特許第6803904号(P6803904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803904
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】コーティングプラントロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20201214BHJP
   B62D 65/06 20060101ALI20201214BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B25J9/06 A
   B62D65/06 A
   B62D65/06 C
   B05B13/02
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-501861(P2018-501861)
(86)(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公表番号】特表2018-527199(P2018-527199A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016001147
(87)【国際公開番号】WO2017008889
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】102015009163.8
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】イムル、マティアス
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04342536(US,A)
【文献】 米国特許第05423648(US,A)
【文献】 特開2003−089090(JP,A)
【文献】 特開2000−354986(JP,A)
【文献】 特開2013−031890(JP,A)
【文献】 特開2011−098298(JP,A)
【文献】 特表2015−530239(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0236359(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0281100(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0331922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
B05B 13/02
B62D 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフェクタ(14)を空間内で移動させるためのロボット運動機構(6−15)を具備するコーティングプラントロボット(1)であって、
前記ロボット運動機構(6−15)は、
a)近位に配置された第1ロボット要素(6)、
b)前記第1ロボット要素(6)の運動学的に後ろに配置され、前記第1ロボット要素(6)に対して移動可能な第2ロボット要素(7)、
c)前記第2ロボット要素(7)の運動学的に後ろに配置され、前記第2ロボット要素(7)に対して移動可能な平行運動機構を有する第1ロボットアーム(8)、
d)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)の運動学的に後ろに配置され、前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)に対して移動可能な第3ロボット要素(10)、
e)前記第3ロボット要素(10)の運動学的に後ろに配置され、前記第3ロボット要素(10)に対して移動可能な第4ロボット要素(11)、
f)前記第4ロボット要素(11)の運動学的に後ろに配置され、前記第4ロボット要素(11)に対して移動可能な前記平行運動機構を有する第2ロボットアーム(12)、
g)前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)の運動学的に後ろに配置され、前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)に対して移動可能な第5ロボット要素(13)、及び
h)前記第5ロボット要素(13)の運動学的に後ろに配置され、前記第5ロボット要素(13)に対して移動可能な第6ロボット要素(15)、
を有し、
i)前記コーティングプラントロボット(1)は少なくとも部分的に塗装ブース内に配置されており、
j)前記塗装ブース内には、余分なコーティング剤の霧を可能な限り迅速に前記塗装ブースから下方に運び去るために下方に向けられた気流が存在し、
k)前記コーティングプラントロボット(1)は、前記第1ロボットアーム(8)及び前記第2ロボットアーム(12)がそれぞれ鉛なるよう、折り畳んだ状態を取ることが可能であり、
l)前記折り畳んだ状態での前記下方に向けられた気流への前記コーティングプラントロボット(1)の干渉輪郭は、2m未満の干渉面積(FSTO¨R)にわたり水平方向に広がっている、
ことを特徴とする、コーティングプラントロボット(1)。
【請求項2】
a)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、2つの回転関節をそれぞれ有する少なくとも2つのアーム部(8.1、8.2)を具備し、そして、前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、前記2つのアーム部(8.1、8.2)が直接的に隣接するロボット要素(7、10)に対してそれぞれ相対的に回転可能であるような、関節からなる四角形を形成し、
