(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記路盤ユニットが複数設けられ、前記路盤ユニット同士は前記下段部に設けられた開口を通して直接または連結管を介して接続され、前記複数の路盤ユニットの前記下段部内を前記冷却用媒体が流通する請求項1または2に記載された車両給電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や2に記載された電力供給システムでは、一次コイルに誘導電流を発生させて二次コイルに電力を発生させる際、一次コイルが発熱する。このような非接触の充電装置を繰り返して使用すると一次コイルやその周辺の機器や部材が高温になるため比較的短時間で劣化する恐れがある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、充電時に一次コイルや周辺が高温になることを抑制できる車両給電装置及び路盤ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による車両給電装置は、車両の外部に設けられた一次コイルから車両に設置された二次コイルに非接触で給電する車両給電装置であって、前記一次コイルを収納した
箱状の路盤ユニットが設けられ、前記路盤ユニット
は、車両を搭載させる天板と、前記天板の下側に配設され、前記一次コイルを前記二次コイルに対向する位置まで移動可能な中空の一次コイル移動エリアが設置された上段部と、前記上段部の下側に配設された中空の下段部と、前記下段部内に底部まで配設され且つ前記上段部の一次コイル移動エリアに露出していて前記一次コイルで生じた熱を地中に放熱する放熱部材と、を備え、前記下段部内では前記放熱部材の周囲を冷却用媒体が流通していることを特徴とする。
本発明によれば、路盤ユニット上に電気自動車を搭載させ、路盤ユニット内の一次コイルに通電して誘導電流を発生させて電気自動車の二次コイルに電力を発生させると一次コイルが発熱するが、一次コイルの熱は
放熱部材によって冷却することができる。
【0010】
また、除熱部は、一次コイルの下側に配設されていて一次コイルで生じた熱を地中に放熱する放熱部材であることが好ましい。
路盤ユニット内の一次コイルに通電して誘導電流を発生させて電気自動車の二次コイルに電力を発生させると一次コイルが発熱するが、この熱は一次コイルの下側に配設した放熱部材を通して地中に放熱できる。
【0011】
また、除熱部は、一次コイルを冷却する冷却用気体の流通路であることが好ましい。
路盤ユニット内に冷却用気体を流通させて一次コイルに接触して冷却すると冷却効率が高い。
【0012】
また、路盤ユニットには一次コイルを二次コイルに対向する位置まで移動可能な中空の一次コイル移動エリアが設置され、放熱部材は一次コイル移動エリアに露出していることが好ましい。
一次コイルが励磁されて発熱すると一次コイル移動エリアの空間内の空気中に熱が伝搬するが、放熱部材を一次コイル移動エリア内に露出させているので効率的に地中に放熱できる。
【0013】
また、放熱部材は路盤ユニットの底部を貫通して地中に延びていることが好ましい。
放熱部材が路盤ユニットの底部を貫通して地中に延びていると、一次コイルの熱を放熱部材を介して地中に放熱できる上に、路盤ユニットの経時劣化や地震等があっても路盤ユニットが地盤に対して位置ずれすることを放熱部材によって阻止できる。
【0014】
また、路盤ユニットは、一次コイルを二次コイルに対向する位置まで移動可能な中空の一次コイル移動エリアが設置された上段部と、放熱部材が配設された下段部と、下段部内で放熱部材の周囲を流通する冷却用媒体と、を備えていてもよい。
一次コイルが発熱しても、放熱部材を介して地中に放熱できる上に、冷却用媒体を放熱部材の周囲に流通させることで放熱部材と熱交換して冷却することができる。
【0015】
また、路盤ユニットが複数設けられ、路盤ユニット同士は下段部に設けられた開口を通して直接または連結管を介して接続され、複数の路盤ユニットの下段部内を冷却用媒体が流通するようにしてもよい。
電気自動車等の複数の車両を複数の路盤ユニットにそれぞれ搭載して非接触充電する際、路盤ユニットの下段部において開口を通して直接または連結管を介して接続された複数の路盤ユニットに冷却用媒体を流通させることで、これらの路盤ユニット内の放熱部材をそれぞれ冷却することができる。
【0016】
