特許第6803912号(P6803912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803912反応性プレポリマー前駆体組成物から繊維強化ポリアミドマトリックス複合材料を製造する方法
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  • 特許6803912-反応性プレポリマー前駆体組成物から繊維強化ポリアミドマトリックス複合材料を製造する方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803912
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】反応性プレポリマー前駆体組成物から繊維強化ポリアミドマトリックス複合材料を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/24 20060101AFI20201214BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20201214BHJP
   C08L 77/06 20060101ALI20201214BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20201214BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20201214BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20201214BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20201214BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20201214BHJP
   B29K 77/00 20060101ALN20201214BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   B29C39/24
   C08G69/26
   C08L77/06
   C08K7/02
   C08K3/04
   B29C39/10
   B29C70/06
   B29C70/48
   B29K77:00
   B29K105:08
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-530125(P2018-530125)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公表番号】特表2018-538174(P2018-538174A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】FR2016053294
(87)【国際公開番号】WO2017098178
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】1562134
(32)【優先日】2015年12月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプロ,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】オシュステテール,ジル
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/159015(WO,A1)
【文献】 特表2015−501360(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/159016(WO,A1)
【文献】 特開2015−196834(JP,A)
【文献】 特開2014−062139(JP,A)
【文献】 特開2009−214371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00 − 39/44
B29C 70/00 − 70/88
C08G 69/26
C08K 3/04、7/02
C08L 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型内で成形することにより熱可塑性複合材料から製造された部品を製造する方法であって、該材料が補強繊維と該繊維に含浸されるポリアミド熱可塑性マトリックスとを含み、該マトリックスが、少なくとも80℃のガラス転移温度Tgを有し、280℃以下かつ200℃を超える融点Tmを有する半結晶性ポリアミドであり、前記部品が、2つの同一の官能基X(X及びX)又はY(Y及びY)を有する少なくとも1つの第1のポリアミドプレポリマーA1と、A1の官能基とは異なり、A1の官能基と相互反応性である2つの同一の官能基X(X及びX)又はY(Y及びY)を有する少なくとも1つの第2のポリアミドプレポリマーA2とを含む、Aによる反応性前駆体組成物、又は互いに相互反応性である2つの異なる官能基X及びYを(同じ鎖上に)有する少なくとも1つのプレポリマーを含む、Bによる前駆体組成物、又は(A+B)の混合物による前駆体組成物の塊状溶融重縮合によってインサイチューで調製され(ここで、官能基X及びYは、それぞれカルボキシ(X)及びアミン(Y)、及びその反対(Y及びX)である)、前記方法が以下の連続工程、即ち、
