特許第6804272号(P6804272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000002
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000003
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000004
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000005
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000006
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000007
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000008
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000009
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000010
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000011
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000012
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000013
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000014
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000015
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000016
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000017
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000018
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000019
  • 特許6804272-空気調和機の制御装置 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804272
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】空気調和機の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20201214BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F24F11/41 100
   F24F11/41 200
   F25B47/02 550P
   F25B47/02 570R
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-228224(P2016-228224)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-84385(P2018-84385A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充邦
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−027303(JP,A)
【文献】 特開昭55−137439(JP,A)
【文献】 特開2012−057877(JP,A)
【文献】 特開2014−003391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/41
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末から遠隔操作が可能で、暖房運転時に少なくとも通常除霜運転モードの除霜運転を実行する空気調和機の制御装置であって、
前記空気調和機は、前記通常除霜運転モードよりも除霜能力が高く被空調空間の温度低下が大きい特別除霜運転モードを有し、
前記通信端末からの指示にて前記空気調和機の運転が開始された場合に、前記特別除霜運転モードを選択し、前記通信端末以外からの指示にて前記空気調和機の運転が開始された場合は、前記通常除霜運転モードを選択することを特徴とする空気調和機の制御装置。
【請求項2】
通信端末から遠隔操作が可能で、暖房運転時に少なくとも通常除霜運転モードの除霜運転を実施する空気調和機の制御装置であって、
前記空気調和機は、前記通常除霜運転モードよりも除霜能力が高く被空調空間の温度低下が大きい特別除霜運転モードを有し、
前記通信端末からの指示にて前記空気調和機の運転が開始され、かつ、前記通信端末と前記空気調和機との離間距離が予め定める第1距離以上である場合に、前記特別除霜運転モードを選択し、前記通信端末以外からの指示にて前記空気調和機の運転が開始された場合、および前記通信端末からの指示にて前記空気調和機の運転が開始されても前記離間距離が前記第1距離未満である場合は、前記通常除霜運転モードを選択することを特徴とする空気調和機の制御装置。
【請求項3】
前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記被空調空間における人の存在が検出されると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項4】
前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記通信端末と前記空気調和機との離間距離が予め定める第2距離以下となると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項5】
前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記通信端末と前記空気調和機との離間距離が前記第1距離よりも短い予め定める第3距離以下となると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換えることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項6】
前記除霜運転を行う除霜判定範囲が、前記空気調和機の室外熱交換器の温度と外気の温度との関係で設定されており、
前記特別除霜運転モードで使用する除霜判定範囲は、前記通常除霜運転モードで使用する除霜判定範囲よりも、前記外気の温度に対する前記室外熱交換器の温度が高く設定されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項7】
