特許第6803902号(P6803902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803902生体組織内へRFおよび/またはマイクロ波エネルギーを供給する電気外科機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803902
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】生体組織内へRFおよび/またはマイクロ波エネルギーを供給する電気外科機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20201214BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20201214BHJP
   A61B 18/14 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   A61B18/12
   A61B18/18 100
   !A61B18/14
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-239185(P2018-239185)
(22)【出願日】2018年12月21日
(62)【分割の表示】特願2016-543172(P2016-543172)の分割
【原出願日】2014年12月31日
(65)【公開番号】特開2019-69198(P2019-69198A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】1323171.7
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エバット,ジュリアン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー ポール
(72)【発明者】
【氏名】モリス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】ソーンダース,ブライアン
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/095653(WO,A1)
【文献】 特開平06−063057(JP,A)
【文献】 特表平08−510154(JP,A)
【文献】 特開2000−185053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
A61B 18/18
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気外科発生器から高周波(RF)電磁(EM)エネルギーおよび/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを受信する第1の吸込口と、
流体を受け入れる第2の吸込口と、
放出口と、を有する
電気絶縁材料で製造された筐体と、
前記第2の吸込口と流体連通する流体流路を区画し、前記第1の吸込口に接続された同軸ケーブルを伝送する可撓性スリーブを備える、前記放出口を前記電気外科器具に接続するシングルケーブルアセンブリと、および
前記筐体上に摺動可能なトリガであって、前記摺動可能なトリガは前記放出口を通って前記筐体外に延びるプッシュロッドに取り付けられた、摺動可能なトリガ、
を備える、
電気外科発生器と電気外科器具を相互接続するインタフェース接合部。
【請求項2】
前記筐体が前記第2の吸込口と前記放出口との間の流体流路を区画する内部の水密の分岐通路を含み、前記分岐通路が前記同軸ケーブルを収容する前記第1の吸込口に隣接した第1のポートを有する、請求項1に記載のインタフェース接合部。
【請求項3】
記分岐通路が前記プッシュロッドを収容する前記摺動可能なトリガに隣接した第2のポートを有する、請求項に記載のインタフェース接合部。
【請求項4】
前記分岐通路が第1のポートを有し、前記第1のポートが、前記同軸ケーブルの水密の通路を区画する密閉栓を備える、請求項に記載のインタフェース接合部。
【請求項5】
前記第2のポートが、前記プッシュロッドの水密の通路を区画する密閉栓を備える、請求項に記載のインタフェース接合部。
【請求項6】
前記内部の水密の分岐通路が、一対のY字形の導管から形成される、請求項2〜5のいずれか一項に記載のインタフェース接合部。
【請求項7】
ケーブルアセンブリが1.2mm〜9mmの範囲の外径を有する、請求項1〜請求項のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【請求項8】
前記可撓性スリーブが内部にトルク伝達をする螺旋巻補強または螺旋巻複数交差編組を有する、請求項1〜請求項のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【請求項9】
前記螺旋巻補強または前記螺旋巻複数交差編組が可変ピッチを有する、請求項に記載のインタフェース接合部。
【請求項10】
前記筐体が、前記放出口に据え付けられた前記可撓性スリーブを囲む張力緩和構成要素を備える、請求項1〜請求項のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【請求項11】
インタフェース接続部を介して前記第1の吸込口に取り付けられた同軸ケーブルを有し、前記インタフェース接続部は前記同軸ケーブルに対する前記インタフェース接合部の相対回転を可能にするよう構成された、請求項1〜請求項1のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【請求項12】
前記可撓性スリーブがマルチルーメンチューブを備える、請求項1〜請求項1のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【請求項13】
前記可撓性スリーブがシングルルーメンチューブ内部に挿入される押出セパレータ構成要素を含み、前記押出セパレータ構成要素は複数の通過チャネルを有する、請求項1に記載のインタフェース接合部。
【請求項14】
前記インタフェース接合部が針フェルールと針を更に備え、前記プッシュロッドの遠位端部が前記針フェルールの近位端部に接合され、前記針フェルールの近位端部が前記可撓性スリーブを通る前記流体流路と流体連通する内部体積を有し、前記針が前記内部体積と流体連通する前記針フェルールの遠位端部に据え付けられた、請求項に記載のインタフェース接合部。
【請求項15】
前記筐体が操作者の手に適合するサイズの細長いカプセルである、請求項1〜請求項14のいずれか1つに記載のインタフェース接合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織内へ高周波および/またはマイクロ波周波数エネルギーを供給する電気外科機器および装置に関する。特に本発明は、組織を切断する高周波(RF)エネルギー、および/または止血する(すなわち、血液凝固を促進する)マイクロ波周波数エネルギーを供給可能な電気外科器具に関する。本発明は特に、例えば、腸のポリープを除去するための下部および上部消化管(GI)に関連するGI処置、すなわち、内視鏡的粘膜切除、または内視鏡的粘膜下層剥離に適切でありうる。本発明は、例えば、一般的な手術または腹腔鏡手術といった他の処置に役立ててもよい。本発明は、耳、鼻および咽喉処置、および肝臓切除での使用を見出してもよい。装置は、例えば、門脈または膵管の近傍の腫瘍または異常を切除または除去ために、膵臓に関連する処置の対処に使用してもよい。
【背景技術】
【0002】
外科切除は、ヒトまたは動物の体内から臓器の断片を除去手段である。そのような器官は、高確率で血管でありうる。組織が切断(分割または横断)されるとき、細動脈と呼ばれる小血管は損傷または破裂する。最初の出血後、出血箇所を塞ごうとして血液が血塊に変わる凝固カスケードが続く。手術中、患者が可能な限り血液を失わないことが望ましく、そのため血液が出ない切断を提供しようと種々の装置が開発されてきた。内視鏡的処置でも出血は望ましくなく、目的にかなった方法で扱う必要があり、それは血流が操作者の視界を不明瞭にし、手術を延長するかもしれず、処置を終了し他の方法、例えば、観血手術を代わりに用いることに潜在的につながりかねないからである。
【0003】
電気外科発生器は病院の手術室で普及していて、観血処置および腹腔鏡処置でしばしば使用され、一連の内視鏡検査でますます使用される。内視鏡的処置で、通常、電子外科付属品が内視鏡内部のルーメンを通して挿入される。腹腔鏡手術のための同等のアクセスチャネルに対し考えると、そのようなルーメンは穴が比較的狭く長さが大きい。
【0004】