i)混合物A又は混合物(A+B)の融点Tm又は前記プレポリマーBが前記前駆体組成物の唯一の成分である場合には前記プレポリマーBのTmよりも高い温度で、成分を溶融ブレンドするか、又は前記プレポリマーBが前記反応性前駆体組成物の唯一の成分である場合には前記プレポリマーBを溶融することにより、反応性混合物A、即ち(A1+A2)、又は反応性混合物(A+B)、即ち(A1+A2+B)を調製する工程、
ii)前記繊維を含む密閉型内で工程i)で得られた溶融状態の前記反応性前駆体組成物を射出し、必要に応じて、A若しくは(A+B)又は前記プレポリマーBである、溶融状態の前記反応性前駆体組成物を前記繊維に含浸させる工程、
iii)重合温度が前記熱可塑性マトリックスポリアミドの結晶化温度Tcよりも高くなるように、制御された重合時間及び制御された重合温度を用いて、前記密閉型内でインサイチューで塊状溶融重縮合重合する工程、
iv)任意に、前記複合材料部品を冷却する工程、
v)前記部品を型から取り出す工程
を含み、前記マトリックスの最終ポリアミド及び前記プレポリマーA1、A2又はBが、同じアミド単位組成を有し、該アミド単位が、
a)95〜100モル%のテレフタル酸構造であり、0〜5モル%のイソフタル酸が存在する二酸成分、
b)以下から構成されるジアミン成分:
b1)55〜85モル%の、C10、C11又はC12脂肪族直鎖ジアミン、及び
b2)15〜45モル%の、b1)とは異なる、以下から選択されるジアミン:
b21)メチル又はエチル置換基を有し、関連するジアミンb1)に対して、少なくとも2個の炭素の鎖長の差を有する一分岐脂肪族ジアミン、
b22)m−キシリレンジアミン(mXD)又は
b23)b1)がC10〜C12直鎖脂肪族ジアミンである場合、C〜C18直鎖脂肪族ジアミン、そして、ジアミンb1がCジアミンである場合、b23)がC10〜C18ジアミン、
b24)1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4BAC)及びこれらの混合
c)任意に、アミノ酸又は必要に応じて対応するC〜Cクタムであって、c)がa)に対して又はb)に対して30モル%以下に相当するアミノ酸又はラクタム
から誘導され
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
RTM(樹脂トランスファー成形)法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
後重合の追加の工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミドがb1)、b2)及びc)を含み、%で表されるc/(b1+b2)のモル比が、5〜30%の範囲であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアミドが、11−アミノウンデカン酸又は12−アミノラウリン酸又はラウリルラクタムから選択されるc)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミドが、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン又は2−メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)又はmxD又は1,3BAC又は1,4BAC、及びc)11−アミノウンデカン酸又は12−アミノラウリン酸又はラウリルラクタムを成分として有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリアミドが、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びc)11−アミノウンデカン酸を成分として有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミドが、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びc)12−アミノウンデカン酸を成分として有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
b1)が1,10−デカメチレンジアミンであり、b2)が2−メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)又はmXD又は1,3BAC又は1,4BACから選択され、a)がテレフタル酸であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
