(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2制御状態は、前記第1制御状態に比して、前記車両の挙動変化が発生しにくい、または前記車両の周辺に存在する障害物に対する前記車両の回避の余裕度を上昇させる制御状態である、
請求項1記載の車両制御システム。
前記自動運転制御部は、前記乗員の姿勢が定常姿勢から逸脱する程度に基づいて、前記車両の挙動変化が発生しにくい程度、または前記車両の周辺に存在する障害物に対する前記車両の回避の余裕度を上昇させる程度の調整を行う、
請求項2記載の車両制御システム。
前記自動運転制御部は、前記予め設定された基準領域の範囲外に存在する前記乗員の体の所定の部位の数が多い程、または前記予め設定された基準領域の範囲外に存在する前記乗員の体の領域が大きい程、前記第2制御状態においてより前記車両の挙動変化が発生しにくく、または前記車両の周辺に存在する障害物に対する前記車両の回避の余裕度を上昇させるように制御する、
請求項4に記載の車両制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下、必要に応じてXYZ座標を用いて説明する。プラスX方向は、車両の進行方向であり、プラスY方向は、進行方向に対して略直角に交わり、且つ車両の進行方向に対して左側の方向である。プラスZ方向は、XY方向に交差する方向であり、略鉛直方向とは反対方向である。
【0027】
<第1の実施形態>
[全体構成]
図1は、自動運転制御ユニット100を含む車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0028】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、ナビゲーション装置50と、MPU(Micro-Processing Unit)60と、車両センサ70と、運転操作子80と、車室内カメラ82と、シート駆動部84と、シート86と、シート状態検知センサ88と、自動運転制御ユニット100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0029】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0030】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0031】
ファインダ14は、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
【0032】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御ユニット100に出力する。
【0033】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0034】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0035】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ70の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。経路決定部53により決定された経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された経路を取得してもよい。
【0036】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに目標車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0037】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
【0038】
また、第2地図情報62には、入口料金所や出口料金所などのゲート構造を示す情報が記憶されている。ゲート構造を示す情報は、例えば、料金所に設けられたゲートの数や、ゲートの位置を示す情報、ゲートの種別を示す情報(ETC専用ゲート、一般ゲートなどの情報)である。
【0039】
車両センサ70は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0040】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイールその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御ユニット100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力される。
【0041】
車室内カメラ82は、車室内の風景を撮像する。車室内カメラ82の撮像画像は、自動運転制御ユニット100Aに出力される。なお、車室内カメラ82は、1台に限らず、複数台車室内に設けられてもよい。
【0042】
シート駆動部84、シート86、およびシート状態検知センサ88の詳細については後述する。
【0043】
