(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、優先して起動させるべき電子装置の起動が完了すると、次に優先して起動させるべき電子装置に対して、前記複数の太陽電池のうちの少なくとも2つ以上の太陽電池により発電された電力を供給して起動させるような制御を行う請求項1記載の電子システム。
前記制御装置は、前記複数の電子装置の起動が完了した場合、前記複数の電子装置のそれぞれに対して、対応して設けられている太陽電池が接続されるような制御を行う請求項1又は2記載の電子システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態のビーコン送信装置10を含む位置確認システムのシステム構成を示す図である。なお、
図1では、複数のビーコン送信装置10を、それぞれ、ビーコン送信装置10a〜10cとして表示する。
【0026】
本実施形態における位置確認システムは、移動端末装置20の現在位置を特定するためのシステムであり、
図1に示されるように、ビーコン送信装置10a〜10cと、スマートフォン(以下、スマホと略す。)、タブレット端末装置、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す。)等の携帯可能な移動端末装置20と、サーバ装置30とから構成される。
【0027】
なお、
図1では、1台の移動端末装置20のみが示されているが、実際には複数の移動端末装置20が位置確認システム内に含まれる。
【0028】
移動端末装置20は、通信ネットワークを介して位置情報サーバ装置30に接続可能な装置であればどのような装置であっても本発明は適用可能である。
【0029】
ビーコン送信装置10a〜10cは、WiFi等の無線通信回線を介して、自装置を特定するための識別子(ID)情報を含むビーコン信号を送信する機能を有している。そして、ビーコン送信装置10a〜10cは、それぞれ、移動端末装置20の位置特定を行いたい場所に設置される。例えば、ビーコン送信装置10a〜10cは、それぞれ、会議室内や廊下等の異なる場所に設置され、上述した識別子を含むビーコン信号を常時送信している。
【0030】
そして、移動端末装置20は、ビーコン送信装置10a〜10cが設置されている場所の周辺に接近した場合、ビーコン送信装置10a〜10cにより送信されているビーコン信号を受信して、受信したビーコン信号に含まれる識別子の情報と、そのビーコン信号を受信した際の受信電波強度の情報とをビーコン情報としてサーバ装置30に送信する。
【0031】
サーバ装置30では、移動端末装置20からのビーコン情報を受信すると、そのビーコン情報に含まれる識別子の情報や受信電波強度の情報に基づいて、その移動端末装置20の位置を推定する。具体的には、サーバ装置30には、各ビーコン送信装置10a〜10cのそれぞれの設置位置が記憶されており、受信したビーコン情報の識別子の情報から移動端末装置20がどのビーコン送信装置の周辺に存在しているかを判定し、受信電波強度によりそのビーコン送信装置からの距離を算出して、移動端末装置20の現在位置を推定する。
【0032】
そして、サーバ装置30は、複数のビーコン送信装置に基づくビーコン情報を移動端末装置20から受信することにより、より正確な位置推定を行うことができる。
【0033】
なお、このビーコン送信装置10a〜10cは、図示されていない太陽電池により発電された電力を用いて動作を行っている。
【0034】
次に、
図2を参照して、太陽電池40a〜40cと、ビーコン送信装置10a〜10cと、太陽電池40a〜40cにより発電された電力をビーコン送信装置10a〜10cに供給するための制御を行う電源制御装置50とから構成されたビーコン送信システム(電子システム)を示す。
【0035】
太陽電池(光電池)40a〜40cは、太陽光や照明光等の光を受けて光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行っている。
【0036】
なお、
