(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る課金システムの実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。
【0025】
(全体構成)
課金システム100の全体構成について説明する。
課金システム100は、
図1に示すように、料金収受設備10と、中央決済処理装置70と、を有している。
【0026】
料金収受設備10は、有料道路である高速道路の出口料金所(料金形式によっては入口料金所)に設けられ、高速道路の利用者から、当該利用者が乗車する車両Aに関連した額の料金の収受を行うための設備である。
【0027】
車両Aは、出口料金所に設けられた課金システム100において高速道路側から一般道路側へと通じる車線LNを走行している。車線LNの両側にはアイランドILが敷設されており、料金収受設備10を構成する各種装置が設置されている。
【0028】
以下、車線LNが延在する方向(
図1における±X方向)を「車線方向」と記載し、また、車線LNの車線方向における高速道路側(
図1における+X方向側)を「上流側」と記載する。また、車線LNの車線方向における一般道路側(
図1における−X方向側)を「下流側」と記載する。
更に、車線LNの幅方向を車線幅方向(
図1における±Y方向)と称し、車両Aの車高方向を上下方向(
図1における±Z方向)と称する。
【0029】
図1に示すように、料金収受設備10は、車両判別システム20、進入側車両検知器91と、発進制御機92と、発進側車両検知器93と、を備える。
料金収受設備10は、出口料金所を通過しようとする車両Aとの間で無線による通信処理(以下、単に「無線通信」と表記)を行い、車両Aの車種に関連した課金処理を行う装置である。
【0030】
車両判別システム20は、撮影部30と、RFIDリーダ40(路側通信装置)と、課金通信処理装置50とを備える。
本実施形態では、料金収受設備10の各装置は、上流側から下流側に向かって、進入側車両検知器91、撮影部30、RFIDリーダ40、課金通信処理装置50、発進制御機92、発進側車両検知器93の順で路側に設けられている。
【0031】
図2に示すように、RFIDリーダ40は、走行する車両Aの上方に設置されている。
RFIDリーダ40は、後述するRFIDタグαとの間で無線通信を行い、RFIDタグαに書き込まれたRFID情報を受信する。
RFIDリーダ40は、所定周波数帯(UHF帯、マイクロ波周波数帯等)の電磁波を送受可能に形成されており、当該電磁波を介することで到来した車両Aに搭載されるRFIDタグαとの無線通信を行う。
【0032】
課金通信処理装置50は、料金収受設備10による一連の課金処理を司る処理部である。本実施形態では、後述するプログラムを実行することにより、コンピュータを課金通信処理装置50として機能させている。
【0033】
課金通信処理装置50は、撮影部30が撮影して取得した情報を、撮影部30から有線又は無線によって受信する。また課金通信処理装置50は、RFIDリーダ40が受信した情報を、RFIDリーダ40から有線又は無線によって受信する。
図1に示すように、課金通信処理装置50は、取得された情報や決定された課金額の情報等を、通信回線を介して遠隔地Jに設置された中央決済処理装置70(上位装置)に出力する。
【0034】
進入側車両検知器91は、アイランドIL上に設けられ、車線LNを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔及び受光塔を通じて、車線LNを走行する車両A(車体)の存在の有無を判定し、車両通過情報として車体一台分の所定位置の通過(進入)を検出する。
【0035】
発進制御機92は、車線LNの下流側に設けられ、車線LNを走行する車両Aの発進の制御を行う装置である。例えば、発進制御機92は、車両Aとの課金処理が正規に行われなかった場合には、車両Aの退出を制限すべく車線LNを閉塞する。また、発進制御機92は、車両Aに対する課金処理が正規に完了した場合には、車線LNを開放する。
本実施形態では、料金収受設備10は、発進制御機92を備えているが、車両Aの退出制限を必要としない場合は、料金収受設備10は、発進制御機92を備えなくてもよい。
【0036】
発進側車両検知器93は、車線LNの最も下流側に設けられ、車両Aの料金収受設備10からの退出を検知する。
【0037】
(撮影部の構成)
