(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0016】
当否判定結果を報知する演出として、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、移動演出(
図3および
図4参照)を実行することが可能である。すなわち、移動演出は、対象の当否判定結果を報知する一連の演出の一部として発生しうるものである。以下、当該移動演出について詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明における「画像」には、静止画と動画の両方が含まれるものとする。
【0017】
移動演出の基本的態様は、表示装置91の表示領域911に基準画像10が表示された状態(
図3(b)参照。以下、第一状態と称することもある)から、表示領域911に対して当該基準画像10がずれたかのように表示された状態(
図3(c)参照。以下、第二状態と称することもある)に変化するというものである。基準画像10は、移動演出の発生前に実行されていた演出(以下、当該演出を事前演出と称することもある)中に表示されていた画像に基づくものである。事前演出は、上記第一状態に相当するということができ、その具体的な態様はどのようなものであってもよい。移動演出前に発生しうる事前演出の態様(第一状態の態様)は複数種設定されていてもよいし、一種のみに限定されていてもよい。本実施形態では、移動演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像が、移動演出における基準画像10に引き継がれる。移動演出の発生直前に表示されている事前演出の画像は、表示領域911全体に表示された画像であるといえる。ただし、事前演出において表示された画像の一部のみが基準画像10として変位する構成としてもよい。基準画像10を静止画とする(ここでいう静止画とは、基準画像10が表す画像の内容が遊技者から同一視できる態様に維持されることをいい、画像全体が変位することによる態様の変化を含まないという意味である)のであれば、移動演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像の態様を維持しつつ基準画像10全体を表示領域911に対して変位させる。基準画像10を動画とする(ここでいう動画とは、基準画像10が表す画像の内容が時間経過とともに変化することをいう)のであれば、移動演出の発生直前に表示されていた事前演出の画像からそのまま継続的に基準画像10の態様を変化させるとともに、基準画像10全体を表示領域911に対して変位させる。
【0018】
表示領域911に対する基準画像10全体の変位態様は種々考えられる。本実施形態における移動演出では、第二状態にて、基準画像10が表示領域911に対して傾いたかのような表示がなされる。表示領域911を略方形状と捉えるとすると、事前演出においては基準画像10の上下の側縁および左右の側縁が、表示領域911の上下の側縁および左右の側縁に略一致した状態にある(
図3(b)参照)。そして、移動演出発生時には、基準画像10の上下の側縁および左右の側縁が、表示領域911の上下の側縁および左右の側縁に対して傾斜した状態となる(
図3(c)参照)。つまり、水平であった基準画像10が、あたかも傾いたかのような演出態様である。このように基準画像10が傾いたかのように見せる演出であるため、事前演出時において表示されていた基準画像10の一部は、移動演出発生時には表示領域911から見切れたかのような状態となる。本実施形態では、左側縁が下方に、右側縁が上方に変位するようにして、基準画像10が左下方に傾いたかのような表示がなされる。
【0019】
このように表示領域911に対して基準画像10が傾いたかのような表示がなされることに伴って(なお、ここでいう「伴って」とは、基準画像10が変位している最中および変位した後の一定期間を含む。基準画像10の変位によって、以下で説明するような態様の演出が発生したものと遊技者が感じられるようなものであればよい)、基準画像10が含む画像の一部(以下、特定要素と称することもある)が、当該傾いた方向に移動するかのような演出が発生する。本実施形態における特定要素は、基準画像10に含まれる識別図柄70である。事前演出から移動演出に至る演出の流れは次のようなものである。
【0020】
事前演出においては、識別図柄70(識別図柄群70g)が変動表示されている(
