(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボリュームデータに基づいて特定された、放射線が照射される領域である第1の領域と、照射される前記放射線の影響の有無が判定される領域である第2の領域とに基づいて、前記第1の領域に含まれる第1の点と、前記第2の領域に含まれる第2の点との2点であって、所定の条件を満たす2点を通る断面であるオブリーク断面を抽出する抽出部と、
前記オブリーク断面の画像を表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記抽出部は、前記第1の領域に含まれ、前記ボリュームデータより抽出されたアキシャル断面上の第3の点と、前記第2の領域に含まれ、前記アキシャル断面上の第4の点との2点であって、前記アキシャル断面上での距離が最小である2点のうち1点と、前記第1の点と、前記第2の点とを通る平面として、前記オブリーク断面を抽出する、医用画像処理装置。
ボリュームデータに基づいて特定された、放射線が照射される領域である第1の領域と、照射される前記放射線の影響の有無が判定される領域である第2の領域とに基づいて、前記第1の領域に含まれる第1の点と、前記第2の領域に含まれる第2の点との2点であって、所定の条件を満たす2点を通る断面であるオブリーク断面を抽出する抽出部と、
前記オブリーク断面の画像を表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記抽出部は、前記第1の点と所定の位置関係にある複数の点のうち、前記第2の点との距離が最も短い点と、前記第1の点と、前記第2の点とを通る平面として、前記オブリーク断面を抽出する、医用画像処理装置。
ボリュームデータに基づいて特定された、放射線が照射される領域である第1の領域と、照射される前記放射線の影響の有無が判定される領域である第2の領域とに基づいて、前記第1の領域に含まれる第1の点と、前記第2の領域に含まれる第2の点との2点であって、所定の条件を満たす2点を通る断面であるオブリーク断面を抽出する抽出部と、
前記オブリーク断面の画像を表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記第1の点と、前記第2の点とは、距離が最小となるように前記第1の領域及び前記第2の領域からそれぞれ選択された点であり、
第5の点と、第6の点とは、距離が2番目に小さい距離となるように前記第1の領域及び前記第2の領域からそれぞれ選択された点であり、
前記抽出部は、前記第1の点と、前記第2の点と、前記第5の点とを通る平面として、前記オブリーク断面を抽出する、医用画像処理装置。
ボリュームデータに基づいて特定された、放射線が照射される領域である第1の領域と、照射される前記放射線の影響の有無が判定される領域である第2の領域とに基づいて、前記第1の領域に含まれる第1の点と、前記第2の領域に含まれる第2の点との2点であって、所定の条件を満たす2点を通る断面であるオブリーク断面を抽出する抽出部と、
前記オブリーク断面の画像を表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1の領域と前記第2の領域とのうち少なくとも一方を含まない断面の画像を非表示にする処理である絞り込み処理を実行するよう前記表示部を制御する、医用画像処理装置。
前記所定の条件は、前記第1の領域に含まれる点と、前記第2の領域に含まれる点との距離の最小値と、前記2点の距離との差が、所定の閾値未満である旨の条件である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
前記制御部は、前記第1の点を通るサジタル断面、前記第2の点を通るサジタル断面、前記第1の点を通るコロナル断面、前記第2の点を通るコロナル断面のうち少なくとも一つの断面の画像を、前記表示部に表示させる、請求項1〜7のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を用いて、実施形態に係る(医用)画像処理装置を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1〜
図3を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置を含む全体構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置及び当該画像処理装置が接続される装置の構成を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【0010】
画像処理装置100は、モダリティ装置200、記憶装置220、表示装置250とネットワークを通じて接続され、医用情報管理システムを構成する。
【0011】
モダリティ装置200は、医療用のモダリティ装置であり、例えば被検体を撮影することにより検査を行う。ここでモダリティとは例えば医療用の機器およびこれに関連する機器や付属品などの総称である。モダリティ装置200の例としては、例えばX線CT装置、X線一般撮影装置等が挙げられる。
【0012】
記憶装置220は、モダリティ装置200が被検体に対して撮影を行うことにより取得したデータ、たとえば画像データを、記憶する記憶装置である。記憶装置220は、外部の医療画像情報記憶装置より取得した画像データを、必要に応じて記憶してもよい。記憶装置220は、撮影条件など、種々のデータを、記憶する。例えば、記憶装置220は、画像データの付帯情報として、例えばPTV及びOARに係る情報を記憶する。PTV及びOARに係る情報は、例えば、医療画像情報の一般的な規格として知られるDICOM(Digital Imaging Communication in Medicine)に従った形式で記憶装置220に記憶される。記憶装置220は、例えばメモリや電子ファイルやデータベース管理システム等の形で、それらのデータを記憶する。
【0013】
記憶装置220は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0014】
表示装置250は、画像処理装置100における処理回路150による制御のもと、画像データ等の各種の情報を表示する表示装置である。表示装置250は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0015】
画像処理装置100は、モダリティ装置200で行われた被検体の撮影に基づいて生成され、必要に応じて記憶装置220に記憶された医用画像を基に、所定の処理を行う装置である。画像処理装置100の全体構成が、
図2に示されている。
【0016】