生体組織を切断するのに、鋭い刃の代わりに高周波(RF)エネルギーの使用が知られている。RFエネルギーを使用した切断方法は、電流が(細胞のイオン性の内容物および細胞間の電解質に補助されて)組織マトリクスを通るとき、組織を通る電子の流れのインピーダンスが熱を発生させる原理を用いて作用する。実際には、器具は組織マトリクスにわたり、組織の水分内容物を蒸発するよう細胞内に熱を発生させるのに十分なRF電圧を印加するよう構成される。しかし、この脱水増加の結果として、特に(組織を通る電流路の最高電流密度を有する)器具のRF放射領域に隣接した箇所で、組織と器具との間の直接の物理的接触がなくなる可能性がある。印加された電圧は、それからこの小さな空間にわたり電圧降下として現れ、それが空間内のイオン化を引き起こし、それがプラズマにつながる。プラズマは、組織と比較して非常に高い体積抵抗を有する。器具に供給されるエネルギーはプラズマを維持し、すなわち、器具と組織との間の電気回路を完成する。プラズマに入る揮発性物質は蒸発可能で、従って、認識は組織切開プラズマのものである。
【0005】
英国特許第2472972号は、その反対側の面に第1および第2の導電層を有する第1の誘電体材料のシートから形成されたプレーナ伝送線路を備え、プレーナ伝送線路はマイクロ波またはRFエネルギーのどちらかをプレーナ伝送線路へ供給するよう構成された同軸ケーブルに接続され、同軸ケーブルは、内側導線、内側導線と同軸の外側導線、および外側導線と内側導線を分離する第2の誘電体材料を備え、内側導線および外側導線は、接続インタフェースにおいて第2の誘電体材料を越えて延び、伝送線路の反対側の面と重なり、第1の導電層および第2の導電層をそれぞれ電気的に接続する、スパチュラの形態の電子外科器具を記載する。第1の導電層は、同軸ケーブルに当接する伝送線路の端部から離間されて、外側導線を第1の導電層から電気的に絶縁し、間隙の距離もマイクロ波源から供給されたエネルギーのインピーダンスと生体組織のインピーダンスのマッチングに関与し、第1および第2の導電層の幅も伝送線路と同軸ケーブルとの間でインピーダンスマッチの生成に役立つよう選択される。
【0006】
英国特許第2472972号に記載されたスパチュラ構成は、同軸送達線と端部放射区域のとの間の望ましい挿入損失を提供す一方、空気および生体組織にそれぞれ接触するとき、スパチュラの縁部の望ましい反射損失特性を提供する。より詳細には、構造に沿った挿入損失は、対象の周波数で0.2dB未満であってもよく、反射損失は−1dB未満(より負の値)、好ましくは−10dB未満であってもよい。これらの特性はまた、同軸ケーブルと伝送線路スパチュラ構造との間の良好にマッチした接合部を示してもよく、それによって、マイクロ波電力が効率的にスパチュラ内に放たれる。同様に、スパチュラの縁部が空気または対象外の生体組織に露出されたとき、反射損失は実質的にゼロ(すなわち、自由空間または望ましくない組織内へ非常に少量の電力が放射される)であってもよく、一方で望ましい生体組織と接触するとき、反射損失は−3dB未満(より負の値)、好ましくは−10dB未満(すなわち、スパチュラ内の電力の大部分が組織へ伝送される)であってもよい。
【0007】
英国特許第2472972号に記載された器具は、プレーナ伝送線路の縁部からマイクロ波エネルギーを放射して、局所的な組織剥離または凝固を引き起こすことを意図する。
【0008】
英国特許第2472972号はまた、前述のスパチュラが一体化したRF切断部分を有してもよいことを開示する。RF切断部分は、RFエネルギーのアクティブ電極およびリターン電極として前述の第1および第2の導電層を用いて形成してもよい。この構成は、アクティブ電極およびリターン電極が互いに近傍するという事実を利用してもよく、従って、遠隔リターンパッドまたは導電性が高い液体、すなわち、生理食塩水が2つの電極間に存在する必要なしに、局所的な組織切断動作を行うのを可能にする優先的リターンパスを設定する。
【0009】
この例で、RF切断部は、プレーナ伝送線路に接続されたRF電圧源と、高周波数マイクロ波エネルギーが低周波数RFエネルギー源に戻るのを防ぐローパスフィルタと、低周波数RFエネルギーが高周波数マイクロ波エネルギー源に戻るのを防ぐハイパスフィルタを有する、周波数ダイプレクサ/デュプレクサユニット(または信号加算器)とを備えてもよい。一例では、マイクロ波およびRFエネルギー源を発生器で組み合わせ、単一チャネル、例えば、同軸ケーブル、導波管アセンブリまたはツイストペアに沿って、スパチュラ構造に供給することを可能にするよう、周波数ダイプレクサ/デュプレクサを使用してもよい。RF切断エネルギーのみを組織内へ供給してもよく、または、RF切断エネルギーをマイクロ波エネルギーに混合または追加して同時に供給し、動作の混合モードを設定してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、英国特許第2472972号で述べられた、スパチュラの概念、およびスパチュラが治療のためのRFおよび/またはマイクロ波エネルギーを提供する発生器と接続する方法をさらに進展させる。
【0011】
第1の態様では、本発明は、生体組織の制御された切除のための電子外科用具の遠位端部のさらに最適化された構成を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、(i)流体送達部、(ii)針移動メカニズム、および(iii)エネルギー送達部(例えば、RFおよび/またはマイクロ波エネルギーを供給するケーブル)の全てをシングルケーブルアセンブリに一体化するインタフェース接合部を提供する。ケーブルアセンブリは、従来の内視鏡の器具チャネルを通るのに適合するサイズであってもよい。
【0013】
第3の態様では、本発明は、内視鏡の器具チャネル内でケーブルアセンブリの制御された回転を可能にするトルク伝達装置を提供する。インタフェース接合部およびトルク伝達装置を、単一の構成要素として一体化してもよい。
【0014】
本発明の第1の態様によると、その第1の面上の第1の導電性構成要素をその第2の面上の第2の導電性構成要素から分離し、第2の面は第1の面の反対側に面した、第1の誘電体材料で製造された平面本体を備える器具先端部と、内側導線、内側導線と同軸の外側導線、および内側導線と外側導線を分離する第2の誘電体材料を備え、RF信号および/またはマイクロ波信号を伝送する同軸送達ケーブルと、平面本体の下側を覆うよう据え付けられた第3の誘電体材料片を備える保護カバーとを備え、器具先端部がRF信号および/またはマイクロ波信号を受信するのを可能にするよう、内側導線が第1の導電性構成要素に電気的に接続され、外側導線が第2の導電性構成要素に電気的に接続され、保護カバーが平面本体から外方に向く滑らかな輪郭の凸状の下面を有し、平面本体が先細りの遠位縁部を有し、平面本体の下側が先細りの遠位縁部において保護カバーを越えて延びる、生体組織に高周波(RF)電磁(EM)エネルギーおよび/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを印加する電気外科器具が提供される。この機能の組み合わせは、遠位先端部における治療の正確性(保護カバーを越える平面本体の延長により強化される)と、器具の安全な操作の容易性(保護カバー自体による)とのバランスを取る最適な構成を示す。
【0015】
先細りの遠位縁部において保護カバーを越えて延びる平面本体の下側の部分を、延長ゾーンと呼んでもよい。延長ゾーンは、先細りの遠位縁部の境界周辺で均一であってもよい。代替的には、延長ゾーン自体が平面本体の遠位先端部に向かって幅において先細りであってもよい。先細りは、遠位先端部における最小値と先細りの遠位縁部の近位端部における最大値との間であってもよい。遠位先端部において延長ゼロであってもよく、すなわち、保護カバーがその地点で平面本体と連続(すなわち、同一平面)していてもよい。延長ゾーンは装置により放出されたエネルギーフィールドに有益な影響を与えるが、保護カバーの機能に悪影響を及ぼすことがないサイズであってもよい。
【0016】
延長ゾーンの大きさは、遠位先端部の幾何学構造に関連してもよく、例えば、比例してもよい。平面本体は、特定の処置での使用に適切なあらゆる寸法を有してもよい。例えば、内視鏡的処置のため、器具は2.3mm以下、好ましくは1.2mm以下の全体の外径を有してもよい。従って、平面本体の幅は、2mm以下であってもよい。しかし、他の処置はより制限が少なくてもよく、平面本体の幅は最大9mmであってもよい。延長ゾーンの幅、すなわち、先細りの遠位縁部が保護カバーを越えて保護カバーの縁部の垂直方向に延びる距離は、0.2w以下、好ましくは0.1w以下であってもよく、wは平面本体の最大幅(すなわち、ルーメンまたは使用中にルーメンを通して挿入されるカテーテルの直径方向の平面本体の最大寸法)である。従って、2mmの幅を有する平面本体に対し、延長ゾーンは0.2mmの最大幅を有してもよい。