また、放熱部材の近傍には熱交換器が配設されていてもよい。
内部を冷却用媒体が流通する熱交換器によって放熱部材と熱交換することによって放熱部材を冷却できる。
また、冷却媒体の流通路には一次コイルに電流を供給する電気配線が設置されていてもよい。
路盤ユニットにおける冷却媒体の流通路に電気配線を設置することで、電気配線を別個に設置する必要がなく、冷却媒体の流通路と電気配線の設置部とを共通化できる。
なお、冷却用媒体は空気、水または不凍液等であることが好ましい。
【0017】
本発明による路盤ユニットは、
箱状に形成された路盤ユニットであって、車両を搭載させる天板と、
前記天板の下側に配設されていて、前記車両に設けた二次コイルに非接触で給電するための一次コイルを前記二次コイルに対向する位置まで移動可能な中空の一次コイル移動エリアが設置された上段部と、前記上段部の下側に配設された中空の下段部と、前記下段部内に底部まで配設され且つ前記上段部の一次コイル移動エリアに露出していて前記一次コイルで生じた熱を地中に放熱する放熱部材と、を備え、前記下段部内では前記放熱部材の周囲を冷却用媒体が流通していることを特徴とする。
本発明によれば、路盤ユニットの天板上に電気自動車を搭載させ、天板の下側の一次コイルに通電して誘導電流を発生させて電気自動車の二次コイルに電力を発生させると一次コイルが発熱するが、一次コイルの熱は
放熱部材によって冷却することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による車両給電装置及び路盤ユニットは、車両の二次コイルに給電する際、一次コイルに通電して発熱しても路盤ユニット内に設けた除熱部によって一次コイルを冷却できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態による電気自動車の車両給電装置について添付図面により説明する。
図1乃至
図6により、第一実施形態による電気自動車1(車両)の車両給電装置2について説明する。本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2は、
図1及び
図2に示すように、例えば駐車場や道路の路面やガソリンスタンドの舗装面等において、一次コイル3を収納した路盤ユニット4の上に二次コイル5を設置した電気自動車1を駐車させて非接触で電力を充電させるものである。電気自動車1の底部に4本のタイヤ7が設けられ、これらタイヤ7の間の底部に二次コイル5が設置されている。二次コイル5には不図示の充電池が接続されている。
【0021】
路盤ユニット4は例えば地表面に埋設されている。路盤ユニット4は、
図3に示すように例えば四角形箱状に形成され、上面に天板8が設置され、底面に底板9、側面に主桁10及び端板11が設けられている。路盤ユニット4の天板8の内側には後述する一次コイル移動エリア12が中空形状に形成されている。天板8は電気自動車1を停車させて一次コイル3で励起される誘導電流を通過させ且つ磁性を帯びない特性を有する非磁性体等で構成され、例えば強化プラスチックや強化ガラス等からなっている。
【0022】
路盤ユニット4は地中に埋設され、天板8は地表面に露出している。或いは、天板8の表面がアスファルトで被覆されていてもよい。路盤ユニット4の主桁10及び端板11、底板9はコンクリートで覆われて固定されていてもよい。路盤ユニット4は雨水や洗浄水等がかかっても内部に漏水しないように水密にシールされている。天板8には滑り止め用のスリットや凹凸が所定間隔で形成されていてもよい。
主桁10、端板11は例えばステンレスやアルミ等の金属製とされているが、合成樹脂、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)等でもよい。底板9は後述するように一次コイル3の発熱を地中に放熱できるように熱伝導性の良い材質が好ましい。しかも、底板9は電気自動車1や路盤ユニット4の荷重を受けるため、高強度で熱伝導性の良いステンレスやアルミ等の金属部材を採用することが好ましい。
【0023】
図1及び
図2に示すように、路盤ユニット4は天板8と底板9の間が上段部13と下段部14との上下二段に分かれて構成されている。上段部13と下段部14とは例えば金属製の上下仕切り板21によって仕切られている。上下仕切り板21も熱伝導性の良いステンレスやアルミ等で構成されていることが好ましい。上段部13において、天板8の下側の中央には中空の一次コイル移動エリア12が設置され、その周囲には電気自動車1のタイヤ7が載置されて荷重を受ける圧縮部材16が設けられている。
