(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水道水を電気分解する過程で、電解槽の内部に設けられた電極板にはカルシウムなどが付着してしまう。そのため、電気分解を行えば行うほど付着物が増えて電極板の性能は落ちてしまう。上述した特許文献1の小便器装置は、次亜塩素酸水によるボウル部の洗浄を使用者の使用毎に行い、且つ次亜塩素酸水による定期洗浄を一定時間毎に行っている。そのため、電気分解による次亜塩素酸水の生成を頻繁に行うことで、電極板表面から触媒層が剥離して電極板が消耗したり、カルシウムが付着したりすることにより電解槽の劣化が著しく促進してしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、洗浄水によりボウル部を洗浄する小便器装置において、殺菌作用のある機能水による洗浄を適切なタイミングで行うことで、効率良く小便器の衛生性を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る小便器装置は、給水源から供給された水と、アンモニアを分解可能な機能水と、のいずれか一方を洗浄水としてボウル部へ供給する洗浄動作を使用後に行う小便器装置であって、
電極を有する電解槽を備え、前記電極に通電されることで、前記給水源から供給される水から前記機能水
として次亜塩素酸水を生成する機能水生成手段と、前記ボウル部へ前記洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、前記洗浄動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記洗浄動作を行う時に、前記小便器装置の使用状況に応じて前記給水源から供給された水と前記機能水とのどちらを前記洗浄水供給手段から前記ボウル部へ供給させるかを判断し、前記制御手段は、さらに、前記次亜塩素酸水によって前記洗浄動作を行う時、前記小便器装置の使用頻度に応じて前記電極に流れる電流値を変更させる。
【0009】
このように構成された小便器装置によれば、小便器装置の使用状況に応じて給水源から供給された水と機能水とのどちらをボウル部へ供給するかを判断する。通常、給水源から供給された水からアンモニアを分解可能な機能水を生成することにより、電力を消費したり機能水生成手段の劣化が促進されたりする。したがって、このように構成された小便器装置によれば、使用後に行う洗浄動作において機能水による洗浄を適切なタイミングで行うことで、毎回機能水による洗浄を行う場合に比べて効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
また、機能水生成手段において生成した機能水としての次亜塩素酸水をボウル部へ供給することで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。また、小便器装置の使用頻度が高い時は、洗浄回数が多くアンモニアの生成量が少ないため、使用頻度が低い時に比べて電極に流れる電流値を低くし、次亜塩素酸水の濃度を低くする。通常、電解槽は電極に流れる電流値を大きくするほど劣化が促進する。つまり、洗浄動作において小便器装置の使用頻度によって電極に流れる電流値を変更させることで次亜塩素酸水の濃度を適切に変更し、電解槽の劣化を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記制御手段は、前記洗浄動作を行う時に、前記小便器装置の使用頻度が第1の所定頻度未満であった場合は前記機能水を前記洗浄水供給手段から前記ボウル部へ供給させる一方で、前記小便器装置の使用頻度が前記第1の所定頻度以上であった場合は前記給水源から供給された水を前記洗浄水供給手段から前記ボウル部へ供給させてもよい。
【0011】
このように構成された小便器装置によれば、洗浄動作を行う時に、小便器装置の使用頻度が低い場合はアンモニアを分解可能な機能水を洗浄水供給手段からボウル部へ供給する一方で、小便器装置の使用頻度が高い場合は給水源から供給された水を洗浄水供給手段からボウル部へ供給する。通常、アンモニアは人間の体内から尿として排出されるウロビリンが、菌により数十分〜数時間かけて分解されることによって生成される。よって、小便器装置の使用頻度が高い時は洗浄回数が多くなるので、ウロビリンがアンモニアへと変化する時間が十分にはならずアンモニアの生成量は少ないが、小便器装置の使用頻度が少ないと洗浄の間隔が長くなるため、ウロビリンのアンモニアへ変化する時間が十分に取れるためアンモニア生成量が多くなる。これにより、洗浄動作において機能水による洗浄を適切なタイミングで行うことで、毎回機能水による洗浄を行う場合に比べて効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記制御手段は、前記小便器装置の使用状況に応じて定められた時期に前記機能水を前記ボウル部へ供給させる定期洗浄を行ってもよい。
【0017】
このように構成された小便器装置によれば、小便器装置の使用状況に応じて時期を定め、その定めた時期に機能水による定期洗浄を行う。これにより、機能水による定期洗浄を適切なタイミングで行うことで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記制御手段は、前回前記小便器装置を使用した後の経過時間が予め定められた所定時間を超えた時に、前記定期洗浄を行ってもよい。
