(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記孔の前記第1の端部に取り外し可能な蓋を備え、該蓋が前記孔の前記第1の端部を覆って固定された時に、前記蓋は前記固定ロッドと前記ケースとの間で荷重を伝達する係合を提供するようにして、前記蓋の一面は、前記固定ロッドの前記第1の部分の少なくとも一部を収容する寸法にされた窪みを備えて形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の固定アセンブリ。
前記ケースの前記第1の端部は、それに強固に固定されたプレートによって閉鎖され、該プレートは、前記固定ロッドの前記第1の部分の前記少なくとも一部を受けるための貫通する開口部を有し、前記プレートは、前記固定ロッドの前記第1の部分を前記プレートに取り外し可能に固定するための手段を備える、請求項1に記載の固定アセンブリ。
前記固定ロッドの前記第1の部分を前記プレートに固定するための手段は、前記固定ロッドの前記第1の部分の少なくとも一部に形成された雄ねじを受けてそれと係合する寸法である、雌ねじが切られたコネクターである、請求項14に記載の固定アセンブリ。
前記ケースはその長さの少なくとも一部に雄ねじを備え、前記固定アセンブリは、前記ケースとねじで係合可能な寸法及び配置にされた雌ねじが切られたベースソケットを更に含み、それにより組み合わされたケースとソケットの全長は、前記ケースを前記ベースソケットへねじ込む又はねじにより前記ベースソケットから引き出すことによって調節されることができる、請求項14〜16のいずれかに記載の固定アセンブリ。
前記固定ロッドの前記第1、前記第2及び前記第3の部分が一体的に形成され、前記第3の部分は、前記第1及び前記第2の部分よりも断面が小さく、前記第1及び前記第2の部分と比べて低い強度を提供する、請求項1〜17のいずれかに記載の固定アセンブリ。
前記固定ロッドの前記第1、前記第2及び前記第3の部分が一体的に形成され、前記第3の部分は、前記第1及び前記第2の部分と異なる断面形状であり、前記第1及び前記第2の部分と比べて低い強度を提供する、請求項1〜17のいずれかに記載の固定アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2〜6を参照すると、本発明による固定アセンブリ20は、ケース21、軸受22、固定ロッド23、蓋24、ソケット25、及びベースピン26を含む。
【0021】
ケース21は、第1の端部(使用中での最上部)及び第2の端部(使用中での最下部)を有する中空円筒の(すなわち、それを貫通する長手方向の孔を備えた)形態である。
図5a、5bに示されるように、円筒の内壁30は断面が円形であるが、外壁31はケースの全長を延びる平面33によって分離された一対の傾いた肩部32を形成する形にされる。各肩部32と平面33との間の接合部は、それぞれがケース21の全長を延びる一対の離れた角部34を与える。
図6に示されるように、これらの角部34は、それぞれが溶接線35のための場所を提供する。溶接部は、後述されるように、固定される物品に固定アセンブリを取り付けるために使用される。
【0022】
ケース21の内壁30は、ソケット用開口部36を提供するために、基部に隣接して厚さが減らされる。ケースの上部に隣接して、内壁30は壁厚がやはり減らされ、雌ねじの開口部37を提供するためにねじ山が付けられている。
【0023】
蓋24は、雄ねじ38aを有する中空の円筒部38を備えて形成され、雄ねじ38aは開口部37のねじ山と係合可能な寸法及び配置にされる。蓋24はまた、ねじ部よりも直径が大きなフランジ39を与える。一連の工具用ソケット41が、フランジ39の外周に等間隔で配置されている。
【0024】
ソケット25は、ケース21のソケット用開口部36内で滑り嵌めとなる寸法にされた中空円筒形の第1の部分40を与える。ソケット25はまたそれを貫通するベースフランジ41を与え、ベースフランジ41は、雌ねじが切られた開口部42を中央に有する。ベースフランジ41はその外周に、離れて配置された多くの工具用ソケット43を備えて形成される。
【0025】
ベースピン26は、ソケット25の開口部42にねじで係合し、かつ後述するように、固定ロッド23の基部にねじで係合する寸法である真っ直ぐな、雄ねじが切られたピンである。
【0026】
固定ロッド23は、工具と係合するための六角形の外側表面48を有する自由端である、第1の部分である上部47を更に含む。上部47はまた、自由端と固定ロッドのそれより下部との間に位置する拡径フランジ49を与える。固定ロッド23は、ねじ係合でベースピン26の上端部を受ける寸法であり、雌ねじが切られた孔46を中央に含む、第2の部分である下端部45を含む。上端と下端との間に、固定ロッドには第3の部分である縮径部50が形成される。
