(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年では、一人暮らしの人口が増えている。特に惣菜やお弁当などを一人分作ることは手間がかかる。そのため、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでこれらを買い求めるという需要が増えている。これらの惣菜やお弁当は、各店舗のバックヤードなどで調理して、これを容器に包装し提供する、もしくは、専用工場で調理して容器に包装されたものを各店舗へ輸送して陳列されている。このような容器では、陳列中や輸送中などにおいて不用意に蓋が外れてしまうことがある。そのため、通常、容器本体と蓋をさらに粘着テープで固定して防止している。
【0003】
しかしながら、各食材などを容器に包装した後、容器本体と蓋とをさらに粘着テープで固定することは、手間がかかる。また、最近ではこれらの作業を行う人材が不足していることや、原材料が高騰していることから、テープ不使用でも蓋が外れない容器が求められている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、略矩形の包装用容器において、本体膨出部とその下側に連続する本体逆テーパー部が容器本体のスカート部の全周に亘って形成されているため、蓋体を容器本体に被せる際に、蓋体逆テーパー部が、その水平方向の全長に亘って本体膨出部を無理矢理に下側に乗り越えて本体逆テーパ部と嵌合することが必要となる。そのため、閉蓋作業時に蓋逆テーパー部が本体膨出部を乗り越える際の力が大きく、店舗で調理して包装作業をする際に閉蓋しづらい。また、専用工場で食品を調理して容器に包装する際には、自動蓋閉め機で閉蓋不良が発生するという不具合が生じることがある。さらには、買い求めた消費者が蓋を開ける際に蓋が固く閉まっていて開けづらいという問題がある。
【0005】
また、下記特許文献2には、略矩形の包装用容器において、容器本体のスカート部には、内面側に向けて凹んだ被嵌合部を設け、蓋体のスカート部には、内面側に向けて突出した嵌合部を設けた容器が開示されている。容器本体の被嵌合部と蓋体の嵌合部は互いに対応した位置関係にあって同じ長さに設定されている。そして、閉蓋時に、容器本体の被嵌合部に蓋体の嵌合部が嵌合する。この容器においても、容器本体の被嵌合部の全体に蓋体の嵌合部の全体が嵌り込んでいるので、消費者が蓋を開ける際に蓋が固く閉まっていて開けづらいという問題がある。
【0006】
また、下記特許文献3には、円形容器において、蓋を本体に対して周方向にねじることによって本体のネジ部と蓋のネジ部が係合する構成が記載されている。しかしながら、本体に対して蓋を周方向にスライドさせてネジ部同士を係合させる構成は、円形容器のみで採用可能となる構成であり、矩形容器においては物理的に採用不可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について
図1〜
図25を参酌しつつ説明する。本実施形態における容器は、種々の食品を収容するためのものである。容器の平面視における形状は略矩形であり、本実施形態では平面視略長方形である。各辺部が平面視において外側に膨らんでいても、膨らんでいなくてもよい。また、各コーナー部の隅切り形状の有無も任意である。容器は、容器本体1と蓋2とを備えている。容器本体1は上方に開口する開口部を有している。蓋2は、容器本体1に被せられて容器本体1の開口部を塞ぐ。
【0018】
容器本体1と蓋2は、何れも合成樹脂製のシートから真空成形や圧空成形等の各種の熱成形(シート成形)によって形成されたものである。容器本体1や蓋2には、種々の合成樹脂製のシートが使用できる。合成樹脂製のシートは、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、さらにはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などから構成される。また、これらのシートを一軸もしくは二軸に延伸した延伸シートも好ましい。これらのシートの中でも、透明性に優れたシートを蓋2に使用した場合には、収容した食品を視認できるので好適である。
【0019】
<容器本体1>