【0019】
このように構成された小便器装置によれば、前回の使用から所定時間を超えた時、つまり前回ボウル部の洗浄を行ってから所定時間を超えた時に、機能水による定期洗浄を行う。これにより、機能水による定期洗浄を適切なタイミングで行うことで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記制御手段は、前回前記小便器装置を使用した後の経過時間が予め定められた所定時間を超えた時に、前記小便器装置の使用頻度が第2の所定頻度未満であった場合は前記定期洗浄を行ってもよい。
【0021】
このように構成された小便器装置によれば、前回の使用から所定時間を超えた時、つまり前回ボウル部の洗浄を行ってから所定時間を超えた時に、小便器装置の使用頻度が低い場合(第2の所定頻度未満であった場合)に機能水による定期洗浄を行う。これにより、これにより、機能水による定期洗浄を適切なタイミングで行うことで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記制御手段は、予め定められた時期において、前記小便器装置の使用頻度に応じて前記定期洗浄を行う頻度を設定してもよい。
【0023】
このように構成された小便器装置によれば、予め定められた時期において定期洗浄を行う頻度を設定し、そのときに小便器装置の使用頻度が高い場合は定期洗浄を行う頻度を低く設定し、小便器装置の使用頻度が低い場合は定期洗浄を行う頻度を高く設定する。これにより、小便器装置の使用頻度に応じて定期洗浄を行う頻度を適切に設定することで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る小便器装置において、前記機能水生成手段は、電極を有する電解槽を備え、前記電極に通電されることで、前記給水源から供給される水から前記機能水として次亜塩素酸水を生成し、前記制御手段は、前記次亜塩素酸水によって前記定期洗浄を行う時、前記小便器装置の使用頻度に応じて前記電極に流れる電流値を変更させてもよい。
【0025】
このように構成された小便器装置によれば、定期洗浄において、小便器装置の使用頻度が高い時は、洗浄回数が多くアンモニアの生成量が少ないため、使用頻度が低い時に比べて電極に流れる電流値を低くし、次亜塩素酸水の濃度を低くする。これにより、定期洗浄において小便器装置の使用頻度によって電極に流れる電流値を変更させることで次亜塩素酸水の濃度を適切に変更し、電解槽の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、洗浄水によりボウル部を洗浄する小便器装置において、殺菌作用のある機能水による洗浄を適切なタイミングで行うことで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<小便器装置の構成>
まず、
図1,2を参照して、本実施形態における小便器装置について説明する。
図1は、本実施形態における小便器装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態における小便器本体の全体斜視図である。
【0029】
図1,2に示すように、小便器装置1は、小便器本体10と、人体検知手段20と、流路切替弁30と、機能水生成手段40と、第1の洗浄水供給手段50と、第2の洗浄水供給手段60と、制御手段70と、を備える。
【0030】
小便器本体10は、ボウル部11と、排水トラップ12と、を有する。排水トラップ12は、ボウル部11の下流側に設けられ、排水トラップ12の内部において封水を形成する。これにより、排水トラップ12は、小便器装置1の後方に設けられた図示しない横引排水配管などから悪臭や害虫類などがトイレ室などに侵入することを防止することができる。
【0031】
人体検知手段20は、小便器本体10の前方にいる使用者、すなわち小便器本体10から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる赤外線投受光式の測距センサである。
【0032】
流路切替弁30は、制御手段70から送信された信号に基づいて、給水源5(例えば水道あるいはタンクなど)から供給された水が第1の洗浄水供給手段50へ導かれる状態と、給水源5から供給された水が第2の洗浄水供給手段60へと導かれる状態と、を切り替える。
【0033】
第1の洗浄水供給手段50は、スプレッダ51を有し、流路切替弁30を介して給水源5から供給された水を小便器本体10のボウル部11へ供給する。
【0034】
第2の洗浄水供給手段60は、散水部61を有し、流路切替弁30を介して給水源5から供給された水であって液滴化された水を散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給する。散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給された水は、アンモニアを溶解することができる。第2の洗浄水供給手段60が散水する液滴化された水の径は、例えば約10マイクロメートル(μm)以上12000μm以下である。
【0035】
