特許第6804018号(P6804018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804018
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/52 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   G01G19/52 G
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-212909(P2017-212909)
(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公開番号】特開2019-86336(P2019-86336A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】森川 英昭
(72)【発明者】
【氏名】武井 澄人
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 廉
(72)【発明者】
【氏名】薬内 裕人
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 啓市
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3208807(JP,U)
【文献】 特開平11−344389(JP,A)
【文献】 米国特許第04200855(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0204978(US,A1)
【文献】 実開平02−002631(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/52
G01L 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に立設する縦支柱(20)で支持する側壁(21)で形成した筐体内に、穀粒の貯留部(2)及び乾燥部(3)を備え、前記乾燥部(3)の穀粒出口には回転しながら所定量の穀物を流下させるロータリーバルブ(10)を備え、穀粒をエレベータ部(5)に送る集穀部(4)の下部移送装置(9)で受け、前記エレベータ部(5)の上部側に接続する上部移送装置(8)で前記貯留部(2)の拡散盤(14)に供給することにより、張込み穀粒が前記貯留部(2)の全面に堆積貯留される構成とし、
バーナー(6a)で熱風を前記乾燥部(3)の熱風室(11)に供給して穀粒を乾燥し、
穀粒の前記貯留部(2)および前記乾燥部(3)を内蔵する穀粒乾燥機(1)を支持する前記縦支柱(20)に切欠き部(20a)を設け、該切欠き部(20a)に穀粒の重量によって前記縦支柱(20)に生じる歪を検出する重量検出センサ(42)を内蔵した重量計測ユニット(23)を一体的に前記縦支柱(20)の外側面に取り外し可能に組付け
前記重量計測ユニット(23)は三角錐状に形成すると共に、前記切欠き部(20a)の形状を前記重量計測ユニット(23)の形状に合わせる非貫通の形状とし、
前記重量検出センサ(42)は、前記貯留部(2)に溜まる穀粒の重量変動を検出し、前記検出した重量変動が地震による重量変動であると判断すると、前記バーナー(6a)を消火する制御を行うことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米などの穀粒を乾燥する穀粒乾燥機において貯留穀粒の重量を計測する穀粒重量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒乾燥機は、穀粒を貯留して循環しながら所定の水分率になるまで乾燥するが、乾燥時間が早すぎると穀粒に割れが生じるので、貯留した穀粒の重量に応じた加熱速度で制御しながら乾燥させる。
【0003】
特許文献1に記載の穀粒乾燥機の穀粒乾燥制御装置では、穀粒乾燥機の底部四隅に重量検出センサを設け、この重量検出センサの検出する穀粒重量で乾燥速度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−213481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の穀粒乾燥機は、重量検出センサを穀粒乾燥機の底部四隅に設けているために、重量検出センサが地面からの水分で故障しやすく、メンテナンスや交換は機体を持ち上げる必要があって、作業が行い難い。
【0006】
本発明は、穀粒乾燥機において、貯留した穀粒の重量を計測する重量検出センサを故障し難くメンテナンスや交換作業を行いやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、四隅に立設する縦支柱(20)で支持する側壁(21)で形成した筐体内に、穀粒の貯留部(2)及び乾燥部(3)を備え、前記乾燥部(3)の穀粒出口には回転しながら所定量の穀物を流下させるロータリーバルブ(10)を備え、穀粒をエレベータ部(5)に送る集穀部(4)の下部移送装置(9)で受け、前記エレベータ部(5)の上部側に接続する上部移送装置(8)で前記貯留部(2)の拡散盤(14)に供給することにより、張込み穀粒が前記貯留部(2)の全面に堆積貯留される構成とし、