圧縮部材16はモルタルやコンクリート等が充填されている。圧縮部材16と一次コイル移動エリア12との境界には仕切り板17が四辺に沿って配設されている。四辺の仕切り板17は一次コイル3で発生する電磁波を遮断するもので、例えばアルミ、セラミック、アモルファス金属等の非磁性体からなる。
【0024】
図4に示す上段部13において、一次コイル移動エリア12の内部には、長辺の主桁10に平行で対向する一対の仕切り板17に沿って設置された移動ガイドレール18と一対の移動ガイドレール18間に直交して架け渡された一対の可動ガイドレール19とが設置されている。一対の可動ガイドレール19の両端には移動ガイドレール18上をスライド移動可能な走行部15が設置され、可動ガイドレール19上には一次コイル3を搭載した台車20がスライド移動可能に設置されている。移動ガイドレール18と可動ガイドレール19は互いに直交するX軸及びY軸方向に延びている。
【0025】
そのため、一次コイル3を搭載した台車20は水平面内で可動ガイドレール19に沿ってX軸方向にスライド移動可能であり、更に台車20を備えた可動ガイドレール19は移動ガイドレール18に沿ってY軸方向にスライド移動可能である。
図2に示すように、可動ガイドレール19は長手方向に連続する凹凸をなすラックが形成され、台車20の下部には車輪としてラックに噛合するギア20aが設置されている。
これにより、台車20に搭載された一次コイル3は一次コイル移動エリア12内の任意の位置における二次コイル5に対向する位置に移動可能である。路盤ユニット4の外部(または内部)には電源22が設置され、電気配線w(有線)が下段部14内に配設されて上下仕切り板21に設けた穴部21aを通して上段部13の一次コイル3に接続されている。
【0026】
図1、2及び
図5に示す下段部14において、上段部13の圧縮部材16の下側には柱体として、例えば円柱状の荷重支持用円柱体23aが所定間隔で複数設置され、電気自動車1の荷重と圧縮部材16の荷重を受けて支持している。また、柱体として、一次コイル移動エリア12の下側には荷重支持及び冷却を行う冷却用円柱体23bが所定間隔で複数設置されている。
冷却用円柱体23bは一次コイル3の励磁作用によって発生する発熱を地中に放熱するため、上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12内に露出している。なお、柱体は上述した荷重支持用円柱体23aや冷却用円柱体23b等の円柱体だけでなく、角柱体等、適宜の形状のものを採用できる。
【0027】
これら荷重支持用円柱体23a及び冷却用円柱体23bは上下仕切り板21及び底板9の間に所定間隔を開けて設定されている。そのため、一次コイル3が励磁して発熱した際、この熱を荷重支持用円柱体23a及び冷却用円柱体23bの間隙を通して分散でき、冷却用円柱体23b及び底板9を介して地中に放熱することができる。
そのため、荷重支持用円柱体23aはステンレスやアルミ等の金属製、樹脂、GFRP、CFRP等でもよいし、円筒内にコンクリート等の圧縮性の良い材料を充填してもよい。冷却用円柱体23bはステンレスやアルミ等の熱伝導率のよい材質を用いることが好ましい。
【0028】
路盤ユニット4の天板8の表面には一対の車止め25が設置されている。車止め25の前方には二次コイル5の位置を検出して一次コイル3の位置を移動調整するためのコンソールユニット(操作盤)26が設置されている。
電気自動車1を前止めまたは後ろ止めすることで、前輪または後輪の2つのタイヤ7を車止め25に当接させるか、またはその近傍に配設することができる。これによって、車種に関わらず4つのタイヤ7の中間の底部に設置された二次コイル5は一次コイル移動エリア12に対向する位置に配設することができる。
【0029】
コンソールユニット26及び車止め25にタイヤ7の位置を検知するためのセンサー27a、27bがそれぞれ設けられている。センサー27a、27bは例えば赤外線やレーザ光等の光学式センサーや無線センサー、或いはカメラによる画像認識システム等によってタイヤ7の位置を検出する。また、車止め25のセンサー27bによって電気自動車1の底部に設置された二次コイル5の位置を直接検出することができる。
