(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804028
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 85/20 20060101AFI20201214BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B65D85/20 Z
B65D85/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121576(P2016-121576)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-226425(P2017-226425A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019493
【氏名又は名称】中央紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068663
【弁理士】
【氏名又は名称】松波 祥文
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊樹
【審査官】
内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−301382(JP,A)
【文献】
特開2009−137598(JP,A)
【文献】
特開2013−119419(JP,A)
【文献】
実公昭47−007647(JP,Y1)
【文献】
特開2004−091026(JP,A)
【文献】
特開平08−058872(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0068296(US,A1)
【文献】
特表2005−528294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/20
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクを折り畳んで組み立てられ、湾曲した棒状ないし板状の部材を複数個両端側を下降させた状態で収納できるように、中央部は平坦な平底で、その左右に外側へ下降傾斜した傾斜底が連設され、該傾斜底の下端縁に左右側壁が立設され、該平底の前後に前後側壁が立設されるとともに、該傾斜底の前後に継壁が立設され、該左右側壁の上端に該傾斜底と同じ傾斜の蓋が連設された包装箱であって、該ブランクは、平底片1の左右にそれぞれ傾斜底片2、左右側壁片3、蓋片4が順次連設され、平底片1の前後端に前後側壁片5が連設され、左右側壁片3の前後端に傾斜底2の前後端に立設される継壁片6が連設され、該継壁片6は、前後側壁5Aに止着されたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記継壁片6は、下端を傾斜底面より突出するように形成し、上端は包装箱を積み重ねたとき該突出部に嵌合するように凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記前後側壁片5には、前記継壁片6を止着するため、水平な二重折り目Fを介して連結片7が設けられ、該連結片7は垂直方向の二重折り目Gを介して折り曲げ可能とし、前後側壁片5の上端部に設けた係止孔5aおよび継壁片6に設けた係止孔6dの両者に係止する係止片7bを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記左右側壁片3に連設される継壁片6は、立設したとき下端部が水平になるように形成したことを特徴とする請求項1記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した棒状や板状の部材を複数個収納する包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のワイパーブレード等の湾曲した棒状の部材を包装箱に収納して輸送する場合には、通常、湾曲した部材を複数個束ねるか、専用の保持具を作ってこれに複数本保持して、ダンボール製などの包装箱に収納している。輸送する部材が湾曲状であるため、デットスペースが大きく、輸送効率が悪いという問題が指摘されている。