自動運転制御ユニット100は、例えば、第1制御部120と、シート状態認識部130と、乗員姿勢認識部132と、制御状態調整部134と、第2制御部140と、記憶部150とを備える。第1制御部120、シート状態認識部130、乗員姿勢認識部132、制御状態調整部134、および第2制御部140の一部または全部は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。記憶部150は、HDDやフラッシュメモリにより実現される。記憶部150には、後述する、シート状態情報152、基本姿勢情報154、および制御状態調整情報156が格納されている。
【0044】
第1制御部120は、例えば、外界認識部121と、自車位置認識部122と、行動計画生成部123とを備える。
【0045】
外界認識部121は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。周辺車両の位置は、その周辺車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、周辺車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、周辺車両の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、外界認識部121は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。
【0046】
自車位置認識部122は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)、並びに走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢を認識する。自車位置認識部122は、例えば、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
【0047】
そして、自車位置認識部122は、例えば、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。
図2は、自車位置認識部122により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢が認識される様子を示す図である。自車位置認識部122は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部122は、走行車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。自車位置認識部122により認識される自車両Mの相対位置は、推奨車線決定部61および行動計画生成部123に提供される。
【0048】
行動計画生成部123は、制御状態調整部134の処理結果に基づいて、以下に説明するように自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。行動計画生成部123は、推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行するように、且つ、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自動運転において順次実行されるイベントを決定する。イベントには、例えば、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、前走車両に追従する追従走行イベント、車線変更イベント、合流イベント、分岐イベント、緊急停止イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのハンドオーバイベント、料金所を通過するときに実行される料金所イベント(後述)などがある。また、これらのイベントの実行中に、自車両Mの周辺状況(周辺車両や歩行者の存在、道路工事による車線狭窄など)に基づいて、回避のための行動が計画される場合もある。
【0049】
行動計画生成部123は、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとに将来の基準時刻を複数設定し、それらの基準時刻に到達すべき目標地点(軌道点)の集合として生成される。このため、軌道点同士の間隔が広い場合、その軌道点の間の区間を高速に走行することを示している。
【0050】
図3は、推奨車線に基づいて目標軌道が生成される様子を示す図である。図示するように、推奨車線は、目的地までの経路に沿って走行するのに都合が良いように設定される。行動計画生成部123は、推奨車線の切り替わり地点の所定距離手前(イベントの種類に応じて決定されてよい)に差し掛かると、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベントなどを起動する。各イベントの実行中に、障害物を回避する必要が生じた場合には、図示するように回避軌道が生成される。
【0051】
行動計画生成部123は、例えば、目標軌道の候補を複数生成し、安全性と効率性の観点に基づいて、その時点での最適な目標軌道を選択する。
【0052】
シート状態認識部130、乗員姿勢認識部132、および制御状態調整部134の処理の詳細については後述する。
【0053】
