特許第6804038号(P6804038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804038
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】湯水混合水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20201214BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   E03C1/044
   E03C1/042 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-185867(P2016-185867)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-48516(P2018-48516A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 武志
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−020703(JP,A)
【文献】 特開平09−280403(JP,A)
【文献】 特開平06−213340(JP,A)
【文献】 特開2002−115292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C1/042、1/044
F16K11/00〜11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源および給湯源から供給される水を湯水混合水として吐水すると共にカウンターに固定される湯水混合水栓において、
前記湯水混合水を生成する湯水混合部と、
前記湯水混合部を保持する本体と、を備え、
前記本体には、前記給水源から延びる給水管と前記給湯源から延びる給湯管とが接続されると共に前記湯水混合部が載置され、
前記カウンターの上面よりも上方であって、前記湯水混合部よりも下流の流路には逆止弁が配置されており、
前記湯水混合部と前記本体の間の一部は水密に形成され、
前記湯水混合部と前記本体の間と、前記湯水混合部の下流であって前記本体に形成される二次側流路と、は通水可能に形成されている
湯水混合水栓。
【請求項2】
前記湯水混合部の流路出口と、前記本体の前記二次側流路の流路入口との間には、シール部材が設けられ、
前記流路出口の流路断面は、前記シール部材のシール断面から少なくとも一部がはみ出るように形成されている
請求項に記載の湯水混合水栓。
【請求項3】
前記本体には、凹部が形成され、
前記凹部には、前記逆止弁が配置されている
請求項1又は請求項に記載の湯水混合水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カウンターの天板に設けられる給水栓本体を有し、給水栓本体の上部に取り付けられたレバー(操作部)により、湯水の混合量及び吐水量を調節して吐水口から湯水を吐出する湯水混合水栓が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の湯水混合水栓の給水栓本体は、カウンターの天板に穿設された取付孔に給水栓本体の下端部分が挿入されている。そして、カウンターの天板の下側から給水栓本体の下端部分にナットを螺着させることで、カウンターの天板を挟持し、カウンターに給水栓本体が固定されている。
【0003】
また、特許文献1に記載の湯水混合水栓においては、給水栓本体の下端部から、給水源または給湯源に接続される給水管及び給湯管が延設されている。カウンターの天板よりも下方に位置する給水管及び給湯管の端部には、配管端末具がそれぞれ設けられており、配管端末具内には、水や湯の逆流を防止する逆止弁が設けられている。このような従来の湯水混合水栓においては、給水管及び給湯管の端部における配管端末具内に逆止弁が設けられているため、逆止弁を収容する十分なスペースを確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−291083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の湯水混合水栓においては、カウンターの天板よりも下方に位置する給水管及び給湯管の端部の配管端末具内にそれぞれ逆止弁が設けられているので、逆止弁の交換やメンテナンスを行う際は、カウンターの下で作業を行わなければならず、また、それぞれの逆止弁に対して交換やメンテナンスを行わなければならない。そのため、逆止弁の交換やメンテナンスを行う作業者の負担が増加してしまうといった懸念がある。さらに、給水管及び給湯管の端部それぞれに逆止弁が設けられているため、部品点数が多くなり、製造コストが増加してしまうといった懸念もある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、湯または水の逆流を防止しつつ、施工性やメンテナンス性を向上させて、製造コストを低減することのできる湯水混合水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る湯水混合水栓によれば、給水源および給湯源から供給される水を湯水混合水として吐水すると共にカウンターに固定される湯水混合水栓において、湯水混合水を生成する湯水混合部と、湯水混合部を保持する本体と、を備え、本体には、給水源から延びる給水管と給湯源から延びる給湯管とが接続されると共に湯水混合部が載置され、カウンターの上面よりも上方であって、湯水混合部よりも下流の流路には逆止弁が配置されており、湯水混合部と前記本体の間の一部は水密に形成され、湯水混合部と前記本体の間と、湯水混合部の下流であって前記本体に形成される二次側流路と、は通水可能に形成されている