図2では、電源制御装置50が、3台のビーコン装置10a〜10cと、3台の太陽電池40a〜40cとの間の接続を制御する場合を示しているが、ビーコン装置、太陽電池の数はこのような場合に限定されるものではない。複数の太陽電池により発電された電力を、複数のビーコン送信装置に供給するようなシステムに対しても同様に本発明を適用することができるものである。
【0037】
電源制御装置50は、太陽電池40a〜40cにより発電された電力を、ビーコン送信装置10a〜10cのそれぞれにどのように供給するかの制御を行っている。
【0038】
なお、太陽電池40a〜40cとビーコン送信装置10a〜10cとは、それぞれ対応して設けられている。
【0039】
ビーコン送信装置10a〜10cは、電源制御装置50を介して供給された電力をキャパシタに蓄積して、このキャパシタの電圧が予め設定された値を超えると起動してビーコン信号を送信する動作を行っている。このビーコン送信装置10a〜10cの具体的な構成については後述する。
【0040】
このようにビーコン送信装置10(10a〜10c)を太陽電池40(40a〜40c)の電力により駆動するようにした理由を以下に説明する。
【0041】
ビーコン送信装置10を、オフィス、会議室、廊下等の様々な場所に設置する際に、AC電源を接続する必要があったのでは、設置場所に自由度が無く限定的なものになってしまう。また、延長ケーブル等によってビーコン送信装置10を設置する場所まで電源を持ってくるようにしたのでは、多くのビーコン送信装置10を用いる場合には設置のための手間が多大なものになってしまい現実的ではない。
【0042】
また、ビーコン送信装置10を電池等により駆動するようにしたのでは、電池切れが発生した際に電池交換を行う必要があるという問題が発生する。充電可能な二次電池を用いたとしても、電池切れが発生した場合に充電しなければならなくなるという問題が発生する。
【0043】
そのため、本実施形態におけるビーコン送信装置10では、ソーラーパネル等の太陽電池40を備えることにより外部からの電源接続を必要とすることなく様々な場所に設置可能な構成となっている。
【0044】
そして、本実施形態のビーコン送信装置10は、オフィス等が稼働しており照明がオン状態となっている場合のみ動作すれば良い。
【0045】
例えば、本実施形態のビーコン送信装置10があるオフィスで使用された場合における、一日の概略動作を
図3を参照して説明する。
【0046】
このオフィスでは、例えば、通常勤務時間が9:00〜18:00となっている。そのため、朝の9:00になり従業員が出社して照明がオンになると、太陽電池31が発電を開始してビーコン送信装置10が起動する。そして、オフィス内に人がいる昼間の時間帯では、ビーコン送信装置10は、オン状態の照明の光により発電を継続して動作状態となる。そして、夕方の18:00になり従業員が帰宅してオフィス内の照明がオフ状態になると、ビーコン送信装置10では、発電が行われなくなり、最後にはビーコン送信装置10は動作を停止する。
【0047】
このような本実施形態のビーコン送信装置10の回路構成を
図4を参照して説明する。
【0048】
本実施形態のビーコン送信装置10は、
図4に示されるように、電源制御装置50を介して供給されてきた太陽電池の電力を蓄積するキャパシタ(蓄積部)32と、電圧監視回路33と、レギュレータ34と、本体部35とを備えている。
【0049】
本体部35は、キャパシタ32により蓄積された電力を用いて動作する電子装置本体部である。具体的には、本体部35は、自装置の識別子(識別情報)を含むビーコン信号を、WiFi等の無線回線を介して周囲に送信する送信部として動作している。
【0050】
レギュレータ34は、キャパシタ32に蓄積されている電圧を、本体部35の動作電圧である3Vに変換して出力する定電圧回路である。このレギュレータ34には、イネーブル端子(EN)が設けられており、このイネーブル端子がハイレベルになると電圧変換動作を行って出力電圧を本体部35に供給する動作を行い、このイネーブル端子がロウレベルになると電圧変換動作を停止して本体部25に電圧が印加されないようにする構成となっている。
【0051】
キャパシタ(蓄積部)32は、いわゆるスーパーキャパシタ(SCAP)と呼ばれるコンデンサであり、例えば容量が0.02(F:ファラッド)の電気二重層コンデンサである。