b1/(b1+b2)のモル比が55〜75%の範囲であり、b2/(b1+b2)のモル比が25〜45%の範囲であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応性前駆体組成物が、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノフィブリル及びカーボンナノチューブから選択される少なくとも1つの炭素起源のナノフィラーを含み、該ナノフィラーが、最も流動性の成分中に予め分散された形態で添加されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
c−RTM(圧縮RTM)法であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記前駆体組成物が、プレポリマーに加えて、特定波長におけるUVレーザーから又はIR加熱から又はマイクロ波加熱から又は追加の変換操作の前に、特に熱スタンプ又はオーバーモールドによって複合体を再加熱することを目的とした誘導加熱からの放射を吸収する添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維が、L/D>1000の長繊維であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記繊維が、鉱物繊維又は合成繊維から選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複合材料をベースとする構造部品の製造に関することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記部品が、道路、鉄道、海洋、航空又は航空宇宙輸送の分野、機械的建築、建築業又は公園及びレクリエーションにおける、又は発射体の衝撃に対する保護のための遮蔽体又はパネル用補強材の製造のための部品であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記構造部品が、車両の白い車体のような金属構造に任意に挿入され、任意に電気泳動法による熱化学処理サイクルに供される自動車部品であることを特徴とする、請求項16及び17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖型中で、好ましくは樹脂トランスファー成形(RTM)、特にc−RTM(圧縮RTM)技術又はRIM(反応射出成形)、特にS−RIM(構造的RIM)技術、より優先的にはc−RTMによって、プレポリマーをベースとする特定の反応性組成物(反応性組成物は80℃を超える高いガラス転移温度(Tg)及び280℃未満の高い融点を有する半結晶性ポリアミドである熱可塑性マトリックスの最終ポリマーの前駆体である)を使用して、繊維で補強された(以下、「繊維状補強材」を有するともいう)複合材料から製造された部品の製造方法であって、その繊維状基材の含浸が容易であり、制御された温度での該複合材料の加工が容易であり、該熱可塑性マトリックスポリマーの熱劣化の危険性がない方法に関する。この方法から得られた複合材料製品は、自動車分野、道路、鉄道、海洋、航空若しくは航空宇宙輸送の分野、又は機械的建築は建築業又は公園やレクリエーションの構造部品の種類の機械的用途、又は発射体の衝撃に対する保護のための遮蔽体又はパネル用補強材に使用される。
【背景技術】
【0002】
EP0261020号は、引き抜き成形法による熱可塑性複合材の製造のためのPA6、11及び12をベースとする反応性半結晶性プレポリマーの使用を記載する。記載されたような脂肪族構造のプレポリマーは、低いTg値及び高温条件下で不十分な機械的性能品質を示す。
【0003】
EP550314号は、その実施例の中で、250℃を超える融点(Tm)及び制限されたTg値の検査において(非反応性)コポリアミド組成物を記載しており、引用された実施例の大部分は、過度に低いTg(<80℃)又は過度に高いTm(>300℃)を有する。
【0004】
EP1988113号は、10T/6Tコポリアミドをベースとし、
・ 40〜95モル%の10T
・ 5〜40モル%の6T
を含む成形組成物を記載する。
【0005】
270℃を超える高い融点を有するポリアミドが特に対象とされる。この文献の記載された実施例及び図1は、これらの組成物の融点が少なくとも約280℃であることを教示する。
【0006】
WO2011/003973号は、9〜12個の炭素原子を含む直鎖状脂肪族ジアミン及びテレフタル酸をベースとする単位50〜95モル%と、テレフタル酸と2,2,4−トリメチルヘキサンジアミン及び2,4,4−トリメチルヘキサンジアミンの混合物とを組み合わせた単位5〜50%含む組成物を記載する。
【0007】
US2011/306718号は、いくつかの(及び3以上の)無水物官能基又はエポキシド官能基を有するポリマー構造の鎖延長剤と組み合わせて、低いTg値を有する反応性脂肪族ポリアミドの引き抜き成形法を記載する。
【0008】
WO2013/060976号には、同一の反応性官能基を有する反応性プレポリマー、及び重付加を介して該プレポリマーの官能基と反応する官能基を有する非ポリマー性鎖延長剤を含む反応性前駆体組成物に基づく複合材料法が記載されている。
【0009】
国際公開第2014/064375号には、半結晶性ポリアミドプレポリマーの反応性組成物が記載されているが、反応性前駆体組成物を用いる全ての実施例において、延長はポリアミドプレポリマーに対して異なる性質の延長剤によって行われる。