図2に示すように、撮影部30は、料金収受設備10に進入した車両Aの車体を進行方向前方側から撮影可能な位置に設けられている。撮影部30は、進入側車両検知器91から車両Aの進入が検知されると車両Aを前方側から撮影し、当該車両Aのナンバープレート及びRFIDタグαを含んだ画像データを取得する。
【0038】
(路側通信装置の構成)
図3に示すように、RFIDリーダ40は、リーダ本体41、RSSI検波器42及びアラーム検出部43を備える。
【0039】
リーダ本体41は、料金収受設備10に進入した車両Aに搭載されるRFIDタグαから、RFIDタグαに書き込まれたRFID情報を受信する。
【0040】
RSSI検波器42は、RFIDタグαからRFID情報を受信するときに、受信した電磁波のRSSI(受信信号強度)を計測する。
【0041】
図3に示すように、アラーム検出部43は、RFIDタグαが検出したタンパーアラーム情報を取得し、取得されたタンパーアラーム情報を課金通信処理装置50に送信する。
【0042】
例えば、
図4に示すように、本実施形態のRFIDタグαは、カード形状を有し、カード面の一方が粘着面αsとなったステッカータイプのRFIDタグである。RFIDタグαは、カード面全面にわたって入れられた切り込みPRCと、切れ込みPRCに跨って延びる複数のアラーム検出パターンPTTと、を有している。アラーム検出パターンPTTは、導電パターンで形成されている。RFIDタグαは、アラーム検出パターンPTTの点PAと点PBとの間の導通の有無を電気的に検出することによって、アラーム検出パターンPTTの切断の有無を検出し、「切断有り」又は「切断無し」とのタンパーアラーム信号を含むタンパーアラーム情報をアラーム検出部43に送信する。
【0043】
RFIDタグαは、一度貼り付けた後に強制的に剥がされると、切れ込みPRCを跨ぐ部分においてアラーム検出パターンが切断される。このとき、RFIDタグαは、「切断有り」を検出し、「切断有り」とのタンパーアラーム信号を生成する。
生成された「切断有り」とのタンパーアラーム信号を含むタンパーアラーム情報は、アラーム検出部43に送信される。
【0044】
図4では、点PAと点PBとの間において、複数のアラーム検出パターンPTTが並列に接続されている。変形例として、点PAと点PBとの間において、複数のアラーム検出パターンPTTは直列に接続されてもよい。他の変形例として、点PAと点PBとの間の複数のアラーム検出パターンPTTは、単一のアラーム検出パターンPTTでもよい。
【0045】
(課金通信処理装置の構成)
課金通信処理装置50は、CPU(Central Processing Unit)51を備える。CPU51は、
図3に示すように、料金決定部52、RFID情報取得部53、アラーム取得部54、外観情報取得部55、ポイント演算部56及び判定部57を機能的に備える。
また、外観情報取得部55は、車高情報取得部55A、車両番号取得部55B及びタグ外観取得部55Cを機能的に備える。
【0046】
本実施形態では、課金通信処理装置50は、後述するプログラムを実行することにより、CPU51を料金決定部52、RFID情報取得部53、アラーム取得部54、外観情報取得部55、ポイント演算部56及び判定部57として機能させている。さらに、課金通信処理装置50は、当該プログラムを実行することにより、外観情報取得部55を、車高情報取得部55A、車両番号取得部55B及びタグ外観取得部55Cとして機能させている。
【0047】
料金決定部52は、通行料金として、RFID情報取得部53が特定する後述の登録車種情報VCRに関連した額の料金を決定する。
本実施形態では、予め車種情報が、車種区分に関連付けられて課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されている。これにより、料金決定部52は、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されたデータにアクセスし、車種情報に関連付けられた車種区分を特定する。例えば、車種区分は、「軽自動車」、「普通車」、「中型車」、「大型車」及び「特大車」等に区分されている。
したがって、料金決定部52は、特定された車種区分に関連した額の料金を決定することができる。
【0048】
RFID情報取得部53は、RFIDリーダ40によって検出されるRFIDタグαに書き込まれたRFID情報を取得する。本実施形態では、RFIDタグαには、少なくとも他のRFIDタグと識別できるタグIDが書き込まれている。そのため、RFID情報取得部53は、タグIDを含むRFID情報を取得する。