【0052】
キャパシタ32では、太陽電池31により発電された電力を蓄積することにより徐々に電圧が上昇する。そして、太陽電池31の発電電圧の定格値は5Vであるため、太陽電池31が発電を開始するとキャパシタ32の電圧も徐々に上昇し、充分な時間が経過すると最後には5Vとなる。
【0053】
そして、電圧監視回路33は、キャパシタ32の電圧を監視しており、電圧が上昇する場合には、キャパシタ32の電圧が4Vを超えるとレギュレータ34への制御信号をハイレベルとして本体部35の動作を開始させる。そして、電圧監視回路33は、キャパシタ32の電圧が下降する場合には、キャパシタ32の電圧が4Vよりも低い2Vを下回るとレギュレータ34への制御信号をロウレベルとして本体部35の動作を停止させるよう制御する。
【0054】
次に、本実施形態のビーコン送信装置10が設置されている場所の照明がオン状態となった後の、キャパシタ32の電圧変化を
図5を参照して説明する。
【0055】
この
図5では、朝の9時に照明がオン状態となり太陽電池40が発電を開始したものとして説明する。そして、この9時の時点においてキャパシタ32に蓄積されている電荷量はほぼ0であり、キャパシタ32の電圧もほぼ0Vであるものとして説明する。
【0056】
このような状態において太陽電池40が発電を継続すると、キャパシタ32に蓄積される電荷量も増加して電圧値が徐々上昇する。そして、時刻T1において、キャパシタ32の電圧値が4Vを超えると、電圧監視回路33から出力される制御信号の論理状態がロウレベルからハイレベルに切り替わる。すると、レギュレータ34は動作状態となり3Vの出力を本体部35に供給するため、ビーコン送信装置10が起動を開始する。
【0057】
ここで、ビーコン送信装置10の本体部35が起動する際には、定常動作時よりも大きな電力を消費する。そのため、時刻T1においてビーコン送信装置10が起動を開始すると、太陽電池31において発電する電力よりもビーコン送信装置10において消費する電力の方が大きくなることにより、キャパシタ32の電圧が一旦落下する。
【0058】
しかし、ビーコン送信装置10の本体部35が起動動作を完了して定常状態になると消費電力は小さくなり、太陽電池40の発電電力よりも小さくなる。そのため、キャパシタ32に蓄積される電荷量も増加することとなり電圧値も上昇に転ずることになる(時刻T2)。
【0059】
そして、起動動作が完了する時刻T2以降では、本体部35の消費電力が減少したことにより、太陽電池40からキャパシタ32に充電される電荷量の方が、キャパシタ32から放電される電荷量よりも多くなり、キャパシタ32の電圧は上昇する。そして、時刻T3においてキャパシタ32の電圧が5Vに到達すると、キャパシタ32の電圧はこの5Vで一定となる。
【0060】
次に、
図2に示した電源制御装置50の構成について
図6を参照して説明する。
【0061】
なお、以下では説明を簡単にするために、電源制御装置50が、2台の太陽電池40a、40bと、2台のビーコン送信装置10a、10bとの間の接続制御を行うものとして説明する。
【0062】
本実施形態の電源制御装置50は、
図6に示されるように、切替制御回路51と、切替スイッチ52、53とから構成されている。
【0063】
切替スイッチ52は、切替制御回路51による制御に基づいて、太陽電池40aにより発電された電力を、ビーコン送信装置10a、10bのいずれに切り替えて供給する。
【0064】
切替スイッチ53は、切替制御回路51による制御に基づいて、太陽電池40bにより発電された電力を、ビーコン送信装置10a、10bのいずれに切り替えて供給する。
【0065】
切替制御回路51は、太陽電池40a、40bが発電している電圧値、ビーコン送信装置10a、10bのそれぞれのキャパシタ32の電圧値を監視している。そして、切替制御回路51は、監視しているこれらの電圧により、ビーコン送信装置10a、10bのいずれを優先して起動すべきかを判定し、優先して起動すべきと判定したビーコン送信装置10に対して、2つの太陽電池40a、40bにより発電された電力を供給するような制御を行う。