【0010】
先行技術と比較して本発明によって克服される第1の欠点は、目的とする複合材料の半結晶ポリマーマトリックスのための特定の前駆体組成物であって、それから生じるより均一な機械的性能レベル、かつ同時に、使用される方法に適した良好な反応性及び反応速度及び結晶化速度をもっての繊維への良好な含浸及び接着のための十分に低い粘度を可能にする使用される反応性ポリアミドプレポリマーの特性を有する該特定の前駆体組成物の使用による、繊維状強化材の繊維の改良された、より均質な含浸に関する。
【0011】
また、本発明により、機械的性能レベルとより低い温度での加工性(変形の容易さ)との間の良好な妥協が可能になる。具体的には、本発明の解決策は、実施法のエネルギー収支に関する節約と共に、より低い温度での加工をより容易にすることができる半結晶性ポリアミド(PA)組成物を対象とする。特に、これは、組成物の特定の選択による前記半結晶性ポリアミドポリマーの急速な結晶化によって可能となり、これは前記最終材料の機械的性能レベルを高レベルに維持しながら行われる。より具体的には、本発明による方法によって使用される反応性前駆体組成物は、反応速度のより良好な制御を可能にする一方で、形成されるポリマーの急速な結晶化速度並びに使用される方法に適した結晶化温度及び/又は速度を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0261020号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第550314号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1988113号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/003973号
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/306718号明細書
【特許文献6】国際公開第2013/060976号
【特許文献7】国際公開第2014/064375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の複合材料のマトリックスとしての半結晶性ポリアミドポリマーの選択は、非晶質ポリアミドと比較して、特に高温でのクリープ耐性又は耐疲労性のような著しく改良された機械的性能レベルという利点を有する。さらに、200℃を超える融点を有することは、自動車産業において、非晶質PAタイプの構造では許容されない、電気泳動法による処理に適合するという利点を有する。非晶質材料に関しては、例えば、風力産業の場合には最大90℃、自動車業界では最大100℃、航空業界では最大120℃までの全運転温度範囲にわたって、複合材の良好な機械的特性を確実にするために、80℃以上のTgが求められる。逆に、特に280℃を超える過度に高い融点は有害である。何故ならば、それは、使用されるべき成形装置(及び関連する加熱システム)及びエネルギーの過度の消費、さらに前記ポリアミドの融点よりも高い温度での加熱による熱劣化の危険性の点で制約がある、より高い温度で複合材を加工することを必要とするからである。このような熱劣化は、最終的な熱可塑性マトリックス、ひいては複合材料及び最終複合部品の特性を低下させる影響を有する。機械的性能レベル及び結晶化速度及び/又は結晶化温度を可能な限り高くに最適化するためには、前記ポリマーの結晶化度はできるだけ高くするべきであるが、溶融温度Tmはあまり高くあるべきではない(Tm<80℃、より具体的には≦270℃)。したがって、前記半結晶性ポリアミドの組成の選択的選択により、好ましくはRTM(樹脂トランスファー成形)、特にc−RTM(圧縮RTM)又はRIM、特にS−RIM技術、より優先的にはc−RTMによる加工の条件下で、加工処理のためのより容易な加工が可能になる。その結果として、本発明の主題は、特に高温での高い機械的性能レベル(機械的強度)と容易な加工との間の良好な妥協を有する、特に半結晶性ポリアミドをベースとする熱可塑性複合材料の新規な特定の組成物の加工である。これは、本発明が、先行技術の他の組成物のものよりも低い変形及び加工温度、より良好な全体的な加工エネルギー収支及びより高い生産性で、加工するのが容易な組成物を対象とすることを意味する。より具体的には、半結晶性反応性ポリアミドプレポリマーをベースとするその特定の反応性組成物を用いる本発明の解決策により、含浸中の制御された反応速度及び速い結晶化速度の両方が可能になる。より具体的には、前記組成物に依存する特定の場合において、及び/又はc−RTMのようなRTM成形、又はS−RIMのようなRIM成形、特にRTM成形による加工の特定の条件下で、それは、重付加によって反応性モノマー延長剤よりも遅い重合速度を有する成形された複合部品の製造を可能にする。これにより、繊維状補強材の含浸が促進されると同時に、急速な結晶化速度により、より短い成形サイクル、即ち、10分未満、好ましくは5分未満の成形サイクルが可能になる。本発明の特定の特徴は、反応系が化学的に均質であることである。