第2制御部140は、走行制御部141を備える。走行制御部141は、行動計画生成部123によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0054】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、走行制御部141から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0055】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、走行制御部141から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、走行制御部141から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0056】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、走行制御部141から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0057】
[シートの状態の認識処理]
図4は、自車両Mのシート86の状態の一例を示す図である。シート86は、例えばステアリングホイールSTが設けられた運転席側のシートである。シート86は、座部(シートクッション)86Aと、背もたれ部(シートバック)86Bとを備える。座部86Aは、車室内の床面に対して移動可能である。背もたれ部86Bは、Y軸方向に沿った回転軸Rを中心に回転する。
図4(B)は、
図4(A)に対して、背もたれ部86Bが所定角度傾斜し、シート86がマイナスX方向に所定距離移動した状態を示している。なお、シート86は、例えばHMI30に対して所定の操作がされることによって制御される。
【0058】
シート駆動部84は、車室内のシート86の状態を制御する複数の駆動部(モータ)を含む。シート駆動部84は、例えば動力伝達機構を介して、発生させた駆動力をシート86に伝達する。シート86の状態とは、例えば、シート86の背もたれ部86Bの傾斜度合(例えば
図4(A)のθ、
図4(B)のθ1)、またはシート86の座部86Aの位置である。シート駆動部84は、シート86の背もたれ部86Bを傾斜させるリクライニング機構に動力を与えて、背もたれ部86Bの傾斜度合を制御する。
【0059】
座部86Aの位置とは、車室内の床面の基準位置Sに対する座部86AのX方向の位置S1である。シート86の座部86Aの床面側には、シート駆動部84により出力される動力によって回転可能な車輪Wが設けられている。また、車室内の床面には、車輪WをX方向に案内するレール機構Raが設けられている。シート駆動部84は、シート86の座部86Aの車輪Wを回転させて、シート86をレール機構Raに沿った方向に移動させる。なお、シート86およびレール機構Raは、X方向に限らず、Y方向に移動可能に設けられてもよい。
【0060】
シート状態検知センサ88は、シート状態検知センサ88Aおよび88Bを含む。シート状態検知センサ88Aは、背もたれ部86Bの回転軸Rの回転角を検知し、検知結果をシート状態認識部130に出力する。シート状態検知センサ88Bは、車輪Wを回転させるシート駆動部84(モータ)の回転角を検知し、検知結果をシート状態認識部130に出力する。なお、車室内カメラ90は、例えば、横方向(マイナスY方向)から運転者を撮像する。
【0061】
シート状態認識部130は、シート状態検知センサ88Aの検知結果に基づいて、背もたれ部86Bの傾斜度合を認識する。シート状態認識部130は、シート状態検知センサ88Bの検知結果に基づいて、基準位置Sに対するシート86の位置を認識する。なお、記憶部150には、シート状態検知センサ88Aの検知結果を、背もたれ部86Bの傾斜度合に変換するための変換情報、およびシート状態検知センサ88Bの検知結果を、シート86の位置に変換するための変換情報が記憶されている。シート状態認識部130は、上記の変換情報を参照して、シート状態検知センサ88の検知結果を背もたれ部86Bの傾斜度合、または基準位置Sに対するシート86の位置を認識する。
【0062】
また、シート状態認識部130は、シート状態情報152を参照して、シート状態検知センサ88の検知結果に基づいて、シート86の状態のタイプを決定する。
図5は、シート状態情報152の情報の内容を示す図である。シート状態情報152には、シート86の状態のタイプに対して、シート状態検知センサ88Aの検知結果、およびシート状態検知センサ88Aの検知結果が対応付けられた情報である。例えば、シート状態認識部130は、
図5(A)に示すシート86の状態において、シート状態検知センサ88の検知結果を取得した場合、シート86の状態はタイプAであると認識する。シート状態認識部130は、
図5(B)に示すシート86の状態において、シート状態検知センサ88の検知結果を取得した場合、シート86の状態はタイプAとは異なるタイプであると認識する。なお、タイプAは、シート86の基準状態である。
【0063】
[乗員の姿勢の認識処理]
乗員姿勢認識部132は、基本姿勢情報154を参照して、車室内カメラ90により撮像された画像に基づいて、基準領域内に乗員が存在するか否かを判定する。基準領域とは、例えばシート86の基準状態に対して設定された乗員の基準位置に、所定の余剰領域を付加した基準領域である。
図6は、基本姿勢情報154の情報の内容を示す図である。基本姿勢情報154には、車室内カメラ90による撮像画像平面における基準領域を示す情報(座標)が記憶されている。
