(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804035
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】穀物シュート配管における緩衝装置
(51)【国際特許分類】
B65G 11/20 20060101AFI20201214BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20201214BHJP
B65G 11/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B65G11/20 Z
F16L57/00 B
B65G11/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-140149(P2016-140149)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-8810(P2018-8810A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】中本 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬
【審査官】
板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−028393(JP,U)
【文献】
実開昭53−147256(JP,U)
【文献】
国際公開第93/014248(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0116925(KR,A)
【文献】
実開昭52−075277(JP,U)
【文献】
実開昭62−017786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 11/20
B65G 11/00
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される穀物を斜め下向きに流下案内する傾斜シュート下端部に、該傾斜シュート下端部と連通する流入口と、該流入口と対向する底面と、該底面の最低辺に接するとともに前記流入口面と略直角に位置する排出口と、を備えてなる緩衝箱を設け、前記排出口には比較的大きな上部排出口部と比較的小さな下部排出口部とを形成すべく平板状の規制板が設けられ、前記底面の内面側にはウレタンゴムが貼設されており、
前記規制板は、前記上部排出口部及び下部排出口部の大きさを相対的に可変とすべく上下動可能に設けられており、
前記規制板は、両側を折り曲げてブラケット部となし、これら一対のブラケット部によって前記排出口の対向する一対の側面間に装着されており、前記一対の側面には前記規制板を上下動可能とすべく、それぞれ複数の長孔が設けられ、これらの長孔を介して蝶ボルトによって前記一対のブラケット部が固着されていることを特徴とする穀物シュート配管における緩衝装置。
【請求項2】
前記排出口に排出樋を設け、該排出樋下端には下方に向く排出側移送管を連結してなる請求項1の穀物シュート配管における緩衝装置。
【請求項3】
前記流入口に流入側移送管を設け、該流入側移送管と前記シュート下端部とを接続管によって連結してなる請求項1又は2の穀物シュート配管における緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米麦や豆類を含む穀物を搬送するための穀物シュート配管に係り、特に、穀物シュート配管における緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シュート配管を使って穀物を自重で流下させると、加速度がついて流下速度が速くなり、そのため、シュートの曲り部分(エルボ)においてシュート内壁面に衝突したり、搬送先の各種機械装置やベルトコンベア等の搬送装置の供給部に激突したりして、穀物が損傷するとともに、前記エルボ部の急速な摩耗や穀物の周囲への飛散を招くこととなる。
【0003】
そこで、斜めシュートの端部に窪みを形成するとともに、そのやや上流側に下向きシュートを連絡した構成とし、少量の穀物を前記窪みに滞留させることにより、前記斜めシュートから高速度で流下する穀物が前記窪み内の穀物に受け止められることにより、流下スピードを落として前記下向きシュート内を落下するものが知られている(特許文献1の第7図等参照)。
しかしながら、特許文献1の場合、搬送する穀物が変わった時や、搬送作業終了時には前記窪み内に滞留する穀物を清掃して取り除く必要があった。
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−28393
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点にかんがみ、傾斜シュートに穀物を滞留させる緩衝装置を設けた場合であっても、搬送穀物の品種等が変わったり、搬送作業が終了したりするたびに滞留穀物を除去するための掃除をする必要のない穀物シュート配管における緩衝装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の穀物シュート配管における緩衝装置は、
投入される穀物を斜め下向きに流下案内する傾斜シュート下端部に、該傾斜シュート下端部と連通する流入口と、該流入口と対向する底面と、該底面の最低辺に接するとともに前記流入口面と略直角に位置する排出口と、を備えてなる緩衝箱を設け、前記排出口には比較的大きな上部排出口部と比較的小さな下部排出口部とを形成すべく規制板を設けたことを特徴とする。
