特許第6803947号(P6803947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803947
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20201214BHJP
   H05B 47/10 20200101ALI20201214BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20201214BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20201214BHJP
   F21Y 105/18 20160101ALN20201214BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201214BHJP
【FI】
   H05B45/20
   H05B47/10
   F21S9/02 215
   F21V23/00 113
   F21V23/00 120
   F21V23/00 140
   F21Y105:18
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-104742(P2019-104742)
(22)【出願日】2019年6月4日
(62)【分割の表示】特願2015-575(P2015-575)の分割
【原出願日】2015年1月5日
(65)【公開番号】特開2019-140129(P2019-140129A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 久史
(72)【発明者】
【氏名】松田 宏
(72)【発明者】
【氏名】今 朋哉
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−58469(JP,A)
【文献】 特開2013−110015(JP,A)
【文献】 特開2012−28189(JP,A)
【文献】 特開2012−94272(JP,A)
【文献】 特開2012−9856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
F21S 9/02
F21V 23/00
F21Y 105/18
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を照明するための照明システムであって、
短い波長側にピークをもつ第1のモード、または前記第1のモードと比較して相対的に長い波長にピークをもつ第2のモードで照明可能な照明手段と、
前記第1のモード及び前記第2のモードのいずれか一方のモードで点灯するように前記照明手段を制御する制御手段と、を備える照明システムであって、
前記照明手段は、前記第1のモードで点灯する複数のLEDが同心円状に配置された第1発光部と、前記第1発光部の周囲に、前記第2のモードで点灯する複数のLEDが同心円状に配置された第2発光部とを備え、
前記第1発光部は中央に偏在し
前記第1のモードで点灯する複数のLEDの数が前記第2のモードで点灯する複数のLEDの数に比して少なく前記第1発光部に配置されている、
ことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記照明手段は、前記第1のモードで点灯する複数の第1発光部と、前記第2のモードで点灯する複数の第2発光部と、人を感知する人感センサとを備え、
前記第1発光部は、前記第2発光部と比較して密に配置され前記第1のモードの光束を形成し、
前記第2発光部は、前記第2のモードで点灯する複数のLEDが同心円状の複数の列に配置され、
前記人感センサは、前記第1発光部の中央に配置され、前記第1のモードで点灯する複数のLED及び前記第2のモードで点灯する複数の複数のLEDは、前記人感センサを中心に放射状に伸びた線上に一致して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記制御手段は、所定の条件に応じて前記第1のモード及び前記第2のモードのいずれか一方のモードで照明するように前記照明手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記照明システムが外部電源から電力が供給されており、前記所定の条件は、前記外部電源から前記照明システムに供給される電力が制限されているか否かという条件であることを特徴とする請求項3記載の照明システム。
【請求項5】
