(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押出ヘッド(50)は、前記溶融装置(10)と連通して配置された供給導管(51)によって供給され、前記冷却装置(20)は前記供給導管(51)に沿って配置されている、請求項4に記載の装置。
供給導管(51)は、前記溶融装置(10)から来る第1のストレッチ(51a)と、前記第1のストレッチに接続され、前記押出ヘッド(50)と連通する第2のストレッチ(51b)とを含み、前記冷却装置(20)は、前記供給導管(51)の前記第1のストレッチ(51a)に沿って配置されている、請求項4に記載の装置。
第2の高分子材料を溶融するための少なくとも第2の溶融装置(10a)を備え、前記押出ヘッド(50)は、前記第2の高分子材料を前記第1の管状体(H)と同心である第2の管状体(H1)に押し出すように構成されている、請求項4に記載の装置。
前記第2の溶融装置(10a)と前記押出ヘッド(50)との間に配置され、前記第2の高分子材料を溶融温度(Tf2)より低い温度に冷却するように構成された少なくとも第2の冷却装置(20a)を備える、請求項7に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の更なる特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例として示される、本発明の好適な実施形態に関する以下の詳細な説明からより明白になるであろう。
【0016】
装置1によって製造される物体は、ボトル等の容器、またはキャビティを有する任意の他の物体とすることができる。
【0017】
装置1によって使用される高分子材料は、任意の種類の高分子材料、特にポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の半結晶材料とすることができる。
【0018】
半結晶材料は、固体形態で、結晶質量分率および非晶質分率を示す材料である。
【0019】
半結晶性高分子材料の場合、溶融温度Tfおよび結晶化温度Tcを特定することが可能である。
【0020】
特に、溶融温度Tfは、加熱された高分子材料が固体状態から溶融状態に移行する温度である。
【0021】
結晶化温度Tcは、材料の一部が冷却中に結晶化する温度である。結晶化温度Tcは溶融温度Tfよりも低い。
【0022】
より正確には、結晶化プロセスは特定の温度では起こらず、結晶化開始温度Ticと結晶化終了温度Tfcとの間に規定される温度範囲にて起こる。
【0023】
更に、結晶化温度Tc、並びに結晶化開始温度Ticと結晶化終了温度Tfcとの間の差は、所与の材料に対して一定ではなく、材料が冷却される条件に依存している。特に、溶融された高分子材料が保持される温度が低いほど、結晶化は速くなる。更に、溶融された高分子材料をより速く移動させるほど、結晶化が起こる温度範囲はより低くなる。
【0024】
これは、示差走査熱量測定(DSC)によってポリプロピレン試料において実施された分析結果を示す
図2によって確認される。分析される材料の試料を溶融温度よりも高い温度にし、その中に存在する全ての結晶が溶融するように数分間そこに保持した。続いて、試料を設定温度まで冷却し、各試料の結晶化を得るのに必要な時間にわたりその温度にて維持した。このようにして、各試料についてのタイミングおよび結晶化モードを評価した。
【0025】
図2は、結晶化段階における、時間の関数として分析された試料から放出されたエネルギーを示す。
【0026】
特に、Aで示される曲線は、108℃と同等の最低温度まで冷却された試料のエネルギーである。この試料において、結晶化は、分析された他の試料よりも短時間で、かつより低い温度範囲内で生じた。曲線Aは、分析された全ての試料の中で最も狭い結晶化の発熱ピークを示している。これは、結晶化開始温度Ticと結晶化終了温度Tfcとの間の差が、分析された他の全ての試料と比較して、その試料について最小であることを意味している。
【0027】
一方、Bで示される曲線は最高温度、即ち115℃で冷却された試料に関する。この試料では、試料を保持した高温により、試料を観察した期間中における結晶の形成が不可能であった故に、結晶化は生じなかった。
【0028】
これは、温度をより低く保つと、高分子材料がより速く結晶化することを示している。
【0029】
図7および
図8はそれぞれ、DSC分析法で測定された、材料に必要とされる熱の関数としての、ポリプロピレンについての溶融温度Tfおよび結晶化温度Tcを示す。分析したポリプロピレンについては、約40°の温度差があることを理解すべきである。
