形組成物もしくは液体組成物を、飲食品に配合することによって、飲食品を製造することができる。そのような飲食品としては、例えば、菓子類(例えば、ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(例えば、ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(例えば、味噌、醤油等)、スープ類、飲料(例えば、ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や栄養補助食品(例えば、栄養ドリンク等)等が挙げられる。なお、食品には、食品添加剤を含む食品も包含される。
【0034】
本発明の組成物を健康食品として用いる場合には、本発明の組成物をそのまま使用してもよく、該組成物と食品衛生上許容される添加物や通常の健康食品原料を含む形態としてもよい。健康食品とは、保健、健康維持・増進等の目的とした食品組成物を意味し、認可された特定機能性食品や、特定機能性食品の認可のないいわゆる健康食品が含まれる。前記健康食品は、例えば、液体又は半固形、固形の製品であって、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられる。また、そのままお湯や水に溶かして飲用しても良い。これらの液体又は半固形、固形の製品は、常法に従って製造することができる。
【0035】
本発明の組成物をサプリメントとして用いる場合には、本発明の組成物をそのまま使用してもよく、該組成物と食品衛生上許容される添加物や通常のサプリメント用原料を含む形態としてもよい。サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持・回復・増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。このようなサプリメントの形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられる。これらは、常法に従って製造することができる。
【0036】
本発明の組成物を飼料として用いる場合には、本発明の組成物をそのまま使用してもよく、該組成物と一般的な飼料添加物や飼料用原料を含む形態としてもよい。本発明の組成物を飼料添加剤として用いる場合には、該組成物をそのまま使用する形態であってもよく、一般的な飼料添加物を含む形態であってもよい。
【0037】
本発明の組成物を医薬品、飲食品、食品添加剤、健康食品又はサプリメントとして使用する場合、該組成物の投与量または摂取量は、特に限定されないが、例えば、成人1人1日当たり、ウコン抽出物を約13〜8400mg、好ましくは約67〜1700mg、該組成物が抗酸化物質を含む場合は、抗酸化物質を約0.04〜7500mg、好ましくは約0.20〜1500mg、例えばセサミンの場合、約0.12〜7500mg、好ましくは約0.6〜1500mg、クルクミンの場合、約0.04〜2500mg、好ましくは約0.2〜500mg、オルニチンの場合、約0.08〜5000mg、好ましくは約0.4〜1000mgとなるように投与または摂取するのがVCAM−1の発現抑制効果を効果的に得られる点で好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、VCAM−1の発現を抑制することができるため、VCAM−1の発現抑制剤として使用することができる。また、本発明の組成物は、VCAM−1の発現を抑制することができるため、抗炎症剤、アルコール性肝障害の抑制剤、炎症によって引き起こされる行動量低下抑制剤として使用することができる。
すなわち、本発明は、ウコン抽出物と抗酸化物質を含有することを特徴とするVCAM−1の発現抑制剤、抗炎症剤、アルコール性肝障害の抑制剤、及び炎症によって引き起こされる行動量低下抑制剤を含む。これらの剤において、ウコン抽出物と抗酸化物質の配合比やその好ましい態様については、上述した本発明の組成物と同様である。
ウコン抽出物と抗酸化物質の併用又は配合のみならず、ウコン抽出物単独を有効成分とする組成物において、優れたVCAM−1の発現抑制効果を奏することは予想外であった。
【0039】
本発明において、「炎症によって引き起こされる行動量低下」における炎症とは、特に限定されないが、アルコールに起因するもの、すなわちアルコール摂取により生じる炎症が好ましい。
また、本発明において、前記行動量とは、ヒト又は動物の行動の量を示す。該行動量の測定方法は、特に限定されないが、例えば、マウスの場合は、赤外線センサーを用いた行動量の測定、回転車を用いた自発運動量の測定等により、算出してもよい。
