特許第6803984号(P6803984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンティネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000002
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000003
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000004
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000005
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000006
  • 特許6803984-音響要素を有する車両用空気式タイヤ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803984
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】音響要素を有する車両用空気式タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/00 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B60C5/00 F
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-531257(P2019-531257)
(86)(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公表番号】特表2020-501962(P2020-501962A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2017076668
(87)【国際公開番号】WO2018114086
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月11日
(31)【優先権主張番号】102016225552.5
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ゼビアン・マクラム
(72)【発明者】
【氏名】シュルマン・オーリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】エズドガン・ギュルテキン
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−276809(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/090311(WO,A1)
【文献】 特開2014−031087(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0000596(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103978852(CN,A)
【文献】 特開2007−099162(JP,A)
【文献】 特表2009−513440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0008159(US,A1)
【文献】 特開2006−168510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00− 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの音響要素(8)を有する空気式車両用タイヤ(L)であって、ホイールリム(16)に取り付けられ、前記タイヤの内部の空間(17)を前記リム(16)とともに取り囲み、
・本体(12)と層(13)とを含む音響要素(8)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)を区切ることに関与する内部タイヤ表面(10)上に配置され、
・前記本体(12)は、前記内部タイヤ表面(10)上に配置され、
・前記層(13)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面する前記本体(12)の表面領域上に配置される、空気式車両用タイヤ(L)において、
・前記層(13)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面する前記本体(12)の前記表面領域少なくとも15%の上に配置されることと、
・前記層(13)は、前記内部タイヤ表面(10)から間隔を空けて配置される第1の表面領域(9)を有することと、
・前記第1の表面領域(9)は、前記第1の表面領域(9)の反対側にある前記層(13)の表面領域(11)に空圧的に接続され得ることと、
・前記層(13)は、f=c/((R+r)・π)(式中、Rは、公称タイヤ径であり、およびrは、公称リム径であり、およびc=343m/sである)の基準周波数fで測定される、前記第1の表面領域(9)に当たる音波について少なくとも80%の音反射率を有することと
を特徴とする空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項2】
前記層(13)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面して配置される第1の表面領域(9)および/または前記本体(12)に面して配置される第1の表面領域(9)を有することを特徴とする、請求項1に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項3】
