【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、上述の課題は、次のように構成される廃棄物供給装置もしくは廃棄物供給方法によって解決される。
【0011】
[廃棄物供給装置]
本発明の廃棄物供給装置は、次の第一ないし第三発明のごとく構成される。
【0012】
<第一発明>
第一発明に係る廃棄物供給装置は、廃棄物を受け入れて一時貯留する貯留ピットから廃棄物を取り出し焼却炉へ搬送供給する。
【0013】
かかる廃棄物供給装置において、第一発明では、貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を測定する水分率分布測定装置と、貯留ピット内の一部に形成された攪拌区画における廃棄物の水分率を調整する水分率調整装置と、貯留ピットの攪拌区画から廃棄物を焼却炉へ搬送供給するクレーン装置とを備え、
水分率分布測定装置は、貯留ピット内の全領域の廃棄物を撮影し画像情報を取得する貯留ピット撮影装置と、該貯留ピット撮影装置により得られた画像情報から廃棄物の明度分布を求め、予め設定された廃棄物の明度と廃棄物の水分率との関係にもとづき、貯留ピット内を区分した複数領域の各領域に存在する廃棄物の水分率を示す貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を導出する貯留ピット画像処理装置とを有し、
水分率調整装置は、水分率分布測定装置により導出された貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を参照して、所定範囲の水分率より低い低水分率廃棄物の存在する領域から低水分率廃棄物を、所定範囲の水分率より高い高水分率廃棄物の存在する領域から高水分率廃棄物を取り出して攪拌区画に移送して混合するときに、上記攪拌区画における低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが混合された廃棄物の水分率を所定範囲とするように、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出する混合比率算出装置と、混合比率算出装置で算出された混合比率にもとづき各領域から廃棄物をクレーン装置により攪拌区画へ移送する移送手順を計画しクレーン装置に運転指令を発信する移送計画装置とを有し、
クレーン装置は、移送計画装置からの運転指令にもとづき、貯留ピットの各領域から廃棄物を攪拌区画へ移送し、攪拌混合し、さらに所定範囲の水分率とされた廃棄物を焼却炉へ搬送供給する、
ことを特徴としている。
【0014】
<第二発明>
第二発明に係る廃棄物供給装置は、第一発明の廃棄物供給装置に加えて、さらにバケット水分率測定装置を有し、
バケット水分率測定装置は、クレーン装置のバケットが掴む廃棄物を撮影し画像情報を取得するバケット撮影装置と、該バケット撮影装置により得られた画像情報からバケットが掴む廃棄物の明度を求め、予め設定された廃棄物の明度と廃棄物の水分率との関係にもとづき、バケットが掴む廃棄物の水分率を導出するバケット画像処理装置とを有し、
混合比率算出装置は、水分率分布測定装置により導出された貯留ピット内の廃棄物の水分率分布と、バケット水分率測定装置により導出されたバケットが掴む廃棄物の水分率とにもとづき、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出するように構成される。
【0015】
<第三発明>
第三発明に係る廃棄物供給装置は、第一又は第二発明の廃棄物供給装置に加えて、貯留ピット内を区分した複数領域の各領域と攪拌区画の少なくとも一方にて、クレーン装置のバケットが掴んだ廃棄物の落下状況を撮影し画像情報を取得する落下状況撮影装置と、該落下状況撮影装置により得られた画像情報から廃棄物の形状を導出する廃棄物形状測定装置と、攪拌区画に貯留される廃棄物の形状を所定のものとするように上記クレーン装置のバケットによる廃棄物の掴み操作と落下操作を繰り返すように該クレーン装置を制御する廃棄物形状制御装置を、さらに有していることにより構成される。
【0016】
[廃棄物供給方法]
本発明の廃棄物供給方法は、次の第四ないし第六発明のごとく構成される。
【0017】
<第四発明>
第四発明に係る廃棄物供給方法では、廃棄物を受け入れて一時貯留する貯留ピットから廃棄物をクレーン装置で取り出し焼却炉へ搬送供給する。
【0018】
かかる廃棄物供給方法において、第四発明では、貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を測定する水分率分布測定工程と、貯留ピット内の一部に形成された攪拌区画における廃棄物の水分率を調整する水分率調整工程と、貯留ピットの攪拌区画から廃棄物を焼却炉へクレーン装置により搬送供給する搬送供給工程とを備え、