図3(a)参照)。具体的には、背景画像およびその背景画像の手前側に位置するように識別図柄70が変動表示されている。背景画像の態様はどのようなものであってもよい。その後、変動表示されている識別図柄70(識別図柄群70g)が擬似停止する(
図3(b)参照)。ここで、擬似停止とは、遊技者には停止しているかのように見えるが完全に停止していない状態をいう。例えば、識別図柄70がわずかに揺れているように表示される。本実施形態では、三つの識別図柄群70gのそれぞれから一の識別図柄70が選択されて擬似停止する。つまり、計三つの識別図柄70が擬似停止する。当該擬似停止時における識別図柄70の組み合わせは、大当たりを示す組み合わせではない。また、後述するチャンス目を示す組み合わせではない。つまり、遊技者に有利な事象が発生することを示すような組み合わせではない。
【0021】
その後、移動演出が発生する。つまり、基準画像10(背景画像および擬似停止した識別図柄70を含む画像)が表示領域911に対して傾いたかのような表示がなされる(
図3(c)参照)。なお、当該基準画像10に保留画像が含まれる(保留画像も一緒に傾く)ものとしてもよいし、保留画像が含まれない(保留画像の表示位置は維持される)ものとしてもよい。その後、特定要素である識別図柄70が、基準画像10が傾いた方向に移動するかのような表示がなされる(
図4(a)参照)。具体的には、表示領域911に対する背景画像の位置を維持しつつ(ただし、背景画像が動画である場合には、動画としての変化は継続的に発生する)、当該背景画像に対して識別図柄70が変位したかのような表示がなされる。本実施形態では、基準画像10が左下方に傾いたかのような表示がなされるため、識別図柄70(三つの識別図柄70)が左下方に移動するかのような表示がなされる。つまり、あたかも識別図柄70が「重力」によって移動するかのような表示がなされる。
【0022】
このように識別図柄70が左下方に移動することで、擬似停止していた識別図柄70(三つの識別図柄70)が表示領域911外に移動して見えなくなったかのような表示がなされる。これに伴い、新たな識別図柄70(三つの識別図柄70)が表示領域911の右上方から表示領域911内に移動してくるような表示がなされ(
図4(b)参照)、基準画像10(背景画像)の傾いた状態が解消される(背景画像が元に戻る)(
図4(c)参照)。つまり、移動演出においては、事前演出において表示された識別図柄70の組み合わせが、新たな組み合わせに変化するような表示がなされる。このような識別図柄70の組み合わせの変化は、一回のみ発生するようにしてもよいし、複数回発生するようにしてもよい。本実施形態では、識別図柄70の組み合わせの変化が複数回発生する場合、基準画像10(背景画像)の傾きが一旦元に戻ったかのような表示がなされ、再度基準画像10が傾いて当該傾いた方向に識別図柄70が移動するかのような表示がなされる。基準画像10の傾きが変化するということと、識別図柄70の組み合わせが変化するということが、1:1の関係になるように設定されている。換言すれば、基準画像10の傾きが発生しなければ、それ以上識別図柄70の組み合わせが変化しないということである。なお、当該組み合わせを構成する識別図柄70の数は三つであるが、当該組み合わせを構成する図柄の数は適宜変更可能である(一つの識別図柄70であっても、「組み合わせ」に相当するものとする)。
【0023】
本実施形態では、移動演出の結末として、成功結末(遊技者に有利な(遊技者にとって喜ばしい)結末)および失敗結末(遊技者に不利な(遊技者にとって喜ばしくない)結末)が設定されている。成功結末よりも失敗結末の方が遊技者にとって有利な事象であれば、これらの結末の具体的な内容はどのようなものであってもよい。ただし、本実施形態における移動演出は、擬似停止した識別図柄70の組み合わせが変化するというものであるため、成功結末および失敗結末の少なくとも一方については、その結末となったことが識別図柄70の組み合わせにより示されることになる。
【0024】