前記層(13)は、前記第1の表面領域(9)に当たる前記基準周波数fの音波について少なくとも90%の音反射率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項4】
前記音響要素(8)および/または前記層(13)は、少なくとも前記第1の表面領域(9)の領域において、0.8・10Ns/m〜18・10Ns/mの固有音響インピーダンスを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項5】
前記層(13)は、少なくとも前記第1の表面領域(9)の領域において、100Nm〜6000Nmの曲げ剛性を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項6】
前記音響要素(8)は、前記第1の表面領域(9)に垂直な力の影響下で100N/m〜20000N/mのばね定数を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項7】
前記層(13)は、少なくとも前記第1の表面領域(9)の領域において、6・10−6Nm〜1・10−2Nmの曲げ剛性を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項8】
前記第1の表面領域(9)の法線ベクトル(19)のすべては、半径方向(rR)と90°より小さい角度(20)を形成することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項9】
前記第1の表面領域(9)の法線ベクトル(22)、(23)のすべては、軸方向(aR)または円周方向(U)と0°〜45°の角度(20)を形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項10】
前記音響要素(8)は、多孔質材料から形成され、かつ騒音の低減に好適である減衰要素を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項11】
前記本体(12)は、端縁(21)によって区切られる、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面する表面領域を有することと、前記層(13)は、前記表面領域上において前記端縁(21)から完全にまたは部分的に間隔を空けて配置されることとを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項12】
前記層(13)は、0.01mm〜20mmの層厚さを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項13】
前記層(13)は、プラスチック膜もしくは金属膜またはアルミニウム膜、または繊維強化膜、または天然材料を含む層、もしくは炭素繊維を含む層、もしくはアラミドを含む層、もしくは硬化コーティング、またはラッカーもしくはゴムの層またはスポンジゴムの層、または前記本体(12)の前記表面領域のコーティングもしくは前記本体(12)の未処理の外面であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項14】
前記第1の表面領域(9)は、円周方向(U)に閉じられるように形成されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項15】
2つ、3つまたはそれを超える音響要素(8)は、前記タイヤ(L)の円周にわたって分布配置されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の空気式車両用タイヤ(L)。
【請求項16】
少なくとも1つの音響要素(8)を有するホイールリム(16)であって、前記ホイールリム(16)に取り付けられた空気式車両用タイヤ(L)は、前記タイヤの内部の空間(17)を前記リム(16)で取り囲み、
・本体(12)と層(13)とを含む音響要素(8)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)を区切ることに関与する内部リム面上に配置され、
・前記本体(12)は、前記内部リム面上に配置され、
・層(13)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面する前記本体(12)の表面領域上に配置される、ホイールリム(16)において、
・前記層(13)は、前記タイヤの内部の前記空間(17)に面する前記本体(12)の前記表面領域少なくとも15%の上に配置されることと、
・前記層(13)は、前記内部リム面から間隔を空けて配置される第1の表面領域(9)を有することと、
・前記第1の表面領域(9)は、前記第1の表面領域(9)の反対側にある前記層(13)の表面領域(11)に空圧的に接続され得ることと、
・前記層(13)は、f=c/((R+r)・π)(式中、Rは、公称タイヤ(L)径であり、およびrは、公称リム径であり、およびc=343m/sである)の基準周波数fで測定される、前記第1の表面領域(9)に当たる音波について少なくとも80%の音反射率を有することと
を特徴とするホイールリム(16)。
【請求項17】