【0008】
この構成によれば、カウンターの上面よりも上方であって湯水混合部よりも下流の流路に逆止弁が配置されているので、湯水混合部への逆流を防止しつつ、給水管及び給湯管に逆止弁を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、カウンターの上面よりも上方に逆止弁が配置されているので、逆止弁の交換やメンテナンスを行う際に、カウンターの下で作業することなく、カウンターの上面側から作業を行うことができる。そのため、湯水混合水栓において、湯または水の逆流を防止しつつ、施工性やメンテナンス性を向上させて、製造コストを低減することができる。
また、湯水混合部と本体の間と、二次側流路と、が通水可能に形成されているので、例えば湯水混合部に破損が生じて湯水混合部と本体との間に漏水が発生してしまった場合、湯水混合部と本体との間に漏水した水を、二次側流路へ通水させることができる。二次側流路へ通水された水は、吐水部へ流れて吐水されるため、水栓本体内で漏水が発生していることを早期に発見することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る湯水混合水栓において、好ましくは、湯水混合部の流路出口と、本体の二次側流路の流路入口との間には、シール部材が設けられ、流路出口の流路断面は、シール部材のシール断面から少なくとも一部がはみ出るように形成されている。
【0012】
この構成によれば、流路出口の流路断面は、シール部材のシール断面から少なくとも一部がはみ出るように形成されている。そのため、より簡便な構成で、湯水混合部と本体の間と、二次側流路と、を通水可能に形成することができる。これにより、湯水混合水栓において、製造コストをより低減することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る湯水混合水栓において、好ましくは、本体には、凹部が形成され、凹部には、逆止弁が配置されている。
【0014】
この構成によれば、本体に形成された凹部に逆止弁が配置されているため、より簡便な構造で逆止弁を設けることができる。これにより、湯水混合水栓の製造コストをより低減することができる。また、湯水混合部を取り外して逆止弁を交換またはメンテナンスを行う際に、より簡単に逆止弁を取り外すことができる。そのため、湯水混合水栓において、施工性やメンテナンス性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、湯水混合水栓において、湯または水の逆流を防止しつつ、施工性やメンテナンス性を向上させて、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水栓本体の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る水栓本体の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る底部と逆止弁ユニットの取付構造を表した説明図である。
図5図3の部分拡大図である。
図6図5のVI−VI線に沿って見た水栓本体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0018】
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓について説明する。なお、以下においては、図中に示す方向を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る水栓本体の分解斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る水栓本体の断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る底部と逆止弁ユニットの取付構造を表した説明図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓は、給水源及び給湯源から供給される水を湯水混合水として吐水すると共に、カウンターCに固定される。この湯水混合水栓Aは、カウンターCに取り付けられる水栓本体2と、水栓本体2から離隔した位置にてカウンターCに取り付けられる吐水部4と、を備えている。
【0021】