制御手段70は、流路切替弁30を制御することで、第1の洗浄水供給手段50のスプレッダ51または第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10へ洗浄水を供給させる洗浄動作を制御する。制御手段70は、記憶部71と、タイマー72と、を有する。記憶部71は、少なくとも直近24時間(1日)内における小便器装置1の使用回数についての情報を記憶する。なお、ここでいう「小便器装置1の使用」とは、使用者が小便器本体10の前方に接近してから小便器本体10の前方で排尿するために一度静止し、排尿を終えて小便器本体10の前方から離脱するまでの使用者の動作をいう。この使用者の動作を人体検知手段20が検知し、人体検知手段20が制御手段70へ信号を送ることで、制御手段70の記憶部71に小便器装置1の使用回数が1回として記憶される。
【0036】
ここで、アンモニアの発生のメカニズムは、例えば次の通りである。
すなわち、便器に排尿がなされると、尿は、便器の表面に付着したり、トラップ部の封水(滞留水)に滞留したりする。滞留した尿に、空気中や便器表面等に存在する一般細菌が付着する。一般細菌は尿から栄養を吸収し、ウレアーゼ酵素を出す活動が活性化され、ウレアーゼ酵素より尿素の分解抑制が促進される。尿素はアンモニアと二酸化炭素に分解され、そのアンモニアが悪臭の一因となる。また、発生したアンモニアにより、分解物の水素イオン濃度(pH)がアルカリ性に偏り、pHが8.0から8.5を超えてアルカリ性に偏ると、尿中に溶解していたカルシウムイオンが、難溶性のカルシウム化合物(リン酸カルシウム等、また一般的に尿石と呼ばれる)になる。この尿石が菌の温床となり、加速度的にこれまでの過程を繰り返し、一層のアンモニアを発生させることになる。なお、pHが上昇するには尿が封水に滞留してから数十分〜数時間かかる。
【0037】
機能水生成手段40は、制御手段70から送信された信号に基づいて、流路切替弁30を介して給水源5から供給される水から機能水を生成することができる。機能水は、アンモニアを溶解および分解することができる。
【0038】
機能水生成手段40は、電極として陽極板42および陰極板43を内部に有する電解槽41を備え、制御手段70から送信される信号に基づいて陽極板42および陰極板43に通電することで、内部を流れる水道水や雑用水を電気分解できる。ここで、水道水は、塩化物イオンを含んでいる。塩化物イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl
2)などとして含まれている。そのため、塩化物イオンを電気分解することにより次亜塩素酸水が生成される。その結果、機能水生成手段40において電気分解された水(電解水)は、次亜塩素酸を含む機能水(次亜塩素酸水)に変化する。
次亜塩素酸水は、消臭成分あるいは殺菌成分として機能する。次亜塩素酸水は、アンモニアを溶解したり、分解したり、あるいは一般殺菌などを殺菌することができる。
【0039】
機能水生成手段40が制御手段70から送信される信号に基づいて機能水を生成する場合には、第2の洗浄水供給手段60は、機能水生成手段40において生成された機能水を散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給する。
一方で、機能水生成手段40が機能水を生成しない場合には、第2の洗浄水供給手段60は、流路切替弁30および機能水生成手段40を介して給水源5から供給された水(この水を真水と呼ぶ。真水は給水源5から供給される水道水や雑用水である。)を散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給する。
【0040】
本実施形態によれば、第2の洗浄水供給手段60は、小便器本体10のボウル部11に水を供給し、ボウル部11の内部に生成されたアンモニアおよびボウル部11の周辺に存在するアンモニアの少なくともいずれかを溶解および分解する。ボウル部11の周辺に存在するアンモニアとは、例えば、ボウル部11の周辺に漂うアンモニアあるいはボウル部11の周辺に浮遊しているアンモニアをいう。これにより、第2の洗浄水供給手段60は、小便器装置1から発生するアンモニアによる臭いを抑制することができる。
また、第1の洗浄水供給手段50は、小便器本体10のボウル部11に水を供給し、小便器本体10に付着した尿を除去し、例えば体毛などの異物を除去することができる。また、第1の洗浄水供給手段50は、小便器本体10の排水トラップ12に水を供給し、排水トラップ12の内部の封水を新たに供給された水で置換することができる。
【0041】
第2の洗浄水供給手段60から散水された水であって液滴化された水は、ボウル部11の内部に生成されたアンモニアおよびボウル部11の周辺に存在するアンモニアの少なくともいずれかを効率的に溶解する。これにより、第2の洗浄水供給手段60が液滴化された水を散水部61から小便器本体10のボウル部11に散水する場合には、小便器装置1から発生するアンモニアによる臭いをより抑制することができる。
【0042】
第2の洗浄水供給手段60から散水された機能水は、ボウル部11の内部に生成されたアンモニアおよびボウル部11の周辺に存在するアンモニアの少なくともいずれかを溶解し分解する。これにより、第2の洗浄水供給手段60が機能水を散水する場合は、例えばアンモニアを溶解した水が小便器本体10の周りに付着して蒸発しても、アンモニアによる臭いが再び発生することを抑制することができる。