ホイールリム(16)を有する車両ホイールおよび前記リム(16)に取り付けられた空気式車両用タイヤ(L)であって、前記ホイールリム(16)および/または前記空気式車両用タイヤ(L)は、少なくとも請求項1〜16のいずれか一項に記載のように形成される、車両ホイールおよび空気式車両用タイヤ(L)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの音響要素を有する空気式車両用タイヤに関し、ホイールリムに取り付けられた空気式車両用タイヤは、タイヤの内部の空間をリムとともに取り囲み、本体と層とを含む音響要素は、タイヤの内部の空間を区切ることに関与する内部タイヤ表面上に配置され、本体は、内部タイヤ表面上に配置され、層は、タイヤの内部の空間に面する本体の表面領域上に配置される。本発明は、音響要素を有するホイールリムならびにそのようなリムおよび/またはそのような空気式車両用タイヤを有する車両ホイールにも関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールリムに気密に取り付けられた空気式車両用タイヤが車道で転がるとき、タイヤおよびリムによって取り囲まれたホイールの内部の空間における空気の振動によって騒音が発生し、その騒音は、車両の客室および車両外部の周囲に伝わる。
【0003】
このような騒音を低減するために、空気式車両用タイヤの内側に減衰要素として発泡体リングを取り付けることが独国特許出願公開第102007028932A1号明細書で知られている。この減衰要素は、ホイール内部の空間における空気の振動を減少させ、それにより車両の騒音挙動を改善する。
【0004】
独国特許出願公表第112004001430T5号明細書は、15mmの高さおよび150mmの軸方向幅の帯状の騒音吸収多孔質材料を有する空気式車両用タイヤを開示しており、それは、30mmの軸方向幅の弾性固定帯を使用して内部タイヤ表面に固定されている。
【0005】
しかしながら、このような減衰要素のための材料の使用は、高いコストを伴う。
【0006】
さらに、独国特許出願公表第602004009533T2号明細書は、エーテル系ポリウレタンスポンジのノイズダンパを有する車両用タイヤを開示しており、ノイズダンパは、外側コーティングを有し、それは、スポンジ状材料が完全に包まれる0.06mmの厚さのポリエチレンフィルムによって形成される。しかしながら、スポンジの体積もタイヤの内部の残りの空間に対して気密にフィルムによって密封され、それは、タイヤ取付け時の内圧の増加およびタイヤ作動時の内圧変動に対する装置の抵抗だけでなく、ノイズダンパの音響特性にも悪影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007028932A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公表第112004001430T5号明細書
【特許文献3】独国特許出願公表第602004009533T2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、多孔質騒音低減材料の使用をより少なくして音響特性を改善し、その音響要素が圧力変化に対してより耐性がある空気式車両用タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、層が、タイヤの内部の空間に面する本体の表面の少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%の上に配置されることと、層が、内部タイヤ表面から間隔を空けて配置される第1の表面領域を有することと、第1の表面領域が、第1の表面領域の反対側にある層の表面領域に空圧的に接続され得ることと、層が、f=c/((R+r)π)(式中、Rは、公称タイヤ径であり、およびrは、公称リム径であり、およびc=343m/sである)の基準周波数fで測定される、第1の表面領域に当たる音波について少なくとも80%の音響反射率を有することとによって達成される。
【0010】
強く反射する第1の表面領域を有する層を含むこのような音響要素を有する空気式車両用タイヤは、作動中、音周波数にわたる音圧レベルのより均一な分布およびこのような音響要素のないタイヤより低下した音圧レベルピークを有することが見出された。特に、タイヤは、さらなる共振周波数を有し得、ここで、このさらなる共振周波数における音圧レベルは、音響要素のないタイヤの場合より高い音圧レベルを有する。結果として、さらなる共振周波数の音圧レベルが上昇する。同時に、他の周波数における音圧レベルが低下し得る。第1の表面領域が少なくとも80%の音反射率を有する場合に特に有利であることが分かった。音反射率は、基準周波数fで測定され、ここで、fは、f=c/((R+r)・π)で与えられる。Rは、この場合、タイヤの公称径であり、rは、ホイールリムの公称径であり、およびc=343m/sである。音反射率は、標準状態、すなわち1013.25hPaの空気圧および293.15Kの温度下において、空気の媒体から垂直に第1の表面領域に当たる音波について測定され得る。音反射率は、DIN EN ISO 10534−2に従って測定され得る。本体の音響特性は、本明細書では完全にまたは大部分が無視される。
【0011】
音周波数にわたる音圧レベルのより均一な分布の結果として、特にさらなる共振周波数の結果として、少なくとも部分的に音圧レベルが再分配される。この場合に重要な点は、結果として、タイヤの本来の1つまたは複数の共振、すなわちこのような音響要素のないタイヤの共振における音圧レベルが低下することである。特に、このようなタイヤが有する音圧レベルの最大値が低下する。結果的に、このようなタイヤは、騒音低減に好適な高コストの多孔性材料を使用する必要なく音響特性が改善されている。
【0012】