b)一方のアーム部(8.1)の回転関節は、他方のアーム部(8.2)の回転関節とは異なる回転軸を有し、
c)前記2つのアーム部(8.1、8.2)の回転軸は、全て互いに平行に延びており、
d)前記平行運動機構は、前記第1ロボットアーム(8)の前記2つのアーム部(8.1、8.2)を直接的に隣接するロボット要素(7、10)のひとつに対して回動させるためにひとつの回転駆動のみを有する、
請求項1に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項3】
前記2つのアーム部(8.1、8.2)の4つの前記回転関節の回転軸が平行四辺形(P)又は台形(T)の角にある、請求項2に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項4】
a)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、2つの隣接するロボット要素(7、10)の間に運動学的に直接に配置され、
b)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、前記2つの隣接するロボット要素(7、10)に対して回動可能であり、
c)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、回動運動中に、直接的に隣接する前記ロボット要素(7、10)を互いに対して一定の角度で保持する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項5】
前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)と前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)とは連続して互いに並んで配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項6】
前記第2ロボット要素(7)は、垂直な第1回動軸(A1)の周りで、近位の前記第1ロボット要素(6)に対して回動可能である、
請求項1から5のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項7】
a)近位の前記第1ロボット要素(6)は位置固定式に配置されている、又は、
b)近位の前記第1ロボット要素(6)は走行レール上を移動可能である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項8】
記コーティングプラントロボット(1)はマニピュレーティングロボット(1)であり、さらに、
a)前記エフェクタ(14)は、塗装処理中に自動車車体(2)を開閉するよう構成された、マニピュレーティングツール(14)であり、又は、
b)前記マニピュレーティングロボット(1)は、塗装処理中に自動車車体(2)のドア(3)を開閉するよう構成されたドアオープナーであり、又は、
c)前記マニピュレーティングロボット(1)は、塗装処理中に、自動車車体(2)の、フード(4、5)を開くよう構成されたフードオープナーである、
請求項1から7のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項9】
前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも2kgの積載量を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【請求項10】
a)前記コーティングプラントロボット(1)の前記干渉面積(FSTO¨R)は、前記塗装ブースの長手方向に、2m未満の長さ(L)を有し、
b)前記コーティングプラントロボット(1)の前記干渉面積(FSTO¨R)は、前記塗装ブースの横方向に、1m未満の幅(B)を有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、塗装処理中に自動車車体を開閉するためのマニピュレーティングロボットとしての、コーティングプラントロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体ユニットを塗装するための現代の塗装プラントでは、ドアやフード(トランクフード及びエンジンフード)は、塗装処理中に、自動車車体の内部での内部塗装を行えるように開かれる。その後、ドアやフードは再び閉ざされねばならない。このため、SCARA(Selective Compliance Assembly Robot Arm)ロボットとして典型的には構成され、もっぱら平行でときに垂直方向を向いた回転軸を有するマニピュレーティングロボットが通常採用される。こうしたSCARAロボットは、典型的に、自動車車体のドアを開くためのグリッパを有する。
【0003】
こうしたSCARAロボットの欠点として、機械的剛性が比較的低く、これが静的負荷及び動的負荷の両方について問題となりかねない点が挙げられる。
【0004】
既知のSCARAロボットのさらなる欠点として、リーチが限られている点が挙げられる。この問題は、SCARAロボットが移動可能に取り付けられる追加の直線走行軸により解決できる。しかし、こうした直線走行軸は、汚れの影響を受けやすく、追加の投資及び維持費用を伴う。限られたリーチへの別の解決策として、SCARAロボットのリーチを伸ばすことのできる追加の関節及びロボット要素を設けることがある。しかし、この解決策の欠点として、SCARAロボットが、折り畳んだ状態であってさえも、比較的大きな干渉輪郭を形成し、この干渉輪郭が他のロボットや塗装ブース内の下方に向けられた気流の障害をなすことが挙げられる。