容器本体1は、平面視略矩形であり、本実施形態では平面視略長方形である。容器本体1は、底面部10と、底面部10の外縁から上側に向けて拡開しつつ延びる本体側面部11と、本体側面部11の上端から外側に向けて延びる本体フランジ部とを備えている。底面部10は平面視略矩形である。底面部10には種々の形状の図示しない脚部を設けてよい。本体側面部11には、集荷時に容器本体1同士を多数積み重ねした際に、容器本体1同士が互いにきつく嵌り込んで取れなくなる、いわゆるブロッキング現象を防止するために、ブロッキング防止用の凸部や凹部(図示省略)を設けてよい。ブロッキング防止用の凸部や凹部は、容器本体1毎にその位置をずらして配置しておく。本体側面部11には各種の補強用のリブを設けてもよい。本体側面部11の上端が開口縁部となっている。開口部は平面視略矩形である。本体フランジ部は、開口部の外側に位置している。本体フランジ部は開口縁部の全周に亘って形成されている。
【0020】
<本体フランジ部>
本体フランジ部は、本体側面部11の上端から外側に向けて略水平に延びる本体フランジ上面部13と、本体フランジ上面部13の外縁から下側に向けて垂下する本体垂下部14と、本体垂下部14の下端から外側に向けて略水平に延びる本体縁取り部15とを備えている。本体垂下部14は、四つの辺部140,141と、四つのコーナー部142とを有している。本実施形態において、容器が平面視略長方形であるので、本体垂下部14は、二つの長辺部140と二つの短辺部141とを有する。コーナー部142は、隣り合う長辺部140と短辺部141の間に位置する。コーナー部142は、本実施形態では
図5及び
図6のように平面視において斜めにカットされた隅切り形状であるが、
図27のように平面視において円弧状に湾曲した隅丸形状であってもよい。本体縁取り部15には、開蓋作業を容易にするための各種形状の本体摘み部150を設けてよい。本実施形態では、本体垂下部14の各コーナー部142の外側に略三角形の本体摘み部150が形成されているが、その配置や個数は任意である。
【0021】
尚、本体縁取り部15の上面及び下面には、細かな凹凸加工やエンボス加工を施して凹凸形状を形成してよい。本体縁取り部15に凹凸を形成することにより、本体縁取り部15が補強されるとともに、指などがあたっても、指などを切ることがないようにすることができる。この凹凸は、例えば正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成される。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0022】
<本体突起>
本体垂下部14には、閉蓋状態を維持するための本体突起が形成されている。本体突起は、外側に向けて、即ち、外面側に向けて突出している。本体突起は、本体垂下部14の上部に形成されている。コーナー部142には、水平方向に延びた筋状の本体突起30が形成されていてよい。コーナー部142の筋状の本体突起30は、複数に分断されていてよい。本実施形態では、筋状の本体突起30は、三つの部分に分断されており、中央の分割部分(符号30)とその両側に位置する分割部分32,33とから構成されている。
【0023】
長辺部140の辺中央部には、水平方向に延びた筋状の本体突起31が形成されていてよい。尚、短辺部141の辺中央部には、筋状の本体突起は形成されていないが、短辺部141の辺中央部にも長辺部140の辺中央部と同様に筋状の本体突起を形成してもよい。
【0024】
<長辺部140の本体突起列340>
長辺部140の両辺端部の近傍には、それぞれ島状の本体突起34a,34b,34c,34dが形成されている。島状の本体突起34a,34b,34c,34dを総称して単に島状の本体突起34と称することがある。島状の本体突起34a,34b,34c,34dは、コーナー部142の近傍に位置している。島状の本体突起34a,34b,34c,34dは、コーナー部142の筋状の本体突起30の近傍に位置していて、筋状の本体突起30に対して間隔をあけて位置している。島状の本体突起34a,34b,34c,34dは、辺中央部の筋状の本体突起31よりも水平方向の長さが短い。島状の本体突起34a,34b,34c,34dは、水平方向に一定間隔毎に複数形成されている。
【0025】