タイヤの内部の空間に配置される本体は、同心走行、転がり抵抗などのタイヤ特性に影響を与える。一般に、タイヤの内部の空間に配置される要素のための材料の使用が制限される場合、そのような特性にとって有利である。層が、タイヤの内部の空間に面する本体の表面の少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%の上に配置される場合、騒音低減と、特に本体のための材料の使用との間の関係にとって特に有効であることが分かった。この場合、好ましくは、タイヤの内部の空間に面する層の表面の少なくとも90%は、第1の表面領域として形成される。層は、連続的に形成されるか、または互いに間隔を空けた2つ以上の部品から形成され得る。次いで、各部品は、第1の表面領域と第2の表面領域とを有する。この場合、層は、材料接合方法で完全にまたは部分的に本体に接続され得る。
【0013】
反対側にあるとは、第1の表面領域と、第1の表面領域の反対側にある層の表面領域とが、層内を2つの表面領域に垂直に延びる線によって接続され得ることを意味する。
【0014】
「空圧的に接続され得る」は、本発明に関連して、空気が第1の表面領域と第1の表面領域の反対側にある層の表面領域との間を通過できる接続があり、それにより空気が第1の表面領域から第1の表面領域の反対側にある表面領域まで通過し得ることを意味する。結果として、空気の交換および圧力の均一化が、2つの表面領域に隣接する体積間で可能となる。音響要素の層以外の本体またはさらなる要素は、本明細書では無視される。空気が通過できるこのような接続は、空気が通過できる層内の開口、および/または空気に対する層の透過性、および/または空気が通過できる2つの表面領域の接続を層の自由端の周りに有する層の配置によって作成され得る。この場合、層は、自由端を有する。層の2つの表面領域は、結果的に、完全に閉じた空間を取り囲まない層の領域に配置される。
【0015】
結果として、空気の交換および圧力の均一化が、2つの表面領域に隣接する体積間で可能となる。したがって、タイヤを空気で満たすとき、特別に注意する必要はない。音響要素の体積は、タイヤの内圧およびタイヤの作動中に生じるタイヤの内圧の通常の変動におおむね無関係である。第1の表面領域および/または第2の表面領域の配置ならびに結果的に反射特性もタイヤの内圧の変動におおむね無関係である。
【0016】
結果的に、このような音響要素は、圧力変化、特にタイヤの内圧の変動に対して、その耐久性およびその音響特性の両方においてより耐性がある。
【0017】
これは、多孔質騒音低減材料の使用をより少なくして音響特性を改善し、その音響要素、さらに音響要素の音響特性が圧力変化に対してより耐性がある空気式車両用タイヤを提供する。
【0018】
この場合、1つまたは複数の音響要素は、空気式車両用タイヤのトレッドの反対側にある内部タイヤ表面上に配置され得る。層は、内部タイヤ表面から完全にまたは部分的に間隔を空けて配置され得る。
【0019】
第1の実施形態において、層は、タイヤの内部の空間に面して配置される第1の表面領域および/または本体に面して配置される第1の表面領域を有する。配置に応じて、音は、好ましくは、タイヤの内部の空間に戻るかまたは反射して本体に戻る。好ましくは、反対側にある表面領域も第1の表面領域である。
【0020】
さらなる実施形態において、層は、第1の表面領域に当たる基準周波数fの音波について少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも99%の音反射率を有する。このような高い反射率は、音圧レベルピークの特に良好な低下を可能にする。
【0021】
さらなる実施形態において、音響要素は、少なくとも第1の表面領域の領域において、0.8・10Ns/m〜18・10Ns/m、好ましくは11・10Ns/m〜18・10Ns/mの固有音響インピーダンスを有する。固有音響インピーダンスは、媒体が媒体に作用する音に抵抗する波抵抗の尺度である。この場合、固有音響インピーダンスZは、Z=(ρ・G)1/2と定義される。ρは、標準状態下での密度であり、Gは、剪断弾性係数である。剪断弾性係数は、DIN ISO 1827に従って測定され得る。このような音響要素の場合、音波が第1の表面領域に当たるとき、層の位置は、少なくとも第1の表面領域の領域において音圧によって変えることができ、それにより音響エネルギを吸収することができる。
【0022】
本発明に関連して、「第1の表面領域の領域で」という語句は、完全な層厚さを含む層の領域を含み、その領域は、少なくとも第1の表面領域を含む。
【0023】
層が、少なくとも第1の表面領域の領域において、0.8・10Ns/m〜18・10Ns/m、好ましくは11・10Ns/m〜18・10Ns/mの固有音響インピーダンスを有する場合、対応する利点が得られる。
【0024】
0.8・10Ns/m〜18・10Ns/mの、音響要素および/または第1の表面領域の領域の層の固有音響インピーダンスZが有効な騒音低減に不可欠であり、その要因であることが見出された。0.8・10Ns/m〜6・10Ns/mの固有音響インピーダンス、および/または6・10Ns/m〜11・10Ns/mの固有音響インピーダンス、および/または11・10Ns/m〜18・10Ns/mの固有音響インピーダンスが有利である。
【0025】
このような音響要素の場合、固有音響インピーダンスは、ホイールの内圧変動におおむね無関係であることが重要であることも分かった。固有音響インピーダンスは、特に、本体全体を気密に囲む層を有する音響要素の場合よりもホイールの内圧変動に無関係である。
【0026】