【0043】
<小便器装置の洗浄動作における制御フロー>
次に、
図3,4を参照して、本実施形態の小便器装置の洗浄動作における制御フローについて説明する。
図3は、本実施形態の小便器装置の洗浄動作における制御フローを説明するためのフローチャート図である。
図4は、本実施形態の小便器装置の定期洗浄判断における制御フロー説明するためのフローチャート図である。なお、制御手段70は、電源がONしている状態においては
図3の制御フローを常に繰り返すものとする。
【0044】
まずステップS1において、制御手段70は、人体検知手段20が小便器本体10の前方に使用者を検知しているか否かを判断する(ステップS1)。人体検知手段20が小便器本体10の前方に使用者を検知していない場合、制御手段70は、タイマー72がスタートしてから2時間以上経過しているか否かを判断する(ステップS2)。つまり、ステップS2において制御手段70は、前回小便器装置1を使用した時、もしくは前回定期洗浄を行った時からの経過時間が2時間(第1の所定時間)を超えたか否かを判断する。
ステップS2においてタイマー72がスタートしてから2時間以上経過していた場合、制御手段70は、定期洗浄判断を行う(ステップS3)。ステップS2においてタイマー72がスタートしてから2時間以上経過していない場合は、再びステップS1へと戻る。定期洗浄判断については、後ほど詳しく説明する。
【0045】
ステップS1において人体検知手段20が小便器本体10の前方に使用者を検知した場合、制御手段70は、タイマー72をリセットする(ステップS4)。その後、制御手段70は、ステップS1にて検知した使用者が小便器本体10の前方から離れたか否か、つまり使用者が排尿を終えたか否かを判断する(ステップS5)。使用者が小便器本体10の前方から離れるまで、つまり使用者が排尿を終えるまで、制御手段70はこの判断を繰り返す。
【0046】
ステップS5において使用者が小便器本体10の前方から離れた場合、制御手段70は、第1の洗浄水供給手段50のスプレッダ51から小便器本体10のボウル部11へ水を供給させる、いわゆる「本洗浄」を行う(ステップS6)。
【0047】
次に小便器装置1は、ステップS6において「本洗浄」を行った後に、給水源5から供給された水と、アンモニアを分解可能な機能水としての次亜塩素酸水と、のいずれか一方を散水部61からボウル部11へ供給する「散水洗浄」を行う。
【0048】
ステップS6を行った後、制御手段70は、記憶部71に記憶された情報を基に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回未満であるか否かを判断する(ステップS7)。
ステップS7において直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回未満である場合、次に制御手段70は、さらにその直近1時間内における小便器装置1の使用回数が5回未満であるか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8において直近1時間内における小便器装置1の使用回数が5回未満である場合、制御手段70は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電したうえで、機能水生成手段40において生成された機能水(次亜塩素酸水)を第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給させる(ステップS9)。一方で、ステップS8において直近1時間内における小便器装置1の使用回数が5回以上である場合、制御手段70は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電したうえで、機能水生成手段40において生成された機能水(次亜塩素酸水)を第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給させる(ステップS10)。
また、ステップS7において直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回以上である場合、制御手段70は、給水源5から供給されたいわゆる真水を、第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給させる(ステップS11)。
【0049】
ステップS9〜S11において機能水または真水を小便器本体10のボウル部11へ供給させた後、制御手段70は、タイマー72をスタートさせて(ステップS12)、小便器装置1の洗浄動作についての制御を終了する。なお、ステップS3において定期洗浄判断を行った後も、ステップS12へ進み、タイマー72をスタートさせて小便器装置1の洗浄動作についての制御を終了する。
【0050】
以上説明した制御フローにおいて、小便器装置1は、洗浄動作(散水洗浄)を行う時に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回未満(小便器装置1の使用頻度が第1の所定頻度未満)であった場合は機能水をボウル部11に散水する一方で、直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回以上(小便器装置1の使用頻度が第1の所定頻度未満)であった場合は給水源5から供給されたいわゆる真水をボウル部11に散水する。