【0049】
本実施形態では、タグIDは、予め登録された車種情報に関連付けられて課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されている。これにより、RFID情報取得部53は、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されたデータにアクセスし、取得されたタグIDに関連付けられた登録車種情報VCRを、RFID情報として特定する。
【0050】
アラーム取得部54は、RFIDリーダ40のアラーム検出部43からタンパーアラーム情報を取得する。
【0051】
外観情報取得部55は、RFIDリーダ40から複数の外観情報を取得する。詳しくは以下に示す。
【0052】
車高情報取得部55Aは、外観情報として、車両Aの推定車高情報を取得する。本実施形態では、推定車高情報として、最大RSSIを取得する。
車高情報取得部55Aは、RFIDリーダ40のRSSI検波器42から、RSSI検波器42が検出したRSSIのうち、最大RSSIを取得する。RSSIは、走行する車両AがRFIDリーダ40に近づくほど大きくなり、RFIDリーダ40の下方を通過するとき最大値となる。RFIDリーダ40の下方を通過した後、検出されるRSSIは、走行する車両AがRFIDリーダ40から離れるほど小さくなる。本実施形態では、車高情報取得部55Aは、RFIDリーダ40の下方を通過するとき最大値を信号処理によって特定し、最大RSSIとして取得する。
【0053】
車高情報取得部55Aは、さらに、最大RSSIから、車種情報VCXを特定する。本実施形態では、各車種の車両から取得しうる最大RSSIが、予め車種情報に関連付けられて課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されている。これにより、車高情報取得部55Aは、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されたデータにアクセスし、取得された最大RSSIに関連付けられた車種情報VCXを特定する。
【0054】
車両番号取得部55Bは、外観情報として、車両Aの車両番号情報を取得する。
本実施形態では、車両番号取得部55Bは、撮影部30から画像データを取得する。車両番号取得部55Bは、取得された画像データから、画像処理によって、画像データに映り込んだ車両Aのナンバープレートに記された車両番号を、検出車両番号DNMとして取得する。
【0055】
車両番号取得部55Bは、さらに、RFID情報取得部53が取得したタグIDから登録車両番号RNMを特定する。
本実施形態では、タグIDは、予め登録された車両番号に関連付けられて課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されている。これにより、車両番号取得部55Bは、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されたデータにアクセスし、取得されたタグIDに関連付けられた登録車両番号RNMを特定する。
【0056】
タグ外観取得部55Cは、外観情報として、RFIDタグαの外観情報を取得する。
本実施形態では、タグ外観取得部55Cは、撮影部30から画像データを取得する。タグ外観取得部55Cは、取得された画像データから、画像処理によって、画像データに映り込んだRFIDタグαの色パターン又は反射材パターンを、タグパターンTPNとして取得する。
【0057】
タグ外観取得部55Cは、取得されたタグパターンTPNから、車種情報VCYを特定する。本実施形態では、各車種のRFIDタグのタグパターンが、予め車種情報に関連付けられて課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されている。これにより、タグ外観取得部55Cは、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納されたデータにアクセスし、取得されたタグパターンTPNに関連付けられた車種情報VCYを特定する。
【0058】
例えば、「普通車」、「中型車」、「大型車」に関連付けられた色パターンが、それぞれ「赤」、「青」、「黄」である場合、タグパターンTPNとして「黄」の色パターンが抽出されたら、車種情報VCYは、「大型車」と特定される。