好適な実施形態において、層は、少なくとも第1の表面領域の領域において、100Nm〜6000Nmの曲げ剛性、好ましくは1000Nm〜6000Nmの曲げ剛性を有する。曲げ剛性は、E・h/(12・(1−μ))で与えられる。弾性率Eは、DIN EN ISO 6721−1〜6721−3に従って測定され得る。ポアソン比μは、DIN EN ISO 527−1に従って測定され得る。hは、層の厚さを示す。このような層は、吸音のための膜吸収材の塊として極めて好適である。これも第1の表面領域の位置を変えることによって騒音吸収をもたらす。
【0027】
音響要素が第1の表面領域に垂直な力の影響下で100N/m〜20000N/mのばね定数を有する場合も有利である。上記の塊とともに、これは、吸音のためにさらに適した膜吸収材をもたらす。この場合、本体が第1の表面領域に垂直な方向からの力の影響下で100N/m〜1000N/mのばね定数、および/または1000N/m〜8000N/mのばね定数、および/または8000N/m〜20000N/mのばね定数を有する場合に好都合である。塊とばね定数とを好適に組み合わせることにより、例えば好ましく吸収される周波数を設定することができる。
【0028】
さらなる実施形態において、層は、少なくとも第1の表面領域の領域において、6・10−6Nm〜1・10−2Nm、好ましくは6・10−6Nm〜1・10−4Nmの曲げ剛性を有する。第1の表面領域の範囲内のこのような小さい曲げ剛性により、音によって引き起こされるそれぞれの表面領域内の位置の変化が局所的に異なるという結果になり得る。また、この結果、効率的な騒音吸収が可能になる。
【0029】
また、少なくとも第1の表面領域の領域において、1・10−2Nm〜100Nm、好ましくは1Nm〜10Nmの層の曲げ剛性が有利であることが分かった。
【0030】
好適な実施形態において、第1の表面領域の法線ベクトルのすべては、半径方向と90°より小さい角度、好ましくは0°〜45°の角度、特に好ましくは0°〜30°の角度を形成する。第1の表面領域の法線ベクトルのすべてが半径方向と0°〜10°、好ましくは0°〜5°の角度を形成する場合も有利である。
【0031】
この場合、第1の表面領域の法線ベクトルのすべてが半径方向内向きの成分を有する場合に好都合である。高反射率を有するこのような表面領域の半径方向外側にあるタイヤの内部の空間の体積は、さらなる共振周波数でのルームモードの範囲の減少に寄与し、それは、より高い周波数への音圧レベルの再分布をもたらす。
【0032】
しかしながら、第1の表面領域の法線ベクトルのすべてが半径方向外向き成分を有する場合も好都合である。高反射率を有するこのような表面領域の半径方向内側にあるタイヤの内部の空間の体積は、結果的に、さらなる共振周波数でのルームモードの範囲の減少に寄与し、それは、より低い周波数への音圧レベルの再分布をもたらす。
【0033】
第1の表面領域の法線ベクトルのすべてが軸方向または円周方向と0°〜45°、好ましくは0°〜30°、特に好ましくは0°〜10°の角度を形成する場合に有利であることが分かった。
【0034】
特に好ましい実施形態において、音響要素は、多孔質材料、好ましくは発泡体から形成され、かつ騒音の低減に好適である減衰要素を有する。結果として、音響要素は、音のさらなる低減を可能にする。これは、減衰要素の多孔質材料による吸音によって行われ得る。
【0035】
本体が減衰要素を含むかもしくは減衰要素によって形成される場合、または減衰要素が第1の表面領域上に配置される場合、または減衰要素が第1の表面領域上に配置され、かつ法線ベクトルのすべてが半径方向内向きの成分を有する場合に好都合である。結果として、さらにより効率的な騒音低減が音響要素の簡単な構造とともに可能になる。
【0036】
減衰要素が接合剤によってタイヤ表面に確実に接続される場合も好都合である。
【0037】
多孔質材料は、標準的なContiSilent(登録商標)発泡体、ならびに/または例えば20kg/m〜85kg/mの密度および3.5キロパスカル〜10キロパスカルの硬さを有するポリウレタンもしくはポリエステルであり得る。さらに可能な多孔質材料は、ポリウレタン、および/もしくはポリエステル、および/もしくはポリエーテルの混合物、またはポリエーテル系もしくはポリエステル系ウレタンフォームを含み、かつ/あるいは任意の望ましい吸音材料混合物、例えばグラスウールもしくはロックウール、ループパイル布帛もしくはディープパイル布帛、または不織布材料、またはコルクを含む。減衰要素として好適であるさらに可能な多孔質材料は、例えば、メラミン樹脂発泡体または建築用発泡体である。さらに、減衰要素の材料は、特に、例えば最大100kg/mの密度および/または例えば1.5キロパスカルの圧縮硬さを有する。
【0038】
接合剤は、封止材および/または接着剤であり得る。タイヤの表面に減衰要素を取り付けるとき、接合剤は、好ましくは、封止材、特に好ましくは自動シール性封止材である。ホイールリムの表面に減衰要素を取り付けるとき、接合剤は、好ましくは、接着剤である。
【0039】
封止材は、特にポリウレタンゲルまたはブチルゴム系封止材である。それは、好ましくは、接着剤と組み合わせたブチルゴム系封止材である。接着剤は、接着テープ、および/またはシリコーン系接着剤、および/または二液型接着剤、および/または建築用接着剤、および/またはポリウレタン接着剤、および/またはゴム系接着剤、および/またはタイヤ修理接着剤、および/または瞬間接着剤、および/またはシアノアクリレートをベースとした接着剤、および/またはポリエチレンテレフタレート構造を有する水性アクリル系をベースとした接着剤、および/またはアセトンに溶解されたホルムアルデヒド樹脂を有するアクリロニトリルブタジエンゴムをベースとした接着剤、および/またはシランポリエーテルをベースとした接着剤、および/またはブチルゴムで架橋されたポリブテンをベースとした接着剤、および/またはアルコキシシリコーンをベースとした接着剤であり得る。
【0040】