また、小便器装置1は、機能水(次亜塩素酸水)によって洗浄動作(散水洗浄)を行う時に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が5回未満であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電する一方で、直近1時間内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が5回以上であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電する。
【0051】
次に、
図4を参照して、
図3のステップS3における定期洗浄判断について説明する。本実施形態における小便器装置1は、前回小便器装置1を使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(本実施形態においては、2時間)を超えた時に、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が80回未満であった場合は機能水(次亜塩素酸水)を散水部61からボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う。
【0052】
定期洗浄判断を開始すると、制御手段70はまず、タイマー72をリセットする(ステップS101)。その後、制御手段70は、記憶部71に記憶された情報を元に、直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回未満であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0053】
ステップS102において直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回未満である場合、次に制御手段70は、その直近1日内における小便器装置1の使用回数が50回未満であるか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103において直近1日内における小便器装置1の使用回数が50回未満である場合、制御手段70は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電したうえで、機能水生成手段40において生成された機能水(次亜塩素酸水)を第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う(ステップS104)。一方で、ステップS103において直近1日内における小便器装置1の使用回数が50回以上である場合、制御手段70は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電したうえで、機能水生成手段40において生成された機能水(次亜塩素酸水)を第2の洗浄水供給手段60の散水部61から小便器本体10のボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う(ステップS105)。
また、ステップS102において直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回以上である場合、定期洗浄を行うことなく定期洗浄判断を終了する。
【0054】
ステップS104,S105において、機能水(次亜塩素酸水)を小便器本体10のボウル部11へ供給させた後、制御手段70は、定期洗浄判断を終了する。
【0055】
以上説明した制御フローにおいて、小便器装置1は、前回使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(2時間)を超えた時に、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が80回未満であった場合は機能水をボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う。
また、小便器装置1は、機能水(次亜塩素酸水)によって定期洗浄を行う時に、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が50回未満であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電する一方で、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が50回以上であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電する。
【0056】
<作用・効果>
次に、本実施形態における小便器装置の作用効果を説明する。
【0057】