画像処理装置100は、処理回路150、記憶回路132、入力装置134、表示装置135を備える。また、処理回路150は、抽出機能150a、制御機能150b、特定機能150c、取得機能150dを有する。これらの抽出機能150a、制御機能150b、特定機能150c、取得機能150dの各機能の詳細については、後述する。
【0017】
実施形態では、抽出機能150a及び制御機能150bにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132へ記憶されている。処理回路150はプログラムを記憶回路132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路150は、
図2の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、
図2においては単一の処理回路150にて、抽出機能150a及び制御機能150bにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0018】
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
【0019】
なお、処理回路150の有する抽出機能150a及び制御機能150bは、抽出部及び制御部の一例である。
【0020】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0021】
記憶回路132は、画像処理装置100が行う種々の処理に伴うデータ等を必要に応じて記憶する。例えば、記憶回路132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。また、処理回路150内の記憶回路132が行う処理は、画像処理装置100外の記憶装置220で代替されてもよい。
【0022】
入力装置134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。
【0023】
表示装置135は、処理回路150における制御機能150bによる制御のもと、画像データ等の各種の情報を表示する。表示装置135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。処理回路150内の表示装置135が行う処理は、画像処理装置100外の表示装置250で代替されてもよい。
【0024】
図3は、実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成を示す図である。上述した実施形態に係る信号処理装置(画像処理装置)は、CPU(Central Processing Unit)310等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)320やRAM(Random Access Memory)330等の記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信インタフェース340と、各部を接続するバス301とを備えている。
【0025】
上述した実施形態に係る画像処理装置で実行されるプログラムは、ROM320等に予め組み込まれて提供される。また、上述した実施形態に係る画像処理装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した画像処理装置の各部として機能させ得る。このコンピュータは、CPU310がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0026】
続いて、実施形態に係る背景について簡単に説明する。
【0027】
被検体に放射線を照射し治療を行う放射線治療の計画においては、放射線が照射される領域であるPTV(Planning Target Volume)と、例えば上咽頭収縮筋等、放射線の影響を受けやすい領域であるOAR(Organ at Risk)とが、一定の距離以上離れているのが望ましい。例えば、OARと、放射線が照射される量が大きいPTVであるHD(High Dose)−PTVは、所定の距離以上離れていないと、例えば体重減少等の副作用がおこることがある。
【0028】
しかしながら、PTVの調整は通常2次元画面上で行われるので、ユーザがPTVとOARの3次元上の距離を容易に把握できないことがある。加えて、患者によって腫瘍の形状・大きさ・位置が異なるので、例えばPTVの形状・大きさ・位置が異なる。また、同様に、患者によってOARの形状・大きさ・位置が異なる。また、例えばOARは、撮影断面によって大きく見え方が違う場合があり、PTVとOARの3次元上の距離が確認しにくいこともある。
【0029】
かかる背景のもと、実施形態に係る画像処理装置100は、抽出機能150aを備える。抽出機能150aは、OARとPTVとの位置関係が容易に把握可能になるような断面であるオブリーク断面を、ボリュームデータから抽出する。このような構成を備えることで、実施形態に係る画像処理装置100は、ユーザの放射線治療計画の決定を支援することができる。
【0030】
続いて、
図4〜
図12を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置100の行う処理について説明する。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置100の行う処理の手順を示したフローチャートである。
図5は、第1の実施形態に係る画像処理装置100が表示する画面の一例である。
図6〜
図12は、第1の実施形態に係る画像処理装置100の行う処理を説明した図である。
【0032】
はじめに、処理回路150は、取得機能150dにより、モダリティ装置200による撮像結果に基づいて生成され、記憶装置220に保存されたボリュームデータを取得する。続いて、処理回路150は、取得したボリュームデータから、特定機能150cにより、放射線が照射される領域である第1の領域(PTV)を特定する(ステップS100)。また、処理回路150は、取得したボリュームデータから、特定機能150cにより、放射線の影響の有無を判定する対象の領域である第2の領域(OAR)を特定する(ステップS110)。
【0033】
ここで、PTV及びOARに係る情報は、医用画像に係る付帯情報として、取得されたボリュームデータに紐付けられて、記憶装置220に保存されていてもよい。かかる場合、処理回路150は、記憶装置220から、PTV及びOARに係る情報を取得することにより、第1の領域(PTV)及び第2の領域(OAR)を特定する。また、別の例として、PTV及びOARは、モダリティ装置200による撮像結果に基づいて生成され、記憶装置220に保存されたボリュームデータに対して、例えば所定の画像処理手法を用いることにより、自動的に生成されてもよい。また、別の例として、PTV及びOARは、ユーザから領域の範囲の選択の入力を受け付けることにより決定されてもよい。また、別の例として、PTV及びOARは、あらかじめ定められた候補から所定のPTVやOARを選択する操作をユーザから受け付けることにより、特定されてもよい。