本実施形態では、成功結末となる場合、識別図柄70の組み合わせがチャンス目となる。当該チャンス目の具体的態様はどのようなものであってもよい。各識別図柄70が複数種の「色」に区分けされており同色の識別図柄70の組み合わせが表示されること、「1・2・3」等の順目(逆順目)が表示されること、「1・2・2」等、二以上の図柄が同じ図柄となること、「1・〇・2」等、○の位置に特定の識別図柄70(例えば「7」の識別図柄70)が位置することをチャンス目の例として挙げることができる。本実施形態では、成功結末となった場合、いわゆる擬似連続演出が発生する。擬似連続演出それ自体は公知であるため詳細な説明は省略するが、変動する識別図柄70が擬似停止した上で、再度変動する単位演出を一または複数回繰り返すものであって、一般的には単位演出の発生回数が多くなるほど当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、大当たり信頼度と称することもある)が高くなる。上記成功結末は、擬似停止した識別図柄70の再変動が確定する事象として設定されている。つまり、成功結末となることは、単位演出の発生回数が増加することになる(大当たり信頼度が高まることになる)、という点において遊技者にとって有利な事象であるといえる。
【0025】
一方、大当たりを示す組み合わせや、チャンス目である組み合わせが示されなかった場合は失敗結末となる。大当たりを示す組み合わせやチャンス目である組み合わせ以外の組み合わせは、単なるはずれを示す組み合わせであるため、そのまま擬似停止していた三つの識別図柄70が完全に停止し、対象の当否判定結果がはずれであることが示される。本実施形態では、移動演出が発生した場合、識別図柄70の組み合わせは必ず変化するように設定されているものの、失敗結末となる場合には、大当たりを示す組み合わせやチャンス目である組み合わせ以外の組み合わせに変化する。
【0026】
このように、本実施形態における移動演出は、表示領域911に対して基準画像10が変位するだけでなく、その変位に伴って基準画像10に含まれる特定要素が変位するものであるから、表示領域911に対して画像が変位する演出の趣向性を向上させることが可能である。
【0027】
また、特定要素は、基準画像10が傾いた方向に移動するから、あたかも特定要素が重力によって移動するかのような面白みのある演出態様とすることができる。
【0028】
また、特定要素は当否判定結果を報知する識別図柄70である。このようにすれば、識別図柄70(識別図柄70の組み合わせ)が変化する演出として移動演出を利用することができる。
【0029】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0030】
○第一具体例
上記実施形態では、移動演出時に移動する特定要素が識別図柄70であることを説明したが、基準画像10の一部の要素であれば、識別図柄70以外のものが特定要素として設定された構成としてもよい。例えば、基準画像10が、あるキャラクタを示すキャラクタ画像75とその背景画像を含むものとし、キャラクタ画像75が特定要素として設定されているものとする。移動演出においては、基準画像10が表示領域911に対して変位したしたかのような表示がなされたとき(第二状態にあるとき)、表示領域911に対する背景画像の位置を維持しつつ(ただし、背景画像が動画である場合には、動画としての変化は継続的に発生する)、当該背景画像に対して特定要素であるキャラクタ画像75が変位するかのような表示がなされるものとする(
図5参照)。
【0031】
上記実施形態のように、基準画像10が表示領域911に対して傾いたかのように表示されるものとする場合には、当該傾いた方向に特定要素であるキャラクタ画像75が変位するかのような表示がなされるとよい。このようにすれば、あたかもキャラクタが「重力」によって移動するかのような演出となる。
【0032】
○第二具体例
事前演出において表示領域911に表示される画像が基準画像10とは別に対比画像20を含むものとする。移動演出においては、基準画像10については表示領域911に対して変位したかのような表示がなされるものの、対比画像20については表示領域911に対する位置が維持されるようにする。別の見方をすれば、特定要素(識別図柄70)の背景として表示される背景画像の一部が基準画像10として設定され、それとは異なる別の一部が対比画像20として設定された構成とする(
図6参照)。
【0033】