水分率分布測定工程は、貯留ピット内の全領域の廃棄物を撮影して画像情報を取得し、画像情報から廃棄物の明度分布を求め、予め設定された廃棄物の明度と廃棄物の水分率との関係にもとづき、貯留ピット内を区分した複数領域の各領域に存在する廃棄物の水分率を示す貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を導出する貯留ピット画像処理を行い、
水分率調整工程は、水分率分布測定工程により導出された貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を参照して、所定範囲の水分率より低い低水分率廃棄物の存在する領域から低水分率廃棄物を、所定範囲の水分率より高い高水分率廃棄物の存在する領域から高水分率廃棄物を取り出して攪拌区画に移送して混合するときに、上記攪拌区画における低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが混合された廃棄物の水分率を所定範囲とするように、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出する混合比率算出工程と、算出された混合比率にもとづき各領域から廃棄物をクレーン装置により攪拌区画へ移送する移送手順を計画しクレーン装置に運転指令を発信する移送計画工程と、
クレーン装置が、移送計画工程からの運転指令にもとづき、貯留ピットの各領域から廃棄物を攪拌区画へ移送し、攪拌混合し、さらに所定範囲の水分率とされた廃棄物を焼却炉へ搬送供給する移送・搬送工程とを有する、
ことを特徴としている。
【0019】
<第五発明>
第五発明に係る廃棄物供給方法は、第四発明の工程に加え、さらにバケット水分率測定工程を有し、
バケット水分率測定工程は、クレーン装置のバケットが掴む廃棄物を撮影し画像情報を取得するバケット撮影工程と、該バケット撮影工程により得られた画像情報からバケットが掴む廃棄物の明度を求め、予め設定された廃棄物の明度と廃棄物の水分率との関係にもとづき、バケットが掴む廃棄物の水分率を導出するバケット画像処理工程とを有し、
混合比率算出工程は、水分率分布測定工程により導出された貯留ピット内の廃棄物の水分率分布と、バケット水分率測定工程により導出されたバケットが掴む廃棄物の水分率とにもとづき、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出することにより構成される。
【0020】
<第六発明>
第六発明に係る廃棄物供給方法は、第四又は第五発明のいずれかの工程に加え、貯留ピット内を区分した複数領域の各領域と攪拌区画の少なくとも一方にて、クレーン装置のバケットが掴んだ廃棄物の落下状況を撮影し画像情報を取得し、得られた画像情報から廃棄物の形状を導出する廃棄物形状測定工程と、攪拌区画に貯留される廃棄物の形状を所定のものとするようにクレーン装置のバケットによる廃棄物の掴み操作と落下操作を繰り返すように該クレーン装置を制御する廃棄物形状調整工程を、さらに有していることにより構成される。
【0021】
<発明の原理>
このような構成の本発明の廃棄物供給装置そして廃棄物供給方法では、貯留ピットの廃棄物は、次の手順で混合・攪拌されて所定範囲の水分率のもとで焼却炉へ供給される。
【0022】
本発明では、貯留ピットの一部に、廃棄物を攪拌混合するための攪拌区画が設けられている。該攪拌区画以外は貯留ピットの大部分を占めていて貯留区画をなしており、廃棄物収集車により搬入された廃棄物は、この貯留区画に投入そして貯留される。
【0023】
本発明では、水分率分布測定装置により貯留ピット内の廃棄物の水分率分布が測定される。水分率分布測定装置は撮影装置と画像処理装置とを有している。撮影装置は貯留ピット内の全領域の廃棄物を撮影していてその画像情報を画像処理装置へ送信する。画像処理装置は、廃棄物についての画像の明度と水分率との関係をデータとして有していて、撮影装置から受けた画像情報からこの関係を参照して、貯留ピット内を区分した複数領域の各領域について廃棄物の水分率を得て貯留ピット内の廃棄物の水分率分布を導出する。
【0024】
次に、上記水分率分布にもとづき、低水分率廃棄物の存在する領域から低水分率廃棄物を、そして高水分率廃棄物の存在する領域から高水分率廃棄物を攪拌区画へ移送し、これらをこの攪拌区画で攪拌混合する。上記攪拌区画における低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが混合された廃棄物の水分率を所定範囲とするように、混合比率算出装置により、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率が算出されて上記攪拌区画へ移送され、移送された低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが攪拌区画で攪拌混合され、所定範囲の水分率の廃棄物を生成する。