【0027】
縮径部50の要件は、固定ロッドの残りの部分と比べて低強度ということである。明らかに、これを達成する一つの方法は、この部分を小径で作ることであるが、同様の効果が固定ロッドの残りの部分よりも低強度の材料で縮径部50を作ることによって達成され得る。別の可能性は、異なる断面形状で低強度部分を作ることである。
【0028】
固定ロッド23の全体が一体に形成されることは、本発明の本質的な特徴ではない。異なる材料から低強度部分を形成し、固定ロッドの3つの部分を1つに接続することが有利な適用である場合もあり得る。
【0029】
軸受22は、その全長に亘る小さな間隙51と、その反対側に切り欠き52とを備えて形成された円筒形の部品であり、それにより軸受は固定ロッド23の縮径部50の外側の周りに留められるために容易に開かれることができる。適切な状態では、軸受22は、使用時に固定ロッドを支持するように、固定ロッドの縮径部50の少なくとも大半の周りで締り嵌めとなる。好ましくは、軸受22は、拘束することなく、固定ロッドとケースとの間の相対運動を可能にする低摩擦材料で作られている。
【0030】
上記の固定アセンブリは、次のようにして使用される。他の構成要素が各固定アセンブリのケース21に組み込まれる前に、各ケース21での平面33の両側の角部34で、それぞれがケース21の全長を延びる2本の平行な溶接線35を使用して、タンクの側面に直接又はタンクのスカート(図示しない)へのいずれかでケース31を溶接することにより、ケース21はタンク60の必要な位置に取り外せない方法で強固に固定される。各タンクに使用される固定アセンブリの数は、明らかにタンクの重量と外径に依存する。
【0031】
固定アセンブリのそれぞれのケース21がタンク又はタンクのスカートに溶接されたら、各固定アセンブリの残りの構成要素は、次のようにして組み立てられる。
図3及び4を特に参照すると、可撓性のワッシャ55がフランジ49のすぐ下で固定ロッド23に配置され、更なる可撓性のワッシャ56がフランジ49のすぐ上に配置される。軸受22は、固定ロッド23の縮径部50の外側の周りに留められる。
【0032】
図3に示されるように、ソケット25は、ケース21のソケット用開口部36内に滑り嵌めされる。
【0033】
次に、
図3に示されるように固定ロッド23の全体がケース内に収まるまで、
図4に示されるように、軸受22を備えた固定ロッド23は、ケース21の上部からケース内に下げられる。
【0034】
図3に示される位置において、固定ロッド23のフランジ49は開口部37のねじ部のすぐ下にあり、フランジ49のそれぞれの側にワッシャ55、56の1つを備える。固定ロッド23の下端部45は、ソケット25の第1の部分40内に滑り嵌めされる。
【0035】
蓋24は、ケース21の部分37のねじ山と係合するねじ部38aで、ケース21にねじで取り付けられる。固定ロッドの上部の六角形部分48は、蓋の中空円筒部38内に収まり、それにより
図3に示されるように蓋24が完全に所定の位置に固定された時、固定ロッド23はフランジ49の上端にあるワッシャ56と接する下面38bによってケース21内に固定される。この位置では固定ロッド23は、ケース21で固定され、そしてケース21と荷重を伝達する係合をしている。工具用ソケット41は、ケースに蓋24を締め付けるのに適した工具を受けるために使用されることができる。
【0036】
組み立てられた構成要素は、次にソケット25のねじ山が付けられた開口部42を経て、固定ロッド23のねじ山が付けられた開口部46内にベースピン26の上端部をねじ込むことによって、ベースピン26と係合される。これは、ソケット25及びベースピン26を介して固定ロッド23とケース21との間に強固な荷重を伝達する係合を与え、更に床61と固定アセンブリとの間にも荷重を伝達する係合を(使用時に)提供する。工具用ソケット43は、ピン26にソケット25を締め付けるための工具を受けるために使用されることができる。
【0037】
そして、各固定アセンブリの位置は、タンク60が固定される床61上に印が付けられており、各位置にベースピン26の下端部を受けるための穴が形成されて、適した樹脂又は接着剤が充填される。タンクは、固定アセンブリの基部から突出した各固定アセンブリのベースピン26を備え、所定位置へ垂直に下げられ、タンクは下げられた際に、各ベースピン26が予め形成されて予め接着剤を塗られた穴の1つに入るようにされる。
【0038】