【0034】
かかる選択の操作に係る画面の一例が、
図5に示されている。
図5は、ユーザがPTV及びOARの決定を行うのを支援するために画像処理装置100が表示装置135に表示する画面の一例である。ボタン11aは、ユーザがPTVの設定を行うためのプルダウンメニューを表示するためのボタンである。ボタン11bは、ユーザがOARの設定を行うためのプルダウンメニューを表示するボタンである。ボタン11cは、OARが複数ある場合、ユーザが2番目のOARの設定を行うためのプルダウンメニューを表示するボタンである。この時、ボタン11bを用いて、ユーザは1番目のOARの設定を行う。ボタン12は、ユーザがPTV/OARの設定を確定するためのボタンである。
【0035】
例えば、処理回路150は、ボタン11aを通じて、PTVが、識別子「HD(High−Dose)−PTV1」で表されるPTVである旨の入力を受け付け、その結果がボタン12により確定されると、特定機能150cにより、識別子「HD(High−Dose)−PTV1」に対応するPTVの領域を、ボリュームデータの中から特定する。また、例えば、処理回路150は、ボタン11bを通じて、OARが、識別子「Superior_Constrictor」(上咽頭収縮筋)で表されるOARである旨の入力を受け付け、その結果がボタン12により確定されると、特定機能150cにより、識別子「Superior_Constrictor」に対応するOARの領域を、ボリュームデータの中から特定する。また、OARが複数ある場合、ボタン11cを通じて、2番目のOARが、識別子「Larynx」(咽頭)で表されるOARである旨の入力を受け付け、その結果がボタン12により確定されると、特定機能150cにより、識別子「Larnx」に対応するOARの領域を、ボリュームデータの中から特定する。
【0036】
なお、かかる画面を用いて、ユーザは、PTVやOARの大きさ等を設定/変更することが可能である。また、かかる画面を用いて、ユーザは、対象とするPTVやOARの数についても設定/変更することが可能である。
【0037】
図6は、ステップS120の処理について説明した図である。
図6において、PTV1はPTVを表す。OAR2はOARを表す。点3は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点4は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、OAR2側の点を表す。
【0038】
処理回路150は、特定機能150cにより、第1の領域(PTV1)に含まれる第1の点と、第2の領域(OAR2)に含まれる第2の点との2点であって、所定の条件を満たす2点を特定する。ここで、所定の条件とは、例えば、第1の領域に含まれる点と、第2の領域に含まれる点との距離の最小値と、2点の距離との差が、所定の閾値未満である旨の条件である。換言すると、例えば、処理回路150は、特定機能150cにより、第1の領域(PTV1)に含まれる第1の点と、第2の領域(OAR2)に含まれる第2の点の組み合わせのうち、距離が最小になるもの(
図6の点3及び点4)を特定する(ステップS120)。
【0039】
このステップは、例えば、次のように実行される。処理回路150は、抽出機能150aにより、ボリュームデータから、PTV1の輪郭点(
図6におけるP
1、P
2、…、P
m)を抽出する。また、処理回路150は、抽出機能150aにより、ボリュームデータから、OAR2の輪郭点(
図6におけるO
1、O
2、…O
n)を抽出する。続いて、処理回路150は、PTV1の輪郭点(P
1、P
2、…、P
m)と、OAR2の輪郭点(O
1、O
2、…O
n)との合計m×n個の組み合わせについて、距離を算出する。続いて、処理回路150は、特定機能150cにより、算出した距離の最小値を求め、最小値を与えるPTV1の輪郭点である点3と、OAR2の輪郭点である点4とを特定する。
【0040】
ここで算出される距離は、例えば3次元ユークリッド距離であるが、実施形態はこれに限られず、例えばマンハッタン距離等他の距離を用いて距離が最小になる輪郭点が特定されてもよい。
【0041】
図7において、被検体Pは、被検体を表す。PTV1はPTVを、OAR2はOARを表す。直線5は、PTV1とOAR2との距離を観察するのに適した断面であるオブリーク断面6の軸を構成する直線である。直線5は、点3および点4を通る。必要に応じて、処理回路150は、特定機能150cにより、ステップS120で特定された2点(点3と点4)を通る直線5を特定する。
図7に示されているように、直線5は、オブリーク断面6の軸を構成する。
【0042】
続いて、処理回路150は、特定機能150cにより、オブリーク断面6を構成する点である第3の点を特定する(ステップS120)。
【0043】
かかる操作が、
図8に示されている。
図8の左図において、アキシャル断面19は、現在設定中のアキシャル断面(ユーザに表示中のアキシャル断面)を表す。PTV13hは、アキシャル断面19におけるPTVの領域を表す。OAR12eは、アキシャル断面19におけるOARの領域を表す。
図8の右図において、PTV1は、PTVの領域を表す。OAR2は、OARの領域を表す。点3は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点4は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、OAR2側の点を表す。直線5は、オブリーク断面の軸を構成する直線である。点20及び点21は、アキシャル断面19上で最短距離となる2点のペアのうち、それぞれPTV1側の点及びOAR2側の点を表す。平面25は、回転操作を行う前のオブリーク断面の一例である。
【0044】
処理回路150は、例えば、制御機能150bにより、ボリュームデータより抽出されたアキシャル断面19を表示装置135に表示させる。さらに、処理回路150は、特定機能150cにより、アキシャル断面19上の第3の点として、点20を特定する。具体的には、処理回路150は、特定機能150cにより、第1の領域(PTV1)に含まれ、アキシャル断面19上の第3の点と、第2の領域(OAR2)に含まれ、アキシャル断面19上の第4の点との2点であって、アキシャル断面上の距離が最小である2点(点20及び点21)のうちの1点である点20を特定する。
【0045】