【0005】
先行技術として、特許文献1及び特許文献2を参照する。これらの文献は、直列型運動機構を平行運動機構と組み合わせたロボット運動機構を有する塗布ロボットを開示する。しかし、こうした既知のロボットは、マニピュレーティングロボットではなく、塗装ロボットに関するものである。さらに、これらの文献では、平行運動機構は、近位に配置され、塗装ブースの天井又は壁面上に取り付けられている。そのため、平行運動機構は厳密な意味ではロボットアームを構成していない。
【0006】
さらに、本発明の一般的技術背景について、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1614480号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005033972号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2516545号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102011121343号明細書
【特許文献5】米国特許第5423648号明細書
【特許文献6】特開2003−089090号公報
【特許文献7】米国特許第4342536号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述した既知のSCARAロボットに関して改良されたマニピュレーティングロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項に記載の本発明に係るコーティングプラントロボットにより達成され得る。
【0010】
本発明に係るコーティングプラントロボットは、まず、先行技術に従って、エフェクタを空間内で移動できるようにするためのロボット運動機構を有する。
【0011】
エフェクタは、例えば、マニピュレーティングロボットのマニピュレーティングツール(例えば、グリッパ)であってもよい。しかし、この代わりに、エフェクタが塗布ロボットの塗布装置であることも可能である。この塗布装置は、例えば、回転式噴霧器(例えば、ベルアトマイザー、ディスクアトマイザーなど)、空気噴霧器、エアミックス噴霧器、エアレス噴霧器、超音波噴霧器、又はストライプアプリケーター(例えば、独国特許出願公開第102013002412号明細書)であってもよい。こうしたタイプの塗布装置自体は先行技術から既知なので、詳細な説明は省略する。
【0012】
そこで、本発明の文脈で用いられるコーティングプラントロボットという表現は、マニピュレーティングロボット(例えば、ドアオープナー、フードオープナー)、塗布ロボット(例えば、塗装ロボット、接着ロボット)などの、コーティングプラントで用いられる全てのロボットのタイプを包含する。
【0013】
本発明に係るロボット運動機構は、先行技術に従って、少なくとも1つのロボットアームを有する。本発明は、ロボット運動機構の少なくとも1つのロボットアームが平行運動機構を有する点で特徴的である。また、ここで、本発明は、特許文献1に基づく先行技術に対しても特徴的である。この文献も、直列型運動機構を平行運動機構と組み合わせたロボット運動機構を開示している。しかし、この先行技術では、平行運動機構は、近位に配置され、塗装ブースの天井又は壁面上に位置固定式に取り付けられているので、本発明の文脈におけるロボットアームを構成しない。
【0014】
本発明の好ましい例示的実施形態では、平行運動機構を有するロボットアームは、2つの回転関節をそれぞれ有する少なくとも2つのアーム部を具備し、そして、平行運動機構を有するロボットアームは、アーム部が直接的に隣接するロボット要素に対してそれぞれ相対的に回転可能であるような、平行運動機構を有する関節からなる四角形を形成する。ここで、回転関節は、好ましくは、各アーム部の末端に配置されている。一方のアーム部の回転関節が、他方のアーム部の回転関節とは異なる回転軸を有することも言及すべきだろう。この点で、本発明は、それぞれの各末端に共通の回転軸を有する平行な複数のアーム部を備える従来の工業ロボットとは異なる。さらに、2つのアーム部の回転軸が、好ましくは、全て互いに平行に延びていることも言及すべきだろう。ロボットアームの平行運動機構は、好ましくは、ロボットアームのアーム部を直接的に隣接するロボット要素のひとつに対して回動させるためにひとつの回転駆動のみを有する。この点で、本発明は、例えば、従来の平行運動機構(例えば、特許文献1などから既知のものなど)とは異なる。なぜなら、平行運動機構は、典型的には、回転駆動を有さず、むしろ、エフェクタに作用する直線駆動を有するからである。
【0015】
本発明の好ましい例示的実施形態では、2つのアーム部の4つの回転関節の回転軸は、平行四辺形、即ち、各組の向かい合う辺が互いに平行である平面的な四角形を形成する。これは、平行運動機構の回動が、運動学的に追従するロボット要素の空間位置の変化のみをまねき、運動学的に追従するロボット要素の空間配向(角度位置)が平行運動機構の回動移動により影響されないことを意味する。
【0016】
しかし、代替的に、2つのアーム部の4つの回転関節が、台形、即ち、2つの平行な向かい合う辺と2つの平行でない向かい合う辺とを有する四角形を形成することも可能である。ここで、2つのアーム部は、好ましくは、台形の向かい合う平行な辺を形成する。
【0017】