本体が、端縁によって区切られる、タイヤの内部の空間に面する表面領域を有する場合および層が表面領域上に配置される場合に有利である。層は、この場合、表面領域全体にわたって延在するかまたは表面領域の一部にのみ延在し得る。層は、表面領域の端縁を越えても延在し得る。層は、表面領域の端縁から完全にまたは部分的に間隔を空けて配置され得る。本明細書において、部分的に間隔を空けてとは、層がすべての端縁から間隔を空けて配置されるわけではないことを意味する。
【0041】
減衰要素が、端縁によって互いに区切られる、タイヤの内部の空間に面するN個の表面領域を有する場合に好都合であり、層は、減衰要素の全部でN個の表面領域の1〜N−1個の表面領域上に配置される。例えば、減衰要素は、直方体として形成され得、1つの側面でタイヤ内面に取り付けられ得る。結果的に、端縁によって互いに区切られる、タイヤの内部の空間に面する5つの表面領域が残る。ここで、層は、表面領域の1つ、2つ、3つまたは4つの上に配置され得る。
【0042】
減衰要素または本体が貫通開口部を有する場合および層が表面上に配置されて開口部を補強する場合に有利である。
【0043】
減衰要素または本体の幾何学的な形態は、半径方向もしくは半径方向とは逆の方向に先細りであるかまたは一定のままであり得る。それは、例えば、直方体、角錐、角錐台、逆角錐台、平行六面体または一般的な円柱であり得る。それは、垂直なまたは角度付きの三次元形態であり得る。
【0044】
層が0.01mm〜20mmの層厚さを有する場合に有利である。0.01mm〜5mmの小さい層厚さを有する層だけでなく、5mm〜12mmの適度な層厚さを有する層および12mm〜20mmのより大きい層厚さを有する層も好適かつ有利であることが分かった。
【0045】
層は、通気性層または非通気性層として設計され得る。層は、非透水性層または透水性層として設計され得る。
【0046】
層は、本体の表面上に完全にまたは部分的に配置される。
【0047】
層は、この場合、プラスチック膜、金属膜、好ましくはアルミニウム膜、繊維強化膜、天然材料を含む層、炭素繊維を含む層、アラミドを含む層、硬化コーティング、ラッカーまたはゴムの層、好ましくはスポンジゴムの層、本体の表面のコーティングおよび本体の未処理の外面によって形成される群から選択され得る。このような層は、優れた反射特性を有する。
【0048】
層は、本体以外の音響要素の要素、好ましくは膜として設計され得る。この場合、層は、接合剤によって本体に接続され得る。層は、コルクまたは樹脂などの天然材料、好ましくはエポキシ樹脂系樹脂または炭素繊維もしくはアラミドを含み得る。
【0049】
層は、本体の表面を形成するか、またはそれを形成することに関与し得る。層はまた、本体の未処理の外面であり得、好ましくは減衰要素の多孔質材料の未処理の外面であり得る。層は、発泡時に生成される減衰要素の発泡体のスキンであり得る。結果として、簡単な構造の有効な音響要素が作成される。コーティングは、液体状態で減衰要素に加えられ、次いで硬化され得る。未処理の外面は、多孔質材料の製作プロセス後の減衰要素の多孔質材料の未処理の外面であり得る。それは、結果的に切断面ではない。それは、例えば、発泡体の自然表面である。
【0050】
音響要素の本体が円周方向に閉じられるように形成される場合に好都合である。第1の表面領域が円周方向に閉じられるように形成される場合に有利である。結果として、均一性の良好な特性を有する非常に簡単な設計が得られる。
【0051】
しかしながら、第1の表面領域は、タイヤの円周の部分的な領域上にのみ延在し得る。音響要素がタイヤの内部の空間に面して配置される複数の第1の表面領域を有する場合も好都合である。音響要素が本体に面して配置される複数の第1の表面領域を有する場合も好都合である。前記表面領域のすべては、同じ層にまたは互いから間隔を空けて配置される複数の層に割り振られ得る。
【0052】
音圧レベルの効率的な再分布のために、2つ、3つまたはそれを超える音響要素がタイヤの円周にわたって分布配置される場合に有利である。結果として、材料は、取り囲む要素と比較して節約される。音響要素のすべては、互いに同じにまたは互いに少なくとも部分的に異なって形成され得る。それらは、例えば、寸法または形状が互いに異なり得る。少なくとも2つの音響要素は、間隔を空けて配置されるかまたはそれらの軸方向範囲に重なり合って配置され得る。
【0053】
空気式車両用タイヤが1つまたは複数のさらなる減衰要素を有する場合に好都合である。
【0054】
本発明による音響要素は、ホイールリム上および/または代わりにホイールリム上のタイヤ内面にも配置され得る。この場合、説明で開示されて、説明に対応する方法でタイヤ内面上に配置される実施形態のすべてに関して、本発明による音響要素は、タイヤの内部の空間を区切る内部リム面上に配置され得る。
【0055】
空気タイヤの軸方向、半径方向および円周方向は、ホイールリムの軸方向、半径方向および円周方向と一致する。
【0056】
本発明は、結果的に、特に少なくとも1つの音響要素を有するホイールリムであって、ホイールリムに取り付けられた空気式車両用タイヤは、タイヤの内部の空間をリムとともに形成し、
・本体と層とを含む音響要素は、タイヤの内部の空間を区切ることに関与する内部リム面上に配置され、
・本体は、内部リム面上に配置され、
・層は、タイヤの内部の空間に面する本体の表面領域上に配置され、
・層は、タイヤの内部の空間に面する本体の表面の少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%の上に配置され、
・層は、内部リム面から間隔を空けて配置される第1の表面領域を有し、
・第1の表面領域は、第1の表面領域の反対側にある層の表面領域に空圧的に接続され得、
