特許第6804212号(P6804212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804212
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】サッシ窓の気密/断熱構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20201214BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20201214BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20201214BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   E06B7/22 B
   E06B1/32
   E06B1/36 Z
   E06B1/70 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-73271(P2016-73271)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-180059(P2017-180059A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 陸義
(72)【発明者】
【氏名】山田 良
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−224518(JP,A)
【文献】 特開2001−214667(JP,A)
【文献】 特開2014−001628(JP,A)
【文献】 特開2009−221785(JP,A)
【文献】 特開2007−113289(JP,A)
【文献】 特開平09−060445(JP,A)
【文献】 特開2014−070404(JP,A)
【文献】 特開2015−214812(JP,A)
【文献】 特開2002−168059(JP,A)
【文献】 実開昭54−167535(JP,U)
【文献】 特開2005−139846(JP,A)
【文献】 特開2010−281200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 − 1/70
7/00 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えた引き違い式のサッシ窓の気密/断熱構造であって、
前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、
且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、
前記気密/断熱材が、前記複合下枠の側壁部の室外側を向く面に形成された断熱材係合溝に着脱可能に係合する係合基端部と、前記係合基端部から前記側壁部の上端部よりも上方に突出して配設される気密/断熱本体部とを備えていることを特徴とするサッシ窓の気密/断熱構造。
【請求項2】
請求項記載のサッシ窓の気密/断熱構造において、
前記気密/断熱本体部は、前記障子の下框に接触する一面が凸円弧状に形成されているサッシ窓の気密/断熱構造。
【請求項3】
建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えた引き違い式のサッシ窓の気密/断熱構造であって、
前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、
且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、
前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材の上下方向の間に隙間が設けられ、前記隙間に前記気密/断熱材が嵌合され、あるいは前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材と前記気密/断熱材で囲まれた空気層が形成され、前記隙間に断熱層が形成されていることを特徴とするサッシ窓の気密/断熱構造。
【請求項4】
建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えたサッシ窓の気密/断熱構造であって、
前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、
且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、