何故ならばそれはプレポリマーの化学的性質とは異なる化学的性質の反応性延長剤(最終ポリマーの組織を壊し、そのためその結晶化を損なう可能性がある)を含まないからである。より具体的には、ポリアミドポリマーマトリックスは、既に定義したように高いTg及び制限されたTmを有するが、高い結晶化速度も有するべきである。この性能は、融点Tmと結晶化温度Tcとの差、即ち、Tm−Tc(60℃を超えない、好ましくは50℃を超えない、より具体的には40℃を超えない)によって特徴付けられ得る。複合材の高温における機械的性能レベル又は機械的強度は、周囲温度(23℃)と100℃との間の機械的弾性率の変動によって評価することができ、周囲温度(23℃)での機械的性能レベルと比較して、引張強度に関して機械的性能レベルの少なくとも75%が維持される。
【0014】
特に、同一の反応性官能基を有する反応性プレポリマーと、先行技術による重付加を介して重合する前記プレポリマーの官能基と相互反応する官能基を有する非ポリマー性鎖延長剤とをベースとする反応性前駆体組成物は、重合が速すぎると含浸がより困難になるために、含浸工程中に問題となる非常に迅速な反応速度を有する組成物をもたらすという欠点を有する。重縮合を介して重合する、以下に記載の反応性プレポリマー(即ち、非ポリマー性延長剤を含まない)をベースとする反応性前駆体組成物の使用に基づく本発明の解決策により、含浸工程の間により遅く制御された反応速度が可能になり、これにより、特にRTM、特にc−RTM(圧縮RTM)又はRIM、特にS−RIM技術、より優先的にはc−RTMによる前記複合材料を加工するための条件下でより容易な含浸が可能になる。
【0015】
さらに、プレポリマーの使用により、この別個の重合工程の前の重要な重合の前に、前記プレポリマーをベースとする反応性前駆体組成物の低粘度による効率的な含浸の後に重合工程を実施することが可能になる。
【0016】
したがって、本発明の目的は、これらの全ての要件を満たす特定のポリアミドプレポリマーをベースとする前駆体組成物を用いた複合材料法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の主題は、繊維状補強材と半結晶性ポリアミド熱可塑性マトリックスとを含む複合材料を密閉型内で成形することにより製造する方法であって、該方法は、溶融状態で、特定の組成のポリアミドプレポリマーをベースとする反応前駆体組成物を調製し、繊維状補強材を収容する密閉型中へ溶融状態の該反応性組成物を射出することにより繊維状補強材に含浸させ、該組成物を塊状溶融重合(重合が完全でない場合には後重合の可能性もある)させ、最後に、このようにして製造された複合材料部品を冷却して型から取り出すことを含み、該方法は好ましくはRTM(樹脂トランスファー成形)技術による成形を用いる方法である。RTMにおける「樹脂」という用語は、本明細書では、前記反応性前駆体組成物を指す。
【0018】
本発明の第2の主題は、前記方法において使用される前記反応性前駆体組成物に関する。
【0019】
本発明はまた、前記方法によって得られた複合材料部品も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の方法に従うオリゴマー1及び2を含浸させた、織って作られたガラス繊維(3BのAdvantex(登録商標)ガラス繊維、SE4535サイズをベースとする600g/mのタフタ織物)の走査電子顕微鏡で撮影した写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
したがって、本発明の第1の主題は、密閉型内で成形することにより熱可塑性複合材料から製造された部品を製造する方法に関し、該材料が補強繊維と該繊維に含浸されるポリアミド熱可塑性マトリックスとを含み、該マトリックスが、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも90℃、より優先的には少なくとも100℃のガラス転移温度Tgを有し、280℃以下かつ200℃を超える、好ましくは220℃を超える融点Tmを有する半結晶性ポリアミドであり、部品が、2つの同一の官能基X(X及びX)又はY(Y及びY)を有する少なくとも1つの第1のポリアミドプレポリマーA1と、A1の官能基とは異なり、A1の官能基と相互反応性である2つの同一の官能基X(X及びX)又はY(Y及びY)を有する少なくとも1つの第2のポリアミドプレポリマーA2とを含む、Aによる反応性前駆体組成物、又は互いに相互反応性である2つの異なる官能基X及びYを(同じ鎖上に)有する少なくとも1つのプレポリマーを含む、Bによる前駆体組成物、又は(A+B)の混合物による前駆体組成物の塊状溶融重縮合によってインサイチューで調製され(ここで、官能基X及びYは、それぞれカルボキシ(X)及びアミン(Y)、及びその反対(Y及びX)である)、前記方法が以下の連続工程、即ち、
i)混合物A又は混合物(A+B)の融点Tm又はプレポリマーBが前駆体組成物の唯一の成分である場合にはプレポリマーBのTmよりも高い温度で、成分を溶融ブレンドするか、又はプレポリマーBが反応性前駆体組成物の唯一の成分である場合にはプレポリマーBを溶融することにより、反応性混合物A、即ち(A1+A2)、又は反応性混合物(A+B)、即ち(A1+A2+B)を調製する工程、