【0064】
図7は、基準領域の一例を示す図である。
図7(A)に示すように、乗員の基準位置は、シート86が基準状態である場合に、乗員がシート86に着座したときにおける乗員の通常の姿勢に対応する乗員の身体の位置である。基準領域は、その乗員の身体を包含する領域である。乗員が基準領域から逸脱している状態は、「乗員が定常姿勢とは異なる非定常姿勢である第1状態」の一例である。
【0065】
乗員姿勢認識部132は、車室内カメラ90により撮像された画像を解析して画像上における乗員の身体の位置を認識する。乗員姿勢認識部132は、基本姿勢情報154に記憶された基準領域ARの範囲外に存在する乗員の身体、および基準領域の範囲内に存在する乗員の身体を認識する。そして、乗員姿勢認識部132は、乗員の身体の(画像上の)領域に対する基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域の度合を示す逸脱指標を導出する。例えば、乗員姿勢認識部132は、
図7(B)に示すように基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域AR1(網掛けで示すAR2およびAR3)を示す逸脱指標を導出する。逸脱指標は、例えば、車室内カメラ90による撮像画像における基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域が大きいほど、大きい傾向を示す。例えば、乗員の体のうち予め設定された基準領域の範囲外に存在する部分の割合が所定以上である状態が、「第1状態」の一例である。
【0066】
また、逸脱指標は、基準領域ARから乗員の身体が逸脱している数に基づいて導出されてもよい。逸脱している数とは、例えば、基準領域ARから逸脱している身体の部位の数である。乗員姿勢認識部132は、例えば、予め記憶部150に記憶された乗員(人間)の各部位の形状を示す情報を参照して、画像における乗員の部位がどの部位であるかを特定する。そして、乗員姿勢認識部132は、特定した部位ごとに、その部位が基準領域ARを逸脱しているか否かを判定する。例えば、乗員姿勢認識部132は、足、頭、体、および腕が基準領域ARを逸脱している場合、逸脱している数は「4」と判定し、判定した数に応じた指標を導出する。部位は、例えば頭や、体、腕、足、お尻などの分類であってもよいし、これより細かい分類であてもよい。また、逸脱しているとは、部位の全部が逸脱していることであってもよいし、部位のうち所定の割合が逸脱していることであってもよい。逸脱指標は、例えば基準領域ARから逸脱している乗員の身体の部位の数が多いほど、大きい傾向を示す。なお、逸脱指標は、基準領域ARから逸脱している部位ごとに定められてもよい。例えば、逸脱した部位に対して重要度が設定され、重要度の高い部位が逸脱している場合は逸脱指標が高く導出されもよい。
【0067】
なお、上述した例では、マイナスY方向から撮像された画像に基づいて、逸脱指標が導出される例について説明したが、これに限られない。乗員姿勢認識部132は、例えばプラス(またはマイナス)X方向や、マイナスY方向、プラスZ方向から撮像された画像に基づいて、逸脱指標を導出してもよい。この場合、例えば、基本姿勢情報154には、各方向から撮像された撮像画像平面に対応する基準領域が記憶されている。乗員姿勢認識部132は、各方向から撮像された画像ごとに、基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域の度合を示す逸脱指標を導出する。乗員姿勢認識部132は、導出した逸脱指標を統計的に処理して(例えば平均化して)、後述する処理に用いる逸脱指標を導出する。
【0068】
[制御状態の調整処理]
制御状態調整部134は、制御状態調整情報156を参照して、シート状態認識部130の認識結果、および乗員姿勢認識部132の認識結果に基づいて、運動状態を低下させる度合を示す指標を導出すると共に、車線変更・分岐・合流の許可または禁止を決定する。運動状態を低下させるとは、例えば車両の加速度またはジャークを低下させることや、車両の速度を低下させること、車両の操舵角の変化量を低下させること等である。運動状態を低下させた状態、または車線変更・分岐・合流を禁止する状態は、「第2制御状態」の一例である。また、第2制御状態は、例えば、乗員の姿勢が第1状態(または後述する第2状態)でない場合の第1制御状態に比して、前走車両との車間距離を大きくする状態や、追従対象の車両を、追従対象の車両に比して速度の遅い車両に変更する状態ことであってもよい。
【0069】
図8は、制御状態調整情報156の内容の一例を示す図である。制御状態調整情報156には、シート86の状態および逸脱指標に対して、運動状態を低下させる度合を示す指標と、車線変更・分岐・合流を許可または禁止するかを示す情報とが対応付けられている。運動状態の低下度合を示す指標は、例えば逸脱指標が大きくなる程、大きくなる。また、運動状態の低下度合を示す指標は、シート86の状態がシートの状態が基準状態とは異なる場合、基準状態である場合に比して大きくなる。なお、制御状態調整情報156において、シート86の状態または逸脱指標のどちらか一方に対して、運動状態を低下させる度合を示す指標と、車線変更・分岐・合流を許可または禁止するかを示す情報が対応付けられていてもよい。また、制御状態調整情報156において、運動状態を低下させる度合を示す指標は省略され、車線変更、分岐、または合流を許可あるいは禁止する情報が対応付けられていてもよい。また、制御状態調整情報156において、分岐、または合流を許可あるいは禁止する情報は省略されてもよい。