本実施形態における小便器装置1は、洗浄動作(散水洗浄)を行う時に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回未満(小便器装置1の使用頻度が第1の所定頻度未満)であった場合は機能水をボウル部11に散水する一方で、直近1時間内における小便器装置1の使用回数が10回未満(小便器装置1の使用頻度が第1の所定頻度未満)であった場合は給水源5から供給されたいわゆる真水をボウル部11に散水する。これにより、使用後に行う洗浄動作において機能水による洗浄を適切なタイミングで行うことができ、毎回機能水による洗浄を行う場合に比べて効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0058】
また、本実施形態の小便器装置1において、機能水生成手段40は、電極として陽極板42および陰極板43を内部に有する電解槽41を備え、制御手段70から送信される信号に基づいて陽極板42および陰極板43に通電されることで、給水源5から供給される水から機能水として次亜塩素酸水を生成する。これにより、機能水生成手段40において生成した機能水としての次亜塩素酸水をボウル部11へ供給することで、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0059】
また、本実施形態の小便器装置1において、機能水(次亜塩素酸水)によって洗浄動作(散水洗浄)を行う時に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が5回未満であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電する一方で、直近1時間内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が5回以上であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電する。これにより、洗浄動作において小便器装置1の使用頻度によって電極としての陽極板42および陰極板43に流れる電流値を変更させることで次亜塩素酸水の濃度を適切に変更し、電解槽41の劣化を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態の小便器装置1において、前回使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(2時間)を超えた時に、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が80回未満であった場合は機能水をボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う。これにより、機能水による定期洗浄を適切なタイミングで行うことができ、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0061】
また、本実施形態の小便器装置1において、機能水(次亜塩素酸水)によって定期洗浄を行う時に、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が50回未満であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に1.0Aの電流値が流れるように通電する一方で、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が50回以上であった場合は、電極としての陽極板42および陰極板43に0.5Aの電流値が流れるように通電する。これにより、定期洗浄において小便器装置1の使用頻度によって電極としての陽極板42および陰極板43に流れる電流値を変更させることで次亜塩素酸水の濃度を適切に変更し、電解槽41の劣化を抑制することができる。
【0062】
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。
【0063】
上記実施形態においては、前回使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(2時間)を超えた時に定期洗浄判断を行うこととしたが、本発明はこれに限らない。
【0064】
図5,6を参照して、他の実施形態の小便器装置の洗浄動作における制御フローについて説明する。
図5は、他の実施形態の小便器装置の洗浄動作における制御フローを説明するためのフローチャート図である。
図6は、他の実施形態の小便器装置の定期洗浄の頻度の設定におけるフローチャート図である。なお、本実施形態と同様のステップについては説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
まずステップS’1において、制御手段70は、人体検知手段20が小便器本体10の前方に使用者を検知しているか否かを判断する(ステップS’1)。ステップS’1において人体検知手段20が小便器本体10の前方に使用者を検知していない場合、制御手段70は、定期洗浄を行うタイミングであるか否かを判断する(ステップS’2)。この「定期洗浄を行うタイミングであるか否か」については、予め定められた時期において設定された定期洗浄の頻度に基づき判断が行われる。この実施形態においては、1日のうちで時刻が0時であるときが、定期洗浄の頻度の設定が行われる予め定められた時期とする。
【0066】
ここで一度、
図6を参照して、他の実施形態における定期洗浄の頻度の設定について説明する。制御手段70は、時刻が0時になると定期洗浄の頻度の設定を開始し、まず記憶部71に記憶された情報を元に、直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回未満であるか否かを判断する(ステップS’101)。