【0025】
かくして、所定範囲の水分率となった攪拌区画の廃棄物はクレーン装置のバケットにより掴まれて焼却炉へ搬送供給される。また、水分率調整装置において、攪拌区画における低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが混合された廃棄物の水分率を所定範囲とするように調整する代わりに、所定範囲の水分率に対応する所定範囲の明度を導出しておき、混合された廃棄物の明度を所定範囲とするように制御することとしてもよい。
【0026】
本発明において、廃棄物供給装置はさらにバケット水分率測定装置を有しているとき、バケット水分率測定装置のバケット撮影装置は、クレーン装置のバケットが掴む廃棄物を撮影し画像情報を取得し、バケット画像処理装置は得られた画像情報から廃棄物の明度を求め、予め記憶された廃棄物の明度と廃棄物の水分率との関係にもとづき、バケットが掴む廃棄物の水分率を導出して、混合比率算出装置が、水分率分布測定装置により導出された貯留ピット内の廃棄物の水分率分布にもとづき、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出する際に、バケット水分率測定装置により導出されたバケットが掴む廃棄物の水分率とにももとづき、攪拌区画における低水分率廃棄物と高水分率廃棄物とが混合された廃棄物の水分率を所定範囲とするように、低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を算出する。
【0027】
バケット水分率測定装置により、バケットが掴む廃棄物の水分率を測定することができるため、低水分率廃棄物の存在する領域から低水分率廃棄物を、そして高水分率廃棄物の存在する領域から高水分率廃棄物を攪拌区画へ移送するときに、低水分率廃棄物及び高水分率廃棄物のより正確な水分率を把握することができ、攪拌区画において混合される廃棄物の水分率をより確実に所定範囲とすることができる。また、攪拌区画において混合された廃棄物をバケットで掴みバケット水分率測定装置により混合された廃棄物の水分率を測定して、水分率調整装置において設定した所定範囲の水分率と比較し、所定範囲内に至っていない場合には低水分率廃棄物と高水分率廃棄物との混合比率を修正するように混合比率算出装置を操作するようにしてもよい。
【0028】
貯留ピットに投入されるときに廃棄物は、袋体に廃棄物が収容されている袋体の状態、袋体が破袋され収容されていた廃棄物が分散している状態、廃棄物が大きな塊状となっている状態、粗大物などの形状となっている。袋体や大きな塊状や粗大物のままであるとクレーン装置での移送、攪拌区画での攪拌混合に支障が生じたり、焼却炉内への投入が困難になったり、燃焼が不安定となり不具合が生じる。そのため、袋体を破袋し収容されていた廃棄物を分散し、大きな塊状の廃棄物や粗大物を細かく破砕することが必要である。
【0029】
本発明において、落下状況撮影装置、廃棄物形状測定装置及び廃棄物形状制御装置をも、さらに備えている場合には、落下状況撮影装置によりクレーン装置のバケットが掴んだ廃棄物の落下状況を撮影し画像情報を取得して、廃棄物形状測定装置が画像情報から廃棄物の形状を導出し、廃棄物形状制御装置が攪拌区画に貯留される廃棄物の形状を所定のものとするようにクレーン装置のバケットによる廃棄物の掴み操作と落下操作を繰り返すようにクレーン装置を制御する。廃棄物の落下状況の画像情報と、廃棄物の形状について関係を記憶させておいて、この関係を参照し廃棄物の形状を導出することが好ましい。貯留ピットに貯留されている廃棄物は、廃棄物が収容されている袋体の状態、袋体が破袋され収容されていた廃棄物が分散している状態、廃棄物が大きな塊状となっている状態、粗大物などの形状となっている。バケットによる廃棄物の掴み操作と落下操作を繰り返すことにより、袋体を破袋し収容されていた廃棄物を分散し、大きな塊状の廃棄物や粗大物を細かく破砕して、廃棄物の形状を所定のものとする。廃棄物の形状の所定のものとして、袋体であるか、塊状であるか、粗大物であるか、適切に分散させること、好ましい大きさなどの観点から指標を設けて定めることが好ましい。また、廃棄物の適切な大きさは炉規模により異なり、小さい炉ほど小さい方が適切となる。廃棄物が大きいと炉内への投入が不均一になるため、燃焼が不安定になるからである。