(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前面側LCDパネルと後面側LCDパネルとを2枚重ねることで構成され、バックライト光が前記後面側LCDパネル、前記前面側LCDパネルの順で透過することにより画像表示を行う画像表示装置であって、
第1コントローラと第2コントローラを備え、
前記第2コントローラは、入力RGB画像信号に対してグレー画像信号を生成した後、当該グレー画像信号を基にした信号から出力グレー画像信号を生成し、当該出力グレー画像信号を前記後面側LCDパネルに対して供給し、
前記第1コントローラは、前記グレー画像信号を基にした信号を用いて、前記入力RGB画像信号に対して色バランス補正処理を施すことで色バランス補正後のRGB画像信号を生成する色バランスコントローラを備え、
前記第1コントローラは、前記色バランス補正後のRGB画像信号の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成する第1ビット拡張回路を備え、前記ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号を出力RGB画像信号として前記前面側LCDパネルに対して供給し、
前記色バランスコントローラは、前記入力RGB画像信号の各サブピクセルの前記輝度値を、前記グレー画像信号を基にした前記信号により除算して得られる各サブピクセルの輝度比率に対し、更に値域が0から1である調整関数(1−TH)を乗算し、更に所定の値THを加算することで、RGB個別の補正係数Fを算出し、そして、前記入力RGB画像信号の各サブピクセルの前記輝度値に対して、前記RGB個別の補正係数Fを乗算することで色バランス補正後の前記RGB画像信号を生成する、画像表示装置。
前記第1コントローラは、RGB画像信号に対して第1階調変換を行う第1ルックアップテーブルを、RGBの各サブピクセルの輝度値に対して個別に記憶し、前記ビット拡張後のRGB画像信号に対して前記第1ルックアップテーブルを適用して前記第1階調変換を行うことで、前記出力RGB画像信号を生成するRGB階調変換回路を備えている、請求項1に記載の画像表示装置。
前記第2コントローラは、前記グレー画像信号を基にした信号に対して第2ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のグレー画像信号を生成する第2ビット拡張回路を備え、前記ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号を前記出力グレー画像信号として前記後面側LCDパネルに対して供給する、請求項1または2に記載の画像表示装置。
前記グレーコンバータは、前記入力RGB画像信号に対して、それぞれの画素についてRGBの各サブピクセルの輝度値の最大値を代表値とすることで、前記グレー画像信号を生成する、請求項5に記載の画像表示装置。
前記エッジホールド回路は、水平方向に局所的エッジホールド処理を適用する水平方向エッジホールド回路と、垂直方向に局所的エッジホールド処理を適用する垂直方向エッジホールド回路を備えている、請求項7に記載の画像表示装置。
前面側LCDパネルと後面側LCDパネルとを2枚重ねることで構成され、バックライト光が前記後面側LCDパネル、前記前面側LCDパネルの順で透過することにより画像表示を行う画像表示装置によって実行される画像表示方法であって、
入力RGB画像信号に対してグレー画像信号を生成した後、当該グレー画像信号を基にした信号から出力グレー画像信号を生成し、
前記グレー画像信号を基にした信号を用いて、前記入力RGB画像信号に対して色バランス補正処理を施すことで色バランス補正後のRGB画像信号を生成し、
前記色バランス補正後のRGB画像信号の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成し、
前記ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号を出力RGB画像信号として前記前面側LCDパネルに対して供給し、
当該出力グレー画像信号を前記後面側LCDパネルに対して供給し、
色バランス補正後のRGB画像信号を生成することは、前記入力RGB画像信号の各サブピクセルの前記輝度値を、前記グレー画像信号を基にした前記信号により除算して得られる各サブピクセルの輝度比率に対し、更に値域が0から1である調整関数(1−TH)を乗算し、更に所定の値THを加算することで、RGB個別の補正係数Fを算出することを含み、そして、前記入力RGB画像信号の各サブピクセルの前記輝度値に対して、前記RGB個別の補正係数Fを乗算することで色バランス補正後の前記RGB画像信号を生成する、画像表示方法。
前記グレー画像信号を基にした信号に対して第2ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のグレー画像信号を生成し、前記ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号を前記出力グレー画像信号として前記後面側LCDパネルに対して供給する、請求項9に記載の画像表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の画像表示装置および画像表示方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0020】
実施の形態1における画像表示装置は、前面側LCDパネルと後面側LCDパネルとを2枚重ねることで構成され、バックライト光が後面側LCDパネル、前面側LCDパネルの順で透過することにより画像表示を行う画像表示装置であって、第1コントローラと第2コントローラを備え、第2コントローラは、入力RGB画像信号に対してグレー画像信号を生成した後、グレー画像信号を基にした信号から出力グレー画像信号を生成し、出力グレー画像信号を後面側LCDパネルに対して供給し、第1コントローラは、グレー画像信号またはグレー画像信号を基にした信号を用いて、入力RGB画像信号に対して色バランス補正処理を施すことで色バランス補正後のRGB画像信号を生成する色バランスコントローラを備え、第1コントローラは、色バランス補正後のRGB画像信号の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成する第1ビット拡張回路を備え、ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号を出力RGB画像信号として前面側LCDパネルに対して供給する。