前記空気調和機は、前記通常除霜運転モードでは、除霜運転を開始する前に暖房運転を行って設定温度よりも被空調空間の温度を高くする除霜前制御を必要に応じて実行するよう構成されており、
当該制御装置は、前記特別除霜運転モードにおいて、前記除霜前制御を一切実行させないことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の空気調和機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末を用いて遠隔操作が可能で、かつ、除霜運転を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気調和機では、スマートフォン等の通信端末を用いて運転の開始や停止など、遠隔から操作可能なものが発売されている。また、人感センサが搭載され、被空調空間における人の在不在を判定するものも発売されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、人感センサが搭載され、被空調空間における人不在判定時に、通常時よりも早い段階(通常時よりも高い温度)で除霜運転を開始する空気調和機が開示されている。除霜運転とは、暖房運転中に、室外熱交換器に着いた霜(以下、着霜)を溶かす運転である。
【0004】
また、特許文献2には、除霜運転の方式として、リバース除霜とバイパス除霜とを選択的に実施する空気調和機が開示されている。リバース除霜は、冷房サイクルで運転することにより着霜を溶かす方式である。冷房サイクルで運転するため除霜能力は高いが、被空調空間の温度(以下、室温)の低下を招いてしまう。バイパス除霜は、バイパス回路を用いて高温冷媒を室外熱交換器と室内熱交換器の両方に流して着霜を溶かす方式である。リバース除霜に比べて除霜能力は劣るが、室温の低下を抑制できる。
【0005】
また、特許文献3には、除霜運転による室温の低下を抑制するために、除霜運転の前に暖房運転を行って被空調空間の温度を設定温度よりも高くする空気調和機が開示されている。以下、除霜運転の前に暖房運転を行って被空調空間の温度を設定温度よりも高くする制御を、除霜前制御と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5078681号明細書
【特許文献2】特開2010−85047号公報
【特許文献3】特開2016−17725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術の空気調和機には、以下のような問題がある。
【0008】
特許文献1の、人感センサによる人不在判定時に通常時よりも早く除霜運転を開始する空気調和機は、除霜運転中の室温が低下した被空調空間に入ってきた人に、室温低下による不快さを与えるといった問題がある。つまり、人感センサによる人不在判定は、被空調空間といったごく狭い範囲を検出の対象範囲としているため、被空調空間に人は居なくても、被空調空間が含まれる家屋に人が存在することは多くある。そのため、除霜運転にて室温が低下した被空調空間に人が入ってきて不快に感じるといったことが発生する。
【0009】
特許文献2の、リバース除霜とバイパス除霜とを使い分ける空気調和機は、被空調空間に人が不在で、室温低下が問題にならない場合でも、室温低下を防ぐためのバイパス方式で動作することがある。頻繁にバイパス除霜が実施されると、着霜の全てを溶かすことができず、暖房能力が低下することがある。
【0010】
特許文献3の、除霜前制御を行う空気調和機は、被空調空間に人が不在で、室温低下が問題にならない場合でも、除霜前制御を行うことがある。その場合、必要のない除霜前制御によって着霜量が通常よりも増える可能性があり、着霜の全てを溶かすための時間が長くなってしまったり、着霜の全てを溶かすことができなかったりして、暖房能力が低下する可能性がある。
【0011】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室温低下による不快感を極力与えることなく効果的に除霜して、暖房能力の低下を抑制できる空気調和機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機の制御装置は、通信端末から遠隔操作が可能で、暖房運転時に少なくとも通常除霜運転モードの除霜運転を実行する空気調和機の制御装置であって、前記空気調和機は、前記通常除霜運転モードよりも除霜能力が高く被空調空間の温度低下が大きい特別除霜運転モードを有し、前記通信端末からの指示にて前記空気調和機の運転が開始された場合に、前記特別除霜運転モードを選択し、前記通信端末以外からの指示にて前記空気調和機の運転が開始された場合は、前記通常除霜運転モードを選択することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、通常除霜運転モードよりも除霜能力の高い特別除霜運転モードを、被空調空間に人が不在であり、かつ、被空調空間に人が急に入ってくる可能性が低い場合にのみ実施するので、室温低下による不快感を極力与えることなく効果的に除霜して、暖房能力の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る空気調和機の構成を示す冷媒回路図である。
図2】上記空気調和機が含まれた遠隔操作システムの概略構成を示す図である。
図3】上記空気調和機の制御系の要部を示す制御ブロック図である。
図4】上記空気調和機の制御装置が用いる通常除霜運転モードに用いる第1除霜判定範囲を示す概念図である。
図5】上記空気調和機の制御装置が用いる特別除霜運転モードに用いる第2除霜判定範囲を示す概念図である。
図6】上記空気調和機における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。
図7】本発明のその他の実施の形態に係る空気調和機における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。
図8】本発明のその他の実施の形態に係る空気調和機における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。
図9】本発明のその他の実施の形態に係る空気調和機における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。
図10】本発明のその他の実施の形態に係る空気調和機の構成を示す冷媒回路図である。
図11図10に示す空気調和機における除霜方式の切り換えを示すフローチャートである。
図12図10に示す空気調和機における、除霜方式の別の切り換えを示すフローチャートである。
図13図10に示す空気調和機における、除霜方式の別の切り換えを示すフローチャートである。
図14図10に示す空気調和機における、除霜方式の別の切り換えを示すフローチャートである。
図15】本発明のその他の実施の形態に係る空気調和機における、除霜前制御を行う場合と行わない場合の、時間に対する被空調空間の温度変化を示す説明図である。
図16図15に示す除霜前制御を行う空気調和機における、除霜前制御無か選択的に行うかの切り換えを示すフローチャートである。