本発明の好ましい例示的実施形態では、平行運動機構を有するロボットアームは、2つの隣接するロボット要素の間に運動学的に直接に配置され、一方、平行運動機構のロボットアームは、2つの直接的に隣接するロボット要素に対して回動可能である。ここで、平行運動機構は、平行運動機構の回動移動中に、直接的に隣接するロボット要素が互いに対して一定の角度で保持されることを可能とする。
【0018】
さらに、本発明の好ましい例示的実施形態では、ロボット運動機構が、平行運動機構を有するロボットアームを1つのみ備えるだけでなく、むしろ、平行運動機構を有するロボットアームを2つ備え、平行運動機構を有する2つのロボットアームが、運動学的に連続して互いに並んで配置されることに言及すべきだろう。ここで、平行運動機構を有する2つのロボットアームは、運動学的に直接に互いに並んで配置されてもよい。しかし、好ましくは、さらなるロボット要素が平行運動機構を有する2つのロボットアームの間に運動学的に連続して配置されてもよい。しかし、好ましい例示的実施形態では、平行運動機構を有する2つのロボットアームの回転関節は、コーティングプラントロボットの位置とは無関係に、それらの回転軸を常に実質的に水平に向けている。
【0019】
本発明の好ましい例示的実施形態では、ロボット運動機構は、近位に配置された第1ロボット要素、当該第1ロボット要素に対して回動可能な第2ロボット要素、平行運動機構を有する第1ロボットアーム、第3ロボット要素、第3ロボット要素に対して回動可能な第4ロボット要素、平行運動機構を有する第2ロボットアーム、第5ロボット要素、及び第5ロボット要素に対して回動可能な第6ロボット要素を有する。
【0020】
本発明の好ましい例示的実施形態では、回動可能な第2ロボット要素は、第1ロボット要素の下方に配置され、且つ、第1回動軸の周りで回動可能である。一方、平行運動機構を有する第1ロボットアームは、好ましくは水平な、第2軸の周りで、第2ロボット要素に対して回動可能である。一方、第4ロボット要素は、好ましくは垂直な、第3回動軸の周りで、第3ロボット要素に対して回動可能である。さらに、平行運動機構を有する第2ロボットアームは、好ましくは水平な、第4回動軸の周りで、第4ロボット要素に対して回動可能である。最後に、第6ロボット要素は、好ましくは垂直な、第5回動軸の周りで、第5ロボット要素に対して回動可能である。
【0021】
近位の第1ロボット要素は、追加の直線走行レールを省略できるように、好ましくは、位置固定式に配置されることも言及すべきだろう。これは、コーティングプラントロボットの投資及び維持費用が少なくなり、また、直線走行軸の汚染が生じ得ないので、有利である。しかし、本発明の文脈において、代替的に、近位の第1ロボット要素が走行レール上で移動可能であることも可能である。
【0022】
本発明の好ましい例示的実施形態では、コーティングプラントロボットは、マニピュレーティングロボットであり、エフェクタは、塗装処理の文脈において自動車車体を開閉するように構成された、マニピュレーティングツール、特に、グリッパ又はフックである。
【0023】
例えば、マニピュレーティングロボットは、塗装処理の文脈において自動車車体のドアを開閉するように構成されたドアオープナーであってもよい。
【0024】
しかし、マニピュレーティングロボットは、塗装処理の文脈において自動車車体のフード(例えば、エンジンフード、トランクフードなど)を開閉するように構成されたフードオープナーであってもよい。
【0025】
本発明に係るマニピュレーティングロボットは、好ましくは、位置固定式に配置されており、それにもかかわらず、自動車車体の一側面にあるドアの全て、並びに、場合によっては、自動車車体のトランクフード及びエンジンフードを開くのに十分広い作業空間を有する。このために必要な従来のSCARAロボットに対するマニピュレーティングロボットの作業空間の拡張は、本発明に係るロボット運動機構により可能となる。
【0026】
コーティングプラントロボットは、好ましくは、少なくとも、1kg、2kg、5kg、10kg、20kg、又は50kgの最大許容積載量を有することも特筆すべきだろう。この点でも、本発明に係るコーティングプラントロボットは、実質的により少ない積載量が要求される他の技術分野(例えば、医療分野)の他種のロボットと区別される。
【0027】
コーティングプラントロボットは、水平及び垂直方向に、好ましくは、少なくとも、1m、2m、4m、又は6mの幅、高さ、及び/又は長さにわたり広がる比較的に広い動作範囲を有することもまた特筆に値する。ここで、動作範囲の長さは、塗装ラインの搬送方向に沿って塗装プラント内で測定され、一方、動作範囲の幅は、塗装ラインの搬送方向の横方向に塗装される。
【0028】
さらに、コーティングプラントロボットは、好ましくは、少なくとも、2つ、3つ、4つ、又は5つの移動可能なロボット軸を備えることもまた特筆に値する。しかし、本発明に係るコーティングプラントロボットは、ロボット運動機構の強靭性が悪化するので、多すぎるロボット軸を有すべきではない。そこで、本発明に係るコーティングプラントロボットは、好ましくは、多くとも、7つ、6つ、又は5つの移動可能なロボット軸を有する。そこで、本発明の好ましい例示的実施形態では、コーティングプラントロボットは5つの移動可能な軸を有する。
【0029】
本発明に係るコーティングプラントロボットの駆動は、好ましくは、電気軸駆動、例えば、三相同期電動機により、実行される。しかし、本発明はコーティングプラントロボットの機械駆動についてこの例に限定されるわけではない。
【0030】
さらに、本発明に係るコーティングプラントロボットにおいて、ロボット運動機構は、好ましくは、直列型及び並列型の組み合わせであることは特筆に値する。