島状の本体突起34a,34b,34c,34dの数は任意であるが、本実施形態では、両辺端部の近傍に、それぞれ島状の本体突起34a,34b,34c,34dが四つずつ形成されている。長辺部140を正面に見て、島状の本体突起34a,34b,34c,34dは左右対称に配置されている。四つの島状の本体突起34a,34b,34c,34dは水平方向に沿って一列に配列されており、四つの島状の本体突起34a,34b,34c,34dは、ひとまとまりとなって一群の本体突起列340を構成している。本体突起列340は、辺中央部の筋状の本体突起31から離れて配置されている。
【0026】
<短辺部141の本体突起列350>
短辺部141の両辺端部の近傍にも、同様に、それぞれ島状の本体突起35a,35b,35cが水平方向に一定間隔毎に複数形成されている。島状の本体突起35a,35b,35cを総称して単に島状の本体突起35と称することがある。短辺部141における島状の本体突起35と長辺部140における島状の本体突起34は、互いに同じ形状であってもよいし異なる形状であってもよいが、本実施形態においては互いに同じ形状である。本実施形態において、短辺部141の両辺端部の近傍には、それぞれ島状の本体突起35a,35b,35cが三つずつ形成されており、短辺部141の方が長辺部140よりも個数は少ない。但し、例えば、長辺部140と短辺部141において互いに同数であってもよい。短辺部141を正面に見て、左右対称に島状の本体突起35a,35b,35cが配置されている。短辺部141の辺端部の近傍において、三つの島状の本体突起35a,35b,35cは水平方向に沿って一列に配列されており、三つの島状の本体突起35a,35b,35cは、ひとまとまりとなって一群の本体突起列350を構成している。本体突起列350は、コーナー部142の筋状の本体突起30の隣に間隔をあけて配置されている。
【0027】
島状の本体突起34,35の形状は種々であってよい。島状の本体突起34,35は、コーナー部142側に向けて上下方向の寸法が小さくなる形状であることが好ましい。島状の本体突起34,35の上縁は、コーナー部142側に向けて下降していることが好ましい。島状の本体突起34,35の下縁は、略水平であることが好ましい。島状の本体突起34,35は、コーナー部142側に向けて突出高さが低くなる形状であることが好ましい。突出高さが低くなるとは、島状の本体突起34,35の突出量が減少することである。本実施形態では、長辺部140における島状の本体突起34の形状と短辺部141における島状の本体突起35の形状を互いに同じものとしているが、互いに異なるものとしてもよい。尚、島状の本体突起34,35の下縁をコーナー部142側に向けて上側に傾斜させた場合には、後述する島状の蓋突起44,45の上縁は、島状の本体突起34,35の上縁の形状に合わせて傾斜させることが好ましい。
【0028】
図9に島状の本体突起34の一例を拡大図で示している。
図9において紙面の表裏方向が島状の本体突起34の突出方向である。
図9において、コーナー部142側を矢印Pで示し、コーナー部142側とは反対側である辺中央部側(反コーナー部側)を矢印Qで示している。図示の島状の本体突起34は、長辺部140を正面に見て向かって左側の辺端部近傍に形成されているものであり、短辺部141を正面に見て向かって左側の辺端部近傍に形成されているものもこれと同じ形状である。長辺部140を正面に見て向かって右側の辺端部近傍に形成されているものは、
図9のものを左右反転した形状であり、短辺部141を正面に見て向かって右側の辺端部近傍に形成されているものも同様に
図9のものを左右反転した形状である。また、
図10には、島状の本体突起34の突出形状を向かって右側(矢印A−A)からと下側(矢印B−B)からの二方向から見た図を示している。
【0029】
島状の本体突起34は、
図9のように正面から見て、下側を底辺とする略三角形である。島状の本体突起34は、頂上面341と、頂上面341の周囲に位置する複数の傾斜面とを備えている。頂上面341は、突出高さが一定の略平坦な面であってもよいが、本実施形態では、
図10(b)のように、コーナー部142側に向けて小さな傾斜角度で突出高さが低くなった傾斜面となっている。頂上面341は、全体として、下側を底辺とする略三角形であって、頂上面341の上下方向の寸法は、コーナー部142側に向けて徐々に小さくなっている。
【0030】