バーナー(6a)で熱風を前記乾燥部(3)の熱風室(11)に供給して穀粒を乾燥し、
穀粒の前記貯留部(2)および前記乾燥部(3)を内蔵する穀粒乾燥機(1)を支持する前記縦支柱(20)に切欠き部(20a)を設け、該切欠き部(20a)に穀粒の重量によって前記縦支柱(20)に生じる歪を検出する重量検出センサ(42)を内蔵した重量計測ユニット(23)を一体的に前記縦支柱(20)の外側面に取り外し可能に組付け、
前記重量計測ユニット(23)は三角錐状に形成すると共に、前記切欠き部(20a)の形状を前記重量計測ユニット(23)の形状に合わせる非貫通の形状とし、
前記重量検出センサ(42)は、前記貯留部(2)に溜まる穀粒の重量変動を検出し、前記検出した重量変動が地震による重量変動であると判断すると、前記バーナー(6a)を消火する制御を行うことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とする。
本発明に関連する第1の発明は、穀粒の貯留部2および乾燥部3を内蔵する穀粒乾燥機1を支持する縦支柱20に切欠き部20aを設け、該切欠き部20aに穀粒の重量によって縦支柱20に生じる歪を検出する重量検出センサ42を内蔵した重量計測ユニット23を一体的に組付けたことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とする。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、重量計測ユニット23を縦支柱20の外側面に取り外し可能に組付けたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明で、重量計測ユニット23が穀粒乾燥機1の縦支柱20に取り付けられていることで、重量計測ユニット23内の重量検出センサ42が地面からの水分を受けることがなく、湿気での故障の惧れがない。
本発明に関連する第1の発明で、重量計測ユニット23が穀粒乾燥機1の縦支柱20に取り付けられていることで、重量計測ユニット23内の重量検出センサ42が地面からの水分を受けることがなく、湿気での故障の惧れがない。
【0011】
本発明に関連する第2の発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、穀粒乾燥機1の機体を動かすことなく、重量計測ユニット23を縦支柱20から取り外して交換することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】穀粒乾燥機の側断面図である。
図2】穀粒乾燥機の正断面図である。
図3】穀粒乾燥機支柱の側断面図である。
図4】別実施例の穀粒乾燥機支柱の斜視図である。
図5】別実施例の穀粒乾燥機支持台の部分側断面図である。
図6】別第一実施例の穀粒乾燥機支持部斜視図である。
図7】別第二実施例の穀粒乾燥機支持部の分解斜視図である。
図8】別第三実施例の穀粒乾燥機支持部の分解斜視図である。
図9】同第三実施例の穀粒乾燥機支持部の側断面図である。
図10】穀物乾燥機の正面から見た外観図
図11】穀物乾燥機の側面から見た外観図
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は第一実施形態における穀粒乾燥機の側断面図であり、図2は正面断面図である。穀粒乾燥機1は、四隅に立設する縦支柱20,20,20,20で支持した側壁21で形成した筐体内に、コンバイン等で脱穀した穀粒を張り込み貯留する貯留部2と、その貯留部2から穀粒を流下しつつ熱風乾燥する乾燥部3と、その乾燥部3から流下した穀粒を集積して再度貯留部2に移送するための集穀部4とを順次上から重ねて配置した構造としている。
【0015】
乾燥部3の穀粒出口には回転しながら所定量の穀物を流下させるロータリーバルブ10を備え、その繰出し穀粒を乾燥部3からエレベータ部5に送る集穀部4の下部移送装置9に受け、エレベータ部5の上部側に接続する上部移送装置8で貯留室2の拡散盤14に供給することにより、張込み穀粒が貯留室2の全面に均一に堆積貯留される。
【0016】
乾燥部3の前面位置には外気を加熱するバーナー6aを備えて熱風を熱風室11に供給する熱風供給部6を配置し、背面位置には排風室12から排風を吸引排出する排風ファン7aを備える排風排出部7を配置する。
【0017】
図2に示すように本実施形態においては、穀粒の流れを滑らかにするように筒状体である熱風室11の上部の形態を左右の傾斜面による山型形状の分岐頂部に形成すると共に、排風室12を左右一対設ける構成とし、貯留部2から左右に分岐するそれぞれの穀粒流下通路13に穀粒が分かれて流下する。
【0018】
乾燥部3については、上端部を貯留部2と連通した複数の穀粒流下通路13を設け、その下方においてはそれらの穀粒流下通路13を挟むように、中央の熱風室11の左右に排風室12を形成する。熱風室11と排風室12とに挟まれた部分の穀粒流下通路13は、熱風が透過可能な金網材構成の穀粒通路であり、両下端部をロータリーバルブ10に合流して下方の集穀部4に臨む。
【0019】