図17図15に示す除霜前制御を行う空気調和機における、除霜前制御無か選択的に行うかの別の切り換えを示すフローチャートである。
図18図15に示す除霜前制御を行う空気調和機における、除霜前制御無か選択的に行うかの別の切り換えを示すフローチャートである。
図19図15に示す除霜前制御を行う空気調和機における、除霜前制御無か選択的に行うかの別の切り換えを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の一実施の形態について、図1図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
図1は、一実施の形態に係る空気調和機1の構成を示す冷媒回路図である。図1に示すように、空気調和機1は、1台の室外機2に1台の室内機3が接続されたセパレート型のシングル型空気調和機である。
【0017】
室外機2に収容される圧縮機4、四方弁10、室外熱交換器5および膨張弁6は、この順に冷媒配管で直列に接続されている。膨張弁6は、二方弁8を介して室内機3に収容される室内熱交換器7にさらに配管接続され、室内熱交換器7はさらに、三方弁9を介して、四方弁10を経由して再び室外機2の圧縮機4に配管接続されている。これにより、冷媒回路が構成されている。
【0018】
圧縮機4は、切換弁である四方弁10を介して冷媒回路に接続されている。これにより、圧縮機4は、四方弁10を切り換えることにより、室外熱交換器5側、又は、室内熱交換器7側のいずれの方向へも圧縮した冷媒を送出可能となっている。つまり、四方弁10の切り換えにより、室外熱交換器5と室内熱交換器7とが、凝縮器又は蒸発器として使用される。
【0019】
具体的には、図1において、圧縮機4の吐出配管11から吐出される高温の冷媒は、四方弁10を経由して熱交換器側配管12を通り、図示する矢印Ac方向に流通し、凝縮器としての室外熱交換器5、膨張弁6を経て蒸発器としての室内熱交換器7に流入する。室内熱交換器7から送出された冷媒は、三方弁側配管13、四方弁10およびサクション側配管14を順次通過して圧縮機4に戻ることによって冷房運転が実行される。
【0020】
また、図1において、圧縮機4の吐出配管11から吐出される冷媒は、四方弁10の流路切換えによって三方弁側配管13を通り、図示する矢印Aw方向に流通し、凝縮器としての室内熱交換器7、膨張弁6を経て蒸発器としての室外熱交換器5に流入する。室外熱交換器5から送出された冷媒は、熱交換器側配管12、四方弁10およびサクション側配管14を順次通過して圧縮機4に戻ることによって暖房運転が実行される。
【0021】
室内機3には室内ファン15(例えば、クロスフローファンやプロペラファン)が収容されており、室内ファン15を運転することで、室内空気が室内機3に取り入れられ、室内熱交換器7で熱交換される。そして、室内機3の吹出口から調和空気(暖房運転時は暖気、冷房運転時は冷気)が吹き出される。また、室外機2には、室外ファン16(例えば、プロペラファン)が収容されており、室外ファン16を運転することで、室外空気が室外機2に取り入れられ、室外熱交換器5で熱交換される。
【0022】
空気調和機1は、暖房運転時、室外熱交換器5の着霜を除去する除霜運転を行う。空気調和機1は、除霜運転として、除霜能力と室温低下の度合いとが異なる後述する通常除霜運転モードと特別除霜運転モードの二つの除霜運転モードを有している。
【0023】
また、空気調和機1は、IRリモコン等のリモコンを用いた操作以外に、通信ネットワーク22を介して、スマートフォンやタブレット端末などの通信端末24を用いた遠隔操作も可能となっている。なお、IRリモコン等のリモコンは、空気調和機の購入時に、室内機のパッケージに同梱されていることが多い。
【0024】
図2は、空気調和機1が含まれた遠隔操作システム20の概略構成を示す図である。図2に示すように、遠隔操作システム20では、ユーザ宅23に設置された空気調和機1とサーバ21と空気調和機1のユーザの通信端末24とが、通信ネットワーク22を介して接続されている。なお、図2では、サーバ21を含む遠隔操作システム20を例示するが、サーバ21は必須ではなく、通信端末24と空気調和機1とが通信ネットワーク22を介して接続されていてもよい。
【0025】
空気調和機1は、通信ネットワーク22に接続してサーバ21と通信するための無線通信機能を有するネットワーク家電である。無線通信機能は、空気調和機1の室内機3に内蔵されていてもよいし、室内機3に外付けされる通信アダプタに備えられていてもよい。
【0026】
ユーザ宅23には、通信ネットワーク22の一部をなす無線LAN(WirelessLocal Area Network)が整備されている。無線LANの中継局は、インターネットを含む通信ネットワーク22と接続されている。中継局は、例えばWiFi(登録商標)ルータやWiFi(登録商標)アクセスポイントなどの通信機器である。なお、ここでは、通信ネットワーク22としてインターネットを含む構成を例示しているが、電話回線網、移動体通信網、CATV(CAble TeleVision)通信網、衛星通信網などを利用することもできる。
【0027】
通信端末24と通信ネットワーク22におけるインターネットとの間は、3G(3rdGeneration)やLTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、宅内あるいは公衆のWiFi(登録商標)アクセスポイントなどを利用して接続される。
【0028】
サーバ21には、空気調和機1と通信端末24との組み合わせが登録されている。サーバ21に組み合わせが登録された通信端末24は、サーバ21を介して空気調和機1を遠隔操作することができる。通信端末24は、遠隔操作のためのアプリケーションが有するスマートフォンやタブレット端末などである。なお、図2では、遠隔操作システム20における、あるユーザ宅23に関する部分を示している。
【0029】
空気調和機1は、サーバ21を介して通信端末24からの指示を受け付ける。また、空気調和機1は、サーバ21と定期的に通信し、空気調和機1の運転の内容を示す運転情報や、後述するセンサ32〜37などで検出された検出情報などを、サーバ21へ適宜送信する。
【0030】
さらに、空気調和機1は、上述したように、暖房運転中に実施(実行)される除霜運転として、除霜能力と室温低下の度合いとが異なる二つの運転モードを有している。通常除霜運転モードは、特別除霜運転モードよりも除霜能力は劣るが、室温(被空調空間の温度)の低下を抑制できる運転モードであり、被空調空間に居る人が室温低下による不快さを感じないあるいは感じ難い運転モードである。一方、特別除霜運転モードは、通常除霜運転モードよりも除霜能力は高いが、室温の低下が大きく、被空調空間に居る人が室温低下による不快さを感じさせやすい運転モードである。
【0031】