【0066】
そして、優先して起動すべきと判定したビーコン送信装置10の起動が完了した場合、切替制御回路51は、残りのビーコン送信装置10に対して、2つの太陽電池40a、40bにより発電された電力を供給するような制御を行う。
【0067】
なお、ビーコン送信装置10および太陽電池40がそれぞれ複数存在する場合には、電源制御装置50は、複数のビーコン送信装置10のうち優先して起動させるべきビーコン送信装置10に対して、複数の太陽電池40のうちの少なくとも2つ以上の太陽電池40により発電された電力を供給して優先して起動させるような制御を行う。
【0068】
そして、電源制御装置50は、優先して起動させるべきビーコン送信装置10の起動が完了すると、次に優先して起動させるべきビーコン送信装置10に対して、複数の太陽電池40のうちの少なくとも2つ以上の太陽電池40により発電された電力を供給して起動させるような制御を行う。
【0069】
なお、ここでは太陽電池40a、40bは、それぞれ、ビーコン送信装置10a、10bに対して1対1で対応して近接して設けられている。
【0070】
そのため、電源制御装置50は、太陽電池40a、40bのうち発電を開始した太陽電池に対応して設けられているビーコン送信装置を、優先して起動させるべきビーコン送信装置として判定する。そして、電源制御装置50は、優先して起動させるべきと判定したビーコン送信装置10の起動が完了するまで、優先して起動させるべきと判定したビーコン送信装置10に対して、2台の太陽電池の40a、40bにより発電された全ての電力を供給する。
【0071】
このような制御を行う理由を以下に説明する。本実施形態では、太陽電池40a、40bは、それぞれ、ビーコン送信装置10a、10bに対応して隣接して設けられている。そのため、オフィスの始業時間が近づいて、例えば太陽電池40aが発電を開始した場合、この太陽電池40aの周辺に人がいる可能性が高い。そのため、人がいる可能性が高い場所に設置されているビーコン装置10aを、ビーコン装置10bよりも優先して起動する必要がある。
【0072】
そのため、本実施形態における電源制御装置50は、優先して起動すべきビーコン送信装置10aに対して、2台の太陽電池40a、40bを優先して接続して、通常よりも早く起動させるようにしている。
【0073】
そして、電源制御装置は、2台のビーコン送信装置10a、10bの起動が完了して定常動作に移行した場合、この2台のビーコン送信装置10a、10bのそれぞれに対して、対応して設けられている太陽電池40a、40bが接続されるような制御を行う。
【0074】
なお、以下の説明では、太陽電池40aの発電開始が検出されたことによりビーコン送信装置10aを優先して起動する場合を用いて動作説明を行う。
【0075】
このような場合の電源制御装置50の動作を
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0076】
電源制御装置50では、ビーコン送信装置10aを優先して起動させるため、太陽電池40a、40bの両方をビーコン送信装置10aに接続するような制御が行われる(ステップS101)。
【0077】
具体的には、
図8に示すように、切替制御部51が、切替スイッチ52、53を制御することにより、太陽電池40a、40bの両方により発電された全ての電力がビーコン送信装置10aに供給されるような制御が行われる。
【0078】
そして、切替制御部51は、ビーコン送信装置10aの起動が完了したことを検出すると(ステップS102においてyes)、切替スイッチ52、53を制御することにより、太陽電池40a、40bの両方により発電された全ての電力がビーコン送信装置10bに供給されるような制御を行う(ステップS103)。
【0079】
具体的には、
図9に示すように、切替制御部51は、切替スイッチ52、53を切替えることにより、太陽電池40a、40bの両方により発電された全ての電力がビーコン送信装置10bに供給されるようにする。
【0080】
ここで、切替制御部51は、