室内の照度を検出する照度センサを備え、前記所定の条件は、前記照度センサにより検出された照度が予め定められた基準未満か否かという条件であることを特徴とする請求項3記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明システムは蓄電池から電力を供給され、前記蓄電池は少なくとも発電機により供給された電力で充電されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記照明システムが前記蓄電池から電力を供給されている場合には、前記制御手段は、前記第1のモードで照明し、それ以外の場合、外部電源から電力の供給を行い前記第2のモードで照明するように制御し、
前記照明システムは、前記第1のモードと前記第2のモードを手動により切り替える切り替えスイッチを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、省エネに対する関心が高まっており、オフィスビルの省エネが求められているが、近年は電力使用量が制限されたり、また災害による停電などから、省エネだけではなく、電力の供給が制限された場合にも対応可能な技術が求められている。こうした背景から、常用点灯・非常用点灯の切り替え動作を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−229467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、電力の供給が制限された場合にも対応可能とはいえず、また、より効率的な照明の運用を実行することができないという問題がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、効率的な照明を実行可能な照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、短い波長側にピークをもつ第1のモード、または前記第1のモードと比較して相対的に長い波長にピークをもつ第2のモードで照明可能な照明手段と、前記第1のモード及び前記第2のモードのいずれか一方のモードで点灯するように前記照明手段を制御する制御手段と、を備える照明システムであって、前記照明手段は、前記第1のモードで点灯する複数のLEDが同心円状に配置された第1発光部と、前記第1発光部の周囲に、前記第2のモードで点灯する複数のLEDが同心円状に配置された第2発光部とを備え、前記第1発光部は中央に偏在していることを特徴とする。
【0007】
また、本開示の一態様は、前記照明手段は、前記第1のモードで点灯する複数の第1発光部と、前記第2のモードで点灯する複数の第2発光部を備え、前記第1発光部は、前記第2発光部と比較して密に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の一態様は、前記制御手段は、所定の条件に応じて前記第1のモード及び前記第2のモードのいずれか一方のモードで照明するように前記照明手段を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本開示の一態様は、前記照明システムが外部電源から電力が供給されており、前記所定の条件は、前記外部電源から前記照明システムに供給される電力が制限されているか否かという条件であることを特徴とする。
【0010】
また、本開示の一態様は、室内の照度を検出する照度センサを備え、前記所定の条件は、前記照度センサにより検出された照度が予め定められた基準未満か否かという条件であることを特徴とする。
【0011】
また、本開示の一態様は、前記照明システムは蓄電池から電力を供給され、前記蓄電池は少なくとも発電機により供給された電力で充電されることを特徴とする。
【0012】
また、本開示の一態様は、前記照明システムが前記蓄電池から電力を供給されている場合には、前記制御手段は、前記第1のモードで照明するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、この発明によれば、効率的な照明を実行可能な照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】照明システムを含むシステムの構成を示す概略ブロック図である。
図2】制御部の構成を示す概略ブロック図である。
図3】照明部における第1発光部及び第2発光部の配置例を示す図である。
図4】第1発光部の発光例を示す図である。
図5】第2発光部の発光例を示す図である。
図6】絶対視感度を示すグラフである。
図7】第1発光部の概略構成を示す概略図である。
図8】各種LEDのスペクトルを示す図である。
図9】従来の発光素子と第1発光部の暗所視照度を示す図である。
図10】照明部が第1のモードで発光した場合の発光形状を示す図である。
図11】システムをトイレに適用した例を示す図である。
図12】制御部により実行される切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図13】制御部により実行される切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図14】制御部11により実行される時刻制御処理の一例を示すフローチャートである。