水栓本体2には、給水源から延びる給水管6と、給湯源から延びる給湯菅8とが接続されており、水栓本体2の内部にて、給水管6及び給湯菅8から供給される水を混合する。水栓本体2の内部にて混合された水(湯水混合水)は、水栓本体2と吐水部4とをつなぐ接続管10を介して、吐水部4へ供給され、吐水部から吐水される。これらの給水管6及び給湯菅8、接続管10は、カウンターC下に隠蔽されている。
なお、水栓本体2は、給水管6及び給湯菅8から供給される水を混合せずに、給水管6から供給される水、または、給湯管8から供給される水のみを、吐水部4へ供給することもできるように構成されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、水栓本体2は、湯水混合水を生成する湯水混合部20と、湯水混合部20を保持するハウジング30と、給水管6及び給湯菅8が接続される底部40と、カウンターCとの間で固定構造を形成する固定台座50と、を有している。また、水栓本体2は、水栓本体2の内部に収容される逆止弁ユニット80を有している。この水栓本体2は、この固定台座50の上方に底部40が載置され、底部40の上方に湯水混合部20とハウジング30が載置されている。
なお、本実施形態においてハウジング30と底部40とが、本体としての機能を有している。
【0023】
湯水混合部20は、全体として円柱形状を有しており、水栓本体2の内部に収容されている。この湯水混合部20は、カートリッジ式であり、流路が形成された円盤状の複数のセラミックディスクを有している。この複数のセラミックディスクを回転・移動させることによって、給水管6及び給湯菅8から供給される水を混合したり、湯水混合水栓Aに供給された湯水の吐止水を行ったりする。
【0024】
また、湯水混合部20の上部には、操作量を伝達する伝達部22を介して、操作部24が設けられている。この操作部24を操作すると、その操作量に応じて湯水混合部20のセラミックディスクが回転・移動し、給水源または給湯源から湯水混合水栓Aに供給された湯水の吐止水及び流量・温調操作することができる。
【0025】
また、湯水混合部20の内部には、後述する底部40の水用一次側流路44及び湯用一次側流路46を介して、給水源から供給される水が通る流路及び給湯源から供給される水が通る流路が形成されている(図示せず)。また、これらの流路の途中には、湯水の混合や、湯水の吐止水等を行うバルブ機構が設けられており、このバルブ機構よりも下流には、後述する底部40の二次側流路48と接続される湯水混合流路26が形成されている。つまり、湯水混合部20により生成された湯水混合水は、湯水混合流路26を通って底部40の二次側流路48へ供給される。
【0026】
ハウジング30は、上下方向に延びる円筒状の部材であり、ハウジング30の内部に湯水混合部20が収容されている。また、このハウジング30は、底部40の上方に載置されており、底部40の上端の一部を内部に収容している。また、このハウジング30と固定台座50は、樹脂材料によって形成されている。そのため、製造コストを抑えることができ、生産性をより一層向上させることができる。
【0027】
底部40は、金属製の部材であって略円柱状に形成されている。底部40の外周面中部には、外周方向に突出して突条を形成する鍔42が形成されている。この鍔42の上面にはハウジング30が載置されており、鍔42の下面には固定台座50の上端面が当接している。また、底部40において、鍔42よりも上側の部分がハウジング30内に収容されており、鍔42よりも下側の部分が、固定台座50内に収容されている。
【0028】
底部40の下面には、給水管6及び給湯管8の下流端部、接続管10の上流端部が接続されており、この接続部分から鉛直上方に向かって延びる流路がそれぞれ形成されている。一方、底部40の上面には、底部40の流路と湯水混合部20の流路とを連通する開口がそれぞれ設けられている。
【0029】
具体的には、底部40には、給水管6から供給される水が通る水用一次側流路44、給湯管8から供給される水が通る湯用一次側流路46、湯水混合部20から供給される湯水混合水が通る二次側流路48の3つの流路が形成されている。この水用一次側流路44及び湯用一次側流路46の流路出口44a及び46aと、二次側流路48の流路入口48aとが、底部40の上面に形成されており、これらの流路出口44a及び46aと、流路入口48aが、湯水混合部20の流路と連通している。
【0030】
給水源または給湯源から、給水管6または給湯管8へ供給された水は、底部40の水用一次側流路44または湯用一次側流路46を通り、湯水混合部20へ供給される。湯水混合部20において、水用一次側流路44から供給された水と、湯用一次側流路46から供給された水とが混合される。そして、湯水混合部20によって生成された湯水混合水は、湯水混合部20の湯水混合流路26から底部40の二次側流路48へ流れる。二次側流路48へ供給された湯水混合水は、接続管10に流れて、吐水部4へ供給される。
なお、水栓本体2において、水用一次側流路44または湯用一次側流路46から湯水混合部20へ供給された水を湯水混合部20にて混合せずに、水用一次側流路44または湯用一次側流路46から供給された水のどちらか一方のみを、湯水混合部20の湯水混合流路26から二次側流路48へ供給可能なように構成されている。