・層は、f=c/((R+r)・π)(式中、Rは、公称タイヤ径であり、およびrは、公称リム径であり、およびc=343m/sである)の基準周波数fで測定される、第1の表面領域に当たる音波について少なくとも80%の音反射率を有する、ホイールリムにも関する。
【0057】
この場合、音響要素が、多孔質材料から形成され、かつ騒音の低減に好適である減衰要素を有する場合に特に有利であることが分かった。
【0058】
本発明は、ホイールリムを有する車両ホイールおよびホイールリムに取り付けられた空気式車両用タイヤであって、ホイールリムおよび/または空気式車両用タイヤは、本発明による少なくとも1つの音響要素を有する、車両ホイールおよび空気式車両用タイヤにも関する。
【0059】
それは、乗用車、バン、SUV、ライトトラック、商用車、自動二輪車またはバスのためのホイール、タイヤまたはホイールリムであり得る。
【0060】
ここで、本発明のさらなる特徴、利点および詳細は、例示的な実施形態を示す概咯図に基づいてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明による少なくとも1つの音響要素を有する、本発明による車両ホイールの半径方向の部分断面を示す。
図2】本発明による少なくとも1つの音響要素を有する、本発明による車両ホイールの半径方向の部分断面を示す。
図3】本発明による音響要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、ホイールリム18を有する車両ホイールおよびリム18に取り付けられたラジアルタイプの構造の空気式車両用タイヤLの半径方向の部分断面を示す。示された空気式車両用タイヤLを構成する不可欠な構成要素は、大部分が非通気性である内部層1、少なくとも1つの強化層を含み、従来通り、空気式車両用タイヤLのクラウン部の領域からサイドウォール3を越えてビード領域4に到達し、高張力ビードコア5の周りに巻き付けることによってそこに固定されるカーカス2、カーカス2の半径方向外側に配置される異形トレッド6およびトレッド6とカーカス2との間に配置される多層ベルト組立体7である。これは、乗用車または商用車のためのホイールであり得る。
【0063】
本発明によるタイヤLは、ホイールリム16に気密に取り付けられ得る。ホイールリムは、一体で形成されるかまたは複数の部品で形成され得る。ホイールリムおよびタイヤで取り囲まれる空間は、タイヤの内部の空間17と呼ばれ、表面は、内部タイヤ表面10または内部リム面18としてタイヤの内部の空間17を区切る。
【0064】
本体12と層13とを含む音響要素8は、トレッド6の反対側にある半径方向内側のタイヤ表面10上に配置される。本体12は、内部タイヤ表面10上に配置されて、接合剤14によって内部タイヤ表面10に接続される。
【0065】
層13は、タイヤの内部の空間17に面する本体12の表面領域上に配置される。層13は、この場合、タイヤの内部の空間17に面する本体12の表面の少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%の上に配置される。
【0066】
層13は、タイヤの内部の空間17に面して、内部タイヤ表面10から間隔を空けて配置される第1の表面領域9を有する。層13は、第1の表面領域9の反対側にある表面領域11も有する。2つの表面領域9、11は、層13内を2つの表面領域9、11に垂直に延びる線によって接続され得る。
【0067】
第1の表面領域9は、層の反対側の表面領域11に空圧的に接続され得る。示された場合では、層13は、このため、空気が通過できる2つの表面領域9、11の接続を層13の自由端15の周りに有する配置を有する。層13の2つの表面領域9、11は、結果的に、完全に閉じられた空間を取り囲まない層の領域に配置される。空気が通過できるこのような接続は、空気が通過できる層13内の開口および/または空気に対する層13の透過性によっても作成できる。
【0068】
層13の第1の表面領域9は、DIN EN ISO 10534−2に従った標準状態下でf=c/((R+r)・π)(式中、Rは、公称タイヤ径であり、およびrは、公称リム径であり、およびc=343m/sである)の基準周波数fで測定される少なくとも80%の音反射率を有する。音反射率は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも99%であり得る。
【0069】
層13は、タイヤの内部の空間17に面して配置される第1の表面領域9を有する。反対側の表面領域11は、本体12に面して配置される。また、反対側の表面領域11は、対応する反射率を有する第1の表面領域として設計され得る。
【0070】
層13は、少なくとも第1の表面領域9の領域において、0.8・10Ns/m〜18・10Ns/m、好ましくは11・10Ns/m〜18・10Ns/mの固有音響インピーダンスを有する。
【0071】
層13は、少なくとも第1の表面領域の領域において、100Nm〜6000Nmの曲げ剛性および100N/m〜20000N/mのばね定数を有する。しかしながら、層13は、少なくとも第1の表面領域の領域において、6・10−6Nm〜1・10−2Nmの曲げ剛性および100N/m〜20000N/mのばね定数も有し得る。
【0072】
第1の表面領域9および反対側の表面領域11の法線ベクトル19のすべては、半径方向rRと90°より小さい角度20、好ましくは0°〜10°の角度20、好ましくは0°〜5°の角度20を形成する。第1の表面領域9の法線ベクトル19のすべては、半径方向内向きの成分を有する。反対側の表面領域11の法線ベクトル19のすべては、半径方向外向きの成分を有する。第1の表面領域9の法線ベクトル19のすべては、一方向に向けられ、反対側の表面領域11の法線ベクトル19のすべては、その反対の方向に向けられる。