傾斜面は、下部傾斜面342、側部傾斜面343、第一上部傾斜面344、及び、第二上部傾斜面344bから構成される。下部傾斜面342、側部傾斜面343、第一上部傾斜面344a、及び、第二上部傾斜面344bは、それぞれ頂上面341に向けて徐々に突出高さが高くなっている。下部傾斜面342は、島状の本体突起34の下縁346を有している。島状の本体突起34の下縁346は、略水平方向に沿って延びている。下部傾斜面342は、下側に向けて徐々に突出高さが低くなっている。側部傾斜面343は、島状の本体突起34のうち辺中央部側の端部近傍の部分を構成している。側部傾斜面343は、島状の本体突起34の辺中央部側の側縁347を有している。島状の本体突起34の辺中央部側の側縁347は、略上下方向に沿って延びている。側部傾斜面343は、辺中央部側に向けて徐々に突出高さが低くなっている。
【0031】
第一上部傾斜面344aと第二上部傾斜面344bは、島状の本体突起34の上縁348a,348bを有している。島状の本体突起34の上縁348a,348bは、コーナー部142側に向けて徐々に下降している。第一上部傾斜面344aは、島状の本体突起34の第一上縁348aを有し、第二上部傾斜面344bは、島状の本体突起34の第二上縁348bを有している。第一上縁348aは、コーナー部142側に向けて相対的に小さな勾配で下降し、第二上縁348bは、コーナー部142側に向けて第一上縁348aよりも大きな勾配で下降している。第一上縁348aは下側に向けて湾曲しているが上側に向けて湾曲していてもよいし直線であってもよい。第二上縁348bは直線であるが湾曲していてもよい。第一上部傾斜面344a及び第二上部傾斜面344bは、上側に向けて徐々に突出高さが低くなっていると共にコーナー部142側に向けて徐々に突出高さが低くなっている。即ち、第一上部傾斜面344a及び第二上部傾斜面344bは、コーナー部142側の斜め上側に向けて徐々に突出高さが低くなっている。このように本実施形態における島状の本体突起34は、頂上面341と第一上部傾斜面344aと第二上部傾斜面344bによって、コーナー部142側に向けて突出高さが低くなる形状となっている。
【0032】
島状の本体突起34の他の例を
図26に示す。
図26(a)のように、第一上縁348aがL字状に形成されていてもよい。
図26(b)及び
図26(c)のように、上部傾斜面344を一つのみ備えた構成であってもよい。
図26(b)のように、上縁348が上側に湾曲していてもよいし、
図26(c)のように上縁348が直線であってもよい。
【0033】
<蓋2>
蓋2は、容器本体1に対応した形状であって平面視略矩形であり、本実施形態では平面視略長方形である。蓋2は、透明であることが好ましく、容器に収容した食品を蓋2を介して外部から視認できる。蓋2は、天面部20と、天面部20の外縁から下側に向けて延設された蓋側面部21と、蓋側面部21の下端から外側に向けて延設された蓋フランジ部とを備えている。天面部20の中央主要部は、凹凸のない略平坦に形成されていてよい。天面部20の周縁部には、閉蓋状態の容器同士を積み重ねして陳列した際に容器同士の水平方向の位置ずれを防止することができるように、ズレ防止用の突起を設けてよい。
【0034】
蓋側面部21には、集荷時に蓋2同士を多数積み重ねした際に、蓋2同士が互いにきつく嵌り込んで取れなくなる、いわゆるブロッキング現象を防止するために、ブロッキング防止用の凸部や凹部(図示省略)を設けてよい。ブロッキング防止用の凸部や凹部は、蓋2毎にその位置をずらして配置しておく。蓋側面部21には各種の補強用のリブを設けてもよい。蓋フランジ部は全周に亘って形成されている。
【0035】
<蓋フランジ部>
蓋フランジ部は、蓋側面部21の下端から外側に向けて略水平に延びる蓋フランジ上面部23と、蓋フランジ上面部23の外縁から下側に向けて垂下する蓋垂下部24と、蓋垂下部24の下端から外側に向けて略水平に延びる蓋縁取り部25とを備えている。蓋垂下部24は、四つの辺部240,241と、四つのコーナー部242とを有している。本実施形態において、容器が平面視略長方形であるので、蓋垂下部24は、二つの長辺部240と二つの短辺部241とを有する。コーナー部242は、隣り合う長辺部240と短辺部241の間に位置する。コーナー部242は、本実施形態では
図11のように平面視において斜めにカットされた隅切り形状であるが、平面視において円弧状に湾曲していてもよい。
【0036】