【0070】
図9は、制御状態調整情報156Aの内容の他の一例を示す図である。制御状態調整情報156には、シート86の状態、基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域の度合を示す逸脱指標、および逸脱している部位の数に対して、運動状態を低下させる度合を示す指標と、車線変更・分岐・合流を許可または禁止するかを示す情報とが対応付けられてもよい。運動状態の低下度合を示す指標は、例えば逸脱指標または逸脱している部位の数が大きくなる程、大きくなる。なお、制御状態調整情報156Aにおいて、逸脱指標の項目は省略されてもよい。
【0071】
[フローチャート]
図10は、自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、シート状態認識部130が、シート状態情報152を参照して、シート状態検知センサ88Aの検知結果、およびシート状態検知センサ88Bの検知結果に基づいて、シート86の状態(タイプ)を認識する(ステップS100)。次に、乗員姿勢認識部132は、基本姿勢情報154を参照して、車室内カメラ90により撮像された画像に基づいて、基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域の度合を示す逸脱指標を導出する(ステップS102)。
【0072】
次に、制御状態調整部134は、制御状態調整情報156を参照して、シート状態認識部130の認識結果、および乗員姿勢認識部132の認識結果に基づいて、運動状態を低下させる度合を示す指標を導出すると共に、車線変更の許可または禁止を決定する(ステップS104)。
【0073】
次に、行動計画生成部123は、ステップS104で導出された指標、および決定された車線変更の許可または禁止に基づいて、行動計画を生成する(ステップS106)。例えば、行動計画生成部123は、制御状態調整部134により車線変更を禁止することが決定された場合、車線変更を行わない行動計画を生成する。
【0074】
また、行動計画生成部123は、制御状態調整部134により導出された指標に基づいて、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。具体的には、行動計画生成部123は、シート86が基準状態であり、且つ乗員の身体が基準領域ARから逸脱していない場合を除き、運動状態の低下度合を示す指標に応じた目標軌道を生成する。この目標軌道は、シート86が基準状態であり、且つ乗員の身体が基準領域ARから逸脱していない場合に比して、運動状態が低下するように自車両Mが挙動する目標軌道である。運動状態の低下するように自車両Mが挙動する目標軌道とは、例えば、シート86が基準状態であり、且つ乗員の身体が基準領域ARから逸脱していない場合に比して、車速を低下させる目標軌道である。そして、自動運転制御ユニット100は、行動計画生成部123により生成された目標軌道に基づいて、自車両Mを制御する(ステップS108)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0075】
また、行動計画生成部123は、乗員の身体が基準領域ARから逸脱している場合、前走車両との車間距離を大きくする目標軌道を生成してもよい。また、行動計画生成部123は、自車両Mが前走車両を追従している状態において、追従対象の車両を、追従対象の車両に比して速度の遅い車両に変更する目標軌道を生成してもよい。これらの目標軌道の生成は、「第2制御状態」の一例である。なお、上述したような「第2制御状態」を示す情報は、制御状態調整情報156において、シート86の状態および逸脱指標に対して対応付けられてもよい。
【0076】
上述したように、自動運転制御ユニット100が、シート86の状態、および乗員の姿勢に基づいて、第1制御状態に比して自車両Mをより自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物(例えば車両や物体)に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することにより、乗員の状態に合わせて自車両Mの制御状態を適切に制御することができる。
【0077】
また、上述した例では、基準領域ARは、シート86が基準状態に対して設定されていたが、基準領域ARは、基本姿勢情報154においてシート86の状態ごとに設定されてもよい。この場合、乗員姿勢認識部132は、基本姿勢情報154を参照して、車室内カメラ90により撮像された画像に基づいて、基準領域ARから逸脱している乗員の身体の領域の度合を示す逸脱指標を導出する。
図11は、シート86の状態ごとに設定された基準領域ARを含む基本姿勢情報154Aの一例を示す図である。
【0078】
以上説明した第1の実施形態では、自動運転制御ユニット100が、乗員姿勢認識部132の認識結果に基づいて、乗員が定常姿勢とは異なる非定常姿勢である第1状態であると判定した場合に、自車両Mの制御状態を第1状態でないと判定した場合の第1制御状態に比して、より自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することにより、乗員の状態に合わせて自車両Mの制御状態を適切に制御することができる。