【0031】
固定台座50は、ハウジング30と別体に形成される円筒状の部材であり、カウンターCに設けられた取付孔C1に挿入されてカウンターCを貫通している。固定台座50の内側上部には、固定台座50の内周面から固定台座50の中心軸に向かって突出するような段部52が形成されており、固定台座50の上端面から段部52にかけて形成される凹み部分に、底部50の一部が収容されている。また、給水管6及び給湯管8、接続管10が、固定台座50を上下方向に貫通している。
【0032】
固定台座50の外周面中部には、外周方向に突出して突条を形成する鍔54が形成されている。この鍔54は、固定台座50の段部52よりも下方に形成されている。固定台座50の鍔54よりも下方部分は、カウンターCの取付孔C1に挿入され、鍔54の下面とカウンターCの上面とが当接している。また、固定台座50の下端部分はカウンターCの下面よりも下方に位置しており、固定台座50の鍔54よりも下方部分であってカウンターCの下面よりも下方の位置には、円筒状の締結部材60が設けられている。
【0033】
ここで、固定台座50の鍔54よりも下方部分における外周面には、螺旋状の溝が設けられている。一方、締結部材60の内周面には、固定台座50の鍔54よりも下方部分に形成された螺旋状の溝と係合する、螺旋状の溝が形成されている。つまり、締結部材60を固定台座50の下方部分に締結することによって、固定台座50の鍔54と締結部材60とによってカウンターCが挟み込まれて、固定台座50がカウンターCに固定される。このように、固定部材50は、カウンターCとの間で固定構造を形成している。
【0034】
また、水栓本体2は、ハウジング30、底部40及び固定台座50の外周に配置され外観を形成する外観カバー70を有している。外観カバー80は、円筒状の部材であり、外周面に金属メッキが施されている。
【0035】
逆止弁ユニット80は、カウンターの上面よりも上方であって、湯水混合部20の吐止水の機能を有する部分よりも下流に設けられている。この逆止弁ユニット80には、その内部に逆止弁82が収容されており、下流側から上流側へ水または湯が逆流することを防止する機能を有している。
【0036】
具体的には、図4に示すように、底部40の二次側流路48には二次側流路48の流路入口48aから下方に向かって凹む凹部49が形成されており、逆止弁ユニット80は、底部40の二次側流路48に形成されている凹部49に収容されている。つまり、逆止弁ユニット80は、一つの流路(二次側流路48)のみに設けられており、底部40と湯水混合部20との間に挟まれるように設けられている。
【0037】
このように、本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓Aによれば、カウンターCの上面よりも上方であって湯水混合部20よりも下流の流路である二次側流路48に逆止弁が配置されているので、湯水混合部20への逆流を防止しつつ、給水管6及び給湯管8に逆止弁を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、カウンターCの上面よりも上方に逆止弁が配置されているので、逆止弁の交換やメンテナンスを行う際に、カウンターCの下で作業することなく、カウンターCの上面側から作業を行うことができる。そのため、湯水混合水栓Aにおいて、湯または水の逆流を防止しつつ、施工性やメンテナンス性を向上させて、製造コストを低減することができる。
【0038】
ここで、仮に、逆止弁ユニット80が底部40の水用一次側流路44及び湯用一次側流路46にそれぞれ設けられ、施工時に一方の逆止弁ユニット80が上流側と下流側が間違って組みつけられてしまった場合、間違えて組みつけられた側の流路からは水が供給されないが、他方の流路からは水が供給される。そのため、施工者や使用者が不具合に気付かずにそのまま使用してしまう、あるいは、不具合の発見が遅れてしまうといった懸念がある。
本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓Aにおいては、湯水混合部20のバルブ機構よりも下流(二次側の流路)に一つの逆止弁ユニット80が設けられている。そのため、逆止弁ユニット80の上流側と下流側が間違って組みつけられてしまった場合は、逆止弁ユニット80よりも下流には水が供給されなくなる、つまり、吐水部4から吐水されなくなる。したがって、湯水混合水栓Aの不具合を早期に発見することができる。
【0039】
また、仮に、逆止弁ユニット80が底部40の水用一次側流路44及び湯用一次側流路にそれぞれ設けられ、湯用一次側流路46のみが通水状態にある場合、つまり、湯のみが吐水部4から吐水されている場合、水用一次側流路44に設けられた逆止弁ユニット80の逆止弁は、閉じた状態となっている。この状態で、湯用一次側流路46のみが通水されている状態が続くと、湯用一次側流路46を通る湯によって、水用一次側流路44内の水の温度が上昇する。水の温度が上昇すると、それにともなって水用一次側流路44内(湯水混合部20と逆止弁との間の流路内)の水の体積が膨張し、逆止弁ユニット80の逆止弁が閉じる方向へ押しつけられる。さらに、逆止弁ユニット80内の逆止弁にも湯の熱が伝わってしまう。その結果、水用一次側流路44に設けられた逆止弁ユニット80の逆止弁が閉じた状態で固着してしまう懸念がある。