蓋縁取り部25には、開蓋作業を容易にするための各種形状の蓋摘み部250を設けてよい。蓋摘み部250は、本体摘み部150に対応した位置に設けられていてよい。本実施形態では、蓋垂下部24の各コーナー部242の外側に略三角形の蓋摘み部250が形成されているが、その配置や個数は任意である。尚、蓋縁取り部25の上面及び下面には、細かな凹凸加工やエンボス加工を施して凹凸形状を形成してよい。蓋縁取り部25に凹凸を形成することにより、蓋縁取り部25が補強されるとともに、指などがあたっても、指などを切ることがないようにすることができる。この凹凸は、例えば正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成される。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0037】
<蓋突起>
蓋垂下部24には、本体突起との協同によって閉蓋状態を維持するための蓋突起が形成されている。蓋突起は、内側に向けて、即ち、内面側に向けて突出している。蓋突起は、蓋垂下部24の下部に形成されている。蓋突起は、本体突起に対応した位置に形成されている。コーナー部242には、水平方向に延びた筋状の蓋突起40が形成されていてよい。コーナー部242の筋状の蓋突起40は、複数に分断されていてよい。本実施形態では、筋状の蓋突起40は、三つの部分に分断されており、中央の分割部分(符号40)とその両側に位置する分割部分42,43とから構成されている。
【0038】
長辺部240の辺中央部には、水平方向に延びた筋状の蓋突起41が形成されている。長辺部240の辺中央部の筋状の蓋突起41における水平方向の長さは、それに対応した筋状の本体突起31における水平方向の長さと略等しい。尚、短辺部241の辺中央部には筋状の蓋突起は形成されていないが、短辺部241にも長辺部240と同様に筋状の蓋突起を形成してもよい。
【0039】
<長辺部240の蓋突起列440>
長辺部240の両辺端部の近傍には、それぞれ島状の蓋突起44a,44b,44c,44dが形成されている。島状の蓋突起44a,44b,44c,44dを総称して単に島状の蓋突起44と称することがある。島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは、コーナー部242の近傍に位置している。島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは、コーナー部242の筋状の蓋突起40の近傍に位置していて、筋状の蓋突起40に対して間隔をあけて位置している。島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは、辺中央部の筋状の蓋突起41よりも水平方向の長さが短い。島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは、水平方向に一定間隔毎に複数形成されている。
【0040】
島状の蓋突起44a,44b,44c,44dの数は任意であるが、本実施形態では、両辺端部の近傍に、それぞれ島状の蓋突起44a,44b,44c,44dが四つずつ形成されている。長辺部240を正面に見て、島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは左右対称に形成され、配置されている。四つの島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは水平方向に沿って一列に配列されており、四つの島状の蓋突起44a,44b,44c,44dは、ひとまとまりとなって一群の蓋突起列440を構成している。蓋突起列440は、辺中央部の筋状の蓋突起41から離れて配置されている。
【0041】
<短辺部241の蓋突起列450>
短辺部241の両辺端部の近傍にも、同様に、それぞれ島状の蓋突起45a,45b,45cが水平方向に一定間隔毎に複数形成されている。短辺部241における島状の蓋突起45と長辺部240における島状の蓋突起44は、互いに同じ形状であってもよいし異なる形状であってもよいが、本実施形態においては互いに同じ形状である。本実施形態において、短辺部241の両辺端部の近傍には、それぞれ島状の蓋突起45a,45b,45cが三つずつ形成されており、短辺部241の方が長辺部240よりも個数は少ない。但し、例えば、長辺部240と短辺部241において互いに同数であってもよい。短辺部241を正面に見て、左右対称に島状の蓋突起45a,45b,45cが形成され、配置されている。短辺部241の辺端部の近傍において、三つの島状の蓋突起45a,45b,45cは水平方向に沿って一列に配列されており、三つの島状の蓋突起45a,45b,45cは、ひとまとまりとなって一群の蓋突起列450を構成している。蓋突起列450は、コーナー部242の筋状の蓋突起40の隣に間隔をあけて配置されている。