【0079】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、自動運転制御ユニット100が、乗員が定常姿勢とは異なる非定常姿勢である第1状態である場合に、自車両Mの制御状態を第1制御から第2制御状態に変更するものとした。これに対して、第2の実施形態では、自動運転制御ユニット100が、乗員の身体に所定の安全装置が装着されていない第2状態である場合に、自車両Mの制御状態を第1制御から第2制御状態に変更する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0080】
図12は、第2の実施形態の車両システム1Aの機能構成を示す図である。
図11では、第1の実施形態で示した自動運転制御ユニット100以外の機能構成を省略している。車両システム1Aは、第1の実施形態の車両システム1の機能構成に加え、更に安全装置92と、装着検知部94とを備える。また、車両システム1Aは、制御状態調整部134、および制御状態調整情報156に代えて、それぞれ制御状態調整部134A、および制御状態調整情報156Bを備える。なお、第2の実施形態の車両システム1Aは、シート状態検知センサ88、自動運転制御ユニット100のシート状態認識部130、乗員姿勢認識部132、シート状態情報152、および基本姿勢情報154は省略されてよい。
【0081】
安全装置92は、例えばシートベルトである。装着検知部94は、シートベルトのバックルにタングが挿入されているか否かを検知し、検知結果を自動運転制御ユニット100に出力する。
【0082】
制御状態調整部134Aは、制御状態調整情報156Bを参照して、乗員が安全装置92を装着していない場合、乗員が安全装置92を装着している場合に比して、自車両Mの制御状態を第1制御状態に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御する。
【0083】
図13は、第2の実施形態の自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御状態調整部134Aは、装着検知部94の検知結果に基づいて、安全装置92が乗員に装着されているか否かを判定する(ステップS200)。安全装置92が装着されている場合、行動計画生成部123は、外界認識部121により認識された自車両Mの周辺状況に基づいて、行動計画を生成する(ステップS202)。
【0084】
安全装置92が装着されていない場合、制御状態調整部134Aは、制御状態調整情報156Bを参照して、運動状態の低下を示す指標、車線変更の許可または禁止を示す情報を導出する(ステップS204)。
図14は、制御状態調整情報156Bの内容の一例を示す図である。制御状態調整情報156Bは、安全装置92の装着の有無に対して、運動状態の低下度合を示す指標、および車線変更の許可または禁止の情報が対応付けられた情報である。
【0085】
次に、行動計画生成部123は、制御状態調整部134Aにより導出された指標、車線変更の許可または禁止を示す情報、および外界認識部121により認識された自車両Mの周辺状況に基づいて、行動計画を生成する(ステップS206)。そして、自動運転制御ユニット100は、行動計画生成部123により生成された行動計画に基づいて、自車両Mを制御する(ステップS208)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0086】
上述した処理により、自動運転制御ユニット100が、安全装置92の装着状態に基づいて、自車両Mの制御状態を調整することにより、乗員の状態に合わせて自車両Mの制御状態を適切に制御することができる。
【0087】
以上説明した第2の実施形態によれば、自動運転制御ユニット100が、車両内の乗員の状態を検知する装着検知部94の検知結果に基づいて、乗員の身体に所定の安全装置92が装着されていない第2状態であると判定した場合に、自車両Mの制御状態を第2状態でないと判定した場合の第1制御状態に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することにより、乗員の状態に合わせて車両の制御状態を適切に制御することができる。また、自車両Mが第2制御状態に制御されることを乗員が希望しない場合は、乗員は安全装置92を装着することで、自車両Mが第2制御状態に制御されることを回避することができる。
【0088】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について説明する。第2の実施形態では、安全装置92は、シートベルトであるものとして説明した。これに対して、第3の実施形態では、安全装置92は、エアバック付きジェケットであるものとして説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0089】