続いて、処理回路150は、例えば、抽出機能150aにより、ステップS130で特定された第3の点である点20と、第1の点である点3と、第2の点である点4とを通る平面として、オブリーク断面を抽出する(ステップS140)。例えば、処理回路150は、抽出機能150aにより、与えられた3点を通る平面の方程式を導出することにより、オブリーク断面を抽出する。別の方法として、処理回路150は、例えば、回転操作を行う前の断面である平面25が、点20を含むように、直線5を軸にして、平面25を、断面回転角度ωだけ回転させて、オブリーク断面を抽出する。
【0046】
続いて、
図9及び
図10を用いて、ステップS150の処理について説明する。
図9において、PTV1はPTVを表す。OAR2はOARを表す。点3は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点4は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、OAR2側の点を表す。直線5は、PTV1とOAR2との距離を観察するのに適した断面であるオブリーク断面の軸を構成する直線であり、点3及び点4を通る。アキシャル断面10は、点3及び点4を通るアキシャル断面である。アキシャル軸11aは、点3を通り、アキシャル断面10に垂直なアキシャル軸である。アキシャル軸11bは、点4を通り、アキシャル断面10に垂直なアキシャル軸である。
【0047】
図10において、PTV1はPTVを表す。OAR2はOARをあらわす。アキシャル断面16aは、現在の設定におけるアキシャル断面を表す。オブリーク断面16dは、PTV1とOAR2との距離を観察するのに適した断面であるオブリーク断面である。直線5は、オブリーク断面16dの軸を構成する直線である。サジタル軸14aは、サジタル軸(OAR側)を表す。サジタル軸14bは、サジタル軸(PTV側)を表す。コロナル軸15aは、コロナル軸(PTV側)を表す。コロナル軸15bは、コロナル軸(OAR側)を表す。
【0048】
サジタル断面16bは、サジタル軸14b及びアキシャル軸11aによりなる面である。コロナル断面16cは、コロナル軸15a及びアキシャル軸11aによりなる面である。サジタル断面16eは、サジタル軸14a及びアキシャル軸11bによりなる面である。コロナル断面16fは、コロナル軸15b及びアキシャル軸11bによりなる面である。
【0049】
PTV13a及びPTV13bは、サジタル断面16bにおけるPTVの領域を表す。PTV13cは、コロナル断面16cにおけるPTVの領域を表す。OAR12aは、コロナル断面16cにおけるOARの領域を表す。PTV13aは、オブリーク断面16dにおけるOARの領域を表す。OAR12bは、オブリーク断面16dにおけるPTVの領域を表す。OAR12cは、サジタル断面16eにおけるOARの領域を表す。PTV13e及びPTV13fは、サジタル断面16eにおけるOARの領域を表す。OAR12dは、コロナル断面16fにおけるOARの領域を表す。PTV13gは、コロナル断面16fにおけるPTVの領域を表す。
【0050】
処理回路150は、例えば、抽出機能150aにより、サジタル断面及びコロナル断面を抽出する(ステップS150)。一例として、
図9に示されているように、処理回路150は、抽出機能150aにより、点3を通り、アキシャル断面10に垂直なアキシャル軸11aを抽出する。また、処理回路150は、抽出機能150aにより、点4を通り、アキシャル断面10に垂直なアキシャル軸11bを抽出する。
【0051】
一方、
図10のアキシャル断面画像により示されているように、処理回路150は、抽出機能150aにより、第1の点である点3を通るサジタル軸14b、コロナル軸15aを抽出する。また、処理回路150は、抽出機能150aにより、第2の点である点4を通るサジタル軸14a、コロナル軸15bを抽出する。
【0052】
続いて、処理回路150は、抽出機能150aにより、第1の点である点3を通るサジタル断面16bを、サジタル軸14b及びアキシャル軸11aに基づいて抽出する。処理回路150は、抽出機能150aにより、第1の点である点3を通るコロナル断面16cを、コロナル軸15a及びアキシャル軸11aに基づいて抽出する。処理回路150は、抽出機能150aにより、第2の点である点4を通るサジタル断面16eを、サジタル軸14a及びアキシャル軸11bに基づいて抽出する。処理回路150は、抽出機能150aにより、第2の点である点4を通るコロナル断面16fを、コロナル軸15b及びアキシャル軸11bに基づいて抽出する。
【0053】
続いて、処理回路150は、ステップS140で抽出したオブリーク断面、ステップS150で抽出したサジタル断面、コロナル断面等を、表示装置135に表示させる(ステップS160)。例えば、
図10に示されているように、処理回路150は、オブリーク断面16dの画像を、表示装置135に表示させる。処理回路150は、第1の点である点3を通るサジタル断面16bの画像を、表示装置135に表示させる。処理回路150は、第2の点である点4を通るサジタル断面16eの画像を、表示装置135に表示させる。処理回路150は、第1の点である点3を通るコロナル断面16cの画像を、表示装置135に表示させる。処理回路150は、第2の点である点4を通るコロナル断面16fの画像を、表示装置135に表示させる。これらの画像は、例えばMPR(multi planar reconstruction)画像である。処理回路150は、入力装置134を通じて、表示された画像を見たユーザから、PTVの範囲の再設定に関する情報の入力を受け付ける。これにより、実施形態に係る画像処理装置100は、放射線治療計画の決定を支援することができる。
【0054】
実施形態は上述の例に限られない。ステップS130において、処理回路150は、別の方法により、ステップS140で抽出されるオブリーク断面を抽出するための第3の点の位置を特定してもよい。
【0055】
図11において、PTV1は、PTVの領域を表す。OAR2は、OARの領域を表す。点3は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点4は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、OAR2側の点を表す。直線5は、オブリーク断面の軸を構成する直線である。点30及び点40は、距離が2番目に近い2点のペアのうち、それぞれPTV1側の点及びOAR2側の点を表す。
【0056】
この場合、例えば、第5の点である点30と、第6の点である点31とは、距離が2番目に小さい距離となるように第1の領域(PTV1)及び第2の領域(OAR2)からそれぞれ選択された点である。処理回路150は、ステップS130において、第5の点である点30を、
図4のフローチャートにおける第3の点としてもよい。かかる場合、ステップS140において、処理回路150は、抽出機能150aにより、第1の点である点3と、第2の点である点4と、第5の点である点30とを通る平面として、オブリーク断面16dを抽出する。なお、前述したように、第1の点と、第2の点とは、距離が最小となるように第1の領域(PTV1)及び第2の領域(OAR2)からそれぞれ選択された点である。