車止め25のセンサー27bがタイヤ7に邪魔されて二次コイル5を検出できない場合には、両方のセンサー27a、27bによるタイヤ7の位置と予めコンソールユニット26に入力された車種等との関係で、コンソールユニット26によって自動的に二次コイル5の位置を演算して検出する。なお、コンソールユニット26及びそのセンサー27aと車止め25のセンサー27bは二次コイル5の検出部に含まれる。
【0030】
図6のブロック図に示すように、コンソールユニット26では、センサー27a、27bで検知した電気自動車1のタイヤ7の位置と手入力した車種等の情報から二次コイル5の位置を演算等で検知し、台車20内に設けた制御部30(コンソールユニット26に設けてもよい)に指示信号を出力する。台車20の制御部30では、コンソールユニット26からの指示信号により台車20内のモータM1を駆動させてギア20aを可動ガイドレール19に沿ってX軸方向に移動させる。
台車20内の制御部30は一対の走行部15内に設けたモータM2を同期して駆動させて、可動ガイドレール19を台車20と共に移動ガイドレール18に沿ってY軸方向に移動させる。これにより、コンソールユニット26で演算した二次コイル5の位置、または車止め25のセンサー27bで検出した二次コイル5の位置に対向する真下に台車20に搭載した一次コイル3を移動させることができる。
【0031】
なお、車種の認識について、手動で入力する方式に代えて、コンソールユニット26のセンサー27aによって車種を自動的に認識してもよい。或いは、二次コイル5の位置をセンサー27a、27bまたは路盤ユニット4に埋め込んだ他のセンサーで認識してコンソールユニット26から台車20の制御部30に一次コイル3の移動位置を指示する指示信号を出力するようにしてもよい。
また、コンソールユニット26は商用の無人レジスターとしてもよいし、スマートフォン等を活用したスマートキーボックスとしてもよい。或いは、コンソールユニット26は遠隔地からのリモートコントロールを受けて集中管理室から管理されてもよい。また、コンソールユニット26に車種等を手入力で入力する際、IDとパスワードを入力させるようにしてもよい。
【0032】
本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2は上述した構成を備えているから、設置に際して路盤ユニット4を地中に埋設して底板9、主桁10及び端板11を地中またはコンクリートで固定させ、地表面に天板8を露出させる。
電気自動車1に対する充電時には、
図1及び
図2に示すように、路盤ユニット4の天板8上に電気自動車1を移動させて入庫させ、車止め25またはその近傍に前のタイヤ7または後ろのタイヤ7を位置決めする。予め車種が入力されていない場合には、運転者等が車種をコンソールユニット26に手入力する。そして、センサー27a、27bによって検出した4つのタイヤ7の位置と車種との関係で電気自動車1の底部に設置した二次コイル5の位置を演算で割り出す。或いは、車止め25のセンサー27bで二次コイル5の位置を検出してもよい。また、二次コイル5から発信する微弱な電波をセンサー27aまたはセンサー27bによって検出して二次コイル5の位置を特定してもよい。
【0033】
コンソールユニット26から二次コイル5の位置に対応する指示信号を出力して一次コイル3を搭載した台車20内の制御部30によってモータM1及びモータM2を駆動手段として駆動制御する。
図4に示すように、モータM1の駆動によって、一次コイル3を搭載した台車20を可動ガイドレール19に沿ってX軸方向に移動させる。また、走行部15のモータM2の駆動によって、一対の走行部15を同期して移動ガイドレール18に沿って移動させることで、台車20を含む可動ガイドレール19をY軸方向に移動させる。
これらモータM1及びモータM2の駆動によって台車20に搭載した一次コイル3を、一次コイル移動エリア12内で二次コイル5に対向する真下に移動させて停止させる。
【0034】
この状態で、電源22から一次コイル3に電流を流すことで一次コイル3を励磁させて誘導電流を発生させ、これを二次コイル5で受けて効率的に電力を発生させ、二次コイル5に接続した充電池に電力を充電させる。なお、経時的に路盤ユニット4内の一次コイル3が劣化若しくは一次コイル3を含む機器が陳腐化した場合には、天板8を外して地上側から一次コイル3の交換が可能である。充電終了後に、運転者は電気自動車1を出庫させて走行可能である。