図15は、エアバック付きジャケット300の外観を示す図である。エアバック付きジャケット(ジャケットエアバック)300とは、ジャケット本体にインフレータ302、点火回路304、およびインフレータから出力されたガスで展開するエアバック306が取り付けられたものである。ジャケットエアバック300は、ジャケットエアバックを着用した乗員に所定の加速度が生じた場合に、エアバック306を展開させる。例えば、ジャケットエアバック300は、所定の連結機構308を有し、この連結機構308が車両に設けられた牽引線Lに連結される。車両には、牽引線Lのたるみ度合を制御する巻取り装置89が設けられている。例えば、乗員は、巻取り装置89により巻かれた状態の牽引線Lを引っ張り出して、連結機構308に連結させる。所定未満の引っ張り力で牽引線Lが引っ張られた場合、巻取り装置89は、引っ張り力に応じて牽引線Lが所定の張り具合になるように制御する。所定以上の加速度で牽引線Lが引っ張られた場合、巻取り装置89は、牽引線Lをロックする。すなわち牽引線Lが連結機構308に連結された状態でジャケットエアバック300を装着した乗員に所定以上の加速度が生じると、牽引線Lがロックされる。そうすると、乗員が牽引線Lから離れる方向に移動することにより、連結機構308は車両から分断される。そして、この分断が電気的に検出されることによって、インフレ―タが点火してエアバックが展開される。
図15(A)は、エアバックが展開される前のジャケットエアバック300を示し、
図15(B)は、エアバックが展開された後のジャケットエアバック300を示している。
【0090】
なお、乗員が牽引線Lを連結機構308に連結させる際に巻取り装置89により巻き取られた牽引線Lが引っ張り出されると、装着検知部94は、ジャケットエアバックに牽引線Lが連結されたことを検知する。また、安全装置92の装着は、HMI30に対して乗員により入力された情報に基づいて検知されてもよいし、車室内カメラ90の画像が解析されることにより検知されてもよい。
【0091】
制御状態調整部134Aは、装着検知部94の検知結果に基づいて、安全装置92が乗員に装着されているか否かを判定する。安全装置92が装着されていない場合、制御状態調整部134Aは、制御状態調整情報156Bを参照して、運動状態の低下を示す指標、車線変更の許可または禁止を示す情報を導出する。行動計画生成部123は、制御状態調整部134Aにより導出された指標、および外界認識部121により認識された自車両Mの周辺状況に基づいて、行動計画を生成する。
【0092】
なお、制御状態調整情報156Bにおいて、複数の安全装置92の装着が考慮されてもよい。例えば、シートベルト、およびジャケットエアバック300のそれぞれの装着の有無に対して、運動状態の低下度合を示す指標等が対応付けられていてもよい。運動状態の低下度合を示す指標は、安全装置92が装着されている場合(または安全装置92が装着されている数が多い程)、低い傾向である。また、運動状態の低下度合を示す指標は、シートベルトが装着され、且つジャケットエアバック300が装着されていない場合、シートベルトが装着されずに、且つジャケットエアバック300が装着されている場合に比して低い傾向となる。
【0093】
ジャケットエアバック300は、連結機構308が車両に設けられた牽引線Lに連結されるものとして説明したが、この限りではない。例えば、ジェケットエアバック300は、加速度センサを備えてもよい。この場合、ジャケットエアバック300は、所定以上の加速度が加速度センサにより検知された場合に、ジャケットエアバック300のエアバクを展開させる制御部を備える。
【0094】
以上説明した第3の実施形態によれば、自動運転制御ユニット100が、車両内の乗員の状態を検知する装着検知部94の検知結果に基づいて、乗員の身体にジャケットエアバック300が装着されていない第2状態であると判定した場合に、自車両Mの制御状態をジャケットエアバック300が装着された場合の制御状態に比して自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することにより、乗員の状態に合わせて車両の制御状態を適切に制御することができる。
【0095】
なお、自動運転制御ユニット100は、乗員の状態に加え、更に外界認識部121の認識結果に基づいて、混雑度が高いと判定した場合、混雑度が低い場合に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御してもよい。混雑度が高いとは、例えば、自車両Mの周辺車両の数が所定数以上である場合や、自車両Mの周辺に障害物が存在する場合である。自動運転制御ユニット100は、混雑度が高いと判定した場合、自車両Mを減速させ自車両Mを停車させてもよい。
【0096】
また、自動運転制御ユニット100は、乗員の状態に加え、更に乗員が所定の動作を行っている場合、乗員が所定の動作を行っていない場合に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御してもよい。所定の動作とは、例えば、乗員がゲームを行っている状態や、読書をしている状態等である。例えば、乗員姿勢認識部132は、車室内カメラ82により撮像された画像を解析して、乗員が手でゲームのコントローラや本を保持していると判定した場合、所定の動作を行っていると判定する。
【0097】