【0003】
湾曲した棒状ないし板状の部材をできるだけデットスペースを少なくして収納する包装箱に関する従来技術は、ほとんどなく、湾曲した棒状部材を複数個保持する保持器を工夫したもの(特許文献1参照)しか見当たらない。
特許文献1の包装箱は、円弧状の複数の部材を同一方向と、反対方向に配置して保持具に保持し、これを包装箱へ収容するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2011-207493公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装箱は、湾曲した棒状の部品を互いに干渉しないように隙間を少なくして保持具に保持することにより、デットスペースを減らすようにしている。しかしながら、輸送中の振動や揺れによって部品が干渉しないように、各部品をしっかり固定する必要があり、このため、保持具の費用が嵩み、部品の収納保持にも時間がかかるという難点がある。
【0006】
本発明は、湾曲した棒状の部材を複数個収納するデットスペースの少ない包装箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するため、本発明の包装箱は、次のように構成した。すなわち、
ブランクを折り畳んで組み立てられ、湾曲した棒状ないし板状の部材を複数個両端側を下降させた状態で収納
できるように、中央部は平坦な平底
で、その左右に外側へ下降傾斜した傾斜底が連設
され、該傾斜底の下端縁に左右側壁が立設され、該平底の前後に前後側壁が立設さ
れるとともに、該傾斜底の前後に継壁が立設
され、該左右側壁の上端に該傾斜底と同じ傾斜の蓋が連設さ
れた包装箱であって、
該ブランクは、平底片1の左右にそれぞれ傾斜底片2、左右側壁片3、蓋片4が順次連設され、平底片1の前後端に前後側壁片5が連設され、左右側壁片3の前後端に傾斜底2の前後端に立設される継壁片6が連設され、該継壁片6は、前後側壁5Aに止着されたことを特徴としている。
【0008】
この包装箱は、湾曲した棒状ないし板状の部材を複数個収納するもので、部材は複数個束ねるか適当な保持具に保持し、部材の両端側が下降した状態とする。包装箱は、その外形に沿うように、中央部が平坦でその両側が下降傾斜した底面とし、傾斜底の上方は該傾斜底と同じ角度の傾斜の蓋が設けられており、安定した積み重ねができる。平底の前後端には前後側壁が立設され、傾斜底の前後端は継壁が立設される。なお、平底の上方は、開放してもよい。
【0009】
また、ブランクは、平底片1の左右にそれぞれ傾斜底片2、左右側壁片3、蓋片4が順次連設され、平底片1の前後端に前後側壁片5が連設され、左右側壁片3の前後端に傾斜底2の前後端に立設される継壁片6が連設され、該継壁片6は、前後側壁5Aに止着する。なお、材料は段ボールに限定しない。
また、継壁片6は、
請求項2に記載のように、下端を傾斜底面より突出するように形成し、上端は包装箱を積み重ねたとき該突出部に嵌合するように凹部を形成するのが望ましい。
【0010】
継壁6Aを前後側壁5Aに止着する手段は、例えば、貼着やテープで固着してもよいが、
請求項3に記載のように、前後側壁片5に、水平な二重折り目Fを介して連結片7を設け、該連結片7は垂直方向の二重折り目Gを介して折り曲げ可能とし、前後側壁片5の上端部に設けた係止孔5aおよび継壁片6に設けた係止孔6dの両者に係止する係止片7bを備えるのが望ましい。
また、包装箱の安定性を良くするため、
請求項4に記載のように、左右側壁片3に連設される継壁片6は、立設したとき下端部が水平になるように形成するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装箱は、
ブランクを折り畳んで組み立てられ、湾曲した棒状ないし板状の部材を複数個両端側を下降させた状態で収納
できるように、中央部は平坦な平底
で、その左右に外側へ下降傾斜した傾斜底が連設
され、該傾斜底の下端縁に左右側壁が立設され、該平底の前後に前後側壁が立設さ
れるとともに、該傾斜底の前後に継壁が立設
され、該左右側壁の上端に該傾斜底と同じ傾斜の蓋が連設さ
れた包装箱であって、
該ブランクは、平底片1の左右にそれぞれ傾斜底片2、左右側壁片3、蓋片4が順次連設され、平底片1の前後端に前後側壁片5が連設され、左右側壁片3の前後端に傾斜底2の前後端に立設される継壁片6が連設され、該継壁片6は、前後側壁5Aに止着されているので、