【0021】
図1は、実施の形態1における画像表示装置の信号処理ブロック図である。
図1に示した本実施の形態1における画像表示装置10は、画像表示装置本体20とLCDモジュール30を備えて構成されている。
【0022】
画像表示装置本体20は、画像処理エンジン21を含んで構成されている。一方、LCDモジュール30は、I/F(インタフェース)31、RGBコントローラ(第1コントローラ)33、LV(ライトバルブ)コントローラ(第2コントローラ)34、RGBパネル(前面側LCDパネル)35、およびLVパネル(後面側LCDパネル)36を備えて構成されている。
【0023】
画像表示装置本体20内の画像処理エンジン21は、RGB画像を生成し、LCDモジュール30に送信する。LCDモジュール30内のI/F31は、画像処理エンジン21が生成したRGB画像を受信し、各画素におけるサブピクセルR、G、Bの各々の輝度値を、入力RGB画像信号としてRGBコントローラ33とLVコントローラ34に送信する。
【0024】
図2は、実施の形態1における画像表示装置に含まれる、RGBコントローラ33、およびLVコントローラ34による、より詳細な信号処理ブロック図である。
【0025】
RGBコントローラ33は、
図2に示すように、遅延回路331、色バランスコントローラ332、RGBビット拡張回路(第1ビット拡張回路)333、および、3つのLUT(Look Up Table)3341、3342、3343を有するRGB階調変換回路334を備えて構成されている。
【0026】
一方、LVコントローラ34は、グレーコンバータ341、水平方向エッジホールド回路(エッジホールド回路)342、垂直方向エッジホールド回路(エッジホールド回路)343、LPF(ローパスフィルタ)回路344、LVビット拡張回路(第2ビット拡張回路)345、および、1つのLUT3461を有するLV階調変換回路(グレー階調変換回路)346を備えて構成されている。
【0027】
以降、信号の流れの順に沿って、RGBコントローラ33、LVコントローラ34の各構成要素を説明する。
【0028】
LVコントローラ34内のグレーコンバータ341は、入力RGB画像信号R1、G1、B1からグレースケール画像信号であるグレー画像信号W1を生成する。すなわち、グレーコンバータ341は、
図1に示されるI/F31から入力RGB画像信号R1、G1、B1を受信し、受信した入力RGB画像信号R1、G1、B1に対して、それぞれの画素について、RGBの各サブピクセルの輝度値、すなわち入力RGB画像信号R1、G1、B1の中の最大値を選択し、これを代表値W1とすることで、グレー画像に変換する。
【0029】
通常、グレースケールへの変換は、乗算器と加算器を用いて色マトリクス変換を行うことで、ルミナンスを求めることが多い。本実施の形態1におけるグレーコンバータ341は、RGBコントローラ33内の色バランスコントローラ332において、RGBの色バランス補正を容易に行えるように、各画素における、R、G、Bの輝度値の最大値を検出し、これを代表値として出力することでハードウェアの簡略化も図っている。
【0030】
もちろん、通常のマトリクス変換を採用した場合でも、色バランス補正処理は問題なく実行できることは言うまでもない。
【0031】
グレーコンバータ341は、生成したグレー画像の各画素について、輝度値をグレー画像信号W1として、水平方向エッジホールド回路342へ送信する。
【0032】
LVコントローラ34は、グレー画像信号W1に対して局所的エッジホールド処理を適用し、エッジホールド処理後のグレー画像信号を生成するエッジホールド回路として、水平方向に局所的エッジホールド処理を適用する水平方向エッジホールド回路342と、垂直方向に局所的エッジホールド処理を適用する垂直方向エッジホールド回路343を備えている。グレーコンバータ341によって送信されたグレー画像信号W1は、水平方向エッジホールド回路342によって受信される。
【0033】
水平方向エッジホールド回路342は、画像のエッジ領域の局所的な拡大処理を行う。2枚のLCDパネルに対して、正面視では問題ないが、水平方向において斜めから見たときには、パネルの厚みに起因して、前側と後ろ側の表示画像の位置が角度に応じてずれることで、2重像や色ずれが見える問題がある。この問題を解決するために、水平方向エッジホールド回路342は、LV画像に対して水平方向に視野角補正を実施する役割を果たしている。
【0034】
図3は、実施の形態1における水平方向エッジホールド回路342の詳細構成図である。また、
図4は、実施の形態1における水平方向エッジホールド回路342による局所的エッジホールド処理に関するフローチャートである。
【0035】
図3、
図4の例では、水平5タップの局所的エッジホールド処理を示している。水平のライン方向に入力された階調変換後のLV画像の各画素の輝度値は、順次、X1からX5のレジスタに蓄積される。
【0036】
そして、水平方向エッジホールド回路342は、センターのX3の画素の輝度値が、ライジング・エッジである、すなわち、X3の画素の輝度値がX3の左側の画素の輝度値よりも大きいことを検出した場合には、X3の左側の画素の輝度値をX3の画素の輝度値で置き換える処理を行う。また、水平方向エッジホールド回路342は、センターのX3の画素の輝度値が、フォーリング・エッジである、すなわち、X3の画素の輝度値がX3の右側の画素の輝度値よりも大きいことを検出した場合には、X3の右側の画素の輝度値をX3の画素の輝度値で置き換える処理を行う。
【0037】
ただし、その処理は、X3が閾値3以上であり、かつエッジの大きさ((X3−X2)または(X3−X4))が閾値4以上の場合に制限する。つまり、水平方向エッジホールド回路342は、輝度差がある程度以上ある場合に、局所的エッジホールド処理を行う。
【0038】
図3の下段に示したY1からY5のレジスタ、および選択1から選択5は、上述した置き換えの動作を行い、さらに、一旦前の動作期間で置き換えられた画素がX3に対して小さい場合には、X3で置き換える動作を行っている。
【0039】
以上の置き換えのための制御信号は、
図3中のS1からS5であり、水平方向エッジホールド回路342は、制御信号が0のときには置き換えを行わないが、制御信号が1のときには置き換えを行う。
【0040】
図5は、実施の形態1における水平方向エッジホールド回路342による局所的エッジホールド処理の動作結果を波形で示した図である。
図5(a)は、水平方向エッジホールド回路342への入力波形であり、
図5(b)は