ii)該繊維を含む密閉型内で工程i)で得られた溶融状態の反応性前駆体組成物を射出し、必要に応じて、好ましくは<100Pa.s、より優先的には<50Pa.s、より好ましくは<10Pa.sの粘度を有する混合物A若しくは(A+B)又はプレポリマーBである、溶融状態の反応性前駆体組成物を繊維に含浸させる工程、
iii)重合温度が熱可塑性マトリックスポリアミドの結晶化温度Tcよりも高くなるように、制御された重合時間及び制御された重合温度を用いて、前記密閉型内でインサイチューで塊状溶融重縮合重合する工程、
iv)任意に、複合材料部品を冷却する工程、
v)前記部品を型から取り出す工程
を含み、前記マトリックスの最終ポリアミド及び前記プレポリマーA1、A2又はBが、同じアミド単位組成を有し、該アミド単位が、
a)95〜100モル%、好ましくは100モル%のテレフタル酸構造であり、0〜5モル%のイソフタル酸が存在する二酸成分であって、好ましくはa)がテレフタル酸二酸100%である、二酸成分、
b)以下から構成されるジアミン成分:
b1)55〜85モル%、好ましくは55〜80モル%のC、C10、C11又はC12脂肪族直鎖ジアミン、及び
b2)15〜45モル%、好ましくは20〜45モル%の、b1)とは異なる、以下から選択されるジアミン:
b21)メチル又はエチル置換基を有し、関連するジアミンb1)に対して、少なくとも2個の炭素の鎖長の差を有する一分岐脂肪族ジアミンであって、ジアミンb2)は好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミンである、ジアミン、
b22)m−キシリレンジアミン(mXD)又は
b23)b1)がC10〜C12直鎖脂肪族ジアミンである場合、C〜C18直鎖脂肪族ジアミン、そして、ジアミンb1がCジアミンである場合、b23)がC10〜C18ジアミン、
b24)1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4BAC)及びこれらの混合物、特に1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3BAC)、
c)任意に、アミノ酸又は必要に応じて対応するC〜C12、好ましくはC、C11又はC12、より優先的にはC11ラクタムであって、c)がa)に対して又はb)に対して30モル%以下に相当するアミノ酸又はラクタム
から誘導され、
前記方法が、好ましくはRTM(樹脂トランスファー成形)法、特にc−RTM法、又はRIM法、特にs−RIM法であり、より優先的にはRTM法、特にc−RTM法である方法に関する。
【0022】
前記方法のさらに1つの特に好ましい選択肢によれば、それはRTM(樹脂トランスファー成形)、より優先的にはc−RTM成形技術を用いる方法である。
【0023】
前記方法は、追加の後重合工程を含んでもよい。これは、工程iii)の重合が完全でない場合に重合を完了させる必要がある場合には、型の中で又は型の外側で実施され、それは可能な選択肢のままである。好ましくは、この後重合は型の外側で行われる。1つの好ましい選択肢によれば、後重合はしない。
【0024】
重合温度は、最も高いTcを有するプレポリマーポリアミドの結晶化温度Tcより高く、好ましくは少なくともTc+5℃高い。
【0025】
1つの特定の選択肢によれば、ジアミンb1)は1,10−デカメチレンジアミンであり、ジアミンb2)はMPMD又はmXDから選択され、a)はテレフタル酸である。
【0026】
別の特定の選択肢によれば、ジアミンb1)は1,10−デカメチレンジアミンであり、ジアミンb2)は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4BAC)及びそれらの混合物から選択され、特に1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3BAC)であり、a)はテレフタル酸である。
【0027】
好ましくは、前記ポリアミドは、b1)、b2)及びc)を含み、この場合、c/bが5〜30%、好ましくは10〜30%の範囲にあることを意味する、%で表されるc/(b1+b2)のモル比を含む。
【0028】
より優先的には、ポリアミドは、11−アミノウンデカン酸又は12−アミノラウリン酸又はラウリルラクタムから選択される成分c)を(その単位構造中に)含む。
【0029】
さらにより好ましくは、熱可塑性マトリックスのポリアミドは、(プレポリマーA1、A2及びBが有するように)、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン又はMPMD又はmXD又は1,3BAC又は1,4BAC、及びc)11−アミノウンデカン酸又は12−アミノラウリン酸又はラウリルラクタムを成分として有する。
【0030】
より具体的には、前記ポリアミド(プレポリマーA1、A2及びBと同様のマトリックス)は、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン又はMPMD又はmXD又は1,3BAC又は1,4BAC、及びc)11−アミノウンデカン酸を成分として有する。