接着剤が固まると、タンク60はしっかりと床61に固定される。上記のようにして、あらゆる方向におけるタンクの移動は、ケース21、固定ロッド23、ベースピン26及び床61の間の係合によって制限される。
【0039】
タンクが付加的な荷重(例えば地震による)を受ける場合、各固定アセンブリの固定ロッド23は、当然ながら引張、圧縮又は一般的にはこれらの力のサイクルの荷重を受ける。地震は通常、タンクに複数の水平方向のせん断力に加えて、おそらく垂直方向の力、更に水平方向のせん断力によりタンクが転覆しようとすることで固定ロッド23に掛かる垂直方向の力を引き起こすことが予期される。
【0040】
特に、水平方向のせん断力は、ケース21のソケット用開口部36を支える、各固定アセンブリのソケット25によって耐えられることに留意されたい。
【0041】
上記の固定アセンブリにおいて、各ベースピン26は、各ソケット25のねじ山が付けられた開口部42にねじで取り付けられる。しかし、これは必須でなくてもよく、それに代えてソケット25のねじ山が付けられた開口部42を省略し、代わりにソケット25にねじのない開口部を形成し、ベースピン26がそれを通って固定ロッド23と係合することが好ましいかもしれない。別の可能な変形形態では、ソケット25の第1の部分40の外側の周りにねじ山を形成し、ケース21のソケット用開口部36の内側に形成された対応するねじ山を備える。
【0042】
図6に示されるように、ねじ山が付けられた開口部42(これがねじ付きである場合)にベースピン26をより多く又は少なくねじ込むことによって、ケース21と床61との間の空間を調節することが可能である。または、部分40とソケット用開口部36にねじ山が付けられている場合、ケース21に対するソケット25の位置は、ソケット用開口部36へのソケット25のねじ込みにより調節されることができる。
【0043】
本発明の更なる実施形態は、
図7〜12を参照して説明される。
【0044】
図7は、本発明の第2の実施形態を示し、それは基本的には第1の実施形態、すなわち
図2〜6の実施形態の簡略化されたバージョンである。固定アセンブリ120は、ケース121、軸受122、固定ロッド123、蓋124、スリーブ125の形態のコネクター、及びベースピン126を含む。
【0045】
ケース121は、中空円筒の形態である。円筒形の孔130は全長に亘って形成され、ケースの縦軸Y−Yと平行だが、それからずらされた孔130の縦軸X−Xを備える。後述するように、これは、安定化されるべき物品に固定されるケースの部分121aに材料のより大きな体積を残す。孔130は、使用中での最上部である第1の端部と、使用中での最下部である第2の端部とを有する。
【0046】
図7aに示されるように、ケース121の外面には、安定化される物品にケースを溶接することを容易にするために平面133が形成されている。
【0047】
ケース121の内壁は、ソケット136を提供するために、ケースの基部に隣接して厚さが減らされる。ケースの上部に隣接して、内壁は壁厚がやはり減らされ、雌ねじの開口部137を提供するためにねじ山が付けられる。
【0048】
蓋124は、雄ねじ138aを有して開口部137のねじ山と係合する寸法及び配置にされる、中空の円筒部138を備えて形成される。蓋124はまた、ねじ部よりも直径が大きなフランジ139を与える。一連の工具用ソケット141が、フランジ139の外周に等間隔で配置されている。
【0049】
固定ロッド123は、工具と係合するための六角形の外側表面を有する自由端である、第1の部分である上部147を更に含む。上部147はまた、自由端と固定ロッドのそれより下部との間に位置する拡径フランジ149を与える。固定ロッド123はまた、スリーブ125の内部に形成されたねじ山125aとねじで係合できるように、雄ねじが切られた第2の部分である下端部145を含む。スリーブ125の外面125bは、良好な把持を提供するためにギザギザが付けられるか又は粗面にされる。ベースピン126には雄ねじが切られており、そのねじ山は、スリーブ125の内部のねじ山125とねじで係合できる寸法にされる。上端と下端との間に、固定ロッド123には第3の部分である縮径部150が形成される。
【0050】
第1の実施形態を参照して説明されたように、固定ロッドの縮径部150のための要件は、固定ロッドの残りの部分と比べて低強度ということである。これは、その部分を小径で作ることによって、又は低強度の材料若しくは異なる断面形状で作ることによって達成され得る。固定ロッド123は、その全長を一体に形成するとして説明されているが、それは本発明の本質ではない。上部と下部は、低強度部分とは別に形成され得る。
【0051】