また、「普通車」、「中型車」、「大型車」に関連付けられた反射材パターンが、それぞれ「四角」、「三角」、「丸」である場合、タグパターンTPNとして「四角」の反射材パターンが取得されたら、車種情報VCYは、「普通車」と特定される。
【0059】
ポイント演算部56は、RFID情報と外観情報とを組み合わせた外観判定用情報を含む複数の判定用情報の各不当性を判定し、不当性に基づいてポイントを計算する。
本実施形態では、ポイント演算部56は、不当性として、タンパーアラーム情報に基づいて不当性ポイントP1を判定する。
さらに、ポイント演算部56は、各不当性として、推定車高情報に基づいて不当性ポイントP2を判定し、車両番号に基づいて不当性ポイントP3を判定し、RFIDタグの外観パターン情報に基づいて不当性ポイントP4を判定する。
【0060】
タンパーアラーム情報に基づく不当性ポイントP1の判定について詳しく説明する。
ポイント演算部56は、アラーム取得部54から、タンパーアラーム情報を判定用情報として取得する。
ポイント演算部56は、アラーム取得部54からアラーム情報として「切断有り」とのタンパーアラーム信号を取得しなかったら、不当性ポイントP1=0と判定する。ポイント演算部56は、「切断有り」とのタンパーアラーム信号を取得したら、不当性ポイントP1=1と判定する。
このため、一度貼り付けられた後、剥がされたことのないRFIDタグを載置している車両に比べて、不正な載せ替えによって剥がされたことのあるRFIDタグを載置している車両の方が、不当性ポイントP1が大きな値となる。
【0061】
推定車高情報に基づく不当性ポイントP2の判定について詳しく説明する。
ポイント演算部56は、車高情報取得部55Aで特定された車種情報VCX、及びRFID情報取得部53で特定された登録車種情報VCRを、外観判定用情報として取得する。ポイント演算部56は、取得された車種情報VCXと登録車種情報VCRとを比較する。
ポイント演算部56は、車種情報VCXと登録車種情報VCRとが一致すれば、不当性ポイントP2=0と判定する。ポイント演算部56は、車種情報VCXと登録車種情報VCRとが一致しなければ、不当性ポイントP2=1と判定する。
【0062】
例えば、大型車であるトラックは、普通車に比べて車高が大きいため、RFIDタグαは、普通車に載置された時に比べて、トラックに載置された時の方が、RFIDリーダ40に近づく。このため、普通車に載置された時に比べて、トラックに載置された時の方が、RFIDリーダ40のRSSI検波器42で計測されるRSSIは大きくなる。このため、車高情報取得部55Aは、車種情報VCXを「大型車」と特定する可能性が高くなる。
他方、RFIDタグαが普通車で登録されているので、登録車種情報VCRは「普通車」と特定される。
したがって、不正な載せ替えによって普通車のRFIDタグαを載置しているトラックは、不当性ポイントP2=1と判定され、不当性ポイントP2は大きな値となる。
【0063】
車両番号に基づく不当性ポイントP3の判定について詳しく説明する。
ポイント演算部56は、車両番号取得部55Bで特定された登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとを、外観判定用情報として取得する。ポイント演算部56は、取得された登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとを、情報処理により照合する。
ポイント演算部56は、登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとを照合し、登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとが一致すれば、不当性ポイントP3=0と判定する。ポイント演算部56は、登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとが一致しなければ、不当性ポイントP3=1と判定する。
【0064】
もし、車両AのRFIDタグαが他の車両に不正に載せ替えられ、RFIDタグαが搭載された他の車両が料金収受設備10を通過したとする。
この場合、登録車両番号RNMとして、タグIDに関連付けられた登録車両番号が特定される。
他方、検出車両番号DNMとして、他の車両のナンバープレートに記された車両番号が特定されるため、登録車両番号RNMと一致しなくなる。
したがって、不正に載せ替えられたRFIDタグαが搭載された他の車両は、検出車両番号DNMが登録車両番号RNMと一致しないため、不当性ポイントP3=1と判定され、不当性ポイントP3は大きな値となる。