このように、表示領域911に対して基準画像10が変位したときであっても、表示領域911に対する対比画像20の位置が維持されるようにすれば、表示領域911に対して基準画像10が変位したということを分かりやすく示すことが可能となる。上記実施形態のように、表示領域911に対して基準画像10が傾斜したかのように表示されるのであれば、対比画像20については表示領域911に対して本来の位置(傾斜していない状態)を保つのであるから、基準画像10が傾斜したということが分かりやすい。したがって、基準画像10の変位に伴う特定要素(識別図柄70)の変位も分かりやすくすること(リアルなものとすること)が可能である。
【0034】
○第三具体例
上記実施形態では、移動演出が発生することにより、特定要素である識別図柄70が変位し、当該識別図柄70(識別図柄70の組み合わせ)が変化することを説明したが、組み合わせの変化が発生する場合と、発生しない場合(組み合わせの変化が発生する場合に比して遊技者にとって好ましくない状況であるといえる)とが起こりうる設定としてもよい。組み合わせの変化が発生しない場合の例としては以下のようなものが考えられる。
【0035】
移動演出発生時には、ある組み合わせを構成する識別図柄70が一旦表示領域911外に移動し、その後再び表示領域911内に戻ってくるような表示がなされることになるが、戻ってきた識別図柄70の組み合わせが表示領域911外に移動する前の組み合わせと変わらないものとする(
図6参照)。つまり、一旦識別図柄70が見えなくなったかのような表示がなされるものの、再度見えたときの識別図柄70の組み合わせは移動前の組み合わせと変わらないものとする。
【0036】
別の例としては、移動演出時に基準画像10が表示領域911に対して変位するものの、特定要素である識別図柄70は変位しないような態様とする。例えば、基準画像10が表示領域911に対して傾いたとき、識別図柄70は当該方向に移動しようとするものの、最終的には移動せずに基準画像10が元の状態に戻り、識別図柄70の組み合わせが変化しないという結末に至る(
図7参照)。つまり、基準画像10が表示領域911に対して変位したとき、特定要素である識別図柄70が移動するかもしれないという「煽り」を発生させた上で、移動した場合には識別図柄70の組み合わせは変化するものの、移動しなかった場合には識別図柄70の組み合わせが変化しないような態様とする。
【0037】
○第四具体例
上記実施形態では、事前演出時に複数の識別図柄70(上記実施形態では三つの識別図柄70)による組み合わせが示され、移動演出時に当該組み合わせを構成する識別図柄70の全てが表示領域911外に移動したような表示がなされて当該組み合わせが変化することを説明したが、事前演出時に示される複数の識別図柄70のうち、一部のみが移動演出時に表示領域911外に移動するような表示がなされて組み合わせが変化するような態様の演出が発生するようにしてもよい。つまり、ある組み合わせを構成する複数の識別図柄70のうち、一部の識別図柄70のみが変化して当該組み合わせが変化するような態様としてもよい。また、変化する識別図柄70の数がその都度変化しうる態様としてもよい。
【0038】
この種の演出の一例としては以下のようなものが考えられる。上記実施形態のように、基準画像10が左下方に傾き、三つの識別図柄70が左下方に移動するような表示がなされる場合、左側に位置する識別図柄70のみを表示領域911外に移動させ、右上方から新たな識別図柄70が表示領域911内に入り込んでくるような演出態様とする。例えば、演出当初の組み合わせが「5(左の図柄)・1(中の図柄)・2(右の図柄)」であったときに、左の図柄である「5」の識別図柄70が表示領域911の左側から表示領域911外に移動し、新たに「3」の識別図柄70が表示領域911の右側から表示領域911内に入り込んできて、「1・2・3」の組み合わせ(チャンス目)に変化するような演出態様となる(
図9参照)。つまり、識別図柄70の組み合わせが移動する方向側の一または複数の識別図柄70が表示領域911外に移動し、それと同数の識別図柄70が逆方向から新たに表示領域911内に入り込んでくるものとすることができる。このようにすれば、ある組み合わせを構成する識別図柄70のうち、一部の識別図柄70(上記例で言えば「1」「2」の図柄)を、当該組み合わせを構成する要素として残し、かつ、その位置(順)を変化させつつ(上記例で言えば、一つ分左にスライドさせる)、他の一部の識別図柄70(上記例でいえば「5」の図柄)を別の図柄(上記例で言えば「3」の図柄)に変化させ、かつ、その位置(順)を変化させる(上記例で言えば、左・中・右の識別図柄70のうち、左の図柄「5」を、右の図柄「3」に変化させる)という面白みのある演出態様とすることができる。