なお、一次コイル3を励磁させる際に発熱するが、冷却用円柱体23bが上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12内に露出している。そのため、一次コイル3の発熱は一次コイル移動エリア12内の空気を介して冷却用円柱体23bに伝達され、更に冷却用円柱体23bから熱伝導性の高い底板9に伝達して地中に放熱することができる。そのため、一次コイル3や周辺の機器が高温になって経時的に劣化するのを抑制できる。
【0035】
上述したように本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2によれば、一次コイル3を含む路盤ユニット4はユニット化されており、地面を掘って路盤ユニット4を埋設してコンクリート等で固めることで固定設置できる。
また、コンソールユニット26や車止め25に設けたセンサー27a、27bによって電気自動車1の底部に設けた二次コイル5の位置を検知し、一次コイル3を一次コイル移動エリア12内で二次コイル5に対向する真下位置に移動させることができる。これによって、一次コイル3で発生する誘導電流を二次コイル5で効率的に電力に変換させることができる。
また、一次コイル3は通電して誘導電流を発生させることで発熱するが、この発熱を一次コイル移動エリア12内に露出する冷却用円柱体23b及び冷却用円柱体23bに連結された底板9を介して地中に放熱できる。そのため、一次コイル3や周辺の機器等が高温になって経時的に劣化するのを抑制できる。
【0036】
以上、本発明の第一実施形態による電気自動車1の車両給電装置2について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。
以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0037】
次に第一実施形態による電気自動車1の車両給電装置2の変形例について
図7により説明する。
本変形例では、路盤ユニット4の下段部14に設置した冷却用円柱体23bは、上端部が上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12に露出している。しかも、この冷却用円柱体23bは下部が底板9を貫通して地中に延びている。そのため、一次コイル3で発生した熱は冷却用円柱体23bから底板9を介して地中に放熱されるだけでなく、底板9から地中に延びる冷却用円柱体23bによって直接地中に放熱できる。そのため、本変形例によれば、一次コイル3の発熱はより一層効率的に地中に放熱し、冷却できる。
【0038】
また、地中に埋設された路盤ユニット4は経年劣化で地中のコンクリートとの結合強度が低下する。しかも路盤ユニット4の天板8の上で繰り返し電気自動車1を移動させると、地盤に対してズレを生じることがある。また、路盤ユニット4と地中のコンクリートとの結合強度が低下した状態で地震等が発生すると、位置ずれして隙間が発生したり、湧水が湧き出たりするおそれが生じる。
これに対し、本変形例による路盤ユニット4によれば、冷却用円柱体23bは底板9を貫通して地中に延びているため地盤との結合強度が強く、電気自動車1が繰り返し搭載されたり地震等が発生したりしても位置ずれを生じにくい。
【0039】
次に本発明の第二実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Aについて
図8により説明する。
図8は第二実施形態による車両給電装置2Aの路盤ユニット4Aの下段部14の水平断面図である。路盤ユニット4Aの下段部14において、対向する一方の主桁10には冷却用媒体として例えば空気を下段部14内に流入させる開口として流入口33aが形成され、他方の主桁10には下段部14内から空気を流出させる開口として流出口33bが形成されている。下段部14内には荷重支持用円柱体23a及び冷却用円柱体23bが所定間隔で配設されている。
なお、流入口33aと流出口33bはそれぞれ端板11に設けてもよいし、流入口33a及び流出口33bの一方を主桁10に、他方を端板11に設けてもよい。
【0040】
そのため、流入口33aから下段部14内に流入する空気流は、荷重支持用円柱体23aの間を流れる。そして、空気流は一次コイル移動エリア12の下側に流通して一次コイル3の熱が伝達される複数の冷却用円柱体23bの周囲を流れて熱交換し、冷却用円柱体23bの熱を奪い冷却する。熱交換された空気流は一次コイル移動エリア12の下側を外れた後、荷重支持用円柱体23aの間を流れて流出口33bから地中に放出される。