図5(a)の入力波形に対する出力波形である。
図5中のそれぞれの白い丸は、グレーコンバータ341からの出力画像における各画素の輝度値に相当する。一方、
図5(b)中の黒い丸は、エッジホールド処理された画素の輝度値に相当する。
【0041】
図5に示すように、局所的エッジホールド処理が実行されることにより、エッジ画素の値で、その前あるいは後の画素が置き換えられていることが分かる。このように、隣接する画素の輝度を上げる補正を施すことで、水平方向において斜めから見た際に、画像が暗くなってしまうことを防止することができる。
【0042】
水平方向エッジホールド回路342は、水平方向エッジホールド処理後のグレー画像信号を、
図2に示される垂直方向エッジホールド回路343へ送信する。
【0043】
垂直方向エッジホールド回路343は、水平方向エッジホールド回路342から、水平方向エッジホールド処理後のグレー画像信号を受信し、垂直方向に視野角補正を実施する。垂直方向エッジホールド回路343は、水平方向エッジホールド回路342に関して上記したものと同様の構成により実現可能である。垂直方向エッジホールド回路343は、エッジホールド処理後のグレー画像信号を、LPF回路344へと送信する。
【0044】
LPF回路344は、エッジホールド処理後のグレー画像信号を受信し、エッジホールド処理後のグレー画像信号に対してローパスフィルタを適用し、ローパスフィルタ適用グレー画像信号(グレー画像信号を基にした信号)W2を生成する。エッジホールド処理を行い視野角が補正された画像は、上記のように各画素の輝度値が調整されているが、この調整後の輝度値が、画像全体として自然にみえるように、LPFをかけることによって隣接する輝度値間の変化をなまらせている。
【0045】
LPF回路344は、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2を、RGBコントローラ33の色バランスコントローラ332と、LVビット拡張回路345へ送信する。
【0046】
他方、RGBコントローラ33においては、RGBコントローラ33内の遅延回路331が、I/F31から入力RGB画像信号R1、G1、B1を受信する。遅延回路331は、受信した入力RGB画像信号R1、G1、B1に対して、適切な遅延をかける。この「適切な遅延」とは、LVコントローラ34内でのグレーコンバータ341、水平方向エッジホールド回路342、垂直方向エッジホールド回路343、および、LPF回路344による処理の遅延分を補償して、遅延回路331を介して色バランスコントローラ332へ送信される入力RGB画像信号R1、G1、B1と、LVコントローラ34から送信されるローパスフィルタ適用グレー画像信号W2との同期をとるためのものである。
【0047】
RGBコントローラ33内の色バランスコントローラ332は、遅延回路331によって遅延された入力RGB画像信号R1、G1、B1に対し、画素ごとに、LVコントローラ34から送信された対応するローパスフィルタ適用グレー画像信号W2に基づいて、補正係数を用いて色バランスを調整することにより、色バランスの補正を行う。
【0048】
色バランスコントローラ332は、下式(1)〜(3)のように、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各々をローパスフィルタ適用グレー画像信号W2で除算することで、輝度比率を算出し、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各々に対してこの輝度比率を乗算することで、RGB信号R2´、G2´、B2´を生成する。
R2´=R1×(R1/W2) (1)
G2´=G1×(G1/W2) (2)
B2´=B1×(B1/W2) (3)
【0049】
このRGB信号R2´、G2´、B2´をRGBパネル35へ表示することにより、上述した色バランスが崩れるという問題点を解決することが可能である。しかし、色バランスコントローラ332は、実際には、RGB信号R2´、G2´、B2´に対して更なる調整を施した、後述する式(4)〜(6)に従って生成されたRGB信号を、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2として後段へ出力している。ここではまず、色バランスが崩れるという問題点の解決について説明する。
【0050】
図6は、色バランスコントローラ332の働きによる色バランスの調整に関する説明図である。すなわち、第2の問題点の原因および解決方法の原理図に相当する。
【0051】
図6(a)に示すように、RGBがそれぞれ0でない混色(R>G>B)を表現する画素を表示する場合を例にして説明する。上記のように、グレーコンバータ341は、入力RGB画像信号R1、G1、B1に対し、グレー画像を、画素ごとのRGBの各サブピクセルの輝度値の最大値で代表されるように生成する。このため、輝度値が最大値のサブピクセルであるR1と同程度の輝度値W2を有するローパスフィルタ適用グレー画像信号W2が生成される。
【0052】
これらの、入力RGB画像信号R1、G1、B1と、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2を、合成透過した際においては、合成透過後のR1は、所望の輝度が得られるが、G1およびB1は、G1およびB1の表現に本来必要とされるグレー画像信号の輝度値よりも、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2が大きくなるため、色バランスが崩れてしまう。
【0053】
色バランス補正後のRGB画像信号が、本来のRGBの輝度を得るために本来必要なLV画像の輝度値は、それぞれ、R1、G1、B1の輝度値であるはずである。これを示したものが
図6(b)である。すなわち、本来のGおよびBの輝度を得るためには、
図6(b)に示したように、LV画像における輝度値をRGBのそれぞれの色ごとに変える必要がある。しかしながら、LVパネルの1画素は、RGBパネルのサブピクセル3個をまとめた大きさであるため、LV画像の各画素をRGBのそれぞれの色ごとに変えることはできない。従って、全ての色で所望の合成透過率を得るために、LVパネル側ではなく、RGBパネル側において、階調を調整する。
【0054】
すなわち、調整前後のRGBパネルとLVパネルとの合成透過率が等しくなるように、RGBパネル側の階調を調整して、調整後の輝度値を導出することを考える。このためには、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各々に対し、R1/W2、G1/W2、B1/W2を輝度比率として乗算し、すなわち、上述した式(1)〜(3)でR2´、G2´、B2´を導出すればよいことがわかる。結果として、