【0039】
○第五具体例
上記実施形態では、移動演出時には基準画像10が表示領域911に対して左下に傾くような表示がなされることを説明したが、当該基準画像10の変位の態様は一定でなくてもよい。つまり、基準画像10の変位の態様として、複数種の態様が設定された構成としてもよい。
【0040】
移動演出時における特定要素の変位の態様は、基準画像10の変位の態様に合せたものとされるとよい。例えば、移動演出時に基準画像10が表示領域911に対して右下に傾くような表示がなされる場合があるとする。この場合には、特定要素が右下に向かって変位するような表示がなされるものとする。また、このようにすれば、上記第四具体例にて説明したような演出が面白みのあるものとなる。例えば、演出当初の組み合わせが「3(左の図柄)・4(中の図柄)・6(右の図柄)」であったときに、右の図柄である「6」の識別図柄70が表示領域911の右側から表示領域911外に移動し、新たに「2」の識別図柄70が表示領域911の左側から表示領域911内に入り込んできて、「2・3・4」の組み合わせ(チャンス目)に変化するような演出を実行することが可能となる(
図10参照)。つまり、ある組み合わせを構成する識別図柄70のうちの一部が変化する演出について、変化する対象の図柄が一方側(左側または右側)の図柄に限定されることがなくなるため、演出の面白みが向上する。
【0041】
○第六具体例
上記実施形態では、移動演出を経ることにより、識別図柄70の組み合わせがチャンス目に変化することを説明したが、当該変化は遊技者に有利な方向への変化であればよい。例えば、識別図柄70の組み合わせが大当たりを示す組み合わせに変化するような態様が発生するようにしてもよい。
【0042】
○第七具体例
上記実施形態では、基準画像10が傾いた方向と特定要素が移動する方向は一致するものであることを説明したが、一致しないように構成してもよい。つまり、基準画像10の変位の態様と特定要素の変位の態様が関係しないものとしてもよい。また、基準画像10の変位の態様が同じであっても、特定要素の変位の態様がその都度変化しうるものとしてもよい。ただし、上記実施形態のように、基準画像10の変位の方向と特定要素の変位の態様を関連付けることで、基準画像10が変位したがゆえに特定要素が変位したように見える演出態様とすることができるため、面白みのある演出となる。
【0043】
○第八具体例
移動演出時において、基準画像10が表示領域911に対して変位したかのような表示がなされるということは、表示領域911には、基準画像10が表示領域911に対してずれたことによって別の領域(以下、別領域911aと称することもある)が生ずる。つまり、第二状態においては、別領域911aが生じる。当該別領域911aに移動演出に直接的に関わる別の画像(以下、別画像30と称することもある)の少なくとも一部が表示されるものとする。なお、上記実施形態においては、別領域911aには単一色の画像等、単なる背景を示すような画像が表示される。つまり、別領域911aに表示される画像は、基準画像10が表示領域911に対して変位したことを示すようなものに過ぎず、移動演出に直接的に関わるようなものではない。
【0044】
例えば、別画像30としてキャラクタが表示され、当該キャラクタが特定要素の変位を助長するような動きを行う。上記実施形態に則していえば、特定要素である識別図柄70を左下方向に押すようなキャラクタを別画像30として表示する(
図11参照)。つまり、別画像30は、特定要素と関わる画像であって、特定要素の変位を強調するようなものである。なお、このような別画像30は、別領域911aと傾いた状態(第二状態)にある基準画像10が表示される領域とに跨るように表示されるものであるといえる。
【0045】
上記のような別画像30は、移動演出発生時に常に表示されるものとしてもよいし、表示されることもあれば、表示されないこともある設定としてもよい。後者のような設定とする場合、別画像30が表示されなかったときよりも、別画像30が表示されたときの方が遊技者にとって有利なものとしてもよい。つまり、別画像30の表示が、いわゆる「チャンスアップ」として設定された構成としてもよい。例えば、上記第三具体例にて説明したように、移動演出が発生したときに、特定要素である識別図柄70の組み合わせの変化が発生する場合と、発生しない場合とが起こりうる設定とする場合、別画像30が表示された場合の方が、表示されなかった場合よりも、組み合わせの変化が発生する蓋然性が高くなるような構成とすることが考えられる。