なお、下段部14に流通させる空気流は自然換気してもよいし、流入口33a及び流出口33bの少なくとも一方にファンを設けて強制的に送風して換気してもよい。また、冷却用媒体として空気に換えて水や不凍液や触媒等の液体を用いてもよい。本実施形態による路盤ユニット4は液密にシールされているため、下段部14内を冷却する水流や不凍液等の流体が外部に漏れることを防止できる。
【0041】
冷却用媒体として空気、水や不凍液等の気体や液体を用いた場合、流入口33aと流出口33bを循環用接続パイプ(図示せず)で接続して循環用接続パイプを地中に埋設してもよい。熱交換した空気や流体は循環用接続パイプを地中に埋設することで循環する途中で熱交換して地中に放熱できる。これらの流体もプロペラやファン等で強制的に流通させてもよい。或いは、流入口33aと流出口33bをそれぞれ接続パイプに接続して流入口33aをポンプ等に接続し、流出口33bを地上の外気等に排出させるようにしてもよい。また、冷却用媒体が液体の場合には排水路に排水させてもよい。これらの構成について、以下に説明する他の実施形態においても採用できる。
【0042】
次に、
図9は第二実施形態の変形例による路盤ユニット4Aを示す下段部14の図である。
本変形例では、路盤ユニット4Aの一方の主桁10(または端板11)に流入口33aを複数個、例えば2個設け、他方の主桁10(または端板11)にも流出口33bを複数個、例えば2個設けている。
このような構成を採用すれば、各流入口33aから下段部14内に流入する空気や水や不凍液等の総流量を
図8の場合より増大させることができる。例えば、空気等の流体は各2個の荷重支持用円柱体23aの間を分岐した流れで流れ、一次コイル移動エリア12の下側に流通して複数の冷却用円柱体23bの周囲を流れて熱交換し、冷却する。熱交換された空気等の流体は冷却用円柱体23bの領域を外れた後、荷重支持用円柱体23aの間を流れて個々の流出口33bから放出される。本変形例によれば、各冷却用円柱体23bの間を流れる空気、水や不凍液等の流量を増大させて熱交換速度を向上できる。
【0043】
次に本発明の第三実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Bについて
図10により説明する。
図10に示す車両給電装置2Bでは、複数、例えば2つの路盤ユニット4Bが互いに主桁10同士を当接させて配設されており、複数の電気自動車1の充電を同時に行うことができる。この場合、1つの電源22から電気配線wを分岐させて各路盤ユニット4Bの下段部14から上下仕切り板21の穴部21aを通して各一次コイル3にそれぞれ接続できる。また、本実施形態では、路盤ユニット4Bにおける下段部14の各主桁10にそれぞれ複数、例えば2個の流入口33aと流出口33bが形成され、接続された主桁10同士では、一方の流出口33bと他方の流入口33aがそれぞれ直接接続されている。なお、互いに当接する流出口33b及び流入口33aに略筒状のシール部材等を装着して冷却用媒体が漏洩することを防止できる。
【0044】
そして、一方の路盤ユニット4Bの2個の流入口33aから冷却用媒体をそれぞれ流入させ、複数の冷却用円柱体23bをそれぞれ冷却する。そして、冷却用媒体は互いに当接する主桁10同士の流出口33b及び流入口33aを経由して他方の路盤ユニット4Bの複数の冷却用円柱体23bをそれぞれ冷却させ、2個の流出口33bからそれぞれ排出させる。
2つの下段部14内を、空気、水や不凍液等の冷却用媒体を流して各下段部14内の高温となった冷却用円柱体23bを熱交換して効率的に冷却することができる。
【0045】
次に本発明の第四実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Cについて
図11により説明する。
本実施形態では、複数、例えば2つの路盤ユニット4Cを互いに離間して設け、各路盤ユニット4Cの対向する主桁10(または端板11)にそれぞれ複数個、例えば2個の流入口33aと流出口33bを設けた。2つの路盤ユニット4Cの隣り合う主桁10において、各流出口33bと流入口33a同士を連結管35でそれぞれ連結している。