【0031】
本発明の文脈において用いられるロボットという概念は、好ましくは、ロボットの標準的な定義を満たした上で、このロボットが任意にプログラム可能であることを含意する。
【0032】
さらに、ロボット運動機構は、好ましくは、従来のSCARAロボットと同様に、エフェクタ(例えば、グリッピングツール)がロボット移動の際に垂直に対して一定の空間配向(角度位置)を維持するように構成されることも言及すべきだろう。
【0033】
本発明の好ましい例示的実施形態では、平行運動機構のアーム部の両方が、それぞれが直接的に隣接するロボット要素の同じ側に回動可能に取り付けられている。しかし、平行運動機構が4つのアーム部を有し、このアーム部の2つが隣接ロボット要素の一側面上に取り付けられ、他の2つのアーム部がこの隣接ロボット要素の反対側面上に取り付けられていることも可能である。
【0034】
本発明の好ましい例示的実施形態では、コーティングプラントロボットは、少なくとも部分的に塗装ブース内に配置され、塗装ブース内では、余分なコーテジング剤の霧(『オーバースプレー』)を可能な限り迅速に、塗装ブースから、例えば、格子として構成されたブース床を介して、下方に運び去るために、下方に向けられた気流が生成される。この下方に向けられた気流は、典型的には、塗装ブースの所謂フィルターシーリングにより生成される。フィルターシーリング自体は先行技術から既知なので、詳細な説明は省略する。ここで、コーティングプラントロボットは、好ましくは、折り畳んだ状態で塗装ブース内の下方に向けられた気流へ最小限の干渉輪郭をみせるように、折りたたみ可能である。本発明に係るロボット運動機構は、有利には、コーティングプラントロボットの干渉面積の最小化を可能とし、このため、水平方向において、2m、1m、0.5m、0.25m、又は0.1m未満の干渉輪郭を有していてもよい。ここで、折り畳んだ状態でのコーティングプラントロボットの干渉輪郭は、好ましくは、塗装ブースの長手方向に、2m、1.5m、1m、又は75cm未満の長さにわたって広がることも特筆に値する。一方、塗装ブースの長手方向に対して横方向に、折り畳んだ状態でのコーティングプラントロボットの干渉輪郭は、好ましくは、1m、75cm、又は50cm未満の幅にわたって広がる。
【0035】
本発明の他の有利な展開例が、従属請求項の特徴部に開示され、また、以下に、本発明の好ましい例示的な実施形態の記載とともに、図面を参照しつつ、より詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】塗装プラントで塗装処理中に自動車車体のドア及びフードを開くための本発明に係るマニピュレーティングロボットの斜視図。
図2】別のロボット位置での図1のマニピュレーティングロボットの斜視図。
図3】別のロボット位置での図1及び2のマニピュレーティングロボットの斜視図。
図4】折り畳んだ状態の本発明に係るマニピュレーティングロボットを備えた塗装ブースの模式平面図。
図5A】平行四辺形の形態の本発明に係る平行運動機構の模式図。
図5B】平行四辺形の形態の本発明に係る平行運動機構の模式図。
図6A】平行運動機構が台形の形態である、図5Aの派生図。
図6B】平行運動機構が台形の形態である、図5Bの派生図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面は、本発明に係るマニピュレーティングロボット1の好ましい例示的実施形態を示している。マニピュレーティングロボット1は、自動車車体2の内部を塗装できるように、塗装処理の文脈において、自動車車体2(図4)を塗装するための塗装プラントで、自動車車体2の、ドア3、エンジンフード4、及びトランクフード5を開くために、用いることができる。
【0038】
本発明に係るマニピュレーティングロボット1は、運動学的に近位に配置された第1ロボット要素6を有している。ロボット要素6は、追加の走行レールを省略できるように、位置固定式に配置されている。投資及び維持費用が少なくなり、走行軸の省略により走行軸での汚れの問題が生じ得ない点で、直線走行レールの省略は有利である。
【0039】
近位のロボット要素6の下方には、第2ロボット要素7が配置されている。第2ロボット要素7は垂直回動軸A1の周りで第1ロボット要素6に対して回転可能である。
【0040】
平行運動機構を有するロボットアーム8が、ロボット要素7上に取り付けられている。ロボットアーム8の平行運動機構は、運動学的に平行に互いに隣り合って配置される2つのアーム部8.1、8.2から大部分が構成される。2つのアーム部8.1、8.2は、それぞれの各末端に、回転関節を有する(図5A、5B)。2つのアーム部8.1、8.2の回転関節は、異なる4つの回転軸9.1−9.4を含む。そのため、アーム部8.1の回転軸9.1、9.2は、他方のアーム部8.2の回転軸9.3、9.4とは異なる場所に位置している。これは、2つのアーム部8.1、8.2の回転関節が関節からなる四角形(この例示的実施形態では、図5A及び5Bに示すように、平行四辺形Pの形態の四角形)をなすことを意味する。
【0041】
平行運動機構を有するロボットアーム8の運動学的に後ろに、さらなるロボット要素10が取り付けられている。ロボットアーム8の回動は、ロボット要素10がその空間上の位置を変化させるももの、ロボット要素10の空間配向(垂直への角度位置)は変化せず維持されるという結果をもたらす。そこで、ロボットアーム8は回動軸A2の周りでロボット要素7に対して回動可能である。この回動過程はロボット要素10の側方変位並びに上昇及び下降をもたらす。
【0042】