【0042】
島状の蓋突起44,45の形状は種々であってよい。本実施形態では、長辺部240における島状の蓋突起44の形状と短辺部241における島状の蓋突起45の形状を互いに同じものとしているが、互いに異なるものとしてもよい。
図14に島状の蓋突起44の一例を拡大図で示している。
図14において紙面の表裏方向が島状の蓋突起44の突出方向である。
【0043】
島状の蓋突起44は、
図14のように正面から見て、略矩形であって詳細には水平方向を長辺方向とする略長方形である。島状の蓋突起44は、頂上面441と、頂上面441の周囲に位置する複数の傾斜面とを備えている。頂上面441は、突出高さが一定の略平坦な面であってもよいし、傾斜面であってもよいが、本実施形態では、
図15(b)のように、突出高さが一定の略平坦な面となっている。頂上面441は、水平方向を長辺方向とする略長方形である。傾斜面は、下部傾斜面442、左右一対の側部傾斜面443、及び、上部傾斜面444から構成される。下部傾斜面442、左右一対の側部傾斜面443、及び、上部傾斜面444は、それぞれ頂上面441に向けて徐々に突出高さが高くなっており、換言すれば、頂上面441から離れるほど突出高さが低くなっている。
【0044】
<閉蓋作業及び閉蓋途中状態>
図22及び
図23に、閉蓋途中の状態を示している。まず、容器本体1の四つのコーナー部142のうちの三つのコーナー部142に、蓋2の対応するコーナー部242を被せる。そして、残る一つの容器本体1のコーナー部142には、蓋2の対応するコーナー部242を被せずに上側に浮かせた状態とする。この容器本体1に被せられていない蓋2のコーナー部242を最終のコーナー部242と称することにすると、蓋2は、最終のコーナー部242を頂点として傾いた状態となる。蓋2の長辺部240は最終のコーナー部242を上側として傾斜し、蓋2の短辺部241も最終のコーナー部242を上側として傾斜した状態となる。その後、蓋2を上側から押す等して、蓋2の最終のコーナー部242を容器本体1の残る一つのコーナー部142に被せる。その際、蓋2は最終のコーナー部242の外側に向けて水平方向に若干引っ張られながら下側に移動していく。
【0045】
<閉蓋状態>
図16〜
図21に閉蓋状態を示している。
図20及び
図21のように、閉蓋状態において、本体フランジ上面部13の上側に蓋フランジ上面部23が重なる。尚、蓋フランジ上面部23は本体フランジ上面部13の上面に当接してもよいし若干の隙間をあけて上側に対峙してもよい。本体垂下部14の外側に蓋垂下部24が重なる。本体縁取り部15の上側に蓋縁取り部25が重なる。そして、本体突起の下側に蓋突起が位置する。
【0046】
詳細には、容器本体1のコーナー部142における筋状の本体突起30の下側に、蓋2のコーナー部242における筋状の蓋突起40が位置して、互いに上下方向に重なり合う。容器本体1の長辺部140の辺中央部における筋状の本体突起31の下側に、蓋2の長辺部240の辺中央部における筋状の蓋突起41が位置する。尚、容器本体1のコーナー部142における筋状の本体突起30と蓋2のコーナー部242における筋状の蓋突起40は、水平方向の全長に亘って上下方向に重なり合うことが好ましい。また、容器本体1の長辺部140の辺中央部における筋状の本体突起31と蓋2の長辺部240の辺中央部における筋状の蓋突起41は、水平方向の全長に亘って上下方向に重なり合うことが好ましい。そして、容器本体1の本体突起列340,350の下側に、蓋2の蓋突起列440,450が水平方向に位置をずらして配置される。
【0047】
長辺部140,240における本体突起列340と蓋突起列440の関係を
図24に示し、短辺部141,241における本体突起列350と蓋突起列450の関係を
図25に示している。
図24(a)及び
図25(a)は、閉蓋途中状態における本体突起列340,350と蓋突起列440,450の関係を示しており、
図24(b)及び
図25(b)は閉蓋状態における本体突起列340,350と蓋突起列440,450の関係を示している。