そのため、一方の路盤ユニット4Cの各流入口33aから流入した空気、水や不凍液等の冷却用媒体はそれぞれ荷重支持用円柱体23aの間を通って複数の冷却用円柱体23bをそれぞれ冷却する。そして、冷却用媒体は、荷重支持用円柱体23aの間を経由して連結管35を通り、次の路盤ユニット4C内に流入して同様に複数の冷却用円柱体23bをそれぞれ冷却する。
【0046】
本実施形態によれば、路盤ユニット4同士を離間して設置できるため電気自動車1の天板8上への進入及び退出と駐車が容易であり、しかも共通の冷却用媒体を連結管35を介して複数の路盤ユニット4C内に流入させてそれぞれの冷却用円柱体23bを効率的に冷却できる。
【0047】
次に第四実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Cの変形例について
図12により説明する。
本実施形態による車両給電装置2Cによれば、上述した第四実施形態の路盤ユニット4Cと同一の構成を有している。これに加えて本変形例では、電源22から延びる電気配線wを一方の路盤ユニット4Cの主桁10の一方の流入口33aから下段部14内に配設し、上下仕切り板21の穴部21aを通して上段部13の一次コイル3に接続させる。更に電気配線wは流出口33bから連結管35を介して隣接する路盤ユニット4Cの下段部14内に延設し、上下仕切り板21の穴部21aを通して上段部13の一次コイル3に接続させる。
【0048】
本変形例によれば、冷却用媒体を流通させる路盤ユニット4Cの流入口33a、流出口33b、連結管35等の流通路に電源22の電気配線wも挿通させて電源系統も除熱系統に統一できるため、別個に電気配線用の穴を設ける必要がない。
【0049】
次に第五実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Dについて
図13により説明する。
本実施形態による車両給電装置2Dでは、路盤ユニット4Dの除熱系統として、主桁10(端板11でもよい)の流入口33a及び流出口33bの間を流通して冷却用円柱体23bを冷却する冷却用流体の流路に代えて、管状の熱交換器38を設けた。熱交換器38内には冷却用媒体として空気、水、不凍液等が流通している。熱交換器38の構成の一例を説明すると、本実施形態における路盤ユニット4Dは対向する主桁10にそれぞれ複数個、例えば2個の流入口33aと流出口33bが形成されている。
一方の流入口33aから進入する管状の熱交換器38aは下段部14内で主桁10に平行に配列された冷却用円柱体23bを囲うようにU字状に蛇行して配設されて、一方の流出口33bから外部に排出される。冷却用円柱体23bは例えば2列であり、その間に配設された熱交換器38aは穴部21aを挟んで逆U字状に形成されている。
【0050】
そして、他方の流入口33aから進入する管状の熱交換器38bは主桁10に平行な冷却用円柱体23bを囲うように、熱交換器38aとは逆方向にU字状に蛇行して配設され、他方の流出口33bから外部に排出される。これによって、各列の冷却用円柱体23bは2本の熱交換器38a、38bで挟まれているため、熱交換による冷却用円柱体23bの冷却効率が高くて均一である。
なお、本実施形態による路盤ユニット4Dを主桁10または端板11同士を当接させて、或いは離間させて複数配設してもよい。この場合には、各路盤ユニット4Dにおける流入口33a、流出口33bを通して熱交換器38を延接させることで、各路盤ユニット4Dの冷却用円柱体23bの除熱効率を向上させることができる。
なお、路盤ユニット4D内に配設する熱交換器38は2本に限らず、適宜の本数を配設することができる。
【0051】
次に、本発明の第六実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Eについて
図14(a)、(b)により説明する。
図14(a)、(b)に示す路盤ユニット4Eの下段部14では、上段部13の圧縮部材16の下側に荷重支持用円柱体23aは設けられていない。下段部14では主桁10と平行な方向に所定間隔で板状の中主桁40が配設され、端板11に平行な方向に所定間隔で板状の縦リブ41が配設されている。中主桁40と縦リブ41は下段部14の全体に直交する格子状に配設されて電気自動車1や圧縮部材16等の荷重を受けている。
【0052】
上段部13の一次コイル移動エリア12の下側の下段部14には、上下仕切り板21を介して冷却用円柱体23bが所定間隔で配設されており、冷却用円柱体23bは上端部が上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12に露出している。