【0057】
なお、ここで、「第5の点である点30と、第6の点である点31とが、距離が2番目に小さい距離となる」とは、具体的に以下を指す。すなわち、第5の点である点30は、第1の領域(PTV1)の輪郭上の複数の第7の点(例えば、
図6のP
1…P
m)のうちの一つである。また、第6の点である点31は、第2の領域(OAR2)の輪郭上の複数の第8の点(例えば、
図6のO
1…O
n)のうちの一つである。「第5の点である点30と、第6の点である点31とが、距離が2番目に小さい距離となる」とは、点30と点31の組み合わせが、複数の第7の点であるP
1…P
mのうち一つの点と、複数の第8の点であるO
1…O
nのうち一つの点とが取りうる距離のうち、2番目に小さい距離であることを意味する。
【0058】
また、ステップS130における第3の点を特定するための別の例が、
図12に示されている。
【0059】
図12において、PTV1は、PTVの領域を表す。OAR2は、OARの領域を表す。点3は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点4は、PTV1とOAR2との最短距離に係る直線の、OAR2側の点を表す。直線5は、オブリーク断面の軸を構成する直線である。点3a、点3b、点3c、点3d、点3e、点3f、点3g、点3hは、第1の点である点3と所定の位置関係にある複数の点を指す。これらの点は、具体的には、第3の点である点3の近傍にある点である。
【0060】
かかる場合、処理回路150は、ステップS130において、抽出機能150aにより、第1の点と所定の位置関係にある複数の点のうち、第2の点との距離が最も短い点を、第3の点として抽出する。具体的には、処理回路150は、ステップS130において、抽出機能150aにより、第1の点である点3の近傍点であるという位置関係にある複数の点P
2、P
3、…P
9のうち、第2の点である点4との距離が最も短い点を、第3の点として抽出する。続いて、処理回路150は、ステップS140において、第1の点である点3と、第2の点である点4と、抽出した第3の点とを通る平面として、オブリーク断面16dを抽出する。
【0061】
実施形態はこれらに限られない。ステップS160において、処理回路150は、所定の断面、例えばサジタル断面16eを、非表示にしてもよい。かかる場合、非表示にする断面については、例えばユーザが設定ファイルを用いることにより変更することができる。
【0062】
以上のように、第1の実施形態に係る医用画像処理装置(画像処理装置100)によれば、ユーザがPTVとOARとの3次元的な位置関係、例えば両者の距離を容易に把握することができる。これにより、画像処理装置100は、放射線治療計画の決定を支援することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、PTV及びOARが一つの場合を中心に説明した。第2の実施形態では、PTVまたはOARが2以上である場合について、
図14〜
図17を適宜参照しながら、
図13を用いて説明する。
図13は、第2の実施形態に係る画像処理装置の行う処理の手順を示したフローチャートである。
図14〜
図16は、第2の実施形態に係る画像処理装置の行う処理を説明した図である。
図17は、第2の実施形態に係る画像処理装置が表示する画面の一例である。
【0064】
はじめに、処理回路150は、例えば
図5で説明したユーザインタフェースを用いて、入力装置134を通じて、PTV及びOARの設定に関する入力を受け付ける。続いて、処理回路150は、抽出機能150aにより、所定の条件を満たさないPTV−OARのペアを抽出する(ステップS200)。ここで、所定の条件とは、例えば、PTVとOARとの(最小)距離が、所定の閾値未満であるという条件である。
【0065】
かかる状況について、
図14に説明されている。PTV1a及びPTV1bは、PTVの領域を表す。OAR2a及びOAR2bは、OARの領域を表す。点6a及び点6bは、PTV1aとOAR2aとの最短距離に係る直線の、それぞれPTV1a側及びOAR2a側の点を表す。同様に、点6g及び点6hは、PTV1aとOAR2bとの最短距離に係る直線の、それぞれPTV1a側及びOAR2b側の点を表す。点6d及び点6cは、PTV1bとOAR2aとの最短距離に係る直線の、それぞれPTV1b側及びOAR2a側の点を表す。点6e及び点6fは、PTV1bとOAR2bとの最短距離に係る直線の、それぞれPTV1b側及びOAR2b側の点を表す。
【0066】
ここで、前述の所定の条件の例として、例えば、PTV1aとOAR2aとの距離は、sqrt(200)mm未満でないことを要し、PTV1aとOAR2bとの距離は、sqrt(300)mm未満でないことを要し、PTV1bとOAR2aとの距離は、sqrt(200)mm未満でないことを要し、PTV1bとOAR2bとの距離は、sqrt(300)mm未満でないことを要するものとする。また、点6aと点6bとの距離は、sqrt(150)mmであり、点6hと点6gとの距離は、sqrt(1125)mmであり、点6dと点6cとの距離は、sqrt(650)mmであり、点6eと点6fとの距離は、sqrt(200)mmであるとものとする。OAR2aは、例えば上咽頭収縮筋であり、OAR2bは、例えば耳下腺である。
【0067】
ここで、
図14において、PTV1aとOAR2aとの距離は、点6aと点6bとの距離が所定の閾値未満であるので、PTV1aとOAR2aは、所定の条件を満たさないPTV−OARのペアとなる。また、PTV1bとOAR2bとの距離は、点6eと点6fとの距離が所定の閾値未満であるので、PTV1bとOAR2bは、所定の条件を満たさないPTV−OARのペアとなる。一方、PTV1bとOAR2aとの距離は、点6dと点6cとの距離が所定の閾値を超えるので、PTV1bとOAR2aは、所定の条件を満たすPTV−OARのペアとなる。また、PTV1aとOAR2bとの距離は、点6hと点6gとの距離が所定の閾値を超えるので、PTV1aとOAR2bは、所定の条件を満たすPTV−OARのペアとなる。
【0068】
続いて、処理回路150は、抽出機能150aにより、抽出したPTV−OARのペアそれぞれについて、第1の実施形態で述べたのと同様の手順を用いて、オブリーク断面6を抽出する(ステップS210)。第2の領域(OAR)が複数の領域で構成される場合、第2の領域は、複数の領域の和集合となる。ステップS200で抽出されるPTV−OARペアが複数ある場合、処理回路150は、抽出機能150aにより、複数のオブリーク断面を抽出する。例えば、