図24及び
図25においてコーナー部142,242側を矢印Pで示している。
【0048】
閉蓋状態において、本体突起列340,350の各島状の本体突起34,35と蓋突起列440,450の各島状の蓋突起44,45は、それぞれ互いに水平方向の一部分のみが上下方向に重なり合い、水平方向の全長が上下方向に重なり合うということがない。本体突起列340,350に対して蓋突起列440,450はコーナー部142,242側に位置をずらして配置され、各島状の本体突起34,35に対して各島状の蓋突起44,45はコーナー部142,242側に位置をずらして配置される。
【0049】
長辺部140における本体突起列340の各本体突起34a,34b,34c,34dをコーナー部142側から順に、長辺部140の第一の本体突起34a、長辺部140の第二の本体突起34b、長辺部140の第三の本体突起34c、長辺部140の第四の本体突起34dと称し、長辺部240における蓋突起列440の各蓋突起44a,44b,44c,44dをコーナー部242側から順に、長辺部240の第一の蓋突起44a、長辺部240の第二の蓋突起44b、長辺部240の第三の蓋突起44c、長辺部240の第四の蓋突起44dと称する。長辺部140の第一乃至第四の本体突起34a,34b,34c,34dがそれぞれ長辺部240の第一乃至第四の蓋突起44a,44b,44c,44dと対応する。閉蓋状態において、長辺部240の第一乃至第四の蓋突起44a,44b,44c,44dは、長辺部140の第一乃至第四の本体突起34a,34b,34c,34dに対して、それぞれコーナー部142,242側に位置をずらして配置される。
【0050】
長辺部240の第一の蓋突起44aの辺中央部側の部分は、長辺部140の第一の本体突起34aのコーナー部142側の部分と上下方向に重なり合う。長辺部240の第一の蓋突起44aのコーナー部242側の部分は、長辺部140の第一の本体突起34aとは上下方向に重なり合わない。同様に、長辺部240の第二乃至第四の蓋突起44b,44c,44dの辺中央部側の部分は、それぞれ長辺部140の第二乃至第四の本体突起34b,34c,34dのコーナー部142側の部分と上下方向に重なり合うが、長辺部240の第二乃至第四の蓋突起44b,44c,44dのコーナー部242側の部分は、それぞれ長辺部140の第二乃至第四の本体突起34b,34c,34dとは上下方向に重なり合わない。長辺部240の第二乃至第四の蓋突起44b,44c,44dのコーナー部242側の端部は、それぞれ第一乃至第三の本体突起34a,34b,34cの辺中央部側の端部と上下方向に重なり合う。例えば、
図24(b)のように、長辺部240の第二の蓋突起44bが長辺部140の第二の本体突起34bと上下方向に重なり合う水平方向の寸法W2は、長辺部240の第二の蓋突起44bが長辺部140の第一の本体突起34aと上下方向に重なり合う水平方向の寸法W1よりも大きてよい。即ち、W2>W1であってよい。但し、W2=W1であってもよいし、W2<W1であってもよい。長辺部240の第三及び第四の蓋突起44c,44dについても同様である。
【0051】
短辺部141,241についても同様である。短辺部141における本体突起列350の各本体突起35a,35b,35cをコーナー部142側から順に、短辺部141の第一の本体突起35a、短辺部141の第二の本体突起35b、短辺部241の第三の本体突起35cと称し、短辺部241における蓋突起列450の各蓋突起45a,45b,45cをコーナー部242側から順に、短辺部241の第一の蓋突起45a、短辺部241の第二の蓋突起45b、短辺部241の第三の蓋突起45cと称する。短辺部141の第一乃至第三の本体突起35a,35b,35cがそれぞれ短辺部241の第一乃至第三の蓋突起45a,45b,45cと対応する。閉蓋状態において、短辺部241の第一乃至第三の蓋突起45a,45b,45cは、短辺部141の第一乃至第三の本体突起35a,35b,35cに対して、それぞれコーナー部142,242側に位置をずらして配置される。
【0052】