【0017】
使用中、第1および第2の導電性構成要素を、RFエネルギーの局所的なリターンパス、すなわち、第1および第2の導電性構成要素間で移送されるRFエネルギーの低インピーダンスルートを提供するよう構成してもよい。第1および第2の導電性構成要素は、第1の誘電体材料の反対面に形成された金属化層であってもよい。第1および第2の導電性構成要素を、器具先端部が生体組織と接触する接触領域で局所的な電界を設定するよう構成してもよい。局所的な電界は非常に高い場合があり、マイクロプラズマ(すなわち、高温の熱プラズマ)が平面本体の遠位側面部分、例えば、生体組織と接触する箇所で形成されるのを引き起こしうる。マイクロプラズマは、効率的な切断を達成する観点から望ましいことがある。
【0018】
一方で、マイクロ波信号については、器具先端部は、2つの導電性プレートを分離する誘電体材料を示す平面本体と平行なプレート伝送線路として具現化してもよい。この場合では、マイクロ波周波数EMエネルギーの放射パターンは、平面本体全体の形状およびマイクロ波送達構造に依存する。この特定の例では、同軸送達線(中央導線)および上部の導電層との間の間隙は、ソースからのマイクロ波エネルギーが、インピーダンスと組織により示される負荷インピーダンスがマッチすることを確実にするのに、重要な役割を果たす。プレーナ伝送線路配置の全体長さもまた、同軸の伝送線路の(または同軸の伝送線路からの)インピーダンス(またはエネルギー送達)と生体組織(または生体組織に)マッチングさせることに関して重要であり、すなわち、構造は、4分の1波長インピーダンス変圧器または半波長共振器を形成してもよい。既知のシミュレーションツールを用いて、これは、どの縁部からマイクロ波周波数EMエネルギーを放射されるかを制御するように具現化してもよい。例えば、器具先端部は、平面本体の遠位縁部からマイクロ波EM放射の放射を阻止するよう構成してもよい。
【0019】
先細りの遠位縁部は、例えば、特定の使用構成において装置を計算モデリングすることにより得られる、あらゆる適切な特性を有してもよい。先細りの遠位縁部は湾曲してもよく、または直線であってもよく、または2つの組み合わせであってもよい。例えば、先細りの遠位縁部は、湾曲した遠位先端部、例えば、1つの半径で湾曲した遠位先端部で終了した直線の先細り部を備えてもよい。先細りの遠位縁部は、遠位第3の平面本体の周辺で延びてもよい。一実施形態では、湾曲した遠位縁部は複数の連続した半径区域から形成される湾曲を有してもよく、半径区域のそれぞれはその近位の隣接のもの未満の曲率半径を有する。3つ以上の異なる半径区域があってもよい。湾曲した遠位縁部に準放物線形状の形状を与えるよう、複数の連続した半径区域を構成してもよい。
【0020】
前述のように、平面本体の幅を、器具の使用目的により決定してもよい。内視鏡的処置において幅は2mm以下であってもよく、一方で他の制限が少ない処置については、幅は最大9mmであってもよく、例えば、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または3mm以下のいずれかであってもよい。
【0021】
RFおよび/またはマイクロ波周波数エネルギーを最も効率的に供給するため、平面本体の長さ(先細り遠位端部を含む)はその幅に関連してもよく、例えば、その幅に比例してもよい。従って、平面本体の長さは約5w、例えば、5wと6wとの間の長さを有し、好ましくは5.3wであり、wは平面本体の最大幅である。
【0022】
一実施形態では、平面本体は2mmの最大幅および10.6mmの最大の長さを有する。この実施形態では、先細りの遠位端部は、1.6mmの長さおよび12.4mmの曲率半径を有する第1の半径区域、1.0mmの長さおよび10.2mmの曲率半径を有する第2の半径区域、0.7mmの長さおよび3.2mmの曲率半径を有する第3の半径区域、0.2mmの長さおよび0.85mmの曲率半径を有する第4の半径区域、および0.1mmの長さおよび0.35mmの曲率半径を有する第5の半径区域からなる複数の連続した半径区域を備えてもよい。
【0023】
第1の導電性構成要素および第2の導電性構成要素のそれぞれが、第1の誘電体材料の反対側の面に形成された金属化層を有してもよい。金属化層は、平面本体の近位領域の第1の誘電体材料の側縁部から(例えば、0.2mm)後退し、この領域のフィールド強度を減少してもよい。近位領域は、湾曲した遠位端部の近位の平面本体の領域を備えてもよい。これは、遠位端部におけるエネルギー送達の集中に役立ちうる。内側導線および外側導線は同軸で第1および第2の導電性構成要素と接触してもよく、すなわち、第1および第2の導電性構成要素は同軸送達ケーブルから平面本体に沿って走る軸の周辺で対称の形状であってもよい。
【0024】
保護カバーの下面は、その外周において平面本体の下側と交わるよう滑らかに先細りになってもよい。保護カバーの厚さも、器具先端部の遠位端部に向けて減少してもよい。従って、保護カバーの外側部分は凸状の外形を有してもよい。下面は、内部に形成された長手方向に延びる凹状チャネルを有してもよい。先細りの縁部外形および凹状チャネルは、保護カバーの下面が一対の隆起を有するようにしてもよい。カバーの先細りの共形の流れの形態は、器具が側副組織内へ刺さり、器具が滑る可能性を高めるリスクを低下しうる。例えば、この形状は、器具が腸壁内に刺さり腸穿孔を引き起こすリスクを低下させうるか、または門脈または膵管を損傷から保護しうる。カバーの特定の寸法(例えば、長さ、幅、厚さなど)は、使用目的および手術される身体の対象領域に適するように適応してもよい。
【0025】
保護カバーは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セラミック(例えば、アルミナ、ジルコニアまたはジルコニア強化アルミナ(ZTA))、または腸(または他の生体組織)の壁に刺さらない生体適合性プラスチックなどのような生体適合性非導電性材料から形成してもよい。代替的には、カバーは、例えば、チタン、鋼鉄といった金属材料から形成してもよく、または複数層の構造であってもよい。第1または第2の導電性構成要素のどちらが第1の誘電体材料の下側にあるとしても、カバーをどちらかに取り付け(例えば、付着)してもよい。しかし、一実施形態では、保護カバーを第1の誘電体材料として同一の材料で形成してもよい。保護カバーおよび第1の誘電体材料は、一体型の本体として1つの部品に形成してもよい。この構成では、一体型の本体内に1つまたは複数の平面スロットを形成(例えば、カット)し、導電性材料を挿入して第1および/または第2の導電性材料を形成してもよい。導電性材料を、スロットの1つまたは複数の内表面のコーティングにより挿入してもよい。代替的には、または加えて、第1の導電性構成要素または第2の導電性構成要素の一部を形成するよう、保護カバーを部分的に金属化してもよい。
【0026】
器具は、流体(例えば、生理食塩水)を器具先端部へ供給する流体送達導管を有してもよい。流体送達導管は、治療部位へ流体を供給する保護カバーを通る通路を備えてもよい。通路は、保護カバーの凹状チャネル内に設けられた放出口を有してもよい。同軸送達ケーブルは、RFおよび/またはマイクロ波周波数エネルギーおよび流体(液体またはガス)を器具へ供給する、マルチルーメン導管アセンブリの部分を形成してもよい。流体(保護カバー)は、マルチルーメン導管アセンブリ内に形成された対応する通路を通して伝送してもよい。流体送達導管はまた、他の物質、例えば、ガスまたは固体(例えば、紛体)を治療部位に供給するために使用してもよい。一実施形態では、治療部位において生体組織を膨らませるのに流体(生理食塩水など)の注入が使用される。これは、器具が腸壁または食道壁を治療するか、または腫瘍または他の異常が近傍に位置するときに、これらを保護して、流体のクッションを形成するために門脈または膵管の構造を保護するために使用される場合に、特に有益でありうる。この方法で組織を膨らませることは、腸穿孔、食道壁の損傷もしくは膵管からの漏出、または門脈への損傷などのリスクの低下に役立つかもしれない。本発明のこの態様は、異常(腫瘍、肥大、腫れなど)が繊細な生体構造に近接する場合に他の症状を治療可能にしうる。
【0027】
流体を供給するのにRFおよび/またはマイクロ波エネルギーを供給するのと同一の器具を使用可能であることは有益であり、これは個別の器具が領域内へまたは治療中に導入されると、(例えば、流体漏出または通気空気の損失により)収縮が起こりうるからである。同一の治療構造を用いて流体を導入する能力は、収縮が起こるとすぐにレベルを最上位に上げることを可能にする。さらに、流体の導入と同様に脱水または切開を実行するために単一の器具を使用することにより、処置全体を実行するのにかかる時間を削減し、患者への危害を引き起こすリスクを低下し、また感染症のリスクを低下する。より一般的には、治療時の可視性をよくするため、治療領域の洗浄、例えば、老廃物または取り除かれる組織を除去するのに流体の注入を使用してもよい。前述のように、これは内視鏡的処置で特に有益でありうる。