軸受122は、その全長に亘る小さな間隙151と、その反対側に切り欠き(図では見えない)とを備えて形成された円筒形の部品であり、それにより軸受は固定ロッドの縮径部150の外側の周りに留められるために容易に開かれることができる。適切な状態では、軸受122は、使用時に固定ロッドを支持するように、固定ロッドの縮径部150の少なくとも大半の周りで締り嵌めとなる。第1の実施形態と同様に、軸受22は低摩擦材料で作られることができる。
【0052】
図7に示される固定アセンブリは、次のようにして使用される。タンク160で使用される各固定アセンブリについて、固定アセンブリの位置が設定され、各ベースピン126が対応するスリーブ125にねじで取り付けられ、次にベースピン126の自由端に加えて、スリーブ125の隣接部分が180で示されるようにして接着されるか、さもなければタンクの基礎となる表面に固定されて、その表面から突出した各スリーブ125の上部を残す。各固定アセンブリについて、ケース121の基部において対応するスリーブ125の上部をソケット136と係合させることによってケースが正しく配置される。次に、タンクの側面に又はタンクのスカート(存在する場合)に対してケースの平面133を配置して、平面133の両側を延びる2つの平行な溶接線を用いてケースをタンク又はタンクのスカートに溶接することによって、各ケースはタンク160の必要な位置に取り外せないようにかつ強固に固定される。
【0053】
各タンクを固定するために使用される固定アセンブリの数は、タンクの重量及び外径に依存することが理解される。
【0054】
それぞれのケース121がタンク又はタンクのスカートに溶接されたら、各固定アセンブリの残りの構成要素は、次のようにして組み立てられる。可撓性のワッシャ55(図示されない)がフランジ149の上下に配置され、軸受122が固定ロッド123の縮径部150の外側の周りに留められる。
【0055】
次に、
図7に示されるように、固定ロッド123の全体がケース内に収まるまで、軸受122を備えた固定ロッド123は、ケース121の上部からケースの孔内に滑り嵌めされる。この位置において、フランジ149は開口部137のねじ部のすぐ下にあり、固定ロッドの下端部145はソケット136内にある。そして、固定ロッド123は、固定ロッド123の下端部145をスリーブ125にねじで取り付けるために回転される(固定ロッドの六角形の上端と係合する工具を使用して)。
【0056】
蓋124は、ケース121の部分137のねじ山と係合するねじ部138aで、ケース121にねじで取り付けられる。固定ロッドの上部の六角形部分は、蓋の中空円筒部138内に収まり、それにより
図7に示されるように蓋124が完全に所定の位置に固定された時、固定ロッド123はフランジ149の上端にあるワッシャ(図示しない)と接する蓋の下面138bによってケース内に固定される。この位置では、固定ロッド123は、ケース121で固定され、そしてケース121と荷重を伝達する係合をしている。ソケット141は、ケースに蓋124を締め付けるのに適した工具を受けるために使用されることができる。
【0057】
上記実施形態では、スリーブ125はケース内まで延び、したがってタンクとその下の表面の相対的な水平移動によって生じるせん断応力をケースに伝達することができることが理解される。スリーブ125がケースの基部においてソケット136内に延びる長さは、伝達されるせん断応力の予期される程度に応じて、当然に必要により調節されることができる。
図9を参照して説明される実施形態を参照されたい。
【0058】
図8は、本発明の第3の実施形態を示す。基本的に第3の実施形態は
図7に示される第2の実施形態の変形形態であり、第3の実施形態は、下記の事項を除いて第2の実施形態と同じである。構成要素が同一である場合には、同じ参照番号が使用される。
【0059】
図8に示される第3の実施形態では、固定ロッド123の下端部145には、第2の実施形態と同様に雄ねじが形成されているが、第3の実施形態では、このねじ山は、大径フランジ162の上面から突出する、雌ねじが切られたボス161の形態のコネクターと係合する。
【0060】
基礎のベースプレート164にフランジ162を固定するために、フランジは、フランジが基礎の表面にボルト止めされることができるように、間隔をおいて開口部(図示しない)を設けられることができ、更に/又は、フランジ162はその下縁の周りを溶接163で溶接されることができる。ベースプレート164自体は、図示のように、いずれかの適切な手段、例えば図示される押さえボルト165によって基礎の表面に固定されることができる。
【0061】