簡便に包装箱を作ることができ、積み重ねたとき、従来の包装箱に比べ、高さを低く抑えることができる。
したがって、例えば、海上コンテナに収納して輸出するような場合、積み重ね個数を多くすることができ、収納量が増加し、輸送コストを軽減できる。
【0012】
また、
請求項2に記載のように、継壁片6は、下端を傾斜底面より突出するように形成し、上端は包装箱を積み重ねたとき該突出部に嵌合するように凹部を形成すれば、積み重ねた時に、前後左右の位置が固定され輸送中の振動などでズレることが防止される。
また、
請求項3に記載のように、前後側壁片5には、水平な二重折り目Fを介して連結片7を設け、該連結片7は垂直方向の二重折り目Gを介して折り曲げ可能とし、前後側壁片5の上端部に設けた係止孔5aおよび継壁片6に設けた係止孔6dの両者に係止する係止片7bを備えると、接着などの固着作業を必要とせず組み立てや分解が容易である。
さらに、
請求項4に記載のように、左右側壁片3に連設される継壁片6を、立設したとき下端部が水平になるように形成すれば、地上へ置いたときの包装箱の安定性が極めてよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の包装箱の実施の形態を示す斜視図である。
【
図3】同、包装箱を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【
図4】同、包装箱を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【
図5】同、湾曲した棒状部材を保持具に保持した状態を示す側面図である。
【
図6】同、包装箱を積み重ねた状態を示す側面図である。
【
図7】従来の包装箱(a)と、本願の包装箱(b)とを比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の包装箱の実施の形態を、
図1〜
図6に基づいて説明する。
ここでは、湾曲した部材を、自動車のワイパーブレード12として、複数個を保持具10に保持し、これを収納するようにした包装箱で説明する。
図1は、包装箱200の全体を示す斜視図、
図2は、包装箱200の展開図である。また、
図3および
図4は、包装箱200を折りあげる途中の状態を示す斜視図である。
図5は、保持具10にワイパーブレード12を複数個保持させた状態を示す側面図である。また、
図6は、包装箱を積み重ねた状態を示す側面図である。
【0015】
包装箱200は、
図1に示すように、中央部に平底1Aと、これの左右に連設された傾斜底2Aと、その端部に立設した左右側壁3Aと、平底1Aの前後に立設された前後側壁5Aと、傾斜底2Aの前後に立設された補助壁6Aと、傾斜底2Aの上部を覆う蓋4Aとから構成されている。
保持具10が載置される平底1Aの上方は開放されており、傾斜底2Aは外側へ下降傾斜しており、蓋4は、左右側壁3Aの上端に連設され傾斜底2Aと同じ角度で下降傾斜している。包装箱200の概略の大きさは、ここでは、680mm×540mm×260mmで、平底1Aは、地上から95mmの高さとしている。
【0016】
保持具10は、
図5に示すように、発泡スチロール製のブロックで、3分割されており、分割面に形成した保持溝11にワイパーブレード12の中央部を保持するようにしている。ワイパーブレード12の両端側は保持具10から露出し下降傾斜した状態である。
【0017】
包装箱200は、
図2に示すブランク100を、折り目に沿って折り曲げることによって、組み立てられる。なお、ブランク100の材質は、ここでは、段ボールとしている。
ブランク100は、中央に形成された矩形の平底片1と、折り目Aを介して連設された傾斜底片2と、折り目Aに平行に設けた折り目B、Cによって、形成された左右側壁片3と、蓋片4が連設されている。そして、折り目A、Aに対して直角方向に設けられた折り目Eと、折り目B、Cに対して直角方向に設けられた折り目Dによって、前後側壁片5と継壁片6が形成されている。
【0018】
前後側壁片5には、折り目Eと平行な二重折り目Fが設けられ、係止片7が形成されている。係止片7は、切れ目nによって中央から分離し二重折り目Fと垂直方向に二重折り目Gがそれぞれ設けられている。また、係止片7には平底片1に設けた係止孔1aに差し込まれる凸片7aと、継壁片6の係止孔6dおよび前後側壁片5の係止孔5aに係止する係止片7bが設けられている。