図15】制御部11により実行される充電制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の一実施形態による照明システムについて図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、この発明の一実施形態による照明システム10を含む照明制御システム1の構成を示す概略ブロック図である。
【0017】
図1には、照明システム10、AC電源20(外部電源)、バッテリー(蓄電池)30、発電機40、及び照度センサ50で構成される。また、照明システム10は、制御部11及び照明部12で構成される。
このうち、AC電源20は、照明システム10に電力を供給する。AC電源20により供給された電力は、照明部12を点灯させるために用いられたり、バッテリー30の充電に用いられる。バッテリー30は、照明システム10に電力を供給するとともに、AC電源20または発電機40から供給された電力で充電可能となっている。発電機40は、例えば水力発電、風力発電、または太陽発電などにより発電された電力を照明システム10に供給し、供給された電力は、照明部12を点灯させるために用いられたり、バッテリー30の充電に用いられる。照度センサ50は、検出対象空間(例えば、照明部12が設けられた室内)における照度を検出し、検出した照度を照明システム10に出力する。
【0018】
また、照明システム10は、AC電源20から供給された電力、バッテリー30から供給された電力、または発電機40から供給された電力により、照明部12を点灯させる。また、照明部12は、2種類のLED(第1発光部、第2発光部)を備え、短い波長側にピークをもつ第1のモード、または第1のモードと比較して相対的に長い波長にピークをもつ第2のモードで照明可能となっている。また、照明部12は、人感センサを備えており、人を検出すると点灯するようになっている。この照明部12の詳細については後述する。
制御部11は、上記第1のモード及び第2のモードのいずれか一方のモードで点灯するように照明部12を制御する。この制御は、後述するようにAC電源20から供給される電力や、照度センサ50の出力に基づいて実行される。このように、制御部11は、第1のモード及び第2のモードのいずれか一方のモードで点灯するように照明部12を制御するので、効率的な照明を実行可能となっている。また、制御部11は、照明を行わない場合には、照明部12を消灯させる。
【0019】
なお、上述した第1のモードは、AC電源20から供給される電力が制限されている場合に限らず、例えば、AC電源20から電力が制限なく供給されている場合にも実行可能なモードである。第1のモードでは、照明システム10はバッテリー30により電力を供給され、バッテリー30は発電機40により供給された電力で充電される。また、第1のモードでの消費電力は、第2のモードでの消費電力と比較して低いものとなっている。このように、第1のモードでは、照明システム10はバッテリー30により電力を供給され、バッテリー30は発電機40により供給された電力で充電されるので、AC電源20から供給される電力が制限された場合にも対応可能となっている。
【0020】
一方、第2のモードは、例えば、AC電源20から電力が制限なく供給されている場合に実行可能なモードである。第2のモードでは、照明システム10はAC電源20により電力を供給され、バッテリー30は発電機40により供給された電力、または発電機40により供給された電力に加え、AC電源20により供給された電力で充電される。従って、バッテリー30は、いずれのモードにおいても原則として発電機40により供給された電力で充電される。また、バッテリー30から照明システム10に電力が供給される場合には、第2のモードではなく、第1のモードで点灯するように制御することが好ましい。 なお、この実施形態における暗所とは、暗い所で働く桿体細胞の効果により明るさを感じ得る空間のことである。この桿体細胞の絶対視感度ピークとなる光の波長は約507nmである。後述するように、第1のモードは、この暗所に対して有効なモードとなっている。一方、明所とは、暗所と比較して照度の大きい空間であり、具体的には錐体細胞の効果により明るさを感じ得る空間である。この錐体細胞の絶対視感度ピークとなる光の波長は約555nmである。
以上説明した照明制御システム1の構成において、さらに乾電池を接続するためのアダプタを設け、例えば非常時には、アダプタに接続された乾電池から供給される電力により動作させるようにしてもよい。なお、乾電池から供給される電力によりバッテリー30が充電されることはない。
【0021】
図2は、制御部11の構成を示す概略ブロック図である。