図6(c)に示すように、R2´、G2´、B2´が、RGBパネル35に表示された場合においては、W2がLVパネル36に表示され、色バランスの調整が可能となる。
【0055】
色バランスコントローラ332は、上記したような原理により、色バランスを補正制御するため、混色部においても本来の色を表示することができ、色再現性の改善を図ることが可能となる。この効果は、暗い領域はもちろんのこと、明るい領域でも発揮されることは言うまでもない。
【0056】
しかし、上記のように、本実施の形態1においては、式(1)〜(3)によって得られたRGB信号R2´、G2´、B2´ではなく、実際には、これに更なる調整を施したRGB信号R2、G2、B2を、色バランス補正後のRGB画像信号として後段のRGBビット拡張回路333へ出力している。これは、次の理由に因るものである。
【0057】
上述した構成においては、上記のように、水平方向および垂直方向エッジホールド回路342、343によって視野角補正を行い、輝度差の大きい部分であるエッジを暗い方向に広げることで、明るく表示される領域が広げられている。この広げられたエッジ部分に相当する画素においては、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2は明るく調整されており、これを基に、色バランスコントローラ332によって色バランスが補正されてRGB信号R2´、G2´、B2´が生成されている。すなわち、RGB信号R2´、G2´、B2´は、輝度値が最大のサブピクセルを除けば、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2とは逆に暗くなるように調整されるため、RGB信号R2´、G2´、B2´によって表示されるRGB画像は、部分的に暗くなるように補正されている。
【0058】
RGBパネル35とLVパネル36によって、対応するRGB信号R2´、G2´、B2´とローパスフィルタ適用グレー画像信号W2を出力表示されたものを、正面から人間が見た場合には、これらのパネル35、36を通過する光は、
図6を用いて説明したように調整されているため、色再現性が良好な画像となっている。しかし、これを斜めから見た場合においては、RGB信号R2´、G2´、B2´が部分的に暗くなるように補正されており、本来明るく表示されるべき領域が部分的に暗く表示されるため、エッジ部分に二重線が見える等の、副作用が生じる場合がある。
【0059】
この副作用を和らげるために、本実施の形態1においては、上記式(1)〜(3)の代わりに、輝度比率の乗算効果を低減した関数F(RGB個別の補正係数)を予め定めておき、この関数Fを入力RGB画像信号R1、G1、B1の各々に対して乗算して、次の式(4)〜(6)のように、後段のRGBビット拡張回路333へ出力される、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を生成している。
R2=R1×F(R1、W2) (4)
G2=G1×F(G1、W2) (5)
B2=B1×F(B1、W2) (6)
【0060】
本実施の形態1においては、RGB個別の補正係数、すなわち関数Fは、次の式(7)〜(9)のように、1から所定の値THを減算することで得られる調整関数(1−TH)を、輝度比率に対して乗算し、更に所定の値THを加算することにより算出される。
F(R1、W2)=(R1/W2)×(1−TH)+TH (7)
F(G1、W2)=(G1/W2)×(1−TH)+TH (8)
F(B1、W2)=(B1/W2)×(1−TH)+TH (9)
【0061】
図7は、式(7)〜(9)において、入力が輝度比率とした場合の関数Fを表すグラフである。
図7からわかるように、関数F61は、
図7中60で表される、式(1)〜(3)において入力RGB画像信号R1、G1、B1に対して乗算されていた輝度比率R1/W2、G1/W2、B1/W2が、一定の値TH以上1以下の値となるようにクリッピングを行うものである。ここで、THが0の場合は、輝度比率に対してクリッピングを行わずに、輝度比率そのものを関数Fとして使用する場合であり、上記式(1)〜(3)をそのまま適用して、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を生成する場合である。
【0062】
このように、本実施の形態1においては、色バランスコントローラ332は、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各サブピクセルの輝度値を、ローパスフィルタ適用グレー画像信号(グレー画像信号を基にした信号)W2により除算して得られる各サブピクセルの輝度比率R1/W2、G1/W2、B1/W2に対し、更に値域が0から1である調整関数(1−TH)を乗算することで、RGB個別の補正係数Fを算出し、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各サブピクセルの輝度値に対して、RGB個別の補正係数Fを乗算することで色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を生成している。このようにして、式(1)〜(3)よりも輝度比率の変化の範囲を抑制することで、輝度比率が過剰に作用しないようにしており、これにより、色再現性を改善しながらも、二重線などの副作用を効果的に抑制している。
【0063】
関数Fは、比較的簡単な構成の回路によって実現可能である。
【0064】
色バランスコントローラ332は、上記のように生成した色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を、
図2に示されるRGBビット拡張回路333へ送信する。
【0065】
RGBコントローラ33のRGBビット拡張回路(第1ビット拡張回路)333は、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成する。RGBビット拡張回路333は、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2の各々毎に、対応するビット拡張回路3331、3332、3333を備えている。ここでは、画像信号R2に対応するビット拡張回路3331を説明する。画像信号G2、B2に対応するビット拡張回路3332、3333も、画像信号R2に対応するビット拡張回路3331と同様に構成されている。