【0031】
より具体的には、前記ポリアミド(プレポリマーA1、A2及びBと同様のマトリックス)は、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びc)11−アミノウンデカン酸を成分として有する。
【0032】
他の特に好ましい選択肢によれば、前記ポリアミドは、a)テレフタル酸、b1)1,10−デカメチレンジアミン、b2)1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びc)12−アミノウンデカン酸を成分として有する。
【0033】
成分c)が存在する好ましい場合では、本発明によるプレポリマー(A1+A2)、B又は(A1+A2+B)の反応性組成物により、同等の分子量において、c)を含まない同じ組成物に対しより低い溶融粘度が可能になる。これにより、繊維状補強材の含浸が大幅に改善される。あるいは、一定の溶融粘度の場合、c)の存在により、より高いプレポリマーの分子量を有することが可能になる。
【0034】
より具体的には、b1/(b1+b2)のモル比は55〜75%の範囲であり、b2/(b1+b2)のモル比は25〜45%の範囲である。
【0035】
1つの特定の変形によれば、反応性前駆体組成物は、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノフィブリル及びカーボンナノチューブから選択される少なくとも1つの炭素起源のナノフィラーを含み、ナノフィラーは、最も流動性の成分中に予め分散された形態で添加される。
【0036】
本発明の方法は、特に及び好ましくはRTM成形技術を用いる方法に関し、それはより具体的には、c−RTM(圧縮RTM)成形技術を用いる方法である。
【0037】
1つの特定の好ましい選択肢によれば、上記のような前駆体組成物は、前記プレポリマーに加えて、特定波長におけるUVレーザーから又はIR加熱から又はマイクロ波加熱から又は追加の変換操作の前に、特に熱スタンプ又はオーバーモールドによって複合材料(複合部品)を再加熱することを目的とした誘導加熱からの放射を吸収する添加剤を含むことができる。
【0038】
繊維補強材の繊維に関して、それらは、L/D>1000、好ましくは>2000(Lは繊維の長さ、Dは直径)の長繊維である。好ましくは、繊維は、鉱物繊維、好ましくはガラス繊維、炭素繊維又はバサルト繊維、特にガラス繊維又は炭素繊維、又は合成繊維、好ましくはアラミド繊維又はポリアリールエーテルケトン繊維から選択される。繊維は、複合材料の45〜75体積%、好ましくは50〜70体積%の割合に相当することができる。
【0039】
より具体的には、本発明の方法は、前記複合材料をベースとする構造部品の製造に関する。さらにより具体的には、前記部品は、道路、鉄道、海洋、航空又は航空宇宙輸送の分野、機械的建築、建築業又は公園及びレクリエーションにおける、又は発射体の衝撃に対する保護のための遮蔽体又はパネル用補強材の製造のための部品である。特に、構造部品は、車両の白い車体のような金属構造に任意に挿入され、任意に(複合部品が挿入された状態で)電気泳動法による熱化学処理サイクルに供される自動車部品であることができる。これは、この用途のための複合部品は、電気泳動法による処理条件に耐えなければならないことを意味する。特に、前記部品の高いTmにより、このような処理が可能になる。
【0040】
より具体的には、マトリックスポリマー(ポリアミド)の融点Tmと結晶化温度Tcとの差Tm−Tcは、60℃を超えず、好ましくは50℃を超えず、より具体的には40℃を超えない。
【0041】
特定の選択肢によれば、規格ISO 11357−3:2013による示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたマトリックスポリマーの結晶化エンタルピーは、40J/gより大きく、好ましくは45J/gより大きい。
【0042】
上記のようなプレポリマーA1、A2及びBは、500〜10000、好ましくは750〜6000、より優先的には750〜3000の範囲の数平均分子量Mnを有する。全ての質量Mnは、溶液中の電位差滴定によって決定された末端官能基の含量及びプレポリマーの官能性に基づく計算により決定される。ポリアミドプレポリマーは、WO2014/064375号の反応性プレポリマーの実施例に記載の方法に従って調製することができる。
【0043】
本発明に従って定義された種々のパラメータに関しては、それらは以下に連続して説明するように決定される。
【0044】
プレポリマー又は前駆体組成物の溶融粘度は、Physica MCR301レオメーターである、使用した測定装置のコンストラクタの参照マニュアルに従って、所定の温度の窒素フラッシュ下で1s−1の剪断下で直径50mmの2枚の平行平板の間で測定される。
【0045】
熱可塑性ポリマー又はプレポリマーのMnは、電位差測定法に従う末端官能基の滴定(アッセイ)(NH又はCOOHの直接アッセイ)及び二官能性モノマー単独から調製された直鎖ポリマー又はプレポリマーに対して(末端官能基として)2である理論官能性から決定される。