本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓Aにおいては、湯水混合部20のバルブ機構よりも下流(二次側の流路)に一つの逆止弁ユニット80が設けられている。そのため、湯用一次側流路46のみが通水状態にある場合、つまり、湯のみが吐水部4から吐水されている場合であっても、逆止弁ユニット80の逆止弁82は常に開いた状態となっているため、湯の熱によって、逆止弁ユニット80の逆止弁82が閉じた状態で固着してしまうことが抑制される。
【0040】
また、本体である底部40に形成された凹部49に逆止弁が配置されているため、より簡便な構造で逆止弁を設けることができる。これにより、湯水混合水栓Aの製造コストをより低減することができる。また、湯水混合部20を取り外して逆止弁を交換またはメンテナンスを行う際に、より簡単に逆止弁を取り外すことができる。そのため、湯水混合水栓Aにおいて、施工性やメンテナンス性をより向上させることができる。
【0041】
つぎに、図5及び図6を参照して、水栓本体の湯水混合部、ハウジング、底部間の構造について詳述する。
【0042】
図5は、図3の部分拡大図である。図6は、図5のVI−VI線に沿って見た水栓本体の概略断面図である。
【0043】
図5に示すように、ハウジング30の上部内周面と、湯水混合部20の上部外周面との間には、円環状のシール部材32が設けられている。つまり、このシール部材32によって、湯水混合部20と本体であるハウジング30との間の一部が水密に形成されている。また、本体である底部40と湯水混合部20との間には、流路出口44aと、流路出口46aと、を区画するシール部材90が設けられており、湯水混合部20と底部40の間と、底部40の二次側流路48と、は通水可能に形成されている。
なお、ハウジング30と底部40との間においても、円環状のシール部材34が設けられている。
【0044】
図6に示すように、シール部材90は、底部40の上面に配置されており、シール部材90によって、湯水混合部20の流路、底部40の水用一次側流路44、湯用一次側流路46、の三つの流路の間が水密に形成されている。つまり、シール部材90によって、三つの流路をそれぞれ流れる水が混合しないようになっている。加えて、上面視において、湯水混合部20の湯水混合流路26の流路出口26aの流路断面は、二次側流路48の流路入口48aの周囲を囲んでいるシール部材90のシール断面から少なくとも一部がはみ出るように形成されている。このように、シール部材90のシール断面から、湯水混合流路26の流路出口26aの流路断面の一部がはみ出るように形成されていることで、湯水混合部20と底部40の間と、底部40の二次側流路48と、が通水可能に形成されている。
【0045】
このように、本発明の一実施形態に係る湯水混合水栓Aにおいては、湯水混合部20と本体である底部40の間と、底部40に形成された二次側流路48と、が通水可能に形成されている。そのため、例えば湯水混合部20に破損が生じて湯水混合部20と本体(ハウジング30または底部40)との間に漏水が発生してしまった場合、湯水混合部20と本体(ハウジング30または底部40)との間に漏水した水を、二次側流路48へ通水させることができる。二次側流路48へ通水された水は、吐水部4へ流れて吐水されるため、水栓本体2内で漏水が発生していることを早期に発見することができる。
【0046】
また、湯水混合流路26の流路出口26aは、二次側流路48の流路入口48aの周囲を囲んでいるシール部材90のシール断面から少なくとも一部がはみ出るように形成されている。そのため、より簡便な構成で、湯水混合部20と本体(ハウジング30または底部40)の間と、二次側流路48と、を通水可能にすることができる。これにより、湯水混合水栓Aにおいて、製造コストをより低減することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、本実施形態において、ハウジング30と底部40、固定台座50のそれぞれが別体である構成を説明したが、これら3つの部材が一体に形成されていてもよいし、3つの部材のうちいずれか2つの部材が一体に形成されていてもよい。
【0049】
前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0050】
2 水栓本体
4 吐水部
6 給水管
8 給湯菅
10 接続管
20 湯水混合部
22 伝達部
24 操作部
26 湯水混合流路
26a 流路出口
30 ハウジング
32、34 シール部材
40 底部
42 鍔
44 水用一次側流路
44a 流路出口
46 湯用一次側流路
46a 流路出口
48 二次側流路
48a 流路入口
49 凹部
50 固定台座
52 段部
54 鍔
60 締結部材
70 外観カバー
80 逆止弁ユニット
82 逆止弁
90 シール部材
A 湯水混合水栓
C カウンター
図1
図2
図3
図4
図5
図6