【0028】
保護カバーの下面は、保護カバーの中に形成された長手方向に延びる凹状チャネルを有してもよく、流体送達メカニズムは、凹状チャネル内に据え付けられ、凹状チャネルから近位に延びる絶縁針誘導チューブ、および針誘導チューブ内に摺動可能に据え付けられた格納可能な針(例えば、皮下注射針)を有してもよい。針は0.6mm未満、例えば、0.4mmの外径を有してもよい。針は、針が器具先端部の遠位端部を越えて突出する配備位置と、針が器具先端部の遠位端部から例えば平面本体の下方に後退されるか、平面本体の近位に位置する後退位置との間を長手方向に移動可能であってもよい。
【0029】
代替的には、流体送達導管は、保護カバー内、例えば、保護カバーの下面に一体的に形成されたチューブ状(例えば、円錐)の突起を備えてもよい。突起の先端部は流体通路の放出口を有し、従って、組織内へ流体を注入する固定された針のような先端部として動作してもよい。円錐の先端部は、平面本体の遠位先端部をわずかに越えて突き出してもよい。
【0030】
本発明の第2の態様によると、電気外科発生器から高周波(RF)電磁(EM)エネルギーおよび/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを受信する第1の吸込口と、流体を受け入れる第2の吸込口と、放出口とを備える電気絶縁材料で製造された筐体と、第2の吸込口と流体連通する流体流路を区画し、第1の吸込口に接続された同軸ケーブルを伝送する可撓性スリーブを備える、放出口を電気外科器具に接続するシングルケーブルアセンブリとを備える、電気外科発生器と電気外科器具(本発明の第1の態様による器具であってもよい)を相互接続するインタフェース接合部が提供される。
【0031】
電子外科発生器は、生体組織の治療のためRF EMエネルギーまたはマイクロ波周波数EMエネルギーを供給可能なあらゆる装置であってもよい。例えば、国際公開第2012/076844号に記載された発生器を使用してもよい。
【0032】
電子外科器具は、使用中に生体組織の治療のためRF EMエネルギーまたはマイクロ波周波数EMエネルギーを使用するよう構成されたあらゆる装置であってもよい。電子外科器具は、切除、凝固および剥離のいずれかまたは全てにRF EMエネルギーまたはマイクロ波周波数EMエネルギーを使用してもよい。例えば、器具は本明細書中に開示される切除装置であってもよいが、代替的に一対のマイクロ波鉗子、マイクロ波エネルギーを放射および/またはRFエネルギーを結合するスネア、およびアルゴンビーム凝固器のうちのいずれかであってもよい。
【0033】
筐体は操作者のための2重の絶縁障壁を提供してもよく、すなわち、筐体は分岐通路(第2の絶縁レベル)を封入する外覆(第1の絶縁レベル)を備え、その中で種々の入力がシングルケーブルアセンブリへ一体化される。分岐通路は、第2の吸込口と放出口との間の流体流路を区画し、同軸ケーブルを収容する第1の吸込口に隣接した第1のポートを有する水密体積を提供してもよい。
【0034】
使用中、インタフェース接合部は、器具において治療のための流体が導入される位置にあってもよい。インタフェース接合部の操作者は、シリンジまたは第2の吸込口に取り付けられた他の流体導入メカニズムにより、流体の導入を制御してもよい。インタフェース接合部は、電気外科器具における流体送達を指示または制御するよう作用する流体送達配備メカニズムをさらに有してもよい。例えば、インタフェース接合部は、筐体上に摺動可能なトリガを有してもよく、摺動可能なトリガは放出口を通って筐体外に延びるプッシュロッドに取り付けられる。プッシュロッドは可撓性シャフトを通って電気外科器具へ延びてもよく、そこでそれは流体送達構造を制御可能である。例えば、電子外科器具は、プッシュロッドを前後に摺動することにより、可撓性シャフト内の流体流路との流体連通の有無を切り替え可能な格納可能な針を有してもよい。
【0035】
この構成で、分岐通路はプッシュロッドを収容する摺動可能なトリガに隣接した第2のポートを有してもよい。
【0036】
第1のポートおよび第2のポートの両方は、同軸ケーブルおよびプッシュロッドのそれぞれに対し水密の通路を区画する密閉栓を備えてもよい。密閉栓は例えば、シリコンゴムといった弾性的に変形可能な材料から形成してもよく、それによって同軸ケーブルおよびプッシュロッドが密閉栓を通るとき、材料内に封入される。この方法での第1および第2のポートの密閉は、流体がインタフェース接合部を出る唯一の経路は、可撓性スリーブ内の流体流路に沿って放出口を通ることであることを意味する。
【0037】
分岐通路は、任意の適切な構成を有してもよい。一実施形態では、分岐通路は一対のY字形の導管から形成され、それぞれは上部に接続されて、放出口に沿う第1の長さ、第1の長さの側部から第1の長さに対し斜めの角度で延びる第2の長さ、および第2の長さの側部から延びる第3の長さを区画する。第1の長さは第1の長さを通って延びるプッシュロッドを有してもよく、密閉栓内の近位端部で終了してもよい。第2の長さは第2の長さを通って走る同軸ケーブルを有してもよく、密閉栓内のその近位端部で終了してもよい。第3の長さは、流体を受け入れる第2のポートで終了してもよい。この構成で、筐体はピストル状の形状を有してもよい。しかし、別の実施形態では、分岐通路はよりコンパクトな構成を有してもよく、そこでは異なる長さの通路が互いに実質的に平行に走る。この構成で、筐体は操作者の手に適合するサイズの細長いカプセルであってもよい。
【0038】
インタフェース接合部は、内視鏡の器具チャネルを通して挿入される前に、複数の入力をシングルケーブルアセンブリ(すなわち、前述のマルチルーメンケーブルアセンブリ)に集めるのに特に適切であってもよい。これを達成するため、可撓性ビデオ結腸内視鏡のケーブルアセンブリは、例えば、1.2mm〜2.8mmの範囲等、1.2mm〜9mmの範囲の外径を有してもよい。
【0039】
内視鏡の器具チャネルの遠位端部において器具の操作を容易にするため、可撓性スリーブはトルク伝達、すなわち、ケーブルアセンブリの近位端部のねじり運動をケーブルアセンブリの遠位端部に伝達するのを補助する長手方向の編組を内部に設けてもよく、器具はケーブルアセンブリに取り付けられているので、そこでそれが器具の双方向の回転を引き起こすことがある。可撓性スリーブは内側チューブおよび外側チューブを備えてもよく、それらはその間の金属化編組のチューブで付着され、またはそうでなければ取り付けられる。編組のピッチは、ケーブルアセンブリの長さに沿って変化してもよい。例えば、可撓性が重要であるケーブルの遠位部分の領域ではピッチがより広いことが有益でありうる。金属化編組が器具におけるRFフィールドまたはマイクロ波フィールドに干渉するのを避けるため、可撓性スリーブの遠位部分を編組なしで提供してもよい。遠位部分を個別に製造し、編組部分に取り付け(例えば、付着または溶接)してもよい。
【0040】
筐体はさらに、放出口に据え付けられ、可撓性スリーブを囲む張力緩和構成要素を備えてもよい。張力緩和構成要素の機能は、内部構成要素を損傷しかねない過屈曲を防ぐため、この位置でのスリーブの移動を限定することである。
【0041】
可撓性スリーブは、マルチルーメンチューブを備えてもよい。ルーメンは、シングルルーメンチューブの内部に押出セパレータ構成要素を挿入することにより形成してもよい。押出セパレータ構成要素は複数(例えば、2、3またはそれ以上)の通過チャネルを含んでもよい。通過チャネルのうちの1つが、プッシュロッド(存在する場合)を保有してもよい。他のチャネルは空であってもよく、他のチャネルが同軸ケーブルを誘導する器具とインタフェース接合部との間の開かれた流体流路、および流体送達導管および制御ワイヤを保有する1つまたは複数の貫通穴が常に存在することを確実にできる。流体流路は可撓性スリーブにより形成された内部空洞を溢れさせてもよく、同軸ケーブルが流体に浸ってもよい。
【0042】
プッシュロッドの遠位端部は針フェルールの近位端部に接続されてもよく、針フェルールはその遠位端部に固定された針を有する。フェルールは中空で、その内部が可撓性スリーブを通る流体流路と流体連通するのを引き起こす、外壁内の複数の穴を有してもよい。遠位端部に据え付けられた針が流体流路と流体連通するように、フェルールの遠位端部を開いてもよい。フェルールの近位端部を、プッシュロッドにより密閉してもよい。
【0043】