さらに、マニピュレーティングロボット1は、垂直回動軸A3の周りでロボット要素10に対して回転可能なさらなるロボット要素11を有する。
【0043】
平行運動機構を有するさらなるロボットアーム12が、ロボット要素11上に回動可能に取り付けられている。ロボットアーム12は、やはり、2つのアーム部12.1、12.2を有している。他の点で、ロボットアーム12はロボットアーム8と大部分が一致しているので、繰り返しを避けるため上述の記載を参照されたい。回動軸A4の周りでのロボットアーム12の回動は、ロボットアーム12に接続されているロボット要素13の側方変位並びに上昇及び下降をもたらす。
【0044】
ロボット要素13上には、自動車車体2のドア3、トランクフード5、及びエンジンフード4を開くのに適したマニピュレーティングツール14が取り付けられている(図4)。マニピュレーティングツール14は、回転軸A5の周りでロボット要素13に対して回転可能な第6ロボット要素15から大部分が構成されている。第6ロボット要素15は、グリッパ17を位置決めするための回動アーム16を有している。マニピュレーティングツール14の構成と機能自体は先行技術から既知なので、詳細な説明は省略する。
【0045】
マニピュレーティングロボット1の位置が変化する際に、マニピュレーティングツール14の空間上の位置も変化するものの、マニピュレーティングツール14の空間配向(垂直への角度位置)は影響されない。これは、本発明に係るロボット運動機構により実現されるものである。
【0046】
図4は、マニピュレーティングロボット1を折り畳んだ状態を示す。この図から明らかなように、折り畳んだ状態で、マニピュレーティングロボット1は、比較的に小さな干渉輪郭を塗装ブース内で形成する。塗装ブースは、側方をブース壁18により区切られている。ここで、マニピュレーティングロボット1の干渉輪郭は、水平方向に、0.5m未満の干渉面積FSTO¨Rにわたり広がっている。さらに、マニピュレーティングロボット1の折り畳んだ状態で、干渉輪郭は、塗装ブースの長手方向に対して横方向に、0.5m未満の幅Bにわたってのみ広がることも言及すべきだろう。さらに、折り畳んだ状態で、マニピュレーティングロボット1の干渉輪郭は、塗装ブースの長手方向に、1m未満の長さLにわたってのみ広がることも言及すべきだろう。
【0047】
マニピュレーティングロボット1の小さな干渉輪郭は、第1に、塗装ブース内の下方に向けられた気流が当該干渉輪郭によりほんの僅かしか影響されない点で有利である。
【0048】
第2に、マニピュレーティングロボット1の小さな干渉輪郭は、これにより、折り畳んだ状態で、マニピュレーティングロボット1が塗装ブース内の他のロボット(例えば、塗装ロボット)への僅かな障害にしかならない点でも有利である。
【0049】
図4は、さらに、自動車車体2がコンベア19(模式的にのみ示す)により塗装ブースを通って搬送されることを示している(搬送方向をブロック矢印で示す)。図中、マニピュレーティングロボットの動作範囲20を破線で示す。これは、動作範囲20内で、マニピュレーティングロボット1が、ドア3、トランクフード5、及びエンジンフード4を開くことができることを意味する。ここで、本発明のロボット運動機構のおかげで、位置固定されているマニピュレーティングロボット1又は自動車車体2の再配置を必要とせずに、マニピュレーティングロボット1が、自動車車体2の、ドア3、エンジンフード4、及びトランクフード5を開けることができるように、マニピュレーティングロボット1のリーチが十分に大きいことが重要である。
【0050】
図6A及び6Bは図5A及び5Bの派生図を示している。しかし、この派生図は、多くが、上述の記載と一致しているので、繰り返しを避けるため上述の記載を参照されたい。なお、対応する細部については同じ参照記号が用いられている。
【0051】
この例示的例示的の特徴は、平行運動機構の回転関節の回転軸9.1−9.4が、図5A及び5Bのように平行四辺形Pを形成せず、台形Tを形成している点にある。
【0052】
本発明は、上述の好ましい例示的実施形態に限定されるわけではない。むしろ、本発明の概念を用いて、無数の変形例及び展開例が可能であり、これらも権利保護範囲に含まれる。特に、本出願は、従属請求項の主題及び特徴の権利保護を、それらが従属する請求項とは独立して、独立請求項の特徴を含まない形でも、請求するものである。
【0053】
[付記]
[付記1]
エフェクタ(14)を空間内で移動させるためのロボット運動機構(6−15)を具備する、特に、塗装処理中に自動車車体を開閉するためのマニピュレーティングロボット(1)としての、コーティングプラントロボット(1)であって、前記ロボット運動機構(6−15)は、平行運動機構を有する第1ロボットアーム(8)を有することを特徴とする、コーティングプラントロボット(1)。
【0054】
[付記2]
a)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、2つの回転関節をそれぞれ有する少なくとも2つのアーム部(8.1、8.2)を具備し、そして、前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、前記2つのアーム部(8.1、8.2)が直接的に隣接するロボット要素(7、10)に対してそれぞれ相対的に回転可能であるような、関節からなる四角形を形成し、
b)一方のアーム部(8.1)の回転関節は、他方のアーム部(8.2)の回転関節とは異なる回転軸を有し、
c)前記2つのアーム部(8.1、8.2)の回転軸は、好ましくは、全て互いに平行に延びており、
d)前記平行運動機構は、前記第1ロボットアーム(8)の前記アーム部(8.1、8.2)を直接的に隣接するロボット要素(7、10)のひとつに対して回動させるためにひとつの回転駆動のみを有する、