熱風供給部6には遠赤外線放射体32を備える。この遠赤外線放射体32の上方には山型の覆いカバー33を設けている。この山型の覆いカバー33は、筒状の熱風室11の上部の形態と近似し、熱風室の軸線と平行な軸線を有する。覆いカバー33は穀粒流下通路13の金網材を通過して落下した藁屑等が高温の遠赤外線放射体32に落下するのを防止するためのものである。この実施の形態では、山型スクレーパ22を覆いカバー33に重ね合わせ、覆いカバー33上でその軸方向にスライドする構成とすることで、覆いカバー33に堆積する藁屑を除去することができる。また山型スクレーパ22上への堆積物も、山型スクレーパ22を動作させることにより除去することができる。
【0020】
山型スクレーパ22は覆いカバー33の上に、乾燥部3の背面板3bの内壁にその一方の端部が接するように設置する。山型スクレーパ22の前後の長さは、乾燥部3の前面板3aと背面板3bの距離の1/3から1/2である。山型スクレーパ22は、その覆いカバー33の軸線方向に一以上の切欠によるスクレーパ部22aを有するようにする。
【0021】
この切欠によるスクレーパ部22aは、藁屑等が最も堆積する山型の頂部を切り欠いて穴部をなしており、本実施形態においては側面方向から見たときに方形の穴形状としている。穴の形状は本実施例におけるような方形に限定されるものではないが、山型スクレーパ22は分岐頂部の頂上部の堆積物を除去する必要があることから、頂上部に当たる穴部の軸線方向の寸法は、山型スクレーパ22のスライド動作の動作量Lより小さくする必要がある。このような構成とすることにより、山型スクレーパ22頂上部にあるスクレーパ部22aのスライド方向への長さとほぼ同等の短いスライド距離Lを動作させるだけで、広範囲に亘る堆積物を除去することができる。
【0022】
山型スクレーパ22をスライド動作させるために減速機付き電動モータ40を乾燥機側である操作盤34の内部に設ける。
【0023】
穀物乾燥機1の筐体を支持する四本の縦支柱20の一つには、側方に向けて切欠き部20aを形成し、この切欠き部20aに合わせて重量検出センサであるロードセル42を組み込んだ重量計測ユニット23をボルト24で取り付けている。重量計測ユニット23は図3の実施例では三角錐状に形成し、図4で四角ブロック状に形成している。重量計測ユニットこの構成により、支柱20へ加わる筐体内の荷重がロードセル42に伝わって貯留部2に溜まる穀粒の重量を検出するようにしている。図3の構成によると、重量計測ユニット23を切欠き部20aに挿入し易く、オプション品として後付けがし易い。図4の構成によると、一度挿入して取付けると、取り付け構成が強固になり、重量測定の精度を保ちやすい。また、図3及び図4の構成によると、1個の重量計測ユニット23で良いため安価である。
【0024】
図5は、四本の縦支柱20を支える底板19の底部にロードセル42を設けた支持台31を設けた重量計測ユニット23の別実施例で、底板19の下側にナット29を溶接し、このナット29にねじ込む高さ調節ボルト30の先端下部に支持台31を設け、支持台31の下向き受皿28内にロードセル42と接地台27を重ねて組み込んでいる。支持台31の上面には高さ調節ボルト30の先端を受けるガイドリング28aを設けている。18はキャスター輪である。
【0025】
この実施例では、ロードセル42が直接接地しないので、塵や水による故障を防いでいる。
【0026】
図6は、重量計測ユニット23の別実施例で、接地台27に支軸35でカム43を支持し、この接地台27に被せる支持台31の横調節ボルト44でカム43を回動して支持台31を昇降し、穀粒乾燥機1の水平調節を行う。支持台31の上面にロードセル42を置き、底板19を受ける。
【0027】
図7は、重量計測ユニット23の別実施例で、支持台31を箱状の上台31Aと下台A31Bとして、下台A31B内に支軸35で支持したカム43を設け、横調節ボルト44の回動で上台31Aを昇降する。上台31Aの上面にロードセル42を置き、底板19を受ける。
【0028】
図8,9に示す実施例では、下台A31Bの内部にスライドガイド36で上下にスライドする昇降ベース37を設け、横調節ボルト44で回動するカム43で昇降ベース37を上下にスライドして上台31Aを昇降する。
【0029】
図5から図9の重量計測ユニット23の構成の場合には、前後左右の四隅の底板19それぞれに重量計測ユニット23を設けることが望ましい。
【0030】
これらの底板19の底部を受ける四か所のロードセル42で各々の重量を計測すると穀粒乾燥機1の重量バランスが測定でき、機体の重心位置を操作盤34に表示すると期待の設置が容易になる。
【0031】
なお、図10には、図3及び図4の縦支柱20の一つに切欠き部20aを形成して重量計測ユニット23を挿入する場合について記載しているが、便宜上、図5から図9の重量計測ユニット23のように、前後左右の四隅の底板を重量計測ユニット23(括弧書きで付している)で支持する場合についても便宜上記載している。また、図11には、図5から図9の前後左右の四隅の底板を重量計測ユニット23で支持する場合の図を記載している。
【0032】
また、ロードセル42は、貯留部2に溜まる穀粒の重量変動を検出するが、急激な重量変動は地震によるものと判断して、バーナー6aを消火するように安全制御を行うと良い。
【符号の説明】
【0033】
1 穀粒乾燥機
2 貯留部
3 乾燥部
20 縦支柱
20a 切欠き部
23 重量計測ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11