【0066】
ビット拡張回路3331は、入力されたRGB各8ビットの画像に対し、12ビットへのビット拡張処理を行う。このビット拡張処理は、後段の処理でビット精度を落とさないようにするため、あらかじめビット長を精度よく拡張するものである。
【0067】
本実施の形態1におけるビット拡張回路3331では、
図8(a)に示されるように、8ビットデータ50、すなわち8ビットの画像信号を、例えば12ビットに拡張して12ビットデータ52とすることを想定する。本来、アナログである画像信号を8ビットに量子化する場合には、ビット解像度以下の変化については、丸められて捨てられている。しかしながら、画像は、隣接画素間の相関が高いため、次の手法を導入することで、ある程度の復元をすることができる。
【0068】
図8(b)は、処理対象となっている画素、すなわち注目画素X5の説明図であり、
図8(c)は、ビット拡張処理の手順をプログラム形式で表現した例である。ビット拡張回路3331は、
図8に示すように、0に初期化された変数dcに関して、注目画素X5の周辺で隣接する8画素(X1〜X4、X6〜X9)に対し、注目画素X5の輝度値が隣接するそれぞれの画素の輝度値に比べて小さいときは+1、注目画素X5の輝度値が隣接するそれぞれの画素の輝度値に比べて大きいときは−1の演算を行う。
【0069】
さらに、ビット拡張回路3331は、その合計値すなわちdcを8で割った値を小数点以下の重み51として、注目画素X5に加算し、16倍して丸め処理をすることで、8ビットから12ビットへの拡張を行う。
【0070】
一般に、画像の隣接する画素は、輝度値が似ているという性質があり、例えば、注目画素X5の輝度値に対して周辺の画素の輝度値が全て大きい場合には、各画素の輝度値が8ビットに丸められる前の本来の値であるアナログ値における波形は連続した凹の形状になっており、注目画素X5の輝度値の本来の値であるアナログ値は、8ビットに丸められたデータよりも大きいであろうことが推定される。
【0071】
一方、逆に、注目画素X5の輝度値に対して周辺の画素の輝度値が全て小さい場合には、各画素の輝度値が8ビットに丸められる前の本来の値であるアナログ値における波形は連続した凸の形状になっており、注目画素X5の輝度値の本来の値であるアナログ値は、8ビットに丸められたデータよりも小さいであろうことが推定される。そこで、ビット拡張回路3331は、このような根拠に基づいて、上述した
図8のようなビット拡張処理を行うこととなる。
【0072】
なお、ビット拡張の手法については、ここで説明した方法以外の手法を導入してもかまわない。
【0073】
他方、LVコントローラ34においては、
図2に示されるLVビット拡張回路(第2ビット拡張回路)345が、ローパスフィルタ適用グレー画像信号(グレー画像信号を基にした信号)W2に対して第2ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のグレー画像信号を生成する。LVビット拡張回路345は、ビット拡張回路3331と同様な構成を備えている1つのビット拡張回路3451を備えており、これにより、ビット拡張回路3331に関して説明したものと同様な手順で、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2をビット拡張する。
【0074】
RGBビット拡張回路333は、ビット拡張後のRGB画像信号を、RGB階調変換回路334に送信する。また、LVビット拡張回路345は、ビット拡張後のグレー画像信号をLV階調変換回路346に送信する。
【0075】
次に、RGBコントローラ33のRGB階調変換回路334、及び、LVコントローラ34のLV階調変換回路346を説明する。RGB階調変換回路334は、RGB画像信号に対して第1階調変換を行う第1LUT3341、3342、3343を、RGBの各サブピクセルの輝度値に対して個別に記憶し、ビット拡張後のRGB画像信号に対して第1LUT3341、3342、3343を適用して第1階調変換を行うことで、出力RGB画像信号(ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号)R3、G3、B3を生成する。また、LV階調変換回路346は、グレースケール画像信号に対して第2階調変換を行う第2LUT3461を記憶し、ビット拡張後のグレー画像信号に対して第2LUT3461を適用して第2階調変換を行うことで、出力グレー画像信号(ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号)W3を生成する。
【0076】
本実施の形態1においては、4種類のLUT、すなわち、サブピクセルR用のLUTであるLUT(R)、サブピクセルG用のLUTであるLUT(G)、サブピクセルB用のLUTであるLUT(B)、および、グレー画像用のLUTであるLUT(W)を使用している。RGBコントローラ33内のRGB階調変換回路334は、第1LUTとして、各々1つのLUT(R)3341、LUT(G)3342、LUT(B)3343を備えている。LVコントローラ34内のLV階調変換回路346は、第2LUTとして、LUT(W)3461を備えている。
【0077】
図9は、実施の形態1におけるLUT(R)3341による階調変換特性を示した図である。LUT(G)3342、LUT(B)3343についても、基本的にはLUT(R)3341と同様な階調変換特性を備えているが、R、G、Bそれぞれのサブピクセルにおける光の透過効率が異なるため、特性は互いに、微妙に異なっている。また、
図10は、実施の形態1におけるLUT(W)3461による階調変換特性を示した図である。
【0078】
実験の結果、これら
図9、
図10に示すような階調変換特性を採用することで、暗部の黒表現および純色の色再現性が向上し、純色において白色化するという問題が改善されることが分かった。
【0079】
図9に示したLUT(R)3341の階調変換特性は、例えば、γ=0.5のガンマカーブ(Y=X
γ)で実現される。これに対して、
図10に示したLUT(W)3461の階調変換特性は、RGBの値に対し、LVの値を変化させながら2枚のLCDパネルの透過光を実測して、最終的な合成結果が人の視覚特性に見合うγ=2.2になるよう、LVの入出力特性を決めたものである。
【0080】
図11は、実施の形態1におけるRGB階調変換回路334、LV階調変換回路346の働きによる暗部の色再現性向上の説明図である。すなわち、第1の問題点の原因および解決方法の原理図に相当する。