本発明の第3の態様によると、内視鏡の外側に存在する可撓性スリーブの長さに沿って把持力を付与するよう構成された細長いクランプを備え、細長いクランプは、上部の細長い筐体部材と、上部の細長い筐体部材に枢動可能に接続され、可撓性スリーブの通路を形成する下部の細長い筐体部材とを備え、上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材が、トルク伝達ユニットが可撓性シャフトを上下に摺動可能である解放位置と、可撓性スリーブが上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材との間に担持される締付位置との間で枢動可能である、ユーザの回転力を電気外科器具に接続された可撓性スリーブに伝達することにより内視鏡の遠位端部において電気外科器具を回転するトルク伝達ユニットが提供される。
【0044】
従って、トルク伝達ユニットは可撓性スリーブの長さに沿って、使用に好都合な位置へ自由に摺動するよう設計してもよい。適切な位置にあると、トルク伝達ユニットは上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材をともに枢動することによりスリーブを把持可能である。トルク伝達ユニットは、上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材をあらゆる地点で所定の位置にロックすることを可能にする解放可能なクリップを有してもよい。クリップは、上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材のうちの1つの上の弾性を有するラッチ構成要素であってもよく、それが他方の対応するものを掴む。
【0045】
上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材は、それぞれU字形の締付部材を支えてもよく、U字形の締付部材は、上部の細長い筐体部材および下部の細長い筐体部材が締付位置にあるとき、互いに向かい合い、実質的に均一な把持圧力を可撓性スリーブに付与するよう構成される。好適な実施形態では、中間の変形可能な把持チューブが可撓性スリーブとU字形の締付部材との間の可撓性スリーブ周辺の位置にある。中間把持チューブはシリコンまたはあらゆる他の適切な適合材料で製造してもよい。使用中、中間の変形可能な把持チューブは、可撓性スリーブを圧縮して把持し、トルク伝達ユニットの位置を固定する。中間把持チューブは可撓性スリーブ上の負荷を分散するよう働き、それがスリーブの壁への局所的損傷を防ぐことができる。
【0046】
使用中、電子外科器具の遠位先端部が、内視鏡のビデオモニタ上の視野内の可撓性内視鏡の遠位端部に対して正しく位置決められているとき、内視鏡医は、内視鏡作業チャネルからの可撓性シャフトの出口地点で内視鏡のX−Y制御に密接したところにトルク伝達ユニットを固定およびロックするものとする。この位置に固定されるとき、トルク伝達ユニットは指と親指の回転、および器具の遠位先端部の長手方向の位置制御を提供する。トルク伝達ユニットの変更可能な位置決めおよび固定により、器具は異なる長さの内視鏡(例えば、60〜170cmの間の長さの任意の位置にある作業チャネルを伴う可撓性内視鏡)に使用可能になる。
【0047】
本明細書で、高周波(RF)は10kHz〜300MHzの範囲の安定した固定周波数を意味することがあり、マイクロ波周波数は300MHz〜100GHzの範囲の安定した固定周波数を意味することがある。RFエネルギーは、エネルギーが神経刺激を引き起こすのを防ぐのに十分高く、エネルギーが組織の白色化または不必要な熱マージンまたは組織構造への損傷を引き起こすのを防ぐのに十分低い周波数を有するべきである。RFエネルギーについての好ましいスポット周波数は、100kHz、250kHz、400kHz、500kHz、1MHz、5MHzのうちいずれか1つまたは複数を含む。マイクロ波エネルギーについての好ましいスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、14.5GHz、24GHzを含む。
【0048】
本発明を実施する例を、以下の添付の図を参照して詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明が適用された電気外科システム全体の概略図である。
図2】本発明の一実施形態であるインタフェース接合部の横断面図である。
図3図2に示されたインタフェース接合部の切断斜視図である。
図4A】本発明の一実施形態であるトルク伝達ユニットの分解図である。
図4B】組み立てられた状態の図4Aのトルク伝達ユニットの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態である他のインタフェース接合部の概略斜視図である。
図6】本発明の一実施形態である一体化されたインタフェース接合部およびトルク伝達ユニットの概略斜視図である。
図7】本発明の一実施形態である他の一体化されたインタフェース接合部およびトルク伝達ユニットの概略斜視図である。
図8】本発明の一実施形態である電気外科装置の遠位端部アセンブリの分解図である。
図9A】組み立てられた状態の図8の遠位端部アセンブリの頂部斜視図である。
図9B】組み立てられた状態の図8の遠位端部アセンブリの底部斜視図である。
図10】本発明との使用に適切なインタフェースケーブルの横断面図である。
図11A図8の遠位端部アセンブリで使用されるバイポーラ構造の上面図である。
図11B図8の遠位端部アセンブリで使用されるバイポーラ構造の側面図である。
図11C図8の遠位端部アセンブリで使用されるバイポーラ構造の底面図である。
図12A図8の遠位端部アセンブリとの使用に適切な針アセンブリの図である。
図12B図12Aに示された針アセンブリを通る拡大横断面図である。
図13】本発明との使用に適切なインタフェースケーブルを通る流体流路を示す概略図である。
図14A図8の遠位端部アセンブリで使用される保護カバーの上面図である。
図14B図8の遠位端部アセンブリで使用される保護カバーの横断面図である。
図15A図2に示されたインタフェース接合部で使用されるストッパの斜視図である。
図15B図15Aに示されたストッパを通る横断面図である。
図16A図2に示されたインタフェース接合部内で使用されるY字形のコネクタの斜視図である。
図16B図16Aに示されたY字形のコネクタを通る横断面図である。
図17A】本発明の一実施形態である電気外科装置の遠位端部アセンブリの製造の種々の段階の等角図である。
図17B図17Aに示された遠位端部アセンブリ全体の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
マイクロ波およびRFエネルギーの両方の制御された供給を通して、ポリープおよび悪性腫瘍を除去する内視鏡処置で使用する電気外科侵襲的器具を提供する電気外科システムの関連で、本発明の種々の態様が以下に提示される。しかし、本明細書に示される本発明の態様はこの特定の適用に限定される必要がないことを理解すべきである。本発明の態様は、RFエネルギーのみが必要とされる実施形態、またはRFエネルギーおよび流体送達のみが必要とされる必要とされる実施形態において同等に適用可能でありうる。
【0051】
図1は、侵襲的電気外科器具の遠位端部に、RFエネルギー、マイクロ波エネルギーおよび、例えば、生理食塩水またはヒアルロン酸といった流体のうち、いずれかまたは全てを選択的に供給することが可能である、電気外科システム100全体の概略図である。システム100は、RF電磁(EM)エネルギーおよび/またはマイクロ波周波数EMエネルギーの供給を制御可能な発生器102を備える。この目的に適した発生器が国際公開第2012/076844号に記載され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
発生器102は、インタフェースケーブル104によりインタフェース接合部106に接続される。インタフェース接合部106はまた、シリンジのような流体送達装置108から流体供給管107を受け入れるよう接続される。インタフェース接合部106は、トリガ110を摺動することにより作動する針移動メカニズムを収容する。インタフェース接合部106の機能は、発生器102、流体送達装置108および針移動メカニズムからの入力を1つの可撓性シャフト112内に組み合わせることであり、可撓性シャフト112はインタフェース接合部106の遠位端部から延びる。インタフェース接合部106の内部の構成は、詳細を後述する。
【0053】
可撓性シャフト112は、内視鏡114の器具(作業)チャネルの全体の長さを通して挿入可能である。トルク伝達ユニット116は、インタフェース接合部106と内視鏡114との間のシャフト112の近位の長さに据え付けられる。トルク伝達ユニット116は、シャフトが内視鏡114の器具チャネル内で回転可能であるように、シャフトを係合する。
【0054】