空気調和機1は、通信端末24から遠隔操作による指示にて運転が開始された場合に特別除霜運転モードを選択し、通信端末24以外からの指示にて運転が開始された場合は通常除霜運転モードを選択する。なお、以下、通信端末24からの遠隔操作に成された指示を、単に、通信端末24から成された指示と記載する。通信端末24からの暖房運転の開始の指示には、運転内容(暖房運転・冷房運転・送風運転など)を自動で切り換える自動運転の開始の指示も含まれる。
【0032】
図3は、空気調和機1の制御系の要部を示す制御ブロック図である。空気調和機1は、制御装置(空気調和機の制御装置)31を備える。制御装置31には、室内温度センサ32、外気温度センサ33、室内湿度センサ34、室内熱交換器温度センサ35、室外熱交換器温度センサ36、人感センサ37などからの検出信号が入力される。また、制御装置31は、通信装置38を介して、サーバ21との間で各種の情報を送受信する。サーバ21より受信する情報の中には、通信端末24から運転(暖房運転、冷房運転、自動運転など)の開始の指示が含まれている。また、図示していないが、IRリモコン等のリモコンとの送受信を行う送受信部を備えている。
【0033】
室内温度センサ32は、被空調空間である室内の温度を検出し、外気温度センサ33は、外気の温度(以下、外気温度)Xを検出する。室内湿度センサ34は、室内の湿度を検出する。室内熱交換器温度センサ35は室内熱交換器7の温度を検出し、室外熱交換器温度センサ36は室外熱交換器5の温度(以下、室外熱交換器温度)Yを検出する。人感センサ37は、室内(被空気空間)における人の在不在を判定する。
【0034】
これらのうち、室内温度センサ32、外気温度センサ33、室内湿度センサ34、および人感センサ37は、空気調和機1に搭載されている必要はなく、被空調空間に設置されるセンシング装置や、被空調空間に設置された別の電子機器よりデータを受信する構成であってもよい。
【0035】
制御装置31は、これらセンサ32〜37で検出(判定)された情報を基に、圧縮機4および室内ファン15、室外ファン16などを制御(駆動や停止)して、冷媒回路の冷凍サイクルを制御して、冷房運転、暖房運転、除湿運転、暖房運転時における除霜運転などを実施する。
【0036】
制御装置31は、運転(暖房運転又は自動運転)の開始の指示が、通信端末24から成された場合(以下、遠隔運転時)、暖房運転時の除霜運転として特別除霜運転モードを選択する。遠隔運転時は、被空調空間に人が不在であり、かつ、被空調空間に人が急に入ってくる可能性が低いと考えられるので、室温低下を憂慮することのない、特別除霜運転モードを選択する。一方、通信端末24からではなく、それ以外のリモコンなどから成された場合(以下、通常運転時)は、除霜運転として、室温低下に憂慮した通常除霜運転モードを選択する。
【0037】
また、制御装置31は、特別除霜運転モードを選択している状態で、被空調空間における人の存在が検出されると、運転モードを特別除霜運転モードから通常除霜運転モードに切り換える。
【0038】
本実施の形態においては、特別除霜運転モードと通常除霜運転モードとで、除霜運転に使用する、除霜運転を行う範囲を定めた除霜判定範囲が異なる。除霜判定範囲は、室外熱交換器温度Yと外気温度Xとの関係で設定されている。特別除霜運転モードで使用する第2除霜判定範囲は、通常除霜運転モードで使用する第1除霜判定範囲よりも外気温度Xに対する室外熱交換器温度Yが高く設定されている。なお、本実施の形態において実施する除霜運転はリバース除霜である。
【0039】
図4図5は、制御装置31が用いる2つの除霜判定範囲を示す概念図である。図4が第1除霜判定範囲を示し、図5が第2除霜判定範囲を示す。図4図5において、横軸は外気温度Xを示し、縦軸は室外熱交換器温度Yを示す。除霜判定範囲は、外気温度Xと室外熱交換器温度Yとの関係で設定されている。図中、外気温度Xの横軸と室外熱交換器温度Yの縦軸の交点が0℃で、室外熱交換器温度Yの縦軸では、交点よりも上側がプラス温度を、下側がマイナス温度を示す。また、外気温度Xの横軸では、交点(0℃)よりも右側がプラス温度を、左側がマイナス温度を示す。
【0040】
図4において、斜線を付した領域Aが、除霜運転を行う領域であり、斜線が付されていない領域Bは、除霜運転を行わない領域である。領域Aと領域Bの境界線の直線L1は、外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yから計算される一次式Y=a・X−b(a、bは正の定数)である。制御装置31は、通常運転時、外気温度センサ33および室外熱交換器温度センサ36で検出される外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yと、第1除霜判定範囲を使用して、除霜運転を行う(通常除霜運転モード)。
【0041】
一方、図5においては、ドットを付した領域Cが、除霜運転を行う領域であり、ドットが付されていない領域Dは、除霜運転を行わない領域である。領域Cと領域Dの境界線の直線L2は、外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yから計算される一次式Y=a・X−c(a、cは正の定数)である。制御装置31は、遠隔運転時、外気温度センサ33および室外熱交換器温度センサ36で検出される外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yと、第2除霜判定範囲を使用して、除霜運転を行う(特別除霜運転モード)。
【0042】
具体的には、暖房運転中、第1あるいは第2の何れか選択した方の除霜判定範囲を使用して、外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yで表される点(x,y)が、領域A又は領域B、あるいは領域C又は領域D、のどちらに属するのか判定する。判定の結果、点(x,y)が、領域Aあるいは領域Cに属する場合、除霜運転を開始する。
【0043】
図5においては、図4の第1除霜判定範囲の境界線の直線L1を破線にて示している。実線で示す直線L2と破線で示す直線L1とを比較するとわかるように、第2除霜判定範囲の直線L2は、第1除霜判定範囲の直線L1を、除霜運転を行わない領域B側(図4参照)に平行にシフトさせている。言い換えれば、直線L1である一次式Y=a・X−b(a、bは正の定数)と、直線L2である一次式Y=a・X−c(a、cは正の定数)において、c<b(b、cは正の定数)となっている。
【0044】
これにより、第2除霜判定範囲の領域Cが第1除霜判定範囲の除霜運転を行う領域Aよりも大きくなる。その結果、第2除霜判定範囲を使用する遠隔運転時の方が、検出された外気温度Xおよび室外熱交換器温度Yが高い温度の段階で、除霜開始条件を満たしたと判定されやすくなり、第1除霜判定範囲を使用する通常運転時よりも早く除霜運転を開始することができる。除霜運転を温度の高い段階で早く開始することで、少ない着霜量の段階で除霜運転を開始できると共に。除霜運転の実施回数が増えるので、能力の高い除霜(効果的な除霜)を行うことができる。
【0045】
第1除霜判定範囲は、除霜能力は劣るが、被空調空間に居る人が一時的な室温低下によって不快さを感じることが極力ないように設定されている。一方、第2除霜判定範囲は、被空調空間に居る人が一時的な室温低下によって不快さを感じる事態に憂慮することなく、確実に室外熱交換器5の着霜を溶解できるように設定されている。