図5に示したようなキャパシタ32の電圧変化によりビーコン送信装置10aの起動完了を検出するようにしてもよいし、ビーコン送信装置10aから起動完了を示す信号を受信して、ビーコン送信装置10aの起動完了を検出するようにしても良い。
【0081】
そして、切替制御部51は、ビーコン送信装置10bの起動が完了したことを検出すると(ステップS104においてyes)、切替スイッチ52、53を制御することにより、太陽電池40aにより発電された電力はビーコン送信装置10aに供給され、太陽電池40bにより発電された電力がビーコン送信装置10bに供給されるように変更する(ステップS105)。
【0082】
具体的には、
図10に示すように、切替制御部51は、
図9に示した回路状態から切替スイッチ52を切替えることにより、太陽電池40a、40bがそれぞれビーコン送信装置10a、10bに接続されるように回路状態を変更する。
【0083】
このような回路状態となることにより、ビーコン送信装置10a、10bは、それぞれ、太陽電池40a、40bからの電力を使用してビーコン信号を周囲に送信する通常動作を行う。
【0084】
次に、上記のような制御が行われることにより、ビーコン送信装置10a、10bの起動がどのようなタイミングで行われるかについて説明する。
【0085】
先ず、比較のために、
図10に示したようなビーコン送信装置10a、10bと、太陽電池40a、40bとが1対1接続の回路状態で、太陽電池40a、40bが同時に発電を開始した場合の様子を
図11のタイミングチャートに示す。
【0086】
図11のタイミングチャートでは、時刻T4においてビーコン送信装置10a、10bがそれぞれ同時に起動を開始し、時刻T5において起動が完了した場合が示されている。
【0087】
このようにビーコン送信装置10a、10bと、太陽電池40a、40bとが1対1接続の場合に、起動を開始してから起動を完了するまでに要する時間を起動時間Tstとする。
【0088】
具体的には、この起動時間Tstは、太陽電池40a、40bにより供給された電力により、
図4に示したキャパシタ32の電圧が4vに達するまでに必要な時間である。
【0089】
これに対して、本実施形態の起動制御装置50によりビーコン送信装置10aを優先して起動させた場合のタイミングチャートを
図12に示す。
【0090】
図12を参照すると、時刻T6において太陽電池40a、40bの両方がビーコン送信装置10aに接続されて起動を開始している。そのため、
図11に示した起動時間Tstの半分の起動時間が経過した時刻T7においてビーコン送信装置10aの起動が完了しているのが分かる。
【0091】
そして、
図12では、時刻T7において、切替制御部51により切替スイッチ52、53の切り替えが行われ、太陽電池40a、40bの両方がビーコン送信装置10bに接続されて、ビーコン送信装置10bの起動が開始される。そのため、時刻T7から起動時間Tstの半分の起動時間が経過した時刻T8においてビーコン送信装置10bの起動が完了している。
【0092】
なお、
図11と
図12を比較すると、2台のビーコン送信装置10a、10bが完了するまでに必要なトータルの起動時間Tstは同じである。しかし、
図12では、ビーコン送信装置10aが起動を完了して定常動作に移行する時刻が、
図11に示した場合よりも早くなっているのが分かる。
【0093】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態のビーコン送信システムについて説明する。
【0094】
上記で説明した第1の実施形態では、2台の太陽電池40a、40bを用いて2台のビーコン送信装置10a、10bを起動させるものであった。これに対して、本実施形態では、3台の太陽電池40a、40b、40cを用いて2台のビーコン送信装置10a、10bを起動させるようにしたものである。
【0095】
図13に本実施形態のビーコン送信システムにおける電源制御装置50Aの構成を示す。
【0096】
本実施形態の電源制御装置50Aは、
図13に示すように、切替制御部51Aと、切替スイッチ54により構成されている。
【0097】