赤外線センサーを用いたマウスの行動量の測定は、赤外線センサーを用いた行動量測定装置(室町機械社製、スーパーメックスPYS−001)下にマウスを設置し、該装置を用いて、該装置が有するレンズによってマウスの体温(遠赤外線)を感知して1時間毎の回数をカウントし、そのカウント数を行動量とすることにより、算出することができる。
回転車を用いたマウスの自発運動量の測定は、後述の実施例に記載のように、回転車を用いた回転数(カウント数)により求めることができる。
【0040】
また、本発明の組成物は、VCAM−1の発現を抑制することができるため、VCAM−1の発現によって惹起される疾患を予防、改善又は治療するための方法(但し、医療行為を除く)のために使用することができる。VCAM−1の発現によって惹起される疾患としては、例えば、動脈硬化、リウマチ、喘息、腎炎、脳脊髄炎等が挙げられる。
すなわち、本発明の組成物は、VCAM−1の発現によって惹起される疾患を予防、改善又は治療することを特徴とする。
【実施例】
【0041】
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0042】
<ウコン抽出物>
(実施例1)
ウコン抽出物は、ウコン(Curcuma longa)の根茎部分を水にて抽出し、得られた抽出液を減圧加熱乾燥して水分を除去することにより調製した。ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物溶液と酢酸エチルを混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めた。HPLCは以下の条件で行なった。
カラム:Thermo ODS HYPERSIL(登録商標) 250mm×φ4.6mm(サーモサイエンティフィック社製)
移動相:65%アセトニトリル(20min)⇒80%アセトニトリル(5min)⇒65%アセトニトリル(10min)
流速:0.7ml/min
温度:40℃
検出波長:242nm
その結果、ウコン抽出物中のビサクロンの量は約0.30質量%であった。また定法によってクルクミンを測定し、ウコン抽出物中にクルクミンが検出されないことを確認した。
【0043】
<VCAM−1発現抑制作用の評価>
(実施例2)
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を、コラーゲンコートした96穴プレートに、1穴あたり0.4×10
5個の濃度で播種し、F−12K(10%牛胎児血清、Endothelial Cell Growth Supplement30μg/mL、ヘパリンナトリウム10U/mL含有)中で、37℃の5%炭酸ガス培養器で18時間培養した。ウコン抽出物(140μg/mL、210μg/mL、48μg/mL、又は160μg/mL)もしくは抗酸化物質(セサミン(東京化成社製、40μM又は60μM)、クルクミン(和光純薬社製、3μM又は10μM)、又はオルニチン(和光純薬社製、40μM))もしくはその混合物(セサミン40μMとウコン抽出物140μg/mLの混合物、セサミン60μMとウコン抽出物210μg/mLの混合物、クルクミン3μMとウコン抽出物48μMの混合物、クルクミン10μMとウコン抽出物160μg/mLの混合物、又はオルニチン40μMとウコン抽出物140μg/mLの混合物)を含有するF-12K(2%牛胎児血清含有)に交換し、37℃の5%炭酸ガス培養器で18時間インキュベートした。前記のウコン抽出物もしくは抗酸化物質(セサミン、クルクミン、オルニチン)もしくはその混合物と腫瘍壊死因子―α(TNF−α)100ng/mLを含有するF-12K(2%牛胎児血清含有)に交換し、37℃の5%炭酸ガス培養器で4.5時間インキュベートした。抗VCAM−1モノクローナル抗体を使用したCell−ELISA法によって、細胞表面上のVCAM−1タンパク質量を測定した。
【0044】
図1に、VCAM−1産生量を反映する吸光度を示した。また、コントロールとセサミン40μM処理物の吸光度をstudentのt検定で比較した結果と、ウコン抽出物140μg/mLと併用(セサミン40μMとウコン抽出物140μg/mLの混合物)の処理物の吸光度を比較した結果を示した。セサミン40μMの処理は、コントロールと比較して有意差がなかったが、ウコン抽出物140μg/mLの処理は、コントロールと比較してVCAM−1産生量が減少した。さらに、併用処理ではVCAM−1産生量がさらに減少し、ウコン抽出物140μg/mLの処理と比較して有意に減少した。これは、両者を併用することによって、それぞれ単独での作用が加算された相加作用を上回る相乗作用が発揮された結果であるといえる。また、