ステップS’101において直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回未満である場合、制御手段70は、定期洗浄を行う頻度の設定として1日のうちで定期洗浄が1.5時間に1回のペースで行われるように設定する(ステップS’102)。一方で、ステップS’101において直近1日内における小便器装置1の使用回数が80回以上である場合、制御手段70は、定期洗浄を行う頻度の設定として1日のうちで定期洗浄が2時間に1回のペースで行われるように設定する(ステップS’103)。
こうして1日に1回、小便器装置1の使用頻度に応じて定期洗浄を行う頻度の設定を行う。
【0067】
これにより、例えば、定期洗浄を行う頻度の設定として1日のうちで定期洗浄が2時間に1回のペースで行われるように設定されている場合、定期洗浄は時刻が0時、2時、4時、6時、・・・といったように2時間に1回のタイミングで行われる。なお、この時刻において小便器装置1が使用されていた場合、その使用が終了した後の小便器装置1が使用されていない状況のときに定期洗浄を行う。
【0068】
ここで再び
図5へと戻る。
図6で示した定期洗浄の頻度の設定に基づき、ステップS’2において定期洗浄を行うタイミングであるか否かが判断され、定期洗浄を行うタイミングである場合、制御手段70は、電極としての陽極板42および陰極板43に通電して機能水生成手段40において生成させた機能水(次亜塩素酸水)を、散水部61からボウル部11へ供給させる定期洗浄を行う(ステップS’3)。ステップS’2において定期洗浄を行うタイミングでない場合は、再びステップS’1へと戻る。
【0069】
図5,6で示したように、1日のうちで時刻が0時のとき(予め定められた時期)において、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)に応じて定期洗浄を行う頻度を設定する。具体的にいうと、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が多いときは定期洗浄を行う頻度が低くなるように設定する一方で、直近1日内における小便器装置1の使用回数(小便器装置1の使用頻度)が少ないときは定期洗浄を行う頻度が高くなるように設定する。これにより、小便器装置1の使用頻度に応じて定期洗浄を行う頻度を適切に設定することができ、効率良く小便器の衛生性を維持することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、前回使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(2時間)を超えた時に、小便器装置1の使用頻度に応じて機能水による定期洗浄を行うかどうかを判断することとしたが、本発明はこれに限らず、前回使用した後の経過時間が予め定められた所定時間(2時間)を超えた時に、小便器装置1の使用頻度に係らず必ず機能水による定期洗浄を行うこととしてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、使用者が排尿を終えた直後に給水源5から供給された真水により本洗浄を行い、本洗浄を行った後に行う散水洗浄において小便器装置1の使用頻度に応じて機能水と真水とを使い分けているが、本発明はこれに限らず、使用者が排尿を終えた直後に行う本洗浄において、小便器装置1の使用頻度に応じて機能水と真水との使い分けを行ってもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、洗浄動作を行う時に、直近1時間内における小便器装置1の使用回数に応じて機能水と真水とを使い分けているが、本発明はこれに限らず、例えば洗浄動作を行う時に、前回小便器装置1を使用してから経過した時間に応じて機能水と真水との使い分けを行ってもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、機能水生成手段40において生成される機能水が、次亜塩素酸水であるとしたが、本発明はこれに限らず、機能水生成手段40において生成される機能水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成手段40において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成手段40において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。これらの中でも、次亜塩素酸を含む溶液は、アンモニアをより溶解および分解することができる。また、機能水生成手段40は、陽極板および陰極板を有する電解槽ユニットに限定されるわけではない。
【0074】
また、本実施形態においては、人体検知手段20として、赤外線投受光式の測距センサを用いたが、本発明はこれに限らず、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いてもよい。
【0075】
前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。