前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材の上下方向の間に隙間が設けられ、前記隙間に前記気密/断熱材が嵌合され、あるいは前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材と前記気密/断熱材で囲まれた空気層が形成され、前記隙間に断熱層が形成されていることを特徴とするサッシ窓の気密/断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ窓の気密/断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などの建物には、引違い窓、上げ下げ窓、FIX窓(はめ殺し窓)、外開き窓、内倒し窓、折りたたみ窓、回転窓などのそれぞれ開閉方式や機能が異なる各種サッシ窓が用いられている。
【0003】
このうち、引違い窓のサッシ窓は、建物の開口部の外周縁に枠体が固設され、開口部を開閉するように、枠体内に2枚の障子をそれぞれ左右方向にスライド移動可能に納めて構成されている。各障子は、アルミ形材や樹脂形材を用いて形成された上框と下框と左右の縦框(一方の縦框は召し合せ框)からなる方形枠状の框と、框の内部に納められたガラスパネルとを備えて形成されている。
【0004】
また、各障子は、障子の上框に断面凹部形状の案内溝が形成され、枠体の上枠に形成された上部レールに案内溝を係合させて配設されている。さらに、下框に戸車が収納され、枠体の下枠に設けられた断面凸状の下部レール上に下框及び戸車を係合させて配設されている。これにより、障子は、枠体の上部レール及び下部レースに案内されて左右方向にスライド移動可能に設けられている。
【0005】
一方、アルミ形材で中空構造の枠体3の下枠3bには、図8図9に示すように、室内側の中空部に樹脂ブリッジ材10を充填し、断熱性等を確保するようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、室内側にフローリングなどの床材との取合部を被覆するアングル材11が一体に取り付けられる。そして、このアングル材11には、アルミアングルや樹脂アングルが用いられ、このうち、樹脂アングルを用いると断熱性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−295141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のサッシ窓においては、樹脂ブリッジ材10を下枠3bの中空部に充填するため、生産性が悪いという不都合があった。また、外気温、直射日光等の影響によって樹脂ブリッジ材10に熱収縮が生じるおそれもあり、樹脂ブリッジ材10に収縮が生じてしまうと、断熱性の低下を招き、アルミ形材の下枠3bに樹脂アングル11を取り付けた周辺部分や、障子2の下框2b周辺に結露が発生しやすくなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、より好適に断熱性、気密性を確保できるサッシ窓の気密/断熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0010】
本発明のサッシ窓の気密/断熱構造は、建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えた引き違い式のサッシ窓の気密/断熱構造であって、前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、前記気密/断熱材が、前記複合下枠の側壁部の室外側を向く面に形成された断熱材係合溝に着脱可能に係合する係合基端部と、前記係合基端部から前記側壁部の上端部よりも上方に突出して配設される気密/断熱本体部とを備えていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のサッシ窓の気密/断熱構造においては、前記気密/断熱本体部は、前記障子の下框に接触する一面が凸円弧状に形成されていることがより望ましい。
【0013】
また、本発明のサッシ窓の気密/断熱構造は建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えた引き違い式のサッシ窓の気密/断熱構造であって、前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材の上下方向の間に隙間が設けられ、前記隙間に前記気密/断熱材が嵌合され、あるいは前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材と前記気密/断熱材で囲まれた空気層が形成され、前記隙間に断熱層が形成されていることを特徴とする。