ボス161が、ケースに形成されたソケット136内へ上向きに延びていることに留意されたい。上述した第2の実施形態と同様に、この重なりはせん断応力の伝達に役立つ。その重なりは、せん断応力の予期される程度に応じて増大されることができる。
【0062】
第3の実施形態は、次のようにして使用される。タンク160で使用される各固定アセンブリについて、固定アセンブリの位置が設定され、各フランジ162が、
図8に示されるように選択された位置に溶接される。次にそれぞれの対応するケース121が、フランジ162のボス161をケースのソケット136内に位置させることにより、正しく配置される。次に、タンクの側面に又はタンクのスカート(存在する場合)に対してケースの平面133を配置して、平面133の両側を延びる2つの平行な溶接線を用いてケースをタンク又はタンクのスカートに溶接することによって、各ケースはタンク160の必要な位置に取り外せないようにかつ強固に固定される。
【0063】
第2の実施形態と同様に、使用される固定アセンブリの総数は、タンクの重量及び外径に依存する。
【0064】
上記のステップが完了したら、第2の実施形態を参照して説明されたようにして固定アセンブリの残りの構成要素が組み立てられる。アセンブリでの唯一の違いは、固定ロッドの下端部145は、ボス161の雌ねじとねじで係合することである。
【0065】
図9を参照して、本発明の第4の実施形態は、基本的に
図7を参照して説明された第2の実施形態の変形形態であるが、ケースの基部に形成されたソケット136と雌ねじが切られたスリーブ125との間の増大した長さの重なりOを提供する。加えて、ソケット136内にあるスリーブ125の外表面は、スリーブ125とソケット136との間に低摩擦軸受170を備える。重なりの長さは、好ましくはケース121の全長Lの約3分の1〜半分である。他の全ての点において、
図9に示される固定アセンブリは、
図7を参照して説明されたものと同じであり、必要に応じて同じ参照番号が使用される。
【0066】
図9に示される実施形態は、
図7を参照して説明された実施形態と同じ方法で使用される。
【0067】
ソケット136とスリーブ125との間の増大した重なり及び低摩擦軸受170の使用は、固定アセンブリがタンクのスカートでなくタンクの側面に直接接続される場合に、この実施形態をタンク171を固定するために特に適したものにする。タンクのスカートが存在する場合には、通常の手順では、コンクリートでタンクの下のスカートによって生じた場所を埋める。これは、タンクとスカートのアセンブリを安定化しかつ強固にする。このようにして強固にされたタンクのスカートに固定アセンブリが接続される場合、タンクとスカートは全体で高い曲げ安定性を有し、これは高い荷重においてさえも、タンクが固定アセンブリに抗して倒れる傾向を大きく抑制する。
【0068】
しかし、スカートが存在せずに固定アセンブリがタンクに直接接続されている場合、タンクは、満杯にされていたとしても、タンク壁において加えられる垂直力とベースピン126での反作用との間での水平方向の偏心による曲げに耐えるほど十分に強くないので、問題が生じ得る。ソケット136とスリーブ125の間の重なりを増やすことは、固定アセンブリによってタンクから基礎の地面へ曲げを効率的に伝送することに役立つ。これは、固定アセンブリにおいてタンク171が倒れる傾向を抑制する。
【0069】
低摩擦軸受170の使用は、固定ロッド123が引張及び圧縮を生じる際に、ケース121がスリーブ125の表面を摺動することを可能にするのに役立つ。
【0070】
図10は、
図8に示される第3の実施形態と類似する第5の実施形態を示しているが、ケースの基部に形成されたソケット136と雌ねじが切られたボス161との間の重なりの増大した長さを提供する。
図10に示されるように、ボス161は、ケースの全長Lの約3分の1〜半分に相当する長さBでケース121内に延びる。
【0071】
低摩擦軸受170aは、任意でボス161とケース121との間に配置されることができ、固定ロッド123が引張及び圧縮を生じる際に、ケースがボス161の表面を摺動することを可能にする。
【0072】
他の全ての点において、
図10に示される固定アセンブリは、
図8を参照して説明されたものと同じであり、必要に応じて同じ参照番号が使用される。
【0073】
図10に示される実施形態は、
図8の実施形態と同じ方法で使用される。しかし、
図10に示される変形形態では、フランジ162は、
図8の実施形態で示されるように基礎のプレートに溶接されるのではなく、複数のボルト190を用いて固定され、ボルト190の下端はコンクリート192内に設置されたアンカープレート191に固定される。コンクリートへの力の伝達を助けるために、帯筋193及びヘアピン鉄筋194が公知の方法で使用されることができる。