【0046】
図6は、空気調和機1における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。制御装置31は、暖房運転(自動運転を含む)の開始の指示が、通信端末24から成されたものであるか否かを判断する(S1)。ここで、YESと判断すると、第2除霜判定範囲の使用を決定する(S2)。一方、S1にてNOと判断すると、第1除霜判定範囲の使用を決定する(S3)。S3にて第1除霜判定範囲の使用を決定した場合、処理を終了する。
【0047】
一方、制御装置31は、S2に進んで第2除霜判定範囲の使用を決定した場合は、人感センサ37が被空調空間における人の存在を検出したか否かを常時判断する(S4)。ここで、YESと判断すると、第1除霜判定範囲の使用を決定して、使用する除霜判定範囲を第2除霜判定範囲から第1除霜判定範囲へ切り換える(S5)。その後、処理を終了する。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る空気調和機1においては、通信端末24から遠隔操作にて運転の開始が指示された遠隔運転時といった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性が低いと考えられる場合にのみ、特別除霜運転モードを選択して、通常運転時の通常除霜運転モードよりも高い能力で除霜を行う。
【0049】
これにより、人感センサによる被空調空間における人の在不在にて通常除霜運転モードと特別除霜運転モードとを切り換える構成よりも、除霜運転にて室温が低下した被空調空間に人が入ってきて不快さを感じるといった事態の招来を極力抑えて、人に配慮した除霜運転を実現できる。
【0050】
また、本実施の形態に係る空気調和機1においては、人感センサ37にて被空調空間における人の存在が検出されると、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換える。
【0051】
これにより、遠隔操作で運転の開始を指示したユーザが帰宅した場合のような、被空調空間に人が居る状態になると、人に配慮した通常運転時の除霜運転に切り換わるので、ユーザが一々、除霜運転の運転モードを切り換える必要がない。また、人が居ないと想定される期間に、特別除霜運転モードで効率良く除霜を行って着霜を溶かしておくことで、その後、通常除霜運転モードに切り換わったとしても、在室状態で実施される除霜運転(通常除霜運転モード)の回数を低減させることができ、在状態での暖房能力の低下を効果的に抑制することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換えるタイミングを、人感センサ37による人の存在が検出されたときとした。しかしながら、これに限らず、例えば、通信端末24と空気調和機1との離間距離が一定距離(第2距離)以下になったときとしてもよい。これについては、後述する。
【0053】
また、本実施の形態では、空気調和機1が備える制御装置31にて、除霜運転の運転モードの切り換えを行ったが、除霜運転の運転モードを切り換える機能を、サーバ21に持たせる構成としてもよい。
【0054】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0055】
前述した実施の形態1に係る空気調和機1においては、暖房運転(自動運転含む)を開始させる指示が、通信端末24から成された場合に、除霜運転として、特別除霜運転モードを選択する構成であった。
【0056】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、暖房運転(自動運転含む)を開始させる指示が、通信端末24から成され、かつ、開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が予め定める第1距離D1以上である場合に、除霜運転として、特別除霜運転モードを選択する。
【0057】
つまり、たとえ通信端末24から運転を開始させる指示が成された場合であっても、開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が第1距離D1未満である場合には、特別除霜運転モードを選択せず、通常除霜運転モードを選択する。第1距離D1は、通信端末24が空気調和機1の設置された被空調空間を含む家屋外にあり、被空調空間に通信端末24のユーザが急に入ってくる可能性が低いと判定できる距離である。
【0058】
本実施の形態においては、サーバ21が、通信端末24の現在位置を示すGPS(GlobalPositioning System)信号などを取得して、通信端末24の現在位置の情報、あるいは通信端末24の現在位置と空気調和機1の設置位置から算出される現在の離間距離の情報を、空気調和機1に送信する。
【0059】
図7は、本実施の形態に係る空気調和機1における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。実施の形態1に係る空気調和機1の図6のフローチャートと比較するとわかるように、図7のフローチャートにおいては、S1とS2との間にS1−1が挿入されている。S1においてYESと判断すると、S1−1に進み、開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が第1距離D1以上であるか否かを判断する。ここで、YESと判断するとS2に進み、第2除霜判定範囲の使用を決定する(特別除霜運転モードを選択)。S1−1でNOと判断した場合は、S1でNOと判断した場合と同様にS3に進み、第1除霜判定範囲の使用を決定する(通常除霜運転モードを選択)。
【0060】
S2に進んで第2除霜判定範囲の使用を決定した以降は、図6のフローチャートと同様で、制御装置31は、人感センサ37にて人の存在を検出する(S4でYESと判断する)とS5に進み、第1除霜判定範囲の使用を決定して、使用する除霜判定範囲を第2除霜判定範囲から第1除霜判定範囲へ切り換える(特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換え)。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る空気調和機1においては、通信端末24から運転の開始が指示された遠隔運転時で、かつ、開始を指示した該通信端末24と空気調和機1との離間距離が第1距離D1以上であるといった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性がより低いと考えられる場合にのみ、特別除霜運転モードを選択して、通常除霜運転モードよりも高い能力で除霜を行う。
【0062】
これにより、実施の形態1に係る空気調和機1よりも、除霜運転にて室温が低下した被空調空間に人が入ってきて不快さを感じるといった事態の招来を抑えて、より一層、人に配慮した除霜運転を実現できる。