付記1に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0055】
[付記3]
前記2つのアーム部(8.1、8.2)の4つの前記回転関節の回転軸が平行四辺形(P)又は台形(T)の角にある、付記2に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0056】
[付記4]
a)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、2つの隣接するロボット要素(7、10)の間に運動学的に直接に配置され、
b)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、前記2つの隣接するロボット要素(7、10)に対して回動可能であり、
c)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、回動運動中に、直接的に隣接する前記ロボット要素(7、10)を互いに対して一定の角度で保持する、
付記1から3のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0057】
[付記5]
a)前記ロボット運動機構は、平行運動機構を有する第2ロボットアーム(12)を具備し、前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)と前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)とは連続して互いに並んで配置されており、及び/又は、
b)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)及び/又は前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)の回転関節は、前記コーティングプラントロボット(1)の位置とは無関係に、その回転軸を常に実質的に水平に向けている、
付記1から4のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0058】
[付記6]
前記ロボット運動機構は、
a)近位に配置された第1ロボット要素(6)、及び/又は、
b)前記第1ロボット要素(6)の運動学的に後ろに配置され、前記第1ロボット要素(6)に対して移動可能な第2ロボット要素(7)、及び/又は、
c)前記第2ロボット要素(7)の運動学的に後ろに配置され、前記第2ロボット要素(7)に対して移動可能な前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)、及び/又は、
d)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)の運動学的に後ろに配置され、前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)に対して移動可能な第3ロボット要素(10)、及び/又は、
e)前記第3ロボット要素(10)の運動学的に後ろに配置され、前記第3ロボット要素(10)に対して移動可能な第4ロボット要素(11)、及び/又は、
f)前記第4ロボット要素(11)の運動学的に後ろに配置され、前記第4ロボット要素(11)に対して移動可能な前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)、及び/又は、
g)前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)の運動学的に後ろに配置され、前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)に対して移動可能な第5ロボット要素(13)、及び/又は、
h)前記第5ロボット要素(13)の運動学的に後ろに配置され、前記第5ロボット要素(13)に対して移動可能な第6ロボット要素(15)、
を具備する、
付記1から5のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0059】
[付記7]
a)前記第2ロボット要素(7)は、好ましくは垂直な、第1回動軸(A1)の周りで、近位の前記第1ロボット要素(6)に対して回動可能であり、及び/又は、
b)前記第2ロボット要素(7)は、好ましくは、前記第1ロボット要素(6)の下方に配置され、及び/又は、
c)前記平行運動機構を有する前記第1ロボットアーム(8)は、好ましくは水平な、第2回動軸(A2)の周りで、前記第2ロボット要素(7)に対して回動可能であり、及び/又は、
d)前記第4ロボット要素(11)は、好ましくは垂直な、第3回動軸(A3)の周りで、前記第3ロボット要素(10)に対して回動可能であり、及び/又は、
e)前記平行運動機構を有する前記第2ロボットアーム(12)は、好ましくは水平な、第4回動軸(A4)の周りで、前記第4ロボット要素(11)に対して回動可能であり、及び/又は、
f)前記第6ロボット要素(15)は、好ましくは垂直な、第5回動軸(A5)の周りで、前記第5ロボット要素(13)に対して回動可能である、
付記6に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0060】
[付記8]
a)近位の前記第1ロボット要素(6)は位置固定式に配置されている、又は、
b)近位の前記第1ロボット要素(6)は走行レール上を移動可能である、