制御部11は、AC受電部112、バッテリー送受電部113、発電機受電部114、条件判定部116、照度センサインタフェース117、切り替えスイッチ118、及びタイマ119で構成される。
AC受電部112は、AC電源20から供給される電力を受電するとともに、条件判定部にAC電源20から供給される電力が制限されているか否かを出力する。バッテリー送受電部113は、バッテリー30から供給される電力を受電するとともに、条件判定部116による判定結果に基づき、AC受電部112または発電機受電部114で受電された電力を、バッテリー30を充電するために供給する。なお、この実施形態での「制限」とは、電力が全く供給されない場合だけではなく、供給される電力に上限が設けられている場合も含む。
【0022】
切り替えスイッチ118は、操作者により上述した第1のモード及び第2のモードのいずれかのモードに切り替えるためのスイッチであり、操作者により切り替えられたモードを条件判定部116に出力する。照度センサインタフェース117は、照度センサ50により検出された照度を受信し、条件判定部116に出力する。
条件判定部116は、所定の条件に応じて第1のモード及び第2のモードのいずれか一方で点灯するか、消灯するように照明部12を制御する。この所定の条件は、照明システム10に電力を供給するAC電源20から供給される電力が制限されているか否かという条件や、照度センサ50により検出された照度が予め定められた基準未満か否かという条件などがある。条件の詳細については、後述するフローチャートで説明する。タイマ119は、日時、時刻の管理や、時間の計測などを行う。なお、上述した切り替えスイッチ118は、操作者が操作しやすいように、制御部11以外にも設けられていてもよい。
【0023】
また、上述したように、第1のモードでの消費電力の方が低いため、点灯時においては所定の条件に応じて第1のモード及び第2のモードのいずれか一方で点灯することにより、常に第2のモードで動作させる場合と比較して、消費電力を抑制できる。また、操作者は、切り替えスイッチ118によりモードを切り替えることができるので、電力消費を抑えることができる。具体的に例えば、操作者は、通常時は第1のモードで動作させ、掃除など照明が必要となる作業を行う場合には、第2のモードで動作させることができる。
【0024】
次に、照明部12について説明する。図3は、照明部12における第1発光部及び第2発光部の配置例を示す図である。
図3に示されるように照明部12は、LEDが同心円状に配置されており、その中央には人感センサ125(例えば、焦電センサ)が設けられている。そして、領域121内の人感センサ125を除いた丸印で示された各々が第1発光部122となっている。また、領域124から領域121を除いた領域で、丸印で示された各々が第2発光部123となっている。
【0025】
このように、第1発光部122は、中心側に第2発光部123と比較して密に配置される。なお、第2発光部123は、第1発光部122を囲むように配置されているが、これに限らず、例えば予め定められた領域121の両隣に第2発光部123が配置されていてもよい。第1発光部122を、第2発光部123と比較して密に配置することにより、分散して配置させる場合と比較して、十分な照度を得ることができる。なお、照明部12に照度センサを設け、この照度センサを用いた制御を実行するようにしてもよい。また、照明部12に照度センサを設ける場合には、例えば人感センサ125と同じように中心側に設けるようにしてもよい。
さらに、この実施形態において、「密に配置される」、とは、図4に示されるように、第1発光部122が中央に偏在しており、第2発光部123が第1発光部122の周辺に配置されることであるが、これに限らず、単位面積当たりの第1発光部122と第2発光部123の割合が異なることであってもよい。なお、この実施形態にように、第1発光部122を中央に偏在させる配置方法は、光束を形成する場合に適している。
【0026】
また、同じ出力で、1つのLEDを点灯する場合と、複数のLEDを点灯させる場合とでは、複数のLEDを点灯させた方が、各々のLEDへ供給される電流が減少することから、発熱による発光効率の低下を抑制できる。例えば、図3に示したような複数(図3では6個)のLEDを1Wで点灯させた場合の発光効率は、1つのLEDを1Wで点灯させた場合の発光効率から15%〜20%程度向上する。
図4は、第1発光部122の点灯例を示す図であり、図5は、第2発光部123の点灯例を示す図である。第1発光部122が点灯している状態が第1のモードであり、第2発光部123が点灯している状態が第2のモードであり、いずれか一方のモードで点灯可能となっている。従って、第1発光部122及び第2発光部123が同時に点灯することはない。
【0027】