図14の例では、処理回路150は、OAR2a及びPTV1aに係るオブリーク断面と、OAR2b及びPTV1bに係るオブリーク断面との2つのオブリーク断面を抽出する。
【0069】
なお、ステップS210において、処理回路150は、抽出機能150aにより、複数の領域の位置関係に基づいて、第1の実施形態で説明した、オブリーク軸以外の点である第3の点を特定し、特定した結果に基づいて、オブリーク断面6を抽出してもよい。かかる場合の具体例が、
図15に示されている。
【0070】
図15において、PTV1は、PTVの領域を表す。OAR40a、OAR40b、OAR40cは、OARの領域を表す。直線44は、PTV1とOAR40aとの最短距離に係る直線を表す。点41は、直線44の、PTV1側の点を表す。点42は、直線44上の、OAR側の点を表す。点43は、PTV1とOAR40bとの最短距離に係る直線のうち、OAR側の点を表す。点45は、PTV1とOAR40cとの最短距離に係る直線のうち、OAR40c側の点を表す。点47は、PTV1とOAR40cとの最短距離に係る直線のうち、PTV1側の点を表す。
【0071】
処理回路150は、抽出機能150aにより、最短のPTV−OARペアに関係するOAR以外のOAR(例えば、OAR40b、OAR40c)の中で、PTV1側の輪郭店である点41とOARとの距離が最短となるOARの点を、第3の点として特定する。例えば、
図15においては、PTV−OARペアに関係するOAR以外のOARは、OAR40b及びOAR40cである。PTV1の点41とOAR40bとの距離(点41と点43の距離)は、PTV1の点41とOAR40cとの距離(点41と点45の距離)に比較して小さいから、点43が、点41とOARとの距離が最短となるOARの点となる。
【0072】
続いて、処理回路150は、点41と点43との距離が、所定の条件を満たしているか否かを判定する。点41と点43との距離が、所定の条件を満たしてない場合(所定の閾値未満である場合)、処理回路150は、抽出機能150aにより、点41と、点42と、点43とを通る平面を、オブリーク断面6として抽出する。加えて、点41と点43との距離が、所定の条件を満たしていない場合、処理回路150は、抽出機能150aにより、点41と、点42と、他の一点(例えば、第1の実施形態で説明した方法で算出された一点)とを通る平面を、さらなるオブリーク断面として抽出してもよい。一方、点41と点43との距離が、所定の条件を満たしている場合、(所定の閾値未満でない場合)、処理回路150は、点41と、点42と、他の一点(例えば、第1の実施形態で説明した方法で算出された一点)とを通る平面を、オブリーク断面6として抽出する。
【0073】
なお、実施形態はこれに限られない。処理回路150は、抽出機能150aにより、最短のPTV−OARペアに関係するOAR以外のOAR(例えば、OAR40b、OAR40c)の中で、PTVとOARとの距離が最短となるOARの点を、第3の点として特定する。例えば、
図15においては、PTV−OARペアに関係するOAR以外のOARは、OAR40b及びOAR40cである。PTV1とOAR40bとの距離(点41と点43の距離)は、PTV1とOAR40cとの距離(点47と点45の距離)に比較して小さいから、点43が、点41とOARとの距離が最短となるOARの点となる。処理回路150は、抽出機能150aにより、点41と、点42と、点43とを通る平面を、オブリーク断面6として抽出する。
【0074】
続いて、処理回路150は、抽出機能150aにより、抽出したペアそれぞれについて、サジタル断面及びコロナル断面を抽出する(ステップS220)。かかる状況が、
図16に示されている。
【0075】
図16において、PTV1はPTVを表す。OAR40a及びOAR40bはOARを表す。点41は、PTV1とOAR40aとの最短距離に係る直線の、PTV1側の点を表す。点42は、PTV1とOAR40aとの最短距離に係る直線の、OAR40a側の点を表す。点43は、PTV1とOAR40bとの最短距離に係る直線の、OAR40b側の点を表す。直線44は、PTV1とOAR40aとの距離を観察するのに適した断面であるオブリーク断面の軸を構成する直線であり、点41及び点42を通る。アキシャル断面50は、点41及び点42を通るアキシャル断面である。アキシャル軸51は、点41を通り、アキシャル断面50に垂直なアキシャル軸である。アキシャル軸52は、点42を通り、アキシャル断面50に垂直なアキシャル軸である。アキシャル軸53は、点43を通り、アキシャル断面50に垂直なアキシャル軸である。
【0076】
第1の実施形態と同様に、処理回路150は、抽出機能150aにより、点41を通るアキシャル軸51を基に、サジタル断面及びコロナル断面を抽出する。また、処理回路150は、抽出機能150aにより、点42を通るアキシャル軸52を基に、サジタル断面及びコロナル断面を抽出する。これに加えて、第2の実施形態では、複数のOARを考慮して、最短距離のPTV−OARペアに係るOAR以外のOARであるOAR40b上の点43を通るアキシャル軸53を基に、第1の実施形態で説明したのと同様な手順で、サジタル断面及びコロナル断面を抽出しても良い。
【0077】
続いて、処理回路150は、ステップS210で抽出したオブリーク断面、ステップS220で抽出したサジタル断面及びコロナル断面を、表示装置135に表示させる。この際、処理回路150は、PTV−OARペアの距離が閾値未満である場合、所定の情報を表示装置135に表示させてもよい。例えば、処理回路150は、PTV−OARペアの距離が閾値未満である場合、画像タイトルの色を変更して、表示装置135に表示させる。また、別の例として、処理回路150は、PTV−OARペアの距離が閾値未満である場合、その旨を文字で、表示装置135に表示させる。かかる例が、
図17に示されている。なお、
図17は、便宜的にPTV及びOARが1つである場合について説明しているが、PTV又はOARが複数の場合でも、同様の処理を行うことができる。
【0078】
図17において、表示領域60は、現在設定されているPTV−OARマージンをユーザに表示するための表示領域である。表示領域61aは、表示されている画面がアキシャル画面である旨をユーザに表示するための表示領域である。表示領域61b、表示領域61c、表示領域61d、表示領域61e、表示領域61fは、表示されている画面についての情報をユーザに表示するための表示領域である。
【0079】
PTV1はPTVを表す。OAR2はOARをあらわす。PTV13a、PTV13b、PTV13e、PTV13fは、サジタル面におけるPTVの領域を表す。OAR12cは、サジタル面におけるOARの領域を表す。PTV13c及びPTV13gは、コロナル面におけるPTVの領域を表す。OAR12a及びOAR12cは、コロナル面におけるOARの領域を表す。PTV13aは、オブリーク断面におけるPTVの領域を表す。OAR12bは、オブリーク断面におけるOARの領域を表す。これらの断面の画像については、