【0065】
RFIDタグの外観情報に基づく不当性ポイントP4の判定について詳しく説明する。
ポイント演算部56は、タグ外観取得部55Cで特定された車種情報VCY、及びRFID情報取得部53で特定された登録車種情報VCRを、外観判定用情報として取得する。ポイント演算部56は、取得された車種情報VCYと登録車種情報VCRとを比較する。
ポイント演算部56は、車種情報VCYと登録車種情報VCRとが一致すれば、不当性ポイントP4=0と判定する。ポイント演算部56は、車種情報VCYと登録車種情報VCRとが一致しなければ、不当性ポイントP4=1と判定する。
【0066】
もし、車両AのRFIDタグαが他の車両に不正に載せ替えられ、RFIDタグαが搭載された他の車両の車種に合うように、RFIDタグαに対し、色パターンの塗り替え、色パターンの貼り替え、反射材パターンの貼り替え等といった不正な加工が施されたとする。
この場合、タグ外観取得部55Cは、塗り替えられた色パターン、貼り替えられた色パターン、貼り替えられた反射材パターン等に関連付けられた車種情報を、車種情報VCYとして特定する。
他方、RFID情報取得部53は、RFIDタグαのタグIDに関連付けられた車種情報を、登録車種情報VCRとして特定する。
このため、車種情報VCYと登録車種情報VCRが一致しなくなる。
したがって、不正に加工されたRFIDタグαが搭載された他の車両が、料金収受設備10を通過しようとすると、車種情報VCYと登録車種情報VCRが一致しなくなり、不当性ポイントP4=1と判定され、不当性ポイントP4は大きな値となる。
【0067】
ポイント演算部56は、不当性ポイントP1〜P4を積算して総合ポイントを計算する。
本実施形態では、総合ポイントPtを計算する演算を、以下の式(1)に示す。
【0068】
Pt=W1×P1+W2×P2+W3×P3+W4×P4・・・(1)
【0069】
ここで、W1〜W4は、各不当性ポイントP1〜P4の重み係数である。W1〜W4は、各不当性ポイントの重要度に関連して予め設定した値で課金通信処理装置50に格納されており、予め設定可能である。これにより、総合ポイントPtは、各不当性ポイントに重みをつけて計算される。
【0070】
判定部57は、ポイントに基づいて不正車両か否かを判定する。
本実施形態では、判定部57は、総合ポイントPtと予め設定された判定値Pvとを比較する。
比較の結果、判定部57は、総合ポイントPt>判定値Pvである場合、不正車両と判定する。判定部57は、総合ポイントPt>判定値Pvではない場合、正常車両と判定する。
判定値Pvは、課金通信処理装置50に予め格納され、予め設定可能である。
判定部57は、車両Aを不正車両と判定した場合、載置されるRFIDタグのタグIDを含む車両Aに関する情報を、不正車両として、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納することによって登録する。車両Aを不正車両と判定しなかった場合、載置されるRFIDタグのタグIDを含む車両Aに関する情報を、正常車両として、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に格納することによって登録する。
【0071】
(その他変形例)
本実施形態では、ポイント演算部56は、P1〜P4を0と1との2段階の値を判定しているが、変形例として、不当性の可能性に関連して3段階以上の値を判定してもよい。
例えば、不当性ポイントP1の場合、RFIDタグαが、複数のアラーム検出パターンPTTの切断を個別に検出し、複数のタンパーアラーム信号を含むタンパーアラーム情報を送信するものとする。この場合、ポイント演算部56は、「切断有り」とのタンパーアラーム信号の数に関連して、不当性ポイントP1を3段階以上の値で判定してもよい。これにより、ポイント演算部56は、不正な剥がしが繰り返されたRFIDタグほど不当性ポイントP1が大きくなるように、判定することができる。
また、不当性ポイントP3の場合、ポイント演算部56は、登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとの一致度に関連して、一致度が小さいほど不当性ポイントP3が大きくなるように3段階以上の値を判定する。