短辺部241の第一の蓋突起45aの辺中央部側の部分は、短辺部141の第一の本体突起35aのコーナー部142側の部分と上下方向に重なり合う。短辺部241の第一の蓋突起45aのコーナー部242側の部分は、短辺部141の第一の本体突起35aとは上下方向に重なり合わない。同様に、短辺部241の第二及び第三の蓋突起45b,45cの辺中央部側の部分は、それぞれ短辺部141の第二及び第三の本体突起35b,35cのコーナー部142側の部分と上下方向に重なり合うが、短辺部241の第二及び第三の蓋突起45b,45cのコーナー部242側の部分は、それぞれ短辺部141の第二及び第三の本体突起35b,35cとは上下方向に重なり合わない。短辺部241の第二及び第三の蓋突起45b,45cのコーナー部242側の端部は、それぞれ第一及び第二の本体突起35a,35bの辺中央部側の端部と上下方向に重なり合う。例えば、
図25(b)のように、短辺部241の第二の蓋突起45bが短辺部141の第二の本体突起35bが上下方向に重なり合う水平方向の寸法W4は、短辺部241の第二の蓋突起45bが短辺部141の第一の本体突起35aと上下方向に重なり合う水平方向の寸法W3よりも大きてよい。即ち、W4>W3であってよい。但し、W4=W3であってもよいし、W4<W3であってもよい。短辺部241の第三の蓋突起45cについても同様である。
【0053】
以上のように、本実施形態における容器にあっては、島状の蓋突起44,45と島状の本体突起34,35が部分的に上下方向に重なり合う構成であるため、閉蓋作業時において蓋2を容器本体1に被せる際の力が小さくて済む。したがって、閉蓋作業を楽に行うことができる。そして、閉蓋状態においては、島状の蓋突起44,45が島状の本体突起34,35の下側に位置して部分的に上下方向に重なり合っているので、蓋2が容器本体1から外れようとした際には島状の蓋突起44,45が島状の本体突起34,35に引っ掛かる。そのため、蓋2が不用意に外れることが防止される。蓋2と容器本体1を別途テープで固定しなくても閉蓋状態が維持されるので、テープ貼り作業を省略することが可能となる。また、島状の蓋突起44,45と島状の本体突起34,35が水平方向の全長に亘って上下方向に重なっているのではなく部分的に重なっているだけであるので、蓋2を開ける際には、容易に蓋2を開けることができる。特に、閉蓋状態において島状の蓋突起44,45が島状の本体突起34,35に対してコーナー部142,242側に位置をずらして配置される構成であるため、閉蓋作業がより一層容易になる。また、島状の蓋突起44,45と島状の本体突起34,35が複数形成されてそれぞれ蓋突起列440,450と本体突起列340,350が形成されているので、閉蓋作業が楽に行えるうえに閉蓋状態の島状の蓋突起44,45と島状の本体突起34,35との係合状態がより一層確実なものとなって閉蓋状態がより一層維持される。尚、島状の蓋突起44,45は一つであってもよく、島状の本体突起34,35も一つであってもよい。
【0054】
更に、島状の本体突起34,35が、コーナー部142側に向けて上縁348が下降していると共に上下方向の寸法が小さくなる形状であると、閉蓋作業がより一層スムーズなものとなる。また、島状の本体突起34,35が、コーナー部142側に向けて突出高さが低くなる形状であると、閉蓋作業がより一層スムーズなものとなる。
【0055】
尚、本実施形態では、島状の蓋突起44,45がそれを正面から見た際において略矩形であったが、
図28のように、島状の蓋突起44,45がそれを正面から見た際においてトラック形状ないしは長円形状であってもよい。また、
図29のように、島状の本体突起34,35がそれを正面から見た際において略矩形であって、島状の蓋突起44,45がそれを正面から見た際において略三角形であってもよい。
【0056】
尚、上記実施形態では、容器本体1と蓋2とが別体の構成であったが、いわゆるフードパックと称されるような容器本体1と蓋2とがヒンジ部を介して接続された一体構成であってもよい。
【解決手段】略矩形の容器本体1は、開口部の外側に本体垂下部14を有し、蓋2は、閉蓋状態で本体垂下部14の外側に重なる蓋垂下部24を有し、本体垂下部14のコーナー部142の近傍には、外側に向けて突出し、閉蓋状態を維持するための本体突起34,35が形成され、蓋垂下部24のコーナー部242の近傍には、内側に向けて突出し、閉蓋状態を維持するための蓋突起44,45が形成されており、閉蓋状態で、蓋突起44,45は、本体突起34,35よりも下側に位置すると共に、本体突起34,35と蓋突起44,45は、互いに水平方向に位置をずらして配置させることにより、水平方向の全長ではなくその一部のみが互いに上下方向に重なる位置関係となる。