より具体的には、本発明の穀物シュート配管における緩衝装置は、投入される穀物を斜め下向きに流下案内する傾斜シュート下端部に、該傾斜シュート下端部と連通する流入口と、該流入口と対向する底面と、該底面の最低辺に接するとともに前記流入口面と略直角に位置する排出口と、を備えてなる緩衝箱を設け、前記排出口には比較的大きな上部排出口部と比較的小さな下部排出口部とを形成すべく平板状の規制板が設けられ、前記底面の内面側にはウレタンゴムが貼設されており、前記規制板は、前記上部排出口部及び下部排出口部の大きさを相対的に可変とすべく上下動可能に設けられており、前記規制板は、両側を折り曲げてブラケット部となし、これら一対のブラケット部によって前記排出口の対向する一対の側面間に装着されており、前記一対の側面には前記規制板を上下動可能とすべく、それぞれ複数の長孔が設けられ、これらの長孔を介して
蝶ボルトによって前記一対のブラケット部が固着されていることを特徴とする。
【0008】
前記規制板は、前記
上部排出口部及び
下部排出口部の大きさを相対的に可変とすべく上下動可能に設けるとよい。
【0009】
前記排出口に排出樋を設け、該排出樋下端には下方に向く排出側移送管を連結するとよい。
【0010】
前記流入口に流入側移送管を設け、該流入側移送管と前記シュート下端部とを接続管によって連結することもできる。
【発明の効果】
【0011】
傾斜シュート下端部から緩衝箱の流入口に流下する穀物は、該緩衝箱の排出口に設けた規制板によってせき止められた穀物に衝突することによって緩衝作用を受ける。その際、穀物の流量が増えた場合も上部開口部から順次排出されるので穀物が緩衝箱内で詰まることがなく、他方、穀物の流量が減少した場合も、比較的小さな下部排出口部によって最低限の穀物が保持される。また、穀物の搬送作業の終了に伴って下部開口部から穀物が完全に排出されるので、残留穀物が生じない。
【0012】
前記
上部排出口部及び
下部排出口部の大きさを相対的に可変とすべく前記規制板を上下動可能に設けることによって、穀物の大きさや性状、及び穀物の流量に応じて規制板を調整し、常に最適な量の穀物を緩衝箱内に溜めておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態を示す緩衝箱の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態に係る穀物シュート配管における緩衝装置ついて説明する。
図1において、傾斜シュート2の傾斜下端部に緩衝箱1が設けられる。すなわち、略箱状の緩衝箱1の一面に設けた丸孔形状の流入口3から突設した流入側移送管4と、前記傾斜シュート2の傾斜下端部とをバンド型の接続管5によって接続する。
前記緩衝箱1において、流入口3を開口した面と対向する面を底面6となし、該底面6の内面側にはウレタンゴム7を貼設する。前記流入口3を開口した面及び底面6は前記傾斜シュート2の傾斜角に対して略垂直の関係にあり、したがって、前記流入口3及び底面6は共に傾斜状に設けられる。
【0015】
前記底面6は傾斜状の矩形面であり、その最も低い一辺と前記流入口3を開口する面の最も低い一辺との間を排出口8となす。前記排出口8は略正方形を呈しており、その排出口8を塞ぐように規制板9が設けられる。前記規制板9は両側を折り曲げてブラケット部10a,10bとなし、前記規制板9は、これら一対のブラケット部10a,10bによって前記排出口8の対向する一対の側面11a,11b間に装着される。
さらに、前記一対の側面11a,11bには前記規制板9を上下動可能とすべく、それぞれ複数の長孔12を設け、これらの長孔12を介して蝶ボルト13等によって前記一対のブラケット部10a,10bを固着する。これにより、前記規制板9を挟んで上方に比較的大きな上部排出口部8aが、同下方に比較的小さな下部排出口部8bが形成される。そして、前記規制板9の上縁中央部に切込み部9aを形成することにより、前記上部排出口部8aをより大きく確保することができる。
【0016】
前記排出口8にホッパー状の排出樋14を接続して設け、該排出樋下端には下方に向く排出側移送管15を連結する。また、緩衝箱1の一方の側面11bには点検窓16を開口するとともに該点検窓16には透明樹脂板17を蓋として装着することにより、緩衝状態の確認等を行うことができる。
【0017】
本実施の形態によれば、傾斜シュート2内を自重によって流下する穀物、例えば小豆は、当初、緩衝箱1の流入口3から流入して底面6のウレタンゴム7に直接衝突するが、順次流入する小豆は規制板9にせき止められて緩衝箱1の底部に一定量が溜まる。ここで、下部排出口部8bは、あらかじめ、小豆1粒が通過可能な大きさに合わせた開口度としておくことで、前記下部開口部8bから小豆が排出され過ぎないようにして一定量の滞留を保持する。これにより、流入口3から流入する小豆粒子は、前記底部に滞留した小豆に衝突することによって軟着陸することができるので、小豆に傷が生じたり飛び跳ねたりすることがなく、規制板9の切込み部9aから排出樋14内へ溢流して排出側移送管15を経由して次工程へ搬送される。
【0018】
そして、何らかの理由により前工程からの小豆の移送量が急増した場合は、切込み部9aを含む上部排出口部8aから排出されることにより、緩衝箱1内で小豆が詰まることはない。一方、前工程からの小豆の移送量が急減した場合であっても、下部排出口部8bが小豆の大きさに合わせて調整してあるため、緩衝箱1底部には一定量が滞留し、緩衝作用を保持することができる。前工程からの小豆の移送がなくなれば、小豆は下部排出口部8bから全て排出されるので、緩衝箱1底部には残留物は皆無となる。
【0019】
次に、小豆に代えて大豆を搬送する場合は、蝶ボルト13を緩めて規制板9の位置を上方へ摺動させて、下部排出口部8bから大豆1粒が通過できる間隙に調整し、蝶ボルト13を締め付けて規制板9を固定する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の穀物シュート配管における緩衝装置は、簡潔な構成により、傷付きやすい穀物を搬送する際に利用できて極めて利用価値が高い。
【符号の説明】
【0022】
1 緩衝箱
2 傾斜シュート
3 流入口
4 流入側移送管
5 接続管
6 底面
7 ウレタンゴム
8 排出口
8a 上部排出口部
8b 下部排出口部
9 規制板
10a,10b ブラケット部
11a,11b 側面
12 長孔
13 蝶ボルト
14 排出樋
15 排出側移送管
16 点検窓
17 透明樹脂板