本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Eにおいても、下段部14による電気自動車1等の荷重支持効果が高く、一次コイル3の励磁による発熱は冷却用円柱体23b及び底板9を通して地中に放熱できる。
なお、本実施形態による路盤ユニット4Eにおいて、各中主桁40及び縦リブ41に設けた穴部を通して熱交換器38を配設することで、除熱効率を高めることができる。
【0053】
次に、本発明の第七実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Fについて
図15により説明する。
図15に示す路盤ユニット4Fの下段部14では、対向する主桁10に空気等の冷却用気体を流通させる流入口33aと流出口33bがそれぞれ形成されている。しかも、上下仕切り板21には上段部13の一次コイル移動エリア12と下段部14とを連通する副流入口44aと副流出口44bが形成されている。
そのため、流入口33aから下段部14内に流入する冷却用気体は冷却用円柱体23bを通過して流出口33bから排気されると共に、副流入口44aから一次コイル移動エリア12内にも流入して一次コイル3を直接冷却して副流出口44bから下段部14に排気される。これによって、一次コイル3の冷却効率が一層向上する。
【0054】
なお、上述した第七実施形態による車両給電装置2Fの路盤ユニット4Fにおいて、冷却用円柱体23bを設置しなくてもよい。この場合、下段部14と上段部13の一次コイル移動エリア12を流れる冷却用気体によって一次コイル3を冷却できる。この冷却用気体の流通路は、主桁10の流入口33aから下段部14、副流入口44a、一次コイル移動エリア12、副流出口44b、下段部14、流出口33bで形成される。
【0055】
上述した各実施形態や変形例による電気自動車1の車両給電装置2、2A、2B、2C、2D、2E、2Fは路盤ユニット4、4A、4B、4C、4D、4E、4Fを上段部13と下段部14を積層した長方形箱状に形成したが、正方形状や円形や楕円形状等の適宜外形の箱状を採用できる。路盤ユニット4、4A、4B、4C、4D、4E、4F上に電気自動車1を搭載して、一次コイル3から非接触で電気自動車1の底部の二次コイル5に給電できれば良い。
【0056】
なお、冷却用円柱体23bは、上端部が上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12に露出する構成と下端部が底板9を貫通して地中に露出または突出する構成のいずれか一方または両方を有していればよい。或いは、冷却用円柱体23bは上下仕切り板21と底板9の両方を貫通しない構成を有していてもよい。この場合でも、冷却用円柱体23bと熱伝導性の良い上下仕切り板21及び底板9を介して、一次コイル3の発熱が地中に放出される。これらの冷却用円柱体23bは放熱部材に含まれる。
また、放熱部材、冷却用媒体を下段部14の流入口33a、流出口33bを通して流す流通路、更に下段部14から副流入口44a、一次コイル移動エリア12、副流出口44bを通る流通路は除熱部に含まれる。
本発明による路盤ユニット4、4A、4B、4C、4D、4E、4Fの車両給電装置2、2A、2B、2C、2D、2E、2Fは駐車場だけでなく、ガソリンスタンドの舗装面や道路の路面等、適宜の停車場に設置できる。また、電気自動車1の車種も適宜のものを採用できることはいうまでもない。
【解決手段】車両給電装置は路盤ユニット4を地表面に埋設している。路盤ユニット4は天板8を設けた上段部13と下段部14を積層した。上段部13は、一次コイル3を移動可能に収納した中空の一次コイル移動エリア12と、その周囲の圧縮部材16と、を有する。下段部14には、圧縮部材16を支持する荷重支持用円柱体23aと電気自動車1の荷重を受けて一次コイル3の発熱を地中に放熱する冷却用円柱体23bとを有する。下段部14における複数の冷却用円柱体23bは、上端部が上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12に露出し、下端部は底板9に固定されている。一次コイル3に通電すると誘導電流が発生して発熱し一次コイル移動エリア12内に熱が伝わるが、冷却用円柱体23b及び底板9を介して地中に放熱させる。