可撓性シャフト112は、内視鏡114の器具チャネルを通り内視鏡のチューブの遠位端部で(例えば、患者の内部に)突出するような形状の遠位アセンブリ118を有する。遠位端部アセンブリは、RF EMエネルギーおよび/またはマイクロ波EMエネルギーを生体組織内へ供給する作動先端部、および流体を供給する格納可能な皮下注射針を有する。これらの組み合わせ技術は、望まれない組織切除および破壊に対する独自の解決法、および対象の領域周辺の血管を塞ぐ能力を提供する。格納可能な皮下注射針の使用を通して、治療される病変の位置を膨張およびマーク付けするため、外科医はマーカー染料を追加して生理食塩水および/またはヒアルロン酸を組織層の間に注入可能である。この方法での流体注入は、組織層を持ち上げて分離し、病変周辺および粘膜下層を通る面を切除することと、腸壁穿孔および筋層への不必要な熱損傷のリスクを減少することとの両方をより容易にする。
【0055】
より詳細には後述するように、遠位アセンブリ118は組織剥離タイプの切除動作を補助するよう、作動先端部の下に位置する保護ポリマーカバーをさらに有し、偶発的な穿孔に対して保護し、残りの組織の生存能力を確実にするのをさらに援助し、これにより、より迅速な治癒および手術後の回復を促進する。
【0056】
後述する遠位アセンブリの構造は、特に、少なくとも2.8mmの内径および60cm〜170cmの間のチャネル長の作業チャネルを有する、従来の操作可能な可撓性内視鏡とともに使用するよう設計してもよい。したがって、比較的小さい直径(3mm未満)の器具の大部分は、非常に大きい主にポリマーの絶縁装置のルーメン、すなわち、通常11mm〜13mmの外径を有する可撓性内視鏡チャネル内に収容される。実際、視野を塞がず、カメラの焦点合わせに逆影響を及ぼさないように、遠位アセンブリの15mm〜25mmのみが内視鏡チャネルの遠位端部から突出する。遠位アセンブリの突出部は、常に患者に直接接触する唯一の器具の部分である。
【0057】
通常、患者から50cm〜80cmに保たれる内視鏡作業チャネルの近位端部で、可撓性シャフト112が作業チャネルポートから現れ、さらにインタフェース接合部106に30cm〜100cm延びる。使用中、インタフェース接合部106は処置の間中ずっと手袋をはめた助手により保持される。インタフェース接合部106は、延長した沿面距離および空間距離に1次および2次電気絶縁を提供するような方法で設計され、ポリマー材料から製造される。インタフェースケーブル104は、QMAタイプの同軸のインタフェースを用いて発生器102に接続され、連続した時計回りまたは反時計回りの回転を可能にするよう設計される。これにより、インタフェース接合部106は内視鏡医の制御の下で、トルク伝達ユニット116とともに回転できるようになる。助手は、共振的な器具回転、針制御および流体注入において内視鏡医を援助するよう、処置の間中、インタフェース接合部106を支持する。

インタフェース接合部およびトルク伝達ユニット
【0058】
図2および図3は、本発明の一実施形態であるインタフェース接合部120の構造を示す。インタフェース接合部は硬質のプラスチック外郭122を備え、いくつかの内部構成要素を収容する。図2および図3では、接合部の内部を示すため、外郭122の半分は取り除かれている。外郭122はピストルの形状であり、すなわち、上部円筒部121、および上部円筒の近位端部から離れて斜めの角度で延びる下部隣接部123を有する。上部円筒部121は針移動メカニズムを含み、一方で下部隣接部123は流体およびエネルギー送達のための接続部を有する。
【0059】
インタフェース接合部120の中核部は一対のY字形の導管124、126であり、それらは分岐通路を区画するようともに嵌め合わされる。Y字形の導管をポリカーボネートまたは他の適切な硬質のプラスチックから製造してもよく、図16Aおよび図16Bに詳細がさらに示される。分岐通路の第1の長さ128は、外郭122の上部円筒部121内に据え付けられ、およびそれに沿って位置する。第1の長さ128は、その近位端部において格納可能な針の配置を制御するプッシュロッド130を受け入れる。プッシュロッド130は湾曲した近位端部132を有し、例えば、熱かしめで針スライダ134内に据え付けられる。針スライダ134は、上部円筒部131内に摺動可能に据え付けられる。針スライダ134はスライダを前後に移動する突出親指トリガ136を有し、それが針の遠位アセンブリの内外の摺動を引き起こす。第1の長さ128の近位端部はシリコン栓138で密閉され、詳細がさらに図15Aおよび図15Bで示されている。
【0060】
分岐通路の第2の長さ140は、下部隣接部123内に据え付けられ、およびそれに沿って位置し、すなわち、第1の長さ128に対し斜めの角度である。第2の長さ140は近位のQMAタイプのコネクタ144から第1の長さ128の近位端部へ同軸ケーブルを伝送し、そこでそれがプッシュロッド130と交わり遠位放出口146を通ってインタフェース接合部120を出る。QMAタイプのコネクタ144は、発生器からインタフェースケーブルへ接続される。同軸ケーブル142は、30μmのパリレンC層で被覆されたSucoform047同軸ケーブルであってもよい。同軸ケーブル142は、第2の長さ140の近位端部においてシリコン密閉プラグ148を通ってもよい。
【0061】
分岐通路の第3の長さ150は、第2の長さ140から始まり、外側に面した流体受入ポート152を提供する。流体受入ポート152は、適切なシリンジなどとの密閉係合のための螺刻ルアーロック取付部品であってもよい。密閉プラグ148および栓138は、分岐通路を水密の態様で密閉させ、それによって流体受入ポート152で導入された流体のみが遠位放出口146を通ってインタフェース接合部120を出ることを可能にする。
【0062】
インタフェース接合部の遠位放出口146は、それを通して内視鏡の器具チャネル内に導入された可撓性シャフト154の近位部分を受け入れる。可撓性シャフトは、後述するように、流体、プッシュロッド130および同軸ケーブル142を伝送する。可撓性シャフト154の近位端部は、上部円筒部121に沿って、若干の重なりがあるように、分岐通路内へ直接付着される。この付着された接合は、伸ばされた手袋のように適合し、所定の位置に付着された(例えば、シリコンゴムの)カバー156により覆われる。カバー156は張力緩和構成要素として作用し、シャフトの可撓性ベンドリストリクタの端部も兼ねる。
【0063】
インタフェース接合部120の主要なユーザは、内視鏡医の助手でありうる。使用中、可撓性内視鏡の作業チャネルの先へ挿入するよう、操作者は通常、器具の遠位先端部を内視鏡医に提供し、インタフェース接合部120と(発生器に接続された)インタフェースケーブルとの間に電気接続をさせ、それから処置の間中、インタフェース接合部120自体を支持する。処置中、操作者は、必要に応じて流体受入ポート152に取り付けられた5〜20mlのシリンジを介して、膨張/マーカー液を注入し、内視鏡医に指示されたように針スライダ134を操作することが可能である。
【0064】
可撓性シャフト154は、同軸ケーブル142、プッシュロッド130および流体を含む外側カニューレチューブを備える。可撓性シャフトの特定の内部構造は、図10を参照して後述する。遠位アセンブリは、チューブに適用されるあらゆる回転が遠位アセンブリを通過する態様で、外側カニューレチューブに固定される。従って、遠位アセンブリの回転可能操作を可能にするよう、その回転を容易にするため、トルク伝達ユニットが可撓性シャフト上に据え付けられる。
【0065】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施形態のトルク伝達ユニット158を示す。基本的にトルク伝達ユニット158は、可撓性シャフトの長さに沿って把持力を付与する細長いクランプである。シャフトの長さを把持することにより、トルク伝達ユニットは最も低い圧力を印加ことが可能であり、従って、可撓性シャフトおよびその内容物への損傷を防ぐ。
【0066】
図4Aに示されるように、トルク伝達ユニット158は上部の細長い筐体部材160および下部の細長い筐体部材162を備え、それらは遠位端部において枢動ロッド164周辺でともにヒンジ留めされる。上部の細長い筐体部材160および下部の細長い筐体部材162はそれぞれ、内部にU字形の締付部材166を支える。締付部材166は互いに向かい合い、それによって上部の細長い筐体部材160および下部の細長い筐体部材162を互いに対して枢動可能することにより、締付部材166間の距離を変化させる。変形可能なチューブ168が、締付部材166の間に据え付けられる。変形可能なチューブ168は可撓性シャフトに通され、トルク伝達ユニット158の遠位および近位面の穴170を通る。使用中、上部の細長い筐体部材160および下部の細長い筐体部材162は、トルク伝達ユニットが可撓性シャフトを上下に摺動することを可能にする解放位置と、変形可能なチューブ168が締付部材の間で押し込まれ、可撓性シャフトに把持力を付与する締付位置の間で枢動可能である。上部の細長い筐体部材160および下部の細長い筐体部材162は、解放可能なクリップ172により締付位置に保持可能である。トルク伝達ユニット158の遠位端部は、回転を容易にするよう操作者の親指および人さし指によって把持するよう設計された一連の円周方向の刻み目を有する。