なお、太陽電池40a、40bは、それぞれ、ビーコン送信装置10a、10bに対応して設けられており、定常動作中にも発電した電力を、ビーコン送信装置10a、10bに供給するために設けられている。しかし、本実施形態における太陽電池40cは、ビーコン送信装置10a、10bのいずれにも対応して設けられておらず、起動時にのみ用いるための太陽電池である。
【0098】
つまり、本実施形態では、発電を行う3台の太陽電池40a〜40cには、2台のビーコン送信装置10a、10bのいずれにも対応していない太陽電池40cが含まれていることになる。
【0099】
本実施形態における電源制御装置50Aでは、太陽電池40a、40bにより発電された電力は、常時ビーコン送信装置10a、10bにそれぞれ供給されるようになっている。
【0100】
切替スイッチ54は、切替制御回路51Aによる制御に基づいて、太陽電池40cにより発電された電力をビーコン送信装置10a、10bのいずれに切り替えて供給するか、またはビーコン送信装置10a、10bのいずれにも供給しないかを切替える。
【0101】
切替制御回路51Aは、ビーコン送信装置10a、10bのそれぞれのキャパシタ32の電圧値を監視している。そして、切替制御回路51Aは、監視しているこれらの電圧により、ビーコン送信装置10a、10bのいずれを優先して起動すべきかを判定し、優先して起動すべきと判定したビーコン送信装置10に対して、太陽電池40cにより発電された電力を供給するような制御を行う。
【0102】
次に、本実施形態における電源制御装置50Aの動作を
図14のフローチャートを参照して説明する。
【0103】
なお、以下の説明では、太陽電池40aの発電開始が検出されたことによりビーコン送信装置10aを優先して起動する場合を用いて動作説明を行う。
【0104】
電源制御装置50Aでは、ビーコン送信装置10aを優先して起動させるため、太陽電池40cをビーコン送信装置10aに接続するような制御が行われる(ステップS201)。
【0105】
具体的には、
図15に示すように、切替制御部51Aが、切替スイッチ54を制御することにより、太陽電池40cにより発電された電力がビーコン送信装置10aに供給されるような制御が行われる。
【0106】
そして、切替制御部51Aは、ビーコン送信装置10aの起動が完了したことを検出すると(ステップS202においてyes)、切替スイッチ54を制御することにより、太陽電池40cにより発電された電力がビーコン送信装置10bに供給されるように切替える(ステップS203)。
【0107】
具体的には、
図16に示すように、切替制御部51Aは、切替スイッチ54を切替えることにより、太陽電池40cにより発電された電力がビーコン送信装置10bに供給されるようにする。
【0108】
そして、切替制御部51Aは、ビーコン送信装置10bの起動が完了したことを検出すると(ステップS204においてyes)、切替スイッチ54を制御することにより、太陽電池40cにより発電された電力がビーコン送信装置10a、10bのいずれにも供給されないよう切り替える(ステップS205)。
【0109】
具体的には、
図17に示すように、切替制御部51Aは、切替スイッチ54を中立状態とすることにより、太陽電池40cがビーコン送信装置10a、10bのいずれにも接続されないように回路状態を変更する。
【0110】
このような回路状態となることにより、ビーコン送信装置10a、10bは、それぞれ、太陽電池40a、40bからの電力を使用してビーコン信号を周囲に送信する通常動作を行う。
【0111】
次に、上記のような制御が行われることにより、ビーコン送信装置10a、10bの起動がどのようなタイミングで行われるかについて説明する。
【0112】
本実施形態の起動制御装置50Aによりビーコン送信装置10aを優先して起動させた場合のタイミングチャートを
図18に示す。
【0113】
図18を参照すると、時刻T9において太陽電池40a、40cがビーコン送信装置10aに接続され、太陽電池40bがビーコン送信装置10bに接続されて起動が開始される。そして、ビーコン送信装置10aは、2台の太陽電池40a、40cにより発電された電力が供給されることにより、
図11に示した起動時間Tstの半分の起動時間が経過した時刻T10において起動を完了している。