【0081】
図11(a)に示すように、Rの値が16、GおよびBの値が0であるような暗い赤を表現する画素を表示する場合を例に、暗部の色再現性向上方法について説明する。従来のように、LV画像の値のみでコントラスト比を改善する方法では、LVパネル36の対応する画素の輝度値を、例えば218に設定する必要があったとする。
【0082】
この場合、
図11(a)に示すように、サブピクセル中で最も輝度が大きなRが適正に表示されるようにLVパネル36の輝度値が設定されているため、合成透過後のRの輝度は、所望の値になる。しかしながら、本来0であるはずのGおよびBの輝度は、バックライトからLVパネル36を通過する光量が大きく、RGBパネル35におけるGおよびBの光漏れのために、GおよびBが発光し、全体として白っぽい(灰色がかった)赤を示すことになる。
【0083】
これに対し、例えば
図11(b)に示すように、Rの輝度値を本来よりも大きい値(例えば218)に、なおかつ、LV画像の値を16という小さい値にして、LVパネルを通過する光量を小さくすることで、合成透過後のRは、所望の輝度を示した上で、GおよびBは、光漏れがごく小さくなって、赤がくすまず、純粋な暗い赤を示すようにすることができる。
【0084】
この現象を積極的に利用し、RGB階調変換回路334の、LUT(R)3341、LUT(G)3342、LUT(B)3343を特に暗部において、リニアな特性から上に持ち上げるように設定し、それに対応して、LV階調変換回路346内のLV用のLUT(W)3461を、従来よりも下に落とすように設定したものが、先の
図9、
図10に示した階調変換特性に相当する。
【0085】
図2に示される、RGBコントローラ33のRGB階調変換回路334は、階調変換後のRGB画像信号を、出力RGB画像信号(ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号)R3、G3、B3として、
図1に示されるRGBパネル35へ送信する。また、LVコントローラ34のLV階調変換回路346は、階調変換後のグレー画像信号を、出力グレー画像信号(ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号)W3として、LVパネル36へ送信する。
【0086】
RGBパネル35は、出力RGB画像信号R3、G3、B3を受信して表示する。また、LVパネル36は、出力グレー画像信号W3を受信して表示する。
【0087】
図12は、実施の形態1における2枚のLCDパネルによるディスプレイ・モジュールの概略断面図である。
図12に示したディスプレイ・モジュールは、RGBパネル35、LVパネル36、バックライトユニット37、およびRGBパネル35とLVパネル36を接合するラミネーション38を含んで構成されている。
【0088】
RGBパネル35は、カラーフィルタ基板35b、TFT基板35c、偏光フィルム35a、駆動IC35dを備えている。カラーフィルタ基板35bは、ブラックマトリクスやR、G、Bのカラーフィルタを配列し、共通電極などが形成された基板である。TFT基板35cは、液晶側にTFTや電極などを形成した基板である。
【0089】
偏光フィルム35aは、バックライトユニット37から照射される光を偏光させる。駆動IC35dは、RGBコントローラ33によって処理されたRGB画像を、TFT基板35cを駆動させることによってRGBパネル35に表示する。
【0090】
一方、LVパネル36は、ガラス基板36a、TFT基板36b、偏光フィルム36c、駆動IC36dを備えている。ガラス基板36aは、RGBパネル35におけるカラーフィルタ基板35bに対応するものであるが、カラーフィルタ基板35bとは異なり、ブラックマトリクスやカラーフィルタを有さない。これは、LVパネル36が、LV画像、つまり白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールの画像を表示することに基づくものである。
【0091】
TFT基板36b、偏光フィルム36cは、RGBパネル35のTFT基板35c、偏光フィルム35aと同様のものである。駆動IC36dは、LVコントローラ34によって処理されたLV画像を、TFT基板36bを駆動させることによってLVパネル36に表示する。
【0092】
RGBパネル35とLVパネル36は、正面から見た場合に、対応する画素が重なって表示されるように、互いに重ねて配置される。
【0093】
バックライトユニット37は、光ガイドパネル37aと光源37bを備える。光源37bは、光ガイドパネル37aに対し光を照射する。光ガイドパネル37aは、光源37bから照射された光を屈折させて、LVパネル36に照射する。光ガイドパネル37aから照射された光は、重ねられたLVパネル36、およびRGBパネル35を順に通過して、画像表示装置を視聴する人間の眼に届く。
【0094】
RGBパネル35およびLVパネル36のそれぞれのコントラスト比は、従来の1枚LCDパネルと同様に、1500:1である。しかしながら、
図12に示すような2枚LCDパネル構造とすることで、コントラスト比が2,250,000:1に改善される。
【0095】
さらに、実施の形態1においては、RGBコントローラ33とLVコントローラ34が協調して、階調変換および色バランス制御を行うことで、特に黒領域の階調特性が改善され、いわゆるLCDパネルの黒浮き現象をなくし、締まった黒の表現が実現でき、低輝度(暗部)での色再現性を改善することができる。
【0096】
次に、上記の実施の形態1として説明した画像表示装置を使用した、画像表示方法を、
図1乃至
図12を用いて説明する。
【0097】
本画像表示方法は、前面側LCDパネルと後面側LCDパネルとを2枚重ねることで構成され、バックライト光が後面側LCDパネル、前面側LCDパネルの順で透過することにより画像表示を行う画像表示装置によって実行される画像表示方法であって、入力RGB画像信号に対してグレー画像信号を生成した後、グレー画像信号を基にした信号から出力グレー画像信号を生成し、グレー画像信号またはグレー画像信号を基にした信号を用いて、入力RGB画像信号に対して色バランス補正処理を施すことで色バランス補正後のRGB画像信号を生成し、色バランス補正後のRGB画像信号の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成し、ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号を出力RGB画像信号として前面側LCDパネルに対して供給し、出力グレー画像信号を後面側LCDパネルに対して供給する。また、グレー画像信号を基にした信号に対して第2ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のグレー画像信号を生成し、ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号を出力グレー画像信号として後面側LCDパネルに対して供給する。