【0030】
これら全てを考慮すると、以下の説明においては、結晶化開始温度Ticと結晶化終了温度Tfcとの間の任意の温度として理解されるべき結晶化温度Tcを単に参照することに留意されたい。
【0031】
同様の理由付けが、溶融プロセスおよびそれに関連する溶融温度についても当てはまる。
【0032】
図2から得られたデータに基づいて構築された
図3は、試料中の結晶化質量の百分率の、時間の関数としての変化を示している。各曲線は、試料が冷却された異なる温度に関連しており、その後、試料温度は一定に保持された。特に、各試料の温度は、グラフの左から右へ移動するにつれて上昇している。試料が冷却される温度が低いほど、試料の質量の100%が結晶化するのに要する時間がより短縮していることに留意されたい。
【0033】
半結晶化時間(crystallization half time)t1/2を定義することが可能であり、これは質量の半分が結晶化するのに試料が要する時間である。
図2および
図3のデータに基づいて構築された
図4は、試料が維持された温度の関数としての半結晶化時間t1/2を示している。試料が維持される温度が上昇するにつれて、半結晶化時間t1/2も同様に増加している点に留意されたい。
【0034】
要約すると、溶融および結晶化プロセス中の半結晶性高分子の挙動は一義的に定義されるのではなく、むしろ高分子が冷却される冷却条件に影響を受ける。特に、溶融された高分子材料が維持される温度が低いほど、より急速な結晶化が起こる。
【0035】
上記の考察は、静的条件下で、即ち試験した試料が変形を受けない間に行われた半結晶性高分子材料の挙動に関する試験から導き出されたものである。これらの条件下で起こる結晶化は静止結晶化(quiescent crystallization)と呼ばれる。
【0036】
しかしながら、半結晶性高分子材料が、例えば押出し中に変形を受ける場合、流動誘起結晶化と呼ばれる現象が生じる。材料が流れるにつれて、流れ方向に配向した異方性微結晶が形成され、この異方性微結晶により、静止結晶化のみが起こる場合と比較して、材料の結晶化の運動性が修正される。
【0037】
高分子材料が溶融温度Tf未満に冷却され、その間に高分子材料が変形されると、静止結晶化と流動誘起結晶化とが組み合わさることによって、材料の全体的により速い結晶化がもたらされる。
【0038】
上述した現象は、半結晶性高分子製の管状体のブロー成形を改良するため、および管状体をブロー成形するための形成装置1を改良するために利用することができる。
【0039】
装置1は溶融装置10を、特に押出装置を含み、その機能は高分子材料を溶融して押し出すことである。押出装置の内部では、高分子材料は、溶融温度Tfよりも高い温度に達するまでヒータCを介して加熱される。
【0040】
押出装置の下流側には、押出装置から来る高分子材料の流れを溶融温度Tfよりも低い動作温度Toまで冷却するように構成された冷却領域が設けられている。
【0041】
冷却領域は、押出装置から来る高分子材料の流れを溶融温度Tfよりも低い温度まで冷却するように構成された冷却装置20を含む。特に、冷却装置20は、定常状態下で、高分子材料の温度を溶融温度Tfより低いが結晶化温度Tcよりも高く維持するように構成されている。勿論、装置1が始動されると、装置1内に残存し、非活動期間中に固化し得る高分子材料が、再溶融して移動することができるように、冷却装置20は、高分子材料を溶融温度Tf以上の温度に加熱するように制御される。続いて、冷却装置20は、高分子材料の温度を、溶融温度Tfと結晶化温度Tcとの間の値にするように制御され、これは通常動作中に維持される。
【0042】
冷却装置20は、溶融装置10の下流側に配置されている。例えば、冷却装置20は、熱交換器2を備える。熱交換器2には、熱交換流体、例えばジアテルミー油のための回路を設けることができる。特に、熱交換流体は、それに沿って高分子材料が流れる主導管を包囲するチャンバの内側を循環することができる。チャンバは、熱交換流体の進入を可能とする入口3と、熱交換流体のチャンバからの排出を可能とする出口4とを備えることができる。特に、出口4は、高分子材料が熱交換器2内で前進する順方向Fに対して、入口3の上流側に配置することができ、それによって向流熱交換を生じさせ、またはその逆の並流熱交換を生じさせる。
【0043】
熱交換器2はスタティックミキサーを含むことができる。スタティックミキサーは、高分子材料が通過する主導管を含んでもよく、その中に
図5に示す種類の混合要素16が配置される。
【0044】