本発明のサッシ窓の気密/断熱構造は、建物の開口部に取り付けられ、金属部材と樹脂部材とを連結してなる複合下枠を備えたサッシ窓の気密/断熱構造であって、前記複合下枠の金属部材は、前記サッシ窓の障子の下端部を支持する障子支持部を有し、前記樹脂部材は、前記金属部材の障子支持部よりも室内側に配設されるとともに、少なくともその一部を前記金属部材の側壁部の上端部上に配して設けられ、且つ、前記障子の下框の室内側を向く面から前記側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、前記障子の下框の室内側を向く面と前記複合下枠の前記側壁部の室外側を向く面の間に気密/断熱材が設けられており、前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材の上下方向の間に隙間が設けられ、前記隙間に前記気密/断熱材が嵌合され、あるいは前記下枠の側壁部の上端部と前記樹脂部材と前記気密/断熱材で囲まれた空気層が形成され、前記隙間に断熱層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のサッシ窓の気密/断熱構造においては、障子の下框の室内側を向く面から複合下枠の金属部材である側壁部の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインが形成されるように、障子の下框と複合下枠の側壁部の間に気密/断熱材を設けることにより、従来よりも断熱性、気密性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るサッシ窓を示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るサッシ窓の気密/断熱構造を示す断面図である。
図3図2のS1部を拡大した図である。
図4】本発明の一実施形態に係るサッシ窓の気密/断熱構造を示す断面図である。
図5図4のS2部を拡大した図である。
図6】本発明の一実施形態に係るサッシ窓の気密/断熱構造の変更例を示す断面図である。
図7図6のS3部を拡大した図である。
図8】従来のサッシ窓の気密/断熱構造を示す断面図である。
図9】従来のサッシ窓の気密/断熱構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図7を参照し、本発明の一実施形態に係るサッシ窓の気密/断熱構造について説明する。
【0017】
はじめに、本実施形態のサッシ窓Aは、例えば、アルミ樹脂複合サッシの引違い窓であり、図1に示すように、上框1a、下框1b、一方の縦框、他方の縦框(召し合せ框)からなる框(サッシ)1と、框1に外周端を保持されて窓面を形成するガラスパネル(障子)2とを備えて構成されている。
【0018】
なお、本実施形態のサッシ窓Aは、例えば2枚のガラスパネル2を框1に保持させ、複層パネルのサッシ窓として構成してもよい。また、本実施形態のサッシ窓Aは、引違い窓の他に、上げ下げ窓、外開き窓、内倒し窓、折りたたみ窓、回転窓などのそれぞれ開閉方式や機能が異なる各種サッシ窓であってもよい。
【0019】
本実施形態において、框1は、アルミ形材(アルミ部)や樹脂形材を用い、中空構造で形成されている。また、各框1は、内周側に、一対の側壁部の間に形成された係合凹部1cを設けて形成され、この係合凹部1cにガラスパネル2の外周端部を係合保持させるように構成されている。
【0020】
また、各障子2は、障子2の上框1aに断面凹部形状の案内溝が形成され、枠体3の上枠3aの上部レールに案内溝を係合させて配設されている。さらに、アルミ形材(金属部材/アルミ部)や樹脂形材(樹脂部材)を用いて形成された下枠(複合下枠)3bに、上方に開口する係合凹部が形成され、この係合凹部に下部レール(障子支持部)が突設されている。そして、下枠3bの係合凹部に戸車1dを収納し、断面凸状の下部レール上に下框1b及び戸車1dを係合させて各障子2が配設されている。これにより、障子2は、枠体3の上部レール及び下部レースに案内されて左右方向にスライド移動可能に設けられている。
【0021】
また、本実施形態では、図1図2図3(及び図4図5)に示すように、下枠3bの室内側に配され、係合凹部を形成する側壁部4には、その内面(金属部材の室外側を向く面)に断熱材係合溝5が形成されている。さらに、この側壁部4には外面にアングル係止部6が突設されている。そして、下枠3bの側壁部4のアングル係止部6に係止させて、室内側にフローリングなどの床材との取合部を被覆する樹脂製のアングル材(樹脂部材)11が一体に取り付けられている。
【0022】
また、この樹脂製のアングル材11は、下枠3bの金属部材である下部レール及び側壁部4よりも室内側に配設されるとともに、その一部を側壁部4の上端部上に配して設けられている。
【0023】
一方、本実施形態のサッシ窓Aにおいては、気密性や断熱性、水密性を確保するための気密/断熱構造Bを備えている。
【0024】
本実施形態の気密/断熱構造Bは、樹脂製の気密/断熱材7を備えて構成されている。気密/断熱材7は、下枠3bの側壁部4の室外側を向く面に形成された断熱材係合溝5に係合させて位置決め保持するための係合基端部7aと、係合基端部7aから上方に突設され、障子2の下框1bの外面と、この下框1bの外面と対向する下枠3bの側壁部4の内面との間、あるいは、障子2の下框1bの外面と、下枠3bの側壁部4の内面及び下框1bの外面と対向するアングル材11の先端部側の面11aとの間に配設され、各面に密着する気密/断熱本体部7bとを備えて形成されている。