【0098】
まず、LVコントローラ34内のグレーコンバータ341が、I/F31から入力RGB画像信号R1、G1、B1を受信し、受信した入力RGB画像信号R1、G1、B1に対して、それぞれの画素について、RGBの各サブピクセルの輝度値、すなわち入力RGB画像信号R1、G1、B1の中の最大値を選択し、これを代表値W1とすることで、グレー画像に変換する。グレーコンバータ341は、生成したグレー画像の各画素について、輝度値をグレー画像信号W1として、水平方向エッジホールド回路342へ送信する。
【0099】
水平方向エッジホールド回路342は、グレー画像信号W1を受信し、水平方向に局所的エッジホールド処理を適用して、画像のエッジ領域の局所的な拡大処理を行う。更に、垂直方向エッジホールド回路343が垂直方向に局所的エッジホールド処理を適用した後、LPF回路344がローパスフィルタを適用し、ローパスフィルタ適用グレー画像信号(グレー画像信号を基にした信号)W2を生成する。LPF回路344は、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2を、RGBコントローラ33の色バランスコントローラ332と、LVコントローラ34のLVビット拡張回路345へ送信する。
【0100】
LVビット拡張回路(第2ビット拡張回路)345は、ローパスフィルタ適用グレー画像信号W2を受信し、これに第2ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のグレー画像信号を生成する。LVビット拡張回路345は、ビット拡張後のグレー画像信号をLV階調変換回路346に送信する。
【0101】
LV階調変換回路346は、ビット拡張後のグレー画像信号を受信し、第2LUT3461を適用して第2階調変換を行い、階調変換後のグレー画像信号を、出力グレー画像信号(ビット拡張後のグレー画像信号を基にした信号)W3として、LVパネル36へ送信する。
【0102】
LVパネル36は、出力グレー画像信号W3を受信して表示する。
【0103】
他方、RGBコントローラ33においては、色バランスコントローラ332が、遅延回路331を介して入力RGB画像信号R1、G1、B1を受信し、画素ごとに、LVコントローラ34から送信された対応するローパスフィルタ適用グレー画像信号W2に基づいて、補正係数を用いて色バランスを調整することにより、色バランスの補正を行う。色バランスコントローラ332は、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を、RGBビット拡張回路333へ送信する。
【0104】
RGBビット拡張回路333は、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2の各サブピクセルの輝度値に対して第1ビット拡張処理を施して、ビット拡張後のRGB画像信号を生成する。RGBビット拡張回路333は、ビット拡張後のRGB画像信号を、RGB階調変換回路334に送信する。
【0105】
RGB階調変換回路334は、ビット拡張後のRGB画像信号を受信し、これに対して第1LUT3341、3342、3343を適用して第1階調変換を行い、階調変換後のRGB画像信号を、出力RGB画像信号(ビット拡張後のRGB画像信号を基にした信号)R3、G3、B3として、RGBパネル35へ送信する。
【0106】
RGBパネル35は、出力RGB画像信号R3、G3、B3を受信して表示する。
【0107】
LVパネル36に表示された出力グレー画像信号W3と、RGBパネル35に表示された出力RGB画像信号R3、G3、B3は、基本的に、
図6(c)を用いて説明したような関係にあるため、RGBの各サブピクセルは、適切な輝度値で表示される。
【0108】
次に、上記の画像表示装置および画像表示方法の効果について説明する。
【0109】
上記のような構成によれば、RGBコントローラ33の色バランスコントローラ332は、
図6を用いて説明したように色バランスを補正制御するため、混色部においても本来の色を表示することができ、色バランスの崩れをなくし、色再現性の改善を図ることが可能となる。また、RGB階調変換回路334、LV階調変換回路346が、
図9、
図10に示すような階調変換特性を備えているため、上記のように、黒表現および純色の色再現性が向上し、純色において白色化するという問題が改善される。
【0110】
特に、本実施の形態1においては、色バランスコントローラ332によって色バランス補正を行った後に、RGB階調変換回路334において、RGBパネル35に表示出力するために必要な階調変換処理を行っている。すなわち、色バランス補正を、
図9、10のように階調変換される前のリニアな状態で行うことができるため、輝度にかかわらず色の特性を良好に保ち、効果的に、色再現性を改善することができる。
【0111】
また、RGB階調変換回路334、LV階調変換回路346が、RGBコントローラ33、LVコントローラ34の各々の最終段の処理となるように位置づけられ、これに伴い、RGB階調変換回路334、LV階調変換回路346における階調変換の精度を高めるためのビット拡張処理を行う、RGBビット拡張回路333、LVビット拡張回路345が、その直前に位置付けられている。すなわち、ビット拡張処理前までの、色バランス補正を含む主要な処理はすべて、入力RGB画像信号R1、G1、B1と同じビット幅である8ビットで処理されており、色バランス補正処理後のできるだけ後段においてビット拡張を行っている。これにより、例えば、入力RGB画像信号R1、G1、B1を受信した直後にビット拡張処理を設けた場合に比べると、遅延回路331に要するメモリの容量や、色バランス処理、エッジホールド処理等の各演算に要する回路規模を大きく低減することができる。
【0112】
また、上記のように回路規模を低減できるため、消費電力を低減することが可能である。
【0113】