【0063】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0064】
前述した実施の形態2に係る空気調和機1においては、特別除霜運転モードを選択している状態で、人感センサ37にて被空調空間における人の存在が検出されると、運転モードを特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換える構成であった。
【0065】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、空気調和機1の暖房運転(自動運転含む)の開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が予め定められた第2距離(第3距離)D2以下となると、運転モードを特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換える。
【0066】
第2距離D2は、通信端末24が空気調和機1の設置された被空調空間に入ってくる可能性がある被空調空間に近いと判定できる距離であり、第1距離D1よりも短い距離である。
【0067】
図8は、本実施の形態に係る空気調和機1における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。実施の形態2に係る空気調和機1の図7のフローチャートと比較するとわかるように、図8のフローチャートにおいては、S4に代えてS4−1を実施する。
【0068】
S4−1では、制御装置31は、通信端末24と空気調和機1との離間距離が第2距離D2以下であるか否かを常時判断する。ここで、YESと判断すると、S5に進み、第1除霜判定範囲の使用を決定して、使用する除霜判定範囲を第2除霜判定範囲から第1除霜判定範囲へ切り換える(特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換え)。
【0069】
以上のように、本実施の形態に係る空気調和機1においては、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへの切り換えを、開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離に基づいて行う。
【0070】
これにより、被空調空間に人が入ってくる前に、通常運転時の通常除霜運転モードに切り換えることが可能となり、人感センサ37を用いる構成よりも的確なタイミングで、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換えることができる。
【0071】
なお、図8のフローチャートでは、第1距離D1と第2距離D2とを設定したが、第1距離D1だけを設定し、S4−1において、現在の距離が第1距離D1未満であるか否かを判定し、YESと判定するとS5に進む構成とすることもできる。
【0072】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0073】
前述した実施の形態3に係る空気調和機1においては、空気調和機1の暖房運転(自動運転含む)の開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が第2距離D2以下である場合に、特別除霜運転モードから通常運転時の通常除霜運転モードへ切り換える構成であった。
【0074】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、人感センサ37にて被空調空間における人の存在が検出されるか、あるいは、運転の開始を指示した通信端末24と空気調和機1との離間距離が第2距離D2以下となるか、少なくとも何れか一方の条件を満たした場合に、特別除霜運転モードから通常運転時の通常除霜運転モードへ切り換える。
【0075】
図9は、本実施の形態に係る空気調和機1における除霜判定範囲の切り換えを示すフローチャートである。実施の形態3に係る空気調和機1の図8のフローチャートと比較するとわかるように、図9のフローチャートにおいては、S4−1の前にS4が挿入されており、S4とS4−1の両方を実施する。S4でNOと判断するとS4−1に進む。S4−1でNOと判断するとS4に戻る。S4あるいはS4−1の何れかでYESと判断するとS5に進み、第1除霜判定範囲の使用を決定して、使用する除霜判定範囲を第2除霜判定範囲から第1除霜判定範囲へ切り換える(特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換え)。
【0076】
以上のように、本実施の形態に係る空気調和機1においては、人感センサ37と、通信端末24と空気調和機1との離間距離との両方を用いて、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへと切り換えるタイミングを決定している。
【0077】
これにより、例えば、通信端末24の電源がOFFされるなどして、通信端末24と空気調和機1との離間距離の情報を取得できない場合でも、人感センサ37による検出結果を用いて特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換えることができる。
【0078】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について、図10図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0079】
前述した実施の形態1〜4に係る空気調和機1においては、通常除霜運転モードと特別除霜運転モードとで、除霜運転(リバース除霜)に使用する除霜判定範囲を切り換え、特別除霜運転モードでは、通常除霜運転モードで使用する第1除霜判定範囲よりも外気温度Xに対する室外熱交換器温度Yが高く設定された第2除霜判定範囲を使用する構成であった。
【0080】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、リバース除霜とバイパス除霜の両方を実施できるように構成されており、通常除霜運転モードでは、リバース除霜とバイパス除霜とを選択的に実行し、特別除霜運転モードでは、除霜能力の高いリバース除霜のみを実行する。
【0081】
図10は、本実施の形態に係る空気調和機1の構成を示す冷媒回路図である。図10に示すように、本実施の形態に係る空気調和機1は、図1に示した実施の形態1に係る空気調和機1において、室外熱交換器5と膨張弁6との間から圧縮機4の吐出側(吐出配管11側)に接続され、開閉弁40で開閉可能なバイパス回路41が設けられている構成である。
【0082】
バイパス回路41を備えることで、暖房運転時に四方弁10を切り換えて除霜を行うリバース除霜以外に、四方弁10は切り換えることなく開閉弁40を開くことにより除霜を行うバイパス除霜を実施できる。リバース除霜は、冷房サイクルで運転することにより着霜を溶かす方式であるため、除霜能力は高いが、被空調空間の温度の低下を伴う。一方、バイパス除霜は、バイパス回路41を用いて高温冷媒を室外熱交換器5と室内熱交換器7の両方に流して着霜を溶かす方式であるため、リバース除霜に比べて除霜能力は劣るが、室温の低下を抑制できる。