図2に示すように、セサミン60μMの処理は、コントロールと比較し、VCAM−1産生量が吸光度として約19%減少した。ウコン抽出物210μg/mLの処理は、コントロールと比較し、VCAM−1産生量が吸光度として約42%減少し、コントロールと比較してVCAM−1産生量が有意に減少した。さらに、併用(セサミン60μMとウコン抽出物210μg/mLの混合物)では、コントロールと比較して約81%減少し、これは両者単独作用の加算である約61%(19%+42%)を大きく上回ることから、両者の相乗効果が発揮された結果であるといえる。
図3にクルクミン3μMとウコン抽出物48μM、及びそれらの併用、
図4にクルクミン10μMとウコン抽出物160μg/mL、及びそれらの併用、
図5にオルニチン40μMとウコン抽出物140μg/mL、及びそれらの併用による結果を示した。これらの結果からも、ウコン抽出物処理によってVCAM−1産生量が減少し、さらに、ウコン抽出物と抗酸化物質の併用により相乗作用が発揮されることが確認された。
尚、
図1〜5において、N.S.とは有意差なしを意味し、Ab492nmとは吸光度の測定波長が492nmであることを意味する。
【0045】
また、以上の結果から、in vitro試験においてウコン抽出物単独の場合は、培地に含まれるウコン抽出物の濃度が、50μg/mL以上とするのが好ましく、140μg/mL以上とするのがより好ましい。
【0046】
<アルコール性肝障害抑制作用の評価>
(実施例3)
B6Nマウスに対し、ウコンエキスを20mg/kg b.w.になるように経口投与した。尚、投与液は0.2%(w/v)ウコンエキス分散液を使用した。対照群のマウスには、溶媒(0.5w/v% メチルセルロース400溶液)のみを経口投与した。30分後、15%(w/v)エタノール溶液を3g/kg b.w.となるように経口投与した。エタノール投与前および投与1、2、4、6時間後に採血して血漿を調製し、血漿中のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)活性をトランスアミナーゼCIIテストワコー(和光純薬)を用いて測定した。
図6に、各時間におけるAST、ALT活性の測定値(N=6)の平均値±標準偏差(Mean±SD)を示した。また、各時間におけるウコン投与群と対照群の測定値を対応のないt検定で比較し、有意確率を
図6に示した。
図6に示したとおり、ウコンエキスはエタノール投与によって誘導されるAST、ALTの上昇を抑制することから、アルコール性肝障害に対する抑制作用を有すると言える。
【0047】
<アルコール投与による自発運動量低下に対する影響の評価>
(実施例4)
B6Nマウスを3日間金網ケージで馴化した後、回転車の入ったプラスチックケージに移し、12日間飼育した。飼育室内は12時間の明暗サイクル(明期:7:00〜19:00)に設定した。飼育13日目に下記スケジュールに沿って処置した。処置当日、8:30から11:00まで絶水させ、8:30から15:00まで絶食させた。10:30に、ウコンエキスを20mg/kg b.w.になるように経口投与した。尚、投与液は0.2%(w/v)ウコンエキス分散液を使用した。対照群のマウスには、溶媒(0.5w/v% メチルセルロース400溶液)のみを経口投与した。11:00に、15%(w/v)エタノール溶液を3g/kg b.w.となるように経口投与(1回目)し、15:00に、15%(w/v)エタノール溶液を2.5g/kg b.w.となるように経口投与(2回目)した。エタノール投与の前日と当日に、暗期開始から3時間(19:00〜22:00)の積算自発運動量を測定した。回転車(マウス回転式運動量測定装置、室町機械社製、イグルー・ファストトラックFT−713)をマウスの飼育環境内に設置し、マウスが回転車を回す回数をカウントして自発運動量を測定した。測定した自発運動量を1時間単位で積算した値を、積算自発運動量とし、投与前日に対する投与当日の積算自発運動量の割合(%)を算出し、ウコンエキス有り・無し各群(N=7)の平均値を表に示した。また、対応のないt検定で2群を比較し、有意確率を表1に示した。尚、表1においてP値とは、有意確率を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果のとおり、エタノール投与前日に比べて投与当日の暗期開始から3時間の積算自発運動量が低下したことから、エタノール投与によってマウスの行動量が低下したことがわかる。ウコンエキス有りの場合と無しの場合とを比較することにより、エタノール投与前日に対する投与当日の積算自発運動量の低下は、ウコンエキスの投与により抑制されることがわかった。すなわち、ウコンエキスは、エタノール投与による炎症によって引き起こされる行動量の低下を抑制したと考えられる。