RFIDタグが載せ替えられた場合、登録車両番号RNMと検出車両番号DNMとの一致度は極めて小さくなる。そのため、ポイント演算部56は、撮影条件やナンバープレートの汚れ等による検出車両番号DNMの誤検出の場合に比べて、RFIDタグが載せ替えられた場合に不当性ポイントP3が大きくなるように、判定することができる。
【0072】
本実施形態では、RFID情報取得部53は、タグIDから登録車種情報VCRを特定しているが、変形例として、RFIDリーダ40が、RFIDタグに書き込まれた車種情報を取得するように構成してもよい。この場合、RFIDリーダ40によって検出された車種情報を、RFID情報取得部53が登録車種情報VCRとして取得する。
【0073】
本実施形態では、撮影部30が、RFIDリーダ40の上流に設けられているが、変形例として、撮影部30は、車線方向(±X方向)に関してRFIDリーダ40とほぼ同じ位置であって、Y方向に沿ってRFIDリーダ40と並ぶように設置されてもよい。他の変形例として、撮影部30は、RFIDリーダ40に内蔵されていてもよい。
【0074】
本実施形態では、ポイント演算部56は、不当性ポイントP1〜P4の全てを判定し、総合ポイントPtを計算しているが、変形例として、不当性ポイントP1〜P4のうち、少なくとも複数の不当性ポイントを判定し、総合ポイントPtを計算してもよい。
他の変形例として、不当性ポイントP1〜P4以外の他の不当性の判定を組み合わせてもよい。
【0075】
本実施形態では、RFID情報取得部53、アラーム取得部54、外観情報取得部55、ポイント演算部56及び判定部57が、課金通信処理装置50に設けられているが、変形例として中央決済処理装置70に設けられてもよい。この場合、RFID情報取得部53、アラーム取得部54、外観情報取得部55、ポイント演算部56及び判定部57の全て又はいずれかが、中央決済処理装置70に設けられてもよい。
【0076】
(課金方法)
本発明に係る課金方法の一実施形態について、課金システム100を用いて説明する。課金方法は、RFIDタグαが取り付けられて走行する車両Aに対して、RFIDタグαと無線通信することで車両Aに関する課金処理を行う。
【0077】
図5に示すように、RFID情報取得部53は、RFIDリーダ40から、RFIDタグαに書き込まれたタグIDをRFID情報として取得する(ST1:RFID情報取得ステップ)。
【0078】
次に、アラーム取得部54は、RFIDリーダ40から、RFIDタグαが生成するタンパーアラーム情報を取得する(ST2:アラーム取得ステップ)。
【0079】
次に、外観情報取得部55は、RFIDリーダ40から、RFIDタグα又は車両Aの車両本体に関する外観情報を取得する(ST3:外観情報取得ステップ)。具体的には、車高情報取得部55Aが、RFIDタグαからの受信信号強度RSSIに基づく最大RSSI(推定車高情報)を取得し、車両番号取得部55Bが、画像処理によって車両Aの検出車両番号DNMを取得し、タグ外観取得部55Cが、画像処理によってタグパターンTPN(外観パターン)を取得する。
【0080】
次に、ポイント演算部56は、RFID情報と外観情報とを組み合わせた外観判定用情報を含む複数の判定用情報を取得する。ポイント演算部56は、取得されたRFID情報と外観情報とを組み合わせた外観判定用情報を含む複数の判定用情報によって、不当性ポイントP1〜P4を判定し、不当性ポイントP1〜P4及び重み係数W1〜W4に基づいて総合ポイントPtを計算する(ST4:ポイント演算ステップ)。
【0081】
次に、判定部57は、総合ポイントPtと予め設定された判定値Pvとを取得する。判定部57は、取得された総合ポイントPtと判定値Pvとに基づいて不正車両か否かを判定する(ST5:ポイント判定ステップ)。具体的には、総合ポイントPtと判定値Pvとを比較する。
比較の結果、総合ポイントPt>判定値Pvである場合(ST5:YES)、判定部57は、車両Aを不正車両と判定し、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に不正車両として登録する(ST6:不正車両登録ステップ)。その際、載置されるRFIDタグαのタグIDを含む車両Aに関する情報を、不正車両として登録する。
比較の結果、総合ポイントPt>判定値Pvではない場合(ST5:NO)、判定部57は、車両Aを正常車両と判定し、課金通信処理装置50又は中央決済処理装置70に正常車両として登録する(ST7:不正車両登録ステップ)。その際、載置されるRFIDタグαのタグIDを含む車両Aに関する情報を、正常車両として登録する。
【0082】