【0083】
バイパス除霜とリバース除霜とをうまく使い分け、暖房運転時に、バイパス除霜をリバース除霜よりも入り易く、かつ時間的に短くするなど、バイパス除霜とリバース除霜を選択して採用することで、室温の低下を抑制した、被空調空間に居る人を不快にし難い通常除霜運転モードを実現できる。
【0084】
そこで、本実施の形態に係る空気調和機1においては、通信端末24から運転の開始が指示された遠隔運転時といった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性が低いと考えられる場合には、リバース除霜のみを採用し、通常運転時は、バイパス除霜とリバース除霜を選択して採用する構成としている。
【0085】
図11図14は、空気調和機1における除霜方式の切り換えを示すフローチャートである。なお、図11図14は、前述した実施の形態1〜4における図6図9に対応している。図11図14では、図6図9におけるS2に代えて、リバース除霜のみを採用するS11を実施し、S3に代えて、リバース除霜とバイパス除霜(リバース/バイパス除霜)とを選択して採用するS12を実施する。また、図11図14では、図6図9におけるS5に代えて、リバース除霜とバイパス除霜(リバース/バイパス除霜)とを選択して採用するS13を実施して、リバース除霜のみの採用から、リバース除霜とバイパス除霜を選択して採用する、に切り換える(特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換え)。
【0086】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について、図15図19に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0087】
前述した実施の形態1〜4に係る空気調和機1においては、通常除霜運転モードと特別除霜運転モードとで、除霜運転(リバース除霜)に使用する除霜判定範囲を切り換え、特別除霜運転モードでは、通常除霜運転モードで使用する第1除霜判定範囲よりも外気温度Xに対する室外熱交換器温度Yが高く設定された第2除霜判定範囲を使用する構成であった。
【0088】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、除霜運転を開始する前に暖房運転を実施する除霜前制御を必要に応じて実行し、特別除霜運転モードでは、除霜前制御を一切実行しない。以下、除霜前制御を必要に応じて実行することを、除霜前制御の有無を選択的に実施(実行)すると表現する。
【0089】
図15は、除霜前制御を行う場合と行わない場合の、時間に対する被空調空間の温度変化を示す説明図である。図15に示すように、除霜前制御を行うことで、行わない場合よりも除霜運転中の温度低下を抑制することができる。しかしながら、除霜前制御を行う場合、着霜量が実施しない場合よりも増える可能性があり、被空調空間に人が居ないような状況下で、不要に除霜前制御を行うと、着霜全てを溶かすための時間が長くなってしまったり、着霜の全てを溶かすことができなかったりして、暖房能力が低下する可能性がある。
【0090】
そこで、本実施の形態に係る空気調和機1においては、通信端末24から運転の開始が指示された遠隔運転時といった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性が低いと考えられる場合には、除霜前制御を一切行わない構成としている。
【0091】
図16図19は、空気調和機1における除霜前制御無か選択的に行うかの切り換えを示すフローチャートである。なお、図16図19は、前述した実施の形態1〜4における図6図9に対応している。図16図19では、図6図9におけるS2に代えて、除霜前制御無を選択するS11を実施し、S3に代えて、除霜前制御の有無を選択して採用するS22を実施する。また、図16図19では、図6図9におけるS5に代えて、除霜前制御の有無を選択して採用するS23を実施して、除霜前制御無の採用から、除霜前制御の有無を選択して採用する、に切り換える(特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換え)。
S23を実施する。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
空気調和機1の制御装置31は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0093】
後者の場合、空気調和機1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0094】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機1の制御装置31は、通信端末24から遠隔操作が可能で、暖房運転時に少なくとも通常除霜運転モードの除霜運転を実行する空気調和機の制御装置であって、前記空気調和機1は、前記通常除霜運転モードよりも除霜能力が高く被空調空間の温度低下が大きい特別除霜運転モードを有し、前記通信端末24からの指示にて前記空気調和機1の運転が開始された場合に、前記特別除霜運転モードを選択し、前記通信端末24以外からの指示にて前記空気調和機1の運転が開始された場合は、前記通常除霜運転モードを選択することを特徴としている。
【0095】
これによれば、通信端末24から運転の開始が指示された遠隔運転時といった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性が低いと考えられる場合にのみ、特別除霜運転モードを選択して、遠隔操作時以外に選択される通常除霜運転モードよりも高い能力で除霜を行う。
【0096】
これにより、除霜運転にて室温が低下した被空調空間に人が入ってきて不快さを感じるといった事態の招来を極力抑えて、人に配慮した除霜運転を実現できる。
【0097】
本発明の態様2に係る空気調和機1の制御装置31は、通信端末24から遠隔操作が可能で、暖房運転時に少なくとも通常除霜運転モードの除霜運転を実行する空気調和機の制御装置であって、前記空気調和機1は、前記通常除霜運転モードよりも除霜能力が高く被空調空間の温度低下が大きい特別除霜運転モードを有し、前記通信端末24からの指示にて前記空気調和機1の運転が開始され、かつ、前記通信端末24と前記空気調和機1との離間距離が予め定める第1距離以上である場合に、前記特別除霜運転モードを選択し、前記通信端末24以外からの指示にて前記空気調和機1の運転が開始された場合、および前記通信端末24からの指示にて前記空気調和機1の運転が開始されても前記離間距離が前記第1距離未満である場合は、前記通常除霜運転モードを選択することを特徴としている。
【0098】
これによれば、通信端末24から運転の開始が指示された遠隔運転時で、かつ、前記通信端末24と前記空気調和機1との離間距離が予め定める第1距離以上であるといった、被空調空間および該空間を含む家屋に人が居らず、被空調空間に人が入ってくる可能性がより低いと考えられる場合にのみ、特別除霜運転モードを選択して、遠隔操作時以外に選択される通常除霜運転モードよりも高い能力で除霜を行う。