【0046】
固有粘度の測定は、m−クレゾール中で行われる。この方法は、当業者に周知である。規格ISO 307:2007に従うが、溶媒(硫酸の代わりにm−クレゾールの使用)、温度(20℃)及び濃度(0.5重量%)を変更する。
【0047】
使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tgは、規格ISO 11357−2:2013に従って2回目の加熱パスの後に示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。加熱及び冷却速度は20℃/分である。
【0048】
融点Tm及び結晶化温度Tcは、規格ISO 11357−3:2013に従って、最初の加熱の後にDSCによって測定される。加熱及び冷却速度は20℃/分である。
【0049】
マトリックスポリマーの結晶化エンタルピーは、規格ISO 11357−3:2013に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0050】
本発明の第2の主題は、本発明による上記の方法の実施のための、ポリアミドプレポリマーをベースとする反応性前駆体組成物を包含し、その組成は既に上で定義したとおりである。これは、既に上で定義したように、混合物A、即ち、(A1+A2)、混合物(A+B)又はプレポリマーBに相当する。好ましくは、反応性前駆体組成物は、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノフィブリル及びカーボンナノチューブから選択される少なくとも1つの炭素起源のナノフィラーを含み、ナノフィラーは、最も流動性の成分中に予め分散された形態で添加される。
【0051】
本発明の別の主題は、本発明による上で定義した方法によって、又は本発明による上で定義した前駆体組成物を使用することによって得られる複合材料部品に関する。
【0052】
より具体的には、本発明は、部品が自動車分野、道路、鉄道又は海上輸送分野、航空分野又は航空宇宙分野又は機械的建築、建築業、公園及びレクリエーションにおける、又は発射体の衝撃に対する保護のための遮蔽体又はパネル用補強材のための構造部品である、本発明による上で定義した方法に従って得られる複合材料部品を対象とする。
【実施例】
【0053】
記載された特性を決定するための方法
− 末端官能基の滴定(定量決定)は、電位差法(NH又はCOOHの直接定量)に従って行う。
− ガラス転移温度Tgは、規格ISO 11357−2:2013に従って2回目の加熱パスの後、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。加熱及び冷却速度は20℃/分である。
− 融点Tm及び結晶化温度Tcは、規格ISO 11357−3:2013に従って、DSCによって測定する。加熱及び冷却速度は20℃/分である。
− マトリックスポリマーの融解エンタルピーは、規格ISO 11357−3:2013に従って2回目の加熱パスの後、示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。
− 形態学的画像は、試料を繊維の横方向に切断し、イオン研磨によって試料を調製した後、走査型電子顕微鏡によって得る。
【0054】
官能化オリゴマーの調製
以下の手順は調製方法の例であり、もちろん限定的ではない。
【0055】
5kgの以下の出発物質を14リットルのオートクレーブ反応器に導入する。
− 水500g、
− ジアミン(単数又は複数)、
− アミノ酸(任意に)、
− 二酸(単数又は複数)、
− 溶液中の次亜リン酸ナトリウム35g、
− Wacker AK1000消泡剤(ワッカー・シリコーン)0.1g。
【0056】
閉じた反応器からその残留酸素を除去し、次いで反応器を材料の230℃の温度に加熱する。これらの条件下で30分間撹拌した後、反応器内で形成された加圧蒸気を、大気圧でTm+10℃になるように内部温度を徐々に上昇させながら、徐々に60分かけて減圧する。
【0057】
次いで、オリゴマー(プレポリマー)を底部バルブを介して排出し、次いで水槽中で冷却し、次いで粉砕する。
【0058】
例示されたポリアミドの単位及び分子構造の性質及びモル比並びにその主な特性を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
[実施例1]
4層の織って作られたガラス繊維を収容する、280℃に加熱した型内で、スルザー(Sulzer)型の静的ミキサーを用いて50/50重量比で混合した2つのオリゴマー1及び2を用いてc−RTM試験を行う。2つのポリマーを、280℃に加熱した独立したポット内で予め溶融させる。溶融及び射出の前にポットから空気を抜き取るためにわずかな真空を適用する。型内に真空が生じると、真空を生じさせる吸引を射出前に止め、型の入口バルブにより、吸引が止められても金型を真空下に保つことが可能になる。
【0061】
射出及び圧縮の後、型を外気中で冷却し、得られた部品を型から180℃で取り出す。
【0062】
図1に示すように、繊維の含浸状態は優れており、亀裂は検出されない。
図1