混合要素16は、熱的な観点から、また適切な場合には組成の観点の両者から、高分子材料の流れを均一にするために静止位置に配置される複数の分流バー17を含む。特に、分流バー17は、高分子材料の主流を複数の二次流に分割することができ、この二次流はスタティックミキサー内を流れる間に混合される。
【0045】
あるいは、熱交換器2は、その動作中に移動する混合要素を設けた動的ミキサーを含んでもよい。
【0046】
冷却装置20の更なる可能な解決策は、特に高分子材料を溶融して押出す押出装置のすぐ下流側に配置されたカスケード押出機あるいはサテライト押出機、または二軸押出機を含むことができる。いずれにせよ、各解決策は高分子材料の温度を制御および調整するための装置を提供することができる。
【0047】
冷却装置20は更に、高分子材料を溶融するのと同じ溶融装置内に画定することができ、溶融装置には、溶融された高分子材料を冷却するように構成された末端部を設けることができる。
【0048】
装置1は、少なくとも管状体Tを押出すように構成された押出ヘッド50を更に含む。押出ヘッド50は、溶融装置10から来る高分子材料を受け取るように、溶融装置10と連通するように配置された供給導管51によって供給される。供給導管51は、溶融装置10と押出ヘッド50との間を直線状に延在する導管とするか、またはより複雑な構造、例えば
図1に示される構造としてもよい。この解決法に基づくと、供給導管51は、溶融装置10から来る第1のストレッチ51aと、第1のストレッチに連結され、押出ヘッド50と連通する第2のストレッチ51bとを含む。図示の実施形態では、第1のストレッチ51aは、第2のストレッチ51bに対して傾斜しており、特に、第2のストレッチ51bに直交している。しかしながら、2つのストレッチ51a、51b間の傾斜は異なっていてもよい。2つのストレッチ51a、51bは互いに整列させることもできる。
【0049】
冷却装置20は、溶融装置10と供給導管51との間に介在させることができる。図示の実施形態では、冷却装置20は供給導管51に沿って配置されており、特に、溶融装置10から来る第1のストレッチに沿って配置されている。代替的な実施形態では、冷却装置20は、例えば、供給導管51の第2のストレッチに対して内側または外側に配置される1つ以上の冷却回路の形態で、供給導管51の第2のストレッチに沿って配置されてもよい。
【0050】
押出ヘッド50には、出口開口部52の断面全体を占有しないコア53が同心に配置された出口開口部52が設けられている。既知の方法にて、出口開口部52の内側とコア53の外側との間に、環状断面を有するスロットが画定され、該スロットを通して高分子材料が管状形状を呈して流入する。必須ではないが好ましくは、出口開口部52は出口方向に沿って収束部を呈するようにする。コア53は、一続きの所定の長さにわたって出口開口部52から外方に突出している。
【0051】
図示されていない実施形態では、冷却装置20を押出ヘッド50に一体化することができ、特に、コア53および/または出口開口部52の表面用の冷却回路を含むことができる。この冷却回路は、出口開口部52の表面に僅かに接触するように、例えばコア53の内側に、または押出ヘッド50内に配置することができる。更なる可能な解決策では、冷却回路が押出ヘッド50の外側に配置される。
【0052】
本質的には、冷却装置20は、本明細書に開示された少なくとも1つまたは複数の冷却装置、即ち溶融装置10と供給導管51との間に配置されるか、または供給導管51に沿って配置される熱交換器2、および/または押出ヘッド50用の冷却回路を含むことができる。
【0053】
吹込手段は、流体を管状体H内に供給することができるように構成する。特に、吹込導管54は、コア53を貫通して空気が管状体H内に供給されることを可能にする。吹込導管54は、少なくとも部分的に供給導管51の内側に、特に供給導管51の第2のストレッチの内側に配置されており、供給導管51の外側に位置する空気の供給源に接続されるように構成されている。一般的に、押出ヘッド50は当業界で公知の装置である故に、これ以上詳細には説明しない。管状体H内に供給される流体は、例えば圧縮空気等の気体、または液体とすることができる。
【0054】
動作中、高分子材料は押出装置10内に押出され、押出装置10にて高分子材料をその溶融温度Tfよりも高い温度で加熱する。
【0055】
溶融された高分子材料は押出装置から冷却装置20内に進入し、そこで溶融された高分子材料は結晶化温度Tcよりは高いが溶融温度Tfよりも低い温度で冷却される。
【0056】
その後、溶融された高分子材料は、出口開口部52を通過して押出ヘッド50内に流入し、出口開口部52に沿って溶融された高分子材料が管状形状をとる。