付記6又は7に記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0061】
[付記9]
a)前記コーティングプラントロボット(1)はマニピュレーティングロボット(1)であり、前記エフェクタ(14)は、塗装処理中に自動車車体(2)を開閉するよう構成された、マニピュレーティングツール(14)、特に、グリッパ(17)又はフックであり、及び/又は、
b)前記マニピュレーティングロボット(1)は、塗装処理中に自動車車体(2)のドア(3)を開閉するよう構成されたドアオープナーであり、及び/又は、
c)前記マニピュレーティングロボット(1)は、塗装処理中に、自動車車体(2)の、フード(4、5)、特に、エンジンフード(4)又はトランクフード(5)を開くよう構成されたフードオープナーであり、及び/又は、
d)前記マニピュレーティングロボット(1)は、追加の走行軸を有さず、位置固定式に配置されており、それにもかかわらず、自動車車体(2)の一側面にある前記ドア(3)の全て並びに該自動車車体(2)のトランクフード(5)及びエンジンフード(4)を開くのに十分広い動作範囲(20)を有する、
付記1から8のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0062】
[付記10]
a)前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも、1kg、2kg、5kg、10kg、20kg、又は50kgの積載量を有し、及び/又は、
b)前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも、1m、2m、4m、又は6mの幅にわたり水平方向に広がる動作範囲(20)を有し、及び/又は、
c)前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも、1m、2m、4m、又は6mの長さにわたり水平方向に広がる動作範囲(20)を有し、及び/又は、
d)前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも、1m、2m、4m、又は6mの高さにわたり垂直方向に広がる動作範囲(20)を有し、及び/又は、
e)前記コーティングプラントロボット(1)は、少なくとも、2つ、3つ、4つ、又は5つの、移動可能なロボット軸(A1−A5)を備え、及び/又は、
f)前記コーティングプラントロボット(1)は、多くとも、7つ、6つ、又は5つの、移動可能なロボット軸(A1−A5)を備え、及び/又は、
g)前記コーティングプラントロボット(1)は、ロボット軸(A1−A5)を、特に、三相同期電動機により、機械的に駆動するための少なくとも1つの電気軸を備え、及び/又は、
h)前記ロボット運動機構は部分的に直列型且つ部分的に並列型であり、及び/又は、
i)前記コーティングプラントロボット(1)は任意にプログラム可能であり、及び/又は、
j)前記ロボット運動機構は、好ましくは、前記エフェクタ(14)がロボット移動の際に垂直に対して一定の空間配向を維持するように構成されている、
付記1から9のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【0063】
[付記11]
a)前記コーティングプラントロボット(1)は少なくとも部分的に塗装ブース内に配置されており、
b)前記塗装ブース内には、余分なコーティング剤の霧を可能な限り迅速に前記塗装ブースから下方に運び去るために下方に向けられた気流が存在し、
c)前記コーティングプラントロボット(1)は、折り畳んだ状態で前記下方に向けられた気流へ最小限の干渉輪郭をみせるように、折り畳み可能であり、
d)前記折り畳んだ状態での前記コーティングプラントロボット(1)の前記干渉輪郭は、2m、1m、0.5m、0.25m、又は0.1m未満の干渉面積(FSTO¨R)にわたり水平方向に広がっており、
e)前記コーティングプラントロボット(1)の前記干渉面積(FSTO¨R)は、好ましくは、前記塗装ブースの長手方向に、2m、1.5m、1m、又は75cm未満の長さ(L)を有し、
f)前記コーティングプラントロボット(1)の前記干渉面積(FSTO¨R)は、好ましくは、前記塗装ブースの横方向に、1m、75cm、又は50cm未満の幅(B)を有する、
付記1から10のいずれか1つに記載のコーティングプラントロボット(1)。
【符号の説明】
【0064】
1 マニピュレーティングロボット
2 自動車車体
3 自動車車体のドア
4 自動車車体のエンジンフード
5 自動車車体のトランクフード
6 第1ロボット要素
7 第2ロボット要素
8 平行運動機構を有する第1ロボットアーム
8.1−8.2 第1ロボットアームのアーム部
9.1−9.4 平行運動機構の回転関節の回転軸
10 第3ロボット要素
11 第4ロボット要素
12 平行運動機構を有する第2ロボットアーム
12.1−12.2 第2ロボットアームのアーム部
13 第5ロボット要素
15 第6ロボット要素
14 マニピュレーティングツール
16 マニピュレーティングツールの回動可能アーム
17 マニピュレーティングツールのグリッパ
18 塗装ブースのブース壁
19 コンベア
20 動作範囲
A1−A5 回動軸
B 折り畳んだ状態でのマニピュレーティングロボットの干渉輪郭の幅
STO¨R 折り畳んだ状態でのマニピュレーティングロボットの干渉輪郭の水平干渉面積
L 折り畳んだ状態でのマニピュレーティングロボットの干渉輪郭の長さ
P 平行運動機構の平行四辺形形態
T 平行運動機構の台形形態
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B