次に、第1発光部122について説明する。図6は絶対視感度を示すグラフであり、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は絶対視感度(lm/W)を示している。同図に示されるように、暗所において、人の絶対視感度は、波長が短い短波長側へシフトするほど上昇することがプルキンエ効果として知られている。従って、第1発光部122は、桿体細胞が明るさを感じる短波長(色温度が高い)の光を発光する。この短波長を発光するための第1発光部122の構成について説明する。
図7は、第1発光部122の概略構成を示す概略図である。第1発光部122は、RGB(R:赤色蛍光体、G:緑色蛍光体、B:青色蛍光体)蛍光シート201と、紫LED素子202で構成される。RGB蛍光シート201は、紫LED素子202からの光で励起されるが、RGB蛍光シート201のRGBブレンド比を変更可能となっている。従って、RGBブレンド比を変更することで、第1発光部122が発光する光のスペクトル形状を変更可能となっている。
【0028】
図8は、色温度が異なる前述の紫LEDを用いたり、紫LEDに代えて、青LED素子と黄色発光体からなる青LEDを用いた場合のスペクトルを示す図であり、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は放射束相対値(lm/W)を示している。
図8において、紫LEDについては、色温度が5000K、及び2種類(A,B)の7000Kの紫LEDでのスペクトルが示されており、青LEDについては、色温度が5000K、7000Kの青LEDでのスペクトルが示されている。同図に示されるように、いずれの青LEDを用いた場合も、錐体細胞の絶対視感度ピークである約555nmから、桿体細胞の絶対視感度ピークである約507nmにかけて、放射束相対値が減少していることが分かる。
一方、紫LEDの場合は、約555nmから約507nmにかけて放射束相対値が上昇または横ばいとなっており、さらに約507nmにおける放射束相対値は、いずれの青LEDの放射束相対値よりも大きいものとなっている。このように、紫LEDを用いた場合の放射束相対値の方が、青LEDを用いた場合の放射束相対値よりも大きいため、効率的に発光できる。
このように、青色LEDと赤、緑蛍光体などにより、放射束相対値を特定の波長領域で向上させることに加え、絶対視感度と放射束相対値のピーク、またはピークに近い波長領域を合わせることで、相乗効果を得て消費エネルギーに対する発光強度をより向上させることができる。こうして効率的に発光可能であるため、その分消費電力を抑制できる。
【0029】
以上説明したRGB蛍光シート201と、紫LED素子202で構成される第1発光部により、図9に示されるように、従来のLEDと比較して暗所視照度を上昇させることができる。具体的には、従来は暗所視照度が7.2Lxであったところ、第1発光部122によれば、暗所視照度が8.9Lxとなり、実に24%も上昇している。
また、図10に示されるように、この第1発光部122と、図3で説明した第1発光部122の配置によって、照明部12が第1のモードで点灯した場合の発光形状140は、放射形状になることが確認できた。なお、第1発光部122と第2発光部123とは、LEDの分光特性を変えたり、RGB蛍光シートのRGBブレンド比率を変えてもよい。
【0030】
以上説明した照明制御システム1の適用例について説明する。図11は、照明制御システム1をトイレに適用した例を示す図である。
図11において、照明部12は、2つのトイレT1、T2の照明として用いられる。また、発電機40は、トイレT1、T2に供給される水流により発電する水力発電となっている。さらに、照度センサ50aがトイレT1に設けられており、照度センサ50bは、トイレT2に設けられている。照度センサ50a、50bは一例としてトイレT1、T2のドア近傍に設けられている。従って、照度センサ50a、50bは、ドアを開いたときに外部である廊下から差し込む光も含めてどれだけの照度が得られるかを検出することができる。
この図11に示した例では、トイレT1、T2に供給される水流により発電することができるので、AC電源20から電力が供給されない場合でも、トイレの照明は点灯可能であるため、電気的に閉じた照明システムとなっている。従って、停電時または電力の供給が制限された場合であっても、トイレの洗浄水が使用可能であれば、照明された状態でトイレを使用することができるようになっている。なお、発電機40は、トイレT1、T2に供給する上水管に直列に複数設けてもよい。
【0031】