【0067】
図5は、本発明の別の実施形態であるトルク伝達ユニット158と連結するインタフェース接合部180の斜視図である。トルク伝達ユニット158は図4Aおよび図4Bを参照して前述したものと同一であり、再度述べない。
【0068】
この実施形態では、インタフェース接合部180はコンパクトな円筒状の本体182を備え、それが内視鏡医の助手による回転を容易にする。特にインタフェースケーブル104は、例えば、スナップ式装着回転同軸コネクタを介して本体182と軸方向に整列して接続される。本体182は、流体を供給するシリンジ188を受け入れる、入れ子式円筒184を含む。入れ子式円筒184は、残っている流体の量を示すように、のぞき窓186を含んでもよい。
【0069】
この実施形態では、本体182が手の平の中で支持される間に親指で制御するよう、針スライダ制御部190が本体180の突出部へ据え付けられる。図2および図3に示された実施形態のように、スライダ190は自由な相反移動を有してもよい。スライダを完全に後退した針位置にロックおよび留めるよう、ラッチメカニズム(図示せず)を設けてもよい。代替的には、スライダは、メカニズムを後退した状態に付勢するばね式動作を有してもよい。ばね式を選択すると、ユーザ(助手)は流体の注入中、ばねに対してスライダを前方に保持する必要があるだろう。
【0070】
図6は、本発明の別の実施形態であるインタフェース接合部およびトルク伝達ユニット192の組み合わせの斜視図である。前述の分離したトルク伝達ユニットおよびインタフェース接合部の全ての機能が、ここで1つの成型アセンブリ内に提供される。しかし、組み合わせユニットは使用中、可撓性シャフトに沿って摺動不可能であり、これは器具の長さが内視鏡作業チャネルの長さにほぼ合致すべきであることを意味する。しかし、この構成の利点は、器具の長さが短いことは電力損失が少ないことを意味するので、遠位アセンブリ内の作動先端部においてより多くのマイクロ波電力が利用可能なことである。
【0071】
組み合わせユニット192は、指と親指の容易な回転制御を促進するカットされた遠位端部196を有するくびれた円筒194を備える。これらの処置の間、内視鏡医が自然に位置を保持および支持するよう、針スライダ198が円筒194の後方へ据え付けられる。
【0072】
針スライダ198の代替として、親指制御を容易にするために、ヒンジ留めされたロッカータイプの制御レバーを使用可能である。この設計で、内視鏡医による片手の操作および流体注入のために、すなわち、内視鏡医が自由に自身のもう一方の手を使って内視鏡を保持または操作するため、針スライダ(またはロッカー)ラッチの前後、またはラッチ後退およびばね前進の制御が必要とされるであろう。
【0073】
図7は、本発明の別の実施形態である、組み合わせインタフェース接合部およびトルク伝達ユニット200の斜視図である。組み合わせユニット200は、シリンジ流体注入連結部201を除けば、図6に示された装置と同様である。組み合わせユニット200は、カットされた遠位端部204および針スライダ206を有する細い円筒状の本体202を備え、それらは前述したように機能する。本体202は、さらにシリンジを収容する必要はないので、細いコンパクトな設計を有する。代わりに、本体202は、流体送達線210を介して流体受入ポート208に接続される。この配置は、円筒の直径に制限されずに、より大きいシリンジとともに装置を使用することを可能にする。この配置の本体は、図6に示されたものよりも軽量でありうる。この実施形態では、本体202の遠位端部204は凹状の平坦面212を含み、それが安定性追加のため内視鏡ポートキャップに対して隣接した位置を可能にする。図6に示されたこの装置と同様に、この(示されるような)解決法は器具の長さがサードパーティの内視鏡の作業チャネルの長さにほぼ合致することを必要とし、それによって、器具先端部における、より多くのマイクロ波電力の利用可能性の可能性を提供する。
【0074】
図6および図7に示された組み合わせ円筒形ユニット内で、最大100mmまでの短い軸方向の調整を組み入れることが可能でありうる。これは、内視鏡医が自身の可撓性内視鏡の選択に対し、器具の長さを細かく調整することを可能にしうる。この追加された機能はまた、今日のサードパーティの内視鏡の範囲を網羅するのに必要とされる、製品のバリエーションの数を最小化することが可能である。
【0075】
図15A図15B図16Aおよび図16Bは、インタフェース接合部のいくつかの内部構成要素のいくつかのさらなる詳細を示す。
【0076】
図15Aおよび図15Bは、それぞれが分岐通路の第1の長さの近位端部を密閉する栓138の斜視図および横断面図である。栓は、回転ルアーロック取付部品246および例えば、弾性的に変形可能なゴムで製造された一体式密閉ダイヤフラム248を備える。
【0077】
図16Aおよび図16BはY字形の導管250を示し、ここから分岐通路が形成される。それぞれのY字形の導管は第1の吸込口252と放出口254との間の主要な直線状チャネル、および主要な直線状チャネルと斜めの角度の第2のチャネルを有し、第2のチャネルは第2の吸込口256を有し、主要な直線状チャネルの長さに沿って、その中間あたりで接合する。第1の吸込口252および第2の吸込口256は、それぞれ回転ルアーロック取付部品258を有する。

遠位アセンブリ構成
【0078】
図8図9Aおよび図9Bは、本発明の一実施形態である作動先端部を備える遠位アセンブリ214の詳細を示す。図8は、遠位アセンブリ214を形成する構成要素の分解図を示す。遠位アセンブリ214は、前述の可撓性シャフト154の外側カニューレチューブ216の遠位端部に据え付けられる。トルク伝達機能を提供するため、外側カニューレチューブ216の大部分は、例えば、半径方向に内側ポリマー層と半径方向に外側ポリマー層との間に据え付けられた編組ワイヤ(例えば、ステンレス鋼)包装体を備える編組チューブで形成される。しかし、編組材料がRFおよび/またはマイクロ波周波数EMエネルギーの遠位アセンブリへの供給を妨害するのを避けるため、外側カニューレチューブ216の遠位部分218は完全にポリマー層、すなわち、内部の編組なしで製造される。
【0079】
外側カニューレ層216の遠位部分218は、保護カバー222の対応する近位部220に適合する。保護カバーはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはあらゆる他の適切なエンジニアリングプラスチックから形成され、次のような多数の機能を実行する形状である。
−可撓性シャフト上の遠位アセンブリの据え付け
−作動先端部の保護下面の提供
−針の保護筐体の提供
−同軸ケーブルに対する作動先端部の位置付け
これらの機能を実行するカバー222の構造部は、図14Aおよび図14Bを参照して、さらなる詳細を後述する。
【0080】
遠位アセンブリ214は作動先端部224を有し、それはその上面および下面に(例えば、金の)導電層を有する誘電体材料(例えば、アルミナ)の平面的な部品である。作動先端部224の遠位端部は湾曲している。導電層は、可撓性シャフト216により伝送される同軸ケーブル142の内側および外側導線に電気的に接続される。同軸ケーブル142の遠位端部で、その外側シースが取り除かれ、外側導線226の長さを露出する。同軸ケーブルの内側導線228は、外側導線226の遠位端部を越えて延びる。同軸ケーブル142および作動先端部224は、内側導線228の突出部分が作動先端部の第1の導電層上にあり、一方で外側導線226が導電性アダプタ構成要素230により第2の導電層と電気接続するように、互いに対して据え付けられる。第1の導電層は外側導線226から絶縁され、第2の導電層は内側導線228から絶縁される。作動先端部の構成のさらなる詳細は、図11A図11Cを参照して後述する。
【0081】
図9Aおよび図9Bに示されるように、組み立てられたとき、作動先端部224および同軸ケーブル142は、外側導線から突き出る内側導線228の部分にわたりエポキシ接着剤を塗ることにより、互いに、およびカバー222へ付着される。このエポキシ接着剤はさらに、外側カニューレチューブの端部プラグを形成するよう機能し、すなわち、インタフェース接合部において導かれた流体の唯一の出口が針を通るよう、液密シールを形成するよう機能する。
【0082】