【0025】
また、本実施形態の気密/断熱本体部7bは、障子2の下框1bの外面に接触する一面が円弧面状に形成されている。本実施形態の気密/断熱本体部7bは、下枠3bの側壁部4の内面やアングル材11の先端部側の面11aと接触する他面が下枠3bやアングル材11の平面と面接触するように平面状に形成されている。
【0026】
ここで、本実施形態の気密/断熱構造Bにおいては、図3図5に示すように、下枠3bの側壁部4の上端部とアングル材11の先端部側の下面とが当接し、面一に配設された下枠3bの側壁部4の内面(及びアングル材11の先端部側の面11a)に、気密/断熱本体部7bの平面状の他面を密着させて気密/断熱材7が設けられている。
【0027】
そして、このように、障子2の下框1bとアングル材11や下枠3bの間に気密/断熱材7を設けて気密/断熱構造Bが構成されることにより、障子2の下框1bの室内側を向く面から下枠3の側壁部4の上端部に連続して室内外間の通気を阻止する気密ラインRを形成することができる。これにより、従来よりも断熱性、気密性を向上させることが可能になる。
【0028】
また、従来と比較し、容易に気密/断熱材7を取り付けることができ、生産性/施工性を大幅に向上させることが可能になる。
【0029】
さらに、気密/断熱材7が中空部に充填配置されるのではなく、開放空間に配設されるため、外気温、直射日光等の影響によって熱収縮が生じるおそれがなく(小さく)、断熱性の低下を招く可能性を大幅に低減することが可能になる。これにより、アルミ形材の下枠3bに樹脂アングル材11を取り付けた周辺部分や、障子2の下框1b周辺に結露が発生することをより確実に抑止することが可能になる。
【0030】
さらに、気密/断熱材7を下枠3bの断熱材係合溝5に対して容易に着脱することができ、メンテナンスや交換も容易に行うことができる。これにより、長期にわたり好適に気密性、断熱性、止水性を確保することができる。
【0031】
本実施形態の気密/断熱構造Bにおいては、図6及び図7に示すように、下枠3bの側壁部4の上端部とアングル材11の先端部側の下面との間に空間(隙間)Hを設け、この空間Hを挟んで上下に並設された下枠3bの側壁部4の内面とアングル材11の先端部側の面11aとに、気密/断熱本体部7bの平面状の他面を密着させて気密/断熱材7を設けるようにしてもよい。
【0032】
このとき、上記空間Hに気密/断熱本体部7bの一部を嵌合させたり、空間Hを空気層としたり、空間Hにアングル材11と一体または別体の樹脂部を設ける。これにより、この空間H部分を断熱層として機能させることができる。
【0033】
すなわち、下枠3bの側壁部4の上端とアングル材11の先端部側の下面との間の空間Hが、下枠3bの側壁部4とアングル材11とともに気密/断熱材7によって密閉されるため、断熱層として機能する。また、空間Hを設け、気密/断熱本体部7bが側壁部4の上端部よりも上方に突出することで、図3の気密/断熱構造Bよりも、図7の気密/断熱構造Bは、気密ラインRを上方に押し上げることができる。これにより、優れた気密性、断熱性、止水性を発揮させることが可能になる。
【0034】
ここで、本実施形態では、サッシ窓Aがアルミ樹脂複合サッシであり、気密/断熱材7が、下框1bと下枠3bのアルミ部(金属部材)に接触するようにして、下框1bの室内側を向く面と下枠3bの側壁部4の室外側を向く面の間に介設(室内側に配設)されている。そして、気密/断熱材7(気密/断熱本体部7b)を上方に突出させつつ下框1bと下枠3bのアルミ部を繋ぐように設けることにより、見付方向を小さくしつつ断熱層を大きく確保できることが可能になる。
【0035】
すなわち、一般に、アルミ樹脂複合サッシは下枠3bの側壁部4がアルミでできているため、その上の樹脂アングル材11の部分を冷気が伝わり、アングル室内側上面に結露が生じやすくなる。これを防止する手法として断熱層を極力大きくすることが考えられるが、断熱層を単に大きくすると見付方向の寸法が大きくなってしまうという不都合を招く。
これに対し、本実施形態の気密/断熱構造Bでは、係合基端部7aを下方に取り付け、気密/断熱本体部7bを側壁部4の上端部よりも上方に突出させることで、見付方向を小さくしつつ断熱層を大きく確保できることが可能になる。
【0036】
以上、本発明に係るサッシ窓の気密/断熱構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 框(サッシ)
1a 上框
1b 下框
1c 係合凹部
1d 戸車
2 障子
3 枠体
3b 下枠(複合下枠)
4 側壁部(金属部材)
5 断熱材係合溝
6 アングル係止部
7 気密/断熱材
7a 係合基端部
7b 気密/断熱本体部
10 樹脂ブリッジ材
11 アングル材(樹脂部材)
A サッシ窓
B サッシ窓の気密/断熱構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9