【0099】
これにより、除霜運転にて室温が低下した被空調空間に人が入ってきて不快さを感じるといった事態の招来を極力抑えて、態様1に係る空気調和機の制御装置よりも、より一層、人に配慮した除霜運転を実現できる。
【0100】
本発明の態様3に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の態様1又は2において、前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記被空調空間における人の存在が検出されると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換える構成である。
【0101】
これにより、遠隔操作で運転の開始を指示したユーザが帰宅した場合のような、被空調空間に人が居る状態になると、人に配慮した通常運転時の除霜運転に切り換わるので、ユーザが一々除霜運転の運転モードを切り換える必要がない。
【0102】
また、人が居ないと想定される期間に、特別除霜運転モードで効率良く除霜を行って着霜を溶かしておくことで、その後、通常除霜運転モードに切り換わったとしても、在室状態で実施される通常除霜運転モードによる除霜運転の回数を低減させることができ、在状態での暖房能力の低下を効果的に抑制することができる。
【0103】
本発明の態様4に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の態様1において、前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記通信端末24と前記空気調和機1との離間距離が予め定める第2距離以下となると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換える構成である。
【0104】
態様3に係る空気調和機1の制御装置31と同様の作用・効果を得ることができる。しかも、第2距離を適切に設定することで、被空調空間に人が入ってくる前に、通常除霜運転モードに切り換えることが可能となるので、態様3に係る空調空間における人の存在の検出の結果を用いる構成よりも的確なタイミングで、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換えることができる。
【0105】
本発明の態様5に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の態様2において、前記特別除霜運転モードを選択している状態で、前記通信端末と前記空気調和機との離間距離が前記第1距離よりも短い予め定める第3距離以下となると、前記特別除霜運転モードから前記通常除霜運転モードに切り換える構成である。
【0106】
態様3に係る空気調和機1の制御装置31と同様の作用・効果を得ることができる。しかも、第3距離を適切に設定することで、被空調空間に人が入ってくる前に、通常除霜運転モードに切り換えることが可能となるので、態様3に係る空調空間における人の存在の検出の結果を用いる構成よりも的確なタイミングで、特別除霜運転モードから通常除霜運転モードへ切り換えることができる。
【0107】
本発明の態様6に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の態様1から5において、前記除霜運転を行う除霜判定範囲が、前記空気調和機1の室外熱交換器5の温度と外気の温度との関係で設定されており、前記特別除霜運転モードで使用する除霜判定範囲は、前記通常除霜運転モードで使用する除霜判定範囲よりも、前記外気の温度に対する前記室外熱交換器5の温度が高く設定されている構成である。
【0108】
これによれば、除霜運転における通常除霜運転モードと特別除霜運転モードを容易に実現することができる。
【0109】
本発明の態様7に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の形態1から5において、前記空気調和機1は、圧縮機4と四方弁10と室外熱交換器5と膨張弁6と室内熱交換器7とを順次接続した冷媒回路を有し、前記冷媒回路において、前記室外熱交換器5と前記膨張弁6との間から前記圧縮機4の吐出側に接続され、開閉弁40で開閉可能なバイパス回路41が設けられ、暖房運転時に前記四方弁10を切り換えて除霜を行うリバース除霜と、四方弁は切り換えることなく前記開閉弁40を開くことにより除霜を行うバイパス除霜とを実行可能であり、前記通常除霜運転モードでは、前記リバース除霜と前記バイパス除霜とを選択的に実行するよう構成されており、当該制御装置31は、前記特別除霜運転モードにおいて、前記リバース除霜のみを実行させる構成である。
【0110】
これによっても、除霜運転における通常除霜運転モードと特別除霜運転モードを容易に実現することができる。
【0111】
本発明の態様8に係る空気調和機1の制御装置31は、上記の態様1から5において、前記空気調和機1は、前記通常除霜運転モードでは、除霜運転を開始する前に暖房運転を行って設定温度よりも被空調空間の温度を高くする除霜前制御を必要に応じて実行するよう構成されており、当該制御装置31は、前記特別除霜運転モードにおいて、前記除霜前制御を一切実行させない構成である。
【0112】
これによっても、除霜運転における通常除霜運転モードと特別除霜運転モードを容易に実現することができる。
【0113】
本発明の態様9に係る空気調和機1は、上記の態様1から8の何れかの空気調和機の制御装置を備えた構成である。
【0114】
本発明の態様10に係るサーバ21は、通信端末24と該通信端末24にて遠隔操作される空気調和機1とに、通信ネットワーク22を介して接続されるサーバであって、上記の態様1から8の何れかの空気調和機1の制御装置31を備える構成である。
【0115】
また、本発明の各態様に係る制御装置31は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置31が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置31をコンピュータにて実現させる制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0116】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 空気調和機
2 室外機
3 室内機
4 圧縮機
5 室外熱交換器
6 膨張弁
7 室内熱交換器
8 二方弁
9 三方弁
10 四方弁
20 遠隔操作システム
21 サーバ
22 通信ネットワーク
24 通信端末
31 制御装置
32 室内温度センサ
33 外気温度センサ
36 室外熱交換器温度センサ
37 人感センサ
38 通信装置
40 開閉弁
41 バイパス回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19