図10と同様である。
【0080】
処理回路150は、制御機能150bにより、例えば現在設定されているPTV−OARの距離が1.2cmであり、基準値の1.6cm未満である場合、表示領域60を通じて、表示装置135に、「現在設定されているPTV−OARマージンは1.2cmで1.6cm以下です!」と表示させる。また、処理回路150は、制御機能150bにより、この時、関連する表示領域61a〜61fにおける表示色を、通常時の「黒色」から、「赤色」に変更して、表示装置135に表示させる。
【0081】
また、複数のPTV−OARのペアについて、PTV−OARペアの距離が閾値未満である場合、処理回路150は、制御機能150bにより、おのおののPTV−OARペアについて、表示領域60を通じて、表示装置135に、所定の警告を表示させる。例えば、処理回路150は、制御機能150bにより、
図14の例においては、「現在設定されているPTV1aとOAR2aとの距離は、1.22cmで1.41cm未満です!」「現在設定されているPTV1bとOAR2bとの距離は1.41cmで1.73cm未満です!」と表示する。また、処理回路150は、制御機能150bにより、関連する画像に係る表示色を、通常時の「黒色」から、「赤色」に変更して、表示装置135に表示させる。
【0082】
以上のように、第2の実施形態に係る医用画像処理装置(画像処理装置100)によれば、ユーザがPTVとOARとの3次元的な位置関係、例えば両者の距離を、PTVまたはOARが複数の場合でも、容易に把握することができる。これにより、画像処理装置100は、放射線治療計画の決定をより効率的に支援することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、PTV又はOARが複数である場合について説明した。第3の実施形態では、
図19〜
図23を適宜参照しながら、
図18を用いて、不要な断面を非表示にする処理である絞り込み処理を行う場合について説明する。
図18は、第3の実施形態に係る画像処理装置の行う処理の手順を示したフローチャートである。
図19は、第3の実施形態に係る画像処理装置が表示する画面の一例である。
図20〜
図22は、第3の実施形態に係る画像処理装置の行う処理を説明した図である。
図23は、第3の実施形態に係る画像処理装置が表示する画面の一例である。なお、
図18では、PTV又はOARが複数である場合について説明するが、実施形態はこれに限られず、PTV及びOARは一つであってもよい。
【0084】
処理回路150は、第2の実施形態と同様に、
図18におけるステップS200〜ステップS220の処理を行う。これらの処理は、第2の実施形態で説明したので説明は省略する。続いて、処理回路150は、制御機能150bにより、ステップS220で抽出したサジタル断面及びコロナル断面について、それらを非表示にするか否かを判定する操作である絞り込み判定処理を行う(ステップS300)。
【0085】
かかる絞り込み判定処理について、
図19〜
図21を用いて説明する。
【0086】
図19において、PTV1はPTVの領域を表す。OAR2はOARの領域を表す。直線5は、PTV1とOAR2の最短距離に係る直線を表す。点3及び点4は、直線5のうち、PTV1側の点及びOAR2側の点を表す。サジタル軸70aは、点4を通るサジタル軸を表す。サジタル軸70bは、点3を通るサジタル軸を表す。コロナル軸71aは、点4を通るコロナル軸を表す。コロナル軸71bは、点3を通るコロナル軸を表す。PTV73aは、オブリーク断面上でのPTVの領域を表す。OAR74aは、オブリーク断面上でのOARの領域を表す。PTV73bは、コロナル軸71bに係るコロナル平面におけるPTVの領域を表す。OAR74bは、コロナル軸71bに係るコロナル平面におけるOARの領域を表す。PTV73cは、コロナル軸71aに係るコロナル平面におけるPTVの領域を表す。OAR74cは、コロナル軸71aに係るコロナル平面におけるOARの領域を表す。
【0087】
図20において、PTV1、PTV80はPTVの領域を表す。また、OAR2、OAR82はOARの領域を表す。サジタル軸70a、サジタル軸70b、サジタル軸90a、サジタル軸90bはサジタル軸を表す。
図20の上の図(Case A)と、
図20の下の図(Case B)とでは、PTV及びOARの形が異なっている。
【0088】
図21において、PTV1、PTV80はPTVの領域を表す。また、OAR2、OAR82はOARの領域を表す。コロナル軸91a、コロナル軸91b、コロナル軸92a、コロナル軸92bはコロナル軸を表す。
図20の上の図(Case A)と、
図20の下の図(Case B)とでは、PTV及びOARの位置関係が異なっている。
【0089】
図19を参照すると、アキシャル断面、オブリーク断面、コロナル断面については、一つの断面の中に、PTV及びOARの両方が表れている。従って、
図19のアキシャル断面、オブリーク断面、コロナル断面については、PTV及びOARの両方が表れているため、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立つ断面であると判定し、これらの断面は非表示にしない旨判定する。
【0090】
一方、
図20の上の図(Case A)の場合、サジタル軸70aに係るサジタル断面の中には、OAR2のみが表れ、PTV1は表れない。従って、サジタル軸70aに係るサジタル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。また、サジタル軸70bに係るサジタル断面の中には、PTV1のみが表れ、OAR2は表れない。従って、サジタル軸70bに係るサジタル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。
【0091】
一方、
図20の下の図(Case B)の場合、サジタル軸90aに係るサジタル断面の中には、PTV80のみが表れ、OAR82は表れない。従って、サジタル軸90aに係るサジタル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。一方、サジタル軸90aに係るサジタル断面の中には、PTV80及びOAR82の両方が表れる。従って、サジタル軸90aに係るサジタル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立つ断面であると判定し、この断面は非表示にしない旨判定する。
【0092】