図12は、制御部11により実行される切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図12において、制御部11は、AC電源20から供給される電力が制限されて第1のモードとなったか否か条件判定部116により判定する(ステップS101)。AC電源20から供給される電力が制限されて第1のモードとなったときは(ステップS101;YES)、AC電源20から供給される電力の制限が解除されたか否か条件判定部116により判定する(ステップS102)。AC電源20から供給される電力の制限が解除されていないときは(ステップS102;NO)、第2のモードへは切り替えず、本処理を終了する。
一方、AC電源20から供給される電力の制限が解除されたときは(ステップS102;YES)、切り替えスイッチ118が第2のモードとなっているか否か条件判定部116により判定する(ステップS103)。
【0032】
切り替えスイッチ118が第2のモードとなっていない場合には(ステップS103;NO)、第2のモードへは切り替えず、本処理を終了する。一方、切り替えスイッチ118が第2のモードとなっている場合には(ステップS103;YES)、電力の供給元をバッテリー30からAC電源20に切り替える(ステップS104)。
次いで、第1発光部122を消灯するように照明部12を制御し(ステップS105)、第2発光部123を点灯するように照明部12を制御して(ステップS106)、本処理を終了する。
【0033】
ステップS101に戻り、AC電源20から供給される電力が制限されて第1のモードとなっていなときは(ステップS101;NO)、制御部11は、切り替えスイッチ118が第2のモードに操作されたか否か条件判定部116により判定する(ステップS107)。切り替えスイッチ118が第2のモードに操作されていないときは(ステップS107;NO)、第2のモードへは切り替えず、本処理を終了する。
一方、切り替えスイッチ118が第2のモードに操作されたときは(ステップS107;YES)、AC電源20から供給される電力が制限されていないか否か条件判定部116により判定する(ステップS108)。
【0034】
AC電源20から供給される電力が制限されているときは(ステップS108;NO)、第2のモードへは切り替えず、本処理を終了する。一方、AC電源20から供給される電力が制限されていないときは(ステップS108;YES)、上記ステップS104に進む。
上述した図12のフローチャートに示されるように、モードを切り替える所定の条件は、AC電源20から照明システム10に供給される電力が制限されているか否かという条件となっている。これにより、電力の供給が制限される例えば停電時や災害時にも対応可能な照明システムとなっている。
また、モードを切り替える所定の条件は、切り替えスイッチ118が第2のモードに操作され、かつAC電源20から供給されている電力が制限されているか否か、という条件となっている。
【0035】
次に、第2のモードから第1のモードに切り替える処理について説明する。図13は、制御部11により実行される切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図13において、制御部11は、AC電源20から供給される電力が制限されたか否か条件判定部116により判定する(ステップS201)。AC電源20から供給される電力が制限されたときは(ステップS201;YES)、ステップS203に進む。
一方、AC電源20から供給される電力が制限されていないときは(ステップS201;NO)、切り替えスイッチ118が第1のモードに操作されたか否か条件判定部116により判定する(ステップS202)。
【0036】
切り替えスイッチ118が第1のモードに操作されたときは(ステップS202;YES)、ステップS203に進む。一方、切り替えスイッチ118が第1のモードに操作されていないときは(ステップS202;NO)、照度センサ50が検出した照度が、基準未満か否か条件判定部116により判定する(ステップS206)。この基準は、照明部12が設置された環境や照明部12の仕様などにより、予め定めておく。
照度が基準未満ではないときは(ステップS206;NO)、第2のモードへは切り替えず、本処理を終了する。一方、照度が基準未満のときは(ステップS206;YES)、電力の供給元をAC電源20からバッテリー30に切り替える(ステップS203)。
【0037】
次いで、第2発光部123を消灯するように照明部12を制御し(ステップS204)、第1発光部122を点灯するように照明部12を制御して(ステップS205)、本処理を終了する。
【0038】
上述した図13のフローチャートに示されるように、図12と同じく、AC電源20から照明システム10に供給される電力が制限されているか否かという条件となっている。さらに、所定の条件は、照度センサ50により検出された照度が予め定められた基準未満か否かという条件となっている。これにより、照明対象の明るさに応じてモードを切り替えることができるため、消費電力を抑制可能な照明システムとなっている。
【0039】