【0057】
従って、装置1の内部において、押出装置10内で溶融された高分子材料の流れの経路を画定することが可能となる。この経路は、冷却装置20を通過して押出ヘッド50に到達する。図示した実施例において、問題となっている経路は、熱交換器2を含む冷却装置20を通過し、次いで、押出ヘッド50に沿って出口開口部52まで延在し、そこから管状体Tが排出される。
【0058】
装置1の経路部分、並びに高分子材料が押出装置から排出される圧力および速度は、高分子材料の流れが冷却領域から押出ヘッド50に向けて前進するようにする。
【0059】
公知の方法にて、管状体Hは押出ヘッド50の出口開口部52から一続きの所定の長さだけ下降する。所望の長さに達すると、2つの半分の型61、62に分割された金型60が管状体Hの周りを閉鎖する。金型60は、2つの半分の金型61、62が互いに当接する閉鎖構成にて画定される内部キャビティ65を含む。閉鎖構成では、金型60はキャビティ65と連通する開口部64を示す。開口部64は、開口部52から突出するコア53の一部と、コア53の周囲に配置された少なくとも一続きの管状体Hとを収容することが意図されている。開口部64とは反対の位置において、金型には、2つの半分の型61、62上に配置され、かつ管状体Hの底部を切断することを意図した2つの切断端縁63が設けられている。基本的に、金型60の閉鎖構成では、2つの切断端縁63が管状体Hの底部を切断し、それによって管状体Hの下端を閉鎖する。そのような条件下では、既知の方法による吹込導管54を通した空気の導入により、管状体Hの吹き込みを生じさせることで、金型60のキャビティ65に完全に付着することによって、その形状を成す。続いて、当技術分野で公知である故に詳細には図示されていない切断手段により、金型60の開口部64から突出する管状体Hの部分を切断する。
【0060】
管状体Hは、それを構成する高分子材料の溶融温度Tfよりも低いが、静的条件下で結晶が形成され始める結晶化温度Tcよりも高い温度Toにて金型に導入される。
【0061】
必須ではないが好ましくは、管状体Hを構成する高分子材料が金型60内で成形されている間、その温度を制御してもよく、例えば結晶化温度Tcよりも上または下に維持してもよい。管状体Hの温度は、例えば、管状体H内に注入される形成流体の温度を制御することによって、または金型60の温度あるいは金型60内に存在する周辺空気を制御することによって制御することができる。
【0062】
コア53および/または押出ヘッド50の出口開口部52の表面には、それぞれの中を冷却流体が循環する各々の冷却回路を設けることができる。成形される高分子材料の温度は結晶化温度Tcよりも低いが、冷却流体の温度、並びに冷却部分の温度は、結晶化温度Tcより低く、また著しく低くてもよい。
【0063】
本発明による装置1は、互いに同心の2つ以上の管状体H1、H2を押出すように構成されたバージョンにおいて特に有利である。
【0064】
2つの同心の管状体用に構成された押出ヘッド50を示す
図6に概略的に示されるように、特に、押出ヘッド50もまた、既知の方法で、互いに同心の2つ以上の管状体を押出すように構成することができる。同じ原理に基づいて、ヘッド50は、既知の方法で、3つ以上の同心の管状体を押出すように構成することができる。
【0065】
図6のヘッド50は、実質的に第2の溶融装置10aを含み、その下流側に第2の冷却装置20aを配置することができる。第2の溶融装置10aは、第1の出口開口部52と同心の第2の出口開口部52aと連通するように配置された第2の供給導管51aに供給する。このように、2つの互いに同心の出口開口部52、52aが画定され、そこから2つの互いに同心の管状体H、H1が押出される。外側管状体H1を押出すための第2のコア53aは、第1の開口部52を画定する壁によって実質的に画定されている。
【0066】
このようにして、例えば、異なる材料から2つ(またはそれ以上)の管状体を製造することが可能となり、この場合、各材料は他方の材料の温度とは異なり得る特定の温度に冷却される。押出ヘッド50に沿った押出中に、2つ以上の管状体(H、H1)は互いに結合される。これにより、例えば、各層が特定の物理化学的特性を有する多層の容器を製造することが可能となる。例えば、酸素および/または水分バリアに関して正確な特性を有する層に結合された機械的強度の正確な特性を有する層を製造することが可能となり、より多数の層についても同様のことが言える。
【0067】