本実施形態の課金方法は、車両Aが料金収受設備10を通過している最中に実施されてもよいし、料金収受設備10を通過した後に実施されてもよい。
本実施形態の課金方法は、アラーム取得ステップST2の次に外観情報取得ステップST3を実施しているが、外観情報取得ステップST3の次にアラーム取得ステップST2を実施してもよいし、同時に実施してもよい。
【0083】
(ハードウェア構成)
また、上述の実施形態における課金通信処理装置50のハードウェア構成の例について説明する。
図6は課金通信処理装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6に示すように、課金通信処理装置50は、CPU51に加え、メモリ510と、記憶/再生装置520と、IO I/F(Input Output Interface)530と、通信I/F(Interface)540と、をさらに備える。
【0084】
メモリ510は、課金通信処理装置50のプログラムで使用されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の媒体である。
記憶/再生装置520は、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置である。
IO I/F530は、課金通信処理装置50と、料金収受設備10の各装置との間で情報等の入出力を行うためのインターフェースである。
通信I/F540は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、課金通信処理装置50と、中央決済処理装置70との間で通信を行うインターフェースである。
【0085】
(作用及び効果)
本実施形態の作用及び効果について説明する。
課金システム100は、RFID情報と外観情報とを組み合わせた外観判定用情報を含む複数の判定用情報の各不当性をポイント制で判定している。
そのため、課金システム100は、1つの外観情報に頼らず複数の判定用情報からRFIDタグの不正使用を行っている車両を判定することができる。
したがって、課金システム100は、RFIDタグの不正使用を行っている車両を推定できる。
【0086】
課金システム100は、RFID情報から登録車種情報VCRを特定するために、車両本体の形状を計測するセンサを追加しなくても不正車両を判定することができる。
【0087】
課金システム100は、不当性ポイントP1〜P4を積算して総合ポイントPtを計算するため、課金システム100は、各不当性を総合して判定することができる。
また、課金システム100は、不当性ポイントP1〜P4に重みをつけるため、課金システム100は、各不当性に重みをつけて判定することができる。
課金システム100では、判定値Pv及び重み係数が設定可能であるため、本実施形態の運用実態に合わせた判定が可能となる。
【0088】
タンパーアラーム情報に基づいてポイントを計算するため、課金システム100は、過去にRFIDタグが剥がされたことがあるかどうかを検出することができる。
そのため、課金システム100は、載せ替えのために不正に剥がされたことあるRFIDタグが搭載された不正車両を判定することができる。
【0089】
この場合、RFIDタグの載せ替えは、即不正車両と判定しないようにしてもよい。即不正車両と判定しないようにすれば、例えば、同車種間でのRFIDタグの載せ替えのようなRFIDタグの載せ替えを、不正としない運用を許容できる。
【0090】
外観情報として推定車高情報を取得するため、課金システム100は、RFID情報によって特定される車種と異なる車高を有する不正車両を判定することができる。
【0091】
外観情報として車両番号を取得するため、課金システム100は、RFID情報によって特定される車両番号と異なる車両番号と異なる車両番号を有する不正車両を判定することができる。
【0092】
外観情報としてRFIDタグの外観を取得するため、課金システム100は、記録された情報と外観が異なるRFIDタグを載置する不正車両を判定することができる。
【0093】
なお、上述の各実施形態においては、課金通信処理装置の各種機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、上述した各CPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、課金通信処理装置の各種機能が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。