次に、時刻により照明部12を制御する処理について説明する。図14は、制御部11により実行される時刻制御処理の一例を示すフローチャートである。この時刻制御処理は、上述した切り替え処理とは独立して実行される。また、時刻制御処理において、制御部11は、予めタイマ119に午前7時または午後6時に割り込みをいれるようにセットしている。
まず制御部11は、タイマ119からタイマ割り込みがあると(ステップS301;YES)、午前7時か否か判定する(ステップS302)。
【0040】
午前7時と判定されたときは(ステップS302;YES)、第1発光部112及び第2発光部123を消灯して(ステップS304)、本処理を終了する。一方、午前7時と判定されなかったときは(ステップS302;NO)、午後6時か否か判定する(ステップS303)。
午後6時と判定されたときは(ステップS303;YES)、第1発光部112を点灯して(ステップS305)、本処理を終了する。一方、午後6時と判定されなかったときは(ステップS303;NO)、本処理を終了する。この時刻制御処理により、第1発光部112及び第2発光部123が消灯されているときは、上述した切り替え処理は行われない。
【0041】
以上説明した処理では、一例として午前7時または午後6時を用いたが、これに限らず、例えばタイマ119から日付を取得することで、日の出や日没を考慮した時刻で制御するようにしてもよい。さらに、照明する空間が明るいときは、点灯時刻が到来しても点灯させないなど、空間の照度を反映させた制御を実行するようにしてもよい。
【0042】
次に、電力消費量に応じてバッテリー30を充電するための電力の供給元を制御する処理について説明する。図15は、制御部11により実行される充電制御処理の一例を示すフローチャートである。この充電制御処理は、上述した切り替え処理とは独立して実行される。また、制御部11は、電力消費量と発電機40の発電量を所定間隔でモニタしているものとする。
制御部11は、電力消費量が発電機40の発電量より大きいか否か判定する(ステップS401)。電力消費量が発電機40の発電量より大きいときは(ステップS401;YES)、AC電源20から電力が供給されているか否か判定する(ステップS402)。
【0043】
AC電源20から電力が供給されているときは(ステップS402;YES)、発電機40から供給される電力に加え、AC電源20から供給される電力を用いてバッテリー30を充電して(ステップS403)、本処理を終了する。
一方、AC電源20から電力が供給されていないときは(ステップS402;NO)、本処理を終了する。
【0044】
上記ステップS401に戻り、電力消費量が発電機40の発電量より大きくないときは(ステップS401;NO)、AC電源20から供給された電力で充電しているか否か判定する(ステップS406)。AC電源20から供給された電力で充電しているときは(ステップS406;YES)、発電機40から供給される電力のみを用いて充電して(ステップS407)、本処理を終了する。AC電源20から供給された電力で充電していないときは(ステップS406;NO)、本処理を終了する。
【0045】
上述した充電制御処理では、電力消費量が発電機40の発電量より大きいときにAC電源20から供給される電力を用いて充電したが、例えば急速充電を行う場合にも、AC電源20から供給される電力を用いて充電してもよい。この充電制御処理により、バッテリー30の上がりを回避することができる。
【0046】
以上説明した実施形態では、第1のモードにおいて、第1発光部をプルキンエ効果が得られるように点灯したが、これに限らず照度を落としたり、発光色を変えるようにしてもよい。また、この実施形態では、バッテリー30から照明システム10に電力が供給される場合には、第2のモードではなく、第1のモードで照明するように制御することが好ましいことを記載したが、バッテリー30から照明システム10に電力が供給される場合でも、例えば、照明部12の照度を落として点灯させたりすることで、第2のモードを実行することができる。
【0047】
上述した実施形態における照明システム10の処理をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0048】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 照明制御システム、10 照明システム、11 制御部、12 照明部、
20 AC電源、30 バッテリー、40 発電機、50 照度センサ、
112 AC受電部、113 バッテリー送受電部、114 発電機受電部、
116 条件判定部、117 照度センサインタフェース、118 切り替えスイッチ、122 第1発光部、123 第2発光部、121 領域
図1
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