また、上記のような構成によれば、色バランスコントローラ332は、輝度比率に対して値域が0から1である調整関数を乗算することで、RGB個別の補正係数Fを算出し、本補正係数Fを用いて色バランス補正後のRGB画像信号を生成している。このように、調整関数によって輝度比率の変化の範囲を抑制することで、輝度比率が過剰に作用しないようにしており、これにより、色再現性を改善しながらも、二重線などの副作用が効果的に抑制される。
【0114】
[変形例]
次に、上記実施の形態1として示した画像表示装置及び画像表示方法の変形例を説明する。
図13に、本変形例におけるRGBコントローラ73とLVコントローラ74の構成を示す。本変形例は、上記実施の形態1として示したRGBコントローラ33、LVコントローラ34とは、LVコントローラ74がRGBコントローラ73の色バランスコントローラ732へ送信する信号と、色バランスコントローラ732における処理内容、および、RGBコントローラ73における遅延回路731と色バランスコントローラ732の処理順序が異なっている。
【0115】
まず、LVコントローラ74に関しては、RGBコントローラ73の色バランスコントローラ732に対して、LPF回路344の出力するローパスフィルタ適用グレー画像信号W2ではなく、グレーコンバータ341の出力するグレー画像信号W1を送信している。色バランスコントローラ732は、グレー画像信号W1を受信し、これを用いて、入力RGB画像信号R1、G1、B1に対して色バランス補正処理を施すことで色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を生成している。
【0116】
また、上記実施の形態1において説明した色バランスコントローラ332においては、式(4)〜(6)で示したような、1から所定の値THを減算することで得られる調整関数(1−TH)を、輝度比率に対して乗算し、更に所定の値THを加算することにより算出された関数Fを、RGB個別の補正係数として、入力RGB画像信号R1、G1、B1の各々に乗算していたが、色バランスコントローラ732においては、輝度比率には調整関数Fは乗算されない。すなわち、色バランスコントローラ732においては、式(1)〜(3)に対して、W2をW1と置き換えた、次の式(10)〜(12)によって表されるRGB信号が、色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2として出力されている。
R2=R1×(R1/W1) (10)
G2=G1×(G1/W1) (11)
B2=B1×(B1/W1) (12)
【0117】
RGBコントローラ73の遅延回路731は、色バランスコントローラ732の出力した色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2を受信して、これに対して、適切な遅延をかける。本変形例における「適切な遅延」とは、LVコントローラ74内での水平方向エッジホールド回路342、垂直方向エッジホールド回路343、および、LPF回路344による処理時間の総計と、RGBコントローラ73内での色バランスコントローラ732の処理時間の差分に相当するものであり、遅延回路731を介してRGBビット拡張回路333へ送信される色バランス補正後のRGB画像信号R2、G2、B2と、LPF回路344からLVビット拡張回路345へ送信されるローパスフィルタ適用グレー画像信号W2の同期をとるためのものである。
【0118】
本変形例として示した画像表示装置および画像表示方法が、上記実施の形態1として示した画像表示装置および画像表示方法と同様の効果を奏することは、いうまでもない。
【0119】
特に、本変形例として示した画像表示装置および画像表示方法においては、色バランスコントローラ732がLVコントローラ74から受信する信号W1は、水平方向エッジホールド回路342、垂直方向エッジホールド回路343によって視野角補正が行われる前のものである。すなわち、グレーコンバータ341の出力するグレー画像信号W1に対して、RGBコントローラ73においては色バランス補正処理が、LVコントローラ74においては視野角補正処理が、それぞれ独立に行われている。これにより、エッジ部分に表れていた二重線等の副作用が軽減される。
【0120】
このために、上記のように、色バランスコントローラ732における色バランス補正処理において、輝度比率に対する調整関数Fの乗算が不要となる場合がある。したがって、上記実施の形態1の場合に比べ、更に回路規模を低減することが可能である。
【0121】
次に、上記実施の形態1と変形例に関する実験効果について説明する。
図14は、暗い背景に明るい格子を描画した画像を実機に表示した結果の写真である。
図14(a)は、上記実施の形態1においてTHを0、すなわち、調整関数を効かせず、輝度比率による補正効果を100%にして画像を表示した場合に、実機を正面から見た場合の写真である。
図14(b)は、上記実施の形態1においてTHを0.75、すなわち、輝度比率による補正効果を25%に抑えて画像を表示した場合に、実機を正面から見た場合の写真である。
図14(c)は、上記変形例において、実機を正面から見た場合の写真である。
図14(d)、(e)、(f)は、
図14(a)、(b)、(c)の各々において、実機を水平方向斜めから見た場合の写真である。
【0122】
正面視した場合においては、いずれも問題のない画質となっている。
【0123】
斜め方向から見た場合においては、
図14(d)においては特に、二重線が目立って表示されている。
図14(e)においては、二重線は緩和されて表示されている。
図14(f)においては、二重線は更に目立たなくなっている。
【0124】
このように、上記実施の形態1において、調整関数を効かせない場合においては顕著に表れていた二重線が、調整関数を効かせることにより緩和されて表示されている。上記変形例においては、調整関数による乗算を行わないにもかかわらず、上記実施の形態1よりも良好な画質を実現できている。
【0125】
なお、本発明の画像表示装置および画像表示方法は、図面を参照して説明した上述の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0126】
例えば、各LUTの階調変換特性は、
図9、
図10に示されたような特性に限られず、他の特性を備えていてもよいことは言うまでもない。
また、入力RGB画像信号R1、G1、B1は8ビットとしているが、これは、10ビット等、他のビット幅であっても構わない。
【0127】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態及び変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。