【0074】
図10に示される実施形態は、ソケット136とボス161との間の増大された重なりにより、その実施形態がスカートを有さずに固定アセンブリがタンクの側面に直接接続される場合に、タンク171を固定するために特に適しているという点で、
図9を参照して説明された実施形態と同じ利点を提供することが理解される。
【0075】
地震は、通常は一方向での単一の動きでないことに留意されたい。むしろ、いくつかの方向での繰り返される動きがあり、そのため1回の地震において、各固定ロッドは引張及び圧縮の両方で繰り返し変形される可能性が高い。これは、ひずみ硬化を引き起こす可能性があるので、大きな地震の後には各固定ロッドを検査して交換(必要な場合)することが通常の良好な行為であると考えられる。
【0076】
これらの力が、いずれかの固定ロッド23、123にロッド材料の弾性範囲内で荷重を引き起こす場合には、荷重が無くなった時に各固定ロッドは元の形状に戻る。しかし、いずれかの固定ロッドでの荷重がその材料の降伏強度を超える(すなわち、弾性変形範囲を超える)場合には、固定ロッドに永久ひずみが生じる。変形しやすい固定ロッドの部分は低強度部分50、150であり、軸受22、122の存在が固定ロッドを真っ直ぐかつ正しく整列された状態に保つのに役立ち、特に圧縮での座屈に耐えるように固定ロッドを支援する。
【0077】
タンクへの過度の荷重のために固定ロッドが塑性変形した場合、固定ロッド23、123は、蓋24、124を取り外し、ベースピン26、126から固定ロッド23、123を回して外し、新しい破損していない固定ロッドを再び組み付けることによって交換されることができる。必要に応じて、軸受22、122も交換されることができる。
【0078】
固定アセンブリが作られる材料は、抑えられる物品の大きさ及び重量に応じて、適切な材料の中から選択されることができる。材料及び形状は、使用される固定アセンブリがタンクの全ての通常の動きを保持するのに十分に強いという観点で選択されるべきであるが、タンクの過剰な動きが生じたならば(例えば、地震におけるように)、タンクが損傷する前に、固定アセンブリがタンクから引き離される前に、又はベースピン26が床から引き抜かれる前に、固定ロッド23、123の部分50、150はまず弾性変形し、次いで塑性変形することとなる。
【0079】
例として、ワインタンクでの使用については、ケース31、131は好ましくはステンレス鋼であり、ベースピン26、126高張力鋼であり、固定ロッド23、123の少なくとも低強度部分50、150は延性の軟鋼である。軸受22、122は、適当なプラスチック材である。
【0080】
上記の固定アセンブリは、物品を固定するための頑丈で比較的低コストの手段を提供することが理解される。更に、固定アセンブリの構成部品は、損傷を簡単に確かめられることができ、物品又は基礎の床を損傷することなく容易に交換されることができる。
【0081】
図11及び12に示された実施形態は、脚に取り付けられるタンク用の固定アセンブリである。タンク(例えば、ワインタンク)が脚の上に取り付けられている場合、これはタンク全体の重心を高くし、タンクは転倒し易いことが理解される。更に、地震の荷重が掛かると脚は座屈するか又は完全に折れることがある。それにもかかわらず、このように構成されている多数の既存のタンクがあり、脚の上に取り付けられたタンクを効果的に安定させる固定アセンブリを与えることができることが望ましい。本実施形態では、固定アセンブリは直接タンクに接続されているのではなく、タンクの脚を固定するために使用される。当然ながらタンクの脚は強固にタンクに接続されており、固定アセンブリも同様にタンクに間接的に接続される。
【0082】
図11を参照すると、本発明の固定アセンブリ270は、ケース271、軸受272、固定ロッド273、上部プレート274、及びベースソケット275を含む。
【0083】
ケース271は中空円筒の形態であり、その長さの大部分に沿って雄ねじが切られている。それによりケースは、雌ねじが切られた中空円筒の形態であるベースソケット275に係合してねじ込まれ又はねじにより引き出されることができる。
【0084】
ケース271は、後述するようにスパナと係合するための直径方向で反対向きであるスロット276の1つ以上の対を備えて形成される。ケース271はまた、後述のように固定ロッド273を受ける配置及び寸法にされた、ねじが切られた内部のソケット271aを提供する。
【0085】