また、自動運転制御ユニット100は、乗員が第1状態または乗員が第2状態であり且つ乗員が起立している状態である場合、乗員が第1状態または乗員が第2状態であり且つ乗員が起立していない状態である場合に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御してもよい。また、自動運転制御ユニット100は乗員が第1状態または乗員が第2状態であり且つ乗員が起立している状態が継続している間、車両を減速させ続ける。なお、乗員が起立している状態であるか否かの判定は、乗員姿勢認識部132が車室内カメラ82により撮像された画像を解析して判定する。
【0098】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態の処理は統合されてもよい。この場合、制御状態調整部134は、制御状態調整情報156Cを参照して、運動状態の低下度合を示す指標を導出する。
図16は、制御状態調整情報156Cの内容の一例を示す図である。制御状態調整情報156Cは、安全装置92の装着の有無、シート86の状態、逸脱指標、運動状態の低下度合を示す指標、および車線変更の許可または禁止の情報が互いに対応付けられた情報である。例えば、安全装置92が装着されていない場合、または逸脱指標が大きいほど、運動状態の低下度合を示す指標は大きくなる。
【0099】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、運転手が着座するシート86の状態、および運転手の姿勢等に着目したが、これに限定されない。例えば、助手席の状態や、後部座席の状態、上記の座席に着座した乗員の姿勢等に基づいて、運動状態の低下度合を示す指標、車線変更・分岐・合流の許可または禁止を示す情報が導出されてもよい。この場合、制御状態調整部134は、各座席のシートの状態、乗員の姿勢に基づいて、指標を導出し、導出した指標を統計的に処理して、行動計画に反映させる指標を導出する。
【0100】
また、上述した各実施形態では、シート86の状態に着目して制御状態が第2制御状態に制御されるものとして説明したが、シートの配置に基づいて制御状態が第2制御状態に制御されてもよい。
図17は、シートの配置について説明するための図である。例えば、
図17(A)に示すように、車室内のシート86、87A、87B、および87Cが進行方向(X方向)に向いている配置は基準配置である。なお、シート87Aは助手席であり、シート87Bは運転席の後方に配置された後部座席であり、シート87Cは助手席の後方に配置された後部座席である。これに対して、
図17(B)に示すように、シートが進行方向とは直交するY方向に向いている基準配置とは異なる配置である場合、基準配置における制御状態に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御してもよい。
【0101】
この場合、制御状態調整情報156には、シートの配置ごとに制御状態を示す情報が対応付けられている。制御状態調整情報156には、シートが基準配置でない場合、基準配置である場合に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することを示す情報が対応付けられていてもよい。また、制御状態調整情報156には、シートが基準配置でなく且つ安全装置92が装着されていない場合(第1状態或いは第2状態でない場合)、基準配置であり且つ安全装置92が装着されていない場合に比して、自車両Mの挙動変化が発生しにくい、または自車両Mの周辺に存在する障害物に対する自車両Mの回避の余裕度を上昇させるように制御することを示す情報が対応付けられていてもよい。例えば、制御状態調整情報156には、車室内のシートが
図17(A)に示すように進行方向を向き且つ安全装置92が装着されていない場合、車速を低下させることを示す情報が対応付けられ、車室内のシートが
図17(B)に示すように進行方向とは直交する方向を向き且つ安全装置92が装着されていない場合、自車両Mを停車させることを示す情報が対応付けられていてもよい。
【0102】
また、シートの配置とシートの状態との組み合わせごとに基準領域が設定されていてもよい。この場合、乗員姿勢認識部132は、シートの配置、シートの状態、およびシートの配置とシートの状態との組み合わせごとに定められた基準領域に対する車両の乗員の逸脱指標を導出する。また、制御状態調整情報156には、シートの配置、シートの状態、逸脱指標、運動状態の低下度合を示す指標、および車線変更の許可または禁止を示す情報が対応付けられている。制御状態調整部134は、上記の制御状態調整情報156を参照して、運動状態の低下度合を示す指標を導出する。この際、安全装置92の装着の有無が加味されてもよい。
【0103】
以上説明した実施形態によれば、車両内の乗員の状態を検知する状態検知部(10、94)と、自車両Mの加減速または操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転を実行する自動運転制御ユニット100であって、状態検知部の検知結果に基づいて、乗員が定常姿勢とは異なる非定常姿勢である第1状態である場合、または乗員の身体に所定の安全装置92が装着されていない第2状態である場合に、自車両Mの制御状態を第1状態または第2状態でない場合の第1制御状態から第2制御状態に変更する自動運転制御ユニット100部とを備えることにより、乗員の状態に合わせて車両の制御状態を適切に制御することができる。
【0104】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。