【0046】
○第九具体例
上記実施形態における移動演出は、いわゆる擬似連続演出の一種として発生しうることを説明したが、いわゆる先読み連続演出の一種として発生しうるようにしてもよい。先読み連続演出それ自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、先読み連続演出は、ある当否判定結果(対象当否判定結果)が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を、それよりも前に報知が完了する一または複数の当否判定結果(先の当否判定結果)を報知する演出を利用して示唆するものである。
【0047】
先読み連続演出として移動演出が発生する構成とする場合、成功結末となるときには、移動演出にて識別図柄70の組み合わせが変化し、当該組み合わせがチャンス目となるようにする。当該チャンス目となる組み合わせは、先の当否判定結果(はずれ)を報知する組み合わせでもある。つまり、先の当否判定結果を報知する演出の少なくとも一部として移動演出を発生させ、当該移動演出を経た変化後の識別図柄70の組み合わせがチャンス目となるようにして、対象の当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことを示唆する。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、演出用の表示装置を備えた遊技機であれば、回動式遊技機等の異なる遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0050】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1
表示領域を有する表示装置と、
前記表示領域に基準画像が表示された状態から、当該基準画像が前記表示領域に対して変位したかのような表示がなされ、それに伴って当該基準画像に含まれる特定要素が移動する移動演出を実行することが可能な演出実行手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機における移動演出は、表示領域に対して基準画像が変位するだけでなく、その変位に伴って基準画像に含まれる特定要素が変位するものであるから、表示領域に対して画像が変位する演出の趣向性を向上させることが可能である。
【0051】
・手段2
前記移動演出は、前記基準画像が前記表示領域に対して傾いたかのような表示がなされ、それに伴って前記特定要素が当該傾いた方向に移動するものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記のような構成とすれば、基準画像が傾いた方向に特定要素が移動するものとなるから、あたかも特定要素が重力によって移動するかのような面白みのある演出態様とすることが可能である。
【0052】
・手段3
所定条件の成立を契機として当否判定を行う当否判定手段を備え、
前記特定要素は、前記当否判定手段による当否判定結果を報知する識別図柄であることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
・手段4
複数の前記識別図柄が所定の組み合わせで示された後、前記移動演出を経て当該組み合わせが変化することが、遊技者にとって有利な事象として設定されていることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
このように、当否判定結果を報知する識別図柄を特定要素として設定すれば、識別図柄(識別図柄の組み合わせ)が変化する演出として移動演出を利用することが可能である。
【0053】
・手段5
前記移動演出が発生する前の状態において、前記基準画像と対比画像が表示されており、
前記移動演出は、前記基準画像が前記表示領域に対して変位したかのような表示がなされる一方、前記表示領域に対する前記対比画像の位置が維持されるものであることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
このように、表示領域に対して基準画像が変位したときであっても、表示領域に対する対比画像の位置が維持されるようにすれば、表示領域に対して基準画像が変位したということを分かりやすく示すことが可能となる。