固定ロッド273は、円柱形であって雄ねじが切られた上部277、上部277と一体に形成された第1の円錐部278、中間の小径円柱部279、第2の円錐部280、及び雄ねじが切られた円柱形のベース部281を提供する。
【0086】
中間部分279の要件は、固定ロッドの残りの部分と比べて低強度ということである。明らかに、これを達成する一つの方法は、図示のようにこの部分を小径で作ることであるが、同様の効果が固定ロッドの残りの部分よりも低強度の材料で又は異なる断面形状で中間部分279を作ることによって達成され得る。
【0087】
固定ロッドの全体が一体に形成されることは、本発明の本質的な特徴ではない。異なる材料から低強度部分279を形成し、他の部分と接続することが有利な適用である場合もあり得る。
【0088】
軸受272は、いずれかの適当なプラスチック材で作られることができ、その全長に亘る小さな間隙(図では見えない)と、直径方向での反対側に切り欠きとを備えて形成された円筒形の部品であり、それにより軸受は固定ロッド273の少なくとも中間部分279の外側の周りに留められるために容易に開かれることができる。
図11に示されるように、軸受272はまた、固定ロッドの第1及び第2の円錐部278、280の周りに嵌るように内部を形成される。
【0089】
適切な状態では、軸受272は、使用時に固定ロッドを支持するように、固定ロッドの対応する部分の周りで締り嵌めとなる。
【0090】
タンクに取り付ける前に、固定アセンブリ270の構成要素は予め組み立てられる。上部プレート274は、中心に雌ねじが切られた孔285が形成され、孔285の周辺に溶接されたナット286を有する平板である。プレート274でのその反対側には、せん断伝達リング287が孔285と同心円状にプレートに溶接される。せん断伝達リング287の内径はケース271の外径よりも僅かに大きいので、ケース271はせん断伝達リングの内側で滑り嵌めとなり、使用時にリングはあらゆるせん断力をケース271に伝達する。
【0091】
軸受272は固定ロッド273の周りに留められ、次に固定ロッド273及び軸受272は、円柱形のベース部281を、ケース271の基部に隣接して形成された対応するねじ山が付けられたソケット271aにねじ込むことによって、ケースの内部に固定される。
図11に示されるように、ケース271の外側はベースソケット275にねじ込まれる。
【0092】
上記の構成要素は、次のようにしてタンクを固定するために使用される。
図12に示されるように、固定アセンブリ270は、タンクの支持脚282の一部又は全部の下部に代えられる。既知の方法において、支持脚282はそれぞれ、タンクの下面(図示されない)と地面に固定された支持ベースプレートとの間を延びる中空の円筒形の柱である。各脚は、ブレース282a(既存又は改修の)により斜めに補強されてもよい。
【0093】
固定アセンブリ270を取り付けるそれぞれの脚282は、脚の下部Aが除去され、固定アセンブリ270がその場所に取り付けられる。固定アセンブリの上部プレート274は、脚282の外径よりも僅かに大きくされており、脚282の外周での溶接283によって脚282の端部に固定される。
【0094】
固定アセンブリのベースソケット275は、円周溶接289によってベースプレート288に溶接される。ベースプレート288は、既知の方法でコンクリートを使用して基礎の地面に固定されるか又は接着剤を使用して基礎のコンクリートのソケットに固定されるアンカーピン291を受けるための複数の孔290(そのう中の2つが図示される)を備える。
【0095】
ベースソケット275は、取り付けられるケース271とできるだけアセンブリ全体の高さを低くするために、ケース271を覆ってねじで締結される。次にベースソケット275に固定されたベースプレート288は、孔290を対応するアンカーピン291に通して配置され、アンカーピンの上端でナット292を締め付けることによって所定の位置に固定される。
【0096】
次に、スパナがケース271のソケット276に係合され、固定ロッド273の上部277が、上部プレート274の孔285を通って孔285の上に固定された固定ナット86と係合するまで、ケース271を回転させてベースソケット275の外へ延ばす。ケース271の回転は、ケース271の上端が上部プレート274の下面と密着するまで継続される。これで取り付けは完了する。
【0097】
ケース271とソケット275との間のねじ接続は、固定アセンブリの全長の調節におけるかなりの余裕を与え、それぞれの脚282の端と基礎の地面との間における高さのばらつきを調節することが理解されるであろう。
【0098】