カバー222は、例えば、ポリイミドで作られた針誘導チューブ232を保持する窪みを有する。使用中、遠位アセンブリ214は患者と密着して接触する。針234を、インタフェース接合部のスライダメカニズムの制御により、作動先端部224の遠位端部を越えて延ばし、誘導チューブ232の内側の位置に後退させることが可能である。その延びた位置において、組織の局所的な膨張およびマーキングの目的で、針は内視鏡医が流体を注入するのに使用される。作動先端部224上の導電層は、RFおよび/またはマイクロ波周波数エネルギーを供給するバイポーラ電極を形成する。
【0083】
針誘導部232は遠位アセンブリの内側および近位に戻って延び、作動先端部224の遠位先端部領域のみにわたりRF/マイクロ波起動が確実に発生するよう延長した沿面空間を提供する。
【0084】
同様に、導電層236が作動先端部224の遠位先端部領域の後方で窪むのが分かる。これは、作動先端部の近位端部でトラッキング/沿面距離を増加するため、上面および下面の両方でなされ、RF/マイクロ波エネルギーが遠位端部および先端部の目的のアクティブ要素に集中することをさらに確実にする。
【0085】
図10は、可撓性シャフト154の一般的な断面を示す。可撓性シャフトは2.3m(または2.0m)延びてもよく、すなわち、器具の全体の長さはインタフェース接合部を遠位アセンブリへ接続する。使用の間、このシャフトの長さの大部分は、可撓性内視鏡の作業チャネル内に着座する。可撓性シャフト154は、液密カニューレ237およびユーザ/患者間の電気バリアを形成する外側カニューレチューブ216(すなわち、前述の編組チューブ)、およびそれ自身がさらに絶縁された同軸Sucoformケーブル142を備える。外側カニューレチューブ216はまた、3ルーメンPTFE押出チューブ238を囲み、常にカニューレの長さ全体に沿って流体通路が維持されるのを確実にする一方で、プッシュロッド130に低摩擦の通路を提供し、構造に安定性/支持を提供する。
【0086】
可撓性シャフト154の長さを通して、同軸ケーブル142(例えば、Sucoform047ケーブル)は、編組および二重絶縁外側カニューレチューブ216とともに1ルーメンの複合構造を形成し、可撓性器具保護シャフトを形成する。使用中にもたらされる潜在的な熱のリスクを管理するため、発生器によるマイクロ波エネルギーの使用に作動制御をかけてもよい。例えば、第1の適用でインスタンス作動を20秒(連続出力)に限定してもよく、その後、遠位アセンブリの近位端部の平均電気発生を4Wに限定してもよい。この制御は、内視鏡医とは無関係に、例えば、発生器ソフトウェアによりかけてもよい。この制御が行われ、20秒の連続した作動の後、インタフェース接合部のすぐ遠位の器具のシャフトのポリマー表面上で40℃の温度が観察された。20秒後、内視鏡医によるさらなる連続したマイクロ波作動は発生器ソフトウェアにより自動的に干渉されるので、温度はその後下降する。240秒(12×20秒)が経過するまで全20秒の作動能力を妨げてもよい。
【0087】
実際には、先端部での灌流は、腸壁の厚さ全体にわたり損傷をもたらす恐れがあるため、10秒より長い凝固機能を有効にする必要はないかもしれない。
【0088】
図11A図11Bおよび図11Cは、本発明の実施形態で使用可能な作動先端部224の寸法の一例を示す。作動先端部全体の長さは10.6mmであり、最大幅は2mm、高さは0.5mmである。作動先端部上の金属化層は、0.03mmの厚さを有する。湾曲した遠位端部は、遠位先端部に向かい長さおよび半径が減少する複数の半径区域として製造される。この実施形態では5つの異なる半径区域があるが、より多くを使用することが可能である。それぞれの区域の長さおよびその対応する曲率半径が、表1に示される。

【表1】
【0089】
前述のように、両面の導電層が、先端部の近位6mmに沿って0.2mmの距離で誘電基板の縁部から後退される。そして頂部導電層が同軸ケーブルの外側導線から絶縁されるのを確実にするため、頂部導電層は0.6mmの距離で誘電基板の近位縁部から後退される。
【0090】
図12Aおよび図12Bは、プッシュロッド130から針234への変移を示す。針フェルール240がその近位端部でプッシュロッド130に接続され、その遠位端部で針234に接続される。針フェルール240の外側表面内の穴のセットが、針234から外の送達のため可撓性シャフトから流体が侵入するのを可能にする。図12Bに示されるように、プッシュロッド130はフェルール240の近位端部内でストッパとして働き、それによって流体が誤った方向に漏出することを防ぐ。
【0091】
図13は、流体の流路を概略的に示す。遠位アセンブリのすぐ近位で、シリンジから可撓性シャフト154を通過して注入された流体は、針フェルール240の中央の4つの小さな半径方向穴242を通り、そこから患者への注入のため皮下注射針234内へ押し進められる。
【0092】
図14Aおよび図14Bは、保護カバー222の形状を示す。図9Bにより明らかに示されるように、カバーの遠位端部は、作動先端部が遠位先端部を除いて、遠位縁部周辺で約0.2mm突き出ることを可能にする形状である。従って、作動先端部の下側に接触する面は、最大幅2mmを有し、遠位部分225でその遠位先端部へ先細る前に、中間部223で1.6mmに狭くなる。遠位先端部は、例えば、0.2mmの半径を有する単一の半径の湾曲であってもよい。
【0093】
一方で、カバーの近位端部は、作動先端部の近位端部を受け入れる長方形の窪みを形成する。長方形の窪みはそれぞれの側で一対の翼部244に隣接し、それが作動先端部を保持および整列し、ならびに同軸ケーブルの露出された内側導線を覆う接着剤を受け入れる体積を形成する。
【0094】
図17Aは、本発明の別の実施形態である電気外科器具の遠位端部部分300のアセンブリの種々の段階を示す。図17Aの一番左の図は、導電材料で作られた内側チューブ302を示す。この内側チューブ302は、前述の同軸送達部の内側導線を表す。図17Aの左から2つ目の図は外側チューブ304を示し、最初は内側チューブ302の上方にある。外側チューブ304は、その外側表面に導電性コーティングを有する絶縁性誘電体材料のチューブとして形成してもよい。導電性コーティングは、同軸送達部の外側導線として作用する。
【0095】
外側チューブの遠位端部で、導電性コーティングの部分がエッチングされ、誘電体材料の部分306を露出する。導電性コーティングのアイランド308は、その遠位端部で外側チューブの頂面上の左にある。アイランド308は、誘電体材料の露出部分306により導電性コーティング304の残りから分離される(すなわち、電気的に絶縁される)。導電性コーティングのトング(図示せず)が、アイランド308と同様の形状およびサイズで外側チューブの遠位端部でその下側表面に形成される。しかし、トングは導電性コーティングの残りと電気接続を保ち、すなわち、それは外側導線の延長である。
【0096】
穴310(例えば、1mmの直径を有する)が、導電性コーティングおよび絶縁性誘電体材料を通ってアイランド308内に形成され、それによって内側チューブ302を露出する。穴はそれから、内側チューブ302をアイランド308と電気的に接続するため、導電性材料(例えば、エポキシ銀)で充填される。結果として、外側チューブの遠位端部は、その外側表面に2つの対向した電気接点を有する。第1の接点、(アイランド308)は内側チューブ302(すなわち、内側導線)と電気接続し、第2の接点(トング)は外側チューブ304の導電性コーティング(すなわち、外側導線)と電気接続する。
【0097】
図17Aの左から3つ目の図はアセンブリの次の段階を示し、そこで器具の先端部312が外側チューブ304の遠位端部内に挿入される。器具の先端部312は、例えば、アルミナのようなセラミックの硬質の誘電体の平面部品314を備える。外側チューブ304は2つの対向するタブ316を有し、それらは例えば、締まりばめとして、または適切な接着剤を用いて平面部品314を受け入れおよび保持可能である。
【0098】
平面部品314の側端は、その遠位端部の方へ準放物線形状に先細りになる。平坦な上側表面および下側表面は、その上に形成された金または銀の金属化導電層を有する。上部層318は図17Aで見ることができる。
【0099】
図17Aの最も右の図がアセンブリの最終段階を示し、その中で第1および第2の接点は、導電性ホイル318の断片を用いて器具の先端部312の上部および下部の導電層にそれぞれ電気的に接続される。
【0100】
図17Bは、組み立て後の遠位端部部分300の端面図を示す。ここで導電性ホイル320の下部断片がその中に形成された穴322を有し、それを通して前述の格納可能な針が通過できることが分かる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B