【0073】
音響要素8は、多孔質材料から形成され、かつ騒音の低減に好適である減衰要素を有する。この場合、本体12は、減衰要素によって形成される。減衰要素は、接合剤14により、好ましくは自動シール性封止材により、内部タイヤ表面10に接続される。多孔質材料は、発泡体であり得る。半径方向外側から変形方向内側への要素の順序は、以下の通りである:内部タイヤ表面10、接合剤14、減衰要素12、層13。
【0074】
本体12は、端縁21によって区切られるタイヤの内部の空間17に面し、層13が配置される表面領域を有する。
【0075】
層13は、0.01mm〜20mmの層厚さを有する。層厚さは、半径方向の範囲の長さである。0.01mm〜5mmの小さい層厚さを有する層だけでなく、5mm〜12mmの適度な層厚さを有する層および12mm〜20mmのより大きい層厚さを有する層も好適かつ有利であることが分かった。層13は、通気性層または非通気性層として設計され得る。層13は、非透水性層または透水性層として設計され得る。
【0076】
層13は、この場合、プラスチック膜、金属膜、好ましくはアルミニウム膜、繊維強化膜、天然材料を含む層、炭素繊維を含む層、アラミドを含む層、硬化コーティング、ラッカーまたはゴムの層、好ましくはスポンジゴムの層、本体の表面のコーティングおよび本体の未処理の外面によって形成される群から選択され得る。このような層は、優れた反射特性を有する。
【0077】
層13は、本体12以外の音響要素8の要素、好ましくは膜として設計され得る。この場合、層13は、接合剤によって本体12に接続され得る。層13は、天然材料、好ましくはコルクまたは樹脂、好ましくはエポキシ樹脂系樹脂または炭素繊維またはアラミドを含み得る。
【0078】
層13は、本体12の表面を形成するか、またはそれを形成することに関与し得る。層13は、本体12の未処理の外面であり得、好ましくは減衰要素の多孔質材料の未処理の外面であり得る。層13は、発泡時に生成される減衰要素の発泡体のスキンであり得る。結果として、簡単な構造の効率的な音響要素が作成される。コーティングは、液体状態で減衰要素に加えられ、次いで硬化され得る。未処理の外面は、多孔質材料の製作プロセス後の減衰要素の多孔質材料の未処理の外面であり得る。それは、結果的に切断面ではない。それは、例えば、発泡体の自然表面である。
【0079】
示される実施形態において、本体12および/または第1の表面領域9は、円周方向Uに閉じられるように形成され得る。しかしながら、第1の表面領域9は、タイヤの円周の部分的な領域上にのみ延在し得る。しかしながら、第1の表面領域9は、タイヤLの円周の部分的な領域上にのみ延在し得る。音響要素8は、タイヤの内部の空間17に面して配置される複数の第1の表面領域9を有し得る。音響要素8は、本体12に面して配置される複数の第1の表面領域9を有し得る。前記表面領域9のすべては、同じ層13にまたは互いから間隔を空けて配置される複数の層13に割り振られ得る。
【0080】
タイヤLは、複数の音響要素8および/または減衰要素を有し得る。
【0081】
図2は、車両ホイールの部分断面を示し、1つまたは複数の第1の表面9を有する音響要素8は、ホイールリム16の内面18上に配置される。音響要素8は、図1で説明された音響要素8に対応する方法で設計され得る。少なくとも1つの音響要素8は、接合剤14による接合方法でホイールリム16の内面18に取り付けられる。
【0082】
図3は、図1に示されるような空気式車両用タイヤLに好適な音響要素8のさまざまな例示的な実施形態を示す。音響要素8は、図2に示されるようなホイールリムへの取付けにも好適である。この場合、半径方向は、反対方向である。
【0083】
示される音響要素8は、図1に示された音響要素8と以下の通り異なる。
【0084】
図3aは、柱を示し、その側部領域は、層13によって囲まれる。第1の表面領域9の法線ベクトル22のすべては、円周方向と最大45°、好ましくは最大30°の角度20を形成する。第1の表面領域9の法線ベクトル23のすべては、軸方向と最大45°、好ましくは最大30°の角度を形成する。層13は、自由端15を有する。
【0085】
図3bは、おおむね立方体様の音響要素8を示し、層9は、タイヤの内部の空間17に面する本体12の全表面上に配置される。層9は、空気に透過性であるように形成される。
【0086】
図3cは、さらなる立方体様の音響要素8を示し、本体12は、端縁21によって区切られるタイヤの内部の空間17に面する表面領域を有し、層13は、表面領域上に配置される。層13は、この場合、表面領域の一部のみにわたって延在する。層13は、表面領域の端縁21から完全に間隔を空けて配置される。
【0087】
図3dは、音響要素8の断面を示し、本体12は、貫通開口部24を有する。層13は、本体12の表面上に配置されて開口部24を補強する。
【符号の説明】
【0088】
1 内部層
2 カーカス
3 サイドウォール
4 ビード領域
5 ビードコア
6 トレッド
7 ベルト組立体
8 音響要素
9 第1の表面領域
10 内部タイヤ表面
11 反対側の表面領域
12 本体
13 層
14 接合剤
15 自由端
16 ホイールリム
17 タイヤの内部の空間
18 内部リム面
19 法線ベクトル
20 角度
21 端縁
22 法線ベクトル
23 法線ベクトル
24 貫通開口部
R 車両ホイール
L 空気式車両用タイヤ
aR 軸方向
rR 半径方向
U 円周方向
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d