上記のようにして固定アセンブリ220が取り付けられると、タンクは脚に接続された固定アセンブリを介して床にしっかりと固定される。上述したように、あらゆる方向におけるタンクの動きは、ケース271、固定ロッド273、ベースソケット275、並びに上部及びベースプレート274、288の間の係合によって抑制される。張力は固定ロッドを介して伝達され、圧縮力はケースを介して伝達され、せん断力はせん断伝達リング287によってケース271に伝達される。
【0099】
タンクが付加的な荷重(例えば地震による)を受ける場合、各固定アセンブリの固定ロッド273は、当然ながら引張、圧縮又は(一般的に)これらの力のサイクルの荷重を受ける。地震は通常、タンクに複数の水平方向のせん断力に加えて、おそらく垂直方向の力、更に水平方向のせん断力によりタンクが転覆しようとすることで固定ロッド273に掛かる垂直方向の力を引き起こすことが予期される。
【0100】
地震は、通常は一方向での単一の動きでないことに留意されたい。むしろ、いくつかの方向での繰り返される動きがあり、そのため1回の地震において、各固定ロッド273は引張及び圧縮の両方で繰り返し変形される可能性が高い。これは、ひずみ硬化を引き起こす可能性があるので、大きな地震の後には各固定ロッド273を検査して交換(必要な場合)することが通常の良好な行為であると考えられる。
【0101】
その力が、いずれかの固定ロッド273にロッド材料の弾性範囲内で荷重を引き起こす場合には、荷重が無くなった時に各固定ロッドは元の形状に戻る。しかし、いずれかの固定ロッドでの荷重がその材料の降伏強度を超える(すなわち、弾性変形範囲を超える)場合には、固定ロッドに永久ひずみが生じる。変形しやすい固定ロッドの部分は低強度部分279であり、軸受272の存在が固定ロッドを真っ直ぐかつ正しく整列された状態に保つのに役立ち、特に圧縮での座屈に耐えるように固定ロッドを支援する。
【0102】
タンクへの過度の荷重のために固定ロッドが塑性変形した場合、固定ロッド273は次のようにして交換されることができる。ナット292を外し、上部プレート274でのナット286から固定ロッド273を外すためにスパナでケース271を回転させ、固定アセンブリを持ち上げてピン291から外すための十分な隙間ができるまでベースソケット275内へケース271を下げ、そしてケース271を右に回してベース275との係合を外すことができる。それにより、固定ロッド273(おそらく軸受272も)は交換されることができる。次いで、構成要素は上述のようにして再び組み立てられて、再び取り付けられる。
【0103】
上述した実施形態の全てにおいて、結合された構成要素(例えば、
図11に示される実施形態ではケース271及びソケット275に関して)の全長の調節を可能にすることが必要でない限り、いずれかの同等の接続(例えば、ツイストロック接続)が、記載されたねじ接続と代えられ得ることが理解されるであろう。
【0104】
固定アセンブリが作られる材料は、抑えられる物品の大きさ及び重量に応じて、適切な材料の中から選択されることができる。材料は、使用される固定アセンブリがタンク又は他の物品の全ての通常の動きを抑制するのに十分に強いという観点で選択されるべきであるが、過剰な動きが生じたならば(例えば、地震におけるように)、その物品が損傷する前に、固定アセンブリが脚282から引き離される前に、又はベースピン291が床から引き抜かれる前に、固定ロッド273の部分279はまず弾性変形し、次いで塑性変形することとなる。部分279の材料は、塑性変形の予期される程度に耐えるために十分に延性でなければならないことが理解されるであろう。
【0105】
例として、ワインタンクでの使用については、ケース271及びベースソケット275は通常はステンレス鋼であり、固定ロッド273の少なくとも低強度部分279は延性の軟鋼である。
【0106】
上記の固定アセンブリは、物品を固定するための頑丈で比較的低コストの手段を提供することが理解される。更に、固定アセンブリの構成部品は、損傷を簡単に確かめられることができ、損傷した構成要素は物品又は基礎の床を損傷することなく交換されることができる。
【0107】
本質的に、本発明のアセンブリでの固定は損傷を限定する装置であり、弱い箇所として設計された固定ロッドを備え、それにより過荷重の出来事の大部分において、損傷は固定ロッド、又は過荷重が非常に大きいならば、おそらくは固定ロッド及びケースに限定される。脚及びタンクに加わる力は、固定ロッドを介してそれらに伝達され得る力により、ある程度まで限定される。更に、本発明の固定アセンブリは、延性の固定ロッドの張力及び圧縮降伏により系に構造減衰を提供することによって、タンクに加えられる荷重の程度を低減させる。