各材料について既に説明した効果を得るために、異なる材料の流速および温度を互いに独立して調整してもよい。特に、異なる高分子材料を独立して冷却する能力は、既存の機械にて起こるものと比較して、材料自体の粘度のより広範かつより柔軟な管理を可能にし、それによって、より広い範囲の材料を使用することができ、従って性能およびコストを最適化することもできる。
【0068】
コア53および/または押出ヘッド50の第1の出口開口部52および第2の出口開口部52aの表面には、それぞれの中を冷却流体が循環する各々の冷却回路が設けられてもよい。これにより、金型60の入口における各材料の温度を正確に調整することができる。
【0069】
上記の方法および装置を用いて容器を製造することによって、既知の方法と比較してサイクル時間を実質的に短縮することが可能となる。
【0070】
この結果は、2つの異なる現象の相乗的な組み合わせに起因すると考えられる。
【0071】
一方、管状体H、H1を溶融温度Tfよりも低い温度で金型60内に挿入することにより、ブロー成形の結果として形成される物体を、物体を極度に変形させることなく金型から取り出して取り扱うことができる温度値まで冷却するのに必要な時間を短縮させることができる。
【0072】
他方で、高分子材料を金型60の上流側で高流速に曝露することにより、高分子材料の変形速度を増加させることが可能となり、従って、流動によって誘発される結晶化が、静止状態にて起こり得る静止結晶化に加えられる故に、結晶化の運動性を加速させることが可能となる。
【0073】
上述した2つの効果を合わせることにより、相乗効果がもたらされる。
【0074】
流動によって誘発される結晶化は、ブロー成形に通常使用される材料のような分子量が高い材料の場合に特に明白である。そのような材料は、一般的には、10,000ダルトンを超える原子質量値を有する。
【0075】
低温かつ高い変形速度で材料を加工することはまた、分子配向を向上させ、従って製造される物品の性能を向上させるのに役立つ。
【0076】
より高い結晶化および/またはより大きな分子配向により、材料はより耐久性を有するようになり、従って製造される物品の厚さ、即ち物品の製造コストを低減することも可能となる。
【0077】
冷却装置20により、押出装置から来る高分子材料の流れの温度を正確に制御することができ、それ故に、高分子材料を金型60内に導入する前の過度の結晶化を回避するのに役立つ。
【0079】
第一に、高分子材料を押出ヘッドに供給する前に、溶融温度より低くかつ結晶化温度より高い温度に高分子材料を冷却することにより、形成された物体を取り扱うことができ、従って損傷させることなく金型から取り外すことができる温度まで冷却するのに必要な時間を低減することができる。従って、サイクル時間を減少させる。
【0080】
この減少は、押出ヘッド内で採用することができる加工温度が低いほど、即ち高分子材料が押出ヘッド内で成形されている間の、高分子材料の温度が低いほど、ますます顕著となる。特に、押出ヘッド内で押し出されている間の高分子材料の温度は、結晶化開始温度より高い温度に保たれ、この温度にて、静的条件下で用量を構成する高分子材料中に結晶が形成され始める。
【0081】
高分子材料の流れに高い前進速度が採用されると、高分子材料中に存在する分子鎖は非常に攪拌された状態になり、これが分子鎖を結晶化状態に維持することをより困難にする。従って、結晶化開始温度が低下する結果、高分子材料は、金型内で成形されている間、比較的低い温度を有することができる。
【0082】
更に、高分子材料を急速に前進させると、高分子材料において流動誘起結晶化が起こり、即ち、結晶化の運動性が加速される結果、形成された物体はより迅速に、何らかの損傷を受けることなく金型から取り出されるのに十分な剛性を有する半結晶状態に達することができる。
【0083】
実際、高分子材料を冷却領域から金型に向けて急速に前進させたとしても、高分子材料の流れの中では、供給速度が速いために結晶化を完了できない早期結晶化核が依然として形成される。高い供給速度により、こうした核が規則正しく整列することを確実にし、その結果、核はブロー成形の間に急速に結晶化することができる。
【0084】
換言すると、形成された物体の結晶性および/または分子配向が増加する。
【0085】
既に前述したように、高分子材料の流れの供給速度を上げることにより、結晶化開始温度が低下する故、冷却領域内から押出ヘッドまでの平均的に低い温度を維持することも可能となる。これにより、より高い粘度を有し、従って粘着する傾向がより低い高分子材料をより容易に操作することが可能になる。その結果、押出ヘッドを簡素化することができる。
【0086】
高分子材料の早すぎる結晶化を引き起こすことなく、結晶化温度により近い温度での操作も可能となる。