【0114】
そして、
図18では、時刻T10において、切替制御部51Aにより切替スイッチ54の切り替えが行われ、太陽電池40cがビーコン送信装置10bに接続されて、ビーコン送信装置10bには2台の太陽電池40b、40cが接続されるようになる。
そのため、時刻T10以降においては、ビーコン送信装置10bのキャパシタ32に蓄積される電荷量の蓄積速度もアップして時刻T11においてビーコン送信装置10bの起動が完了する。
【0115】
なお、第1の実施形態の場合の
図12と、本実施形態の場合の
図18を比較すると、ビーコン送信装置10aの起動が完了するまでに必要な起動時間(0.5×Tst)は同じである。しかし、
図18では、ビーコン送信装置10bは、時刻T9から0.75×Tstの起動時間経過後の時刻T11において起動完了している。つまり、
図18では、ビーコン送信装置10bが起動を完了して定常動作に移行する時刻T11が、
図12に示した場合よりも早くなっているのが分かる。
【0116】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態のビーコン送信システムについて説明する。
【0117】
本実施形態のビーコン送信システムの構成を
図19に示す。本実施形態では、
図13に示したビーコン送信システムに対して、電源制御装置50Aが電源制御装置50Bに置き換えられた構成となっている。
【0118】
そして、本実施形態における電源制御装置50Bは、
図13に示した第2の実施形態のける電源制御装置50Aに対して、キャパシタ55が追加された構成となっている。
【0119】
このキャパシタ55は、
図4に示したキャパシタ33と同様に、いわゆるスーパーキャパシタと呼ばれるコンデンサであり電気二重層コンデンサである。そして、このキャパシタ55は、ビーコン送信装置10a、10bのいずれにも対応していない太陽電池40cに接続され、この太陽電池40cにより発電された電力を蓄積するための蓄積部として機能する。
【0120】
本実施形態の電源制御装置50Bでは、
図20に示すように、ビーコン送信装置10a、10bが通常動作を行っている間において、太陽電池40cにより発電された電力はキャパシタ55に蓄積される。そして、このキャパシタ55に蓄積された電力は、夜間においてもそのまま維持される。
【0121】
そのため、翌朝オフィス内の照明がオン状態となって、ビーコン送信装置10a、10bの起動を行う際に、太陽電池40cにより発電された電力に加えて、キャパシタ55により蓄積されている電力により、ビーコン送信装置10a、10bの起動が行われることになる。
その結果、上記で説明した第2の実施形態の構成によりも、ビーコン送信装置10a、10bの起動時間がさらに短縮されることになる。
【0122】
[変形例]
上記実施形態では、発電を開始した太陽電池に対応して設置されているビーコン送信装置を優先して起動する場合を用いて説明したが本発明はこのような場合に限定されるものではない。例えば、設置場所によりビーコン送信装置の起動順位を設定しておき、特定の場所に設置されているビーコン送信装置を優先して起動するような構成に対しても本発明を同様に適用することが可能である。また、それぞれ起動に必要な電力が異なる複数種類の電子装置が混在するようなシステムにおいて、起動に必要な電力が大きい電子装置に優先して電力を供給するような制御を行うことも可能である。逆に、それぞれ起動に必要な電力が異なる複数種類の電子装置が混在するようなシステムにおいて、起動に必要な電力が小さい電子装置に優先して電力を供給して、その電子装置については短時間で起動させるような制御を行うことも可能である。
【0123】
また、上記実施形態では、太陽電池により発電された電力を用いて動作するビーコン送信装置に対して本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、太陽電池により発電された電力を用いて動作する他の電子装置の場合でも同様に本発明を適用することができるものである。例えば、太陽電池により発電された電力を用いて稼働する温度計や、湿度計等の電子装置に対しても本発明を同様に適用することが可能である。