図21の上の図(Case A)の場合、コロナル軸91bに係るコロナル断面の中には、OAR2のみが表れ、PTV1は表れない。従って、コロナル軸91bに係るコロナル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。また、コロナル軸91aに係るコロナル断面の中には、PTV1のみが表れ、OAR2は表れない。従って、コロナル軸91aに係るコロナル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。
【0093】
一方、
図21の下の図(Case B)の場合、コロナル軸92bに係るコロナル断面の中には、PTV80のみが表れ、OAR82は表れない。従って、コロナル軸92bに係るコロナル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立たない断面であると判定し、この断面は非表示にする旨判定する。一方、コロナル軸92aに係るコロナル断面の中には、PTV80及びOAR82の両方が表れる。従って、コロナル軸92aに係るコロナル断面については、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARの位置関係把握に役立つ断面であると判定し、この断面は非表示にしない旨判定する。
【0094】
続いて、処理回路150は、制御機能150bにより、ステップS210及びステップS220において抽出した断面のうち、ステップS300の絞り込み判定処理により非表示にすると判定した断面以外の断面を表示装置135に表示させる(ステップS310)。換言すると、処理回路150は、制御機能150bにより、第1の領域(PTV)と第2の領域(OAR)とのうち少なくとも一方を含まない断面の画像を非表示にする処理である絞り込み処理を実行するよう表示装置135を制御する。続いて、表示装置135に表示された断面の画像を基に、ユーザはPTVの調整を行う。これにより、画像処理装置100は、放射線治療計画の決定を支援することができる。
【0096】
ステップS300において、処理回路150は、PTVまたはOARが複数ある場合、PTV−OARが最短距離となる組み合わせに係るPTV、OAR以外のPTV、OAR以外の位置関係を考慮して、絞り込み判定処理を行ってもよい。かかる場合の処理の例については、
図22に示されている。
【0097】
図22において、PTV96a、PTV96bはPTVの領域を表す。また、OAR95a、OAR95bはOARの領域を表す。ここで、PTV96bとOAR95aとが、PTV−OARが最短距離となる組み合わせである。線分97aは、OAR95aとPTV96aとの距離を表す。線分97bは、PTV96bとOAR95bとの距離を表す。
【0098】
まず、最短距離となる組み合わせ(PTV96b及びOAR95a)以外のPTV、OAR以外の位置関係を考慮しない場合を考える。かかる場合、
図22の点線で示されたサジタル軸に係るサジタル断面については、PTV96b及びOAR95bが一断面で両方は表れないため、処理回路150は、そのようなサジタル断面については、非表示にすると判定する。しかしながら、PTV96b及びOAR95b、あるいはOAR95a及びPTV96aが一断面で両方表れるので、処理回路150は、所定の条件のもと、そのような断面については、非表示にしないと判定する。具体的には、処理回路150は、制御機能150bにより、OAR95aとPTV96aとのマージン(線分97a)が所定の閾値未満であるときには、対応する断面について、非表示にしない旨判定する。また、処理回路150は、制御機能150bにより、OAR95bとPTV96bとのマージン(線分97b)が所定の閾値未満であるときには、対応する断面について、非表示にしない旨判定する。
【0099】
また、実施形態は上述の例に限られない。処理回路150は、ユーザから、絞り込み処理を行うか否かの入力を受け付けても良い。かかる表示画面は、
図23に示されている。
図23は、第3の実施形態に係る画像処理装置が表示する画面の一例である。
図23において、ダイヤログボックス98は、ユーザから、表示するMPR画像の絞り込みを行うか否かについての入力を受け付けるためのダイヤログボックスである。ボタン99aは、絞り込みを行う旨の入力を受け付けるためのボタンである。ボタン99bは、絞り込みを行わない旨の入力を受け付けるためのボタンである。ボタン99cは、受け付けた入力を確定するためのボタンである。
【0100】
ステップS300の前までに、ユーザがボタン99a及びボタン99cをクリックすると、処理回路150は、絞り込みを行う旨の入力を受け付ける。かかる場合、処理回路150は、ステップS220及びステップS230の処理を実行する。一方、ユーザがボタン99b及びボタン99cをクリックした場合、処理回路150は、絞り込みを行わない旨の入力を受け付ける。かかる場合、処理回路150は、ステップS220及びステップS230の処理を実行しない。
【0101】
また、処理回路150は、制御機能150bにより、予め設定された設定ファイルに設定された情報に基づいて、絞り込み処理を実行するか否かを決定してもよい。
【0102】
また、ステップS300において、処理回路150は、制御機能150bにより、PTVとOARのどちらか一方しか現れない(重複しない)場合だけではなく、PTVとOARのうち片方の面積が小さい(重複の度合いが低い)場合においても、そのような断面を非表示にすると判定してもよい。
【0103】
(プログラム)
上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の画像処理装置100による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RW等)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の画像処理装置100と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0104】
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0105】
更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0106】
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0107】
なお、実施形態における画像処理装置100は、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
【0108】
また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0109】
以上のように、少なくとも一つの実施形態の画像処理装置100によれば、放射線治療計画の決定を支援することができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。