【0019】
継壁片6は、折り目Bと折り目Cの延長上に伸び、途中から蓋片4寄りに傾斜し、凹部6eと突出部6fを形成している。そして、継壁片6には、差込部6bが形成されており、その端部に縦の折り目Jを介して受片6cが設けられ、折り目J上には係止孔6dが設けられている。また、継壁片6には、フラップ6aを形成する斜めの折り目Hが設けられ、折り目H上には、蓋片4に突設した差込片4aが嵌入するための切れ目sが設けられている。
【0020】
次に、
図2に示すブランク100を折り目に沿って折り曲げて、包装箱200を組み立てる手順について説明する。
ブランク100の垂直方向の折り目Aを山折りし、折り目B、Cを紙面手前側へ折り曲げ、また、水平方向の折り目D、Eと二重折り目Fを紙面手前側へ折り曲げ、二重折り目Gと折り目Hを紙面手前側へ折り曲げて折り癖を付ける。
【0021】
次に、前後側壁片5を垂直に立て、一方(紙面左側)の継壁片6を垂直に立てて、端部の差込部6bが前後側壁5の手前に位置するようにする(
図3参照)。そして、受片6cの折り目Jを手前側へ折り曲げ、連結片7を二重折り目Fから紙面手前側へ折り曲げながら縦の二重折り目Gを内側へ折り曲げる(
図4参照)。これにより、係止孔5aと係止孔6dの位置が一致するので、これに係止片7bを嵌合係止する。そして、連結片7の下部は凸片7aが係止孔1aに嵌合する。これで、継壁片6は、前後側壁5にしっかりと止着される。
続いて、上記と同じ手順で紙面手前側の継壁片6を立設して前後側壁5に止着する。そして、蓋片4の差込片4aをフラップ6aの切れ目sへ嵌合させれば、紙面左側が完成する。
続いて、上記と同じ手順で紙面右側を組み立てれば、
図1の包装箱200が完成する。
【0022】
この包装箱200へ
図5に示す保持具10にワイパーブレード12を保持させたものを収納する場合は、蓋4を開き、平底1A上にブロック状の保持具10を載置する。保持具10の上端面は前後側壁5Aの上端と一致しており、ワイパーブレード12は中央部のみ保持具10に保持され、両端部は保持具10の外へ突出し、傾斜底2A上の空間に位置している。なお、継壁6Aの下端は傾斜底2Aより突出し水平に形成され、上端は積み重ねられる包装箱の継壁6Aの下端に嵌合するように凹部6eが形成されている。また、嵌合できるように、蓋4Aの端部4bは、差込片4aより下方(左右側壁3A寄り)を削いでいる。また、
図5において、一点鎖線は、包装箱200の外形を示している。
【0023】
図6は、包装箱を積み重ねた状態を示しており、積み重ねられる包装箱は、平底1Aおよび傾斜底2Aが、下の包装箱の保持具10の上面および傾斜した蓋4Aの全面で支持するので、安定した積み重ねができる。また、継壁6Aの下端は水平で、積み重ねられる包装箱200の下端は、継壁6Aの上端に嵌合するので、前後左右とも位置が固定され、振動などによってズレることがない。
【0024】
図7は、本発明の包装箱を従来の包装箱と比較したもので、(a)はワイパーブレードを収納し3段に積み重ねた従来の包装箱の状態を示し、(b)は、本発明の包装箱200を4段に積み重ねた状態を示している。すなわち、3段積みの場合、従来の包装箱では高さがh1であるが、本発明の包装箱では、h2と低く、h1の高さでは4段積み重ねができる。なお、包装箱へは同量のワイパーブレードを収納したものとして比較している。
【0025】
なお、上記の実施の形態においては、複数個の湾曲部材を保持具に保持したものとしたが、特に保持具を使用しなくてもよい。また、発明の内容をより理解しやすくするために、包装箱の大きさを寸法を示して説明したが、これに限定するものでないことは当然である。
【符号の説明】
【0026】
100 ブランク
200 包装箱
1A 平底 1 平底片 1a 係止孔
2A 傾斜底 2 傾斜底片
3A 左右側壁 3 左右側壁片
4A 蓋 4 蓋片
4a 差込片 4b 端部
5A 前後側壁 5 前後側壁片 5a 係止孔
6A 継壁 6 継壁片 6a フラップ
6b 差込部 6c 受片 6d 係止孔
6e 凹部 6f 突出部
7 連結片 7a 凸片 7b 係止片
10 保持具
11 保持溝
12 湾曲した棒状部材(ワイパーブレード)
A、B、C、D 折り目
E、F、G,H、J 折り目
n、s 切れ目